(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035602
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】連結容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240307BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A45D33/00 635
A45D34/04 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140175
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】521028017
【氏名又は名称】梵想日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109254
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 雅典
(72)【発明者】
【氏名】黄 先鋒
(57)【要約】
【課題】 化粧品を収容する複数の個別容器を確実に連結し且つ容易に分離でき、個別容器間の分離操作中に化粧品がこぼれ出る心配がない連結容器を提供する。
【解決手段】 化粧品を収容する複数の個別容器を上下方向に積層し、上下に重なり合う個別容器同士を分離可能に相互連結してなる連結容器であって、相互連結される上下の個別容器のうち、下側の個別容器は概ね円筒形状の桶状体でその外周面の上部に雄ネジが形成されている一方、上側の個別容器は下面側に凹部が設けられてその内周面に雌ネジが形成されており、前記雄ネジと前記雌ネジを螺合することにより前記上下の個別容器が相互連結されることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品を収容する複数の個別容器を上下方向に積層し、上下に重なり合う個別容器同士を分離可能に相互連結してなる連結容器であって、
相互連結される上下の個別容器のうち、下側の個別容器は概ね円筒形状の桶状体でその外周面の上部に雄ネジが形成されている一方、上側の個別容器は下面側に凹部が設けられてその内周面に雌ネジが形成されており、
前記雄ネジと前記雌ネジを螺合することにより前記上下の個別容器が相互連結されることを特徴とする連結容器。
【請求項2】
前記下側の個別容器には、その上部開口に嵌合する嵌合部と該嵌合部の上端外周縁から外側方にはみ出る鍔部とを有する内蓋が着脱可能に嵌合しており、
上下に重なり合う個別容器同士が相互連結されたときに、前記鍔部が前記上部開口の外周縁部と前記凹部の天井面との間に挟み込まれることを特徴とする請求項1記載の連結容器。
【請求項3】
連結容器の最上段に連結される個別容器は、その上部に形成される筒状開口部にキャップが螺着されており、該キャップには容器内に収容された化粧品を吸い上げ可能なスポイトを備えることを特徴とする請求項1記載の連結容器。
【請求項4】
連結容器の最上段に連結される個別容器は、その上部に形成される筒状開口部に、容器内に収容された化粧品を吸い上げて外部に噴出可能な押下げポンプ式ノズルヘッドを備えることを特徴とする請求項1記載の連結容器。
【請求項5】
連結容器の最上段に連結される個別容器にはその上部を覆う円蓋状のカバーが着脱可能に装着され、前記複数の個別容器がすべて連結されたときに全体として上下方向に延びる流線形を成すことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の連結容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の化粧品等をまとめて収容することができる連結容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧においては一般に複数種類の化粧品を用いるが、各化粧品は個別容器に収容されており、化粧中に必要な化粧品を見つけられずに困ることがある。また、各個別容器は化粧品性状(液体、クリーム、ジェル)の違いにより、或いは使用者が見分け易くする狙いにより相互に形状が異なっていることが多く、嵩張るために保管しにくく、旅行先等へ複数の個別容器を携行する際に面倒である。
【0003】
