(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035497
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】基板印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41F 15/08 20060101AFI20240307BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
H05K3/12 610N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139990
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 毅
【テーマコード(参考)】
2C035
5E343
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FA25
2C035FB22
2C035FB32
2C035FB38
5E343AA02
5E343DD03
5E343FF02
5E343FF12
(57)【要約】
【課題】 従来よりも簡易な動作で基板のピッチ及び角度を補正するための技術を提供する。
【解決手段】 基板印刷システムは、テーブルに支持されている第1基板に対する第2基板の距離である第1ピッチを計測する第1ピッチ計測部と、第1基板に対する第2基板の傾きである角度を計測する角度計測部と、テーブルから第2基板を離す第1制御部と、テーブルから第2基板が離されている状態で、第1ピッチ及び角度のうちの少なくとも一方を補正する補正動作をアクチュエータに実行させる補正制御部と、補正動作が実行された後に、第2基板をテーブルに置く第2制御部と、第2制御部によって第2基板がテーブルに置かれた後に、2枚以上の基板の全てに対して、マスクを介した回路の印刷を実行する第3制御部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に互いに並行に延びる2本以上のコンベアと、
前記2本以上のコンベアのそれぞれによって搬送される基板を前記第1の方向と直交する第2の方向に横並びに支持するテーブルと、
前記テーブルに支持された2枚以上の前記基板の全てに対して、マスクを介した回路の印刷を実行可能な印刷機であって、前記マスクには、2個以上のパターン孔が横並びに形成されており、前記2個以上のパターン孔のうちの一つは、前記2枚以上の基板の一つと対応している、前記印刷機と、
前記テーブルに支持された前記基板を前記テーブルから離すことと、前記テーブルから離された前記基板を前記テーブルに置くことと、の双方を実行可能な機構と、
前記基板の位置及び向きを調整可能なアクチュエータと、
前記テーブルに支持されている前記2枚以上の基板のうちの第1基板に対する、前記2枚以上の基板のうちの第2基板の距離である第1ピッチを計測する第1ピッチ計測部と、
前記テーブルに支持されている前記第1基板と前記第2基板を平面視したときの前記第1基板に対する前記第2基板の傾きである角度を計測する角度計測部と、
前記第1ピッチ及び前記角度が計測された後に、前記機構を制御して、前記テーブルから前記第2基板を離す第1制御部と、
前記テーブルから前記第2基板が離されている状態で、前記第1ピッチ及び前記角度のうちの少なくとも一方を補正して、前記2個以上のパターン孔のうち、前記第1基板に対応する第1パターン孔、及び、前記2個以上のパターン孔のうち、前記第2基板に対応する第2パターン孔に、前記第1基板及び前記第2基板の姿勢を適合させる補正動作を前記アクチュエータに実行させる補正制御部と、
前記補正動作が実行された後に、前記機構を制御して、前記第2基板を前記テーブルに置く第2制御部と、
前記第2制御部によって前記第2基板が前記テーブルに置かれた後に、前記印刷機を制御して、前記2枚以上の基板の全てに対して、前記マスクを介した回路の印刷を実行する第3制御部と、
を備える、基板印刷システム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記テーブルを前記テーブルの法線方向に沿った軸回りに回転可能に構成されており、
