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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035589
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】転圧装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/34 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
E01C19/34 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140156
(22)【出願日】2022-09-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】394010540
【氏名又は名称】株式会社ユニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】苗村 昭夫
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052AA03
2D052AA06
2D052AD11
2D052AD13
2D052BC01
2D052DA31
(57)【要約】
【課題】
加振機3を軽量化して、上下の対地衝撃振動と転圧移動方向46の速度とを向上した転圧装置1を提供すること。
【解決手段】
加振機3は、転圧板5に立設され上下に磁極を有する電磁石15と、その上方に配置される強磁性材料製磁気吸着体18とに、板状のばね部材72、73の両端部72a、73a:72b、73bを固定して仮想平行4辺形を形成して構成され、電池2とは、転圧移動方向46に沿ってずれて配置される。制御回路34は、電磁石15を電池2の電力で繰り返し励磁、消磁する。磁気吸着体18は、電磁石15を励磁して、ばね部材72、73のばね力に抗して図1の左下方に変位して磁気吸着され、電磁石15を消磁して、磁気吸着体18はばね復元力によって図1の右上方に変位して離間する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 転圧板と、
(b) 加振機であって、
(b1) 電磁石と、
(b2) 強磁性材料から成り、電磁石の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体とを備え、
(b3) 電磁石および磁気吸着体のいずれか一方が転圧板に固定され、さらに、
(b4) 電磁石と磁気吸着体との間に設けられるばね部材であって、
電磁石が消磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とを離間し、
電磁石が励磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とがその磁気吸引力でばね力に抗して磁気吸着し、この磁気吸着と前記離間で解放されるばね復元力とによって、転圧板の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力を発生させるばね部材を備える加振機と、
(c) 電池と、
(d) 電磁石を、電池の電力によって励磁し、その電力を遮断して消磁し、励磁と消磁とを繰り返す制御回路とを含むことを特徴とする転圧装置。
【請求項2】
加振機は、電池よりも軽量であり、
加振機と電池とは、転圧板の転圧移動方向に沿ってずれて配置され、
電磁石は、転圧板に固定され、
磁気吸着体は、ばね部材を介して転圧板に取り付けられ、
ばね部材は、電磁石が消磁されている自然状態で磁気吸着体を転圧移動方向のいずれか一方寄りに保持し、電磁石が励磁されることによって磁気吸着体を転圧移動方向のさらにいずれか一方寄りに弾発的に変位することを特徴とする請求項1に記載の転圧装置。
【請求項3】
加振機は、電池よりも軽量であり、
加振機と電池とは、転圧板の転圧移動方向に沿ってずれて配置され、
磁気吸着体は、転圧板に固定され、
電磁石は、ばね部材を介して転圧板5に取り付けられ、
ばね部材は、電磁石が消磁されている自然状態で電磁石を転圧移動方向のいずれか一方寄りに保持し、電磁石が励磁されることによって電磁石を転圧移動方向のさらにいずれか一方寄りに弾発的に変位することを特徴とする請求項1に記載の転圧装置。
【請求項4】
傾動機構を備え、この傾動機構は、加振機を転圧板に対して転圧移動方向に垂直な横軸線まわりに傾動調整可能にすることを特徴とする請求項1~3のうちの1つに記載の転圧装置。
【請求項5】
(e) 電磁石と、
(f) 強磁性材料から成り、電磁石の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体とを備え、
(g) 電磁石および磁気吸着体のいずれか一方が被加振体5に固定され、さらに、
(h) 電磁石と磁気吸着体との間に設けられるばね部材であって、
電磁石が消磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とを離間し、
電磁石が励磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とがその磁気吸引力でばね力に抗して磁気吸着し、この磁気吸着後の前記離間で解放されるばね復元力によって、被加振体5の予め定める移動方向の成分を有する力を発生させるばね部材を備えることを特徴とする加振機。
【請求項6】
(i) 電池本体と、その電池本体の上方に突出して延びて電力を出力する端子とを有する電池と、
(j) 収納ケースであって、
上部が開口し、電池を取出し交換可能に収納する本体部と、
本体部の上部の開口を開閉可能であり、電力消費回路が収納される蓋部とを備える収納ケースと、
(k) 蓋部に、端子に対応して下方に臨んで配置される電気接続部であって、
蓋部22が本体部21の上部の開口を閉じた状態で端子の外周面に周方向の複数の接触個所で弾発的に接触して電力消費回路に電力を供給し、蓋部が本体部の上部の開口を開いた状態で端子の上下の軸線方向に端子と離間される接続片を有する電気接続部とを含むことを特徴とする電池収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばアスファルト舗装工事などにおいて用いられる、転圧板に振動を与えながら転圧移動してアスファルト表層などを締固める、プレートコンパクタなどとも呼ばれる転圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の転圧装置の一例が特許文献1に記載される。特許文献1の転圧装置は、内燃機関と、内燃機関の回転動力がベルトなどの伝動機構を介して伝達されて回転駆動される偏心重りを有する加振機と、加振機の振動によって対地衝撃を発生しつつ転圧移動してアスファルト舗装面のアスファルト合材を締め固めるトレイ状の転圧板などとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-190587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、加振機の駆動源として内燃機関を備えるので、内燃機関の回転動力を伝達する伝動機構による動力の損失が大きく、また、内燃機関および加振機などの構成が大形、大重量であるので、この観点からも動力の損失が大きいとともに、工事現場への運搬作業が困難であり、対地衝撃振動によって転圧するために大きな駆動出力が必要になる、などの課題がある。また、内燃機関から発生されるCOガスおよび騒音を低減して、環境をよくすることが望まれる。
