(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035542
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、および評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240307BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140065
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東條 紀子
(72)【発明者】
【氏名】芹田 進
(72)【発明者】
【氏名】尾白 大知
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】植木 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】山元 龍
(72)【発明者】
【氏名】劉 齊
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】性能変化対象の改善具合を把握すること。
【解決手段】評価装置は、第1計画データに基づく運用対象の実運用結果に基づいて、記運用対象での運用に関する性能変化対象により前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象での運用を模擬した模擬結果の正しさを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記実運用結果の第1評価値との差が、前記模擬結果の第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する算出処理と、前記第1評価値、前記第2評価値、および、前記算出処理によって算出された前記各段階の第3評価値を出力する出力処理と、を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する評価装置であって、
前記プロセッサは、
第1計画データに基づく運用対象の実運用結果に基づいて、前記運用対象での運用に関する性能変化対象により前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象での運用を模擬した模擬結果の正しさを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記実運用結果の第1評価値との差が、前記模擬結果の第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する算出処理と、
前記第1評価値、前記第2評価値、および、前記算出処理によって算出された前記各段階の第3評価値を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記第1判定処理では、前記プロセッサは、前記実運用結果に基づいて、複数の前記性能変化対象の組み合わせにより前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象を模擬した模擬結果の正しさを判定し、
前記算出処理では、前記プロセッサは、前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記第1評価値との差が、前記第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、複数の前記性能変化対象の組み合わせのうち少なくとも1つの性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の評価装置であって、
前記算出処理では、前記プロセッサは、前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記第1評価値との差が、前記第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象が有する複数の性能のうち1以上の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項4】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記模擬結果が前記実運用結果に比べて良好か否かを判定する第2判定処理を実行し、
前記算出処理では、前記プロセッサは、前記第2判定処理によって前記模擬結果が良好でないと判定された場合、前記第1評価値との差が、前記第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する、
することを特徴とする評価装置。
【請求項5】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記算出処理では、前記プロセッサは、前記第2評価値から前記複数段階の第3評価値の最後の段階の第3評価値までに、前記性能の変化により前記模擬結果がどの程度改善したかを示す改善度を段階ごとに算出し、
前記出力処理では、前記プロセッサは、前記算出処理によって段階ごとに算出された改善度を出力する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項6】
請求項5に記載の評価装置であって、
前記算出処理では、前記プロセッサは、連続する2つの段階の改善度と、前記第1評価値と、前記第3評価値と、に基づいて、前記連続する2つの段階間の前記性能の変化により前記模擬結果の改善がどの程度寄与したかを示す改善寄与度を算出し、
前記出力処理では、前記プロセッサは、前記算出処理によって段階ごとに算出された改善寄与度を出力する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項7】
請求項6に記載の評価装置であって、
前記出力処理では、前記プロセッサは、前記性能ごとに前記複数段階の前記改善寄与度を示すグラフを出力する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項8】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記出力処理では、前記プロセッサは、前記複数段階の各段階における前記性能変化対象の計算時間を出力する、
ことを特徴とする評価装置。
【請求項9】
プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する評価装置が実行する評価方法であって、
前記評価方法は、
前記プロセッサが、
第1計画データに基づく運用対象の実運用結果に基づいて、前記運用対象での運用に関する性能変化対象により前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象での運用を模擬した模擬結果の正しさを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記実運用結果の第1評価値との差が、前記模擬結果の第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する算出処理と、
前記第1評価値、前記第2評価値、および、前記算出処理によって算出された前記各段階の第3評価値を出力する出力処理と、
を実行することを特徴とする評価方法。
【請求項10】
プロセッサに、
第1計画データに基づく運用対象の実運用結果に基づいて、前記運用対象での運用に関する性能変化対象により前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象での運用を模擬した模擬結果の正しさを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記実運用結果の第1評価値との差が、前記模擬結果の第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する算出処理と、
前記第1評価値、前記第2評価値、および、前記算出処理によって算出された前記各段階の第3評価値を出力する出力処理と、
を実行させることを特徴とする評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価対象を評価する評価装置、評価方法、および評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、予測対象の実績値と複数の説明変数の各々の時系列データとに基づいて予測対象の予測値を予測する予測装置を開示する。この予測装置は、実績値と予測値とに基づいて予測精度を算出し、複数の説明変数のうち第1説明変数の時系列データを用いて予測した第1予測値と、複数の説明変数のうち第1説明変数とは異なる第2説明変数の時系列データを用いて予測した第2予測値と、予測精度と、に基づいて、第1説明変数が予測値に与えた影響の度合いである第1貢献度と、第2説明変数が予測値に与えた影響の度合いである第2貢献度と、を算出し、第1貢献度と第2貢献度とに基づいて、複数の説明変数から除外される除外対象の説明変数を決定し、除外対象を出力する。
