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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035583
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】野菜処理装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 7/00 20060101AFI20240307BHJP
   A23N 12/02 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
A23N7/00 B
A23N12/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140145
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】522350966
【氏名又は名称】株式会社土佐ひかりCDM
(71)【出願人】
【識別番号】510298403
【氏名又は名称】有限会社サット・システムズ
(71)【出願人】
【識別番号】513067727
【氏名又は名称】高知県公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 広典
(72)【発明者】
【氏名】猪野 真吾
(72)【発明者】
【氏名】玉木 明世
(72)【発明者】
【氏名】藤田 行孝
(72)【発明者】
【氏名】王 碩玉
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA02
4B061BA03
4B061BB13
4B061CA13
4B061CB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】葉茎菜類のそぐり作業を効率的に行うことができる装置と、当該装置を用いる野菜の処理方法を提供する。
【解決手段】野菜処理装置は、進行方向、左右方向、および上下方向を有しており被処理野菜を進行方向の上流側から下流側に搬送するための搬送台と、搬送台の上方に設けられており被処理野菜に上方からエアを吹き付ける第1ノズルおよび第2ノズルと、搬送台の上方に設けられており被処理野菜を下方に押え付ける第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体と、を有しており、第1ロール体は第2ロール体よりも進行方向の下流側に設けられており、第2ロール体は第3ロール体よりも進行方向の下流側に設けられており、第1ノズルは進行方向において第1ロール体と第2ロール体の間に配置されており、第2ノズルは進行方向において第2ロール体と第3ロール体の間に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向、左右方向、および上下方向を有しており被処理野菜を進行方向の上流側から下流側に搬送するための搬送台と、
前記搬送台の上方に設けられており被処理野菜に上方からエアを吹き付ける第1ノズルおよび第2ノズルと、
前記搬送台の上方に設けられており被処理野菜を下方に押え付ける第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体と、を有しており、
前記第1ロール体は前記第2ロール体よりも進行方向の下流側に設けられており、
前記第2ロール体は前記第3ロール体よりも進行方向の下流側に設けられており、
前記第1ノズルは進行方向において前記第1ロール体と前記第2ロール体の間に配置されており、前記第2ノズルは進行方向において前記第2ロール体と前記第3ロール体の間に配置されている野菜処理装置。
【請求項2】
第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体は、ロール本体部と、該ロール本体部の外側に形成されている弾性体部を有している請求項1に記載の野菜処理装置。
【請求項3】
前記弾性体部は前記搬送台に圧接されており、前記弾性体部と前記搬送台との進行方向の接触長さPと、第1ロール体の回転中心と第2ロール体の回転中心との進行方向距離L12とは、下記式(1)を満足している請求項1に記載の野菜処理装置。
0.8L12<P<1.2L12・・・(1)
【請求項4】
前記第1ノズルおよび第2ノズルの先端部は、真下の方向から所定角度傾いており、傾きの左右方向成分は、右方向または左方向のいずれか一方である請求項1に記載の野菜処理装置。
【請求項5】