これに関して、上部が全面開口した硬質プラスチック製の容器本体と、その開口に螺合する非硬質プラスチック製のキャップからなる個別容器を複数設けて、上記容器本体の底部に形成した連結用筒と上記キャップの上部側周壁を嵌合することにより、或いは上記容器本体の底部に形成した小径の側周壁と上記キャップの上部に形成した連結用筒を嵌合することにより、個別容器を上下方向で相互連結させる連結容器が提案されている(例えば特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の連結容器は、硬質プラスチック製の容器本体の底部と非硬質プラスチック製のキャップの上部の単なる嵌合により連結するため、外力が加わることで連結部分が容易に外れて、旅行先等に携行したときに鞄の中でバラバラになる等の煩わしさがある。そうかといって連結部分の嵌合具合を強くし過ぎると、逆に分離しにくくなり、それを無理に外そうと彼是操作するうちに、キャップが不意に外れて容器をはずみで傾けてしまう等することで化粧品がこぼれ出ることがある。
【0006】
また、化粧品には化粧水等の液体があるが、それを全面開口した容器本体に収容すると、こぼれ易く、適量を取り出すことが難しい。
【0007】
上記の実情に鑑みて、本発明は、化粧品を収容する複数の個別容器を確実に連結し且つ容易に分離でき、個別容器間の分離操作中に化粧品がこぼれ出る心配がなく、液状化粧品も使い易く収容することができる連結容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、
化粧品を収容する複数の個別容器を上下方向に積層し、上下に重なり合う個別容器同士を分離可能に相互連結してなる連結容器であって、
相互連結される上下の個別容器のうち、下側の個別容器は概ね円筒形状の桶状体でその外周面の上部に雄ネジが形成されている一方、上側の個別容器は下面側に凹部が設けられてその内周面に雌ネジが形成されており、
前記雄ネジと前記雌ネジを螺合することにより前記上下の個別容器が相互連結されることを特徴とする連結容器
を提供する。
【0009】
請求項2の発明は、
前記下側の個別容器には、その上部開口に嵌合する嵌合部と該嵌合部の上端外周縁から外側方にはみ出る鍔部とを有する内蓋が着脱可能に嵌合しており、
上下に重なり合う個別容器同士が相互連結されたときに、前記鍔部が前記上部開口の外周縁部と前記凹部の天井面との間に挟み込まれることを特徴とする請求項1記載の連結容器
を提供する。
【0010】
請求項3の発明は、
連結容器の最上段に連結される個別容器は、その上部に形成される筒状開口部にキャップが螺着されており、該キャップには容器内に収容された化粧品を吸い上げ可能なスポイトを備えることを特徴とする請求項1記載の連結容器
を提供する。
【0011】
請求項4の発明は、
連結容器の最上段に連結される個別容器は、その上部に形成される筒状開口部に、容器内に収容された化粧品を吸い上げて外部に噴出可能な押下げポンプ式ノズルヘッドを備えることを特徴とする請求項1記載の連結容器
を提供する。
【0012】
請求項5の発明は、
連結容器の最上段に連結される個別容器にはその上部を覆う円蓋状のカバーが着脱可能に装着され、前記複数の個別容器がすべて連結されたときに全体として上下方向に延びる流線形を成すことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の連結容器
を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の連結容器によれば、化粧品を収容する複数の個別容器を確実に連結できる一方で容易に分離できて個別容器間の分離操作中に化粧品がこぼれ出る心配がなく、液状化粧品でも零れにくく取り出し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る連結容器の(a)平面図、(b)側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である連結容器1について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(連結容器1)
連結容器1は、
図1~3に示されるように、相互に形状が異なり、各々化粧品を収容する第一個別容器11、第二個別容器12及び第三個別容器13からなる三段(複数段)の個別容器を上下方向に積層し、上下に重なり合う個別容器同士を螺合することにより分離可能に相互連結してなり、異なる複数種類の化粧品をまとめて収容することができる。最上段の第三個別容器13にはその上部を覆う円蓋状のカバー14が着脱可能に装着される。第一乃至第三の個別容器11~13を全て連結しカバー14を装着することで、
図1に示されるように、個別容器同士間や個別容器とカバーの間には割線が見受けられるが、全体として湾曲しながら上下方向に延びる流線形に形成される。なお、第一乃至第三の個別容器11~13とカバー14は金型成形による硬質性プラスチック製である。
【0017】
(第一個別容器11)
上記複数の個別容器のうち最下段(一段目)に連結される第一個別容器11は、