【0003】
特許文献2は、商品棚のレイアウトを設計する商品棚レイアウト設計装置を開示する。この商品棚レイアウト設計装置は、複数の商品棚レイアウト案それぞれの作成において、商品棚群と、商品割付と、最大保管量と、補充点と、を前記商品棚レイアウト案に含め、該複数の商品棚レイアウト案それぞれのピッキング作業工数を算出し、該複数の商品棚レイアウト案それぞれの補充作業工数を算出し、該複数の商品棚レイアウト案それぞれにおけるピッキング作業工数と補充作業工数とに基づいて、商品棚レイアウト案を選択する。
【0004】
特許文献3は、原材料の流通過程における流通量を適切に管理する在庫管理発注装置を開示する。この在庫管理発注装置は、小売店で販売される商品の過去需要情報,原材料メーカーへの発注履歴情報および自社倉庫への入庫履歴情報,原材料の受注履歴情報および納入履歴情報,賞味期限または消費期限とそれらの期限までの日数により算出される入庫期限情報,納品期限情報,原材料の自社の在庫数量情報,商品のレシピ情報,商品製造業者の原材料の使用期限管理ルールを示す日数管理ルール情報を記憶し、商品の今後の需要,商品製造業者の原材料ごとの理論在庫を予測すると共に、その理論在庫から自社倉庫内の原材料必要在庫数を演算し、自社倉庫における原材料ごとの保持数を決定するとともに、決定された保持数の在庫を確保するために必要な発注数を演算する。
【0005】
特許文献4は、製造業のサプライチェーンマネジメントにおける入荷数量意思決定支援に、需給不一致によって生じる需給調整リスクを時系列にシミュレーションする方法を用いる意思決定支援方法を開示する。この意思決定支援方法は、計画時期ごとの販売価格計画と製品原価計画と需要予測数量とからなる時系列予測データと、入荷計画の時系列データとを用いて、需給の不一致による損失を時系列シミュレーションし、入荷計画数量の意思決定支援を行う。シミュレーションでは、時系列予測データのずれに対する損失感度分析処理と、シミュレーションの進行状況を監視し入荷打切り時期を通知する監視処理と、指定した期間の時系列入荷計画を作成する入荷最適化処理とにより、ユーザが入力した各計画時期の入荷計画を用いて入荷計画の時系列データを作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-068173号公報
【特許文献2】国際公開第2016/135911号
【特許文献3】特開2018-205862号公報
【特許文献4】特開2002-288407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示したような予測ツールのみでは、倉庫内作業の生産性向上のための予測に基づく倉庫内最適化を実現することができない。特許文献2に示したような最適化ツールのみでも、倉庫内作業の生産性向上のための予測に基づく倉庫内最適化を実現することができない。
【0008】
特許文献3に示したような予測ツールと最適化ツールとを用いた検証環境の運用結果が、従来環境の実運用結果と比べて改善効果がなかった場合、検証環境の改修が必要となる。しかしながら、その際にどの機能に着目して修正すべきかが分からない。特に予測ツールは、どの程度の誤差であれば活用可能であるかが分からない。
【0009】
また、特許文献4に示したような感度分析は、ある数値が変化したときにその数値と連動して動く別の数値がどれだけ変化するかを分析する技術である。検証環境に感度分析を適用して、各機能の性能を変動させたときの運用結果からどの機能をどう改善すべきかを特定しようとしても、各性能をどのように変動させるべきであるかが不明である。一般的な感度分析では性能を上下に振るだけであるが、性能の組み合わせも多く計算コストが膨大になる。
【0010】
本発明は、性能変化対象の改善具合を把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明の一側面となる評価装置は、プログラムを実行するプロセッサと、前記プログラムを記憶する記憶デバイスと、を有する評価装置であって、前記プロセッサは、第1計画データに基づく運用対象の実運用結果に基づいて、前記運用対象での運用に関する性能変化対象により前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象での運用を模擬した模擬結果の正しさを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記実運用結果の第1評価値との差が、前記模擬結果の第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する算出処理と、前記第1評価値、前記第2評価値、および、前記算出処理によって算出された前記各段階の第3評価値を出力する出力処理と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の代表的な実施の形態によれば、性能変化対象の改善具合を把握することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、倉庫内作業の流れを示す説明図である。
【
図2】
図2は、ピッキングエリアの概略の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、予測最適化検証1を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、予測ツールの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、間口最適化ツールの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、補充運用シミュレータの一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、予測最適化検証システムによる予測最適化検証処理手順例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、ステップS801の具体例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、ステップS803の具体例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、比較C1-1~C1-3の設定例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、ステップS804の具体例1を示す説明図である。
【
図13】
図13は、ステップS804の具体例2を示す説明図である。
【
図14】
図14は、計画シミュレータの性能の改修例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、ステップS805の具体例を示す説明図である。
【
図17】
図17は、予測最適化検証2を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<倉庫内作業の流れ>
図1は、倉庫内作業の流れを示す説明図である。倉庫100は、上位システム110および下位システム111により管理される。上位システム110は、倉庫100全体を管理する1以上の計算機である。下位システム111は、倉庫100内での仕分け等の作業を管理する1以上の計算機である。たとえば、上位システム110は、各配送先からの注文(オーダ)を受け付け、そのオーダに関する仕分作業を下位システム111に指示する。下位システム111は、間口最適化ツールなどにより定期補充計画および開口・レイアウト計画を作成する。
【0015】
倉庫100では、荷主からの物品101が入荷される。入荷された物品101は、作業員による入荷作業により、リザーブエリア102に保管される。リザーブエリア102に保管された物品101は、定期補充計画にしたがって、作業員による補充作業により、アクティブエリア103に保管される。
【0016】
アクティブエリア103とは、顧客から注文があった場合に、作業員が物品101を取り出すエリアである。アクティブエリア103内に保管されている物品101には、最大保管量および補充点が設定される。補充点とは、物品101をリザーブエリア102から補充する契機となるその物品101のアクティブエリア103内での最低保管量である。すなわち、その物品101について補充点を下回ると、補充点以上となるようにリザーブエリア102から補充される。
