IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オーエーハウジング設計の特許一覧

特開2024-35473ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット
<>
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図1
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図2
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図3
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図4
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図5
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図6
  • 特開-ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035473
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240307BHJP
   A63B 53/12 20150101ALI20240307BHJP
   A63B 60/34 20150101ALI20240307BHJP
   A63B 60/32 20150101ALI20240307BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240307BHJP
【FI】
A63B69/36 501B
A63B53/12 B
A63B60/34
A63B60/32
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139948
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】512061353
【氏名又は名称】株式会社オーエーハウジング設計
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 時夫
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA05
2C002AA09
2C002CS05
(57)【要約】
【課題】アドレスの際にハンドファースト状態を得ることができ、しかも、クラブヘッドの所望の軌道のイメージ補助機能も発揮できるゴルフクラブを提供する。
【解決手段】クラブフェースを目標方向(飛球線方向)Fと直交するようにアドレスした際にグリップ部14Aをクラブヘッド12の目標方向Fに変位させるクラブシャフトの曲げ部15を有する。曲げ部15は、クラブヘッド12から延びるクラブシャフト11の直線部11Aの上端から目標方向Fに曲がってグリップ部14Aの上端ほど目標方向Fになるようグリップ部14Aを傾斜させるものである。この曲げ部15は、グリップ部14Aの下端14Aから10cm以内の範囲内に設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラブフェースを目標方向と直交するようにアドレスした際にグリップ部をクラブフェースの目標方向に変位させるクラブシャフトの曲げ部を有するゴルフクラブであって、
前記曲げ部は、クラブヘッドから延びるクラブシャフトの直線部の上端から前記目標方向に曲がってグリップ部の上端ほど前記目標方向になるようグリップ部を傾斜させるものであり、かつ、グリップ部の下端から10cm以内の範囲内に設けたことを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】
前記曲げ部の曲げ角度が1°~60°の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
前記曲げ部の曲げ角度が30°~50°の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブ。
【請求項4】
クラブフェースを目標方向と直交するようにアドレスした際に、前記グリップ部が、前記クラブシャフトの直線部の軸線を含む目標方向と平行な仮想平面よりもゴルファーに接近する側に位置するよう、クラブシャフトに対するクラブフェースの取り付け角度を設定したことを特徴とする請求項1~3の何れか一に記載のゴルフクラブ。
【請求項5】
クラブシャフトの前記直線部の軸線に平行な方向から見たとき、前記グリップ部の軸線と前記直線部の軸線とを含む仮想平面への直交する角度方向に対し、クラブフェースのリーディングエッジが30°~50°の範囲内でオープンになる取り付け角度に設定した請求項4に記載のゴルフクラブ。
