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特開2024-35570換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置
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  • 特開-換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置 図1
  • 特開-換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置 図2
  • 特開-換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置 図3
  • 特開-換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035570
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/003 20210101AFI20240307BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20240307BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240307BHJP
【FI】
F24F7/003
F24F13/28
F24F8/108 100
F24F8/108 310
F24F8/108 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140126
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】室井 利夫
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕幸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧力損失を抑えつつ高いフィルタ効果を備えた換気用フィルタ及び換気用フィルタを備えた換気装置を提供する。
【解決手段】本発明は、換気装置に設置され、換気装置で換気される空気中の異物を除去するフィルタにおいて、該フィルタは、フィルタの箇所によりフィルタとしての機能が異なるように構成したことを特徴とする。具体的にはフィルタとしての機能が垂直方向または垂直方向に直交する方向において異なるように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置に設置され、換気装置で換気される空気中の異物を除去するフィルタにおいて、
該フィルタは、フィルタの箇所によりフィルタとしての機能が異なるように構成したことを特徴とする換気装置用フィルタ。
【請求項2】
フィルタとしての機能は、フィルタを構成する繊維の密度で決まる請求項1に記載の換気装置用フィルタ。
【請求項3】
フィルタとしての機能は、フィルタの通風方向における幅の長さで決まる請求項1に記載の換気装置用フィルタ。
【請求項4】
請求項1に記載された換気装置用フィルタを備えた換気装置。
【請求項5】
フィルタとしての機能が垂直方向または垂直方向に直交する方向において異なるように構成された請求項4に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置用フィルタ、及びフィルタを備えた換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で示される給気システムのフィルタは通過する空気の塵や埃等といった不純物の遮断機能を備えている。この遮断機能は虫の侵入を防ぐ防虫機能も兼ね備えてはいるものの、積極的な防虫対策が施されたものではなく、このようなフィルタでは虫の侵入を十分に防ぐことが難しい。そこで、防虫効果を高めるためにフィルタの厚さ方向の全面を厚くして虫の侵入を阻止にする防虫対策が考えられる。しかし、この防虫対策ではフィルタの厚さ方向の増厚分だけ圧力損失が高まるという新たな問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-156450号公報(段落番号0023)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧力損失を抑えつつ高いフィルタ効果を備えた換気用フィルタ及び換気用フィルタを備えた換気装置を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、換気装置に設置され、換気装置で換気される空気中の異物を除去するフィルタにおいて、該フィルタは、フィルタの箇所によりフィルタとしての機能が異なるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の換気用フィルタによれば、圧力損失を抑えつつ従来のものに比較して高いフィルタ効果を備えた換気用フィルタ、及び換気用フィルタを備えた換気装置を提供することができた。