【0017】
アクティブエリア103では、物品101は、間口・レイアウト計画にしたがって保管される。アクティブエリア103に保管された物品101は出庫エリア104に搬送され、出庫エリア104から出荷される。アクティブエリア103をピッキングエリアと称す。
【0018】
図2は、ピッキングエリアの概略の一例を示す平面図である。ピッキングエリアには複数の棚があり、各棚はそれぞれ物品101が割付けられている。ピッキング作業員は、ピッキング開始地点からスタートして、ピックアップすべき物品101の棚を巡回しながら物品101をピックアップする。すべての物品101のピックアップが完了した後、ピッキング作業員はピッキング終了地点に移動する。また、補充作業員は、各物品101の在庫量が補充点を下回った場合に、リザーブエリアの棚等から物品101をピックアップし、補充開始地点から棚に移動して補充を行った後、補充終了地点に移動する。
【0019】
下位システム111は、上記のようなピッキング作業と補充作業を考慮した棚レイアウト案を設計し、利用者に提供する。提供される棚レイアウト案は、ピッキングエリア内における棚の配置と、当該棚と当該棚に保管される物品種類との対応を示す物品割付と、当該物品割付において各物品棚に保管される各物品の最大保管量と、補充が必要となる保管量を示す補充点を含む。より具体的には、下位システム111は、条件を変えて棚レイアウト案の設計を繰り返すことで、最適な棚レイアウト案を設計する。最適な棚レイアウト案を採用することにより、棚レイアウトが最適化される。棚レイアウトの最適化は、作業員が手作業で行ってもよく、倉庫100が自動倉庫システムを採用していれば、自動または半自動で実行してもよい。
【0020】
<予測最適化検証1>
図3は、予測最適化検証1を示すブロック図である。予測最適化検証1は、上位システム110または下位システム111に実装される。以下、予測最適化検証1が実装された上位システム110または下位システム111を、評価装置300と称す。
【0021】
予測最適化検証1とは、特許文献1で示したような予測ツールおよび特許文献2で示したような最適化ツールの性能を段階的に変化させた際の補充運用の模擬結果を評価値として算出し、最良の評価値に対して模擬結果が改善する割合を改善度として提示する処理である。
【0022】
なお、「ツール」とは、データが入力されると結果を出力する機構であり、ソフトウェアで実装されてもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)のようなハードウェアで実装されてもよい。また、「ツール」は、シミュレータでもよく、機械学習モデルでもよい。
【0023】
評価装置300は、出荷予測値を下限値、出荷実績値を上限値として、予測ツール312の性能を変化させ、間口最適化ツール314がもつ計画シミュレータ341の運用再現度を下限値、実際の補充運用を再現している補充運用シミュレータ316の運用再現度を上限値として、間口最適化ツール314の性能を変化させる。
【0024】
すなわち、評価装置300は、一般的な感度分析のように、性能を上下に振るのではなく、最も理想的な値に向かって差分を埋める形で、段階的に変化させる。
【0025】
また、評価装置300は、予測ツール312の性能をドメイン知識に基づいてパタン化した性能に絞って、出荷予測値を下限値、出荷実績値を上限値として、変化させる。たとえば、評価装置300は、様々な精度指標(Mape、20%以上誤差のある日の割合など)を用いて、各精度指標が改善するように、精度を変化させる。また、評価装置300は、曜日によって出荷先が違うのであれば、曜日ごとに性能を改善するパタンで、精度を変化させてもよい。
【0026】
実運用環境320において、評価装置300は、物品101の補充点、保管量、および在庫量を管理する。評価装置300は、上位システム110から出荷要求を受信すると、出荷指示を作業員206に発行し、評価装置300は、物品101の補充点、保管量、および在庫量を参照して、定期補充361の指示を作業員206に発行する。
【0027】
実運用環境320においては、評価装置300は、実計画データ325に基づいて、倉庫100の実運用326を実行し、実運用結果327を出力する。実計画データ325とは、物品101ごとの実際の補充点および保管量である。実運用326は、定期補充361と、ピッキング作業362と、緊急補充363と、を含む。
【0028】
定期補充361とは、定期補充計画にしたがって、リザーブエリア102からアクティブエリア103に在庫量が補充点以下の物品101を定期的に補充する作業である。例えば、1日の作業開始時に、実施する。ピッキング作業362とは、オーダに応じた数の物品101を棚の間口から順次取り出す作業である。緊急補充363とは、ピッキング作業362中に物品101の不足分を緊急的に補充する作業である。
【0029】
実運用結果327とは、実定期補充回数、実緊急補充回数、および実運用工数である。実定期補充回数とは、実運用326において実際に発生した定期補充361の回数である。実緊急補充回数とは、実運用326において実際に発生した緊急補充363の回数である。実運用工数は、実定期補充回数および実緊急補充回数を用いて算出される実運用326の評価値である。本例では、実運用工数は、実定期補充回数および実緊急補充回数が大きいほど大きい値となる。したがって、実運用工数の値が小さいほど良い評価となる。
【0030】
検証環境310において、評価装置300は、予測ツール312、間口最適化ツール314、および補充運用シミュレータ316を用いる。出荷実績DB311は、物品101の出荷実績値を記憶するデータベースである。
【0031】
予測ツール312は、たとえば、特許文献1で示したように、物品101の出荷実績値が入力されるとその物品101の出荷予測値を出力するソフトウェアである。予測ツール312は、物品101の実定期補充回数および実緊急補充回数が入力されるとその物品101の予測定期補充回数および予測緊急補充回数を出力してもよい。
【0032】
出荷予測DB313は、出荷予測値を記憶するデータベースである。間口最適化ツール314は、たとえば、特許文献2で示したような間口最適化ツールであり、物品101の出荷予測値が入力されるとその物品101の最適な補充点および最適な保管量を予測に基づく計画データ315として算出するソフトウェアである。
【0033】
定期的に実施する定期補充361では、アクティブエリア103の物品101が少なくなってきたら、リザーブエリア102からアクティブエリア103に物品101が補充される。ピッキング作業362中に、アクティブエリア103の物品101が不足すると緊急補充363が実施される。緊急補充363は、工程に遅れが出るなどによりコストが高くなるため、定期補充361でできるだけ対応できることが望ましい。そのためには、各物品101の補充点や保管量を適切な量にする必要がある。したがって、限られたエリアの中で、どの物品101の保管量および補充点を多めにして、どの物品101を少なめにするか、物品101間の調整が必要となる。このため、間口最適化ツール314は、最適な補充点および保管量を算出する。
【0034】
具体的には、たとえば、間口最適化ツール314は、複数の機能、たとえば、計画シミュレータ341と探索機能342とを含む。計画シミュレータ341は、ピッキング作業工数および補充作業工数を算出する。具体的には、たとえば、計画シミュレータ341は、棚間の動線距離、各棚とピッキング開始地点との間、各棚とピッキング終了地点との間、各棚と補充作業開始地点との間、及び各棚と補充作業終了地点との間、における動線距離を算出する。
【0035】
計画シミュレータ341は、ピッキング作業時間を算出する。ピッキング作業時間は、ピッキング作業における動線距離を作業員の移動速度で除した時間と、物品101の出荷予測量と単位ピッキング作業時間との積となる時間と、の和である。ピッキング作業工数は、出荷予測DBのうち予測対象として選択された全エントリについてのピッキング作業時間の合計である。
【0036】
計画シミュレータ341は、物品101の補充作業時間を算出する。物品101の補充作業時間は、たとえば、予測補充回数×((補充開始地点~各物品が保管される棚~補充終了地点の動線距離/補充作業における作業員の移動速度)+単位補充作業時間)により算出される。補充作業工数は、各物品101の補充作業時間の合計である。予測補充回数は、予測定期補充回数および予測緊急補充回数の和である。例えば、予測定期補充回数や予測緊急補充回数は、補充運用(定期補充361、ピッキング作業362、緊急補充363)を模擬して算出する。
【0037】
