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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035584
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B42F7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140147
(22)【出願日】2022-09-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】513139518
【氏名又は名称】株式会社へいわ
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】菅原 伸育
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA17
(57)【要約】
【課題】本発明は、書類や紙片等の枚数の大小および収納の態様によらず、書類や紙片等の損傷を簡単な構成で抑制するとともに、書類等の脱落を防止し、持ち運びが容易なファイルを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のファイルは、表表紙部2と裏表紙部3とを備えてなるファイルにおいて、表表紙部2および裏表紙部3の一方の端部には、他方に対向する位置に開口部5を有している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙部と裏表紙部とを備えてなるファイルにおいて、表表紙部および裏表紙部の一方の端部には、他方に対向する位置に開口部を有することを特徴するファイル。
【請求項2】
前記表表紙部と前記裏表紙部との間に背表紙部を備え、前記背表紙部は、綴り具を有することを特徴する請求項1に記載のファイル。
【請求項3】
前記表表紙部と前記裏表紙部との間に背表紙部を備え、前記表表紙部は、前記背表紙部側に綴り具を有することを特徴する請求項1に記載のファイル。
【請求項4】
前記開口部に係止部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルに関し、特に書類や紙片等が収納され持ち運びが便利になるように表紙部の所定位置に開口部を設けてなるファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
書類や紙片等が収納されるファイルには、書類や紙片等を綴じる綴り具を備えたものや、綴り具を備えないもの等がある。これらファイルの持ち運びしやすい構造として、特許文献1、特許文献2および特許文献3等が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示されているバインダーは、背表紙部の両側に表表紙部と裏表紙部とを備えており、背表紙部に固着された綴り具を介して両表紙部間に書類を綴じるように構成される。そして、両表紙部に連接された一対の張出片の内側同士を整合させることで手提げ状の取っ手部が形成され、沢山の書類を綴じて重くなった場合であっても、楽に持ち運べるバインダーが開示されている。さらに、取っ手部には、互いに連通するように形成された所望の大きさの開口部が形成される。そして、バインダーが棚等に収納、配列される際には、開口部に形成された係止片が他方の開口部に係合され、全体としてボックス状に保形できることが開示されている。
【0004】
特許文献2には、持ち運び容易に手提げ袋型クリアファイルとして使用でき、手提げ袋として使用した後に、手提げ袋の一部を切り取りすることで通常のクリアファイルとして使用することができる構成が開示されている。
特許文献3には、底板、上板のそれぞれの相対する適当な位置に開け口が形成されて、相対的に手提げ部が形成してあるファイルホルダーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6-63365号公報
【特許文献2】特許第6813901号広報
【特許文献3】実開新案登録第3104677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用頻度の多い書類や紙片等は、綴り具に綴じるのが面倒で、綴じない態様でファイルに収納されることも多い。また、書類や紙片等を綴じるためにパンチ穴を開けたくない場合や、綴り具の接触により書類に折れや曲げや欠けを生じさせたくない場合にも、書類や紙片等は、ファイルに綴じない態様で収納される。また、書類や紙片等の材質、形状、サイズによっても、ファイルに綴じない態様で収納される場合がある。
このように綴じない態様でファイルに収納された書類や紙片等は、ファイルの持ち運び時にファイルからの脱落が発生する場合もある。
【0007】
また、綴じられた態様でファイルに収納された書類や紙片等においても、枚数が少ない場合には、ファイルの持ち運び時の欠損により、ファイルからの脱落が発生する場合もある。また、枚数が多い場合には、書類や紙片等が綴り具から外れやすくなり、ファイルからの脱落が発生する場合もある。
【0008】