【0005】
前述の従来技術の問題点を解決するために、内燃機関に代えて、加振機の偏心重りを回転駆動する電動モータとそれを付勢する電池とを備える構成が考えられるであろう。この提案される転圧装置では、加振機と電動モータと電池との3者の各重量が大きく、発生される上下方向の対地衝撃振動が不充分であり、また、転圧移動する速度が低い、という新たな問題点に遭遇する。
【0006】
本発明の目的は、内燃機関を備えず、加振機を軽量化して、対地衝撃振動と転圧移動速度とを向上した転圧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
参照符について、実施の各形態における、対応する各構成要素には、同一の数字または100もしくは200などを加えた数字を付す。
【0008】
本発明は、
(a) 転圧板5と、
(b) 加振機3(図1図8図13)、103(図9図10)、203(図11図12)であって、
(b1) 電磁石15、115、215と、
(b2) 強磁性材料から成り、電磁石15、115、215の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体18、118、218とを備え、
(b3) 電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか一方が転圧板5に固定され、さらに、
(b4) 電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218との間に設けられるばね部材72、73:172、173であって、
電磁石15、115、215の励磁によって、電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか他方が、磁気吸引力でばね力に抗して予め定める一方向に変位して磁気吸着し、
電磁石15、115、215の消磁によって、電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか他方が、解放されるばね復元力によって前記一方向の逆の他方向に変位して離間し、
電磁石15、115、215および永久磁石片18、118、218のいずれか他方の前記磁気吸着と前記離間との往復変位によって、転圧板5の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力を発生させるばね部材72、73:172、173を備える加振機3、103と、
(c) 電池2と、
(d) 電磁石15、115を、電池2の電力によって励磁し、その電力を遮断して消磁し、励磁と消磁とを繰り返す制御回路34とを含むことを特徴とする転圧装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加振機3、103の電磁石15、115、215は、電池2の電力が制御回路34の働きによって供給、遮断されて、繰り返し励磁、消磁される。電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか一方は転圧板5に固定され、いずれか他方はばね部材72、73:172、173によって弾発的に変位可能である。電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218は、励磁による磁気吸引力と消磁によるばね復元力、自重などとによって磁気吸着、離間を繰り返して、電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか他方は予め定める一方向およびその逆の他方向に往復変位し、この往復変位運動によって、転圧板5の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力が発生される。
【0010】
加振機3、103、203は、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とばね部材72、73:172、173とを備えて構成されるので、従来技術における内燃機関と、ベルトなどの伝動機構と、回転駆動される偏心重りなどとを不要にできる。これによって、構成を簡素化して軽量化できる。したがって、発生される、アスファルト表層などの転圧面に対して上下方向の対地衝撃振動を充分に発揮できるとともに、転圧移動する速度を高くできる。
【0011】
電磁石15、115、215が励磁されることによって、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とのいずれか他方が、その磁気吸引力でばね部材72、73:172、173のばね力に抗して変位して磁気吸着する。この磁気吸着と前記離間で解放されるばね復元力、自重などとによって、ばね部材72、73:172、173は、相互に往復変位する電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とのいずれか他方によって、転圧板5の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力を発生させる。すなわち、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218との相互の磁気吸着と離間とによる変位方向は、転圧板5の予め定める転圧移動方向46の成分を有する。したがって、転圧板5は、上下に振動しながら予め定める、たとえば、前進方向と呼ぶことができる転圧移動方向46に移動することができる。
【0012】
磁気吸着体18、118、218は、強磁性体から成り、鉄、コバルト、ニッケルとその合金、その他の材料であってもよく、磁化されておらず、または、電磁石15、115、215のコアに巻回されたコイルが励磁されたとき、コアの磁極に臨んで磁気吸着する極性に設定されたネオジムなどから成る永久磁石片などであってもよい。さらに磁気吸着体18、118、218に代えて電磁石でもよく、この電磁石は、前記電磁石15、115、215の励磁時に磁気吸着し、消磁時に離間するように、常時励磁され続け、または、前記電磁石15、115、215と同期して励磁と消磁を繰り返すように構成される。
【0013】
本発明は、たとえば、図1図8のように、
加振機3は、電池2よりも軽量であり、
加振機3と電池2とは、転圧板5の転圧移動方向46に沿ってずれて配置され、
電磁石15は、転圧板5に固定され、
磁気吸着体18は、ばね部材72、73を介して転圧板5に取り付けられ、
ばね部材72、73は、電磁石15が消磁されている自然状態で磁気吸着体18を転圧移動方向46のいずれか一方寄り(たとえば、下流寄り、すなわち前方寄り、図1の左方寄り)に保持し、電磁石15が励磁されることによって磁気吸着体18を転圧移動方向46のさらにいずれか一方寄り(たとえば、さらに下流寄り、すなわちさらに前方寄り、図1のさらに左方寄り)に弾発的に変位することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、たとえば、図9図10図11図12のように、
