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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035529
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】排水口構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/262 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
E03C1/262 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140043
(22)【出願日】2022-09-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】512064099
【氏名又は名称】株式会社シンカテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山田 常雄
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DE15
(57)【要約】
【課題】本発明は、異物を堰き止めることと容易に掃除できることとを両立しうるヘアキャッチャーを実現しうるネット保持具を提供しようとするものである。
【解決手段】目皿を固定するための突起物Pが排水口部Dの周囲に設けられている排水口ユニットに対して、目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具1であって、椀状の陥没部2と、陥没部2の外方に延びるフランジ部3と、を備え、陥没部2に、複数の通水孔部が設けられ、フランジ部3の内周の半径が、排水口ユニットの平面図における突起物Pの排水口部Dの中心からの距離より大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具であって、
椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、
前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、
前記フランジ部の内周の半径が、前記排水口ユニットの平面図における前記突起物の前記排水口部の中心からの距離より大きいネット保持具。
【請求項2】
排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具であって、
椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、
前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、
前記突起物を回避するための構造物として、前記フランジ部の一部を除去可能な離脱部分が、前記フランジ部の内周の前記通水孔部に接する箇所の一つまたは複数に設けられているネット保持具。
【請求項3】
排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具であって、
椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、
前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、
平面図において、前記フランジ部の内周の前記陥没部の中心からの距離が一定ではなく、
前記フランジ部の内周のうち、前記陥没部の中心からの距離が前記フランジ部の内周の他の部分より大きい部分である回避部分が、前記突起物を回避するための構造物として、前記フランジ部の内周の前記通水孔部に接する箇所の一つまたは複数に設けられているネット保持具。
【請求項4】
前記フランジ部の内周の半径が52mm以上65mm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載のネット保持具。
【請求項5】
前記通水孔部の数が20箇所以下である請求項1~3のいずれか一項に記載のネット保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に装着可能なネット保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、浴室などの排水口には、髪の毛などの異物が排水口に流入することを防ぐ部材であるヘアキャッチャーが設置される。ヘアキャッチャーは、典型的には複数の孔を有する目皿状の部材であり、排水口の開口部を閉鎖して設置され、髪の毛などの異物を堰き止めるとともに、水を通過させる役割を果たす。たとえば特許文献1および2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-177542号公報
【特許文献2】特開2018-3576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアキャッチャーは、水回りで使用されるため、水垢などが付着しやすい部材である。そのため、清潔な使用状態を保つためには、定期的に目皿を掃除して水垢などを除去する必要がある。ここで、排水口への異物の流入を効果的に抑制するためには、孔の大きさを小さくすることが有効であるが、この場合は掃除が難しくなる。反対に、孔の大きさを大きくすると、掃除が容易になる一方で、排水口への異物の流入を十分に防止できないおそれがある。このように、従来のヘアキャッチャーでは、異物を堰き止めることと、容易に掃除できることとを両立することが難しかった。
【0005】
