IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤原 慶太の特許一覧

<>
  • 特開-栽培施設 図1
  • 特開-栽培施設 図2
  • 特開-栽培施設 図3
  • 特開-栽培施設 図4
  • 特開-栽培施設 図5
  • 特開-栽培施設 図6
  • 特開-栽培施設 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035531
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】栽培施設
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20240307BHJP
   A01G 18/69 20180101ALI20240307BHJP
【FI】
A01G9/18
A01G18/69
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140047
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】513144453
【氏名又は名称】藤原 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慶太
【テーマコード(参考)】
2B011
2B029
【Fターム(参考)】
2B011CA03
2B011CA10
2B029JA02
2B029JA06
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の供給にかかるコストを削減するとともに、二酸化炭素のロスを低減できる栽培施設を提供する。
【解決手段】作物を栽培する栽培室2を有する栽培施設1は、栽培室2内の空気を取り出す空気取出し手段5と、空気取出し手段5によって取り出された空気を貯留するバッファタンク6と、バッファタンク6内に貯留された空気を栽培室2へ供給する空気供給手段7とを備えている。したがって、栽培室2に排出された二酸化炭素をバッファタンク6に回収した後、光合成が活発なときに栽培室2内に戻すことが可能となり、上記課題を達成できる。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を栽培する栽培室を有する栽培施設において、
前記栽培室内の空気を取り出す空気取出し手段と、
前記空気取出し手段によって取り出された空気を貯留するバッファタンクと、
前記バッファタンク内に貯留された空気を前記栽培室へ供給する空気供給手段とを備えたことを特徴とする栽培施設。
【請求項2】
前記空気取出し手段及び前記空気供給手段の作動を制御する制御装置と、
栽培室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサとを備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素センサの検出値を取得可能に構成されるとともに、
夜間においては、前記二酸化炭素センサにより検出される前記栽培室内の二酸化炭素濃度が所定の第1の閾値濃度以上であることを条件として、前記空気取出し手段を作動させて栽培室内の空気の取出しを行い、また、日中においては、前記二酸化炭素センサにより検出される前記栽培室内の二酸化炭素濃度が前記第1の閾値濃度よりも低い所定の第2の閾値濃度以下であることを条件として、前記空気供給手段を作動させて前記栽培室への空気の供給を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の栽培施設。
【請求項3】
前記栽培室は、植物を栽培する第1栽培室と、茸類を栽培する第2栽培室とを備え、
前記空気取出し手段は、前記第2栽培室から取り出された空気を前記バッファタンクに貯留するよう構成され、
前記空気供給手段は、前記第1栽培室へ空気を供給するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の栽培施設。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培される作物に二酸化炭素を供給可能な栽培施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、施設内で栽培される作物の近傍に二酸化炭素を供給可能な栽培施設が開示されている。特許文献1の栽培施設によれば、作物の近傍の二酸化炭素濃度を上昇させ、作物の光合成を促進することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-118342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の栽培施設においては、二酸化炭素の供給源として二酸化炭素が充填されたボンベのみが使用されており、二酸化炭素を日々作物に供給し続けるのに多額のコストが発生してしまうという問題がある。
【0005】
加えて、施設内の温度調節のため側窓や天窓等により空気が入れ換えられたときに、二酸化炭素を多く含む空気が外部に排出され、二酸化炭素のロスが生じてしまうという問題もあった。
【0006】
このような状況に照らして、本発明は、二酸化炭素の供給にかかるコストを削減するとともに、二酸化炭素のロスを低減することができる栽培施設を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のかかる目的は、
