IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コーワの特許一覧

<>
  • 特開-ヘアブラシ 図1
  • 特開-ヘアブラシ 図2
  • 特開-ヘアブラシ 図3
  • 特開-ヘアブラシ 図4
  • 特開-ヘアブラシ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035543
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ヘアブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/02 20060101AFI20240307BHJP
   A46B 5/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A46B9/02
A46B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140068
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】中川 和紀
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202BA13
3B202BA30
3B202CA02
3B202EC06
3B202EC07
3B202ED08
3B202EE01
3B202EF03
3B202EG16
(57)【要約】
【課題】 1回のブラッシングで多数の毛髪を直線状に細分化してきれいな仕上がりを得ることができるヘアブラシを提供する。
【解決手段】 ヘアブラシ10は、基台1の長手方向に多数のブラシ片3a、3b、3cを植設してブラシ列2a、2b、2cを形成すると共に、ブラシ列2a、2b、2cを基台1の短手方向に沿って3列形成したものであり、一方の側面側から1列目のブラシ列2aを側面視した状態において、2列目のブラシ片3bの軸中心は、隣り合う1列目のブラシ片3a、3aの軸中心の間に1つのみ形成されており、一方の側面側から1列目及び2列目のブラシ列2a、2bを側面視した状態において、3列目のブラシ片3cの軸中心は、隣り合う1列目及び2列目のブラシ片3a、3bの軸中心の間に1つのみ形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の長手方向に多数のブラシ片を植設してブラシ列を形成すると共に、該ブラシ列を基台の短手方向に沿って3列以上の複数列形成したヘアブラシであって、
前記ヘアブラシは、一方の側面側からN列目(N:整数)のブラシ列を側面視した状態において、N+1列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されており、
一方の側面側からN列目及びN+1列目のブラシ列を側面視した状態において、N+2列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目及びN+1列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されていることを特徴とするヘアブラシ
【請求項2】
ヘアブラシは、一方の側面側からN+2列目のブラシ片が、N列目のブラシ片とN+1列目のブラシ片の略中間位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘアブラシ
【請求項3】
ヘアブラシは、一方の側面側からN+M列目(M≧2:整数)のブラシ片の軸中心が、N列目からN+M-1列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されるように、N+1列目からN+M列目の各列が並んでいることを特徴とする請求項1に記載のヘアブラシ
【請求項4】
ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間をN+M列目のピッチ幅とした場合に、N+M列目のピッチ幅の最大値はN+M-1列目のピッチ幅の最小値よりも小であることを特徴とする請求項3に記載のヘアブラシ
【請求項5】
ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間をN+M列目のピッチ幅とした場合に、N+M列目のブラシ片の軸中心が、N+M-1列目のピッチ幅の略中間位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のヘアブラシ
【請求項6】
ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目の各々のブラシ列において、隣り合うブラシ片の間隔が略等間隔となるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のヘアブラシ
【請求項7】
ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、各々のブラシ片は重ならない位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のヘアブラシ
【請求項8】
ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、
一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の線径が小となるように形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のヘアブラシ
【請求項9】
ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、
一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の曲げ剛性が小となるように形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のヘアブラシ
【請求項10】
ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、
一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の本数が増加するにように形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のヘアブラシ
【請求項11】
ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、
一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の毛丈が短くなるように形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のヘアブラシ
【請求項12】
基台は軸体と、該軸体に支持される複数のブラシユニットと、を有し、
前記ブラシユニットは、複数のブラシ片が植設されていると共に、弾性を有しており、使用時に揺動可能に形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のヘアブラシ
【請求項13】
各々のブラシ列において、隣り合うブラシ片は、異なるブラシユニットに形成されていることを特徴とする請求項12に記載のヘアブラシ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台の長手方向に多数のブラシ片を植設してブラシ列を形成すると共に、該ブラシ列を基台の短手方向に沿って複数列形成したヘアブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、単体で段階的なブラッシングに対応することを可能にしたヘアブラシが知られている。(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のヘアブラシは、ヘアブラシ筐体に多数の整列した櫛歯素子を具備する固定支持板と、多数の整列した櫛歯素子を具備し且つ前記固定支持板に対して摺動可能に並設された可動支持板とを有し、前記可動支持板にこの可動支持板を背部から摺動操作する為の操作端子を前記ヘアブラシ筐体に穿設した長穴を介して突出するように設け、前記固定支持板の櫛歯素子の位置と前記可動支持板の櫛歯素子の位置との相対位置について直線的配列関係と千鳥的配列関係の2位置を選択的に切替え得るようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-35135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1に記載のヘアブラシは、固定支持板の櫛歯素子の位置と可動支持板の櫛歯素子の位置との相対位置が千鳥的配列関係にした場合の1回のブラッシングにおいて、外側の列の櫛歯素子から内側の列の櫛歯素子に多数の毛髪が通過するに際して毛髪の量が半分に分けられるのみであって、さらに細分化されるものではなかった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、1回のブラッシングで多数の毛髪を直線状に細分化してきれいな仕上がりを得ることができるヘアブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、基台の長手方向に多数のブラシ片を植設してブラシ列を形成すると共に、該ブラシ列を基台の短手方向に沿って3列以上の複数列形成したヘアブラシであって、前記ヘアブラシは、一方の側面側からN列目(N:整数)のブラシ列を側面視した状態において、N+1列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されており、一方の側面側からN列目及びN+1列目のブラシ列を側面視した状態において、N+2列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目及びN+1列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、3列以上の複数列形成したヘアブラシにおいて、一方の側面側からN列目のブラシ列を側面視した状態において、N+1列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されており、且つ、一方の側面側からN列目及びN+1列目のブラシ列を側面視した状態において、N+2列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目及びN+1列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されている構成としたので、1回のブラッシングで多数の毛髪を直線状に細分化してきれいな仕上がりを得ることができる。尚、一方の側面側からブラシ列を側面視するとは、ブラシ列の長手方向に対して90度の角度を有する一方の側面方向から視た場合を意味しており、以下の請求項も同様である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ヘアブラシは、一方の側面側からN+2列目のブラシ片が、N列目のブラシ片とN+1列目のブラシ片の略中間位置に形成されていることを特徴としている。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができ、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、ヘアブラシは、一方の側面側からN+M列目(M≧2:整数)のブラシ片の軸中心が、N列目からN+M-1列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されるように、N+1列目からN+M列目の各列が並んでいることを特徴としている。これにより、列の数を増やすことによって、段階的に毛髪を細分化することができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間をN+M列目のピッチ幅とした場合に、N+M列目のピッチ幅の最大値はN+M-1列目のピッチ幅の最小値よりも小であることを特徴としている。これにより、列の数を増やすことによって、段階的に毛髪を細分化することができると共に、確実にブラッシング方向に沿って多数の毛髪を直線状に細分化できるため、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間をN+M列目のピッチ幅とした場合に、N+M列目のブラシ片の軸中心が、N+M-1列目のピッチ幅の略中間位置に形成されていることを特徴としている。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができ、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項3の発明において、ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目の各々のブラシ列において、隣り合うブラシ片の間隔が略等間隔となるように形成されていることを特徴としている。