前記補正制御部は、前記補正動作のうち、前記角度を補正して、前記第1パターン孔及び前記第2パターン孔に前記第1基板及び前記第2基板の向きを適合させる動作を、前記アクチュエータに前記テーブルを前記軸回りに回転させることで実行する、請求項1に記載の基板印刷システム。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記テーブルを前記テーブルの面方向に沿って移動可能に構成されており、
前記補正制御部は、前記補正動作のうち、前記第1ピッチを補正して、前記第1パターン孔及び前記第2パターン孔に前記第1基板及び前記第2基板の位置を適合させる動作を、前記アクチュエータに前記テーブルを前記テーブルの面方向に沿って移動させることで実行する、請求項1に記載の基板印刷システム。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記テーブルを前記テーブルの法線方向に沿った軸回りに回転可能であるとともに前記テーブルを前記テーブルの面方向に沿って移動可能に構成されており、
前記補正制御部は、前記機構を利用することなく、前記アクチュエータのみを利用して、前記第1ピッチ及び前記角度の双方を補正して、前記第1パターン孔及び前記第2パターン孔に前記第1基板及び前記第2基板の姿勢を適合させる前記補正動作を実行する、請求項1に記載の基板印刷システム。
【請求項5】
前記基板印刷システムは、さらに、
前記マスクに形成されている前記2個以上のパターン孔の前記第2の方向の距離である第2ピッチを計測する第2ピッチ計測部を備え、
前記補正制御部は、前記第2ピッチ計測部によって計測された前記第2ピッチに基づいて、前記補正動作を前記アクチュエータに実行させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の基板印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、基板に対してマスクを介した回路の印刷を実行可能な印刷機を備える基板印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数枚の基板を所定の間隔で整列して保持する印刷テーブルを備えるスクリーン印刷機が開示されている。スクリーン印刷機は、上部吸着装置により1枚の基板を吸引して上昇させ、マスクに対する当該基板の位置と角度のズレを補正するズレ補正動作を実行する。そして、スクリーン印刷機は、印刷テーブルに保持されている複数枚の基板の全てに対してズレ補正動作を実行し、その後に、全ての基板に対して同時に印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、基板の全てに対してズレ補正動作が実行される。本明細書では、特許文献1に開示の技術よりも簡易な動作で基板のズレを補正するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する基板印刷システムは、第1の方向に互いに並行に延びる2本以上のコンベアと、前記2本以上のコンベアのそれぞれによって搬送される基板を前記第1の方向と直交する第2の方向に横並びに支持するテーブルと、前記テーブルに支持された2枚以上の前記基板の全てに対して、マスクを介した回路の印刷を実行可能な印刷機であって、前記マスクには、2個以上のパターン孔が横並びに形成されており、前記2個以上のパターン孔のうちの一つは、前記2枚以上の基板の一つと対応している、前記印刷機と、前記テーブルに支持された前記基板を前記テーブルから離すことと、前記テーブルから離された前記基板を前記テーブルに置くことと、の双方を実行可能な機構と、前記基板の位置及び向きを調整可能なアクチュエータと、前記テーブルに支持されている前記2枚以上の基板のうちの第1基板に対する、前記2枚以上の基板のうちの第2基板の距離である第1ピッチを計測する第1ピッチ計測部と、前記テーブルに支持されている前記第1基板と前記第2基板を平面視したときの前記第1基板に対する前記第2基板の傾きである角度を計測する角度計測部と、前記第1ピッチ及び前記角度が計測された後に、前記機構を制御して、前記テーブルから前記第2基板を離す第1制御部と、前記テーブルから前記第2基板が離されている状態で、前記第1ピッチ及び前記角度のうちの少なくとも一方を補正して、前記2個以上のパターン孔のうち、前記第1基板に対応する第1パターン孔、及び、前記2個以上のパターン孔のうち、前記第2基板に対応する第2パターン孔に、前記第1基板及び前記第2基板の姿勢を適合させる補正動作を前記アクチュエータに実行させる補正制御部と、前記補正動作が実行された後に、前記機構を制御して、前記第2基板を前記テーブルに置く第2制御部と、前記第2制御部によって前記第2基板が前記テーブルに置かれた後に、前記印刷機を制御して、前記2枚以上の基板の全てに対して、前記マスクを介した回路の印刷を実行する第3制御部と、を備える。
