(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035550
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】回転伝達装置及び操舵装置
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140077
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光司
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB31
3D333CB46
3D333CC23
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD10
3D333CD14
3D333CD19
3D333CE53
(57)【要約】
【課題】回転の入力に対して回転を規制する位置の設定の自由度を高める。
【解決手段】回転軸4と、回転軸4を回転自在に支持するケース21と、回転軸4の回転に伴って回転するキー部材31と、キー部材31に対して進退するロックバー32と、ロックバー32に設けられる係合部32aと、キー部材31に設けられキー部材31の回転方向に沿って互いに異なる方位に係合部32aが噛み合う凸部aを備える複数の規制領域A,B,C・・・とを備え、ロックバー32の進退により、係合部32aに対向する規制領域A,B,C・・・を変化させることで回転軸4の軸回り回転範囲を変更可能とした回転伝達装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(4)と、
前記回転軸(4)を回転自在に支持するケース(21)と、
前記回転軸(4)の回転に伴って回転するキー部材(31)と、
前記キー部材(31)に対して進退するロックバー(32)と、
前記ロックバー(32)に設けられる係合部(32a)と、
前記キー部材(31)に設けられ、前記キー部材(31)の回転方向に沿って互いに異なる方位に前記係合部(32a)が噛み合う凸部(a)を備える複数の規制領域(A,B,C・・・)と、
を備え、
前記ロックバー(32)の進退により、前記係合部(32a)に対向する前記規制領域(A,B,C・・・)を変化させることで前記回転軸(4)の軸回り回転範囲を変更可能とした回転伝達装置。
【請求項2】
前記キー部材(31)は、前記回転軸(4)と同軸心に設けられた環状部材であり、
複数の前記規制領域(A,B,C・・・)は、前記環状部材の回転中心の方向に沿って並列している請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項3】
前記ロックバー(32)の進退は、ソレノイド(33)への通電及び通電の解除によって制御される請求項1に記載の回転伝達装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の回転伝達装置を用いた操舵装置であって、
前記回転軸(4)はステアリングシャフトであり、前記ステアリングシャフトの軸回り回転に基づいて転舵部材(3,3)の向きを変化させる転舵アクチュエータ(2)と、前記ステアリングシャフトに操舵反力を付与する反力モータ(6)を備えている操舵装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一つに記載の回転伝達装置を用いた操舵装置を搭載した輸送用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転伝達装置及びその回転伝達装置を用いた操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者によるステアリングホイールの回転操作に応じて車両の転舵輪(一般には前輪)の向きを変化させる車両用の操舵装置として、ステアバイワイヤ方式のものが知られている。ステアバイワイヤ方式の操舵装置は、ステアリングホイールの操作量を検知する操舵センサと、ステアリングホイールに対して機械的に切り離して設けられた転舵アクチュエータとを有し、その転舵アクチュエータが、操舵センサで検知されるステアリングホイールの操作量に応じて作動し、左右一対の転舵輪の向きを変化させる。
【0003】