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項3の発明において、ヘアブラシは、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、各々のブラシ片は重ならない位置に形成されていることを特徴としている。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の線径が小となるように形成されていることを特徴としている。これにより、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぎながら、毛髪の細分化を促進させることができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の曲げ剛性が小となるように形成されていることを特徴としている。これにより、毛材の曲げ剛性が大のブラシ片で毛髪を確実に梳きながら、徐々に細分化された毛髪の抵抗に合わせて、ブラシ片の毛材の曲げ剛性が小となるため、ブラッシング時に発生する摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぎながら、段階的に毛髪を細分化することができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の本数が増加するにように形成されていることを特徴としている。これにより、ブラッシングされる毛髪の細分化を促進させることができる。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、ヘアブラシは、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の毛丈が短くなるように形成されていることを特徴としている。これにより、一方の側面側のブラシ列のブラシ片で梳かれた毛髪に対して、隣り合うブラシ列のブラシ片を順次挿入することができるため、ブラッシング時に発生する摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができると共に、ブラッシング方向に沿って多数の毛髪を直線状に細分化できるため、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0019】
請求項12の発明は、請求項1~7のいずれかの発明において、基台は軸体と、該軸体に支持される複数のブラシユニットと、を有し、前記ブラシユニットは、複数のブラシ片が植設されていると共に、弾性を有しており、使用時に揺動可能に形成されていることを特徴としている。これにより、頭の曲面に沿ってブラッシングすることができると共に、ブラシ片間の距離が変化するため、一層摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0020】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、各々のブラシ列において、隣り合うブラシ片は、異なるブラシユニットに形成されていることを特徴としている。これにより、より確実に同列内の隣り合うブラシ片間の距離が変化するため、一層摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1のヘアブラシの発明は、1回のブラッシングで多数の毛髪を直線状に細分化してきれいな仕上がりを得ることができる。また、請求項2及び5の発明は、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができ、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。また、請求項3及び4の発明は、段階的に毛髪を細分化することができ、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。また、請求項6及び7の発明は、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0022】
請求項8及び10の発明は、ブラッシングされる毛髪の細分化を促進させることができる。また、請求項9及び11の発明は、ブラッシング時に発生する摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。また、請求項12及び13の発明は、頭の曲面に沿ってブラッシングすることができると共に、ブラシ片間の距離が変化するため、一層摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るヘアブラシを示す斜視図
図2】(a)本発明に係るヘアブラシを示す平面図(b)本発明に係るヘアブラシを示す左側面図(c)本発明に係るヘアブラシを示す背面図
図3】(a)図2(a)の一部拡大図(b)図2(b)の一部拡大図(c)図2(c)の一部拡大図
図4】(a)本発明に係るヘアブラシの使用時の状態を示す斜視図(b)本発明に係るヘアブラシの使用時の状態を示す透視図
図5】(a)本発明に係るヘアブラシの第2実施形態を示す斜視図(b)本発明に係るヘアブラシの他の実施形態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図1は、本発明に係るヘアブラシを示す斜視図であり、図2(a)は、同平面図、図2(b)は、同左側面図、図2(c)は、同背面図である。また、図3(a)は、図2(a)の一部拡大図、図3(b)は、図2(b)の一部拡大図、図3(c)は、図2(c)の一部拡大図である。これらの図を用いて本発明に係るヘアブラシの詳細について説明する。
【0025】
本発明に係るヘアブラシ10は、基台1の長手方向に多数のブラシ片3a、3b、3cを植設してブラシ列2a、2b、2cを形成すると共に、ブラシ列2a、2b、2cを基台1の短手方向に沿って3列形成したものである。そして、基台1は軸体4と、軸体4に支持される複数のブラシユニット5a、5bとを有しており、ブラシユニット5aはブラシ片3cが植設されていると共に、5bは複数のブラシ片3a、3b、3cが植設されている。また、ブラシユニット5a、5bは共に、弾性を有しており、使用時に揺動可能となるように形成されている。また、各々のブラシ列2a、2b、2cにおいて、隣り合うブラシ片は、異なるブラシユニット5a、5b又は5b、5bに形成されている。
