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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035607
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】移動式除草装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/04 20060101AFI20240307BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20240307BHJP
   A62C 27/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A01M21/04 Z
G08B17/10 Z
A62C27/00 507
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140185
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 好人
【テーマコード(参考)】
2B121
2E189
5C085
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121DA17
2B121EA25
2B121FA04
2B121FA15
2E189FA01
2E189FA04
5C085AA01
5C085AA03
5C085AB01
5C085CA20
5C085CA30
(57)【要約】
【課題】植物の除去のために照射されたレーザ光により生じた火の影響を抑制する。
【解決手段】移動式除草装置は、レーザ照射器と、検出部と、を備える。レーザ照射器は、植物に対しレーザ光を照射するよう構成される。検出部は、火を検出するよう構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式除草装置であって、
植物に対しレーザ光を照射するよう構成されるレーザ照射器と、
火を検出するよう構成される検出部と、
を備える移動式除草装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式除草装置であって、
前記検出部により前記火が検出された場合に、前記火を消火するよう構成される消火部を、さらに備える移動式除草装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の移動式除草装置であって、
前記検出部は、煙を検出する煙センサを有し、前記煙センサによる煙の検出結果に基づき、前記火を検出するよう構成される
移動式除草装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の移動式除草装置であって、
前記検出部は、温度センサを有し、前記温度センサを介して検出された温度に基づき、前記火を検出するよう構成される
移動式除草装置。
【請求項5】
請求項2に記載の移動式除草装置であって、
前記消火部は、水により前記火を消火するよう構成されている
移動式除草装置。
【請求項6】
請求項2に記載の移動式除草装置であって、
地面の画像を示す画像データを生成するよう構成されるカメラと、
前記画像データに基づき、前記火が発生している発火箇所を特定するよう構成される位置特定部と、をさらに備え、
前記消火部は、前記発火箇所に対し消火を行うよう構成される
移動式除草装置。
【請求項7】
請求項6に記載の移動式除草装置であって、
前記消火部は、前記発火箇所を覆うことで消火を行うよう構成される
移動式除草装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の移動式除草装置であって、
地面における作業エリアを側方から囲む遮蔽壁をさらに備え、
前記レーザ照射器は、前記作業エリアに位置する前記植物に前記レーザ光を照射するよう構成される
移動式除草装置。
【請求項9】
請求項2に記載の移動式除草装置であって、
地面における作業エリアを側方から囲む遮蔽壁をさらに備え、
前記レーザ照射器は、前記作業エリアに位置する前記植物に前記レーザ光を照射するよう構成され、
前記消火部は、前記遮蔽壁の内側に消火用のガスを放出することで、前記消火を行うよう構成される
移動式除草装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動式除草装置に関する。
【背景技術】
【0002】