【0007】
上記以外の課題、構成、作用及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】換気装置の全体構成図
図2】室外フィルタを外した状態の換気装置の全体構成図
図3】換気装置の(a)平面図及び(b)A―A´断面図
図4】第1実施形態乃至第3実施形態の室外フィルタ
図5】第4実施形態の室外フィルタ
図6】第5実施形態の室外フィルタ
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の特徴的な部分の説明に必要な事項を主に説明することとし、本発明の特徴的な部分ではなく公知技術が採用される事項については説明を省略するものとする。
【0010】
(第1実施形態) 家屋に設置される換気装置用フィルタを通過する虫の習性を知るため、観察を行った。その結果、虫の習性について次の知見1及び2を得ることができた。なお、本発明において用語の「上」、「下」、「上側」及び「下側」は、室外フィルタが家屋の換気装置等に取付けられたときにおける鉛直方向の向きである。「上」及び「上側」は重力に逆らった向きであり、「下」及び「下側」は重力に従った向きである。「左右方向」は、鉛直方向と直交する向きである。
【0011】
知見1:フィルタへの虫の侵入頻度はフィルタの全面で均一ではなく、特定の箇所で他の箇所と比べて高くなることが判った。例えば、フィルタにより進行を遮られた羽虫等が重力に逆らって上側に向かうことが稀であり、最初にフィルタ内への侵入を試み遮られた箇所より下側の箇所からの侵入を試みるからである。また、フィルタの設置場所の環境、例えば植樹や照明装置の設置状況によっては、上下方向だけではなく、左右方向においても、虫の侵入頻度が異なるという現象が発生する。樹木に生息する虫が換気装置のフィルタ内に侵入しようとした場合、フィルタの左右方向において樹木に近い側から侵入を試みるし、同様に、夜間、照明装置に引き寄せられた虫がフィルタ内へ侵入をしようとした場合、フィルタの左右方向において照明装置が設置されている側からとなるからである。したがって、虫の侵入頻度は、フィルタの全面において均一ではなく、上下方向、左右方向における特定の箇所が高くなることがあるのである。
【0012】
知見2:フィルタの密度が高いほど虫の侵入は成功しない。これは、フィルタの密度が高いほど通過時に虫の体がより強くフィルタに圧迫されて通過が困難になるためである。
【0013】
上記知見1及び知見2から、本実施形態ではフィルタの特定箇所の密度を他の箇所の密度よりも高くするという技術事項を採用することとした。この技術事項により、虫が通過を試みる頻度の高い箇所ではフィルタの密度を高め防虫効果を高める一方、虫が通過を試みる頻度の低い箇所ではフィルタの密度を高めないことから圧力損失を抑制し、本発明の目的を達成することができた。
【0014】
図1は換気装置1の全体構成図であり、図2は室外フィルタ7を外した状態の換気装置1の全体構成図である。
【0015】
換気装置1は、室外から室内への給気の際や、室内から室外への排気の際に使用される。換気装置1は室内側にダクト2を備え室外側に送風機3を備えていてもよい。送風機3の室外側には換気装置1を通過する空気に含まれる塵や埃等の不純物を遮断する遮断機能と防虫機能を備えた室外フィルタ7が取り付けられている。
ここで、本願発明でいう「機能」とは、防虫機能といったフィルタを通過する空気から主に除去する対象のことを意図したり、HEPAフィルタとULPAフィルタのような性能を意図したりする。
【0016】
図3(a)は換気装置1の横面図、図3(b)は図3(a)のA-A´断面図を示している。ダクト2は、両端開口の筒状空洞体で、一方の開口が室内側に配置され、他方の開口が送風機の通気口に連接される。ダクト2の断面形状は、典型的には四角形や円形であるが、他の形状であってもよい。ダクト2の材質も特に制約はなく、金属であっても木材であっても合成樹脂であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0017】
送風機3は、換気のために送風を行い、風を通すための通気口5を備えている。通気口6の内部にはモータ4及びモータ4を駆動源として回転するファン5が備え付けられている。
【0018】
換気装置1は、室外フィルタ7以外にダクト内にダクト内フィルタ8を、ダクト2の室内側の開口に室内フィルタ9を具備してもよい。室外フィルタ7、ダクト内フィルタ8及び室内フィルタ9は送風方向(図3(b)の矢印D1及びD2)に対して、その通風面が直交となるように配置される。