【0006】
上記の構成によれば、第2基板をテーブルから離すだけでよく、全ての基板をテーブルから離す必要がない。全ての基板をテーブルから離す必要がある特許文献1に開示の技術よりも簡易な動作で基板のズレであるピッチ及び角度の少なくとも一方を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】基板のピッチ及び角度を補正する第1の工程を示す。
【
図6】基板のピッチ及び角度を補正する第2の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
(特徴1) 前記アクチュエータは、前記テーブルを前記テーブルの法線方向に沿った軸回りに回転可能に構成されており、前記補正制御部は、前記補正動作のうち、前記角度を補正して、前記第1パターン孔及び前記第2パターン孔に前記第1基板及び前記第2基板の向きを適合させる動作を、前記アクチュエータに前記テーブルを前記軸回りに回転させることで実行してもよい。
【0010】
上記の構成によれば、テーブルを軸回りに回転させて、基板の角度を補正することができる。
【0011】
(特徴2) 前記アクチュエータは、前記テーブルを前記テーブルの面方向に沿って移動可能に構成されており、前記補正制御部は、前記補正動作のうち、前記第1ピッチを補正して、前記第1パターン孔及び前記第2パターン孔に前記第1基板及び前記第2基板の位置を適合させる動作を、前記アクチュエータに前記テーブルを前記テーブルの面方向に沿って移動させることで実行してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、テーブルを面方向に移動させて、基板のピッチを補正することができる。
【0013】
(特徴3) 前記アクチュエータは、前記テーブルを前記テーブルの法線方向に沿った軸回りに回転可能であるとともに前記テーブルを前記テーブルの面方向に沿って移動可能に構成されており、前記補正制御部は、前記機構を利用することなく、前記アクチュエータのみを利用して、前記第1ピッチ及び前記角度の双方を補正して、前記第1パターン孔及び前記第2パターン孔に前記第1基板及び前記第2基板の姿勢を適合させる前記補正動作を実行してもよい。
【0014】
例えば、機構が基板をテーブルから離した状態で機構を回転又は移動させることでピッチ又は角度を補正することも可能である。しかし、上記の構成によれば、当該機構を利用することなく、テーブルのアクチュエータのみを利用してピッチ又は角度を補正することができる。
【0015】
(特徴4) 前記基板印刷システムは、さらに、前記マスクに形成されている前記2個以上のパターン孔の前記第2の方向の距離である第2ピッチを計測する第2ピッチ計測部を備え、前記補正制御部は、前記第2ピッチ計測部によって計測された前記第2ピッチに基づいて、前記補正動作を前記アクチュエータに実行させてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、マスクに形成されている2個以上のパターン孔について実際に計測された第2ピッチを利用して、補正動作を正確に実行することができる。
【実施例0017】
(基板印刷システム2の構成;
図1、2)
基板印刷システム2は、基板に対して回路の印刷を実行するシステムである。基板印刷システム2は、第1コンベア10と、第2コンベア12と、印刷機20と、移動ロボット30と、テーブル40と、制御装置50と、マスク搬送装置60と、を備える。なお、
図1の斜視図では、印刷機20、制御装置50、及び、マスク搬送装置60の図示が省略されている。各図には、XYZ座標が記載されている。XY軸は、水平方向を示し、Z軸は、垂直方向を示す。