特許文献1には、書類を綴じて重くなった場合であっても、手提げ状の取っ手部により、楽に持ち運べることが開示されているだけであり、収納される書類の状態は不明である。仮に、書類が綴じられていなまま収納されていると、ファイルからの脱落が生じるおそれがある。とくに特許文献1のバインダーの取っ手部は、表表紙部と裏表紙部とは別に形成された張出片からなり、開口部は互い連通するように形成されているので、書類の量が多くなると、書類の厚さで、表表示部と裏表紙部との間から書類が脱落しやすくなる。また、開口部を連通することも難しくなり、取っ手として機能しなくなる。また、取っ手部を別に形成することで構造が複雑で製造コストも高い。
【0009】
特許文献2には、手提げ袋として使用した後に、通常のクリアファイルになることが開示されているだけである。手提げ袋として使用した後は把持部が切り離された状態なので、クリアファイルは、沢山の書類が収納された場合等、持ち運びが容易でない。また、把持部を別に形成することで構造が複雑で製造コストも高い。
【0010】
特許文献3の開け口も、特許文献1の開口部のように互い連通するように形成されているため、明け口の位置に書類があると、手提げ部として使用することはできず、また、無理に使用すると書類に損傷が生じてしまう。
【0011】
本発明は、書類や紙片等の枚数の大小および収納の態様によらず、書類や紙片等の損傷を簡単な構成で抑制するとともに、書類等の脱落を防止し、持ち運びが容易なファイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様に係るファイルは、表表紙部と裏表紙部とを備えてなるファイルにおいて、表表紙部および裏表紙部の一方の端部には、他方に対向する位置に開口部を有することを特徴する。
【0013】
このような構成によれば、使用者は、ファイルに収納された書類や紙片等を開口部を介して他方の表紙部の内側の面に押圧することができ、ファイルの持ち運び時に書類や紙片等を容易に固定でき、脱落を抑制することができる。
【0014】
なお、本発明の開口部5は、表表紙部と裏表紙部の両方に形成することもできるが、両方に形成する場合には、互いに対向しない位置に形成することで、上記のような本発明の効果を奏することができる。
【0015】
また、本発明のファイルは、前記表表紙部と前記裏表紙部との間に背表紙部を備え、前記背表紙部は、綴り具を有することが好ましい。これにより、書類や紙片等を綴じられた態様および綴じられない態様でファイルに収納することができる。
【0016】
また、本発明のファイルは、前記表表紙部と前記裏表紙部との間に背表紙部を備え、前記表表紙部は、前記背表紙部側に綴り具を有することが好ましい。書類や紙片等を綴じられた態様および綴じられない態様でファイルに収納することができる。
【0017】
また、本発明のファイルは、前記開口部に係止部を有することが好ましい。これにより、使用者は、ファイルに収納された書類や紙片等を係止部で保護しながら押圧することができる。なお、この開口部に設けられる係止部は、表表紙部と裏表紙部とが連結された側に近い側若しくは遠い側の何れに連結させておいてもよいが、近い側に連結させておくことにより、開口部の遠い側を指の引っ掛けとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るファイルを示す展開斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るファイルの持ち運び状態を示す図である。
図3】本発明の変形例に係るファイルを示す図である。
図4】本発明の変形例に係るファイルを示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るファイルを示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るファイルの持ち運び状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0020】
[実施形態1]
本発明の第1実施形態の構成を、図1および図2を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るファイル10を示す展開斜視図である。また、図2Aは、綴じられた書類B1および綴じられていない書類B2が収納されたファイル10の斜視図であり、図2Bは、使用者Aによるファイル10の持ち運び状態を示す側面図である。
【0021】
ファイル10は、合成樹脂材等の適宜素材を用いて一体成形されているもので、背表紙部1の左右両端に連設された一方の側の表表紙部2および他方の側の裏表紙部3を有している。また、本実施形態のファイル10は、A4サイズの書類に対応したファイルとなっており、このためA4サイズの書類に対応した大きさとなっている。
この背表紙部1の内側の面には、書類や紙片等の差替え、綴着ができるようにチューブ式の綴り具4が固着されている。
【0022】
そして、一方の表表紙部2には、背表紙部1と反対側となる長辺側の端部中央付近に貫通孔からなる開口部5が形成されている。また、他方の裏表紙部3には、表表紙部2の開口部5と対向する位置に開口を有さない。
【0023】
このため、表表紙部2および裏表紙部3を使用者Aが握った時、開口部5を介して、使用者Aは、ファイル10に収納された書類を裏表紙部3の内側の面に直接押圧することができる(図2Bを参照)。
【0024】
したがって、開口部5は、表表紙部2の長辺側の端部を使用者Aが握った位置に設けられており、少なくも指の先端の大きさより大きく形成される。なお、本実施形態においては、開口部5は矩形状のものを示しているが、楕円形、円形、多角形等でも構わない。
【0025】