ステアバイワイヤ方式の操舵装置においては、運転者によって回転操作されるステアリングホイールと、左右一対の転舵輪の向きを変化させる転舵アクチュエータとが機械的に切り離されている。そのため、運転者が、車両停車中にステアリングホイールを操作して転舵輪の向きがその移動限界(ストロークエンド)に到達したときにも、運転者は、さらにステアリングホイールを回転操作することが可能である。そのため、転舵輪の向きがストロークエンドに到達しているにもかかわらず、運転者は、転舵輪の向きがストロークエンドに到達していることに気付かないという問題が生じる。
【0004】
そこで、特許文献1の操舵装置では、ステアリングホイールに連結されているステアリングシャフトと、ステアリングシャフトを回転可能に収容するステアリングコラムとの間に、ステアリングホイールの操舵角が閾値角度を超えないように機械的に規制する規制機構を備えている。規制機構は、ステアリングシャフトに設けられている第1係止部と、ステアリングコラム内に設けられている第2係止部とを備え、第1係止部と第2係止部とが当接することで、それ以上のステアリングシャフトの軸回り回転を規制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、ステアリングシャフト側の第1係止部とステアリングコラム側の第2係止部とでステアリングシャフトの軸回り回転を規制すると、ステアリングシャフトの軸回り1回転(360度)を超える範囲で、その回転を規制することができないという問題がある。すなわち、ステアリングの中立位置から最大で右側へ180度、左側へ180度の範囲内でしか、その回転を規制できない。
【0007】
そこで、この発明の課題は、回転の入力に対して回転を規制する位置の設定の自由度を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明は、回転軸と、前記回転軸を回転自在に支持するケースと、前記回転軸の回転に伴って回転するキー部材と、前記キー部材に対して進退するロックバーと、前記ロックバーに設けられる係合部と、前記キー部材に設けられ、前記キー部材の回転方向に沿って互いに異なる方位に前記係合部が噛み合う凸部を備える複数の規制領域と、を備え、前記ロックバーの進退により、前記係合部に対向する前記規制領域を変化させることで前記回転軸の軸回り回転範囲を変更可能とした回転伝達装置を採用した。
【0009】
ここで、前記キー部材は、前記回転軸と同軸心に設けられた環状部材であり、複数の前記規制領域は、前記環状部材の回転中心の方向に沿って並列している構成を採用できる。
【0010】
また、前記ロックバーの進退は、ソレノイドへの通電及び通電の解除によって制御される構成を採用できる。
【0011】
これらの各態様からなる回転伝達装置を用いた操舵装置であって、前記回転軸はステアリングシャフトであり、前記ステアリングシャフトの軸回り回転に基づいて転舵部材の向きを変化させる転舵アクチュエータと、前記ステアリングシャフトに操舵反力を付与する反力モータを備えている操舵装置を採用できる。
【0012】
また、これらの各態様からなる回転伝達装置を用いた操舵装置を搭載した輸送用機器を採用できる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、回転の入力に対して回転を規制する位置の設定の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明のステアバイワイヤ方式の操舵装置を模式的に示す図
【
図2】この発明の一実施形態の回転伝達装置近傍の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、この発明に係る回転伝達装置を用いた操舵装置の実施形態を示す。この操舵装置は、運転者によるステアリングホイール1の操作量を電気信号に変換し、その電気信号に基づいて転舵アクチュエータ2を制御することで、転舵部材3の向きを変化させるステアバイワイヤ方式のものである。
【0016】
操舵装置は、
図1に示すように、運転者により操舵されるステアリングホイール1と、ステアリングホイール1に連結されたステアリングシャフト4と、ステアリングホイール1の操作量を検知する操舵センサ5と、ステアリングホイール1に操舵反力を与える反力モータ6と、ステアリングホイール1に対して機械的に切り離して設けられた転舵アクチュエータ2と、制御部8とを有する。また、ステアリングシャフト4は、