【0018】
第1コンベア10及び第2コンベア12は、基板をテーブル40まで搬送する。第1コンベア10と第2コンベア12は、Y軸方向に互いに並行に延びる。
【0019】
テーブル40は、第1コンベア10及び第2コンベア12の下方に位置する。テーブル40は、第1基板バキューム42と、第2基板バキューム44と、アクチュエータ46と、を備える。なお、
図1では、アクチュエータ46は、隠れて見えない。
【0020】
第1基板バキューム42は、第1コンベア10の下方に配置され、第1コンベア10によって搬送された基板を吸着して支持する。第2基板バキューム44は、第2コンベア12の下方に配置され、第2コンベア12によって搬送された基板を吸着して支持する。テーブル40は、第1基板バキューム42及び第2基板バキューム44を利用して、2本のコンベア10及び12のそれぞれによって搬送される基板をX軸方向に横並びに支持する。ここで、第1基板バキューム42及び第2基板バキューム44は、いわゆる、基板支持部材である。基板支持部材は、1枚以上の基板を下側から支持するための部材である。基板支持部材は、例えば、ブロック状の部材、又は、複数個のピンで構成される部材である。基板支持部材は、基板を吸着するバキューム機構を備えず、例えば、基板を把持する機構を備えるものであってもよい。バキューム機構を備える基板支持部材(例えば第1基板バキューム42)が、基板を確実に保持するために有利である。
【0021】
アクチュエータ46は、テーブル40をテーブル40の法線方向(即ちZ軸方向)に沿った軸回りに回転可能に構成される。法線方向に沿った軸は、例えば、テーブル40の中心軸である。さらに、アクチュエータ46は、テーブル40をテーブル40の面方向(即ちXY方向)に沿って移動可能に構成されている。アクチュエータ46は、例えば、電気モータ、空気圧又は油圧式のシリンダである。アクチュエータ46によりテーブルの向き及び位置が調整される。
【0022】
移動ロボット30は、第1コンベア10及び第2コンベア12の上方に位置する。移動ロボット30は、吸着ノズル32と、カメラ34と、を備える。移動ロボット30は、吸着ノズル32及びカメラ34を、XY方向に移動させる。吸着ノズル32は、Z軸方向に移動し、テーブル40に支持された基板を吸着する。吸着ノズル32は、テーブル40に支持された基板をテーブル40から離すことと、テーブル40から離された基板をテーブル40に置くことと、の双方を実行可能である。カメラ34は、移動ロボット30の下方と移動ロボット30の上方との双方を撮像可能である。
【0023】
印刷機20は、テーブル40に支持された2枚の基板の全てに対して、後述するマスク70を介した回路の印刷を実行可能である。印刷機20は、テーブル40の上方に位置する。マスク搬送装置60は、テーブル40の上方にマスク70を搬送する装置である。
【0024】
制御装置50は、各部10、12、20、30、40、及び、60と電気的に接続されている。制御装置50は、CPUとメモリを備える。制御装置50は、各部10、12、20、30、40、及び、60を制御する。また、制御装置50は、カメラ34によって撮像された画像に対する画像解析も実行可能である。
【0025】
(マスク70の構成;
図3)
マスク70は、平板である。マスク70には、第1パターン孔72と、第2パターン孔74と、がX方向で横並びに形成されている。
図3及び後述する
図5、6では、第1パターン孔72及び第2パターン孔74が簡略化して描かれている。第1パターン孔72は、複数個の孔で構成されており、当該複数個の孔は、第1基板バキューム42に支持される基板上に印刷される回路のパターンを示す。第2パターン孔74も、複数個の孔で構成されており、当該複数個の孔は、第2基板バキューム44に支持される基板上に印刷される回路のパターンを示す。ピッチP3は、第1パターン孔72と第2パターン孔74との間のX軸方向に沿ったピッチを示す。
【0026】
(基板の姿勢のずれ;
図4)
テーブル40に支持された2枚の基板に適切に回路を印刷するには、2枚の基板の姿勢(即ち位置及び向き)を、マスク70の第1パターン孔72と第2パターン孔74に適合させる必要がある。しかし、
図4に示すように、基板の姿勢がマスク70と適合する姿勢からずれる場合がある。