作物を栽培する栽培室を有する栽培施設において、
前記栽培室内の空気を取り出す空気取出し手段と、
前記空気取出し手段によって取り出された空気を貯留するバッファタンクと、
前記バッファタンク内に貯留された空気を前記栽培室へ供給する空気供給手段とを備えたことを特徴とする栽培施設によって達成される。
【0008】
本発明においては、空気取出し手段により栽培室内から取り出された空気がバッファタンク内に貯留され、空気供給手段によりバッファタンク内の空気が栽培室へ供給されるよう構成されている。したがって、例えば、作物の光合成が行われていない夜間に、空気取出し手段を用いて、作物の呼吸により二酸化炭素濃度が高まった栽培室内の空気を取り出してバッファタンクへ貯留し、光合成が行われる日中に、二酸化炭素濃度の高いバッファタンク内の空気を、空気供給手段を用いて栽培室へ供給することができ、二酸化炭素の供給にかかるコストを削減できる。
【0009】
さらに、本発明によれば、夜間に栽培室内に溜まった、二酸化炭素を多く含む空気をバッファタンクへ送ることができるから、翌朝、気温が上昇し、空気が入れ換えられたときの二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態においては、
前記空気取出し手段及び前記空気供給手段の作動を制御する制御装置と、
栽培室内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサとを備え、
前記制御装置は、前記二酸化炭素センサの検出値を取得可能に構成されるとともに、
夜間においては、前記二酸化炭素センサにより検出される前記栽培室内の二酸化炭素濃度が所定の第1の閾値濃度以上であることを条件として、前記空気取出し手段を作動させて前記栽培室内の空気の取出しを行い、また、日中においては、前記二酸化炭素センサにより検出される前記栽培室内の二酸化炭素濃度が前記第1の閾値濃度よりも低い所定の第2の閾値濃度以下であることを条件として、前記空気供給手段を作動させて前記栽培室への空気の供給を行うよう構成されている。
【0011】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、栽培室内の二酸化炭素を多く含む空気の取出しと、バッファタンクから栽培室への二酸化炭素を高濃度に含む空気の供給を自動化でき、作業者の作業負担を軽減できる。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、
前記栽培室は、植物を栽培する第1栽培室と、茸類を栽培する第2栽培室とを備え、
前記空気取出し手段は、前記第2栽培室から取り出された空気を前記バッファタンクに貯留するよう構成され、
前記空気供給手段は、前記第1栽培室へ空気を供給するよう構成されている。
【0013】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、光合成を行わない茸類が第2栽培室で栽培されているから、昼夜を問わず、茸の呼吸により二酸化炭素濃度が高まった空気を、バッファタンクへ送り貯留することができ、したがって、植物を栽培する第1栽培室への二酸化炭素の供給にかかるコストを大幅に削減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、二酸化炭素の供給にかかるコストを削減するとともに、二酸化炭素のロスを低減することができる栽培施設を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態にかかる栽培施設の模式図である。
図2図1に示された栽培施設の栽培室内部の模式的平面図である。
図3図1に示された栽培施設の制御ブロック図である。
図4】夜間に行われる空気取出し制御を示すフローチャートである。
図5】日中に行われる濃度上昇制御を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態にかかる栽培施設の模式図である。
図7】第2実施形態にかかる空気取出し制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる栽培施設1の模式図であり、図2は、図1に示された栽培施設1の栽培室内部の模式的平面図である。
【0017】
栽培施設1は、作物を栽培する栽培室2と、栽培室2内の空気を外部に取り出す空気取出し手段5と、空気取出し手段5により取り出された空気を貯留するバッファタンク6と、バッファタンク6内に貯留された空気を栽培室2へ供給する空気供給手段7と、空気取出し手段5及び空気供給手段7の作動を制御する制御装置3を備えている。なお、バッファタンク6は、気体を一時的に貯留可能な容器である。
【0018】
本実施形態にかかる栽培室2は、ビニルハウスにより構成されているが、いわゆる植物工場等により構成されてもよい。栽培室2には、作物の一例としての植物8が定植された栽培ベッド10と、栽培室2内の種々の環境情報を取得するセンサユニット4と、栽培ベッド10の上方に配置されたルーバー装置24と、栽培室2内に外気を導入する外気導入手段15と、換気用の天窓26及び側窓27が設けられている。外気導入手段15は、例えばシャッター付きの換気扇により構成され、換気扇が作動している間のみに、シャッターが連動して開くよう構成されたものが好ましい。