探索機能342は、たとえば、ピッキング作業工数や補充作業工数の最適値を探索するために、計画シミュレータ341の条件を変えて繰り返し模擬するように制御する機能である。条件とは、たとえば、作業工数の算出対象となる棚配置、物品割付、棚群である。棚配置とは、倉庫100内での棚ごとの位置を示す情報である。物品割付とは、棚と棚に保管される物品101との対応関係を示す情報である。物品割付には、物品101の補充点、保管量、在庫量といった在庫データ(
図5で後述)が含まれる。
【0038】
計画シミュレータ341および探索機能342は、間口最適化ツール314に含まれる複数の機能の一例であり、このほかにも物品101の最適な補充点および最適な保管量を算出するための既知の機能が含まれる。
【0039】
補充運用シミュレータ316は、出荷実績DB311と予測に基づく計画データ315とを用いて補充運用(定期補充361、ピッキング作業362、緊急補充363)を模擬し、補充運用の模擬結果317を出力するソフトウェアである。評価装置300は、模擬結果317と実運用結果327とを比較することにより、
図8~
図16で後述する予測最適化検証を実行する。
【0040】
<予測ツール312>
図4は、予測ツール312の一例を示す説明図である。予測ツール312は、出荷実績データ401が入力されると、出荷予測データ402を出力する。出荷実績データ401は、出荷実績DB311に含まれるデータである。
【0041】
出荷実績データ401は、日付411と、物品名412と、出荷実績値413と、を含む。日付411は、その物品101の出荷日である。
図4の例では、日付411が1/1~1/31までの期間の出荷実績データ401を示している。物品名412は、その物品101の名称である。出荷実績値413は、その物品101が出荷された数量である。
【0042】
出荷予測データ402は、日付421と、物品名412と、出荷予測値423と、を含む。日付421は、その物品101が出荷予測値423分出荷される日である。日付421は、上位システム110または下位システム111により設定される。
図4の例では、日付421が2/1~2/7までの期間の出荷予測データ402を示している。出荷予測値423は、その物品101が出荷される予測数量である。
【0043】
なお、
図4では、予測ツール312は、出荷予測データ402を出力したが、予測ツール312の性能をチューニングすることにより、出荷予測値423を出荷実績値413に近づけたり、出荷実績値413から遠ざけたりする変化を段階的に実行可能である。
【0044】
<間口最適化ツール314>
図5は、間口最適化ツール314の一例を示す説明図である。間口最適化ツール314は、出荷予測データ402および在庫データ500が入力されると、最適化結果510を出力する。
【0045】
在庫データ500は、下位システム111に保持されているデータであり、物品名412と、補充点501と、保管量502と、在庫量503と、棚番号504と、を有する。補充点501は、物品101を補充する契機となるその物品101のアクティブエリア103内での最低保管量である。すなわち、その物品101について補充点501を下回ると、補充点501以上となるように補充される。保管量502は、その物品101が棚番号504で特定される棚の間口で保管可能な最大数量である。在庫量503は、その物品101が棚番号504で特定される棚の間口で保管されている数量である。棚番号504は、その物品101がアクティブエリア103に保管されている棚を一意に特定する識別番号である。
【0046】
最適化結果510は、予測に基づく計画データ315であり、具体的には、たとえば、物品名412と、補充点511と、保管量512と、を含む。補充点511は、その物品101についての補充点501の最適化後の最低保管量である。保管量512は、その物品101が棚番号504で特定される棚の間口で保管可能な最適化後の最大数量である。
【0047】
<補充運用シミュレータ316>
図6は、補充運用シミュレータ316の一例を示す説明図である。補充運用シミュレータ316は、最適化結果510で在庫データ500を更新する(ステップS600)。
図6の例では、物品名412が「A」の物品101(以下、物品A)と物品名412が「B」の物品101(以下、物品B)とについて、補充点501および保管量502が補充点511および保管量512の値に更新される。
【0048】
つぎに、補充運用シミュレータ316は、定期補充361を模擬する(ステップS601)。具体的には、たとえば、補充運用シミュレータ316は、ステップS600の更新後の在庫データ500を参照して、在庫量503が補充点501を下回っている物品101について保管量502を満たすように補充したことを模擬し、在庫量503を更新する。補充運用シミュレータ316は、定期補充361を模擬した回数を、定期補充回数611としてカウントし、定期補充361の運用コスト(1回あたりの工数(分))を計測する。
【0049】
補充運用シミュレータ316は、ピッキング作業362を模擬する(ステップS602)。具体的には、たとえば、補充運用シミュレータ316は、出荷実績データ401を用いて、在庫データ500を参照して物品101を収集して在庫が減ったことを模擬し、在庫量503を更新する。
【0050】
補充運用シミュレータ316は、ピッキング作業362によって在庫量503がマイナスとなる物品101については、緊急補充603を模擬して、在庫量503が保管量502となるように在庫量503を更新する(ステップS603)。補充運用シミュレータ316は、緊急補充603を模擬した回数を、緊急補充回数612としてカウントし、緊急補充603の運用コスト(1回あたりの工数(分))を計測する。
【0051】
補充運用シミュレータ316は、運用工数613を算出する(ステップS604)。運用工数613は、下記式(1)により算出される。
【0052】
運用工数
=定期補充回数×定期補充の運用コスト+緊急補充回数×緊急補充の運用コスト…(1)
【0053】
本例では、運用工数613は、定期補充回数611および緊急補充回数612が大きいほど大きい値となる。したがって、運用工数613の値が小さいほど良い評価となる。
【0054】
なお、実運用326の評価値である実運用工数も、実運用環境320において上記式(1)のように算出される。具体的には、たとえば、定期補充回数611が実定期補充回数になり、定期補充361の運用コストが、実運用環境320における定期補充361の運用コストになり、緊急補充回数612が実緊急補充回数になり、緊急補充363の運用コストが、実運用環境320における緊急補充363の運用コストになる。
【0055】
<計算機のハードウェア構成例>
図7は、計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機700は、プロセッサ701と、記憶デバイス702と、入力デバイス703と、出力デバイス704と、通信インターフェース(通信IF)705と、を有する。プロセッサ701、記憶デバイス702、入力デバイス703、出力デバイス704、および通信IF705は、バス706により接続される。プロセッサ701は、計算機700を制御する。記憶デバイス702は、プロセッサ701の作業エリアとなる。また、記憶デバイス702は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス702としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス703は、データを入力する。入力デバイス703としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナ、マイク、センサがある。出力デバイス704は、データを出力する。出力デバイス704としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカがある。通信IF705は、ネットワークと接続し、データを送受信する。
【0056】
計算機700は、上位システム110および下位システム111~113(評価装置300を含む)を構成する。
【0057】
<予測最適化検証処理手順>
図8は、評価装置300による予測最適化検証処理手順例を示すフローチャートである。評価装置300は、補充運用シミュレータ316による模擬結果317が正しいか否かを判定する(ステップS801)。模擬結果317が正しい場合(ステップS801:Yes)、ステップS802に移行する。模擬結果317が正しくない場合(ステップS801:No)、評価装置300は、予測最適化検証を終了する。ステップS801の詳細は、
図9で後述する。
【0058】