【0019】
図4に本実施形態の室外フィルタ7を示す。室外フィルタ7の一実施形態としては、多数の絡み合った繊維の集合体である不織布であってもよい。この繊維はガラス繊維、樹脂繊維及びセルロース繊維のいずれか一つからなるものであってよいし、例えば、繊維はガラス繊維と樹脂繊維の混合体、ガラス繊維とセルロース繊維の混合体、樹脂繊維とセルロース繊維の混合体であってもよい。また、室外フィルタ7は織布であってもよく、織布を単一で用いてよいし、織布を複数枚重ねてフィルタを形成してもよい。
【0020】
図示される室外フィルタ7の形状は直方体である。その機能を果たす範囲においてフィルタ7の厚みを薄くして、その形状を板状又は紙状の直方体としてもよい。
【0021】
室外フィルタ7の向かい合う第1フィルタ面10(図4において繊維状ハッチングされた面全体)及び第2フィルタ面11は、室外フィルタ7の他のいずれの面よりも大きな面積を有している。第1フィルタ面10は室外側に、第2フィルタ面11は室内側に向いている。そしてこれら第1フィルタ面10及び第2フィルタ面11は垂直に空気が通り抜ける通風面を構成する。本発明において、第1フィルタ面10及び第2フィルタ面11は、平面でもよいし波面でもよい(図4においては平面のものを示した。)。室外フィルタ7を換気装置1に正しく取り付けた際、室外フィルタ7の最も上になる面はフィルタ上端面12であり、最も下になる面はフィルタ下端面13である。
【0022】
室外フィルタ7はフィルタ上端面12及びフィルタ下端面13に略平行な区分断面14でフィルタ上部15及びフィルタ下部16に区分されている。区分断面14は、室外フィルタ7の体積を上下に等分に区分するものであってよいし、上下に不等分に区分するものであってもよい。フィルタ下部16の密度はフィルタ上部15のものよりも高くなっている。ここで、フィルタ下部16の密度はフィルタ上部15のものよりも高くなっているということは、フィルタ下部16の繊維の単位体積当たりの量がフィルタ上部15の繊維の単位体積当たりの量よりも大きいということである。フィルタの密度が高いほど虫が繊維を通過する際に繊維に圧迫されやすくなり通過しづらくなる。つまり、室外フィルタ7においては、密度の高いフィルタ下部16のほうが密度の低いフィルタ上部15よりも虫の侵入を防止しやすくする。したがって、室外フィルタ7は、虫の侵入頻度の高いフィルタ下部16の密度を高くしたことで虫の侵入を防止できるので、高い防虫効果を発揮することができる。
【0023】
フィルタ上部15の密度は、従来のフィルタのものと同じでよい。フィルタ上部15の厚さ及び材質は、フィルタ下部16のものと同じであってもよい。フィルタ上部15は、フィルタ下部16よりも密度が低く通気性がよいので、圧力損失を抑制することができる。
【0024】
本実施形態においては、圧力損失を抑制しつつ従来のものより高い防虫効果を奏する換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置の提供を可能とした。
【0025】
さらに、室外フィルタ7を構成するフィルタ上部15及びフィルタ下部16は区分断面14で区分されているが、この「区分」は、フィルタ上部15及びフィルタ下部16の一体性を必ずしも妨げるものではない。フィルタ上部15及びフィルタ下部16の表面は、連続した一体物であってよいし、連続しない別体であってもよい。本実施形態以外の他の実施形態でも、フィルタ上部15及びフィルタ下部16は、一体物であってよいし、別体であってもよい。
【0026】
また、フィルタ上部15及びフィルタ下部16の体積比としては、状況に応じて様々なものを採用し得る。例えば、(フィルタ上部15の体積):(フィルタ下部16の体積)=3:1、2:1、3:2、1:1、2:3、1:2、1:3等である。
【0027】
(第2実施形態) 本実施形態に係るフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置においては、室外フィルタのフィルタ下部を上部とは別構成としたところが上記第1実施形態と相違し、基本的な構成及び動作は第1の実施形態と共通する。以下では、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
【0028】
図4は本実施形態の室外フィルタ7を示す。本実施形態では室外フィルタ7のフィルタ下部16を中高性能フィルタとし、フィルタ上部15を粗じんフィルタとすることを特徴としている。
【0029】
なお、「中高性能フィルタ」及び「粗じんフィルタ」は、JISの定義に基づいてフィルタを区分けした用語であり(JIS B 9908)、当業者にとって自明な用語である。
【0030】