農地を走行し、三次元イメージャにより生成された画像に基づき雑草を検出すると共に、検出した雑草にレーザ光を照射することで該雑草を除去する自走式の不要植物の除去システムが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-53941号公報
【特許文献2】特開2015-53942号公報
【特許文献3】特開2015-62412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レーザ光の照射により、乾燥した雑草、ビニールやプラスチック等で形成されたマルチング用のマルチシート、又は敷き藁等が発火する恐れがある。これにより、例えば、農作物に悪影響が生じたり、不要植物の除去システムに搭載されたレーザ照射器、カメラ、又はセンサ等に故障が生じたりする恐れがある。また、発火により生じた煙により、例えば、レーザ照射器に設けられたレンズ、ミラー、又は保護ガラス等が汚れると、レーザ照射器の性能が低下する恐れがある。
【0005】
本開示の一態様では、植物の除去のために照射されたレーザ光により生じた火の影響を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、移動式除草装置であって、レーザ照射器と、検出部と、を備える。レーザ照射器は、植物に対しレーザ光を照射するよう構成される。検出部は、火を検出するよう構成される。
【0007】
上記構成によれば、植物を除去するためのレーザ光の照射により生じた火を早期に検出し、これに対処することができる。このため、このような火の影響を抑制できる。
本開示の一態様は、検出部により火が検出された場合に、火を消火するよう構成される消火部を、さらに備えてもよい。
【0008】
上記構成によれば、植物の除去のために照射されたレーザ光により火が生じた場合であっても、早期にこれを消火できる。このため、このような火の影響を抑制できる。
本開示の一態様では、検出部は、煙を検出する煙センサを有し、煙センサによる煙の検出結果に基づき、火を検出するよう構成されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、好適に火を検出できる。
本開示の一態様では、検出部は、温度センサを有し、温度センサを介して検出された温度に基づき、火を検出するよう構成されてもよい。
【0010】
上記構成によれば、好適に火を検出できる。
本開示の一態様では、消火部は、水により火を消火するよう構成されていてもよい。
上記構成によれば、好適に消火を行うことができる。
【0011】
本開示の一態様は、地面の画像を示す画像データを生成するよう構成されるカメラと、画像データに基づき、火が発生している発火箇所を特定するよう構成される位置特定部と、をさらに備えてもよい。消火部は、発火箇所に対し消火を行うよう構成されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、必要以上に広範囲にわたって消火が行われるのを抑制できる。このため、消火による消耗を抑制したり、消火のために必要な構成が大型化したりするのを抑制できる。
【0013】
本開示の一態様では、消火部は、発火箇所を覆うことで消火を行うよう構成されてもよい。
上記構成によれば、消耗品を用いることなく消火を行うことができる。
【0014】
本開示の一態様は、地面における作業エリアを側方から囲む遮蔽壁をさらに備えてもよい。レーザ照射器は、作業エリアに位置する植物にレーザ光を照射するよう構成されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、外部からの発見が困難な遮蔽壁内での発火を好適に検出できる。このため、レーザ光の照射により生じた火に対し早期に対処することができ、このような火の影響を抑制できる。
【0016】
本開示の一態様は、地面における作業エリアを側方から囲む遮蔽壁をさらに備えてもよい。レーザ照射器は、作業エリアに位置する植物にレーザ光を照射するよう構成されてもよい。消火部は、遮蔽壁の内側に消火用のガスを放出することで、消火を行うよう構成されてもよい。
【0017】
上記構成によれば、遮蔽壁内で好適に消火を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】移動式除草装置の説明図である。
図2】制御装置のブロック図である。
図3】消火部におけるアーム部及び押圧部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0020】