ステップS801:Yesのあと、評価装置300は、検証環境310の模擬結果317が実運用環境320の実運用結果327に比べて良好か否かを判定する(ステップS802)。具体的には、たとえば、評価装置300は、検証環境310の運用工数613と実運用環境320の実運用工数とを比較して、運用工数613が実運用工数以下であれば、良好と判定し、運用工数613が実運用工数より大きければ、良好でないと判定する。
【0059】
良好な場合(ステップS802:Yes)、評価装置300は、予測最適化検証を終了する。良好でない場合(ステップS802:No)、ステップS803に移行する。
【0060】
ステップS802:Noのあと、評価装置300は、予測ツール312の性能を段階的に変化させた場合の模擬結果317の評価を実行する(ステップS803)。ステップS803の詳細は、
図10および
図11で後述する。
【0061】
ステップS803のあと、評価装置300は、間口最適化ツール314の性能を段階的に変化させた場合の模擬結果317の評価を実行する(ステップS804)。ステップS804の詳細は、
図12~
図14で後述する。
【0062】
ステップS804のあと、評価装置300は、改善度の評価を実行する(ステップS805)。ステップS805の詳細は、
図15および
図16で後述する。ステップS805のあと、評価装置300は、予測最適化検証を終了する。
【0063】
[ステップS801]
図9は、ステップS801の具体例を示す説明図である。
図3でも説明したように、評価装置300は、実運用環境320において、実計画データ325(在庫データ500)を用いて、実運用326を実行し、実運用結果327を得る。実運用結果327には、実定期補充回数911および実緊急補充回数912が含まれる。
【0064】
同様に、評価装置300は、検証環境310において、実計画データ325(在庫データ500)を用いて、補充運用シミュレータ316による模擬を実行し、模擬結果317を得る。模擬結果317には、定期補充回数611および緊急補充回数612が含まれる。
【0065】
実定期補充回数911と定期補充回数611との差があらかじめ設定された第1許容範囲内であり、かつ、実緊急補充回数912と緊急補充回数612との差があらかじめ設定された第2許容範囲内であれば、評価装置300は、補充運用シミュレータ316による模擬結果317が正しい(妥当)と判定する(ステップS801:Yes)。
【0066】
一方、実定期補充回数911と定期補充回数611との差が第1許容範囲外であり、または、実緊急補充回数912と緊急補充回数612との差が第2許容範囲外であれば、評価装置300は、補充運用シミュレータ316による模擬結果317が正しくない(妥当でない)と判定する(ステップS801:No)。
【0067】
[ステップS803]
図10は、ステップS803の具体例を示す説明図である。表1000において、環境カラム1001は、評価装置300による実行環境を示す。具体的には、たとえば、検証環境310、検証環境310における比較C1-1~C1-3、実運用環境320である。比較C1-1~C1-3は、検証環境310の性能を段階的に変化させた場合(すなわち、出荷実績値413と出荷予測値423との差分である誤差を段階的に小さくした場合)の実行例である。
図10では、比較C1-1~C1-3のように3段階としたが、2段階以上であればよい。
【0068】
予測ツール312において出荷予測値423を段階的に変化させるチューニングとしては、たとえば、予測ツール312がコストと性能とのバランスなどで、一部機能を除外して性能を抑える設定がある場合には、段階的に機能を追加することで性能を上げていくという方法がある。予測ツール312の性能を変化させない方法もある。この点について
図11で後述する。
【0069】
予測ツールカラム1002は、環境カラム1001の各実行環境における、予測ツール312の性能を示す。予測ツール312の性能とは、たとえば、出荷実績値413と出荷予測値423との誤差である。検証環境310での性能を誤差E0、検証環境310の比較C1-1~C1-3での各々の性能を誤差E1~E3とする。この場合、E0>E1>E2>E3となる。誤差E3の値は「0」、すなわち、出荷実績値413と出荷予測値423との値が同じである。実運用環境320では、予測ツール312は使用されない。
【0070】
間口最適化ツールカラム1003は、環境カラム1001の各実行環境における、間口最適化ツール314の性能を示す。具体的には、たとえば、間口最適化ツールカラム1003は、サブカラムとして、たとえば、探索回数カラム1031と計画シミュレータカラム1032とを含む。
【0071】
探索回数カラム1031は、間口最適化ツール314の性能の1つであり、環境カラム1001の実行環境ごとに、探索機能342によって制御する計画シミュレータ341の探索回数を規定する。
図10の例では、検証環境および比較C1-1~C1-3のいずれにおいても「現状の設定」、すなわち、同一の探索回数に設定されている。
【0072】
計画シミュレータカラム1032も、間口最適化ツール314の性能の1つであり、環境カラム1001の実行環境ごとに、計画シミュレータ341の改修状態を規定する。
図10の例では、検証環境310および比較C1-1~C1-3のいずれにおいても「現状の計画SIM」、すなわち、計画シミュレータ341が同一の性能に設定されている。
【0073】
なお、実運用環境320における「補充点方式」とは、物品101の在庫量503が補充点501を下回ると保管量502となるように補充する実運用326の方式である。
【0074】
運用工数カラム1004は、環境カラム1001の実行環境ごとに、運用工数613(実運用環境320では実運用工数1040)を規定する。
図10の例では、検証環境310および比較C1-1~C1-3のいずれにおいても間口最適化ツール314の性能は同一である一方、予測ツール312の性能が異なるため、予測ツール312の性能の差が運用工数613の差に対応する。
【0075】
評価装置300は、比較C1-3の運用工数613が実運用工数1040よりも大きい、すなわち、評価が悪い場合には、間口最適化ツール314に課題があると特定する。
図10の例では、比較C1-3の運用工数613が「10」で実運用工数1040が「12」であるため、比較C1-3の運用工数613<実運用工数1040となる。したがって、比較C1-3の運用工数613の評価がよいため、間口最適化ツール314に課題がないと判明する。
【0076】
たとえば、検証環境310の運用工数613と比較C1-2の運用工数613とを比較すると、運用工数613が検証環境310から8減少しているため、予測ツール312の性能が8改善していることがわかる。実使用環境320の実運用工数1040と比較C1-3の運用工数613とを比較すると、比較C1-3の運用工数613が実使用環境320の実運用工数1040を下回っている。したがって、予測ツール312を比較C1-3の性能にまで改善させることが目標となる。
【0077】
評価装置300は、ステップS803において、表1000を表示可能に出力する。具体的には、たとえば、評価装置300は、表1000を、出力デバイス704の一例である表示装置に表示したり、通信IF705を介して他の計算機に送信したりする。
【0078】
図11は、比較C1-1~C1-3の設定例を示す説明図である。
図10では、予測ツール312のチューニングにより、予測ツール312の性能を変化させて比較C1-1~C1-3の誤差E1~E3を規定したが、
図11は、予測ツール312の性能を変化させずに比較C1-1~C1-3の誤差E1~E3を規定する例である。
【0079】
グラフ1100は、検証環境310および比較C1-1~C1-3の各々の出荷予測値423の経時的変化を示す。横軸は時間であり、縦軸は出荷予測値423である。
【0080】
評価装置300は、検証環境310の日付421の各々において、出荷実績値413と出荷予測値423との差分である誤差E0を予測ツール312の性能として算出する。評価装置300は、誤差E0を段階数で割る。本例の場合は、比較C1-1~C1-3の3段階であるため、評価装置300は、誤差E0を3で割る。
【0081】
評価装置300は、誤差E0を段階数で割った割り算結果に対し、比較C1-1~C1-3の段数の値を乗じる。評価装置300は、比較C1-1であれば、1段階目であるため、割り算結果に1を乗じ、比較C1-2であれば、2段階目であるため、割り算結果に2を乗じ、比較C1-3であれば、3段階目であるため、割り算結果に3を乗じる。
【0082】
評価装置300は、乗算結果の各々に出荷実績値413を加算する。これにより、比較C1-1~C1-3の各々について日付421ごとの出荷予測値423が得られる。なお、各々の乗算結果が日付421ごとの誤差E1~E3になる。
【0083】