加振機103、203は、電池2よりも軽量であり、
加振機103、203と電池2とは、転圧板5の転圧移動方向46に沿ってずれて配置され、
磁気吸着体118、218は、転圧板5に固定され、
電磁石115、215は、ばね部材172、173を介して転圧板5に取り付けられ、
ばね部材172、173は、電磁石115、215が消磁されている自然状態で電磁石115、215を転圧移動方向46のいずれか一方寄り(たとえば、下流寄り、すなわち前方寄り、図9図11の左方寄り)に保持し、電磁石115、215が励磁されることによって電磁石115、215を転圧移動方向46のさらにいずれか一方寄り(たとえば、さらに下流寄り、すなわちさらに前方寄り、図9図11のさらに左方寄り)に弾発的に変位することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、加振機3、103、203の構成を簡素化して軽量化できるので、電池2よりも軽量にすることができる。電池2は、後述の収納ケース6に収納されてもよい。加振機3、103、203は、転圧板5に固定される電磁石115、215または磁気吸着体118、218のいずれか一方に対応して、いずれか他方に、磁気吸引力とばね部材72、73:172、173の弾発的な働きとによって往復変位させる。転圧板5の転圧移動方向46に沿ってずれて、たとえば、軽い加振機3(図1図8図12図13)、103(図9図10)、203(図11図12)を下流寄り(すなわち、前方寄り)に配置し、重い電池2を上流寄り(すなわち、後方寄り)に配置して、転圧板5の転圧移動方向46に沿う前後の重量分布を形成できる。これによって、転圧動作中、転圧板5を軽い加振機3、103、203が配置される前部分で、アスファルト表層などの転圧面から可及的に高く跳ね上げて、その跳ね上がっている状態にある転圧板5の前部分に、転圧移動方向46の下流に向かう力を作用することができる。これによって、上下方向の対地衝撃振動を充分に発揮できるとともに、前進して転圧移動する速度を高くできる。
【0016】
転圧板5における重い電池2が配置される後部分は、加振機3、103、203が配置される前部分に比べて跳ね上がる高さが小さい。これによって、後部分が前部分によって引っ張られて、あるいは引きずられるような格好で、転圧板5、したがって、転圧装置1が転圧移動方向46の下流に向かって前進する。
【0017】
本発明の考え方によれば、転圧板5には、加振機3、103、203の直上方に、防振部材を介して電池2,制御回路34を配置して、ランマーを実現できる。ランマーは、転圧移動を抑制し、主に上下の振動、衝撃力によって、土の空隙を減少させ高密度な状態に締固める。
【0018】
本発明は、図13のように、
傾動機構65を備え、この傾動機構65は、加振機3、103、203を転圧板5に対して転圧移動方向46に垂直な横軸線63まわりに傾動調整可能にすることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、転圧装置301の傾動機構65によって、加振機3、103、203を横軸線63まわりに転圧板5に対して角度θ(図13)だけ傾動調整可能である。したがって、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218との磁気吸引力と、ばね部材72、73:172、173による前記離間で解放されるばね復元力とによって発生される力の方向を変化して調整できる。そのため、転圧移動方向46の成分を有する力の大きさを調整できるようになる。したがって、アスファルト表層などの転圧面に対する上下方向の対地衝撃振動の程度と、前進して転圧移動する速度とを、電磁石15、115に供給される周期的な励磁、消磁などのための電池2の消費電力を抑えつつ、転圧動作に最適に設定できる。
【0020】
本発明は、
(e) 電磁石15、115、215と、
(f) 強磁性材料から成り、電磁石15、115、215の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体18、118、218とを備え、
(g) 電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか一方が被加振体5に固定され、さらに、
(h) 電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218との間に設けられるばね部材72、73:172、173であって、
電磁石15、115、215が消磁されることによって、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とを離間し、
電磁石15、115、215が励磁されることによって、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とがその磁気吸引力でばね力に抗して磁気吸着し、この磁気吸着後の前記離間で解放されるばね復元力によって、被加振体5の予め定める移動方向46の成分を有する力を発生させるばね部材72、73:172、173を備えることを特徴とする加振機3、103、203である。
【0021】
本発明によれば、加振機3、103、203は、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とばね部材72、73:172、173を備えて構成されるので、加振機の構成を簡素化して軽量化できる。したがって、本発明は、アスファルト表層などの転圧だけでなく、振動しながら移動または停止したままにする装置の動力源として広範囲の技術的分野に実施できる。
【0022】
本発明は、図14図17のように、
(i) 電池本体60と、その電池本体60の上方に突出して延びて電力を出力する端子33とを有する電池2と、
(j) 収納ケース6であって、
上部が開口し、電池2を取出し交換可能に収納する本体部21と、
本体部21の上部の開口を開閉可能であり、電力消費回路34が収納される蓋部22とを備える収納ケース6と、
(k) 蓋部22に、端子33に対応して下方に臨んで配置される電気接続部4、64であって、
蓋部22が本体部21の上部の開口を閉じた状態で端子33の外周面に周方向の複数の接触個所で弾発的に接触して電力消費回路34に電力を供給し、蓋部22が本体部21の上部の開口を開いた状態で端子33の上下の軸線方向に端子33と離間される接続片32、52を有する電気接続部4、64とを含むことを特徴とする電池収納装置である。
【0023】
本発明によれば、作業者が収納ケース6の本体部21の上部の開口を蓋部22で閉じることによって、本体部21内に収納されている電池本体60に設けられた上方に突出して延びる端子33と、蓋部22に、端子33に対応して下方に臨んで配置される電気接続部4、64の接続片32、52とが、弾発的に接触する。これによって、制御回路などのような電力消費回路34と電池2とを接続することができる。蓋体22を開いて、本体部21の上部の開口を開放することによって、電力消費回路34と電池2とを遮断することができる。電池2の交換のために、蓋部22を開くことによって、電池2から電力消費回路34への電力の供給が遮断され、電池2の交換時の電力消費回路34の保護および安全性を向上できる。本発明は、転圧装置だけでなく、その他の広範囲の技術的分野に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の一形態を示す転圧装置1の側方から見た断面図である。