【請求項6】
前記クラブフェースの取り付け角度を変更可能な機構を設けたことを特徴とする請求項4又は5に記載のゴルフクラブ。
【請求項7】
前記曲げ部の曲げ角度を変更可能な機構を設けたことを特徴とする請求項1~3の何れかに一に記載のゴルフクラブ。
【請求項8】
グリップ部付きのゴルフクラブシャフトであって、
クラブヘッドを先端に取り付ける直線部の後端から曲がってグリップ部を傾斜させる曲げ部を、グリップ部の先端から10cm以内の範囲内に設けたことを特徴とするグリップ部付きのゴルフクラブシャフト。
【請求項9】
先端にクラブフェースを備えるか、または、取り付け可能なクラブシャフト部品と、グリップ部部品と、前記クラブシャフト部品と前記グリップ部部品とを連結する連結部品であって、前記クラブシャフト部品と前記グリップ部部品との連結状態で前記グリップ部の先端から10cm以内の範囲内に位置する曲折部を備えた連結部品とを少なくとも備えたことを特徴とするゴルフクラブキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ、ゴルフクラブシャフト、ゴルフクラブキット及び連結部品に関するものである。特に練習用のゴルフクラブなどに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クラブフェースを目標方向と直交するようにアドレスした際にグリップ部をクラブフェースの目標方向に変位させるクラブシャフトの曲げ部を有するゴルフクラブが知られている。
例えば、特許文献1には、係るゴルフクラブであって、クラブシャフトの長手方向のほぼ中央の一箇所を曲げた練習用アイアンゴルフクラブが開示されている。これによれば、グリップ部を握るとハンドファーストの状態を得られるとされている。
また、特許文献2には、係るゴルフクラブであって、ヘッドよりの箇所と長手方向のほぼ中央に二箇所を曲げ、ヘッドよりの箇所でほぼ中央までを目標方向に傾け、ほぼ中央の箇所でグリップ部までが鉛直上方に延びるようにしたパターゴルフクラブが開示されている。これによれば、ハンドファーストの状態を得られ、パッティングの方向性、距離感をつかみやすいとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1の左の図に示すような、全体がストレートの通常のシャフトは、グリップ上端から延びる仮想の延長直線がゴルファーの体のほぼ中心に向かい、この仮想の延長直線が体の中心まわりのクラブヘッドの円軌道をゴルファーがイメージする助けになる。ところが、特許文献1のゴルフクラブは、図1の左右中央図に示すように、ヘッドからクラブシャフトの長手方向のほぼ中央までの直線部分の上端からの仮想の延長直線が体の中心に向かう可能性があるところ、この直線部分が通常のシャフトの半分程度と短い。しかも、曲げ部からグリップ部までの長さも全体の半分であり、グリップ部を持ったゴルファーは逆にグリップ部からの曲げ部までの直線の仮想の延長直線の方のイメージも生じ得る。これらのため、クラブヘッドから延びるクラブシャフトの直線部によるクラブヘッドの円軌道イメージ補助機能が半分以下に減じてしまう。
【0004】
特許文献2のゴルフクラブが対象とするパターゴルフクラブでも、上記イメージ補助機能をほとんど期待できない。全体がストレートの通常のシャフトでは、クラブヘッドの軌道(インパクト前後の直線に近い軌道)につきイメージ補助機能を発揮できるところ、特許文献2のパターゴルフクラブは、二箇所の所定の曲げにより、ヘッドと体の中心とを結ぶ直線部分が存在しないためである。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、アドレスの際にハンドファースト状態を得ることができ、しかも、クラブヘッドの所望の軌道のイメージ補助機能も発揮できるゴルフクラブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、クラブフェースを目標方向と直交するようにアドレスした際にグリップ部をクラブフェースの目標方向に変位させるクラブシャフトの曲げ部を有するゴルフクラブであって、前記曲げ部は、クラブヘッドから延びるクラブシャフトの直線部の上端から前記目標方向に曲がってグリップ部の上端ほど前記目標方向になるようグリップ部を傾斜させるものであり、かつ、グリップ部の下端から10cm以内の範囲内に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の曲げ部をグリップ部の下端から10cm以内の範囲内に設け、クラブヘッドから所定の曲げ部までの直線部分を十分な長さにできる。よって、ドレスの際にハンドファースト状態を得ることができ、しかも、クラブヘッドの所望の軌道のイメージ補助機能も発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るゴルフクラブと従来例との比較の説明図。
