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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035523
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240307BHJP
   F25B 41/35 20210101ALI20240307BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
F25B41/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140032
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】別所 直登
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 友哉
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA15
3H062BB04
3H062BB08
3H062CC01
3H062DD01
3H062EE06
3H062GG06
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】
【課題】本発明は、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材を弁本体に固定可能な電動弁を提供することを目的とする。
【解決手段】電動弁1は、弁本体11と、ガイド部材12と、を備えている。弁本体11は、開口部11aを有し、ガイド部材12は、ガイド部材本体121と、固定部材122と、を有し、固定部材122が開口部11aの端面11bに固定されている。ガイド部材本体121は、開口部11aに対して圧入される圧入部1213を有し、圧入部1213は、固定部材122に接する位置から軸線L方向に延びる密接面1213aと、密接面1213aに連続して内側X1に傾斜した傾斜面1213bと、を有している。開口部11aには、内周面11cよりも外側X2に拡径されて密接面1213aとの間にバリ収容空間Sを形成する内周拡径部11dが設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の弁本体と、前記弁本体に設けられた弁ポートの開口面積を可変に調整する弁体と、前記弁本体に固定されて前記弁体を案内するガイド部材と、を備える電動弁であって、
前記弁本体は、前記弁ポートの反対側に開口する開口部を有し、
前記ガイド部材は、樹脂製のガイド部材本体と、前記ガイド部材本体に固定された金属製の固定部材と、を有し、前記固定部材が前記弁本体の前記開口部の端面に固定され、
前記ガイド部材本体は、前記弁本体の前記開口部に対して軸線方向に圧入される圧入部を有し、前記圧入部は、前記固定部材に接する位置から前記軸線方向に延びて前記弁本体の内周面に密接する密接面と、前記密接面に連続して径方向内側に傾斜した傾斜面と、を有し、
前記弁本体の前記開口部には、前記内周面よりも径方向外側に拡径されて前記密接面との間に空間を形成する内周拡径部が設けられていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記内周拡径部は、断面視において、前記開口部の前記端面から前記軸線方向に延びる第一面部と、前記第一面部から前記径方向内側に延びて前記内周面に連続する第二面部と、を有した段付き形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記第一面部の前記軸線方向の長さ寸法は、前記圧入部の前記密接面の前記軸線方向の長さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記内周拡径部は、断面視において、前記開口部の前記端面から前記軸線方向に傾斜して前記径方向内側に延びるテーパ面部と、前記内周面から前記径方向外側かつ前記端面側に向かって湾曲する曲面部と、の少なくとも一方を有していることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項5】
前記圧入部を含む断面視において、
前記開口部の端面と前記固定部材との接触部分の径方向の長さ寸法は、前記密接面と前記内周拡径部との間の開口の径方向の長さ寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項6】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1~5のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁本体と弁体と駆動部とを備えた電動弁が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の電動弁では、弁ハウジング(弁本体)の内部に、主弁体(弁体)を軸線方向に進退案内するためのガイド部材が固定されている。ガイド部材は、樹脂製円筒状のガイド部と、ガイド部にインサート成形された金属製のフランジ部と、を備え、フランジ部が弁ハウジングの開口端縁に溶接固定されている。