図2図1の矢視IIから見た断面図である。
図3図1の右方から見た背面図である。
図4】転圧装置1の平面図である。
図5】電磁石15に関連する電気回路図である。
図6図1図5の実施の一形態の動作を説明するための波形図である。
図7図1図6の実施の一形態の転圧装置1が転圧移動方向46に転圧移動して下流に前進する動作を側方から模式的に示す図である。
図8】本発明の実施の各形態において、電磁石15、115、215に供給される励磁電力の電圧波形図である。
図9】本発明の実施の他の形態を示す転圧装置101の側方から見た断面図である。
図10図9の矢視Xから見た断面図である。
図11】本発明の実施のさらに他の形態を示す転圧装置201の側方から見た断面図である。
図12図11の矢視XIIから見た断面図である。
図13】本発明の実施の他の形態を示す傾動機構65を備える転圧装置201の断面図である。
図14図1図7の実施の形態における電池2の電池本体60に設けられる端子33と、電気接続部4の接続片32とが接続された状態を示す断面図である。
図15図14の電気接続部4の平面図である。
図16】本発明の実施の他の形態における電池2の端子33と、電気接続部64の接続片52とが接続された状態を示す断面図である。
図17図16の電気接続部64の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明の実施の一形態を示す転圧装置1の側方から見た断面図であり、図2図1の矢視IIから見た断面図である。本発明の転圧装置1は、転圧面としてアスファルト表層の転圧の他に、たとえば石畳などの敷石の転圧、砂地の上に並べた石などの表層の転圧に使用される。転圧装置1は、基本的に、電力源としての電池2と、電池2の電力により駆動される加振機3と、加振機3の振動によってアスファルト表層などの転圧面を締め固める転圧板5とを備える。転圧板5は、転圧移動方向46の下流(すなわち、前方、図1の左方)の一端部11と、上流(すなわち、後方、図1の右方)の他端部12とを有し、平板部の周囲が立ち上がったトレイ状に形成される。電池2は、たとえば鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの2次電池でもよい。
【0026】
加振機3は、電磁石15と、磁気吸着体18と、ばね部材72、73とを備える。磁気吸着体18は、強磁性材料から成り、励磁される電磁石15に磁気吸着する。
【0027】
電磁石15は、上下に延びる軸線を有する細長い棒状の強磁性材料製コア16と、そのコア16の外周に巻回されるコイル17とによって構成される。コア16の遊端部16aは、図1のように、コイル17、したがって、電磁石15が消磁されているとき、磁気吸着体18の下方で間隔をあけて磁気吸着体18に臨んでおり、電磁石15が励磁されることによって、一方の磁極を形成して磁気吸着体18を磁気吸着する。コア16の基端部16bは、台座8に垂直に立設され、電磁石15の励磁によって、他方の磁極を形成する。台座8は、転圧板5に固定される。
【0028】
電磁石15、したがって、台座8と、磁気吸着体18との間には、ばね部材72、73が設けられる。ばね部材72、73は、細長い板状または棒状の同じ寸法、形状に構成され、転圧移動方向46の前後(図1の左右)に、かつ、転圧移動方向46の正面から見て図2の左右に対称に、合計4本が配置される。ばね部材72、73の斜め上下の長手方向の各端部72a、72b:73a、73bは、磁気吸着体18と台座8とに、固定用ボルトまたは溶接などの固定手段によってそれぞれ固定される。これらの上下の各端部72a、72b:73a、73bは、たとえば、転圧板5が水平に置かれたとき、転圧板5と平行な転圧移動方向46を含む仮想鉛直面内で仮想平行4辺形の頂点にそれぞれ位置する。ばね部材72、73は、下端部72b:73bに対して上端部72a:73aが、転圧移動方向46の前後(図1の平面内で左右)に弾発的に変位して撓むことができるとともに、ばね部材72、73の上端部72a:73aは、転圧動作中およびその休止中を含む常時、下端部72b:73bよりも転圧移動方向46の下流(すなわち、前方、図1の左方)にあり、ばね部材72、73は図1の左上方に傾斜している。ばね部材72、73は、電磁石15の消磁状態では、磁気吸着体18の重量によるばね部材72、73のわずかな撓みを無視すれば、図1のように斜めの左上方に直線状に延びた状態において、台座8と磁気吸着体18とともに平行4辺形を形成し、電磁石15の消磁状態で、ばね部材72、73の傾斜角度は、転圧板5、したがって台座8が水平に置かれたとき、その台座8に垂直な方向に対して15°~20°、または15°~25°であってもよい。
【0029】
電磁石15が消磁されることによって、電磁石15の遊端部16aよりも磁気吸着体18が上方に離間している。たとえば、水平な転圧移動方向46に対して傾斜しているばね部材72、73は、電磁石15が消磁されている自然状態で磁気吸着体18を転圧移動方向46のいずれか一方寄り(たとえば、下流寄り、すなわち前方寄り、図1の左方)に保持する。
【0030】
電磁石15が励磁されることによって、磁気吸着体18は、磁気吸引力でばね力に抗して図1の左下方に変位して、電磁石15の遊端部16aに磁気吸着する。ばね部材72、73は、電磁石15が励磁されることによって磁気吸着体18を転圧移動方向46のさらにいずれか一方寄り(たとえば、さらに下流寄り、すなわちさらに前方寄り、図1のさらに左方)に弾発的に変位する。ばね部材72、73は、この磁気吸着と前記離間で解放されるばね復元力とによって、転圧板5の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力を発生させる。
【0031】
図3図1の右方から見た背面図であり、図4は転圧装置1の平面図である。
転圧板5における転圧移動方向46の上流(すなわち、後方、図1の右方)の他端部12には、作業者が把持可能な把持部13aと、その両腕部13bとを有する逆U字状のハンドル13が設けられる。ハンドル13の両腕部13bは、ゴムなどから成る防振部材29を介して、転圧板5に設けられる。操作スイッチ14は、把持部13aに配設されている。作業者は、ハンドル13の把持部13aを把持して運転操作しながら操作スイッチ14を操作できる。操作スイッチ14が配設される場所は、ハンドル13の把持部13aに限定されるものではなく、たとえば、後述する収納ケース6の蓋部22の外面に設けられてもよい。操作スイッチ14は、制御回路34に接続される。
【0032】
図5は、電磁石15に関連する電気回路図である。電磁石15のコイル17は、可撓線などの電線26を介して制御回路34のスイッチング回路27に接続され、スイッチング回路27は、電気接続部4を介して電池2に接続される。制御回路34において、スイッチング回路27は、マイクロコンピュータなどによって実現される処理回路28によって制御される。制御回路34の処理回路28は、操作スイッチ14の操作に従って電磁石15の消磁、励磁の繰り返し動作を制御する。
【0033】