【0019】
ルーバー装置24は、植物8への日射量を調節する複数のルーバー24aと、各ルーバー24aに装着された太陽電池モジュール24bと、複数のルーバー24aを回動させてルーバー24aの仰角Fを調節するルーバー回動モータ24cを備えている。太陽電池モジュール24bにより発電された電力は、図示しないバッテリに蓄電され、該バッテリから、ルーバー回動モータ24c、外気導入手段15、空気取出し手段5、空気供給手段7、開閉弁21、三方弁31等に供給可能となっている。なお、栽培室2内にルーバー装置24を設けることは必ずしも必要でない。
【0020】
センサユニット4は、栽培室2内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ4aと、栽培室2内の温度と湿度を検出する温湿度センサ4bを備えている(図3参照)。
【0021】
ここで、ルーバー回動モータ24cの駆動は、東西一方のルーバー24aの仰角Fが太陽光の照射角に対して略垂直となるよう制御される。これにより、各ルーバー24aの角度が太陽光の照射角と略同一となるため、ルーバー24a同士の隙間から植物8の近傍に太陽光を照射することができる。
【0022】
また、同時に、東西他方のルーバー24aの仰角Fが太陽光の照射角に略平行となるよう、制御装置3により制御される。これにより、各ルーバー24aに装着された太陽電池モジュール24bに最大限の量の太陽光が照射されるため、効率的に発電できる。
【0023】
しかしながら、温湿度センサ4bにより検出される栽培室2内の温度が所定の限界温度以上になると、制御装置3がルーバー回動モータ24cを駆動し、各ルーバー24aを略水平姿勢となるまで回動させて、植物8に照射される日射量を減少させるよう構成されている。
【0024】
空気取出し手段5には、真空ポンプやブロワ、コンプレッサ、プロペラファン等を用いることができるが、本実施形態では真空ポンプを用いた場合について説明を進める。空気取出し手段5の吸引口には、栽培室2内の空気を外部へ移送する第1移送管11が接続されており、第1移送管11は、図1及び図2に示される栽培室2内へ延びている。栽培室2内において、第1移送管11には、全周に亘り多数の小さな孔が形成された複数のポーラスパイプ16が接続されている。各ポーラスパイプ16は植物8の近傍を延びており、空気取出し手段5が作動すると、栽培室2内の植物8の近傍の空気が、ポーラスパイプ16及び第1移送管11を通じて栽培室2の外部へ取り出される。こうして取り出された空気は、空気取出し手段5の吐出口に接続された第2移送管12を通じてバッファタンク6に供給される。第1移送管11には、その流路を開閉する開閉弁21が設けられている。開閉弁21は通常閉じられており、空気取出し手段5の作動時のみに開制御され、第1移送管11を通じた空気の移送が可能となる。
【0025】
空気供給手段7には、真空ポンプやブロワ、コンプレッサ、プロペラファン等を用いることができるが、本実施形態では真空ポンプを用いた場合について説明を進める。空気供給手段7の吸引口には、バッファタンク6に一端部が接続された第3移送管13の他端部が接続されている。空気供給手段7の吐出口には、空気供給手段7によりバッファタンク6から取り出された空気を栽培室2内へ移送する第4移送管14が接続されている。栽培室2内において、第4移送管14には全周に亘り多数の小さな孔が形成された複数のポーラスパイプ19が接続されており、各ポーラスパイプ19は植物8の近傍を延びている。空気供給手段7が作動すると、バッファタンク6内の空気が、第3移送管13、第4移送管14及びポーラスパイプ19を通じて栽培室2内の植物8の近傍へ移送供給される。
【0026】
第4移送管14には三方弁31が設けられている。三方弁31は、制御装置3の制御信号に基づき、バッファタンク6から栽培室2へ空気を供給可能な第1状態と、二酸化炭素ボンベ23から圧送される二酸化炭素を栽培室2内に供給する第2状態と、バッファタンク6又は二酸化炭素ボンベ23から圧送される空気又は二酸化炭素の栽培室2への供給を遮断する第3状態との間で切り換え可能に構成されている。換言すれば、第1状態は、バッファタンク6と栽培室2とが連通する状態であり、第2状態は、二酸化炭素ボンベ23の内部と栽培室2とが連通する状態であり、第3状態は、栽培室2とバッファタンク6、及び栽培室2と二酸化炭素ボンベ23の内部が、いずれも連通していない状態である。なお、二酸化炭素ボンベ23から圧送される二酸化炭素はバッファタンク6には供給されない。三方弁31は通常、第3状態にあり、空気供給手段7が作動するとき、又は二酸化炭素ボンベ23から栽培室2内に二酸化炭素が供給されるときのみに、上述の第1状態又は第2状態に切り換えられることで、栽培室2への空気又は二酸化炭素の供給が可能となる。
【0027】
図3は、図1に示された栽培施設1の制御ブロック図である。
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)を有する処理部3aと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有する記憶部3bを備えている。記憶部3bには、栽培施設1全体を制御する種々のプログラム及びデータが格納されている。処理部3aは、これらを読み出して、夜間に、栽培室2内の空気を取出しバッファタンク6へ貯留する空気取出し制御を行い、日中に濃度上昇制御を行う。