このように、ステップS803では、評価装置300は、実運用結果327の実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差が、模擬結果317の検証環境310の運用工数613である「20」(第2評価値)と実運用工数1040である「12」との差である「8」よりも小さくなるように、予測ツール312の性能(誤差E0)を段階的に変化させた場合の複数段階の模擬結果312として比較C1-1~C1-3の運用工数613である「19」、「12」、「10」(第3評価値)を算出する。
【0084】
すなわち、比較C1-1の運用工数613である「19」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「7」、比較C1-2の運用工数613である「12」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「0」、比較C1-3の運用工数613である「10」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「-2」である。
【0085】
なお、上記以外にも予測ツール312の性能を精度で定義することができる。たとえば、出荷予測値423と出荷実績値413とのRMSE(平均平方二乗誤差)を予測ツール312の性能に用いることにより、出荷予測値423と出荷実績値413とがどれだけ離れているかを評価することができる。
【0086】
また、予測ツール312の性能変化をパタンとして用意してもよい。たとえば、倉庫100から出荷する物品101のカテゴリが曜日によって異なるような場合、あるカテゴリ(たとえば、日用品)については予測ツール312の性能が悪くてもいいが、他のカテゴリ(たとえば、食品)については予測ツール312の性能が良好となるよう要求される場合がある。このような場合、日用品については、比較Cx-yの出荷予測値423を検証環境310の出荷予測値423と同じ値となるパタンとしてもよい。
【0087】
また、ある日付421について突発的に出荷予測値423が増えることは事前のセール情報で把握済みな場合がある。このような場合、その日付421の突発的な出荷予測値423については、精度向上の必要がない。このような場合、当該日付421以外の日付421について、出荷予測値423と検証環境310の出荷実績値413との間に、比較Cx-yの出荷予測値423を設定するパタンを用意してもよい。
【0088】
[ステップS804]
図12は、ステップS804の具体例1を示す説明図である。ステップS804では、間口最適化ツール314の性能を段階的に変化させている。表1200において、環境カラム1001の検証環境310は、探索回数カラム1031を「現状の設定」、すなわち、探索回数を5回とした間口最適化ツール314の性能である。環境カラム1001の比較C2-1は、探索回数カラム1031を「現状の設定」よりも1回多い6回とした間口最適化ツール314の性能である。
【0089】
環境カラム1001の比較C2-2は、探索回数カラム1031を6回よりも1回多い7回とした間口最適化ツール314の性能である。環境カラム1001の比較C2-3は、探索回数カラム1031を7回よりも1回多い8回(最大設定)とした間口最適化ツール314の性能である。なお、探索回数を段階的に1増加させたが増加回数は2以上でもよい。また、探索回数以外の条件であってもよい。
【0090】
このように、ステップS804では、評価装置300は、実運用結果327の実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差が、模擬結果317の検証環境310の運用工数613である「20」(第2評価値)と実運用工数1040である「12」との差である「8」よりも小さくなるように、間口最適化ツール314の性能(探索回数)を段階的に変化させた場合の複数段階の模擬結果312として比較C2-1~C2-3の運用工数613である「19」、「19」、「18」(第3評価値)を算出する。
【0091】
すなわち、比較C2-1の運用工数613である「19」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「7」、比較C2-2の運用工数613である「19」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「7」、比較C2-3の運用工数613である「18」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「6」である。
【0092】
図13は、ステップS804の具体例2を示す説明図である。
図12の表1200では、探索回数を段階的に変化させたが、
図13の表1300では、計画シミュレータ341の性能を段階的に変化させた例である。表1300において、環境カラム1001の検証環境310は、計画シミュレータカラム1032を「現状の計画SIM」とした間口最適化ツール314の性能である。
【0093】
環境カラム1001の比較C3-1は、計画シミュレータカラム1032を「現状の計画SIMに改修R1」を行った場合の間口最適化ツール314の性能である。環境カラム1001の比較C3-2は、計画シミュレータカラム1032を「現状の計画SIMに改修R2」を行った場合の間口最適化ツール314の性能である。環境カラム1001の比較C3-3は、計画シミュレータカラム1032を「現状の計画SIMに改修R3」を行った場合の間口最適化ツール314の性能である。
【0094】
このように、ステップS804では、評価装置300は、実運用結果327の実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差が、模擬結果317の検証環境310の運用工数613である「20」(第2評価値)と実運用工数1040である「12」との差である「8」よりも小さくなるように、間口最適化ツール314の性能(計画シミュレータ341の改修状態)を段階的に変化させた場合の複数段階の模擬結果312として比較C3-1~C3-3の運用工数613である「15」、「15」、「15」(第3評価値)を算出する。
【0095】
すなわち、比較C3-1の運用工数613である「15」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「3」、比較C3-2の運用工数613である「15」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「3」、比較C3-3の運用工数613である「15」と実運用工数1040である「12」(第1評価値)との差は「3」である。
【0096】
図14は、計画シミュレータ341の性能の改修例を示す説明図である。検証環境310は、補充上限回数、曜日考慮、および入荷考慮といった性能が設定されていない実行環境である。補充上限回数とは、補充回数の上限値である。曜日考慮とは、曜日(月~金と土日)の違いを考慮した設定の有無である。入荷考慮とは、入荷量を考慮する設定の有無である。
【0097】
改修R1は、検証環境310において補充上限回数が「なし」から「あり」に変更される設定を示す。改修R1後の実行環境が比較C3-1である。改修R2は、検証環境310において補充上限回数が「なし」から「あり」に変更され、かつ、曜日考慮が「なし」から「あり」に変更される設定を示す。改修R2後の実行環境が比較C3-2である。改修R3は、検証環境310において補充上限回数が「なし」から「あり」に変更され、かつ、曜日考慮が「なし」から「あり」に変更され、かつ、入荷考慮が「なし」から「あり」に変更される設定を示す。改修R3後の実行環境が比較C3-3である。比較C3-3は、補充運用シミュレータ316と同じ実行環境である。
【0098】
評価装置300は、ステップS804において、表1200、1300を表示可能に出力する。具体的には、たとえば、評価装置300は、表1200、1300を、出力デバイス704の一例である表示装置に表示したり、通信IF705を介して他の計算機に送信したりする。
【0099】
なお、ステップS803では、評価装置300が予測ツール312の性能(誤差E0)のみについて3段階の比較C1-1~C1-3の運用工数613を算出した例を説明した。また、ステップS804では、評価装置300が間口最適化ツール314の性能(探索回数)のみについて3段階の比較C2-1~C2-3の運用工数613を算出した例と、評価装置300が間口最適化ツール314の性能(計画シミュレータ341の改修状態)のみについて3段階の比較C3-1~C3-3の運用工数613を算出した例と、を説明した。
【0100】