図6は、図1図5の実施の一形態の動作を説明するための波形図である。図6(1)は、スイッチング回路27のON、OFF動作を示す。時刻t1~t2、t3~t4のONの励磁期間W1と、時刻t2~t3、t4~t5のOFFの消磁期間W2とが周期的に繰り返される。たとえば、周波数は60Hzであり、W1=W2であってもよく、電池2の直流出力電圧50~72V、典型的には48Vであり、電磁石15の消費電力1~2kWなどであってもよい。
【0034】
図6(2)は、電磁石15の励磁、消磁によって変位する磁気吸着体18の上下方向の位置の時間変化を示す。電磁石15が時刻t1~t2、t3~t4の励磁期間W1において励磁されることによって、磁気吸着体18は、図1図2の上限位置Hから、消磁状態で傾斜していたばね部材72、73が電磁石15の磁気吸引力で弾発的に撓んでさらに傾斜することによって、そのばね力に抗して図1の左下方に変位して、電磁石15の遊端部16aに磁気吸着して、時刻t1a、t3aで下限位置Lに到達する。電磁石15が時刻t2~t3、t4~t5の消磁期間W2において消磁されることによって、磁気吸着体18は、下限位置Lから、ばね部材72、73のばね復元力によって図1の右上方に変位して、時刻t2a、t4aで上限位置Hに到達して戻る。
【0035】
図6(3)は、電磁石15の励磁、消磁によって変位する磁気吸着体18の上下方向の速度の時間変化を示す。電磁石15が励磁期間W1において励磁されることによって、磁気吸着体18は、図1図2の上限位置Hから磁気吸着の下限位置Lに速度v1で下降変位する。電磁石15が消磁期間W2において消磁されることによって、磁気吸着体18は、図1図2の上限位置Hからの初期の上昇速度v2から、ばね部材72、73のばね復元力が弱くなるにつれて低くなる上昇速度で上昇変位する。速度について、たとえば、|v1|>|v2|である。
【0036】
図6(4)は、電磁石15の励磁による磁気吸引力と、ばね部材72、73のばね復元力とによって往復変位する磁気吸着体18が、転圧板5に与える力の転圧移動方向46の成分の大きさの時間変化を示す。先ず、励磁期間W1において、磁気吸着体18は、ばね部材72、73のばね力に抗して大きな磁気吸引力によって、転圧移動方向46の下流(図1の左方)に向かって変位する。これによって、転圧板5に転圧移動方向46の力P1(図6(4))が作用する。このとき、磁気吸着体18はまた、高い速度v1(図6(3))で下降するので、転圧板5に、上方向の力が作用する。
【0037】
次の消磁間W2において、磁気吸着体18は、ばね部材72、73のばね復元力によって、転圧移動方向46の上流(図1の右方)に向かって変位する。この磁気吸着体18の変位の反動によって、転圧板5に転圧移動方向46の力P2(図6(4))が作用する。このとき、磁気吸着体18はまた、速度v2(図6(3))で上昇するので、転圧板5に、上方向の力が作用する。たとえば、P1<P2である。
【0038】
図7は、図1図6の実施の一形態の転圧装置1が転圧移動方向46に転圧移動して下流に前進する動作を側方から模式的に示す図である。図7(1)は、前述の図6(1)における励磁期間W1の時刻t1で転圧板5がアスファルト表層などの転圧面上に水平な姿勢にある状態を示す。図7(2)は、図6(1)における励磁期間W1の時刻t1から磁気吸着体18が転圧移動方向46の下流(図1の左下方)に変位する時刻t2付近以降の状態を示す。転圧板5は、その下流の一端部11が上昇し、転圧移動方向46の下流に移動する。次の図7(3)は、図6(1)における消磁期間W2の時刻t2以降、磁気吸着体18が転圧移動方向46の上流(図1の右上方)に変位する時刻t2aに至る状態を示す。転圧板5は、その下流の一端部11がさらに上昇し、上流の他端部12は転圧面上にあり、または転圧面よりごくわずかに間隔をあけて上昇し、この他端部12が転圧面上で引き摺られるような態様で転圧移動方向46の下流にさらに移動する。図7(4)は、図6(1)における消磁期間W2の時刻t2a付近以降の状態を示す。転圧板5は、その一端部11が下降し、図7(1)の状態に戻る。
【0039】
図8は、本発明の実施の他の各形態において、電磁石15に供給される励磁電力の電圧波形図である。前述の図5の制御回路34におけるスイッチング回路27に代えて電源回路が設けられ、この電源回路から電磁石15に励磁電力が供給される。本発明の実施の一形態では、電磁石15には、図8(1)のように、一方極性の第1励磁期間W11、消磁期間W12、他方極性の第2励磁期間W13を1周期とする電圧を発生して交流矩形波電力を供給する電源回路が実現されてもよい。
【0040】
本発明の実施の他の形態では、電磁石15には、図8(2)のように、正弦波の交流電圧を発生して交流電力を供給する電源回路が実現されてもよい。交流電圧が電圧レベルV11以上、および電圧レベルV12以下における図8(1)と同じような期間W11、W12、W13を1周期として、磁気吸着体18が前述と同じように変位動作する。これらの電源回路による電圧の電圧値、周波数などは、操作スイッチ14の操作による処理回路28が制御して変化調整できる。
【0041】
図9は本発明の実施の他の形態を示す転圧装置101の側方から見た断面図であり、図10図9の矢視Xから見た断面図である。図9図10の実施の形態は、前述の実施の形態に類似し、対応する各構成要素には、同一の数字または100を加えた数字を付す。要約して述べると、前述の図1図8の実施の形態における加振機3では、転圧板5に固定された電磁石15の上方で、電磁石15の励磁と消磁とによって、磁気吸着体18がばね部材72、73によって弾発的に、図1の左下方と右上方とに斜めに往復変位する構成を有するのに対して、図9図10の実施の形態における加振機103では、転圧板5に固定された磁気吸着体18の下方で、電磁石115の磁化と消磁とによって、電磁石115がばね部材172、173によって弾発的に、図9の左上方と右下方とに斜めに往復変位する構成を有する。
【0042】
加振機103は、電磁石115と、磁気吸着体118と、ばね部材172、173とを備える。磁気吸着体118は、強磁性材料から成り、励磁される電磁石115に磁気吸着する。磁気吸着体118は、支持部材47、48によって転圧板5に固定される。
【0043】
電磁石115は、コア41とコイル42とを有する。コア41は、図9の左右の横に延びる巻胴部43と、その両端部から上方に延びる磁極44、45とを有し、全体の形状が、図9に示されるとおり、U字状に形成され、強磁性材料製である。コイル42は、巻胴部43の外周に巻回される。コア41の下部は、基台49に固定される。基台49は、鉄などの強磁性材料でもよく、または合成樹脂などの非磁性材料でもよい。コア41の磁極44、45は、図9のように、コイル42、したがって、電磁石115が消磁されているとき、磁気吸着体118の下方で間隔をあけて磁気吸着体118に臨んでおり、電磁石115が励磁されることによって、磁極を形成して磁気吸着体18に磁気吸着する。
【0044】