図2に示すようにケース21に対して回転自在に支持されて、回転伝達装置(回転軸支持装置)20を構成している。ステアリングシャフト4とケース21との間に設けられる軸受等は、図示省略している。
【0017】
ステアリングシャフト4は、ステアリングホイール1を操舵したときに、ステアリングホイール1と一体に軸回りに回転する。操舵センサ5は、ステアリングシャフト4に取り付けられている。操舵センサ5としては、例えば、ステアリングホイール1の操舵角を検知する操舵角センサ、運転者によってステアリングホイール1に入力される操舵トルクを検知する操舵トルクセンサなどが挙げられる。
【0018】
反力モータ6は、通電により回転トルクを発生する電動モータである。反力モータ6は、ケース21内において、ステアリングシャフト4の側方に配置されている。ステアリングシャフト4に設けられた第1ギヤ7aと、反力モータ6の回転軸6aに設けられた第2ギヤ7bとが噛み合っている。反力モータ6は、回転トルクがステアリングシャフト4に入力されたときに、そのステアリングシャフト4を介してステアリングホイール1に操舵反力を付与する。
【0019】
転舵アクチュエータ2は、転舵軸10と、転舵軸ハウジング11と、転舵軸10を車両の左右方向に移動させる転舵モータ12と、転舵軸10の位置を検知する転舵センサ13とを有する。転舵軸10は、車両の左右方向に移動可能に転舵軸ハウジング11で支持されている。転舵軸ハウジング11は、転舵軸10の左右両端が転舵軸ハウジング11から突出した状態となるように転舵軸10の中央部を収容している。
【0020】
転舵モータ12および転舵センサ13は、転舵軸ハウジング11に取り付けられている。転舵モータ12と転舵軸10の間には、転舵モータ12が出力する回転を転舵軸10の直線運動に変換する運動変換機構(図示せず)が組み込まれている。転舵軸10の左右両端は、タイロッド14を介して左右一対の転舵部材3(この実施形態では転舵部材3としてタイヤホイールを採用しているので、以下、これを転舵輪3と称する)に連結され、転舵軸10が軸方向に移動するとこれに連動して左右一対の転舵輪3の向きが変化するようになっている。
【0021】
図1に示すように、反力モータ6、転舵モータ12は、制御部8で制御される。制御部8の入力側には、外部センサ9、操舵センサ5、転舵センサ13が電気的に接続されている。外部センサ9は、車両の走行速度を検知する車速センサ等である。制御部8の出力側には、反力モータ6、転舵アクチュエータ2が電気的に接続されている。
【0022】
制御部8は、操舵センサ5で検知されるステアリングホイール1の操作量と、外部センサ9で検知される車両の走行状況(車速等)とに応じて転舵モータ12を作動させ、左右一対の転舵輪3の向きを変化させる制御を行なう。また、このとき、制御部8は、ステアリングホイール1の操作量と車両の走行状況とに応じた大きさの操舵反力が発生するように反力モータ6を作動させる制御を行なう。
【0023】
図2~
図4は、実施形態に係る回転伝達装置20の要部を示し、
図5は、ステアリングシャフト4の回転範囲(回転が許容される範囲)を切り替える状態を示している。ステアリングシャフト4の回転範囲は、転舵輪3の向きの移動限界(ストロークエンド)間、いわゆるロックトゥーロックに対応する。このロックトゥーロックの範囲内でステアリングホイール1の回転操作及び転舵輪3の向きの移動が行われるように、制御部8の設定が行われる。
【0024】
図2に示すように、回転伝達装置20は、ステアリングシャフト4(以下、実施形態では回転軸4と称する)と、回転軸4を回転自在に支持するケース21と、回転軸4の回転に伴って回転するキー部材31と、キー部材31に対して進退するロックバー32とを備えた構成となっている。この実施形態では、キー部材31は、回転軸4と同軸心に設けられた環状部材であり、回転軸4の外周にキー部材31が圧入固定されている。ロックバー32は、環状を成すキー部材31の回転方向の円周を含む面に対して直交する方向、すなわち、キー部材31の回転中心線方向(回転軸4の軸心方向)に平行な方向に進退するようになっている。
【0025】
ロックバー32の進退は、ソレノイド33への通電及び通電の解除によって制御される。ソレノイド33は、