図4の例では、第2基板バキューム44によって支持された基板64が第1基板バキューム42によって支持された基板62からずれている。
【0027】
例えば、基板64が基板62からずれている場合には、基板62に対する基板64のX軸方向の距離であるピッチP1とマスク70のピッチP3との差分が第1閾値以上となる。第1閾値は、例えば、ピッチP3の数%(例えば1%)に設定される。当該差分が閾値以上であることは、ピッチP1が第1パターン孔72及び第2パターン孔74に適合していないことを意味する。
【0028】
また、例えば、基板64が基板62からずれている場合には、基板62に対する基板64のY軸方向の距離であるピッチP2が第2閾値以上となる。第2閾値は、例えば、数mm(例えば1mm)に設定される。マスク70の第1パターン孔72及び第2パターン孔74は、基板62及び基板64のY方向における中心がX軸方向で直線状に配置されることを前提に設計されている。このため、ピッチP2が第2閾値以上であることは、基板62に対する基板64のピッチP2が第1パターン孔72及び第2パターン孔74に適合していないことを意味する。
【0029】
また、例えば、基板64が基板62からずれている場合には、基板62に対する基板64の傾きである角度θが第3閾値以上となる。第3閾値は、例えば、数度(例えば1度)に設定される。マスク70の第1パターン孔72及び第2パターン孔74は、基板62及び基板64が互いに並行に配置されることを前提に設計されている。このため、角度θが第3閾値以上であることは、基板62に対する基板64の角度θが第1パターン孔72及び第2パターン孔74に適合していないことを意味する。
【0030】
本実施例では、
図4のように2枚の基板が互いにずれている場合に、2枚の基板のずれを解消することを実現する。
【0031】
(基板のずれの解消方法;
図5、
図6)
図5は、
図4の状態をY軸方向に沿って見た図である。
図5の状態において、最初に、制御装置50は、マスク70の第1パターン孔72と第2パターン孔74の間のピッチP3を計測する。具体的には、制御装置50は、マスク搬送装置60を制御して、マスク70をテーブル40の上方に移動させる。制御装置50は、移動ロボット30をマスク70とテーブル40の間に移動させる。移動ロボット30のカメラ34は、第2パターン孔74のX軸正方向側の端部に位置するマーカ74aと、第1パターン孔72のX軸正方向側の端部に位置するマーカ72aと、を含む画像を撮像する。制御装置50は、マーカ74aとマーカ72aを含む画像を分析して、マーカ74aとマーカ72aとの間のX軸方向の距離をピッチP3として計測する。ここで、マーカ72a及び74aは、例えば、情報コード(例えばバーコード)、又は、所定の形状の画像である。なお、変形例では、ピッチP3を計測する方法は、マーカ72a及び74aを利用する方法に限らず、例えば、第1パターン孔72及び第2パターン孔74の端辺を画像処理で検出し、両端辺の間の距離を計測する方法であってもよい。また、他の変形例では、制御装置50は、マーカ74aを含む第1画像をカメラ34に撮像させた後に、マーカ72aの下方まで移動ロボット30を移動させ、マーカ72aを含む第2画像をカメラ34に撮像させてもよい。そして、第1画像、第2画像、及び、マーカ74aとマーカ72aとの間の移動ロボット30の移動距離を利用して、ピッチP3を算出してもよい。また、他の変形例では、制御装置50は、X軸方向だけでなく、第1パターン孔72と第2パターン孔74の間のY軸方向のピッチを計測してもよく、当該ピッチを利用して、2枚の基板のずれを解消するための補正を行ってもよい。
【0032】
続けて、制御装置50は、基板62及び基板64の間のピッチP1及びP2、さらに、基板62に対する基板64の傾きである角度θを計測する。制御装置50は、ピッチP3を計測する方法と同様に移動ロボット30を移動させ、基板62上に印字されているマーカ62aと基板64上に印字されているマーカ64aを含む画像をカメラ34に撮像させる。制御装置50は、マーカ62aとマーカ64aを含む画像を分析する。制御装置50は、マーカ62aとマーカ64aとの間のX軸方向の距離をピッチP1と、マーカ62aとマーカ64aとの間のY軸方向の距離をピッチP2として計測する。また、制御装置50は、マーカ62aに対するマーカ64aの傾きである角度を角度θとして計測する。なお、変形例では、ピッチP1、P2、及び角度θを計測する方法は、マーカ62a及び64aを利用する方法に限らず、例えば、基板62及び基板64の端辺を画像処理で検出し、X軸方向における両端辺の間の距離、Y軸方向における両端辺の間の距離、及び、Y軸方向における両端辺の間の角度を計測する方法であってもよい。なお、基板62及び基板64がマスク70の第1パターン孔72及び第2パターン孔74にずれなく位置合わせされた場合におけるマーカ62aとマーカ72aとの間の位置関係は、既知である。マーカ64aとマーカ74aとの間の位置関係についても、同様に、既知である。