[1.概要]
図1に示す移動式除草装置1は、農地において、農作物P1の周辺に発生した不要植物P2(つまり雑草)にレーザ光Lを照射することで、不要植物P2を除去する。移動式除草装置1は、移動機構と、レーザ照射器2と、カメラ3と、制御装置4と、遮蔽壁5と、センサ部6と、消火部7と、タンク8とを備える。
【0021】
また、レーザ光Lの照射により、乾燥した雑草、マルチシート、又は敷き藁等といった、不要植物P2以外の物体が発火する恐れがある。移動式除草装置1は、センサ部6、消火部7、及びタンク8により、レーザ光Lの照射により生じた火Bを検出し、消火するよう構成される。
【0022】
[2.遮蔽壁]
移動式除草装置1の本体10の下側には、遮蔽壁5が設けられている(図1参照)。遮蔽壁5は、本体10の下面の縁部から下方に突出する筒状の部位であり、本体10の下方の空間を囲むように配置される。そして、遮蔽壁5は、地面における本体10に対面する領域(以後、作業エリアW)を側方から囲むように配置され、移動式除草装置1は、作業エリアWに存在する不要植物P2を、レーザ光Lにより除去する。また、レーザ光Lが外部に漏洩しないよう、遮蔽壁5は、遮光性を有する材料で構成されても良い。
【0023】
本実施形態では、一例として作業エリアWは四角形であり、遮蔽壁5は、作業エリアWを四方から囲む。無論、作業エリアWの形状は、四角形に限らず、例えば円形等であっても良く、遮蔽壁5の形状もまた、作業エリアWの形状に応じて適宜定められ得る。
【0024】
なお、移動式除草装置1は、遮蔽壁5を有さない構成であっても良い。このような場合であっても、地面における本体10に対面する領域が作業エリアWとして設定され、同様にして、作業エリアWの不要植物P2が除去される。
【0025】
[3.制御装置]
制御装置4は、移動式除草装置1を制御するための装置であり、例えばプロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、通信部と、入出力部とを備えるコンピュータを備える(図1参照)。また、詳細は後述するが、図2に示すように、該コンピュータにより、画像処理部41、レーザ制御部42、消火制御部43としての機能が実現される。
【0026】
また、制御装置4は、モニタ40、通信装置44、及びスピーカ45を備える。モニタ40は、各種情報を表示するための部位であり、例えば、液晶ディスプレイ等から構成されても良い。また、通信装置44は、無線又は有線を介して、例えば、サーバや、PCや、携帯端末等の装置と通信を行うよう構成されている。また、スピーカ45は、音声を出力するための装置である。
【0027】
[4.移動機構]
移動機構は、移動式除草装置1を移動させるための機構であり、移動式除草装置1は、農地を移動しながらレーザ光Lにより不要植物P2の除去を行う。移動機構は、一例としてモータにより駆動する複数の車輪11により移動式除草装置1を走行させる(図1参照)。しかし、これに限らず、車輪11に替えて、例えば、少なくとも1つの電動式クローラーが用いられても良いし、移動式除草装置1は、飛行により移動しても良い。
【0028】
また、制御装置4にて移動機構を制御し、予め設定された経路に従って、移動式除草装置1が農地を自動的に移動するよう制御しても良い。無論、これに限らず、移動式除草装置1は、ユーザからの操作に従い移動しても良いし、他の装置や人手により移動しても良い。
【0029】
[5.カメラ]
カメラ3は、本体10に設けられており、作業エリアWを上方から撮影することで画像データを生成するよう構成されている(図1参照)。カメラ3が生成した画像データが示す画像は、少なくとも1つの農作物P1、少なくとも1つの不要植物P2、及びその他の物体(例えば、柵等の構造物、石等の障害物など)が含まれ得る。
【0030】
そして、制御装置4の画像処理部41は、カメラ3が生成した画像データを取得する(図2参照)。画像処理部41は、統計学的手法によって構築されたAI(人工知能)を用いて、カメラ3が生成した画像データが示す画像から不要植物P2を識別し、作業エリアWにおける不要植物P2の位置を特定する。統計学的手法としては、例えば、教師あり機械学習、多変量解析等が挙げられる。教師あり機械学習では、多数のラベル(つまり教師データ)付きの植物の画像を機械学習回路にて分析することで、判定式(つまり分類器)を構築する。
【0031】
また、画像処理部41は、AIによって識別した不要植物P2の成長点を判定し、成長点の位置を特定する。成長点は、主に植物の茎の先端にある細胞分裂の活発な組織を含む部位であり、植物の種類に応じて特定が可能である。