第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置は、進行方向に移動可能に構成されている請求項1に記載の野菜処理装置。
【請求項6】
第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体は、前記搬送台の動きにより受動回転する請求項1に記載の野菜処理装置。
【請求項7】
次の(ア)又は(イ)のいずれかを満たす請求項1に記載の野菜処理装置。
(ア)前記第1ノズルおよび第2ノズルはいずれも、第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置よりも左右方向の左側に設置されている。
(イ)前記第1ノズルおよび第2ノズルはいずれも、第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置よりも左右方向の右側に設置されている。
【請求項8】
請求項2に記載の野菜処理装置を用いた野菜の処理方法であって、前記弾性体部が多孔質樹脂体であり、前記搬送台に置く野菜がニラである野菜の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉茎菜類のそぐり作業を効率的に行うことができる装置と、当該装置を用いる野菜の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ニラやネギ等の葉茎菜類では、鮮度維持のため、葉齢が高く、ウイルス感染などにより黄化、褐変、腐敗し易い外葉(下葉)や、汚れ等の不純物などを除去するそぐり作業が必要である。しかし、そぐり作業は、栽培、刈り取り、そぐり、計量、梱包を含む、ニラの生産から出荷までの一連の工程において総労働時間の約6割を占め、最も作業負担が大きい。また、生産性の向上のためには、熟練を要する作業者が不可欠であるが、農業従事者の減少と高齢化により、そぐり作業の熟練作業者の確保が難しい状況にある。そこで、高圧水によりそぐりを自動的に行う装置が開発されている(非特許文献1,2)。
【0003】
しかし、葉茎菜類における水分の残留は、細菌の繁殖や腐敗の原因となるため、高圧水を使うそぐり作業の後には、水分の除去作業が必要となる。また、高圧水を使うそぐり装置には、簡素化が難しいという欠点もある。
【0004】
そこで、高圧水に加えて圧縮空気を利用したそぐり装置も開発されている(非特許文献3)。また、特許文献1には、圧縮空気を用い、仕切により植物の動きを抑制する処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-89245号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ヤマト商工有限会社,“水圧式ニラ洗浄そぐり機 NY-2012”,[online],[令和4年8月9日検索],インターネット<URL:https://www.yamato-syoko.com/untitled-cnv5>
【非特許文献2】シンワ株式会社,“水圧式ニラ洗浄そぐり機”,[online],[令和4年8月9日検索],インターネット<URL:https://www.shinw.co.jp/product/2508/>
【非特許文献3】澁谷和子,外3名,“[成果情報名]高圧水と圧縮空気を利用したニラ調製機の性能評価”,[online],[令和4年8月9日検索],インターネット<URL:https://www.naro.affrc.go.jp/org/warc/research_results/h23/pdf/05_kougaku/35_0302.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、葉茎菜類のそぐり作業を行うそぐり装置であって、高圧水のみならず、圧縮空気を用いるものは既に開発されている。
しかし、従来のそぐり装置では、高圧水または圧縮空気を葉茎菜類に付与する際に葉茎菜類が動いてしまい、外葉を有効に除去できない場合があった。
そこで本発明は、葉茎菜類のそぐり作業を効率的に行うことができる装置と、当該装置を用いる野菜の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、葉茎菜類にエアを吹き付けて外葉を除去するための2以上のノズルと、そぐり作業時における被処理野菜の余分な動きを抑制するためのロール体を用い、且つこれらノズルとロール体の位置を適切に設定することにより、葉茎菜類の余分な動きを押えつつそぐり作業を効率的に行えることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
【0009】