上記の事情に鑑み、本発明は、異物を堰き止めることと容易に掃除できることとを両立しうるヘアキャッチャーを実現しうるネット保持具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第一のネット保持具は、排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具であって、椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、前記フランジ部の内周の半径が、前記排水口ユニットの平面図における前記突起物の前記排水口部の中心からの距離より大きいことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第二のネット保持具は、排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具であって、椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、前記突起物を回避するための構造物として、前記フランジ部の一部を除去可能な離脱部分が、前記フランジ部の内周の前記通水孔部に接する箇所の一つまたは複数に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る第三のネット保持具は、排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを設置するためのネット保持具であって、椀状の陥没部と、前記陥没部の周縁から外方に延びるフランジ部と、を備え、前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、平面図において、前記陥没部の中心からの前記周縁の距離が一定ではなく、前記周縁のうち、前記陥没部の前記中心からの距離が前記周縁の他の部分より大きい部分である回避部分が、前記突起物を回避するための構造物として、前記フランジ部の内周の前記通水孔部に接する箇所の一つまたは複数に設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成のネット保持具に使い捨てネットを装着したものを排水口部に設置すれば、排水口ユニットに備え付けの目皿に替えてネットを設置することができ、髪の毛などの異物を堰き止めるヘアキャッチャーとして機能する。また、使い捨てネットを交換するだけの簡単な作業により、蓄積した水垢などを除去できるので、掃除が容易である。
【0010】
さらに、フランジ部の内周の半径を排水口ユニットの平面図における突起物の排水口部の中心からの距離より大きくしてある構成(第一のネット保持具)、フランジ部の一部を除去可能な離脱部分がフランジ部の内周の通水孔部に接する箇所の一つまたは複数に設けられている構成(第二のネット保持具)、および、陥没部の周縁のうち陥没部の中心からの距離が周縁の他の部分より大きい部分である回避部分が設けられている構成(第三のネット保持具)のいずれかの構成を備えることにより、上記のいずれかの構成のネット保持具を排水口部に設置するときに、ネット保持具のフランジ部と排水口ユニットの突起物とが干渉しない。これによって、上記の各構成のネット保持具を、種々の形状の排水口ユニットに設置できる。
【0011】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0012】
本発明に係るネット保持具は、一態様として、前記フランジ部の内周の半径が52mm以上65mm以下であることが好ましい。
【0013】
一般に流通している排水口ユニットにおいて、排水口部の開口径が概ね70mm以上100mm以下(半径35mm以上50mm以下)の範囲にあるので、上記の構成のネット保持具は、一般に流通している排水口ユニットの多くに設置可能である。
【0014】
本発明に係るネット保持具は、一態様として、前記通水孔部の数が20箇所以下であることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、ひとつひとつの通水孔部が小さくなりにくいので、ネット保持具の掃除が比較的容易である。また、通水が妨げられにくい点でも有利である。
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一の実施形態に係るネット保持具の平面図である。
図2】第一の実施形態に係るネット保持具の正面図である。
図3】第一の実施形態に係るネット保持具の表面側の斜視図である。
図4】第一の実施形態に係るネット保持具の裏面側の斜視図である。
図5】第一の実施形態に係るネット保持具の底面図である。
図6】第一の実施形態に係るネット保持具の使用状態を示す斜視図である。
図7】第一の実施形態に係るネット保持具の使用状態を示す平面図である。
図8】第一の変形例に係るネット保持具の平面図および斜視図である。
図9】第二の変形例に係るネット保持具の平面図、正面図、および斜視図である。
図10】第三の変形例に係るネット保持具の平面図および斜視図である。
図11】第四の変形例に係るネット保持具の平面図、正面図、および斜視図である。
図12】第五の変形例に係るネット保持具の平面図および正面図である。
図13】第二の実施形態に係るネット保持具の平面図および底面図である。
図14】第二の実施形態に係るネット保持具の使用状態を示す斜視図である。
図15】第三の実施形態に係るネット保持具の平面図および側面図である。
図16】第三の実施形態に係るネット保持具の斜視図である。
図17】第三の実施形態に係るネット保持具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第一の実施形態]
本発明に係るネット保持具の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係るネット保持具を、浴室の排水口部Dに装着可能なネット保持具1(図1図7)に適用した例について説明する。