ガイド部は、軸線方向に主弁体をガイドする主弁ガイド孔と、径方向外側に突出して設けられる圧入部と、を有し、圧入部が弁ハウジングの開口部に圧入されることで弁ハウジングとガイド部材との同心が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-95807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような従来の電動弁では、ガイド部の圧入部を弁本体の開口部に圧入する際に、樹脂製の圧入部が削れてバリが生じ、このバリが弁本体の開口端縁とフランジ部との間に挟まることで、ガイド部材が弁本体に対して傾いた状態で固定されてしまい、電動弁の作動性に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材を弁本体に固定可能な電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の電動弁は、筒状の弁本体と、前記弁本体に設けられた弁ポートの開口面積を可変に調整する弁体と、前記弁本体に固定されて前記弁体を案内するガイド部材と、を備える電動弁であって、前記弁本体は、前記弁ポートの反対側に開口する開口部を有し、前記ガイド部材は、樹脂製のガイド部材本体と、前記ガイド部材本体に固定された金属製の固定部材と、を有し、前記固定部材が前記弁本体の前記開口部の端面に固定され、前記ガイド部材本体は、前記弁本体の前記開口部に対して軸線方向に圧入される圧入部を有し、前記圧入部は、前記固定部材に接する位置から前記軸線方向に延びて前記弁本体の内周面に密接する密接面と、前記密接面に連続して径方向内側に傾斜した傾斜面と、を有し、前記弁本体の前記開口部には、前記内周面よりも径方向外側に拡径されて前記密接面との間に空間を形成する内周拡径部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、圧入部を弁本体の開口部に圧入する際に、圧入部が削れてバリが生じたとしても、弁本体の内周拡径部と、圧入部の密接面と、の間に空間が形成されることで、この空間にバリを収容することができる。すなわち、当該空間をバリ収容空間とすることができる。このため、バリが弁本体の開口端縁と固定部材との間に挟まることで、固定部材が弁本体に対して圧入方向から傾いた状態で固定されて電動弁の作動性が阻害されることを、抑制することができる。したがって、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材を弁本体に固定可能な電動弁を提供することができる。また、圧入部は、固定部材に接する位置から軸線方向に延びていることから、ガイド部材の固定時に、圧入部に生じる応力を固定部材で受けることができる。このため、ガイド部材の変形および破損を抑制することができる。また、圧入部の傾斜面は、弁本体の内周面に摺接した場合に圧入部のガイドとして機能するので、傾斜面が無い構成と比較して、ガイド部材の組み付けを容易とし、電動弁の組み立てコストを低減することができる。また、圧入部に傾斜面を設けたことで、圧入部と弁本体の内周面との接触面積を小さくすることができるので、バリの発生をより抑制することができる。
【0008】
また、この際、前記内周拡径部は、断面視において、前記開口部の前記端面から前記軸線方向に延びる第一面部と、前記第一面部から前記径方向内側に延びて前記内周面に連続する第二面部と、を有した段付き形状に形成されていることが好ましい。このような構成によれば、第一面部と第二面部とで構成される段付き形状の面を有する空間に、圧入部が削れた際のバリを収容することができる。
【0009】
また、前記第一面部の前記軸線方向の長さ寸法は、前記圧入部の前記密接面の前記軸線方向の長さ寸法よりも小さいことが好ましい。このような構成によれば、圧入部が圧入された状態であっても、密接面が第一面部を超えて軸線L方向に延びることとなる。このため、第二面部に連続する弁本体の内周面に対して、密接面を確実に密接させることができる。
【0010】
また、前記内周拡径部は、断面視において、前記開口部の前記端面から前記軸線方向に傾斜して前記径方向内側に延びるテーパ面部と、前記内周面から前記径方向外側かつ前記端面側に向かって湾曲する曲面部と、の少なくとも一方を有していることが好ましい。このような構成によれば、内周拡径部のテーパ面部は、圧入部を圧入する際に圧入部の外周面に摺接すると、圧入部のガイドとして機能するので、テーパ面部を設けた場合、テーパ面部が無い構成と比較して、ガイド部材の組み付けを容易とし、電動弁の組み立てコストを低減することができる。また、曲面部を設けた場合、内周拡径部と弁本体の内周面との間に角部が少なくなるので、圧入部が内周拡径部に突き当たった際のバリの発生を、より一層抑制することができる。
【0011】
