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特開2024-35587トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法
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  • 特開-トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法 図1
  • 特開-トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法 図2
  • 特開-トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法 図3
  • 特開-トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法 図4
  • 特開-トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法 図5
  • 特開-トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035587
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法
(51)【国際特許分類】
   B68G 7/02 20060101AFI20240307BHJP
   B68G 7/05 20060101ALI20240307BHJP
   B60N 2/58 20060101ALI20240307BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B68G7/02
B68G7/05 C
B60N2/58
A47C31/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140154
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】荒井 真
(72)【発明者】
【氏名】日比野 賢蔵
(72)【発明者】
【氏名】吉原 弘樹
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE03
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】シートパッドとトリムカバーとを接合するための接着剤を効率的に冷却することを可能とする。
【解決手段】本発明の一態様に係るトリムセット用治具2は、トリムカバー120がセットされるトリムセット刃型20と、該トリムセット刃型20に設けられた、トリムカバー120を位置決めする位置決め部24と、シートパッドとトリムカバー120との間に塗布された接着剤に向けてエアーを噴出するエアー噴出口27と、該エアー噴出口27に向けてエアー供給装置からエアーが供給されるエアー供給部と、を備える。位置決め部24は、トリムカバー120の縫合部分122に挿通可能な大きさに形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを構成するシートパッドとトリムカバーとを接着剤で接合する際に用いられる治具であって、
前記トリムカバーがセットされるトリムセット刃型と、
該トリムセット刃型に設けられた、前記トリムカバーを位置決めする位置決め部と、
前記シートパッドと前記トリムカバーとの間に塗布された接着剤に向けてエアーを噴出するエアー噴出口と、
該エアー噴出口に向けてエアー供給装置からエアーが供給されるエアー供給部と、
を備える、トリムセット用治具。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記トリムカバーの縫合部分に挿通可能な大きさに形成されている、請求項1に記載のトリムセット用治具。
【請求項3】
複数の前記位置決め部が所定の間隔をあけて配置されている、請求項2に記載のトリムセット用治具。
【請求項4】
前記エアー噴出口が、前記位置決め部と他の前記位置決め部との間に設けられている、請求項3に記載のトリムセット用治具。
【請求項5】
前記エアー噴出口が、前記位置決め部と他の前記位置決め部との間の中間位置よりも当該位置決め部または他の前記位置決め部のいずれかに近い位置に設けられている、請求項4に記載のトリムセット用治具。
【請求項6】
前記エアー噴出口が、前記位置決め部と他の前記位置決め部との間に設けられている、請求項3に記載のトリムセット用治具。
【請求項7】
当該トリムセット用治具の内部に、前記エアー供給部と前記エアー噴出口とを繋ぐエアー供給路が形成されている、請求項1に記載のトリムセット用治具。
【請求項8】
当該トリムセット用治具のうち前記エアー供給路が形成されている部分が積層構造になっている、請求項7に記載のトリムセット用治具。
【請求項9】
前記トリムセット刃型が、中板部材と、該中板部材を挟み込む一対の外板部材とを含む積層構造となっている、請求項8に記載のトリムセット用治具。
【請求項10】
前記中板部材に、前記エアー供給路を形成する切り欠き部が形成されている、請求項9に記載のトリムセット用治具。
【請求項11】
前記外板部材に、前記切り欠き部の一部と前記エアー供給部とを連通させる連通部が設けられている、請求項10に記載のトリムセット用治具。
【請求項12】