【0032】
また、本実施形態では、画像処理部41は、カメラ3の画像データが示す画像を、モニタ40に表示する。しかし、これに限らず、画像処理部41は、該画像をモニタ40に表示しなくても良い。
【0033】
[6.レーザ照射器]
レーザ照射器2は、本体10に設けられており、作業エリアWに位置する不要植物P2に上方からレーザ光Lを照射するように構成されている(図1参照)。レーザ照射器2は、バッテリと、発振器と、集光部とを備える。
【0034】
レーザ照射器2は、制御装置4のレーザ制御部42により制御される(図2参照)。レーザ制御部42は、レーザ照射器2を制御し、画像処理部41によって識別された不要植物P2にレーザ光Lを照射する。これにより、不要植物P2に損傷(具体的には焼損)が生じ、不要植物P2は枯死する。また、画像処理部41によって複数の不要植物P2が識別された場合には、レーザ照射器2は、これらの不要植物P2に順次レーザ照射を行う。また、レーザ制御部42は、一例として、不要植物P2の成長点にレーザ光Lを照射する。
【0035】
なお、レーザ制御部42は、移動式除草装置1の移動中にレーザ照射を行ってもよいし、移動式除草装置1が停止した状態でレーザ照射を行ってもよい。
[7.センサ部]
センサ部6は、本体10の下面に設けられており、移動式除草装置1が不要植物P2の除去を行っている際に、作業エリアWで生じている発火を検出するための部位である(図1参照)。センサ部6は、煙を検出する煙センサと、温度を検出する温度センサとを備える。なお、センサ部6は、煙センサ及び温度センサのうちの一方を備えていても良い。
【0036】
センサ部6は、制御装置4の消火制御部43により制御され、これにより、検出部が形成される(図2参照)。具体的には、例えば、消火制御部43は、煙センサからの信号に基づき煙を検出した場合には、作業エリアWで火Bが生じたとみなしても良い。また、例えば、消火制御部43は、温度センサからの信号に基づき作業エリアWの温度を検出し、該温度が予め定められた閾値に達している場合には、作業エリアWで火Bが生じたとみなしても良い。
【0037】
また、消火制御部43は、センサ部6を介して火Bを検出すると、カメラ3にて生成された作業エリアWの画像データに基づき、火Bが生じている発火箇所の位置を特定する位置特定部としての機能を有していても良い。この時、消火制御部43は、画像処理部41と同様、AIを用いて発火箇所を識別しても良い。また、消火制御部43は、センサ部6に替えて、カメラ3にて生成された作業エリアWの画像データに基づき、火Bを検出しても良い。
【0038】
[8.消火部及びタンク]
消火部7は、本体10に設けられており、タンク8に貯留されている消火剤を用いて消火を行うための部位である(図1参照)。消火部7は、制御装置4の消火制御部43により制御される(図2参照)。消火制御部43は、センサ部6を介して作業エリアWでの発火Bを検出すると、消火部7により消火を行う。なお、消火制御部43は、移動式除草装置1が停止した状態で消火を行っても良いし、移動式除草装置1の移動中に消火を行っても良い。また、消火制御部43は、消火が完了するまで、より詳しくは、一例として、センサ部6により火Bが検出されなくなるまで、消火部7による消火を継続しても良い。
【0039】
消火剤は、例えば、液体や気体であっても良いし、粉状や泡状の消火剤が用いられても良い。また、消火剤とは、農作物及び人体に有害ではないものや、農作物の生育に影響を与えないものが好適であり、例えば、水、CO2ガス、又は窒素ガス等が消火剤として用いられても良い。
【0040】
また、消火部7は、作業エリアWの全域に対する消火を行っても良いし、カメラ3の画像データに基づき特定された発火箇所に対する消火(以後、ゾーン消火)を行っても良い。
【0041】
具体的には、例えば、消火剤として水が用いられても良い。すなわち、タンク8には水が貯留されており、消火部7には、タンク8から得た水を加圧して噴射する機構と、水を噴射する方向を調整する機構と設けられていても良い。そして、消火制御部43は、火Bを検出すると、発火箇所を特定すると共に、消火部7を制御し、発火箇所に向けて上方から水を噴射することで、ゾーン消火を行っても良い。
【0042】
無論、これに限らず、消火制御部43は、発火箇所のみならず、消火部7により作業エリアWの全域に上方から水を噴射することで、作業エリアWの全域に対する消火を行っても良い。
【0043】