また、前記圧入部を含む断面視において、前記開口部の端面と前記固定部材との接触部分の径方向の長さ寸法は、前記密接面と前記内周拡径部との間の開口の径方向の長さ寸法よりも大きいことが好ましい。このような構成によれば、圧入部のある位置において密接面と内周拡径部との間の空間の開口の幅寸法よりも大きな接触幅で弁本体に接触した固定部材を、溶接等により弁本体に確実に固定することができるので、ガイド部材を弁本体に固定した際の安定性を向上させることができる。そして、弁本体に固定したガイド部材の安定性が向上することで、ガイド部材の弁本体に対する傾きが抑制され、ガイド部材の同心性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、上述したいずれかの電動弁が、前記膨張弁として用いられている。このような構成によれば、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材を弁本体に固定可能な電動弁を膨張弁として用いて冷凍サイクルシステムを構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材を弁本体に固定可能な電動弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電動弁の組み立て断面図。
図2】ガイド部材を軸線方向から見た底面図。
図3】(A)は、弁本体とガイド部材の接触部分を拡大した図1の部分拡大図であり、(B)は、弁本体とガイド部材の接触部分にバリが生じた状態を示した部分拡大図。
図4】(A)は、第一の変形例における弁本体とガイド部材の接触部分を拡大した部分拡大図であり、(B)は、第二の変形例における弁本体とガイド部材の接触部分を拡大した部分拡大図。
図5】本発明の冷凍サイクルシステムの一例を示す図。
図6】第三の変形例におけるガイド部材を軸線方向から見た底面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1~3、および5に基づいて説明する。図1示すように、本実施形態に係る電動弁1は、弁本体11と、ガイド部材12と、弁体13と、駆動部14と、を備えている。なお、以降の説明では、電動弁1の軸線方向を軸線L方向とし、軸線L方向において駆動部14のある側を一方側L1と記し、一方側L1の反対側を他方側L2と記す。また、軸線L方向に直交する方向を径方向Xとする。そして、径方向Xにおいて軸線Lのある側を内側X1と記し、内側X1の反対側を外側X2と記す場合がある。これはあくまでも説明の便宜のためであり、必ずしも電動弁1の実際の使用状態における各方向を限定するものではない。
【0016】
弁本体11は、例えば、黄銅、ステンレス等の金属製の材料を用いて、一方側L1(後述する弁ポート112a(弁ポート)の反対側)に開口部11aを有する筒状に形成され、内部に弁室11Aを構成している。この弁本体11は、図1に示すように、軸線L方向に延びる側壁111と、側壁111の他方側L2の端部に形成される底壁112と、底壁112の中央から軸線L方向に沿って他方側L2に延びる円筒状の突出部113と、を備えている。
【0017】
側壁111の一方側L1の端部は、弁本体11の開口部11aの端面11bを構成している。側壁111の内周面は、弁本体11の内周面11cを構成している。側壁111には、径方向Xに貫通する第一開口111aが貫通形成されている。この第一開口111aには、円筒状の第一継手管15が嵌め込まれており、第一継手管15の内部が第一ポート15aを構成する。第一継手管15は、第一開口111aに嵌め込まれた状態で側壁111の外周面にろう付け等により固定され、第一継手管15の第一ポート15aを介して弁室11Aと連通している。
【0018】
底壁112の中央には、軸線L方向に貫通する弁ポート112aが設けられている。具体的には、弁ポート112aは、底壁112の中央に貫通形成されている。この弁ポート112aは、突出部113の内部空間に連通している。突出部113の内周面の第二開口113aには、円筒状の第二継手管16が嵌め込まれており、この第二継手管16は、第二開口113aに嵌め込まれた状態で、突出部113の外周面にろう付け等により固定されている。すなわち、軸線Lと同軸に第二継手管16が弁本体11に固定されている。第二継手管16の内部の第二ポート16aは、弁ポート112aを介して弁室11Aに連通している。
【0019】
ガイド部材12は、弁本体11に固定されて弁体13を軸線L方向に進退案内する部材である。ガイド部材12は、樹脂製筒状のガイド部材本体121と、インサート成形によってガイド部材本体121に固定された金属製円環状の固定部材122と、を備えている。ガイド部材本体121は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂からなり、一方側L1の部分を構成する小径部1211と、小径部1211よりも大径に形成され他方側L2の部分を構成する大径部1212と、大径部1212の外周面から径方向X外側に突出する圧入部1213と、を備えている。
【0020】
小径部1211の中央には、軸線L方向に沿って雌ねじ部1211aが形成されている。雌ねじ部1211aは、後述するロータ軸143の外周面に形成された雄ねじ部1431と螺合し、この雄ねじ部1431と共にねじ送り機構を構成している。小径部1211の外周面には、螺旋状に形成されたガイド溝1211bが形成されている。ガイド溝1211bは、後述するスライダ1441を支持し、このスライダ1441と共に回転ストッパ機構144を構成している。大径部1212の中央には、軸線L方向に延びるガイド孔1212aが形成されている。ガイド孔1212aには、後述する弁ホルダ132が収容されている。
【0021】