【0033】
本実施例では、ピッチP3の計測、並びに、ピッチP1、P2、及び、角度θの計測が順次に実行される。なお、変形例では、上記の2つの計測が同時に実行されてもよい。
【0034】
続けて、制御装置50は、移動ロボット30を基板64の上方に移動させ、
図6に示すように、吸着ノズル32に基板64を吸着させ、第2基板バキューム44から基板64を離す。
【0035】
続けて、制御装置50は、アクチュエータ46を制御して、ピッチP3とピッチP1との間の差分が第1閾値未満、及び、ピッチP2が第2閾値未満となるように、テーブル40をXY方向に沿って移動させる。これにより、基板62及び基板64の位置が第1パターン孔72及び第2パターン孔74に適合するようにピッチP1及びピッチP2が補正される。
【0036】
さらに、制御装置50は、アクチュエータ46を制御して、角度θが第3閾値未満となるように、テーブル40をZ軸回りに回転させる。これにより、基板62及び基板64の向きが第1パターン孔72及び第2パターン孔74に適合するように角度θが補正される。
【0037】
ピッチP1、ピッチP2、及び、角度θを補正する上記の動作が実行された後に、制御装置50は、吸着ノズル32を制御して、基板64を第2基板バキューム44に置く。第2基板バキューム44は、基板64を吸着して支持する。
【0038】
続けて、制御装置50は、マスク70とテーブル40との間の位置関係を補正する動作を実行する。具体的には、制御装置50は、移動ロボット30を移動させ、マスク70の側に設けられているマスク側マーカと、テーブル40の側に設けられているテーブル側マーカと、をカメラ34に撮像させる。制御装置50は、マスク側マーカを含む画像とテーブル側マーカを含む画像とを分析して、マスク側マーカとテーブル側マーカとの間のXY方向における位置関係を算出する。ここで、マスク側マーカは、例えば、第1パターン孔72のマーカ72a、第2パターン孔74のマーカ74aである。また、テーブル側マーカは、例えば、基板62のマーカ62a、基板64のマーカ64a、テーブル40上に設けられているマーカ、コンベア10及び12のいずれかに設けられているマーカである。マスク70がテーブル40からずれることなく配置されている場合における、マスク側マーカとテーブル側マーカとの間の位置関係は、既知である。制御装置50は、上記で算出した位置関係が既知の位置関係となるように、アクチュエータ46を制御して、テーブル40をXY方向に沿って移動させる。これにより、マスク70とテーブル40との間の位置関係が補正され、パターン孔72及び74に基板62及び64の姿勢が適合する。
【0039】
続けて、制御装置50は、テーブル昇降装置(図示省略)を制御して、テーブル40を上昇させ、基板62及び64をマスク70に当接させる。そして、制御装置50は、印刷機20を制御して、2枚の基板62及び64の全てに対して、マスク70を介した回路の印刷を実行する。
【0040】
また、ピッチP1、ピッチP2、及び、角度θのうちの少なくとも1つがずれている他のケースも想定される。この場合には、ピッチP1、ピッチP2、及び、角度θを補正する上記の動作のうち、ずれているパラメータ(例えばピッチP1)に対応する動作(例えばピッチP1を補正する動作)のみを実行し、他の動作(例えばピッチP2及び角度θを補正する動作)は、実行されなくてもよい。
【0041】
(本実施例の効果)