[1] 進行方向、左右方向、および上下方向を有しており被処理野菜を進行方向の上流側から下流側に搬送するための搬送台と、
前記搬送台の上方に設けられており被処理野菜に上方からエアを吹き付ける第1ノズルおよび第2ノズルと、
前記搬送台の上方に設けられており被処理野菜を下方に押え付ける第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体と、を有しており、
前記第1ロール体は前記第2ロール体よりも進行方向の下流側に設けられており、
前記第2ロール体は前記第3ロール体よりも進行方向の下流側に設けられており、
前記第1ノズルは進行方向において前記第1ロール体と前記第2ロール体の間に配置されており、前記第2ノズルは進行方向において前記第2ロール体と前記第3ロール体の間に配置されている野菜処理装置。
[2] 第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体は、ロール本体部と、該ロール本体部の外側に形成されている弾性体部を有している前記[1]に記載の野菜処理装置。
[3] 前記弾性体部は前記搬送台に圧接されており、前記弾性体部と前記搬送台との進行方向の接触長さPと、第1ロール体の回転中心と第2ロール体の回転中心との進行方向距離L12とは、下記式(1)を満足している前記[1]または[2]に記載の野菜処理装置。
0.8L12<P<1.2L12・・・(1)
[4] 前記第1ノズルおよび第2ノズルの先端部は、真下の方向から所定角度傾いており、傾きの左右方向成分は、右方向または左方向のいずれか一方である前記[1]~[3]のいずれかに記載の野菜処理装置。
[5] 第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置は、進行方向に移動可能に構成されている前記[1]~[4]のいずれかに記載の野菜処理装置。
[6] 第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体は、前記搬送台の動きにより受動回転する前記[1]~[5]のいずれかに記載の野菜処理装置。
[7] 次の(ア)又は(イ)のいずれかを満たす前記[1]~[6]のいずれかに記載の野菜処理装置。
(ア)前記第1ノズルおよび第2ノズルはいずれも、第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置よりも左右方向の左側に設置されている。
(イ)前記第1ノズルおよび第2ノズルはいずれも、第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置よりも左右方向の右側に設置されている。
[8] 前記[2]に記載の野菜処理装置を用いた野菜の処理方法であって、前記弾性体部が多孔質樹脂体であり、前記搬送台に置く野菜がニラである野菜の処理方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に外葉などを除去すべき葉茎菜類の下部の余分な動きを抑制しつつ、エアを有効に吹き付けることができる結果、葉茎菜類のそぐり作業を効率的に行うことが可能である。よって本発明は、葉茎菜類のそぐり作業の負担を軽減することにより、農業従事者の減少や高齢化といった問題に対処できる技術として、産業上非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る野菜処理装置の概略平面図である。
図2図2は、本発明に係る野菜処理装置における葉茎菜類と、主に葉茎菜類を押えるロール部およびエアを吹き付けるノズルの位置関係を示す概略平面図である。
図3図3は、本発明に係る野菜処理装置の、葉茎菜類を押えるロール部およびエアを吹き付けるノズルを示す概略側面図である。
図4図4は、本発明に係る野菜処理装置の、そぐり作業時に葉茎菜類を固定するためのロール体を示す概略図である。
図5図5は、本発明に係る野菜処理装置の、葉茎菜類を押えるロール部を示す概略側面図である。
図6図6は、本発明に係る野菜処理装置の、葉茎菜類を押えるロール部およびエアを吹き付けるノズルを示す概略側面図である。
図7図7は、本発明に係る野菜処理装置の、葉茎菜類にエアを吹き付けるノズルを示す概略側面図である。
図8図8は、本発明に係る野菜処理装置の、葉茎菜類にエアを吹き付けるノズルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る野菜処理装置と野菜の処理方法を説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0013】