このようなファイル10は、綴り具4に綴じられた書類B1および綴じられていない書類B2は、開口部5を介して、使用者Aの指により直接押圧され裏表紙部3の内側の面に固定されるので、ファイルの持ち運び時に、ファイルに収納された書類や紙片等の脱落を抑制できる。また、使用者Aの指で直接書類や紙片等を押圧するので、枚数が少ない場合や、枚数が多い場合であっても、書類や紙片等の脱落を抑制することができます。
【0026】
また、開口部5は、表表紙部2に設けられているだけなので、指で押圧された書類や紙片等が裏表紙部3の内側の面で受け止められることから、損傷も抑制される。
【0027】
更に、本実施形態においては、図2Bに示すように、親指の第1関節(IP関節)を開口部5の上部の縁(背表紙部1から離れた側の縁)に引っ掛け、親指の先端で書類や紙片等を裏表紙部3の内側の面に押し付けるようにしてファイル10を持って使用している。したがって、この親指の引っ掛かりによってファイル10が持ち易くなる。
【0028】
尚、本発明のファイル10は、本実施形態に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。
【0029】
例えば、本実施形態にあっては、背表紙部1および綴り具4を備えていたが、これらを備えない構成としてもよい。また、実施形態にあっては、綴り具4は、チューブ式に限らず、リング式でもよく、また、書類や紙片等にパンチ穴が不要なZ型綴り具のバインダー方式でもよい。
【0030】
図3Aに示されるファイル10は、裏表紙部3の内側の面にバインダー方式の綴り具4を有し、表表紙部2に開口部5を有しする。書類が多数であっても、また、書類や紙片等が綴り具4に綴じられなく収納されても、使用者Aは、表表紙部2に形成された開口部5を介して、裏表紙部3の内側の面に押圧して、書類や紙片等を握ることができるので、ファイル10の持ち運びが容易になる。また、図3Bに、背表紙部1の内側の面にリング式の綴り具4が固着されたファイル10を示す。
【0031】
また、本実施形態では、開口部5が表表紙部2にのみ形成されていたが、裏表紙部3および表表紙部2の両方に形成されてもよく、両方に形成される場合には、互いに対向しない位置に形成することにより、互いの開口部5が連通しない構成となり、本発明の効果を奏することができる。
【0032】
図4に示されるファイル10は、背表紙部および綴り具を有さないクリアファイルである。したがって、表表紙部2と裏表紙部3とが背表紙部を介さずに直接連結されている。そして、多数の綴じられていない書類B2を収納しても、使用者Aは、表表紙部2に形成された開口部5を介して、書類や紙片等を握ることができるので、ファイル10の持ち運びが容易になる。
【0033】
このような構成からなるファイル10は、書類や紙片等の枚数の大小および収納の態様によらず、書類や紙片等の損傷を抑制し、また、ファイルからの脱落を抑制することができ、持ち運びが容易となる。
【0034】
[実施形態2]
本発明の第2実施形態の構成を、図5および図6を用いて説明する。図5および図6は、それぞれ、図1および図2に対応する。
ファイル20は、第1実施形態のファイル10に係止片6を有する構成である。この係止片6は、ファイル10では、開口部5を形成時に切り離されるが、ファイル20では、完全に切り離されずに一部をつなげたままにして残されており、開口部5に折曲自在となっている。また、本実施形態においては、開口部5における表表紙部2と裏表紙部3と背表紙部1を介して連結する側に近い側で係止片6は開口部5に連結されている。
【0035】
使用者Aは、開口部5および係止片6を介して、裏表紙部3の内側の面に押圧して、書類を握ることができるので、ファイル20の持ち運びが容易になる。また本実施形態においては、図6Bに示すように親指の第1関節(IP関節)を開口部5の上部の縁(背表紙部1から離れた側の縁)に引っ掛け、親指の先端で係止片6を裏表紙部3に押し付けるようにしてファイル10を持っている。したがって、親指の引っ掛かりによってファイル10が持ち易くなり、また開口部5において、使用者Aの親指が書類に直接触れることがないので、この係止片6が開口部5において書類の保護部としても機能することになる。
【0036】
このように、本地実施形態のファイル20は、開口部5に係止片6を形成したことによって、使用者Aは、係止片6により書類や紙片等を保護しながら、表表紙部2側から裏表紙部3の内側の面に押圧し、固定することができ、持ち運びに容易となる。
【符号の説明】
【0037】
1:背表紙部
2:表表紙部
3:裏表紙部
4:綴り具
5:開口部
6:係止片
10、20:ファイル
A:使用者
B1.:綴じられた書類
B2:綴じられていない書類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙部と裏表紙部とを備えてなるファイルにおいて、
前記表表紙部および前記裏表紙部の何れか一方にのみ、前記表表紙部と前記裏表紙部とが連結されている側とは反対側の端部において他方に対向する位置に使用者の指の入る開口部を有することを特徴とするファイル。
【請求項2】
前記表表紙部と前記裏表紙部とは、前記表表紙部と前記裏表紙部との間に背表紙部を介して連結されており、
前記背表紙部は、綴り具を有することを特徴とする請求項1に記載のファイル。
【請求項3】
前記表表紙部と前記裏表紙部とは、前記表表紙部と前記裏表紙部との間に背表紙部を介して連結されており、
前記表表紙部は、前記背表紙部側に綴り具を有することを特徴とする請求項1に記載のファイル。