【0026】
また、ブラシユニットは、軸体の長手方向に対して略90度の角度を有する方向に折れ曲がった第3支持片6cの先端にブラシ片3cを備えた第1ブラシユニット5aと、軸体4の長手方向に対して略90度の角度を有する方向に折れ曲がった第3支持片6cの先端に第3ブラシ片3cを備え、該第3支持片6cの先端から、第3支持片6cの長手方向に対して略30度の角度を有する方向(図2(a)において斜め下方向)に折れ曲がった第2支持片6bの先端に第2ブラシ片3bを備え、該第2支持片6bの先端から、第2支持片6bの長手方向に対して略90度の角度を有する方向(図2(a)において斜め上方向)に折れ曲がった第1支持片6aの先端に第1ブラシ片3aを備えてなる第2ブラシユニット5bとから構成されており、第1ブラシユニット5aと第2ブラシユニット5bは軸体4の長手方向を中心として左右対称に形成されていると共に、軸体4の長手方向に交互に形成されている。第2ブラシユニット5bは、第1支持片6aの長手方向に対する第2支持片6bと第3支持片6cの折り曲げ方向を異ならせることによって、ヘアブラシ10をコンパクトな形状にすることができると共に、軸体4の長手方向に対して90度の角度を有する方向にブラッシングする際に、第3支持片6cと軸体4との交差部分に負荷がかかり過ぎないようにしている。
【0027】
軸体4の長手方向の一方の端部には、把持体7が形成されており、この把持体7は、ヘアブラシ10の使用時に使用者が把持する部分である。尚、ヘアブラシ10においては、軸体4、ブラシユニット5a、5b及び把持体7を一体的に形成しているが、各々別体を連結する構成としてもよく、これも本発明に含まれる。
【0028】
ヘアブラシ10は、一方の側面側から1列目のブラシ列2aを側面視した状態において、2列目のブラシ片3bの軸中心は、隣り合う1列目のブラシ片3a、3aの軸中心の間に1つのみ形成されており、一方の側面側から1列目及び2列目のブラシ列2a、2bを側面視した状態において、3列目のブラシ片3cの軸中心は、隣り合う1列目及び2列目のブラシ片3a、3bの軸中心の間に1つのみ形成されている。
【0029】
上記実施形態は、軸体を中心にして左右対称に3列のブラシ列を有する場合の例であるが、ブラシ列が4列以上の場合でも本発明にかかるブラシ列が3列含まれていればよいものであり、これを一般化すると、一方の側面側からN列目(N:整数)のブラシ列を側面視した状態において、N+1列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されており、一方の側面側からN列目及びN+1列目のブラシ列を側面視した状態において、N+2列目のブラシ片の軸中心は、隣り合うN列目及びN+1列目のブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されていると表すことができ、これも本発明に含まれる。これにより、1回のブラッシングで多数の毛髪を直線状に細分化してきれいな仕上がりを得ることができる。尚、一方の側面側からブラシ列を側面視するとは、ブラシ列の長手方向に対して90度の角度を有するどちらか一方の側面方向から視た場合を意味している。
【0030】
ヘアブラシ10は、一方の側面側から3列目のブラシ片3cが、1列目のブラシ片3aと2列目のブラシ片3bの略中間位置に形成される構成としている。これをブラシ列が4列以上の場合も含まれるように一般化すると、ヘアブラシは、一方の側面側からN+2列目のブラシ片が、N列目のブラシ片とN+1列目のブラシ片の略中間位置に形成されていると表すことができ、これも本発明に含まれる。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができ、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0031】
ヘアブラシ10は、一方の側面側から3列目のブラシ片3cの軸中心が、1列目から2列目のブラシ片3a、3bを並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片3a、3bの軸中心の間に1つのみ形成されるように、1列目から3列目の各列が並んでいる構成としている。これをブラシ列2a~2cが4列以上の場合も含まれるように一般化すると、ヘアブラシは、一方の側面側からN+M列目(M≧2:整数)のブラシ片の軸中心が、N列目からN+M-1列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間に1つのみ形成されるように、N+1列目からN+M列目の各列が並んでいると表すことができ、これも本発明に含まれる。これにより、列の数を増やすことによって、段階的に毛髪を細分化することができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0032】
尚、本発明に係るヘアブラシ10は、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間をN+M列目のピッチ幅(B又はB′)とした場合に、N+M列目のピッチ幅(B又はB′)の最大値はN+M-1列目のピッチ幅(A又はA′)の最小値よりも小であることが好ましい(図3(a)及び図3(b)参照)。これにより、列の数を増やすことによって、段階的に毛髪を細分化することができると共に、確実にブラッシング方向に沿って多数の毛髪を直線状に細分化できるため、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0033】
また、本発明に係るヘアブラシ10は、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、隣り合うブラシ片の軸中心の間をN+M列目のピッチ幅(B又はB′)とした場合に、N+M列目のブラシ片3cの軸中心が、N+M-1列目のピッチ幅(A又はA′)の略中間位置に形成されているのが好ましい(図3(a)及び図3(b)参照)。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができ、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0034】
また、本発明に係るヘアブラシ10は、一方の側面側のN列目からN+M列目の各々のブラシ列2a、2b、2cにおいて、隣り合うブラシ片の間隔が略等間隔となるように形成されているのが好ましい。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0035】