本発明に係る野菜処理装置の搬送台は、進行方向、左右方向、および上下方向に技術的意義を有する。
【0014】
進行方向は、そぐり処理すべき被処理野菜を運搬する方向であり、特に図1中の進行方向Xは、被処理野菜を運搬する上流側から下流側に向かう方向である。
【0015】
左右方向は、進行方向に垂直な方向であり、そぐり処理すべき被処理野菜の長さ方向に平行な方向である。よって、被処理野菜は、その長さ方向が進行方向に垂直になるよう搬送台上に並べて運搬する。
【0016】
上下方向は、搬送台の上面に垂直な方向であり、被処理野菜の上方向から下方向へエアを吹き付ける。
【0017】
搬送台は、被処理野菜を進行方向Xに水平または略水平に運搬できるものであれば特に制限されないが、例えば、いわゆるベルトコンベアであってもよい。
【0018】
本発明に係る野菜処理装置は、搬送台の上方、即ち被処理野菜を載置する搬送台の上面の上方に設けられており、被処理野菜に上方からエアを吹き付けるためのノズルを少なくとも2つ有する。本発明に係る野菜処理装置は、ノズルを少なくとも2つ有しており、被処理野菜がその間まで運搬されたタイミングで各ノズルからエアを同時に吹き付けることで、被処理野菜の水平方向への余分な移動を抑制しつつ、そぐり作業を効率的に行うことができる。以下、必須の2つのノズルの内、進行方向の下流側に設けられているものを第1ノズルといい、上流側に設けられているものを第2ノズルという(図2参照)。
【0019】
各ノズルの先端部は、真下の方向から左右方向へ所定角度θ傾いていることが好ましい。傾きの左右方向成分は、進行方向の垂直方向である右方向または左方向のいずれか一方である(図6参照)。この傾き方向へ被処理野菜を葉側から根側へ並べてエアを吹き付けることにより、真上からエアを吹き付ける場合に比べて、外葉などの不要葉や不純物などをより一層効率的に除去することが可能になる。
【0020】
ノズル先端部の傾き角度θは、適宜調整すればよいが、例えば20度以上、90度未満とすることができる。当該角度が20度以上であると、被処理野菜に吹き付けられるエアの角度が水平に比較的近くなり、不要葉などを被処理野菜からより効率的に分離でき得る。一方、当該角度が90度未満であれば、被処理野菜へエアを効率的に吹き付けることができる。当該角度としては、30度以上が好ましく、35度以上がより好ましく、また、80度以下が好ましく、75度以下がより好ましい。
【0021】
第1ノズルおよび第2ノズルは、その先端が真下方向から左右方向に所定角度θ傾いていることに加えて、先端同士が近づく方向に傾いていることが好ましい(図8参照)。第1ノズルと第2ノズルの先端同士が近づく方向に傾いており、被処理野菜の両側から中心に向かってエアが吹き付けられることにより、そぐり作業中における被処理野菜の余分な動きをより一層抑制することが可能になる。
【0022】
第1ノズルおよび第2ノズルに加えて、第3ノズルを設けてもよい。第3ノズルは、搬送台の上方に設けられており被処理野菜に葉側からエアを吹き付けるためのものであり、主に、第1ノズルと第2ノズルによる不要葉や不純物などの除去を補助するものである。即ち、第3ノズルは、主に、第1ノズルおよび第2ノズルからエアが当たり難い、又はエアが当たらない場所にエアを吹き付け、そぐり作業の効率をより一層高めるためのものである。また、第3ノズルも、その先端が真下方向から左右方向に所定角度θ傾いていることが好ましい。第3ノズルの位置は、適宜調整することができ、例えば、第1ノズルと第2ノズルの間が好ましい。第3ノズルを第1ノズルと第2ノズルの間に配置することにより、不要葉や汚れ等をより有効に除去することが可能になる。また、不要葉などが被処理野菜の進行方向の一方に偏在しているような場合には、不要葉などの偏在位置に応じて、第1ノズルよりも進行方向の下流側または第2ノズルよりも上流側に第3ノズルを設置してもよい。
【0023】
第3ノズルの左右方向における位置としては、第1ノズルと第2ノズルの左右方向の傾きとは反対側、即ち第1ノズルと第2ノズルから被処理野菜の葉側が好ましい。かかる位置に第3ノズルを設置することにより、被処理野菜のより葉側に位置する不純物をより効率的に除去することが可能になる。
【0024】
第1ノズルと第2ノズルの位置は、左右方向に調節することができる(図6参照)。それによって、被処理野菜の大きさなどに応じて、被処理野菜に対するエアの照射位置を調節することができ、そぐり作業が最も効率的に実施できるようにすることができる。また、被処理野菜のより葉側における不純物などの有無などに応じて、第3ノズルの左右方向の位置も調節できるようにすることが好ましい。
【0025】