図3に示されるように、上方に向けて全面開口した化粧品の収容部11aを有する概ね円筒形状の桶状体でその外周面の上部に径方向に段差を付けられた小径部11bが設けられており、該小径部11bに上段の個別容器12と連結するための雄ネジ11cが形成されている。収容部11aには、主にクリーム状、ジェル状、粉末状又は固形状の化粧品が収容される。
図2~3に示されるように、収容部11aは、その上部開口11dに嵌合する円いトレイ状の嵌合部21aとその上端外周縁から外側方にはみ出て上部開口11dの外周縁部11eに沿う円環状の鍔部21bを有する軟質プラスチック製の内蓋21が着脱可能に嵌合することで密封閉鎖される。なお、第一個別容器11は、上述した流線形の下部形状を成すように下端側の外周縁部が丸められており、上方に向かうにつれて徐々に拡径する湾曲形状とされている。
【0018】
(第2個別容器12)
二段目に連結される第二個別容器12は、
図3に示されるように、上方に向けて全面開口した化粧品の収容部12aを有する概ね円筒形状の桶状体でその外周面の上部には径方向に段差を付けられた小径部12bが設けられており、該小径部12bに上段の個別容器13と連結するための雄ネジ12cが形成されている。収容部12aには、主にクリーム状、ジェル状、粉末状又は固形状の化粧品が収容される。
図2~3に示されるように、収容部12aは、その上部開口12dに嵌合する円いトレイ状の嵌合部22aとその上端外周縁から外側方にはみ出て上部開口12dの外周縁部12eに沿う円環状の鍔部22bを有する軟質プラスチック製の内蓋22が着脱可能に係合することで密封閉鎖される。
【0019】
更に、第二個別容器12は、
図3に示されるように、その下面側に第一個別容器11の小径部11bを受け入れ可能な概ね円柱形状の浅い凹部12fが設けられており、該凹部12fの内周面には第一個別容器11の雄ネジ11cと螺合される雌ネジ12gが形成されており、これにより、
図2に示されるように、第一個別容器11と第二個別容器12が相互連結されることになる。このとき、第一個別容器11の内蓋21の鍔部21bが第一個別容器11の上部開口11dの外周縁部11eと凹部12fの天井面12hとの間に挟み込まれることにより、内蓋21は第一個別容器11の上部開口11dを一層確実に密封することができる。なお、第二個別容器12は、上述した流線形の中間形状を成すように、上方に向かうにつれて僅かに縮径する湾曲形状とされている。
【0020】
(第三個別容器13)
三段目(最上段)に連結される第三個別容器13は、
図3に示されるように、化粧品の収容部13aを有する概ね円錐台形状のボトル状体でその外周面の上部には径方向に段差を付けられた円形の小径部13bが設けられており、小径部13bの根元部にはカバー14を着脱可能に係合させるための外周溝13cが形成されている。収容部13aには液状の化粧品が収容される。小径部13bの上部中央には更に円筒形状で小径の筒状開口部13dが設けられており、該筒状開口部13dの外周面に雄ネジ13eが形成されている。筒状開口部13dには、
図2~3に示されるように、内周面23aに雌ネジ23bを形成されたキャップ23が着脱可能に螺着されており、該キャップ23には第三個別容器13内に収容される液状の化粧品を吸い上げ可能なスポイト24が備えられている。
【0021】
キャップ23に備えられるスポイト24は、
図3に示されるように、キャップ23を上下方向に貫通するようにして一体的に設けられており、キャップ23の下側に化粧品に浸けられる管体24aと、該管体24aに連結されてキャップ23の上側に突出するゴム帽24bを有してなる。ゴム帽24bを指で摘まんで管体24aを化粧品に浸けた状態から、指を緩めることで化粧品を吸い上げることができる。管体24aを第三個別容器13から抜いてゴム帽24bを加減しながら摘まむことにより適量の化粧品を排出して、こぼすことなく手に取ることができる。なお、キャップ23の内側の天井面23cには筒状開口部13dの上端に接して化粧品がこぼれ出ないように隙間を密封する弾性シール材23dが固定されている。
【0022】
更に、第三個別容器13は、
図3に示すように、その下面側に第二個別容器12の小径部12bを受け入れ可能な概ね円柱形状の浅い凹部13fが設けられており、該凹部13fの内周面には第二個別容器12の雄ネジ12cと螺合される雌ネジ13gが形成されており、これにより、
図2に示されるように、第二個別容器12と第三個別容器13が相互連結されることになる。このとき、
図2に示されるように、第二個別容器12の内蓋22の鍔部22bが第二個別容器12の上部開口12dの外周縁部12eと凹部13fの天井面13hとの間に挟み込まれることにより、内蓋22は第二個別容器12の上部開口12dを一層確実に閉鎖することができる。なお、第三個別容器13は、上述した流線形の中間形状を成すように、外側方へ僅かに凸状となる湾曲形状とされている。
【0023】
(カバー14)
第三個別容器13の上部に装着される円蓋状のカバー14は、