【0019】
〔ネット保持具の構成〕
ネット保持具1は、使い捨てネット(不図示)を装着した状態で、排水口部Dに装着可能なヘアキャッチャーとして機能する治具である。ネット保持具1は、椀状の陥没部2と、陥没部2の外方に延びるフランジ部3と、を備える。なお、陥没部2が陥没している側をネット保持具1の表側と称し、陥没部2が突出している側をネット保持具1の裏側と称する。
【0020】
ネット保持具1を排水口部Dに装着するときには、陥没部2を排水口部Dの開口に突入させ、フランジ部3を当該開口の縁に係止させる。本実施形態に係るネット保持具1では、フランジ部3が円環状に設けられており、ネット保持具1を排水口部Dに装着した状態において、フランジ部3と排水口部Dとが同心円状に配置されるようになっている。典型的には、フランジ部3の外周31の半径は60mm以上75mm以下であり、内周32の半径は52mm以上65mm以下である。これは、一般に流通している排水口部Dの開口径が概ね70mm以上100mm以下(半径35mm以上50mm以下)の範囲にあることに対応している。このように、フランジ部3の内周の直径は、排水口部Dの開口径より大きい。
【0021】
陥没部2には、十三の通水孔部4が設けられている。ネット保持具1を排水口部Dに装着した状態であっても、通水孔部4を通じて排水が可能である。本実施形態では、通水孔部4の面積が500mm以上1500mm以下である。
【0022】
陥没部2は、椀状の形状の底にあたる底部分21と、底部分21とフランジ部3とを連接する斜面部分22と、からなり、底部分21および斜面部分22の双方に通水孔部4が設けられている。
【0023】
底部分21は、ネットが装着された状態において、ネットにかかる荷重を支える役割と果たす。特に、排水口部Dに水が流入するときにネットが下方に押し込まれるが、これを底部分21で支えることによって、ネット保持具1からネットが脱落することを防ぐ。また、斜面部分22を設けて陥没部2を椀状に形成していることによって、排水口部Dに水が流入するときに陥没部2に水を受け入れることができ、排水口部Dから水が溢れ出すことを防ぐ。
【0024】
陥没部2の実体部分は、通水孔部4に比して幅が狭いフレーム部分23として設けられており、フレーム部分23およびフランジ部3によって通水孔部4が画定されている。フレーム部分23は、底部分21に設けられている底部フレーム部分23a、フランジ部3と底部フレーム部分23aとを接続する斜面フレーム部分23b、および、隣接する二つの斜面フレーム部分23bを架橋する架橋フレーム部分23cを含む。
【0025】
また、椀状に陥没する斜面部分22の形状が底部フレーム部分23aおよび斜面フレーム部分23bによって画定され、当該形状が架橋フレーム部分23cによって補強されているといえる。なお、本実施形態では、斜面フレーム部分23bおよび架橋する架橋フレーム部分23cの表側に面取り加工が施されている。
【0026】
ネット保持具1を構成する素材は、水回りでの使用に適した素材である限りにおいて特に限定されず、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの樹脂材料や、ステンレスやアルミニウムなどの金属材料が例示される。また、ネット保持具1の製造は、使用される素材をネット保持具1の形状に加工しうる公知の方法によって実施できる。たとえば、樹脂材料を使用する場合は、典型的には射出成形または三次元印刷を適用できる。
【0027】
〔ネット保持具の使用方法〕
ネット保持具1を使用するときは、あらかじめ使い捨てネット(不図示)が装着された状態のネット保持具1を、排水口部Dに装着する(図6および図7)。なお、ここで使用される使い捨てネットは特に限定されないが、たとえば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンなどの樹脂材料製のものや、金属製のもの、などでありうる。使い捨てネットの目開きは、一例として1~5mm程度でありうる。使い捨てネットの線径は、一例として100~500μm程度でありうる。以上に例示した使い捨てネットの材質、目開き、および線径、ならびに、上記に例示したネット保持具1の材質および寸法から、使い捨てネットがネット保持具1に密着する性質を有するものではないことを理解できるだろう。
【0028】
排水口部Dは、排水口部Dと、当該排水口部Dに装着可能な目皿(不図示)と、を含む排水口ユニットとして、浴室に装備されている。そして、当該目皿を固定するための突起物Pが、排水口部Dの周囲に設けられている。本実施形態における突起物Pは、排水口部Dの中心からの距離dが50mmの位置に設けられている。なお、突起物Pの排水口部Dの中心からの距離dは、突起物Pのうち排水口部Dの中心から最も遠い部位の中心からの距離をもって定義する(図7)。
【0029】
本実施形態に係るネット保持具1では、フランジ部3の内周32の直径を排水口部Dの開口径より大きくしてあり、これによって、排水口部Dの開口の縁にフランジ部3を係止させる態様でネット保持具1を設置できる。また、当該開口の縁とフランジ部3との間にネットを挟み込むことで、ネットを固定できる。さらに、フランジ部3の内周の半径r(本実施形態では52mm以上65mm以下)が、突起物Pの排水口部Dの中心からの距離dより大きいので、突起物Pとネット保持具1(特にフランジ部3)とが干渉することなく、ネット保持具1を排水口部Dに装着できる。図6および図7に示すように、突起物Pが一部の通水孔部4(図7において符号4Aを付した。)に収容される格好になる。
【0030】