図2に示すように、ケース21の側方に設けられた蓋22の近傍に設けられている。図中の符号34は、ソレノイド33の動作に必要な電力を供給するケーブルであり、符号35は止水用のグロメットである。ソレノイド33への通電によって、ロックバー32はキー部材31に向かって(
図2中で下方へ向かって)伸長し、通電の解除によってロックバー32はキー部材31から遠ざかる方向に(
図2中で上方へ向かって)退避する。
【0026】
図3及び
図4に示すように、ロックバー32には、ソレノイド33に支持される軸部32bと、その軸部32bからキー部材31の周面に向かって突出する係合部32aが設けられている。係合部32aは、ロックバー32の先端に設けられている。係合部32aの突出側の端面は、キー部材31の周面に対して摺接しているか、あるいは、僅かな隙間をもって対向している。
【0027】
キー部材31の外周には、複数の規制領域A,B,C・・・が備えられている。複数の規制領域A,B,C・・・は、キー部材31の回転中心線方向に沿って並列しており、それぞれの領域が回転中心線周り全周に亘る環状の領域となっている。この実施形態では、回転中心線方向に沿って並列する3つの複数の規制領域A,B,Cを設定している。複数の規制領域A,B,Cは、それぞれキー部材31の回転方向に沿って互いに異なる方位に係合部32aが噛み合う凸部aを備えている。また、複数の規制領域A,B,Cは、互いに設定される凸部aの数が異なっており、周方向に隣り合う凸部aと凸部aの間の角度(中心角)が異なっている。周方向に隣り合う凸部aと凸部aの間は、係合部32aが入り込む凹部bとなっている。
【0028】
ソレノイド33の動作によりロックバー32が進退することで、係合部32aに対向する規制領域A,B,C・・・を変化させることで、切替装置30を構成している。例えば、
図5Aは、ロックバー32が最大まで伸長して、係合部32aが規制領域A(第1規制領域Aと称する)に対向している状態を示している。第1規制領域Aは、周方向に隣り合う凸部aと凸部aの間が近接しており、係合部32aの幅(周方向への幅)に対して凹部bの幅(周方向への幅)がほぼ同じ大きさとなっている。ただし、若干のガタを含むため、係合部32aの幅よりも凹部bの幅が若干広くなっている。このため、係合部32aが第1規制領域Aの凹部bに入り込むことで、回転軸4の回転が規制される。この状態は、イグニッションOFF時等のいわゆるハンドルロックに相当する。
【0029】
また、例えば、
図5Bは、ロックバー32が最大伸長状態からやや後退して、係合部32aが規制領域B(第2規制領域Bと称する)に対向している状態を示している。第2規制領域Bは、周方向に沿って凸部aが等分方位に2箇所(180度毎)に設けられている。
図5Bでは図示していないが、第1規制領域Aから第2規制領域Bに跨って介在する長手状の凸部a(図中の手前側に位置する長手状の凸部a)と同じ形状の凸部aが、回転中心を挟んで180度反対側の位置にも設けられている。このため、係合部32aが第2規制領域Bの凹部bに入り込むことで、回転軸4の回転は、ロックトゥーロックで約180度の範囲、車両の直進状態に相当する中立位置を基準にすると、右操舵方向に約90度、左操舵方向に約90度のハンドル操作が許容され、それを超える回転は規制される状態となる。
【0030】
さらに、例えば、
図5Cは、ロックバー32がさらに後退して、係合部32aが規制領域C(第3規制領域Cと称する)に対向している状態を示している。第3規制領域Cは、周方向に沿って凸部aが等分方位に1箇所のみに設けられている。このため、係合部32aが第3規制領域Cの凹部bに入り込むことで、回転軸4の回転は、ロックトゥーロックで約360度の範囲、車両の直進状態に相当する中立位置を基準にすると、右操舵方向に約180度、左操舵方向に約180度のハンドル操作が許容され、それを超える回転は規制される状態となる。
【0031】
図5B及び
図5Cは、ステアリングシャフト4と転舵輪3とを機械的に結合する手段を備えないステアバイワイヤ方式のみによる操舵装置で転舵を行う場合や、ステアリングシャフト4と転舵輪3との機械的な結合をクラッチにより切り離した後退で、ステアバイワイヤ方式で転舵させる場合に活用できる。この実施形態では、第2規制領域B及び第3規制領域Cの2段階での角度規制として、多様化する車両の仕様に対応しているが、さらに角度規制の段数を増やしてもよい。また、中立位置から右操舵方向、左操舵方向にそれぞれ許容される回転角度を、実施形態に示す約90度や約180度以外の角度に設定することも可能である。このように、この発明によれば、回転の入力に対してその回転を規制する位置の設定の自由度を高めることができる。