電磁石115、したがって、基台49と、磁気吸着体118との間には、ばね部材172、173が設けられる。ばね部材172、173は、細長い板状または棒状の同じ寸法、形状に構成され、転圧移動方向46の前後(図9の左右)に、かつ、転圧移動方向46の正面から見て図10の左右に対称に、合計4本が配置される。ばね部材172、173の斜め上下の長手方向の各端部172a、172b:173a、173bは、磁気吸着体118と基台49とに、固定用ボルトまたは溶接などの固定手段によってそれぞれ固定される。これらの上下の各端部172a、172b:173a、173bは、転圧板5が水平に置かれたとき、転圧板5と平行な転圧移動方向46を含む仮想鉛直面内で平行4辺形の頂点にそれぞれ位置する。ばね部材172、173は、下端部172b:173bに対して上端部172a:173aが、転圧移動方向46の前後(図9の平面内で左右)に弾発的に変位して撓むことができるとともに、ばね部材172、173の上端部172a:173aは、転圧動作中およびその休止中を含む常時、下端部172b:173bよりも転圧移動方向46の上流(すなわち、後方、図9の右方)にあり、ばね部材172、173は図9の右上方に傾斜している。ばね部材172、173は、電磁石115の消磁状態では、電磁石115の重量によるばね部材172、173のわずかな撓みを無視すれば、図9のように斜めの右上方に直線状に延びた状態において、基台49と磁気吸着体118とともに平行4辺形を形成する。
【0045】
電磁石115が消磁されることによって、磁気吸着体118よりも電磁石115の磁極44、45が下方に離間している。たとえば、水平な転圧移動方向46に対して傾斜しているばね部材172、173は、電磁石115が消磁されている自然状態で電磁石115を転圧移動方向46のいずれか一方寄り(たとえば、下流寄り、すなわち前方寄り、図9の左方)に保持する。
【0046】
電磁石115が励磁されることによって、電磁石115は、磁気吸引力でばね力に抗して図9の左上方に変位して、電磁石15の磁極44、45が磁気吸着体118に磁気吸着する。ばね部材172、173は、電磁石115が励磁されることによって電磁石115を転圧移動方向46のさらにいずれか一方寄り(たとえば、さらに下流寄り、すなわちさらに前方寄り、図9のさらに左方)に弾発的に変位する。ばね部材172、173は、この磁気吸着と前記離間で解放されるばね復元力とによって、転圧板5の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力を発生させる。
【0047】
電磁石115は、図5の制御回路34によって、消磁、励磁の繰り返し動作が制御される。これによって、前述の図6図7に類似する動作が達成され、転圧板5は、上下に振動して対地衝撃を発生しつつ転圧移動方向46に移動することができる。前述のとおり、図1図8の加振機3では、転圧板5に固定された電磁石15の上方で、磁気吸着体18がばね部材72、73によって弾発的に変位する構成を有するのに対して、図9図10の加振機103では、転圧板5に固定された磁気吸着体18の下方で、電磁石115がばね部材172、173によって弾発的に変位する構成を有する。したがって、図9図10の実施の形態の動作は、前述の図6図7における磁気吸着体18の変位を電磁石115の変位に読み換えて理解できる。電磁石115は、図5の制御回路34だけでなく、その他の構成によって、消磁、励磁の繰り返し動作が制御されてもよい。
【0048】
図11は本発明の実施の他の形態を示す転圧装置201の側方から見た断面図であり、図12図11の矢視XIIから見た断面図である。図11図12の実施の形態は、前述の実施の形態に類似し、対応する各構成要素には、同一の数字または200を加えた数字を付す。注目すべきは、この実施の形態における加振機203では、転圧板5に固定された磁気吸着体218の上方で、逆U字状の電磁石215の磁化と消磁とによって、電磁石215がばね部材172、173によって弾発的に、図11の左下方と右上方とに斜めに往復変位する構成を有する。電磁石215は、コア41の各磁極44、45にコイル42がそれぞれ巻回されて構成され、取付部材50に固定される。取付部材50は、ばね部材172、173によって、前述と同じように、転圧板5に、または転圧板5に固定された磁気吸着体218に、仮想平行4辺形を形成して取付けられる。
【0049】
本発明の実施の他の形態では、図1図8の加振機3、図9図10の加振機103、および図11図12の加振機203などは、上下を逆にして構成されてもよい。
【0050】
電磁石15、115、215の磁極と磁気吸着体18、118、218との磁気吸着時に当接する騒音の発生を防ぐために、変位する磁気吸着体18、電磁石115、215の変位を、当接直前に制限するストッパなどの停止部材を、それらの磁気吸着体18、電磁石115、215、または、ばね部材72、73:172、173などに関連して、転圧板5に固定して設けてもよい。
【0051】
本発明の実施のさらに他の形態では、電磁石15、115、215は、前述の構成だけでなく、その他の構成であってもよく、たとえば、コアがほぼ「山」の字状に形成されて磁気吸着体18、118、218に臨んで転圧移動方向46に順次的に3つの磁極を有し、その中央にコイルが配置される構成であってもよい。
【0052】
図13は、本発明の実施の他の形態を示す転圧装置301の側面図である。転圧装置301は、傾動機構65を備える。傾動機構65は、加振機3を転圧板5に対して転圧移動方向46に垂直な横軸線63まわりに傾動調整可能にする。加振機3の台座8における転圧移動方向46の下流の端部8aは、転圧板5に設けられるブラケット69に、横軸線63を有するピン軸によって角変位可能に取り付けられる。台座8における転圧移動方向46の上流の端部8bは、転圧板5に立設される調整部材9の上下に間隔をあけて形成される複数の調整孔10のうちの1つに取外し自在に挿通する調整ピン7によって係止される。こうして、傾動機構65は、加振機3の台座8を、横軸線63まわりの角度θ(図13)を調整可能に傾動できる。
【0053】
傾動機構65によれば、電磁石15と磁気吸着体18との磁気吸着と、ばね部材72、73:172、173による前記離間で解放されるばね復元力とによって発生される力の方向を変化して調整できる。そのため、転圧移動方向46の成分を有する力の大きさを調整できるようになる。したがって、アスファルト表層などの転圧面に対する上下方向の対地衝撃振動の程度と、前進して転圧移動する速度とを、電磁石15に供給される周期的な励磁、消磁などのための電池2の消費電力を抑えつつ、転圧動作に最適に設定できる。加振機3だけでなく、その他の加振機103、203なども傾動調整可能にできる。
【0054】
図14図1図7の実施の形態における電池2の電池本体60に設けられる端子33と、蓋部22に設けられる電気接続部4の接続片32とが接続された状態を示す断面図であり、図15図14の電気接続部4の平面図である。転圧装置1は、図1に示されるとおり、電池2と制御回路34とを収納可能な収納ケース6を含む。収納ケース6は、上部が開口し、電池2を収納可能な本体部21と、制御回路34を収納可能な蓋部22とを備える。本体部21は、防振部材19を介して、転圧板5に取付けられる。蓋部22は、その前側部が、たとえば蝶番25を介して本体部21に開閉可能に連結されており、後側部がたとえばパッチン錠などの錠67を用いて本体部21に係止される。
【0055】