本実施例によれば、2枚の基板62及び64の印刷を同時に実行することができる。コンベアが1本しかない第1比較例と比べて、基板に回路を印刷する工程を効率化することができる。また、2台の基板印刷システムを並べて1つのシステムを構成する第2比較例も想定される。第2比較例では、2台の基板印刷システムを設置するためのスペースが必要となる。これに対して、本実施例は、1つのテーブル40に2本のコンベア10及び12を備える1台の基板印刷システム2である。本実施例は、第2比較例よりも狭いスペースで、2枚の基板の同時印刷を実現することができる。
【0042】
また、本実施例の構成によれば、基板64をテーブル40から離すだけでよく、全ての基板62及び64をテーブル40から離す必要がない。全ての基板62及び64を一枚ずつテーブル40から離して、基板62及び基板64の姿勢を補正する構成と比較して、簡易な動作で基板のピッチ及び角度を補正することができる。
【0043】
また、例えば、基板64をテーブル40から離した
図6の状態において、移動ロボット30を制御して、ピッチP1及びP2を補正するとともに、アクチュエータ46を制御して、角度θを補正する第3比較例が想定される。さらに、例えば、
図6の状態において、移動ロボット30を制御して、角度θを補正するともに、アクチュエータ46を制御して、ピッチP1及びP2を補正する第4比較例が想定される。これらに対して、本実施例では、移動ロボット30を利用することなく、テーブル40のアクチュエータ46のみを利用して、ピッチP1、ピッチP2、及び、角度θを補正することができる。2種類の機構を利用する第3及び第4比較例と比べて、簡易なプログラムでピッチP1、ピッチP2、及び、角度θを補正することができる。また、第4比較例では、移動ロボット30がZ軸回りに基板64を回転させる回転機構を備える必要がある。これに対して、本実施例では、移動ロボット30は回転機構を備える必要がない。なお、変形例では、上記の第3比較例及び第4比較例を採用してもよい。
【0044】
また、マスク70のピッチP3を計測しない比較例が想定される。本実施例では、実際に計測されたピッチP3を利用してピッチP1を補正する動作が実行されるので、ピッチP1を補正する動作を正確に実行することができる。また、上記の比較例では、例えば、ピッチP3はユーザによって入力される。本実施例では、ユーザはピッチP3を入力する必要がない。ユーザの利便性が向上する。なお、変形例では、上記の比較例を採用してもよく、「第2ピッチ計測部」を省略可能である。
【0045】
(対応関係)
基板印刷システム2が、「基板印刷システム」の一例である。Y軸方向、X軸方向が、それぞれ、「第1の方向」、「第2の方向」の一例である。第1コンベア10及び第2コンベア12が、「2本以上のコンベア」の一例である。印刷機20、移動ロボット30が、それぞれ、「印刷機」、「機構」の一例である。テーブル40、アクチュエータ46が、それぞれ、「テーブル」、「アクチュエータ」の一例である。マスク70、第1パターン孔72、第2パターン孔74が、それぞれ、「マスク」、「第1パターン孔」、「第2パターン孔」の一例である。第1パターン孔72及び第2パターン孔74が、「2個以上のパターン孔」の一例である。基板62、基板64が、それぞれ、「第1基板」、「第2基板」の一例である。ピッチP1及びP2が、「第1ピッチ」の一例である。ピッチP3が、「第2ピッチ」の一例である。角度θが、「角度」の一例である。制御装置50が、「角度計測部」、「第1ピッチ計測部」、「第2ピッチ計測部」、「第1制御部」、「補正制御部」、「第2制御部」、及び、「第3制御部」の一例である。ピッチP1、ピッチP2、及び、角度θを補正する動作及びマスク70とテーブル40との間の位置関係を補正する動作が、「補正動作」の一例である。
【0046】
実施例で説明した画像処理装置に関する留意点を述べる。本明細書で開示する技術は、2本のコンベア10及び12を備える基板印刷システム2に限らず、3本以上のコンベアを備える基板印刷システムにも採用可能である。
【0047】
ピッチP1、ピッチP2、及び、角度θを補正する動作は、全て、移動ロボット30によって実行されてもよい。本変形例では、移動ロボット30に備えられているアクチュエータが、「アクチュエータ」の一例である。
【0048】
ピッチP1~P3を計測する方法は、カメラ34を利用する方法以外の方法、例えば、赤外線センサを利用する方法により実現されてもよい。
【0049】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。