図2】第1実施形態に係るゴルフクラブの説明図。
図3】本実施形態のゴルフクラブの製造方法の一例の説明図。
図4】変形例の説明図。
図5】第2実施形態に係るゴルフクラブの説明図。
図6】第2実施形態の変形例の説明図。
図7】第2実施形態に係るゴルフクラブのインパクトの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1の右図は本実施形態に係る練習用のゴルフクラブ(以下、単にゴルフクラブという。)の説明図である。同図において、いわゆるアイアンタイプのゴルフクラブ10は、クラブシャフト11と、クラブシャフト11の一端(先端)側に取り付けられたクラブヘッド12と、クラブシャフト11の他端(基端)側にグリップ部材14が取り付けられたグリップ部14Aとにより構成されている。クラブヘッド12は金属からなりホーゼル部13を一体に備えている。クラブシャフト11は、ホーゼル部13内に延びるようにして固定されている。クラブシャフト11は、中空円筒状のスチールで形成されてもよく、カーボンを成形素材として形成されてもよい。
【0010】
そして、本実施形態のゴルフクラブ10は、クラブフェースを目標方向(飛球線方向)Fと直交するようにアドレスした際にグリップ部14Aをクラブフェースの目標方向Fに変位させるクラブシャフトの曲げ部15を有する。曲げ部15は、クラブヘッド12から延びるクラブシャフト11の直線部11Aの上端から目標方向Fに曲がってグリップ部14Aの上端になる後端14Bほど目標方向Fになるようグリップ部14Aを傾斜させるものである。この曲げ部15は、グリップ部14Aの下端である先端14Cから10cm以内の範囲内に設ける。
【0011】
〔第1実施形態〕
図2は第1実施形態に係るゴルフクラブ10の説明図である。図2(a)はクラブシャフト11の直線部11Aの軸線L1とグリップ部14Aの軸線L2とを含む仮想平面(PL1)に直交する方向から見た説明図である。図2(b)は図2(a)の直線部11Aの軸線L1に平行な方向であってグリップ部14A側から見た説明図である。図2(c)はクラブヘッド12のフェースを目標方向(飛球線方向)Fと直交するようにアドレスした状態のゴルフクラブ10を目標方向Fとは反対側(目標側)から見た説明図であり、ライ角θ2も示している。図2(d)は図2(c)の状態のゴルフクラブ10を鉛直上方から見た説明図である。ゴルファーPの両足及び腰のみ模式的に示している。
【0012】
以下、クラブヘッド12のフェースを目標方向(飛球線方向)Fと直交するようにアドレスした状態を、スクエアアドレス状態という。また、クラブシャフト11の直線部11Aの軸線L1とグリップ部14Aの軸線L2とを含む仮想平面を、シャフト・グリップ平面PL1という。また、目標方向Fを含み地面に垂直な垂直面をライ角θ2だけ傾斜させた仮想平面をライ角平面PL2という。スクエアアドレス状態のゴルフクラブの直線部11aの軸線L1は、ライ角平面PL2の上に位置する。
【0013】
図2に図示のクラブヘッドは、シャフトの中心線(軸線)が地面と垂直な平面上にある状態で、ゴルフクラブヘッドを地面とソールが平行になるようにしてセットしたときに、フェース面に平行な水平線(通常はリーディングエッジ)と、垂直面とがなす角度であるゴルフクラブのフェース角が0°になるクラブヘッドである。フェース角は、クラブヘッドのフェース面及びソール面と、シャフト軸線の傾斜を決めるホーゼル部のシャフト挿入孔の軸線との位置及び角度関係によって決まる。
【0014】
このようなフェース角0°のクラブヘッド12が、図2(a)に示すように曲げ部15で曲げられたグリップ部14Aの後端14Bの方にフェース面が向き、かつ、図2(b)に示すようにリーディングエッジ12aがシャフト・グリップ平面PL1に直交するようにクラブシャフト11に対して取り付けられている。
【0015】
図2(a)のグリップ部14Aの先端14Cと曲げ部15までの距離L3は10cm以内の範囲内になるよう設定する。好ましくは5cm以内の範囲内、さらに好ましくは2cm以内の範囲内に設ける。図2(a)におけるグリップ部14Aの曲げ角度θ1は1°~60°の範囲内、好ましくは30°~50°の範囲内、さらに好ましくは40°~50度の範囲内である。図示の例では距離L3は1cm、曲げ角度θ1は45°である。
【0016】
このようにクラブヘッド12がクラブシャフト11に取り付けられたゴルフクラブは、図2(a)に示すように、シャフト・グリップ平面PL1上で、フェース角0°のクラブヘッド12の直線的なリーディングエッジ12aがクラブシャフト11の直線部11Aの軸線L1と平行である。また、図2(c)に示すように、スクエアアドレス状態で、シャフト・グリップ平面PL1がライ角平面PL2に重なり、グリップ部14Aの軸線L2もライ角平面PL2上に位置する。なお、図2(d)で直線部11aの軸線L1とグリップ部14Aの軸線L2との間の見た目の角度θ3は、ライ角θ2の影響を受けて生じたもので、角度θ1よりも小さい。