また、本発明に係るヘアブラシ10は、一方の側面側のN列目からN+M列目のブラシ片を並べて側面視した状態で、各々のブラシ片3a、3b、3cは重ならない位置に形成されているのが好ましい(図3(b)参照)。これにより、細分化される毛髪の偏りを防ぐことができると共に、効率よくブラシ片を配置することで、ブラッシング時の摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができる。
【0036】
ヘアブラシ10は、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の線径が小となるように形成されているのが好ましい。これにより、一方の側面側のブラシ列2aのブラシ片3aは毛材の線径が大であり、毛髪を確実に分けることができると共に、分けられた毛髪に対しては毛材の線形が徐々に小となるブラシ片3b、3cを順次当接させることで、ブラッシング時に発生する摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防きながら、毛髪の細分化を促進させることができる。
【0037】
ヘアブラシ10は、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の曲げ剛性が小となるように形成されているのが好ましい。これにより、一方の側面側のブラシ列2aのブラシ片3aは毛材の曲げ剛性が大であり、毛髪を確実に梳かすことができると共に、梳かされることで徐々に細分化された毛髪に対して、毛材の曲げ剛性が小となるブラシ片3b、3cを順次当接させることで、ブラッシング時に発生する摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防きながら、段階的に毛髪を細分化することができる。
【0038】
ヘアブラシ10は、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の本数が増加するにように形成されているのが好ましい。これにより、ブラッシングされる毛髪の細分化を促進させることができる。
【0039】
ヘアブラシ10は、ブラシ片が、単一の毛材又は、複数の毛材を集束させた毛材束で形成されているものであって、一方の側面側から他方の側面側に向かい、隣り合うブラシ列のブラシ片は、徐々に毛材の毛丈が短くなるように形成されているのが好ましい(図3(c)参照:傾斜角度aの割合で毛丈が徐々に短くなっている。)。これにより、一方の側面側のブラシ列のブラシ片で梳かれた毛髪に対して、隣り合うブラシ列のブラシ片を順次挿入することができるため、ブラッシング時に発生する摩擦抵抗を抑制して毛髪にダメージを与えるのを防ぐことができると共に、ブラッシング方向に沿って多数の毛髪を直線状に細分化できるため、さらにきれいな仕上がりを得ることができる。
【0040】
図4(a)は、本発明に係るヘアブラシの使用時の状態を示す斜視図であり、図4(b)は、本発明に係るヘアブラシの使用時の状態を示す透視図である。これらの図を用いて本発明に係るヘアブラシの使用方法について以下に説明する。
【0041】
図4(a)に示すように、ヘアブラシ10は、軸体の長手方向に対して略90度の角度を有する矢印X方向にブラッシングするものであり、ヘアブラシ10を把持する使用者の腕を矢印Y方向にスナップすることによって、ブラシ片は、一方の側面側の1列目から2列目、3列目と順番に毛髪8に挿入されるようにしてブラッシングされることによって、毛髪は細分化されて梳かれる。尚、ヘアブラシ10は軸体の長手方向を中心として左右対称にブラシユニットを形成させており、これは使用者がヘアブラシ10を持ち替えることなく、頭部の左右両側の毛髪8を梳けるようにしたものである。
【0042】
また、ブラッシング時には、図4(b)に示すように、一方の側面側から1列目のブラシ片3aは、ナイロンピンで形成されているため、後方側に多少の隙間を生じさせながら確実に分けることができる。また、一方の側面側から2列目のブラシ片3bは、豚毛の毛材束で形成されているため、毛材束を通過した毛髪8も細分化されることとなる。また、一方の側面側から3列目のブラシ片3cは、馬毛の毛材束で形成されているため、毛材束を通過した毛髪8も細分化されることとなる。尚、3列目のブラシ片3cを構成する毛材束の毛材の線径は、2列目のブラシ片3bを構成する毛材束の毛材の線径よりも細くしているので、より細分化することができる。尚、ブラシ片は3a、3b、3cの順に、ナイロンピン、豚毛、馬毛とすることで材質により毛材の曲げ剛性が徐々に小となるように形成しているが、同一材質であっても、毛丈や毛材の線径によって、毛材の曲げ剛性を調整した場合も本発明に含まれる。
【0043】
図5(a)本発明に係るヘアブラシの第2実施形態を示す斜視図であり、図5(b)は、同平面図である。第2実施形態のヘアブラシ20は、略長方形状の平面11aを備えた基台11と、この基台11の下方に一体的に形成された把持体17とから構成されており、基台の平面11aの長手方向に多数のブラシ片13a、13b、13c、13d、13eを植設してブラシ列12a、12b、12c、12d、12eを形成すると共に、ブラシ列12a、12b、12c、12d、12eを基台11の短手方向中央から左右対称に5列形成したものである。また、ブラシ片13a、13b、13c、13d、13eは全て同径のナイロンピンから構成されている。尚、ブラシ片13a、13b、13c、13d、13eの配列方法については第1実施形態と同様なので説明は省略する。また、第1実施形態のヘアブラシ10と第2実施形態のヘアブラシ20は共に、左右対称に一方の側面側又は他方の側面側から3列以上の列が形成される構成としているが、左右対称ではなく、どちらか一方側の側面側から他方の側面側に亘って3列以上の列が形成される構成としてもよく、これも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るヘアブラシは、髪の毛を梳かす道具として利用される。
【符号の説明】
【0045】
1、11 基台
2a、2b、2c、12a、12b、12c、12d、12e ブラシ列
3a、3b、3c、13a、13b、13c、13d、13e ブラシ片
4 軸体
5a 第1ブラシユニット
5b 第2ブラシユニット
6a 第1支持片
6b 第2支持片
6c 第3支持片
7、17 把持体
8 毛髪
10、20 ヘアブラシ
X、Y 矢印
A、A′、B、B′ ピッチ幅
a 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5