図14を参照して、電池2の端子33は、電池本体60の上面37に、該上面37から上方に突出するように配設される。電気接続部4は、接続部31と電極板40とを含む。接続部31は、接続片32と接続ピン36とを含む。接続部31は、蓋部22が閉じられた状態で、端子33に電気的に接続される。図12などには、一対の端子33のうち、一方が示され、他方についても同じ構成を有する。蓋部22に設けられる制御回路34は、接続部31に電極板40を介して接続される。接続部31は、蓋部22が閉じられた状態で、端子33に図15の平面視で放射線状に配設される複数(たとえば、6枚)の接続片32を含む。端子33は、たとえば直径Dが20mmで、高さが30mmの円柱であってもよいが、接続片32の接触部35と面接触するために角柱状(たとえば、6角柱状)などでもよい。
【0056】
接続片32は、りん青銅などから成る細長い平板を用いて弾性変形可能に屈曲して作製される。各接続片32は、断面が端子33の内方に凸となるC字状の弯曲部38と、弯曲部38の上部に連なる接触部35と、接触部35に連なり電池本体60の上面37の上方で上面37に平行な横方向に延びる平板部39とを含む。平板部39は、制御回路34の電極板40に接続され、上下に重ねて接続ピン36で固定される。蓋部22が閉じられた状態で、弯曲部38に連なる接触部35は端子33に弾性変形可能な状態で当接し、弯曲部38の下に凸の当接端30は電池本体60の上面37に弾性変形可能な状態で当接し、電池2に伝達された振動が制御回路34に伝達されることを抑制する。
【0057】
接続部31における端子33のまわりに対向する当接端30間の水平方向の隙間W1(図14)は、端子33の直径Dよりも大きいので、作業者は、蓋部22を閉じる操作を行なうだけで、端子33を接続部31の下部から接続部31内に挿入することができる。これによって、制御回路34と電池2とを容易な操作で電気的に接続することができる。また、作業者は、蓋部22を開ける操作を行なうだけで、端子33が接続部31の下部から接続部31内に挿入している状態を解除することができる。これによって、制御回路34と電池2との電気的な接続を容易な操作で解除することができる。
【0058】
図16は本発明の実施の他の形態における電池2の端子33と、電気接続部64の接続片52とが接続された状態を示す断面図であり、図17図16の電気接続部64の平面図である。図16図17に示される電気接続部64は、図14図15に示される電気接続部4に類似するので、部分的に異なる構成を主に述べる。
【0059】
電池2の電池本体60の上面37から突出する端子33は、蓋部22に設けられる接続部61に、蓋部22が閉じられた状態で電気的に接続される。接続部61は、放射線状に配設される複数(たとえば、6枚)の接続片52と、コイルばね57と、接続ピン56とを含む。
【0060】
接続片52は、りん青銅などから成る細長い平板を用いて弾性変形可能に屈曲して作製される。各接続片52は、弯曲部54と、弯曲部54の端子33寄りに連なる接触部59と、弯曲部54の上部に連なり電池本体60の上面37の上方で上面37に平行な横方向に延びる平板部55とを含む。平板部55は、制御回路34の電極板40に接続され、上下に重ねて接続ピン56で固定される。蓋部22が閉じられた状態で、弯曲部54の接触部59は端子33に弾性変形可能な状態で当接し、弯曲部54の当接端53は電池本体60の上面37に弾性変形可能な状態で当接し、電池2に伝達された振動が制御回路34に伝達されることを抑制する。接触部59は、弯曲部54における端子33の外方(すなわち、端子33から遠ざかる方向)に凸に弯曲して膨らんだ部分から下方に凸の当接端53を経て連なり、端子33に弾発的に接触するように内方(すなわち、端子33寄り)に凸に弯曲して膨らんで形成される。
【0061】
コイルばね57は、接続片52と共通な中心軸線を有する。コイルばね57は、下部から上部に向かって縮径された円錐台状である。コイルばね57の上端部は、接続片52の平板部55に、たとえば溶接されて取り付けられる。コイルばね57の下端部には、弯曲部54の内端部である接触部59が挿入されており、その接触部59に、たとえば、溶接などによって取り付けられる。
【0062】
接続部61のコイルばね57は、先ず、蓋部22の全開位置から全閉位置の手前までは、すなわち、接続片52の当接端53が電池本体60の上面37に当った直後までは、比較的小さいばね力を発揮し、次に、その全閉位置の手前から全閉位置までは、圧縮されて比較的大きいばね力を発揮する。このコイルばね57の働きによって、たとえ、作業者が蓋部22を不用意に勢いよく閉じた場合でも、蓋部22に作用する衝撃力の一部をコイルばね57によって吸収できる。これによって、衝撃力を軽減して、制御回路34、電極板40などが破損することを抑制できる。また、電池2に作用する衝撃力を軽減して、電池2が破損することを抑制できる。
【0063】
図14図17の実施の各形態では、端子33は電池本体60の上方に突出して延び、電気接続部4、64の接続部31、61は接続片32、52を有する。接続片32、52は、蓋部22が本体部21の上部の開口を閉じた状態で端子33の外周面に周方向の複数の接触個所で弾発的に接触し、蓋部22が本体部21の上部の開口を開いた状態で端子33の上下の軸線方向に端子33と離間される。図14図17の構成は、転圧装置1だけでなく、転圧装置101、201、301、およびその他の装置に関連して広範囲に実施できる。
【0064】
転圧装置1において、電池2と制御回路34とを収納可能な収納ケース6と、加振機3の台座8とのいずれか一方が転圧板5に固定され、いずれか他方が転圧移動方向46に位置調整可能に設けられてもよい。この位置調整可能とする構成では、前記いずれか他方に転圧移動方向46に細長い長孔を形成し、この長孔に、ボルトの軸部を挿通してナットで締め付けて転圧板5に固定するなどしてもよい。これによってもまた、転圧板5の転圧移動方向46に沿う前後の重量分布を調整して、転圧板5による上下方向の対地衝撃振動を充分に発揮できるとともに、前進して転圧移動する速度を高くできる。転圧板5上で、電池2と加振機3との転圧移動方向46に沿う間隔を調整可能に設けられてもよい。
【0065】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。前述の実施の各形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
1、101、201、301 転圧装置
2 電池
3、103、203 加振機
4、64 電気接続部
5 転圧板、被加振体
6 収納ケース
8、48 台座
13 ハンドル
14 操作スイッチ
15、115、215 電磁石
18、118、218 磁気吸着体
21 本体部
22 蓋部
25 蝶番
31、61 接続部
32、52 接続片
33 端子
34 制御回路、電力消費回路
38、54 弯曲部
39、59 接触部
39、55 平板部
46 転圧移動方向
49 基台
60 電池本体
63 横軸線
65 傾動機構
72、73、172、173 ばね部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 転圧板と、
(b) 加振機であって、
(b1) 電磁石と、
(b2) 強磁性材料から成り、電磁石の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体とを備え、
(b3) 電磁石および磁気吸着体のいずれか一方が転圧板に固定され、さらに、
(b4) 電磁石と磁気吸着体との間に設けられるばね部材であって、