【0028】
ここで、夜間とは、日の入り時刻から日の出時刻までを指すが、これに限定されない。例えば、特定の時間として、午後6時~午後6時としてもよい。また、日中とは、日の出時刻から日の入り時刻までを指すが、これに限定されない。例えば、特定の時間として、午前6時~午後6時としてもよい。
【0029】
濃度上昇制御は、バッファタンク6内に貯留された空気又は二酸化炭素ボンベ23から圧送される二酸化炭素を栽培室2へ供給し、栽培室2内の二酸化炭素濃度を上昇させる制御である。
【0030】
記憶部3bには、日付と日の出の時刻及び日の入り時刻とが紐付けされたデータベースが格納されており、処理部3aは、GPS時計25により取得される日時に基づき、毎日、当日の日の出時刻と日の入り時刻の情報を上記のデータベースから読み出す。そして、日の出時刻に空気取出し制御を停止した後、日の出時刻から所定時間後に濃度上昇制御を開始し、その後、日の入り時刻から所定時間前に濃度上昇制御を停止して、日の入り時刻に空気取出し制御を開始するよう構成されている。
【0031】
制御装置3の入力側には、栽培室2内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ4aと、栽培室2内の温度と湿度を検出する温湿度センサ4bと、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ18と、GPS時計25が接続されている。
【0032】
制御装置3の出力側には、複数のルーバー24aを回動させるルーバー回動モータ24cと、栽培室2内に外気を供給する外気導入手段15と、栽培室2内の空気を取り出してバッファタンク6へ供給する空気取出し手段5と、バッファタンク6内に貯留された空気を栽培室2内へ供給する空気供給手段7と、第1移送管11を開閉する開閉弁21と、バッファタンク6と栽培室2との間の連通状態と、二酸化炭素ボンベ23と栽培室2との間の連通状態を各々切り換える三方弁31を備えている。
【0033】
図4は、夜間に行われる空気取出し制御を示すフローチャートである。
空気取出し制御において、制御装置3は、まず、二酸化炭素センサ4aから栽培室2内の二酸化炭素濃度の検出値を取得する(ステップs1)。
【0034】
次いで、制御装置3は、取得された検出値に基づき、栽培室2内の二酸化炭素濃度が所定の第1の閾値濃度以上であるか否かを判定する(ステップs2)。ここで、第1の閾値濃度は、ユーザ(作業者)によって予め所望の数値が記憶部3bに設定されており、日中に栽培室2へ供給される空気に含まれる二酸化炭素の濃度として最低限必要な濃度よりやや高めの値(例えば、800ppm)が設定されることが好ましい。
【0035】
判定の結果、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度未満である場合、制御装置3は、第1の閾値濃度以上となるまで、二酸化炭素濃度の検出値の取得と判定とを繰り返す。
【0036】
これに対し、判定の結果、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上である場合、制御装置3は、所定の取出時間にわたり、空気取出し手段5を作動させるとともに、開閉弁21を開く(ステップs3)。これにより、栽培室2内の空気が取り出されてバッファタンク6内に貯留される。植物8が光合成を行わずに呼吸だけを行う夜間には栽培室2内の二酸化炭素濃度が急激に上昇するため、栽培室2内の二酸化炭素を高濃度に含む空気を取り出し、貯留することができる。
【0037】
加えて、このように、夜間に植物8から放出される二酸化炭素を多く含む空気を取出し、バッファタンク6内に貯留することで、翌朝に気温が上昇し、天窓26及び側窓27が開かれて空気が入れ換えられたときに、栽培室2から外部へ二酸化炭素が流出することを防止し、これにより、二酸化炭素のロスを低減することができる。
【0038】
こうして、所定の取出時間にわたって栽培室2内の空気が取り出されると、制御装置3は、空気取出し手段5の作動を停止させ、開閉弁21を閉じる。そして、空気取出し手段5の作動を停止してから所定の混合時間が経過したか否かを判定し(ステップs4)、所定の混合時間が経過している場合には、ステップs1の検出値の取得に戻る。空気の取出し後に、所定の混合時間を置くことで、空気の取出しにより陰圧となった栽培室2内で、隙間等から侵入する外気と、元々栽培室2内にある空気とが混合され、空気が均されるため、栽培室2内の正確な二酸化炭素濃度を検出することが可能となる。なお、栽培室2の密閉度が高い場合には、混合時間中に、外気導入手段15を自動的に作動させ、外気を栽培室2内に取り込むよう構成してもよい。これにより、栽培室2内の空気が過度に薄まってしまうことを防止できる。
【0039】
以上、夜間に行われる空気取出し制御について説明したが、以下に、日中に行われる濃度上昇制御について説明を加える。
【0040】
図5は、日中に行われる濃度上昇制御を示すフローチャートである。
濃度上昇制御において、制御装置3は、まず、二酸化炭素センサ4aから栽培室2内の二酸化炭素濃度の検出値を取得する(ステップt1)。
【0041】