圧入部1213は、図2に示すように、大径部1212の周方向に等間隔をあけて4個形成されており、それぞれ大径部1212の外周面から径方向X外側に突出し、軸線L方向に延びて柱状に形成されている。この圧入部1213は、ガイド部材12を弁本体11に固定する際に、弁本体11の開口部11aに対して軸線L方向に圧入される。圧入部1213は、図2に示すように、底面視で突出方向(径方向X外側)に凸の円弧状に形成されており、その外周面の一部は、圧入部1213の幅を直径とするR形状の、後述する密接面1213aを構成している。なお、本実施形態では、圧入部1213を、4個形成したが、圧入部1213の数はこれに限らず、4個以下であっても、4個以上であってもよい。ただし、弁本体11とガイド部材12の同心性を維持する観点から、圧入部1213は、少なくとも3個以上設けることが好ましい。また、圧入部1213は、大径部1212の全周に亘って形成されていてもよい。
【0022】
固定部材122は、例えば、黄銅、ステンレス等の金属製の板部材で円環状に形成され、インサート成形によって、圧入部1213と一体になっている。すなわち、固定部材122は、ガイド部材本体121に固定されている。固定部材122の外周端部は、圧入部1213から外側X2に突出しており、この突出した部分の他方側L2の面である当接面122aは、弁本体11の開口部11aの端面11bに接触した状態で、端面11bと固定部材122の外周端部との入隅部が溶接されることで、端面11bに溶接等により固定されている。すなわち、固定部材122は、弁本体11の開口部11aの端面11bに固定され、これによってガイド部材12が弁本体11に固定されている。
【0023】
弁体13は、弁ポート112aの開口面積を可変に調整する弁体部131と、弁体部131の上端部を保持する弁ホルダ132と、を備えている。弁体部131は、軸線L方向に延びる軸状に形成されており、他方側L2先端に形成されたニードル部1311と、一方側L1に形成され径方向Xに広がる円板状のフランジ部1312と、フランジ部1312の一方側L1の面に連続する円柱状の拡大部1313と、を備えている。ニードル部1311は、他方側L2に向かうほど縮径したテーパ形状に形成され、軸線L方向に沿って弁ポート112aに挿通している。
【0024】
ニードル部1311が他方側L2に移動できる限界の位置まで移動すると、ニードル部1311が弁ポート112aに着座して弁ポート112aが閉塞され、この状態からニードル部1311が一方側L1に移動すると、弁ポート112aが徐々に開かれることとなっている。なお、本実施形態では、ニードル部1311が弁ポート112aに着座し、弁ポート112aを閉塞する構成としたが、必ずしもニードル部1311が弁ポート112aに着座する必要はなく、ニードル部1311が他方側L2に移動できる限界の位置(最下降位置)まで移動した際でも、ニードル部1311と弁ポート112aとの間に間隙が形成されている構成としてもよい。すなわち、ニードル部1311が弁ポート112aに対して近接または離間する構成としてもよい。
【0025】
フランジ部1312は、弁ホルダ132の弁体部131の外周面から全周に亘って外側X2に向かって突出して形成されている。このフランジ部1312の一方側L1を向く面は、弁ホルダ132の開口端縁に対して軸線L方向に当接している。拡大部1313は、直径寸法が、フランジ部1312の直径寸法より小さく、ニードル部1311の直径寸法よりも大きくなるように形成されている。この拡大部1313は、弁ホルダ132の内周面に嵌合している。このように、弁体部131は、拡大部1313が弁ホルダ132の内周面に嵌合し、フランジ部1312の一方側L1の面が弁ホルダ132の開口端縁に当接した状態で、弁ホルダ132に固定されている。
【0026】
弁ホルダ132は、筒状の円筒部1321と、ばね受け1322と、圧縮コイルばね1323と、ワッシャ1324と、を備えている。円筒部1321は、他方側L2に開口する有底筒状に形成され、ガイド部材本体121のガイド孔1212aに対して軸線L方向に移動可能に嵌め込まれ、外周面がガイド孔1212aの内周面に案内されている。円筒部1321の底壁(一方側L1の壁部)中央には、後述するロータ軸143の他方側L2の端部が挿通した状態で組み付けられている。円筒部1321の内周面には、上述のとおり、弁体部131の拡大部1313が嵌合している。円筒部1321の開口端縁(他方側L2の端縁)には、上述のとおり、弁体部131のフランジ部1312の一方側L1を向く面が当接している。
【0027】
ばね受け1322は、円筒部1321の内周面に案内される円柱状の大径部1322aと、大径部1322aよりも小さい直径寸法で大径部1322aの中央から軸線L方向に沿って他方側L2に延びる円柱状の小径部1322bと、を備えている。圧縮コイルばね1323は、ばね受け1322と、弁体部131の拡大部1313と、の間に介在している。ワッシャ1324は、円筒部1321の底壁内面に接する位置に設置されている。
【0028】
駆動部14は、他方側L2に開口する有底筒状のケース141と、ケース141内に配置されるマグネットロータ142と、ロータ軸143と、不図示のステータコイルと、回転ストッパ機構144と、を備えている。ケース141は、金属製の材料で有底筒状に形成され、開口端縁を弁本体11の開口部11aの端面11bに溶接等することで、弁本体11に固定されている。マグネットロータ142は、PPS樹脂等の樹脂材料を母材として磁性粉を混入されて形成されており、外周部を多極に着磁されている。そして、マグネットロータ142の中心には、金属製の材料からなるブッシュ部材142aがインサート成形されており、ブッシュ部材142aの一方側L1の端面とロータ軸143とが溶接により固着されている。これによりマグネットロータ142は、中心に固定されたロータ軸143と共に軸線Lまわりに回転可能、および、軸線L方向に進退移動可能に支持されている。