排水口ユニットを設置した当初の状態では、初期装備の目皿がヘアキャッチャーとして機能するが、清潔な使用状態を保つためには、定期的に目皿を掃除して水垢などを除去する必要がある。本実施形態では、目皿に替えて、使い捨てネットが装着された状態のネット保持具1をヘアキャッチャーとして用いるので、使い捨てネットを交換するだけの簡単な操作によって、水垢などを除去できる。
【0031】
〔変形例〕
次に、第一の実施形態に係るネット保持具1の変形例について説明する。なお、以下のそれぞれの変形例で開示される構成は、矛盾が生じない限り、上記の実施形態および他の変形例で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0032】
上記の実施形態では、フランジ部3の外周31の半径が60mm以上75mm以下であり、内周32の半径が52mm以上65mm以下であり、通水孔部4の面積が500mm以上1500mm以下である構成を例として説明した。しかし、本発明に係るネット保持具の各部の寸法は特に限定されず、設置先の排水口の寸法に応じて適宜選択されうる。ただし、通水孔部4の面積が400mm以上であると、ひとつひとつの通水孔部が小さすぎないので、ネット保持具の掃除が比較的容易である。
【0033】
上記の実施形態では、十三の通水孔部4が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係るネット保持具において、通水孔部の数は限定されない。ただし、一般に流通している排水口の直径が概ね70mm以上100mm以下の範囲にあり、当該排水口に設置しうる寸法でネット保持具を構成することに鑑みると、通水孔部の数が20箇所以下であると、ひとつひとつの通水孔部が小さすぎないので、ネット保持具の掃除が比較的容易である。
【0034】
上記の実施形態では、斜面フレーム部分23bおよび架橋する架橋フレーム部分23cの表側に面取り加工が施されている構成を例として説明した。しかし、本発明において、面取り加工の有無は任意である。斜面フレーム部分23bおよび架橋フレーム部分23cの表裏のいずれにも面取り加工が施されていないネット保持具1A(第一の変形例)を図8に示す。
【0035】
上記の実施形態では、フランジ部3の外周31が円形である構成を例として説明した。しかし、本発明におけるフランジ部の形状は、内周が円形である限りで任意である。フランジ部3の外周31が、四隅に丸め加工を施した四角形であるネット保持具1B(第二の変形例)を図9に示す。
【0036】
上記の実施形態では、底部分21において四つの底部フレーム部分23aが四角形を形成している構成を例として説明した。しかし、本発明において底部分21の形状は任意である。底部分21が円形に形成されているネット保持具1C(第三の変形例)を図10に示す。この例では、底部フレーム部分23aの形状が円環状である。
【0037】
上記の実施形態では、架橋フレーム部分23cが設けられている構成を例として説明したが、架橋フレーム部分23cが設けられていなくてもよい。架橋フレーム部分23cを有さないネット保持具1D(第四の変形例)を図11に示す。
【0038】
上記の実施形態では、側面図において斜面フレーム部分23bが頂点を有する構成を例示した。しかし、図12に示すネット保持具1E(第五の変形例)のように、斜面フレーム部分23bが曲線状に設けられていてもよい。
【0039】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係るネット保持具5について説明する。なお、第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して示し、説明を簡略化または説明する。
【0040】
本実施形態に係るネット保持具5は、使い捨てネット(不図示)を装着した状態で、排水口部Dに装着可能なヘアキャッチャーとして機能する治具であり、椀状の陥没部2と、陥没部2の外方に延びるフランジ部3と、を備える(図13)。陥没部2およびフランジ部3の構成について、特記しない限り第一の実施形態と同様である。
【0041】
本実施形態では、フランジ部3の裏面(陥没部2が突出している側の面である。)に、二つの溝34によって画定される離脱部分33が設けられている。溝34がフランジ部3の他の部分より薄肉に形成されているので、離脱部分33の両側の溝34においてフランジ部3を折ることによって、離脱部分33を除去できる。溝34においてフランジ部3を折る操作は、手作業により簡単に実施できる。本実施形態では、離脱部分33が二箇所設けられている。
【0042】
ネット保持具5の使用状態を図14に示す。本実施形態では、ネット保持具5を排水口部Dに設置するときに、離脱部分33が除去された部分を突起物Pに位置合わせすることによって、フランジ部3と突起物Pとが干渉することがない。なお、第一の実施形態と異なり、フランジ部3の内周の半径が突起物Pの排水口部Dの中心からの距離より大きい必要はない。
【0043】
[第三の実施形態]
続いて、第三の実施形態に係るネット保持具6について説明する。なお、第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して示し、説明を簡略化または説明する。
【0044】
本実施形態に係るネット保持具6は、使い捨てネット(不図示)を装着した状態で、排水口部Dに装着可能なヘアキャッチャーとして機能する治具であり、椀状の陥没部2と、陥没部2の外方に延びるフランジ部3と、を備える(図15図16)。陥没部2およびフランジ部3の構成について、特記しない限り第一の実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態では、十三の通水孔部4のうちの四つの通水孔部4(以下では区別のため、第一通水孔部4aと称する。)とフランジ部3とが接する箇所に、突起物Pを回避するための構造物である回避部分35が設けられている。図15では、内周32の仮想円Cを二点鎖線で示しており、回避部分35においてフランジ部3の内径が部分的に拡大していることを示している。すなわち、フランジ部3の内周32は、平面図において陥没部2の中心からの距離が一定ではなく、回避部分35は、当該距離がフランジ部3の内周32の他の部分より大きい部分として特定される。