【0017】
図2(b)で符号16が示すのは、グリップ部材14に付されたゴルファーがグリップする際の目印の一例である。この例の場合、目印16が鉛直上方を向くようにグリップした後、図1の右図に示すように、クラブヘッド12が目標方向Fを向くように、右利きであれば、左手を回内するとともに、右手を回外させる。
【0018】
図1の右図のゴルファーPの左腕付けた時計文字盤51は、左図や左右中央図のゴルファーPの左腕付けた時計文字盤51が目標方向Fを向くのと異なり、ゴルファーPの正面側を向く。図2に図示した曲げ角度θ1が45度の例である。この状態ではグリップの目標方向Fへのフラッピングはほぼ抑制される。両手首の向きが、グリップ全体を目標方向に移動させるときのゴルフクラブの慣性が、両手首に対しフラッピングを起こさせる方向とは異なる方向になる向きになるためである。また、意識的にフラッピングを行おうとすると、クラブヘッド12の挙動が目標とは異なる全く不自然な挙動になってしまうためである。
【0019】
また、クラブヘッド12の全く不自然な挙動につながることから、インパクト前後でのいわゆるリストターン動作を行おうとすることも抑制される。図2の左右中図のゴルフクラブ40でも多少ハンドファーストに構えていることから、左手の回内と、右手の回外が多少生じるが、グリップのフラッピングやリストターン動作を抑制するには不十分である。上記フラッピングなどを有効に防止するには、曲げ角度θ1を、30°~50°の範囲内、さらに好ましくは40°~50度の範囲内で設定する。
【0020】
このような範囲内に設定すると、上記フラッピングなどが抑制される結果、図1の右図にあわわれる両肩、左腕、左右のグリップ、右手の手首から右脇腹に接近した右肘、右肘から右肩までの立体的な五角形(右肘が脇腹に接近することから、他の箇所を含む平面から下側に右肘がずれて立体化する)を崩さずに、テイクバックを開始でき、ハーフスイング程度までであれば、そのまま切りし及びフォローが可能である。サンドウエッジから8番アイアンぐらいまでのアイアンを用いてアプローチに最適である。このようなアプローチでは、右手の目標方向の押しを意識し、インパクトからフォローらかけてヘッドを目標方向にストレートに押し出すイメージになる。
【0021】
さらに、このような範囲内に設定すると、ハーフスイングのトップを超えてテイクバックするにあたっても、シャフトクロスになるオーバースイングを抑制するのに有効である。図2(d)に示すように、クラブヘッド12近傍にあるクラブ重心Gが、二点鎖線で示すグリップ部14Aの軸線L2のヘッド側への延長線よりも、飛球線(F)側に位置することから両手に係る軸線L2回りのクラブ重心Xによる回転モーメントが、十分な大きさでかかる。この回転モーメントに拮抗する両手によるグリップ力をかけ続ける範囲でトップ位置を抑えれば、オーバースイングにはならないからである。
【0022】
以上のようにアプローチやハーフスイングのみならず、フルスイングでもハンドファーストのスイングを可能とするものである。このようなスイングの練習用のゴルフクラブとして好適であり、ゴルフ規約上使用が許されるときには、実際のゴルフ場での使用も可能である。
【0023】
図3は本実施形態のゴルフクラブ10の製造方法の一例を示すものである。図3(a)は分解図、図3(b)は曲げ部近傍の拡大断面図である。この製造方法例では、先端にクラブヘッド12を備えるか、または、取り付け可能なクラブシャフト部品11Bと、グリップ部部品14Dと、クラブシャフト部品11Bとグリップ部部品14Dとを連結する連結部材20とを少なくとも備えるゴルフクラブキットを組み立てる。この連結部材20は、図3(b)に示すように、クラブシャフト部品11Bとグリップ部部品14Dとの連結状態でグリップ部14Aの先端から10cm以内の範囲内に位置する曲げ部15を備える。グリップ部14Aの先端は、グリップ部材14の先端14Cであり、曲げ部15の位置は、先端14Cに近い曲げ部15の曲げ開始点R0の位置である。
【0024】
図3(b)の例は、通常の中空の金属シャフトのクラブシャフトのグリップ部材14の先端14Cでクラブシャフトを切断して、クラブシャフト部品11Bとグリップ部部品14Dとを形成した例である。グリップ部部品14Dは、金属シャフト部分11Cの上にグリップ部材14が取り付けられている。連結部材20は例えば断面円形のアルミ棒からなる。金属シャフトのクラブシャフトのグリップ部材14の先端14Cでクラブシャフトを切断した場合、この切断箇所の金属シャフトの中空部に挿入できるアルミ棒の直径は13mm程度ある。子供用や女性用などアルミシャフトの中空径が比較的小径のものでも、12mm程度のアルミ棒であれば、使用できる。クラブシャフトは中空金属でなく、中空のカーボンの成形素材(グラスファイバー)でもよい。何れの場合も、連結部材20としてはアルミなどの金属に限られず、グラスファイバーやプラスチックなどの十分な強度の材料からなるものを使用できる。