次いで、制御装置3は、取得された検出値に基づき、栽培室2内の二酸化炭素濃度が所定の第2の閾値濃度以下であるか否かを判定する(ステップt2)。ここで、第2の閾値濃度は、ユーザ(作業者)によって予め所望の数値が記憶部3bに設定されており、植物8の光合成を促進するため、栽培室2への二酸化炭素の追加が必要となる濃度が設定されることが好ましく、さらに、第2の閾値濃度は上述の第1の閾値濃度よりも低い(例えば、400ppm)ことが好ましい。
【0042】
判定の結果、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度を上回る場合、制御装置3は、第2の閾値濃度以下となるまで、検出値の取得と判定とを繰り返す。これに対し、判定の結果、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下である場合、制御装置3は、二酸化炭素センサ18からバッファタンク6内の二酸化炭素濃度の検出値を取得する(ステップt3)。
【0043】
その後、制御装置3は、取得された検出値に基づき、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が所定の第3の閾値濃度以上であるか否かを判定する(ステップt4)。ここで、第3の閾値濃度は、ユーザ(作業者)によって予め所望の数値が記憶部3bに設定されており、栽培室2へ供給する空気に含まれる二酸化炭素の濃度として最低限必要な濃度(例えば、500ppm)が設定されることが好ましい。すなわち、第3の閾値濃度は、上述の第1の閾値濃度以下で、且つ第2の閾値濃度よりも高い値であることが好ましい。第3の閾値濃度には、栽培室2へ供給する空気に含まれる二酸化炭素の濃度として最低限必要な濃度を設定することが好ましい。すなわち、第3の閾値濃度は、上述の第1の閾値濃度以下で、且つ第2の閾値濃度よりも高い値であることが好ましい。
【0044】
判定の結果、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が第3の閾値濃度以上である場合、制御装置3は、所定の供給時間にわたって、空気供給手段7を作動させるとともに、三方弁31を、バッファタンク6から栽培室2へ空気を供給可能な第1状態に切り換える(ステップt5)。これにより、バッファタンク6内に貯留された、二酸化炭素を高濃度に含む空気が栽培室2へ供給される。このように、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が第3の閾値濃度以上であることを条件としてバッファタンク6内の空気を栽培室2内に供給することで、栽培室2内の二酸化炭素濃度が逆に下がってしまったり、第2の閾値濃度に達していない状態が継続してしまうことを防止できる。
【0045】
所定の供給時間が経過すると、制御装置3は、空気供給手段7の作動を停止させ、三方弁31を上述の第3状態に切り換える。そして、空気供給手段7の作動を停止させてから所定の混合時間が経過したか否かを判定し(ステップt6)、所定の混合時間が経過している場合には、ステップt1の検出値の取得に戻る。このように、空気の供給後に、所定の混合時間を置くことで、バッファタンク6から供給された空気と、栽培室2内に元々あった空気とを混合でき、栽培室2内の二酸化炭素濃度を正確に検出することができる。
【0046】
一方、ステップt4の判定の結果、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が所定の第3の閾値濃度未満である場合、制御装置3は、所定の供給時間にわたって、三方弁31を上述の第2状態に切り換える。これにより、二酸化炭素ボンベ23から圧送される二酸化炭素が栽培室2内に供給される。このように、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が閾値濃度よりも低い場合に、二酸化炭素ボンベ23を用いることで、コスト削減を図りつつ、二酸化炭素の供給を補うことができる。加えて、二酸化炭素ボンベ23の使用を、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が第3の閾値濃度未満である場合に限定することで、二酸化炭素ボンベ23の購入にかかるコスト、すなわち、植物8への二酸化炭素の供給にかかるコストを削減できる。
【0047】
こうして、所定の供給時間にわたり二酸化炭素を栽培室2へ供給した後、三方弁31を上述の第3状態に切り換えると、制御装置3は、ステップt6へ進み、供給停止から、所定の混合時間が経過したか否かを判定する。そして、混合時間の経過後に、ステップt1へ戻り、栽培室2内の二酸化炭素濃度の検出値を取得する。
【0048】
<第1実施形態の技術的意義>
図1ないし図5に示された第1実施形態によれば、夜間に、植物8の呼吸により二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上に高まった栽培室2内の空気を、空気取出し手段5により取り出してバッファタンク6内に貯留することができるから、翌朝、気温が上昇し、天窓26又は側窓27が開かれて空気が入れ換えられたときの二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0049】
さらに、第1実施形態によれば、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下になり、且つ、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が第3の閾値濃度以上であることを条件として、バッファタンク6内の空気が栽培室2内へ供給されるから、夜間に取り出された空気を用いて、日中に栽培室2内の二酸化炭素濃度を上昇させることができ、したがって、二酸化炭素ボンベ23の購入にかかるコスト、すなわち、植物8への二酸化炭素の供給にかかるコストを削減できる。