図2~3に示されるように、上述した流線形の先端形状を成すように第三個別容器13の外周面と連続する湾曲形状とされており、その下端側の内周面には、第三個別容器13の小径部13bの根元部に設けられた外周溝13cに係合する突起14aが全周に亘って形成されている。カバー14は第三個別容器13に装着されることにより、筒状開口部13dに螺合されるキャップ23及びスポイト24に干渉することなくこれらを上方から覆うものである。
【0024】
(連結容器1の作用効果)
連結容器1によれば、複数の個別容器を螺着することにより相互連結しているので、鞄に入れて持ち歩いても連結部分が容易に外れて鞄の中でバラバラになることがない。その一方で、上下の個別容器を相対回転させれば容易に分離することができるので、上記従来の連結容器のように分離操作中に不意に収容部が開放されてはずみで化粧品がこぼれ出るようなことが防止される。
【0025】
また、下側に連結される個別容器には、その収容部の上部開口を閉鎖する内蓋が嵌合装着されることにより密封されており、且つ上下の個別容器が装着されることにより内蓋の上縁部からはみ出る鍔部が上下の個別容器に挟み込まれることにより嵌合部が一層確実に嵌合されるため、たとえ連結容器を斜めに傾けた状態で分離しても化粧品がこぼれ出ることはない。
【0026】
最上段に連結される個別容器に液体を吸い上げて取り出すことができるスポイトを備えたので、液状の化粧品を収容することができて、個別容器を傾けたりしなくても必要な量をこぼすことなく簡単に取り出すことができる。なお、最上段の個別容器は概ね円錐台形状であり、机上或いは台上に安定的に置くことができるので、不注意で簡単に倒れて中身がこぼれ出るようなことが防止される。
【0027】
連結容器1を構成する複数の個別容器は相互に形状が異なっており、すべて正しく連結されたときに全体として側方に膨らむように湾曲しながら上下方向に延びる流線形を形成されるようになっているので、直感的に連結作業を行うことができる。
【0028】
(変形例)
上記実施形態では、最上段に連結される個別容器13は、筒状開口部13dに螺着されたキャップ23を緩め、収容部13a内に収容された液状化粧品を吸い上げたスポイト24を容器外部に取り出して適量を排出させるようにしたが、スポイト付きキャップに代えて、収容部13a内に収容された化粧品を吸い上げて上部に設けたノズルから外部に噴出可能な押下げポンプ式ノズルヘッドを筒状開口部13dに螺着して備えるようにしても良い。そのノズルヘッドを押下げ操作することにより、横向きに延びるノズルから液状化粧品を少量ずつ排出させることができるものである。なお、ノズルヘッドは、個別容器13に装着されるカバー14に干渉することなく覆われるように寸法形状が設定される。
【0029】
上記実施形態では、上下方向に三段の個別容器を積層して連結することとしたが、収容する化粧品の種類により四段以上の個別容器を連結することとしても良い。その場合においても、個別容器の形状を相互に異ならせて、すべて正しく連結されたときに全体として側方に膨らむように湾曲しながら上下方向に延びる流線形を形成させることにより、上下の順序を考えなくても直感的に連結作業を行うことができ、また、複数の化粧品が常に同じ順番で積層されることになるので、いちいち中身を確かめる手間が省けてスムーズに化粧することができる。なお、個別容器を二段としても良い。
【0030】
上記実施形態では、第一個別容器11の上部開口11dを内蓋21で、第二個別容器12の上部開口12dを内蓋22で密封閉鎖することとしたが、内蓋21、22を廃止して、第二個別容器12の凹部12fの天井面12hに、第一個別容器11の上部開口11dの外周縁部11eと密着する弾性シール材を固定し、第三個別容器13の凹部13fの天井面13hに、第二個別容器12の上部開口12dの外周縁部12eと密着する弾性シール材を固定して密封閉鎖できるようにしても良い。内蓋を着脱する手間が省けるので、化粧をよりスムーズに行うことができる。なお、内蓋を設けずに連結状態で容器を傾けることにより、第二個別容器12や第三個別容器13の下面に化粧品が付着することがあるが、当該下面は凹部であるため、第二個別容器12や第三個別容器13を置いた机上又は台上に化粧品を付着させて汚す等の心配がない。
【0031】
上記実施形態では、各個別容器11~13及びカバー14はすべて硬質プラスチック製としたが、これに代えて金属製としても良い。また、連結容器1は、全体として流線形になるように形成したが、円筒状に形成しても良い。その他、本発明はその要旨を変更しない範囲で種々の変更を成し得るものである。
【符号の説明】
【0032】
1 連結容器
11 第一個別容器
12 第二個別容器
13 第三個別容器
14 カバー
21 内蓋(第一個別容器用)
22 内蓋(第二個別容器用)
23 キャップ
24 スポイト