【0025】
このような連結部材20の両端それぞれを例えば7cm程度、クラブシャフト部品10Aとグリップ部部品(14)の中空部に挿入し接着剤で接着する。接着剤としてのクラブヘッドのホーゼル部13に5cm程度挿入してシャフトを接着するのに使用する接着剤を使用できる。図3(b)に示すようにネジ21で両端それぞれの挿入部をネジ止めしてもよい。ネジの他、ボルトなどの固定具を用いることもできる。
【0026】
図3(b)では連結部材20の曲げ部15よりもクラブシャフト部品11Bに挿入しない長さ部分L6を確保している。これは、図2(a)の軸線L1に二点差線で示す通常のゴルフクラブのグリップにおる両手で持つ箇所と同じ高さ位置をグリップ部14Aで生じさせるための長さ部分である。アイアンゴルフクラブのピッチングのグリップ部材14の先端14Cでクラブシャフトを切断してクラブシャフト部品11Bとグリップ部部品14Dとを形成し、連結部材20の曲げ角度を45°とした場合、図3(b)のL3が1cm、L4、L5及びL6が7cmというのが好適な一例である。
【0027】
図3(a)に示す部分に、接着剤、及び/又は、ネジ21やボルトなどの固定具を加えてゴルフクラブキットとすることもできる。また、グリップ部付きのゴルフクラブシャフトであって、クラブヘッドを先端に取り付ける直線部の後端から曲がってグリップ部を傾斜させる曲げ部を、グリップ部の先端から10cm以内の範囲内に設けたグリップ部付きのゴルフクラブシャフトとして販売することもできる。通常の中空シャフトをグリップの先端部で切断しているため、クラブヘッド側のシャフトは通常のクラブシャフトと同様のたわみを生じさせることができる。
【0028】
図4は変形例の説明図である。図4(a)は本実施形態のゴルフクラブ10の製造方法の他の例を示すものである。この例では中空のクラブシャフト11の中に心棒部材22を挿入して設け、その後に曲げ加工する方法である。必要に応じて加熱しながら曲げ加工する。心棒部材はこのような曲げ加工に適した材質からなるものを用いる。心棒部材の位置を固定するため曲げ加工の前又は後に固定工程を行ってもよい。
【0029】
図4(b)は曲げ角度θ1を変更(調整)可能な機構を用いた例の説明である。図4(b)は図3(a)の連結部材20を次のように構成したものである。クラブシャフト部品11Bとグリップ部部品14Dそれぞれの中空部に挿入する挿入部分20A、20Bと、これらの挿入部分を角度変更可能に連結する機構23とを備える。この機構23は締め付けなどによって変更後の角度に固定するための角度固定操作部23Aも備える。この種の角度変更可能に連結する機構23は公知の種々の機構を採用することができる。
【0030】
〔第2実施形態〕
図5は第2実施形態に係るゴルフクラブ10の説明図である。第2実施形態のゴルフクラブは、図2(c)に対応する図5(c)に示すように、クラブヘッド12を目標方向Aと直交するようにアドレスした際に、グリップ部14Aが、クラブシャフトの直線部11Aを含み、かつ目標方向と平行な仮想平面(PL2)よりもゴルファーPに接近する側に位置するよう、クラブシャフト11に対するクラブヘッド12の取り付け角度を設定したものである。
【0031】
図5(a)は、図2(d)に対応するものである。インパクト時の腰を左にきった状態になるようオープンスタンスでアドレスする。アプローチショットで採用されることがあるアドレスである。本実施形態2のゴルフクラブ10は目標方向Fに対し腰をオープンにし、かつハンドファーストの状態するアドレスまたはインパクトの練習に適したものである。
【0032】
図2(a)に示す曲げ角度θ1のシャフトを用いつつ、このように腰がオープンになった状態で、左右のグリップと腰の距離を、図2(d)の状態と同じにするには、図5(a)に示すよう直線部11Aとグリップ部14Aとの角度θ3を図2(d)の角度θ3より小さくする必要がある。直線部11Aの軸線L1の回りで直線部11Aを反時計回りに回転させることによって角度θ3を小さくできる。ところが、このように回転させると、図5(a)に仮想線で示すようにクラブヘッド12も反時計回りに回転してリーディングエッジ12Aが目標方向Fよりも左を向いてしまう。
【0033】