評価装置300は、性能変化させる段階数を3段階に限らず、2または4段階以上実行してもよい。また、評価装置300は、これらの例以外にも、予測ツール312の性能(誤差E0)と間口最適化ツール314の性能(探索回数)との各々を上記の例のように複数段階性能変化させる例を実行してもよく、予測ツール312の性能(誤差E0)と間口最適化ツール314の性能(計画シミュレータ341の改修状態)との各々を上記の例のように複数段階性能変化させる例を実行してもよく、間口最適化ツール314の性能(探索回数)と間口最適化ツール314の性能(計画シミュレータ341の改修状態)との各々を上記の例のように複数段階性能変化させる例を実行してもよく、予測ツール312の性能(誤差E0)と間口最適化ツール314の性能(探索回数)と間口最適化ツール314の性能(計画シミュレータ341の改修状態)との各々を上記の例のように複数段階性能変化させる例を実行してもよい。
【0101】
[ステップS805]
図15は、ステップS805の具体例を示す説明図である。表1500は、表1000、表1200、表1300を結合した表である。なお、図面の制約上、実運用環境320は1行にまとめた。また、表1500には、改善度カラム1501、改善寄与度カラム1502、および計算時間カラム1503が追加されている。評価装置300は、改善度カラム1501の各改善度、改善寄与度カラム1502の各改善寄与度、および計算時間カラム1503の各計算時間を算出する。
【0102】
改善度とは、性能変化により模擬結果317がどの程度改善したかを示す指標値であり、検証環境310の運用工数613から比較Cx-y(x=1~3、y=1~3)の運用工数613を引いた値である。改善度が大きいほど改善効果が出ていることを示す。たとえば、検証環境310の運用工数613は「20」であり、比較C1-1の運用工数613は「19」であるため、比較C1-1の改善度は、「1」である。
【0103】
改善寄与度は、比較Cz(zは1~3のいずれか)のうち各比較Cz-yが規定する性能変化が模擬結果317の改善に寄与した寄与率である。z=1は出荷予測値、z=2は探索回数、z=3は計画シミュレータの改修を示す。比較Cz-yにおける改善寄与度は、下記式(2)により算出される。
【0104】
比較Cz-yにおける改善寄与度
=(比較Cz-yの改善度-比較Cz-(y-1)の改善度)/(検証環境310の運用工数-実運用環境320の実運用工数)…(2)
【0105】
なお、y=1の場合、比較Cz-(y-1)の改善度は、検証環境310の改善度となる。これにより、1段階前の実行環境からの改善度の上昇度が数値化される。
【0106】
また、計算時間は、検証開始から運用工数613を算出するまでの時間である。計算時間を表示することにより、ユーザはメリットデメリットを加味して最適な設定が選択することができる。
【0107】
図16は、改善寄与度を示す棒グラフである。棒グラフ1600において、横軸はCzを示し、縦軸は改善寄与度を示す。C1(出荷予測値)においては、比較C1-2の改善寄与度が最も高いことがわかる。したがって、予測ツール312の誤差が比較C1-2の誤差E1相当になるように予測ツール312を改修すればよいことがわかる。また、比較C1-2にまで改修すると実運用環境320と同等の結果になることがわかる。
【0108】
また、比較C1-3にまで予測ツール312を改修すると、間口最適化ツール314(探索機能342、計画シミュレータ341)が現状のままでも、実運用環境320の補充点方式よりも25%優れた効果を奏することがわかる。
【0109】
また、C2(探索回数)とC3(計画シミュレータ)とを比較すると、C3(計画シミュレータ)の方が、改善寄与度が高いことがわかる。したがって、ユーザは、予測ツール312の比較C1-2までの改修の次に、計画シミュレータ341を比較C3―1まで改善すれば、全体の改善効果がC2(探索回数)を改善するよりも高くなることがわかる。
【0110】
評価装置300は、ステップS805において、表1500および棒グラフ1600を表示可能に出力する。具体的には、たとえば、評価装置300は、表1500および棒グラフ1600を、出力デバイス704の一例である表示装置に表示したり、通信IF705を介して他の計算機に送信したりする。
【0111】
<予測最適化検証2>
図17は、予測最適化検証2を示すブロック図である。予測最適化検証2は、実運用326をしながら性能変化対象のツールをモニタリングする予測最適化検証である。予測最適化検証2は、
図3の予測最適化検証1をせずに実行されてもよく、
図3の予測最適化検証1による性能変化対象のツールの改善後に実行されてもよい。
【0112】
図3の予測最適化検証1との相違点は、検証環境310では、評価装置300は、性能変化対象のツールを用いずに、出荷実績DB311の出荷実績データ401を入力して計画算出1711を実行し、実計画データ325、すなわち、在庫データ500を生成する。そして、検証環境310では、評価装置300は、実計画データ325(すなわち、在庫データ500)を補充運用シミュレータ316に入力して補充運用を模擬し、模擬結果1717を出力する。すなわち、評価装置300は、
図6に示したように、ステップS601~S604を実行して、定期補充回数611および緊急補充回数612を出力する。
【0113】
これに対し、実運用環境320では、
図3の予測最適化検証1における検証環境310と同様に、評価装置300は、予測に基づく計画データ315、すなわち、最適化結果510を生成する。そして、評価装置300は、予測に基づく計画データ315(最適化結果510)を用いて在庫データ500を更新し、更新後の在庫データ500で倉庫100の実運用326を行い、実運用結果1727(実定期補充回数911、実緊急補充回数912)を出力する。
【0114】
このあと、評価装置300は、
図8のステップS801で示したように、実運用結果1727と模擬結果1717とを比較して、実運用結果1727が正しいか否かを判定する。具体的には、たとえば、実定期補充回数911と定期補充回数611との差があらかじめ設定された第1許容範囲内であり、かつ、実緊急補充回数912と緊急補充回数612との差があらかじめ設定された第2許容範囲内であれば、評価装置300は、実運用結果1727が正しいと判定する。このようにして、予測最適化検証2では、評価装置300は、実運用326をしながら性能変化対象のツールをモニタリングすることができる。
【0115】
以上説明したように、上述した評価装置300によれば、最良の評価値(運用工数)に対する改善割合を改善度として提示することができる。具体的には、たとえば、ユーザは、改善寄与度が大きいほど、改修効果が高いと判定することができる。また、予測ツール324や間口最適化ツール314の性能変化を段階的に実施することで、ユーザは、予測ツール324や間口最適化ツール314の改修の感度が分かり、どの程度改善する必要があるかを判定することができる。
【0116】
また、現状の検証環境310の性能の初期値として、特定の1つの性能(たとえば、
図10に示した予測ツール312の精度)を変化させて評価したが、
図12や
図13に示したように、複数機能の性能を同時に変化させて組み合わせることで、改善の組み合わせによる効果の検証や特定の性能の初期値を変更する検証ができるようになる。特定の性能の初期値を変更する検証としては、たとえば、予測ツール312の性能が出荷実績値である場合の間口最適化ツール314の性能変化の影響を確認する検証である。
【0117】
なお、上述した説明では、予測ツール324や間口最適化ツール314の性能を3段階で変化させたが、3段階に限定されず、2段階以上あればよい。また、評価装置300は、ステップS803~S805の処理をすべて実行する必要はなく、ステップS803~S805のうち少なくとも1つを実行すればよい。
【0118】
また、上述した説明では、対象となる性能を、予測ツール312の精度や間口最適化ツール314の探索回数、計画シミュレータ341の改修状態としたが、これらには限定されない。性能変化の対象となるツールは、一方のツールの出力が他方のツールの入力に用いられるなど、複数のツール間で連携するような構成であれば、予測ツール312および間口最適化ツール314以外の他のツールでもよい。
【0119】
また、上述した説明では、評価装置300の内部に予測ツール324や間口最適化ツール314といった性能変化対象となる各種ツールを実装したが、ツール自体は評価装置300外の外部の計算機700に実装されてもよい。この場合、評価装置300は、当該外部の計算機700が計算した予測に基づく計画データ315を当該外部の計算機700から取得することになる。
【0120】
また、補充運用シミュレータ316も当該外部の計算機700に実装されてもよい。この場合、評価装置300は、当該外部の計算機700が計算した模擬結果317を当該外部の計算機700から取得することになる。
【0121】