【0029】
ロータ軸143は、マグネットロータ142の中心に固定され、軸線L方向に延び、ガイド部材12にガイドされながら軸線L方向まわりに回転可能、および、軸線L方向に進退可能に支持されている。ロータ軸143の外周面には、上述の雌ねじ部1211aに螺合してねじ送り機構を構成する雄ねじ部1431が形成されている。ロータ軸143の他方側L2の端部には、フランジ部1432が形成されている。フランジ部1432は、弁ホルダ132の円筒部1321内に位置し、ワッシャ1324とばね受け1322の大径部1322aとで軸線L方向に挟まれて弁ホルダ132と一体になっている。すなわち、ロータ軸143の他方側L2には、弁ホルダ132が設けられており、ロータ軸143は、弁ホルダ132の円筒部1321内に進退移動可能な状態に設けられるとともに、抜け止めされている。
【0030】
不図示のステータコイルは、ケース141の外周に配置されており、このステータコイルにパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ142が回転するようになっている。マグネットロータ142が回転すると、ロータ軸143が上述のねじ送り機構によってねじ送りされ、軸線L方向に進退移動する。これにより、ロータ軸143の他方側L2の端部に一体となった弁ホルダ132および弁ホルダ132に固定された弁体部131も、ロータ軸143の移動に合わせて軸線L方向に進退移動するため、弁体部131のニードル部1311によって弁ポート112aの開口面積が可変に調整され、第一継手管15と、弁室11A、および第二継手管16を流れる冷媒(流体)の流量が調整される。
【0031】
回転ストッパ機構144は、上述したガイド部材12のガイド溝1211bと、ガイド溝1211bに螺合するコイル状のスライダ1441と、を備えている。スライダ1441は、径方向X外側に突出する爪部1441aを備えている。爪部1441aは、マグネットロータ142の径方向X内側の縁部に対して軸線Lまわりに当接可能となっている。このため、マグネットロータ142が回転すると、その回転に追従してスライダ1441が回転し、スライダ1441はガイド溝1211bに案内されて一方側L1または他方側L2に移動することとなっている。そして、スライダ1441がガイド溝1211bの一方側L1の端部または他方側L2の端部に当接すると、スライダ1441がそれ以上回転できなくなることで、マグネットロータ142の回転が強制的に停止される。
【0032】
次に、本発明の冷凍サイクルシステムを図5に基づいて説明する。図5は、本発明の冷凍サイクルシステムの一例を示す図である。図5において、符号100は前記各実施形態の電動弁1を用いた膨張弁であり、200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。膨張弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、および圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0033】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図5に実線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室外熱交換器200に流入され、この室外熱交換器200は凝縮器として機能し、室外熱交換器200から流出された液冷媒は膨張弁100を介して室内熱交換器300に流入され、この室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0034】
一方、暖房運転時には、図5に破線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮され冷媒は流路切換弁400から室内熱交換器300、膨張弁100、室外熱交換器200、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外熱交換器200が蒸発器として機能する。
【0035】
膨張弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する液冷媒、または暖房運転時に室内熱交換器300から流入する液冷媒を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。なお、図5においては、冷房運転時に室外熱交換器200から液冷媒が膨張弁100の第一継手管15に流入し、暖房運転時には、室内熱交換器300からの液冷媒が膨張弁100の第二継手管16に流入するように冷凍サイクルに膨張弁100を設けているが、これに限らず、冷房運転時に室外熱交換器200からの液冷媒が膨張弁100の第二継手管16に流入し、暖房運転時には室内熱交換器300からの液冷媒が膨張弁100の第一継手管15に流入するようにして、膨張弁100を冷凍サイクルに設けてもよい。
【0036】
次に、弁本体11とガイド部材12とが接触する部分の構造の詳細について説明する。図3(A)は、弁本体11とガイド部材12の接触部分を拡大した図1の部分拡大図である。