そこで、第2実施形態のゴルフクラブは、図2(b)に対応する図5(b)に示すように、リーディングエッジ12aがシャフト・グリップ平面PL1に直交する角度方向から目標方向Fの上流側に角度θ4だけ傾く、いわゆるオープンになるようにクラブシャフト11に対して取り付けられている。この角度θ4、腰を開く角度に応じて設定する。例えば腰を45°開ときには、θ4も45°程度に設定する。
【0034】
このように角度θ4だけ傾けてクラブヘッド12を取り付けたゴルフクラブは、図2(c)に対応する図5(c)に示すように、スクエアアドレス状態のグリップ部14Aが、ライ角平面PL2よりもゴルファーに接近する側に位置する。図2(a)で示すクラブシャフト11の直線部11Aの軸線L1に対するグリップ部14Aの軸線L2の曲げ角度θ1が30°~45°の範囲内のゴルフクラブの場合、アドレス又はインパクトのとき、腰がオープンになるスイングの練習に特に好適である。
【0035】
図6は第2実施形態の変形例である。この変形例は、クラブシャフト11の直線部11Aに対するクラブヘッド12の取り付け角度位置を変更可能な機構を備える。図5はこのような機構の一例を示すものであり、クラブヘッド12のホーゼル部13の孔に挿入される、クラブシャフト11に一体のソケット33より先端側に回転角度規制部30Aと締結部30Bとを一体に形成する。ホーゼル部13の挿入孔に回転角度規制部30Aに係合して回転位置を規制する回転規制部31Aと、それよりも深い箇所に、上記締結部30Bに螺合するナット32の挿入部31Bとを形成する。ナット32をゆるめてシャフトを取りだし、回転位置を変更して再挿入することにより、クラブヘッド12の取り付け角度位置を変更可能である。
【0036】
この例に限らず、種々のフェース角変更機構を採用することができる。また、この種のクラブヘッド12に対して脱着可能な、グリップ部付きのゴルフクラブシャフトは、クラブヘッドを先端に取り付ける直線部の後端から曲がってグリップ部を傾斜させる曲げ部を、グリップ部の先端から10cm以内の範囲内に設けたグリップ部付きのゴルフクラブシャフトとして販売するのに好適である。
【0037】
図7は第2実施形態のゴルフクラブ10を用いたフルスイングで、腰をほぼ45°オープンにしたインパクト直前の説明図である。ベン・ホーガンのモダン・ゴルフで紹介されているインパクトのイラストを参考に、第2実施形態のゴルフクラブ10であって曲げ角45°、図5(b)のθ4が45°のゴルフクラブを用いた場合のインパクトを示す斜視図である。スクエアスタンスで、インパクトでは腰が45°開き、肩は腰ほどは開いていない。頭はアドレスの位置を保ちつつ腰が目標方向に移動して体重はほぼすべて左足にかかっている。このようなフルスイングで腰をオープンにし、かつハンドファースト状態のインパクトの練習には、θ1が30°~50°、より好ましくは40°~50°の範囲内で、θ4が30°~50°、より好ましくは40°~50°の範囲内のゴルフクラブが好適である。
【0038】
以上の説明において、図面に記載したゴルフクラなどは右利きのゴルファー用のものであるが左利きのゴルファー用にも適用できる。また、図示のゴルフクラブはアイアンゴルフクラブであるが、パターゴルフクラブやウッドゴルフクラブでも適用できる。パターゴルフクラブは、第1実施形態のゴルフクラブのようにクラブフェースのリーディングエッジがシャフト・グリップ平面PL1に直交するようにクラブヘッド12を取り付けることが好ましい。材質や具体的な形状など趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 :ゴルフクラブ
10A :クラブシャフト部品
11 :クラブシャフト
11A :直線部
11B :クラブシャフト部品
11C :金属シャフト部分
11a :直線部
12 :クラブヘッド
12A :リーディングエッジ
12a :リーディングエッジ
13 :ホーゼル部
14 :グリップ部材
14A :グリップ部
14B :後端
14C :先端
14D :グリップ部部品
15 :曲げ部
16 :目印
20 :連結部材
20A :挿入部分
20B :挿入部分
21 :ネジ
22 :心棒部材
23 :機構
23A :角度固定操作部
30A :回転角度規制部
30B :締結部
31A :回転規制部
31B :挿入部
32 :ナット
33 :ソケット
40 :ゴルフクラブ
51 :時計文字盤
A :目標方向
F :目標方向
G :クラブ重心
L1 :軸線
L2 :軸線
L3 :距離
L6 :挿入しない長さ部分
P :ゴルファー
PL1 :グリップ平面
PL2 :ライ角平面
R0 :曲げ開始点
X :クラブ重心
θ1 :曲げ角度
θ2 :ライ角
θ3 :角度
θ4 :角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2019-136448号公報
【特許文献2】特開2012-16555号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7