前記シートパッドと前記トリムカバーのいずれかのうち前記接着剤によって接着される部分に向けてミストを噴出するミスト供給部をさらに備える、請求項1に記載のトリムセット用治具。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のトリムセット用治具と、前記シートパッドをセットするためのパッドセット用治具と、を備え、前記トリムセット用治具と前記パッドセット用治具とで前記トリムカバーと前記シートパッドをプレス圧縮する、接合装置。
【請求項14】
シートを構成するシートパッドとトリムカバーとを接合する方法であって、
前記シートパッドと前記トリムカバーのうち互いに接合される部分の少なくとも一部に接着剤を塗布し、
前記シートパッドと前記トリムカバーとをプレス圧縮する工程と、前記接着剤に向けてエアーを噴出する工程とを同時に、または時間をずらして行う、接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートを製造する過程でシートパッドとトリムカバーとを接合する際、接着剤を使う工法が利用されている(例えば特許文献1参照)。このような工法の一例は、シートパッドの溝底に接着剤(反応型ホットメルト)を塗布し、トリムセット型にセットされたトリムカバーの縫合部分を接着するというもの(Glue Anchor工法)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-016709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のごとき工法においては、接着剤を効率的に冷却することが課題となっていた。接着剤を効率的に冷却することができれば生産タクトタイムの短縮が図れるものの、現状ではこのような課題を克服しうる手法は提案されていない。
【0005】
そこで、本発明は、シートパッドとトリムカバーとを接合するための接着剤を効率的に冷却することを可能とするトリムセット用治具とこれを備えた接合装置、およびシートパッドとトリムカバーとを接合する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートを構成するシートパッドとトリムカバーとを接着剤で接合する際に用いられる治具であって、
トリムカバーがセットされるトリムセット刃型と、
該トリムセット刃型に設けられた、トリムカバーを位置決めする位置決め部と、
シートパッドとトリムカバーとの間に塗布された接着剤に向けてエアーを噴出するエアー噴出口と、
該エアー噴出口に向けてエアー供給装置からエアーが供給されるエアー供給部と、
を備える、トリムセット用治具である。
【0007】
上記のごとき治具によれば、シートパッドとトリムカバーとを接着剤で接合する際、接着剤に向けエアーを噴出することによって当該接着剤を効率的に冷却することができる。これによれば、シートパッドとトリムカバーとを接合するために要する時間を短縮すること、ひいては車両用等のシートを生産するために要するタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0008】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、位置決め部は、トリムカバーの縫合部分に挿通可能な大きさに形成されていてもよい。
【0009】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、複数の位置決め部が所定の間隔をあけて配置されていてもよい。
【0010】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、エアー噴出口が、位置決め部と他の位置決め部との間に設けられていてもよい。
【0011】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、エアー噴出口が、位置決め部と他の位置決め部との間の中間位置よりも当該位置決め部または他の位置決め部のいずれかに近い位置に設けられていてもよい。
【0012】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、エアー噴出口が、位置決め部と他の位置決め部との間に設けられていてもよい。
【0013】
上記のごとき態様のトリムセット用治具の内部に、エアー供給部とエアー噴出口とを繋ぐエアー供給路が形成されていてもよい。
【0014】
上記のごとき態様のトリムセット用治具のうちエアー供給路が形成されている部分が積層構造になっていてもよい。
【0015】
上記のごとき態様のトリムセット用治具のトリムセット刃型が、中板部材と、該中板部材を挟み込む一対の外板部材とを含む積層構造となっていてもよい。
【0016】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、中板部材に、エアー供給路を形成する切り欠き部が形成されていてもよい。
【0017】
上記のごとき態様のトリムセット用治具において、外板部材に、切り欠き部の一部とエアー供給部とを連通させる連通部が設けられていてもよい。
【0018】
上記のごとき態様のトリムセット用治具は、シートパッドとトリムカバーのいずれかのうち接着剤によって接着される部分に向けてミストを噴出するミスト供給部をさらに備えていてもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る接合装置は、上記のごときトリムセット用治具と、シートパッドをセットするためのパッドセット用治具と、を備え、トリムセット用治具とパッドセット用治具とでトリムカバーとシートパッドをプレス圧縮するというものである。
【0020】
本発明の一態様に係る接合方法は、シートを構成するシートパッドとトリムカバーとを接合する方法であって、