【0037】
図3(A)に示すように、弁本体11の開口部11aには、内周拡径部11dが形成されている。内周拡径部11dは、圧入部1213の後述する密接面1213aとの間にバリ収容空間S(空間)を形成するための部分であり、弁本体11の内周面11cよりも外側X2に拡径されて形成されている。内周拡径部11dは、図3(A)に示す断面視において、弁本体11の開口部11aの端面11bから軸線L方向に延びる第一面部11d1と、第一面部11d1から内側X1に延びて弁本体11の内周面11cに連続する第二面部11d2と、を有し、この第一面部11d1と第二面部11d2とによって段付き形状に形成されている。なお、本実施形態では、内周拡径部11dは、弁本体11の開口部11aの全周に亘って形成されているが、例えば、内周拡径部11dは、圧入部1213のある位置にのみ(本実施形態では、4個所)形成することとしてもよい。
【0038】
圧入部1213には、固定部材122の当接面122a(固定部材122に接する位置)から軸線L方向に延びて弁本体11の内周面11cに密接する密接面1213aと、密接面1213aに連続して軸線L方向に対して内側X1に傾斜した傾斜面1213bと、が形成されている。そして、密接面1213aと第一面部11d1との間、すなわち密接面1213aと内周拡径部11dとの間には、バリ収容空間Sが形成されている。
【0039】
ここで、図3(A)に示すように、弁本体11の第一面部11d1の軸線L方向の長さ寸法A1は、密接面1213aの軸線L方向の長さ寸法A2よりも小さく設定されている。また、弁本体11の開口部11aに圧入される前の圧入部1213において密接面1213aが形成された部分の直径寸法は、弁本体11の内周面11cにおける内径寸法よりもやや大きく設定されている。そして、弁本体11の開口部11aに圧入される前の圧入部1213において傾斜面1213bが形成された部分の最大直径寸法は、圧入部1213において密接面1213aが形成された部分の直径寸法と同じに設定されている。
【0040】
また、図3(A)に示す断面視(圧入部1213を含む部分を軸線L方向に沿って切った縦断面の断面視)において、固定部材122の当接面122aのうち、弁本体11の開口部11aの端面11bに接触する接触部分の径方向Xの幅寸法A3は、バリ収容空間Sの開口の径方向Xの幅寸法A4よりも、大きく設定されている。
【0041】
次に、ガイド部材12の弁本体11への組み付けについて説明する。ガイド部材12を弁本体11に組み付ける際には、ガイド部材12の圧入部1213を、弁本体11の開口部11aに対して軸線L方向に向かって押し込み、圧入する。圧入部1213を圧入する際には、傾斜面1213bが弁本体11の内周面11cに摺接してガイドとして機能しながら圧入部1213が軸線L方向の他方側L2に移動する。
【0042】
そして、圧入が進むと、傾斜面1213bの次に密接面1213aが弁本体11の内周面11cに摺接し始める。この際、密接面1213aが内側X1に変形し、変形前の形状に状態に戻ろうとする力が、弁本体11の内周面11cに加わることとなる。これにより、ガイド部材12が弁本体11に支持される。この圧入は、固定部材122の当接面122aが弁本体11の開口部11aの端面11bに接触するまで行う。その後、固定部材122の当接面122aと弁本体11の開口部11aの端面11bとを溶接等により固定する。
【0043】
なお、この際、圧入部1213の直径寸法は、弁本体11の内周面11cの内径寸法よりも大きいため、図3(B)に示すように、金属製の弁本体11の内周面11cによって樹脂製の密接面1213aが削られ、バリBが発生することがある。しかしながら、このバリBは、バリ収容空間Sに収容され、圧入部1213の密接面1213aの密接状態や、圧入部1213の姿勢等に影響を与えることが抑制される。また、上述のように第一面部11d1の軸線L方向の長さ寸法A1は、密接面1213aの軸線L方向の長さ寸法A2よりも小さく設定されているので、圧入部1213が圧入された状態であっても、密接面1213aが第一面部11d1の他方側L2の端部を超えて軸線L方向に延びることとなり、第二面部11d2に連続する弁本体11の内周面11cに対して、密接面1213aが確実に密接することとなる。
【0044】
なお、図3(B)の断面視において、上述のように発生するバリBの最大量を、面積で表す場合、その面積は、次のような式で表すことができる。
【0045】
(式)発生するバリBの最大量(mm)=((圧入部1213の最大直径寸法(mm)-弁本体11の内周面11cの内径寸法(mm))×(密接面1213aの軸線L方向の長さ寸法A2(mm)-第一面部11d1の軸線L方向の長さ寸法A1(mm)))÷2
【0046】
このため、弁本体11の内周面11cの内径寸法と圧入部1213の最大直径寸法との寸法比、および、長さ寸法A1と長さ寸法A2との寸法比、等からバリBの発生量を想定し、内周拡径部11dのサイズを決定することができる。また、生じるバリの形状は、薄板の平板状に限らず、カールする、捻じれる等することで見かけ上の図3(B)の断面視におけるバリBの面積が大きくなることもある。そのため、内周拡径部11d大きさ(特に内周拡径部11dの径方向Xの幅寸法)を、生じるバリBの1.5~3.0倍程度の大きさに設定することが好ましい。
【0047】