【0050】
加えて、第1実施形態によれば、夜間に、栽培室2内の二酸化炭素濃度に基づき、二酸化炭素を高濃度に含む空気が自動的に取り出され、日中に、栽培室2内の二酸化炭素濃度に基づき、自動的にバッファタンク6内の空気が栽培室2内に供給されるから、作業者の操作が不要となり、作業負担を軽減できる。
【0051】
一方、図6は、本発明の第2実施形態にかかる栽培施設1の模式図である。本実施形態においては、以下に述べる点を除き、第1実施形態と同様に構成されており、したがって、同様の効果を得ることができる。また、図6においては、図面のスペースの関係上、バッファタンク6が細長く描かれているが、第1実施形態と同様のバッファタンク6を用いることができる。
【0052】
本実施形態においては、作物を栽培する栽培室2は、植物8を栽培する第1栽培室2aと、茸類9を栽培する第2栽培室2bを備えている。第2栽培室2bは、その上面を除き、光を内部に通さない遮光性の板部材で構成されている。第2栽培室2bには、茸類9の菌種を含む菌床29が載置された栽培棚30と、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ17と、栽培棚30の上方に配置されたルーバー装置24と、第2栽培室2bに外気を導入する外気導入手段15と、換気用の天窓26が設けられている。第1栽培室2aには、第1移送管11が延びておらず、ポーラスパイプ16が配置されていない点を除き、第1実施形態の栽培室2と同様に構成されている。
【0053】
第2栽培室2b内に配置されたルーバー装置24の各ルーバー24aは、常時、仰角Fが略90度をなす上向きの状態に設定されており、ルーバー24aの隙間から僅かに漏れた光のみが栽培棚30の近傍に注ぐようになっている。なお、第2栽培室2bの上面を遮光性の板部材により構成し、その上に電力供給用の太陽電池モジュールを配置するとともに、第2栽培室2bの内部にLED管を設けてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、空気取出し手段5の吸引口に一端部が接続された第1移送管11が第2栽培室2bの内部まで延びており、第1移送管11に接続された複数のポーラスパイプ(不図示)が、第2栽培室2b内において菌床29の近傍を延びている。このため、空気取出し手段5が作動すると、菌床29及び茸類9の近傍の空気が第2栽培室2bから取り出され、バッファタンク6に供給・貯留される。
【0055】
ここで、第2栽培室2bでは茸類9が栽培されているため、植物8を栽培する場合と異なり、光合成が行われない。したがって、第2栽培室2bの空気は、昼夜を問わず、茸類9の呼吸により二酸化炭素を高濃度に含むため、本実施形態にかかる空気取出し制御においては、第1栽培室2aからの空気の取出しとバッファタンク6への貯留が昼夜を問わず行われる。以下に、本実施形態にかかる空気取出し制御について詳細に説明を加える。
【0056】
図7は、第2実施形態にかかる空気取出し制御を示すフローチャートである。
本実施形態にかかる空気取出し制御において、まず、制御装置3は、二酸化炭素センサ17から第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度の検出値を取得する(ステップu1)。
【0057】
次いで、制御装置3は、取得された検出値に基づき、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度が所定の第1の閾値濃度以上であるか否かを判定する(ステップu2)。この第1の閾値濃度には、第1実施形態と同様の値を設定することができる。
【0058】
判定の結果、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度未満である場合、制御装置3は、第1の閾値濃度以上となるまで、二酸化炭素濃度の検出値の取得と判定とを繰り返す。
【0059】
これに対し、判定の結果、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上である場合、制御装置3は、所定の取出時間にわたり、空気取出し手段5を作動させるとともに、開閉弁21を開く(ステップu3)。これにより、第2栽培室2b内の菌床29及び茸類9の近傍の空気が第2栽培室2bから取り出されてバッファタンク6へ貯留される。
【0060】
このように、夜間に植物8から放出される二酸化炭素を多く含む空気を取出し、バッファタンク6内に貯留することで、翌朝に気温が上昇し、天窓26及び側窓27が開かれて空気が入れ換えられたときに、第2栽培室2bから外部へ放出される二酸化炭素の量を削減することができる。
【0061】
ここで、第1移送管11及び第1移送管11に接続されたポーラスパイプは、図6に示されるように、第2栽培室2b内の下部で、且つ、茸類9の近傍(菌床29の近傍)に配策することが好ましい。二酸化炭素は空気よりも重いため、第1移送管11及び第1移送管11を第2栽培室2bの下部に配策し、第2栽培室2bの下部で、且つ茸類9の近傍の空気を取り出すことで、より高濃度の二酸化炭素を含む空気をバッファタンク6に貯留することが可能になる。