シートパッドとトリムカバーのうち互いに接合される部分の少なくとも一部に接着剤を塗布し、
シートパッドとトリムカバーとをプレス圧縮する工程と、接着剤に向けてエアーを噴出する工程とを同時に、または時間をずらして行うというものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シートパッドとトリムカバーとを接合するための接着剤を効率的に冷却することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】シートパッドとトリムカバーと接合するまでの工程を説明する図で、(A)~(C)はパッドセット用治具にシートパッドをセット等する工程、(D)~(F)はトリムセット用治具にトリムカバーをセット等する工程、(G)はシートパッドとトリムカバーとをプレスで圧縮する工程を示す。
図2】トリムセット用治具のトリムセット刃型の構成例を示す斜視図である。
図3図2中の枠で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図4】トリムセット刃型の内部の構成等を示す分解斜視図である。
図5】シートパッドと、トリムセット刃型にセットしたトリムカバーとを重ね合わせた状態でトリムセット刃型のエアーホール(エアー噴出口)から噴出したエアーで接着剤を冷却する様子を示す図である。
図6】本願に係るトリムセット刃型等を用いた接合方法と従来の接合方法との違いを示す、接着剤の温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する(図1等参照)。
【0024】
本発明の一態様に係る接合装置1は、トリムセット用治具2とパッドセット用治具3とを備える装置で、これらトリムセット用治具2とパッドセット用治具3とでトリムカバー120とシートパッド110をプレス圧縮するように構成されている。接合の対象たるシートパッド110とトリムカバー120は、それぞれ、車両用シート(図示省略)の内側パッド(クッション材)と、表皮とを構成する部材である。シートパッド110は、ウレタンフォーム等の比較的軟質な樹脂発泡材で構成されていて、車両用シートの骨格となるシートフレーム(図示省略)を覆うように設けられる。トリムカバー120は皮革、織布、不織布等の表皮材で構成されていて、シートパッド110を覆うように設けられる。これらシートパッド110とトリムカバー120は、接着剤50で接合される。
【0025】
<シートパッドとトリムカバーと接合する工程の概略>
本実施形態では、上記のごとくトリムセット用治具2およびパッドセット用治具3を含む接合装置1を用いてこれらシートパッド110とトリムカバー120を接合する。接合の工程の概略は以下のとおりである(図1参照)。
【0026】
パッドセット用治具(パッド型)3にシートパッド110をセットし(図1(A)参照)、シートパッド110とトリムカバー120のうち互いに接合される部分の少なくとも一部(本実施形態では、あらかじめシートパッド110に設けられている溝部110v)に接着剤50を塗布する(図1(B)参照)。接着剤50はホットメルト型であり、高温(例えば80℃前後)に熱せられ溶融した状態で塗布される。その後、パッドセット用治具3ごとシートパッド110を反転させる(図1(C)参照)。一方、トリムカバー120については、トリムセット用治具2のトリムセット刃型20(本実施形態のトリムセット刃型20には、後の項で詳述するエアーホール27が設けられている)に、2枚のトリムカバーの縫合部分(トリムカバー120の縫い代120wどうしを合わせて縫った部分)122の表面側に形成される谷部を宛がうようにしてトリムセット用治具2にセットする(図1(D)参照)。トリムカバー120をトリムセット用治具2にセットしたら、ミスト供給部28から、カバー裏面側の縫合部分122に向けミストを噴出して湿らせる(図1(E)、(F)参照)。なお、ミストを噴出する工程は必須ではない選択的なものだが、接合前の段階で接合箇所をこのように湿らせておくことで、冷却エアーによる接着剤50の冷却作用をより効果的なものとすることが可能となる。その後、縫合部分122を溝部110vに差し入れるようにしながらシートパッド110とトリムカバー120とを密着させ、プレスで圧縮する(図1(G)参照)。また、トリムセット刃型20のエアーホール27(図1(D)等参照)からエアーを噴出して接着剤50を冷却する。プレス圧縮する工程とエアーを噴出する工程は、互いに時間をずらして順次実施されるものであってもよいが、同時に実施することとすればタクトタイムをより短縮することが可能となる。
【0027】
<トリムセット用治具の構成>
本実施形態のトリムセット用治具2は、トリムセット刃型20とトリムセット下型29とがT字形に組み合わされた構成となっている(図1(D)、図5等参照)。これらのうち、トリムセット下型29は、トリムセット用治具2の土台を構成する、例えば平板状の部材で構成されている(図1図5参照)。
【0028】
トリムセット刃型20は、トリムカバー120の縫合部分122の表面側に形成される谷部が宛がわれるように薄板状に形成された部分である。本実施形態のトリムセット刃型20は、中板部材21と、該中板部材21を挟み込む一対の外板部材22とを含む積層構造となっている(図4参照)。また、トリムセット刃型20には、位置決めピン24、エアー供給部25、エアー供給路26、エアーホール27が設けられている。
【0029】