【0046】
ネット保持具6の使用状態を図17に示す。本実施形態では、ネット保持具6を排水口部Dに設置するときに、回避部分35を突起物Pに位置合わせすることによって、フランジ部3と突起物Pとが干渉することがない。ここで、回避部分35における局所的な内周32の半径(より正確には、平面図における陥没部2の中心から内周32までの距離である。)が突起物Pの排水口部Dの中心からの距離より大きければよく、内周32の全体にわたってその半径が突起物Pの排水口部Dの中心からの距離より大きい必要はない。
【0047】
なお、第二の実施形態に係る離脱部分33と、第三の実施形態に係る回避部分35とは、併用可能である。すなわち、フランジ部3に離脱部分33および回避部分35の双方を設けてもよい。
【0048】
[その他の実施形態]
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、たとえば浴室の排水口に装着可能なネット保持具として利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 :ネット保持具(第一の実施形態)
2 :陥没部
21 :底部分
22 :斜面部分
23 :フレーム部分
23a :底部フレーム部分
23b :斜面フレーム部分
23c :架橋フレーム部分
3 :フランジ部
31 :外周
32 :内周
33 :離脱部分
34 :溝
35 :回避部分
4 :通水孔部
5 :ネット保持具(第一の実施形態)
6 :ネット保持具(第一の実施形態)
D :排水口部
P :突起物
C :仮想円
1A :ネット保持具(第一の変形例)
1B :ネット保持具(第二の変形例)
1C :ネット保持具(第三の変形例)
1D :ネット保持具(第四の変形例)
1E :ネット保持具(第五の変形例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを保持したネット保持具が設置されている排水口構造であって、
前記ネット保持具が、椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、
前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、
前記フランジ部の内周の半径が、前記排水口ユニットの平面図における前記突起物の前記排水口部の中心からの距離より大きい排水口構造
【請求項2】
前記フランジ部の内周の半径が52mm以上65mm以下である請求項1に記載の排水口構造
【請求項3】
前記通水孔部の数が20箇所以下である請求項1に記載の排水口構造
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、排水口に装着可能なネット保持具が設置された排水口構造に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記の事情に鑑み、本発明は、異物を堰き止めることと容易に掃除できることとを両立しうるヘアキャッチャーを実現しうるネット保持具が設置された排水口構造を提供しようとするものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る排水口構造は、排水口部と、当該排水口部に装着可能な目皿と、を備え、前記目皿を固定するための突起物が前記排水口部の周囲に設けられている排水口ユニットに対して、前記目皿に替えてネットを保持したネット保持具が設置されている排水口構造であって、前記ネット保持具が、椀状の陥没部と、前記陥没部の外方に延びるフランジ部と、を備え、前記陥没部に、複数の通水孔部が設けられ、前記フランジ部の内周の半径が、前記排水口ユニットの平面図における前記突起物の前記排水口部の中心からの距離より大きいことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係る排水口構造は、一態様として、前記フランジ部の内周の半径が52mm以上65mm以下であることが好ましい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
一般に流通している排水口ユニットにおいて、排水口部の開口径が概ね70mm以上100mm以下(半径35mm以上50mm以下)の範囲にあるので、上記の構成のネット保持具は、一般に流通している排水口ユニットの多くに設置可能である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明に係る排水口構造は、一態様として、前記通水孔部の数が20箇所以下であることが好ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
[第一の実施形態]
本発明に係る排水口構造の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る排水口構造を、浴室の排水口部Dに装着可能なネット保持具1(図1図7を備える構成とした例について説明する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係る排水口構造におけるネット保持具5について説明する。なお、第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して示し、説明を簡略化または説明する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
本発明は、たとえば浴室の排水口における排水口構造として利用できる。