本発明に係る野菜処理装置は、搬送台の上方、即ち搬送台の上面の上に設けられており被処理野菜を下方に押え付けるロール体を有する。ロール体は、ノズルにより被処理野菜の葉側から根側にエアを吹き付けて不要葉や不純物などを除去する際に、被処理野菜の不要な動き、特にエア照射による葉側から根側への動きや進行方向の転がりを抑制して、そぐり作業をより一層効率的にするためのものである。
【0026】
ロール体の材質は、そぐり作業時に被処理野菜が無駄に動かないよう固定すると共に、被処理野菜を傷付けないよう軟らかいものが好ましい。例えば、ロール本体部の外側に弾性体部を形成してもよい(図4参照)。弾性体の材質としては、例えば、軟質ポリウレタンフォーム等、軟質の多孔質樹脂体が挙げられる。より具体的には、密度が10kg/m3以上、25kg/m3以下、及び/又は、25%硬さが50N以上、200N以下といった材質を用いることができる。
【0027】
そぐり作業時においては、ノズルにより被処理野菜の葉側から根側にエアを吹き付けて不要葉や不純物などを除去するため、ロール体はノズルに対して被処理野菜の葉側に配置されることが好ましい。即ち、ロール体は、以下の(ア)又は(イ)を満たすことが好ましい。
(ア)前記第1ノズルおよび第2ノズルはいずれも、第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置よりも左右方向の左側に設置されている。
(イ)前記第1ノズルおよび第2ノズルはいずれも、第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体の設置位置よりも左右方向の右側に設置されている。
【0028】
特に、ノズルの先端を真下方向から左右方向に所定角度θ傾ける場合には、ロール体は、以下の(ウ)又は(エ)を満たすことが好ましい。
(ウ)前記第1ノズルおよび第2ノズルの先端部の傾きの左右方向成分が左方向である場合には、前記ロール体は前記第1ノズルおよび第2ノズルよりも右側に配置されている。
(エ)前記第1ノズルおよび第2ノズルの先端部の傾きの左右方向成分が右方向である場合には、前記ロール体は前記第1ノズルおよび第2ノズルよりも左側に配置されている。
【0029】
本発明に係る野菜処理装置は、少なくとも3個のロール体を有する。各ロール体は、進行方向および/または左右方向に移動可能に構成されていることが好ましい。ロール体数が3個である場合における各ロール体を第1ロール体、第2ロール体、および第3ロール体とすると、これらロール体の位置関係は、下記(オ)~(キ)を満たすことが好ましい(図1~3参照)。
(オ)第1ロール体は第2ロール体よりも進行方向の下流側に設けられている。
(カ)第2ロール体は第3ロール体よりも進行方向の下流側に設けられている。
(キ)第1ノズルは進行方向において第1ロール体と第2ロール体の間に配置されており、第2ノズルは進行方向において第2ロール体と第3ロール体の間に配置されている。
【0030】
第1ロール体と第2ロール体、及び第2ロール体と第3ロール体の位置関係は、下記(ク)~(ケ)を満たすことが好ましい(図1~3参照)。
(ク)第1ロール体と第2ロール体の進行方向の間隔が、第1ロール体と第2ロール体の直下における被処理野菜の進行方向の中心から端部の距離の±50%である。
(ケ)第2ロール体と第3ロール体の進行方向の間隔が、第2ロール体と第3ロール体の直下における被処理野菜の進行方向の中心から端部の距離の±50%である。
【0031】
第1ノズル、第2ノズル、及び第1~3ロール体が前記(オ)~(キ)、更には(オ)~(ケ)の位置関係を満たす場合、被処理野菜にエアが照射される際に、被処理野菜の端部が第1ロール体と第2ロール体および第2ロール体と第3ロール体により形成される隙間に存在するか、或いは第1ロール体および第3ロール体に固定され、且つ被処理野菜の中心部が第2ロール体に固定されるため、被処理野菜の不要な動きを抑制することができ、そぐり作業をより一層効率的に実施することが可能になる。
【0032】
ロール体は、搬送台と共に能動的に回転して、被処理野菜を固定しつつ、進行方向の上流側から移送するものであってもよい。しかしロール体は、搬送台の動きにより受動回転するものであることが好ましい。受動回転するロール体であれば、搬送台の動きとのずれに基づく被処理野菜の損傷などを抑制でき、また、装置をより簡素化できる。
【0033】
弾性体部を有するロール体を用いる場合には、ロール体の弾性体部を搬送台に圧接させ、そぐり作業中の被処理野菜をより確実に固定することが好ましい。この場合、弾性体部と搬送台との進行方向の接触長さPと、第1ロール体の回転中心と第2ロール体の回転中心との進行方向距離L12図5参照)とは、下記式(1)を満足していることが好ましい。また、第2ロール体の回転中心と第3ロール体の回転中心との進行方向距離L23とPも、下記式(2)を満足していることが好ましい。