電磁石が消磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とを離間し、
電磁石が励磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とがその磁気吸引力でばね力に抗して磁気吸着し、この磁気吸着と前記離間で解放されるばね復元力とによって、転圧板の予め定める転圧移動方向46の成分を有する力を発生させるばね部材を備える加振機と、
(c) 電池と、
(d) 電磁石を、電池の電力によって励磁し、その電力を遮断して消磁し、励磁と消磁とを繰り返す制御回路とを含むことを特徴とする転圧装置。
【請求項2】
加振機は、電池よりも軽量であり、
加振機と電池とは、転圧板の転圧移動方向に沿ってずれて配置され、
電磁石は、転圧板に固定され、
磁気吸着体は、ばね部材を介して転圧板に取り付けられ、
ばね部材は、電磁石が消磁されている自然状態で磁気吸着体を転圧移動方向のいずれか一方寄りに保持し、電磁石が励磁されることによって磁気吸着体を転圧移動方向のさらにいずれか一方寄りに弾発的に変位することを特徴とする請求項1に記載の転圧装置。
【請求項3】
加振機は、電池よりも軽量であり、
加振機と電池とは、転圧板の転圧移動方向に沿ってずれて配置され、
磁気吸着体は、転圧板に固定され、
電磁石は、ばね部材を介して転圧板に取り付けられ、
ばね部材は、電磁石が消磁されている自然状態で電磁石を転圧移動方向のいずれか一方寄りに保持し、電磁石が励磁されることによって電磁石を転圧移動方向のさらにいずれか一方寄りに弾発的に変位することを特徴とする請求項1に記載の転圧装置。
【請求項4】
傾動機構を備え、この傾動機構は、加振機を転圧板に対して転圧移動方向に垂直な横軸線まわりに傾動調整可能にすることを特徴とする請求項1~3のうちの1つに記載の転圧装置。
【請求項5】
(e) 電磁石と、
(f) 強磁性材料から成り、電磁石の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体とを備え、
(g) 電磁石および磁気吸着体のいずれか一方が被加振体に固定され、さらに、
(h) 電磁石と磁気吸着体との間に設けられるばね部材であって、
電磁石が消磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とを離間し、
電磁石が励磁されることによって、電磁石と磁気吸着体とがその磁気吸引力でばね力に抗して磁気吸着し、この磁気吸着後の前記離間で解放されるばね復元力によって、被加振体の予め定める移動方向の成分を有する力を発生させるばね部材を備えることを特徴とする加振機。
【請求項6】
(i) 電池は、
電池本体と、
その電池本体の上方に突出して延びて電力を出力する端子とを有し、
(j) 電池収納装置を備え、この電池収納装置は、
(j1) 収納ケースであって、
上部が開口し、電池を取出し交換可能に収納し、転圧板に取付けられる本体部と、
本体部の上部の開口を開閉可能であり、制御回路が収納される蓋部とを備える収納ケースと、
(j2) 蓋部に、端子に対応して下方に臨んで配置される電気接続部であって、
蓋部が本体部の上部の開口を閉じた状態で端子の外周面に周方向の複数の接触個所で弾発的に接触して制御回路に電力を供給し、蓋部が本体部の上部の開口を開いた状態で端子の上下の軸線方向に端子と離間される接続片を有する電気接続部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の転圧装置
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明は、
(e) 電磁石15、115、215と、
(f) 強磁性材料から成り、電磁石15、115、215の励磁によって磁気吸着する磁気吸着体18、118、218とを備え、
(g) 電磁石15、115、215および磁気吸着体18、118、218のいずれか一方が被加振体(転圧板5)に固定され、さらに、
(h) 電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218との間に設けられるばね部材72、73:172、173であって、
電磁石15、115、215が消磁されることによって、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とを離間し、
電磁石15、115、215が励磁されることによって、電磁石15、115、215と磁気吸着体18、118、218とがその磁気吸引力でばね力に抗して磁気吸着し、この磁気吸着後の前記離間で解放されるばね復元力によって、被加振体(転圧板5)の予め定める移動方向46の成分を有する力を発生させるばね部材72、73:172、173を備えることを特徴とする加振機3、103、203である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明は、図14図17のように、
(i) 電池2は、
電池本体60と、
その電池本体60の上方に突出して延びて電力を出力する端子33とを有し、
(j) 電池収納装置を備え、この電池収納装置は、
(j1) 収納ケース6であって、
上部が開口し、電池2を取出し交換可能に収納し、転圧板5に取付けられる本体部21と、
本体部21の上部の開口を開閉可能であり、制御回路34が収納される蓋部22とを備える収納ケース6と、
(j2) 蓋部22に、端子33に対応して下方に臨んで配置される電気接続部4、64であって、
蓋部22が本体部21の上部の開口を閉じた状態で端子33の外周面に周方向の複数の接触個所で弾発的に接触して制御回路34に電力を供給し、蓋部22が本体部21の上部の開口を開いた状態で端子33の上下の軸線方向に端子33と離間される接続片32、52を有する電気接続部4、64とを含むことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明によれば、作業者が収納ケース6の本体部21の上部の開口を蓋部22で閉じることによって、本体部21内に収納されている電池本体60に設けられた上方に突出して延びる端子33と、蓋部22に、端子33に対応して下方に臨んで配置される電気接続部4、64の接続片32、52とが、弾発的に接触する。これによって、制御回路34と電池2とを接続することができる。蓋体22を開いて、本体部21の上部の開口を開放することによって、制御回路34と電池2とを遮断することができる。電池2の交換のために、蓋部22を開くことによって、電池2から制御回路34への電力の供給が遮断され、電池2の交換時の制御回路34の保護および安全性を向上できる
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
1、101、201、301 転圧装置
2 電池
3、103、203 加振機
4、64 電気接続部
5 転圧板、被加振体
6 収納ケース
8、48 台座
13 ハンドル
14 操作スイッチ
15、115、215 電磁石
18、118、218 磁気吸着体
21 本体部
22 蓋部
25 蝶番
31、61 接続部
32、52 接続片
33 端子
34 制御回
38、54 弯曲部
39、59 接触部
39、55 平板部
46 転圧移動方向
49 基台
60 電池本体
63 横軸線
65 傾動機構
72、73、172、173 ばね部材