【0062】
こうして、第2栽培室2b内の空気が取り出されると、制御装置3は、空気取出し手段5を停止させ、開閉弁21を閉じる。そして、空気取出し手段5を停止してから所定の混合時間が経過したか否かを判定し(ステップu4)、所定の混合時間が経過している場合には、ステップu1の検出値の取得に戻る。空気の取出し後に、所定の混合時間を置くことで、空気の取出しにより陰圧となった第2栽培室2b内で、隙間等から侵入した外気と、元々第2栽培室2b内にある空気とが混合され、空気が均されるため、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度を正確に検出することが可能となる。なお、第2栽培室2bの密閉度が高い場合には、混合時間中に、外気導入手段15を自動的に作動させ、外気を第2栽培室2b内に取り込むよう構成してもよい。これにより、第2栽培室2b内の空気が過度に薄まってしまうことを防止できる。
【0063】
本実施形態にかかる空気取出し制御においては、茸類9を栽培する第2栽培室2b内の空気が取り出されてバッファタンク6内に貯留されるが、茸類9は、光合成を行わずに呼吸だけを行うため、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度は昼夜を問わず、常時、急速に上昇する。このため、第2栽培室2b内の二酸化炭素を高濃度に含む空気を、長時間にわたって取り出すことができる。
【0064】
一方、本実施形態の濃度上昇制御においては、第1実施形態と同様に、二酸化炭素センサ4aにより検出される第1栽培室2a内の二酸化炭素濃度が上述の第2の閾値濃度以下となったときに、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が所定の第3の閾値濃度以上であることを条件として、空気供給手段7が作動されるとともに、三方弁31が上述の第1状態に切り換えられる。これにより、バッファタンク6内の二酸化炭素を多く含む空気が第1栽培室2a内の植物8の近傍に供給される。また、第1栽培室2a内の二酸化炭素濃度が上述の第2の閾値濃度以下となったときに、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が所定の第3の閾値濃度未満である場合には、第1実施形態と同様に、三方弁31が、上述の第2状態に切り換えられ、二酸化炭素ボンベ23から圧送される二酸化炭素が第4移送管14を通じて第1栽培室2aに供給される。
【0065】
<第2実施形態の技術的意義>
図6及び図7に示された第2実施形態によれば、茸類9が栽培される第2栽培室2bから空気を取り出すよう構成されているから、昼夜を問わず、二酸化炭素を高濃度に含む空気をバッファタンク6に供給し貯留することができ、したがって、第1実施形態の場合に比して、二酸化炭素ボンベ23の購入にかかるコスト、すなわち、第1栽培室2aへの二酸化炭素の供給にかかるコストを大きく削減することができる。
【0066】
さらに、第2実施形態によれば、第2栽培室2bから、二酸化炭素を高濃度に含む空気を取り出してバッファタンク6に貯留することができるから、第2栽培室2b内の気温が上昇し、天窓26が開かれて空気が入れ換えられたときの二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0067】
本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0068】
例えば、図1ないし図7に示された各実施形態においては、栽培室2又は第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上であることを条件として、栽培室2又は第2栽培室2b内の空気が取り出されるように構成されているが、二酸化炭素濃度によらずに、所定の時間間隔で空気の取出しを行い、バッファタンク6へ送る構成としてもよい。これにより、二酸化炭素センサを省くことができ、栽培施設を安価に構成できる。この場合にも、植物8を栽培する栽培室2からの空気の取出しは、夜間にのみ行うことが好ましい。
【0069】
さらに、図1ないし図5に示された実施形態における濃度上昇制御にて、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下で、且つ、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が第3の閾値濃度以上であることを条件として、バッファタンク6内の空気を栽培室2へ供給するよう構成されているが、栽培室2内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下であることのみを条件として、バッファタンク6内の空気を栽培室2へ供給するよう構成してもよい。
【0070】
加えて、図1ないし図5に示された実施形態においては、夜間に、栽培室2内の空気を取出しバッファタンク6へ貯留する空気取出し制御を行い、日中にバッファタンク6から栽培室2へ空気を供給する濃度上昇制御を行うよう構成されているが、日中にも空気取出し制御を行うよう構成してもよい。これにより、光合成がほとんど行われない曇りや雨の日の日中にも、二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上となったタイミングで、二酸化炭素を多く含む空気をバッファタンク6へ取り出し、貯留することができるため、二酸化炭素の供給にかかるランニングコストをより一層削減できる。