また、内周拡径部11dのサイズは、単に弁本体11の開口部11aの端面11bの径方向Xの幅寸法を基準に設定してもよい。例えば、第二面部11d2の径方向Xの長さ寸法は、端面11bの径方向Xの幅寸法の3.0%~25.0%程度の大きさ、また、第一面部11d1の軸線L方向の長さ寸法A1は、端面11bの径方向Xの幅寸法の10.0%~35.0%程度の幅として設定してもよい。
【0048】
以上、このような本実施形態によれば、圧入部1213を弁本体11の開口部11aに圧入する際に、圧入部1213が削れてバリBが生じたとしても、弁本体11の内周拡径部11dと、圧入部1213の密接面1213aと、の間にバリ収容空間S(空間)が形成されることで、このバリ収容空間SにバリBを収容することができる。このため、バリBが弁本体11の端面11b(開口端縁)と固定部材122との間に挟まることで、固定部材122が弁本体11に対して軸線L方向(圧入方向)から傾いた状態で固定されて電動弁1の作動性が阻害されることを、抑制することができる。したがって、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材12を弁本体11に固定可能な電動弁1を提供することができる。
【0049】
また、圧入部1213は、固定部材122に接する位置から軸線L方向に延びていることから、ガイド部材12の固定時に、圧入部1213に生じる応力を固定部材122で受けることができる。このため、ガイド部材12の変形および破損を抑制することができる。また、圧入部1213の傾斜面1213bは、弁本体11の内周面11cに摺接した場合に圧入部1213のガイドとして機能するので、傾斜面1213bが無い構成と比較して、ガイド部材12の組み付けを容易とし、電動弁1の組み立てコストを低減することができる。また、圧入部1213に傾斜面1213bを設けたことで、圧入部1213と弁本体11の内周面11cとの接触面積を小さくすることができるので、バリBの発生をより抑制することができる。
【0050】
また、内周拡径部11dを第一面部11d1と第二面部11d2とで構成したので、第一面部11d1と第二面部11d2とで構成される段付き形状の面を有するバリ収容空間Sに、圧入部1213が削れた際のバリBを収容することができる。
【0051】
また、第一面部11d1の軸線L方向の長さ寸法A1は、圧入部1213の密接面1213aの軸線L方向の長さ寸法A2よりも小さく設定した。このため、圧入部1213が圧入された状態であっても、密接面1213aが第一面部11d1の他方側L2の端部を超えて軸線L方向に延びることとなり、第二面部11d2に連続する弁本体11の内周面11cに対して、密接面1213aを確実に密接させることができる。
【0052】
また、上述のとおり、圧入部1213を含む軸線L方向の断面視において、開口部11aの端面11bと固定部材122の当接面122aとの接触部分の径方向Xの幅寸法A3(長さ寸法)は、バリ収容空間Sの開口の径方向Xの幅寸法A4(長さ寸法)よりも大きくなっている。このため、圧入部1213のある位置においてバリ収容空間Sの開口の幅寸法よりもよりも大きな接触幅で弁本体11に接触した固定部材122を、溶接等により弁本体11に確実に固定することができるので、ガイド部材12を弁本体11に固定した際の安定性を向上させることができる。そして、弁本体11に固定したガイド部材12の安定性が向上することで、ガイド部材12の弁本体11に対する傾きが抑制され、ガイド部材12の同心性を向上させることができる。
【0053】
また、このように、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材12を弁本体11に固定可能な電動弁1を膨張弁100として用いて冷凍サイクルシステムを構成することができる。
【0054】
以上、電動弁1の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0055】
図4(A)は、第一の変形例における弁本体11とガイド部材12の接触部分を拡大した部分拡大図である。第一の変形例では、弁本体11の開口部11aに内周拡径部21dが形成されている。内周拡径部21dは、第一面部21d1と、第二面部21d2と、を備えている。内周拡径部21d、第一面部21d1、および第二面部21d2は、それぞれ、上述の実施形態の内周拡径部11d、第一面部11d1、および第二面部11d2に対応する。この変形例では、第一面部21d1の軸線L方向の寸法と、第二面部21d2の径方向Xの寸法と、が略等しくなっている点が、上述の実施形態と異なっている。この構成によれば、上述の実施形態と同様に、作動性を良好に維持しつつ、ガイド部材12を弁本体11に固定可能な電動弁1を提供することができる。
【0056】
図4(B)は、第二の変形例における弁本体11とガイド部材12の接触部分を拡大した部分拡大図である。第二の変形例では、弁本体11の開口部11aに内周拡径部31dが形成されている。内周拡径部31dは、上述の内周拡径部11dおよび内周拡径部21dに対応する。内周拡径部31dは、図4(B)に示す断面視において、弁本体11の開口部11aの端面11bから軸線L方向に対して傾斜して内側X1に延びるテーパ面部31d1と、弁本体11の内周面11cから外側X2かつ一方側L1(端面11b側)に向かって湾曲する曲面部31d2と、を備えている。
【0057】