0.8L12<P<1.2L12・・・(1)
0.8L23<P<1.2L23・・・(2)
【0034】
即ち、ロール体の弾性体部と搬送台との接触長さPとロール体間距離Lが同一または略同一であることにより、被処理野菜を搬送台へより確実に押え付け、そぐり作業時における被処理野菜の余分な動きをより一層抑制することが可能になる。
【0035】
以下、本発明に係る野菜処理装置を用いた野菜の処理方法を説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
【0036】
1.被処理野菜の予備処理工程
本工程では、本発明に係る野菜処理装置で処理する前に、明らかに不要な外葉などを大まかに除去しておく。かかる処理により、照射エアによるそぐり効果がより高まり、被処理野菜の移動速度を上げることが可能になり、処理効率がより一層高まる。なお、本工程の実施は任意であり、被処理野菜に明らかな不要葉や、手作業で容易に除去可能な不要葉が無い場合には、本工程は実施する必要はない。
【0037】
被処理野菜は、生産から出荷までの間にそぐり処理が必要ないわゆる葉茎菜類であり、例えば、ニラ、ネギ、セリが挙げられる。
【0038】
2.準備工程
本工程では、被処理野菜を、野菜処理装置の搬送台の上にセットし、野菜処理装置を調整する。具体的には、選別された被処理野菜を、進行方向に垂直な向きで、且つノズルが真下方向から傾いている方向へ、葉部から根部に向かうよう搬送台上に並べる。即ち、搬送台上における被処理野菜の左右方向の向きは、以下の(コ)又は(サ)を満たすようにする。
(コ)第1ノズルおよび第2ノズルの先端部の傾きの左右方向成分が左方向である場合には、野菜の根側を左側、野菜の葉側を右側にして搬送台に野菜を置く。
(サ)第1ノズルおよび第2ノズルの先端部の傾きの左右方向成分が右方向である場合には、野菜の根側を右側、野菜の葉側を左側にして搬送台に野菜を置く。
【0039】
被処理野菜の間隔は、そぐり作業が有効に行われる範囲で適宜調整すればよい。例えば、隣り合う被処理野菜同士の葉側端部が進行方向で重複していてもよいし、進行方向における隣り合う被処理野菜間の距離が一定でなくてもよいし、当該距離を一定または略一定にしてもよい。進行方向における隣り合う被処理野菜間の距離を一定または略一定にする場合には、当該距離を、例えば、5cm以上、20cm以下程度の範囲内で調整すればよい。また、そぐり作業が有効に行われるよう、被処理野菜の根側端部の左右方向の位置は合わせておくことが好ましい。野菜処理装置を稼働させた後は、搬送台上の空いたところへ、被処理野菜を同様に順次載せていけばよい。
【0040】
次に、搬送台上の被処理野菜の大きさ等に応じて、ノズルやロール体の位置を調整する。具体的には、第1ノズルと第2ノズルの左右方向と進行方向の位置は、左右方向における第1ノズルと第2ノズルの中央と被処理野菜の中央が一致する際に、左右からエアが根部に照射されてそぐり作業が有効に行えるよう調整する。各ロール体の左右方向と進行方向の位置も、被処理野菜の中央が第1ノズルと第2ノズルの進行方向の中央に一致する際に、特に被処理野菜の端部の動きを押えられるように調整する。
【0041】
3.そぐり作業工程
本工程では、搬送台上の被処理野菜にノズルからエアを吹き付け、不要葉や不純物などを除去する。
【0042】
エアの噴出は、被処理野菜が第1ノズルと第2ノズルとの間に達した時点で、エア供給流路を開閉する開閉弁を開けることにより行う。本発明では少なくとも第1ノズルと第2ノズルの2個のノズルから同時に被処理野菜へ葉側から根側へ向かってエアを照射するため、被処理野菜の不要な動きを抑制しつつ、そぐり作業を効率的に行うことができる。エアの噴出は、エア供給流路を開閉する開閉弁の開閉を行う装置などを使って人為的に行ってもよいし、被処理野菜の位置を自動的に検出し、自動的に行ってもよい。
【0043】
本工程において、多孔質樹脂体である弾性体部を有するロール体を用い、特にニラを有効にそぐり処理することが可能になる。ニラの葉は比較的扁平であり、ロール体に吸着されて巻き込まれ易いといえるが、多孔質樹脂体である弾性体部を用いることにより、かかる吸着や巻き込みを効果的に抑制することができる。
【0044】
そぐり作業が完了した被処理野菜は、搬送台から人為的に取り出して包装や梱包を行ってもよいし、包装装置や梱包装置などへ自動的に搬送してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8