【0032】
なお、
図5Dは、ロックバー32が最も後退して、キー部材31から退避した状態を示している。この状態では、回転軸4の回転は規制されず、回転軸4は自由に回転可能である。例えば、ステアリングシャフト4と転舵輪3とが機械的に連結されている操舵装置で転舵を行う場合であれば、ハンドルの端当ての規制、すなわち、転舵輪3の向きの移動限界でそれ以上の回転を規制することが他の部位でも可能であるので、この状態でも問題なく使用できる。
【0033】
なお、上記の実施形態では、キー部材31として一体に成型された部材を使用しているが、複数の部材を結合することでキー部材31を構成してもよい。例えば、第1規制領域A、第2規制領域B、第3規制領域C・・・のそれぞれを別体の部材で形成してこれを、ねじ固定、接着固定、溶接固定等の周知の方法で一体化してもよい。また、第1規制領域A、第2規制領域B、第3規制領域C・・・の少なくとも一つを他と別体の部材で形成してこれを、上記のような周知の方法で一体化してもよい。
【0034】
上記の実施形態では、ロックバー32は、環状を成すキー部材31の回転方向の円周を含む面に対して直交する方向、すなわち、キー部材31の回転中心線方向(回転軸4の軸心方向)に平行な方向に進退するようになっているが、ロックバー32の進退の方向は、この実施形態には限定されない。例えば、ロックバー32をキー部材31の回転方向の円周を含む面に対して直角以外の角度、すなわち、キー部材31の回転中心線方向(回転軸4の軸心方向)に対して平行でない斜め方向に進退するようになっていてもよい。例えば、ロックバー32がキー部材31に対して半径方向へ移動する方式としてもよい。
【0035】
また、上記の実施形態では、ロックバー32は、軸部32bと係合部32aとからなるL字状の部材としているが、ロックバー32の形状はこれ以外の形状であってもよい。特に、ロックバー32がキー部材31に対して半径方向へ移動する方式とした場合は、ロックバー32を、軸部32bと係合部32aとが直線状を成す一本の軸部材としてもよい。
【0036】
また、上記の実施形態では、キー部材31は、ステアリングシャフト4と同軸心に設けられた環状部材としているが、キー部材31の設置位置はこの実施形態に限定されない。例えば、キー部材31の軸心がステアリングシャフト4の軸心とは異なる位置になるように配置して、ギヤ等の伝達機構を用いて、ステアリングシャフト4の回転がキー部材31の回転として伝達されるようにしてもよい。
【0037】
さらに、上記の実施形態では、ロックバーの進退をソレノイドで作動させるようにしたが、ロックバーを移動させる手段はこの実施形態には限定されず、ロックバーの進退を、ソレノイド以外の各種のアクチュエータ等で行ってもよい。例えば、ロックバーの進退を、駆動源であるモータ(サーボモータ等)の回転運動を直線的な進退運動に変換する変換機構(直動機構)を設けて、そのモータによってロックバーを進退させてもよい。
【0038】
上記の各実施形態では、ステアバイワイヤ方式の操舵装置を例に、この発明の構成を説明したが、この実施形態には限定されず、この発明は、ステアバイワイヤ方式以外の各種の車両用の操舵装置、あるいは、車両用以外の操舵装置、その他各種の装置にも使用できる。なお、実施形態の車両用の操舵装置では、転舵部材3としてタイヤホイールを採用しているのでこれを転舵輪3と称したが、車輪を備えない輸送用機器、例えば、ステアリングホイール1の回転操作によりステアリングシャフト4を軸回り回転させ、その回転により舵(ラダー)を左右に動作させる舵取り装置を備えた輸送用機器(例えば、船舶や航空機等)においては、転舵部材3は舵(ラダー)に相当する。
【0039】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1 ステアリングホイール
2 転舵アクチュエータ
3 転舵部材(転舵輪)
4 ステアリングシャフト(回転軸)
6 反力モータ
20 回転伝達装置
21 ケース
30 切替装置
31 キー部材
32 ロックバー
32a 係合部
33 ソレノイド
a 凸部
A,B,C・・・ 規制領域