この構成によれば、上述の実施形態および第一の変形例と同様の作用、効果を奏する。また、それに加え、内周拡径部31dのテーパ面部31d1は、圧入部1213を開口部11aに圧入する際に、圧入部1213の外周面、すなわち、密接面1213aおよび傾斜面1213bに摺接すると、圧入部1213のガイドとして機能するので、テーパ面部31d1が無い構成と比較して、ガイド部材12の組み付けを容易とし、電動弁1の組み立てコストを低減することができる。
【0058】
また、曲面部31d2の形成により、内周拡径部31dと弁本体11の内周面11cとの間に角部が少なくなるので、圧入部1213が内周拡径部31dに突き当たった際のバリBの発生を、より一層抑制することができる。
【0059】
なお、第二の変形例では、内周拡径部31dに、テーパ面部31d1と、曲面部31d2と、の両方を設けたが、内周拡径部31dの構成は、これに限らない。例えば、内周拡径部31dには、テーパ面部31d1と曲面部31d2とのうち、いずれか一方を設けることとしてもよい。すなわち、内周拡径部31dは、テーパ面部31d1と、曲面部31d2と、の少なくとも一方を有していればよい。
【0060】
図6は、第三の変形例におけるガイド部材12を軸線L方向から見た底面図である。第三の変形例では、ガイド部材本体121の大径部1212に、圧入部2213が形成されている。圧入部2213は、上述の実施形態および変形例における圧入部1213に対応する。圧入部2213は、図6に示すように、大径部1212の周方向に等間隔をあけて4個形成されており、それぞれ大径部1212の外周面から径方向X外側に突出し、軸線L方向に延びて柱状に形成されている。そして、圧入部2213は、図6に示すように、底面視で略矩形状に形成されており、その突出端部を構成する平坦面は、密接面2213aとなっている。底面視における密接面2213aの両端には、湾曲面が連接されている。なお、圧入部2213は、4個以下であっても、4個以上であってもよく、弁本体11とガイド部材12の同心性を維持する観点から、少なくとも3個以上設けることが好ましいことは、上述の実施形態や変形例と同様である。
【0061】
このような構成によれば、密接面2213aが円弧状ではなく、平坦になっているため、圧入部2213が圧入された状態では、円弧状の密接面1213aを有する構成に比べて、弁本体11に対する圧入部2213の接触面積を小さくすることができる。これにより、バリBの発生をより抑制することができる。
【0062】
なお、上述の実施形態、第一の変形例、第二の変形例、および第三の変形例においては、弁本体11は、第一継手管15が固定される側壁111と第二継手管16が固定される底壁112とで筒状に一体に形成され、その開口部11aには、ガイド部材12およびケース141が溶接等により固定されるものとした。しかしながら、弁本体11、ガイド部材12、およびケース141の構成はこれに限られず、弁本体11が複数の筒状部品の組合せによって構成されていてもよい。すなわち、第一継手管15が固定される側壁111と第二継手管16が固定される底壁112とを一体に有し、内部に弁室11Aを構成する筒状の部品の開口端に、さらに別の筒状の部品を固定して弁本体11を構成し、当該別の筒状の部品の開口部にガイド部材12やケース141を固定するものとしてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態、第一の変形例、第二の変形例、および第三の変形例においては、弁体13は、以下のような構成を有していた。すなわち、弁ホルダ132の他方側L2には、弁体部131が保持され、弁ホルダ132の一方側L1には、ロータ軸143が弁ホルダ132の内部に進退移動可能に設けられ、これによって、ロータ軸143の他方側L2に弁ホルダ132が設けられていた。しかしながら、弁体13の構成は、これに限られない。すなわち、弁ホルダ132の一方側L1にロータ軸143を溶接、カシメ、および圧入等の手段により一体的に固定し、弁体部131に他方側L2に延びる軸部を形成し、この弁体部131の軸部を弁ホルダ132の内部に進退移動可能に設けることで、ロータ軸143の他方側L2に弁ホルダ132を設けるものとしてもよい。あるいは、弁ホルダ132の内部に、ロータ軸143、弁体部131の双方が進退移動可能に設けられることで、ロータ軸143の他方側L2に弁ホルダ132を設けるものとしてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態、第一の変形例、および第三の変形例においては、図1図3(A)、図3(B)、図4(B)にそれぞれ示すように、バリ収容空間Sの軸線L方向の寸法を、バリ収容空間Sの径方向Xの寸法よりも大きく設定した。このような構成によれば、固定部材122の当接面122aと、端面11bとの接触面積を維持しつつ、バリ収容空間Sの容積を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 電動弁
11 弁本体
11a 開口部
11b 端面
11c 内周面
11d 内周拡径部
11A 弁室
112a 弁ポート
12 ガイド部材
121 ガイド部材本体
1213 圧入部
1213a 密接面
1213b 傾斜面
122 固定部材
13 弁体
L 軸線
S バリ収容空間(空間)
X 径方向
X1 内側(径方向内側)
X2 外側(径方向外側)
図1
図2
図3
図4
図5
図6