位置決めピン24は、トリムセット用治具2にトリムカバー120をセットする際に当該トリムカバー120の位置決めをする位置決め部として機能する。本実施形態の接合装置1においては、複数(一例として、3つ)の位置決めピン24が、トリムセット刃型20を構成する中板部材21の上縁に沿って所定の間隔をあけて配置されている(図2等参照)。これら位置決めピン24は、トリムカバー120の縫合部分122に挿通可能な大きさ、より具体的には、縫合糸123と縫合糸123の間の隙間に挿通可能な大きさのピンによって構成されている(図3参照)。
【0030】
エアー供給部25は、エアーホール27に向けてエアー供給装置40からエアーが供給される部分である。本実施形態の接合装置1においては、一対の外板部材22の一方に複数の連通部22cを設け、それぞれの連通部22cに例えばエルボー型の配管25pを接続してエアー供給部25を構成している(図2図4参照)。連通部22cは、エアー供給部25の配管25pと、中板部材21に形成されている切り欠き部21nとを連通させるように設けられている。
【0031】
エアー供給路26は、エアー供給部25とエアーホール27とを繋ぐようにトリムセット用治具2の内部に形成された流路である。本実施形態の接合装置1においては、中板部材21に複数の切り欠き部21nを設けておき、一対の外板部材22で中板部材21を挟み込んだとき当該切り欠き部21nによって複数のエアー供給路26が形成されるようにしている(図4参照)。切り欠き部21nのうち外板部材22の連通部22cに連なる部分には他の流路の部分よりも大きい導入部21sが形成されている(図4参照)。
【0032】
エアーホール(エアー噴出口)27は、シートパッド110とトリムカバー120との間に塗布された接着剤50に向けてエアーを噴出するように設けられている(図5参照)。本実施形態の接合装置1においては、エアー供給路26のそれぞれの開口端部がエアーホール27として機能するようになっている(図4等参照)。エアーホール27の配置は、接着剤50を効率的に冷却しうるものであれば特に限定されることはない。一例として、本実施形態では、位置決めピン24と位置決めピン24とを結ぶ線の延長線上にエアーホール27を配置するとともに、位置決めピン24と位置決めピン24との間に2つのエアーホール27を配置している(図2図5参照)。これらエアーホール27は、位置決めピン24と位置決めピン24との間の中間位置よりも、いずれかの位置決めピン24寄りに配置されていることが好ましく、できるだけ位置決めピン24の近傍に配置されていることがより好ましい。プレスで圧縮した際、トリムカバー120の縫い代120wは、位置決めピン24の近傍の部分にあっては当該位置決めピン24によって支えられているため側方に倒れにくいのに対し(図5参照)、位置決めピン24から離れた部分にあってはこのような支えがないため側方に倒れやすく、そうなると縫い代120wと縫い代120wの間のエアーの流れを妨げてしまう。こういった点を考慮し、位置決めピン24の近傍にエアーホール27を配置しておけば、側方に倒れていない状態の縫い代120wと縫い代120wの間にエアーを流通させて接着剤50をより効率的に冷却することが可能となる(図5参照)。
【0033】
ミスト供給部28は、シートパッド110とトリムカバー120のいずれかのうち接着剤50によって接着される部分に向けてミストを噴出する装置によって構成されている(図1(E)参照)。
【0034】
上記のごとく構成されたトリムセット用治具2あるいはこれを備えた接合装置1によれば、シートパッド110とトリムカバー120とを接着剤50で接合する際、熱せられて溶融した状態の接着剤50に向けてエアーホール27からエアーをブロー(噴出)することによって当該接着剤50を効率的に冷却して硬化させることができる(図5等参照)。これによれば、シートパッド110とトリムカバー120とを接合するために要する時間を短縮することが可能となる結果、車両用シートを生産するために要するタクトタイムを短縮することができるようになる。
【0035】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では車両用シートを構成するシートパッド110とトリムカバー120とを接着剤で接合する場合について説明したがこれは一例にすぎず、発明の内容からすれば車両用以外のシートに用いられるシートパッドとトリムカバーとを接合する場合にも適用することができることはいうまでもない。
【実施例0036】
本実施形態に係るトリムセット用治具2を備えた接合装置1を用いた場合の接着剤50の冷却効果を、従来の装置を用いた場合と比較して検証した(図6参照)。80℃前後にまで熱せられた接着剤50の温度が35℃になるまでの時間を測定したところ、従来は250秒ほどだったのが、本実施形態に係る備えた接合装置1を用いた場合には50秒ほどとなり、タクトタイムが200秒ほど短縮されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車両用等のシートを構成するシートパッドとトリムカバーとを接着剤で接合する際に適用して好適である。
【符号の説明】
【0038】
1…接合装置
2…トリムセット用治具
3…パッドセット用治具
20…トリムセット刃型
21…中板部材
21n…切り欠き部
21s…導入部
22…外板部材
22c…連通部
24…位置決めピン(位置決め部)
25…エアー供給部
25p…配管
26…エアー供給路
27…エアーホール(エアー噴出口)
28…ミスト供給部
29…トリムセット下型
40…エアー供給装置
50…接着剤
110…シートパッド
110v…溝部
120…トリムカバー
120w…縫い代
122…縫合部分
123…縫合糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6