【0071】
また、図1ないし図7に示された各実施形態においては、栽培室2又は第1栽培室2a内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下で、且つ、バッファタンク6内の二酸化炭素濃度が第3の閾値濃度以下である場合、バッファタンク6から空気を供給するのに代えて、二酸化炭素ボンベ23から二酸化炭素を栽培室2又は第1栽培室2aに供給するよう構成されているが、二酸化炭素ボンベ23からの二酸化炭素の供給とともに、バッファタンク6からも同時に空気を栽培室2又は第1栽培室2aに供給するよう構成してもよい。この場合でも、二酸化炭素の供給にかかるランニングコストを削減できる。
【0072】
さらに、図1ないし図7に示された各実施形態においては、上述のように、温湿度センサ4bにより検出される栽培室2又は第1栽培室2a内の温度が所定の限界温度以上になると、制御装置3がルーバー回動モータ24cを駆動し、各ルーバー24aを略水平姿勢となるまで回動させて、植物8に照射される日射量を減少させることで、栽培室2又は第1栽培室2a内の温度を低下させることが可能となっているが、この間、植物8の呼吸により排出される二酸化炭素量が、光合成により吸収される二酸化炭素量を上回るため、栽培室2又は第1栽培室2a内の二酸化炭素濃度が所定の閾値濃度以上となったことを条件として、栽培室2又は第1栽培室2a内の空気をバッファタンク6に移送するよう構成してもよい。また、ルーバー装置24に代えて、遮光カーテンを栽培室2又は第2栽培室2b内に設け、栽培室2又は第2栽培室2b内の温度が所定の限界温度以上になると、制御装置3が自動的に遮光カーテンを閉めるよう構成してもよい。
【0073】
加えて、図1ないし図7に示された各実施形態においては、栽培室2又は第2栽培室2bから自動的に空気を取出し、自動的に空気を栽培室2又は第1栽培室2aに供給するよう構成されているが、例えば制御装置3への入力装置を設け、作業者が入力装置を用いて、空気の取出しと供給の指示信号を制御装置3に入力できるように構成してもよい。このように構成することで、作業者の任意のタイミングで空気の取出しと供給を行うことが可能になる。
【0074】
また、図1ないし図7に示された各実施形態においては、栽培室2又は第2栽培室2bから自動的に空気を取出すよう構成されているが、遊休地にポーラスパイプを敷き詰めるとともに、遊休地の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサを配置し、夜間に雑草や培地内の微生物等の呼吸により遊休地の二酸化炭素濃度が所定の閾値濃度以上となったときに、遊休地の空気をバッファタンク6に移送し、日中に、栽培室2又は第1栽培室2aの二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下となったことを条件に、バッファタンク6から栽培室2又は第1栽培室2aにバッファタンク6内の空気を供給するよう構成してもよい。また、遊休地の空気の移送に関し、二酸化炭素濃度の検出結果に基づく移送に代えて、所定の時刻に、所定の時間にわたって遊休地の空気を自動的にバッファタンク6に移送する構成としてもよく、遊休地に別途日射量を検出する日射センサを設け、検出された日射量が所定値未満である状態が所定の時間にわたって継続したとき、二酸化炭素濃度の上昇が見込まれるので、遊休地の空気を自動的にバッファタンク6に移送する構成としてもよい。
【0075】
さらに、図6及び図7に示された実施形態においては、昼夜を問わず、茸類9を栽培する第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上であることを条件として、第2栽培室2b内の空気をバッファタンク6に移送し、日中に、第1栽培室2a内の二酸化炭素濃度が第2の閾値濃度以下であることを条件として、バッファタンク6から第1栽培室2aに二酸化炭素を高濃度に含む空気を供給するよう構成されているが、植物8の光合成が行われる日中に、第2栽培室2b内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度以上で、且つ、第1栽培室2a内の二酸化炭素濃度が第1の閾値濃度よりも低い第2の閾値濃度以下であることを条件として、第2栽培室2bの空気をコンプレッサ等で圧縮して、バッファタンク6を介さずに直接、第1栽培室2a内に供給するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 栽培施設
2 栽培室
3 制御装置
4 センサユニット
5 空気取出し手段
6 バッファタンク
7 空気供給手段
8 植物
9 茸
10 栽培ベッド
11 第1移送管
12 第2移送管
13 第3移送管
14 第4移送管
15 外気導入手段
16 ポーラスパイプ
17 二酸化炭素センサ
18 二酸化炭素センサ
19 ポーラスパイプ
20 棚
21 三方弁
23 二酸化炭素ボンベ
24 ルーバー装置
25 GPS時計
26 天窓
27 側窓
28
29 菌床
30 栽培棚
31 開閉弁
34 ルーバー装置
35 外気導入手段

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7