また、上述した評価装置300は、下記(1)~(8)のように構成することもできる。
【0122】
(1)プログラムを実行するプロセッサ701と、前記プログラムを記憶する記憶デバイス702と、を有する評価装置300であって、前記プロセッサ701は、
第1計画データ(実計画データ325)に基づく運用対象(倉庫100)の実運用結果(実運用結果327)に基づいて、性能変化対象(ツール)により前記第1計画データを更新した第2計画データ(予測に基づく計画データ315)を用いて前記運用対象を模擬した模擬結果317の正しさを判定する第1判定処理(ステップS801)と、
前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合(ステップS801:Yes)、前記実運用結果の第1評価値(実運用工数1040)との差が、前記模擬結果の第2評価値(検証環境310の運用工数613)と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象の性能(誤差E0、探索回数、計画シミュレータの改修状態)を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値(比較Cx-yの運用工数613)を算出する算出処理(ステップS803~S805)と、
前記第1評価値、前記第2評価値、および、前記算出処理によって算出された前記各段階の第3評価値を出力する出力処理(ステップS803~S805)と、を実行する。
【0123】
これにより、ユーザは、第1評価値(実運用工数1040)、第2評価値(検証環境310の運用工数613)、および第3評価値(ツールを性能変化させた際に算出される運用工数613)を参照することができ、性能変化対象をどのくらい改善すればよいかを直感的に把握することができる。
【0124】
(2)上記(1)の評価装置300において、
前記第1判定処理では、前記プロセッサ701は、前記実運用結果に基づいて、複数の前記性能変化対象の組み合わせ(予測ツール312および間口最適化ツール314)により前記第1計画データを更新した第2計画データを用いて前記運用対象を模擬した模擬結果の正しさを判定し、
前記算出処理では、前記プロセッサ701は、前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記第1評価値との差が、前記第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、複数の前記性能変化対象の組み合わせのうち少なくとも1つの性能変化対象の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する。
【0125】
これにより、表1500に示したように、複合的な性能変化対象に対しても、ユーザは、第1評価値(実運用工数1040)、第2評価値(検証環境310の運用工数613)、および第3評価値(複数のツールのうちの少なくとも1つを性能変化させたときの運用工数613)を参照することができ、性能変化対象をどのくらい改善すればよいかを直感的に把握することができ、性能変化の採用基準として用いることができる。
【0126】
(3)上記(1)または(2)の評価装置300において、
前記算出処理では、前記プロセッサ701は、前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記第1評価値との差が、前記第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記性能変化対象が有する複数の性能のうち1以上の性能を段階的に変化させた場合の複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する。
【0127】
これにより、表1000、1200、1300、1500に示したように、複合的な性能に対しても、ユーザは、第1評価値(実運用工数1040)、第2評価値(検証環境310の運用工数613)、および第3評価値(ツールが有する複数の性能のうちの少なくとも一つを性能変化させたときの運用工数613)を参照することができ、性能変化対象をどのくらい改善すればよいかを直感的に把握することができ、性能変化の採用基準として用いることができる。
【0128】
(4)上記(1)の評価装置300において、
前記プロセッサ701は、
前記第1判定処理によって前記模擬結果が正しいと判定された場合、前記模擬結果が前記実運用結果に比べて良好か否かを判定する第2判定処理(ステップS802)を実行し、前記算出処理では、前記プロセッサ701は、前記第2判定処理によって前記模擬結果が良好でないと判定された場合(ステップS802:No)、前記第1評価値との差が、前記第2評価値と前記第1評価値との差よりも小さくなるように、前記複数段階の前記模擬結果の第3評価値を算出する。
【0129】
これにより、改善分析(ステップS803~S805)の要否を判断し、することができる。改善分析(ステップS803~S805)が必要な場合にのみ実行することができる。
【0130】
(5)上記(1)の評価装置300において、
前記算出処理では、前記プロセッサ701は、前記第2評価値から前記複数段階の第3評価値の最後の段階(比較Cx-3)の第3評価値までに、前記性能の変化により前記模擬結果がどの程度改善したかを示す改善度を段階ごとに算出し、
前記出力処理では、前記プロセッサ701は、前記算出処理によって段階ごとに算出された改善度を出力する。
【0131】
これにより、表1500に示したように改善割合が改善度として定量化されるため、ユーザは、各段階の性能変化によりどの程度運用工数613が改善するかを把握することができ、性能変化の採用基準として用いることができる。
【0132】
(6)上記(5)の評価装置300において、
前記算出処理では、前記プロセッサ701は、連続する2つの段階(比較Cx-(y-1)、比較Cx-y)の改善度と、前記第1評価値と、前記第3評価値と、に基づいて、前記連続する2つの段階間の前記性能の変化により前記模擬結果の改善がどの程度寄与したかを示す改善寄与度を算出し、
前記出力処理では、前記プロセッサ701は、前記算出処理によって段階ごとに算出された改善寄与度を出力する。
【0133】
これにより、表1500に示したように改善割合の寄与率が改善寄与度として定量化されるため、ユーザは、各段階の性能変化により運用工数613の改善がどの程度寄与しているかを把握することができ、性能変化の採用基準として用いることができる。
【0134】
(7)上記(6)の評価装置300において、
前記出力処理では、前記プロセッサ701は、前記性能ごとに前記複数段階の前記改善寄与度を示すグラフ(棒グラフ1600)を出力する。
【0135】
これにより、ユーザは、どの性能のどの段階がどのくらい改善に寄与しているかを把握することができ、性能変化の採用基準として用いることができる。
【0136】
(8)上記(1)の評価装置300において、
前記出力処理では、前記プロセッサは、前記複数段階の各段階における前記性能変化対象の計算時間を出力する。
【0137】
これにより、ユーザは、性能変化に要する時間を把握することができ、性能変化の採用基準として用いることができる。
【0138】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。たとえば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
【0139】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、たとえば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサ701がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0140】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【0141】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0142】
100 倉庫
101 物品
300 評価装置
310 検証環境
312 予測ツール
314 間口最適化ツール
315 予測に基づく計画データ
316 補充運用シミュレータ
317 模擬結果
310 実運用環境
320 検証環境
324 予測ツール
325 実計画データ
326 実運用
327 実運用結果
341 計画シミュレータ
342 探索機能
361 定期補充
362 ピッキング作業
363 緊急補充
401 出荷実績データ
402 出荷予測データ
500 在庫データ
510 最適化結果
700 計算機
701 プロセッサ
702 記憶デバイス