中高性能フィルタの繊維は、粗じんフィルタのものより密集率が高いので、中高性能フィルタは粗じんフィルタよりも密度が高いということができる。繊維の密度が高いとき、繊維の密度が低い場合に比べて、虫が繊維を通過する際に繊維に圧迫されやすく、通過しづらい。したがって、室外フィルタ7においては、密度の高いフィルタ下部16の方がフィルタ上部15に比べて虫は通過しづらい。したがって、室外フィルタ7は、虫の侵入頻度の高いフィルタ下部16の密度を高くしたことで虫の侵入を防止できるので、高い防虫効果を発揮することができる。
【0031】
フィルタ上部15の密度は、従来のフィルタのものと同じでよい。フィルタ上部15の厚さ及び材質は、フィルタ下部16のものと同じでよい。フィルタ上部15は、フィルタ下部16よりも密度が高くなく通気性がよいので、圧力損失を抑制するといえる。
【0032】
本実施形態においては、圧力損失を抑制しつつ従来のものより高い防虫効果を奏するフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置の提供を可能とした。
【0033】
(第3実施形態) 本実施形態に係るフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置においては、室外フィルタのフィルタ下部を別構成としたところが上記第1、2実施形態と相違し、基本的な構成及び動作は上記第1、2の実施形態と共通する。以下では、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
【0034】
図4は本実施形態の室外フィルタ7を示す。第1実施形態では、フィルタ下部16の密度は均一であったが、本実施形態は、フィルタ下部16の密度を上側から下側にいくほど高くなるようにした。したがって、室外フィルタ7は、虫の侵入頻度の高いフィルタ下部16の密度を高くしたことにより虫の侵入を防止できるので、高い防虫効果を発揮することができる。
【0035】
フィルタ上部15の密度は、従来のフィルタのものと同じでよい。フィルタ上部15の厚さ及び材質は、フィルタ下部16のものと同じでよい。フィルタ上部15は、フィルタ下部16よりも密度が高くなく通気性がよいので、圧力損失を抑制するといえる。
【0036】
本実施形態においては、圧力損失を抑制しつつ従来のものより高い防虫効果を奏するフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置の提供を可能とした。
【0037】
(第4実施形態) 本実施形態に係るフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置においては、室外フィルタのフィルタ下部を別構成としたところが第1~3実施形態と相違し、基本的な構成及び動作は第1の実施形態と共通する。以下では、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
【0038】
第1~3実施形態においては、知見1及び2により構成された、本実施形態においては、さらに観察を行い、上記知見1に加え、次の知見3によるものである。
【0039】
知見3:フィルタの厚さが厚いほど虫の侵入は成功しずらい。これは、フィルタが厚いほど通過距離が長くなり通過が困難になるためである。
【0040】
上記知見1及び3から、本実施形態ではフィルタの下側の厚さを上側よりも厚くする技術事項を採用した。この技術事項により、虫の通過頻度の高いフィルタの下側で防虫効果を高め、しかも厚さが薄く通気性の良い上側のフィルタで圧力損失を抑制して、目的を達成することができた。
【0041】
図5は本実施形態の室外フィルタ7を示す。本実施形態では、フィルタ下部16の第1フィルタ面10又は第2フィルタ面11に別の直方体フィルタ17を密接して、フィルタ下部16の厚さを直方体フィルタ17の厚さ分だけ厚くしたものである。図5における実施形態おいては、直方体フィルタ17と密接するのは第1フィルタ面10である。直方体フィルタ17は、フィルタ下部16と同じ材質で形成されてもよい。直方体フィルタ17の密度は、フィルタ下部16のものと同じでもよい。図5では、直方体フィルタ17は下部フィルタ16と同じ高さであるが直方体フィルタの高さは求められる性能に応じて適宜選択し得るものである。したがって、室外フィルタ7は、虫の侵入頻度の高いフィルタ下部16の厚さを厚くしたことで虫の侵入を防止できるので、高い防虫効果を発揮することができる。
【0042】
フィルタ上部15に関し、その厚さは直方体フィルタ17を密接する前のフィルタ下部16と同じでよいし、材質及び密度もフィルタ下部16のものと同じでよい。フィルタ上部15は、フィルタ下部16よりも厚みを厚くする必要がなく通気性がよいので、圧力損失を抑制するといえる。
【0043】
本実施形態においては、圧力損失を抑制しつつ従来のものより高い防虫効果を奏する換気装置用フィルタ、及び換気装置用フィルタを備えた換気装置の提供を可能とした。
【0044】
(第5実施形態) 本実施形態に係るフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置においては、室外フィルタのフィルタ下部を別構成としたところが第1~4実施形態と相違し、基本的な構成及び動作は第1~4の実施形態と共通する。以下では、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
【0045】
図6は、本実施形態の室外フィルタ7を示す。本実施形態はフィルタ下部16の第1フィルタ面10又は第2フィルタ面11に略三角柱の形状である五面体フィルタ18を密接して(図6においては、五面体フィルタ18と密接するのは第1フィルタ面10である。)、フィルタ下部16の厚さを五面体フィルタ18の厚さ分だけ厚くするものである。五面体フィルタ18は、フィルタ下部16と同じ材質で形成されてもよい。五面体フィルタ18の密度は、フィルタ下部16のものと同じでもよい。
【0046】
五面体フィルタ18は、フィルタ下部16の第1フィルタ面10又は第2フィルタ面11に密接されるフィルタ密接面19と接地面としてのフィルタ底面20を備えており、これら面のなす角度は90度である。五面体フィルタ18は、フィルタ密接面19とフィルタ底面20の交線に対向する位置にフィルタ傾斜面21を備えている。フィルタ傾斜面21は、換気装置1の水平方向と鋭角をなしつつフィルタ密接面19と交わる。このような五面体フィルタ18を備えることにより、室外フィルタ7は、虫の侵入頻度の高いフィルタ下部16の厚さを厚くしたことで虫の侵入を防止できるので、高い防虫効果を発揮することができる。なお、図6では、フィルタ上部15、フィルタ下部16および五面体フィルタ18の複数のフィルタを組み合わせたフィルタを図示しているが、フィルタ上部15、フィルタ下部16および五面体フィルタ18が一つのフィルタで構成してもよい。すなわち、五面体フィルタ18を単体で採用し、フィルタの上部から下部にかけて厚さ方向が厚くなるような構成を採用してもよい。その場合、断面形状は三角形でもよいし台形であってもよい。また、傾斜面21は上部から下部にかけて厚さ方向が厚くなるような曲面を含むものであってもよい。
【0047】
フィルタ上部15に関し、厚さは五面体フィルタ18を密接する前のフィルタ下部16と同じでよいし、材質及び密度もフィルタ下部16のものと同じでよい。フィルタ上部15は、フィルタ下部16よりも厚さが薄く通気性がよいので、圧力損失を抑制するといえる。
【0048】
本実施形態においては、圧力損失を抑制しつつ従来のものより高い防虫効果を奏するフィルタ、フィルタの使用方法及びフィルタを備えた換気装置の提供を可能とした。
【0049】
本発明は上述した実施形態に制約されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらすべては、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0050】
第1実施形態乃至第5実施形態において、必要に応じて換気装置1の換気機能を給気機能のみのものや排気機能のみのものとしてもよい。
【0051】
第1実施形態乃至第5実施形態において、ダクト2が不要な場合、ダクト2を省略して、室外フィルタ7及び送風機3で換気装置1を構成してもよい。このとき、ダクト内フィルタ8及び室内フィルタ9も省略される。
【0052】
第1~5実施形態において、送風機3を用いて強制換気を行う必要がない換気装置1においては、送風機3を省略して、室外フィルタ7及びダクト2で換気装置1を構成してもよい。このとき、室外フィルタ7はダクト2の室外側開口に直接取り付けられる。
【0053】
上記第1~5実施形態においては、ダクト内フィルタ8及び室内フィルタ9の両方またはいずれか一方が、室外フィルタ7と同じフィルタ構造を備えることが可能である。室外フィルタ7のみの場合よりも複数のフィルタで上記フィルタ構成を採用した方が高い防虫効果が得られるということは、いうまでもない。また、上記第1~5実施形態は、上下方向においてフィルタの密度等を異ならせるように構成しているが、状況に応じて左右方向においてフィルタの密度等を異ならせることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…換気装置、2…ダクト、3…送風機、4…モータ、5…ファン、6…通気口
7…室外フィルタ、8…ダクト内フィルタ、9…室内フィルタ、10…第1フィルタ面
11…第2フィルタ面、12…フィルタ上端面、13…フィルタ下端面、14…断面
15…フィルタ上部、16…フィルタ下部、17…直方体フィルタ
18…五面体フィルタ、19…フィルタ密接面、20…フィルタ底面
21…フィルタ傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6