また、例えばCO2ガスや窒素ガス等といった、消火用の不活性ガスが消火剤として用いられても良い。このような場合には、消火制御部43は、消火部7を制御し、タンク8に貯留されているガスを、遮蔽壁5により囲まれた作業エリアWの全域に放出することで、作業エリアW全域の消火を行っても良い。
【0044】
この他にも、消火部7は、消火剤を用いることなく、発火箇所を覆うことで、消火を行っても良い。すなわち、移動式除草装置1にはタンク8が設けられておらず、消火部7は、アーム部70と、押圧部71とを備えていても良い(図3参照)。
【0045】
押圧部71は、発火箇所を覆うための厚板状の部位であり、一例として不燃性の材料により構成される。また、押圧部71は、作業エリアWの上方に配置される。
アーム部70は、移動式除草装置1の本体10の下部に設けられ、作業エリアWの上方に位置する。アーム部70は、先端に押圧部71が設けられており、押圧部71を上方から支持する。アーム部70は、押圧部71と地面との間の距離を調整可能であると共に、作業エリアWにおける押圧部71の前後方向の位置と、左右方向の位置とを調整できるよう構成されている。なお、前後方向とは、移動式除草装置1の進行方向と平行な方向であり、左右方向とは、前後方向に直交する方向を意味する。
【0046】
そして、消火制御部43は、火Bを検出すると、発火箇所を特定すると共に、消火部7のアーム部70を制御して押圧部71の位置を調整する。消火制御部43は、押圧部71を上方から発火箇所に向けて接近させ、発火箇所を押圧部71により押圧することで、ゾーン消火を行う。
【0047】
なお、これ以外にも、作業エリアWにおける押圧部71の前後方向の位置は固定されており、アーム部70は、押圧部71の左右方向の位置のみを調整可能であっても良い。そして、消火制御部43は、移動式除草装置1を移動させることで、前後方向における押圧部71の位置と発火箇所の位置とを一致させても良い。また、消火制御部43は、アーム部70を制御して押圧部71の左右方向の位置を調整し、押圧部71を発火箇所の上方に配置した後、押圧部71を上方から発火箇所に向けて接近させ、発火箇所を押圧部71により押圧することで、ゾーン消火を行っても良い。
【0048】
[9.変形例]
消火制御部43は、センサ部6を介して作業エリアWにおける火Bを検出すると、作業エリアWで発火が生じたことや、消火作業が必要であることを示す警告情報を通知しても良い。
【0049】
具体的には、消火制御部43は、例えば、モニタ40に警告情報を表示しても良いし、スピーカ45を介して音声により警告情報を出力しても良い。この他にも、消火制御部43は、例えば、通信装置44を介してサーバや、PCや、携帯端末等と通信を行い、これらの装置を介して警告情報を出力しても良い。
【0050】
また、消火制御部43は、火Bの検出後、消火部7による消火と共に警告情報を通知しても良い。また、消火制御部43は、火Bの検出後、消火を行うことなく警告情報を通知しても良く、このような場合には、移動式除草装置1には、消火部7が設けられていなくても良い。
【0051】
[10.効果]
(1)上記実施形態によれば、不要植物P2を除去するためのレーザ光Lの照射により生じた火Bを早期に検出し、これに対処することができる。このため、このような火Bの影響を抑制できる。特に、遮蔽壁5が遮光性を有する材料で構成されている場合には、移動式除草装置1の外部から火Bを発見するのが困難になる可能性がある。しかし、上記実施形態によれば、このような場合であっても早期に火Bを発見できる。
【0052】
(2)また、移動式除草装置1には消火部7が設けられているため、レーザ光Lにより火Bが生じた場合であっても、早期にこれを消火できる。このため、レーザ光Lによる発火により、農作物P1に悪影響が生じたり、レーザ照射器2、カメラ3、又はセンサ等に故障が生じたりするのを抑制できる。また、煙により、例えば、レーザ照射器2に設けられたレンズ、ミラー、又は保護ガラス等が汚れ、レーザ照射器2の性能が低下するのを抑制できる。その結果、移動式除草装置1のメンテナンス作業の負荷を低減できる。
【0053】
(3)また、移動式除草装置1は、センサ部6における煙センサや温度センサにより火を検出する。このため、好適に火Bを検出できる。
(4)また、移動式除草装置1は、消火剤として水を用いる。これにより、好適に消火を行うことができる。
【0054】
(5)また、移動式除草装置1は、水の噴射やアーム部70による押圧により、発火箇所に対するゾーン消火を行う。このため、必要以上に広範囲にわたって消火が行われるのを抑制できる。これにより、消火による水等の消火剤の消耗を抑制したり、タンク8等といった、消火のために必要な構成が大型化するのを抑制したりすることができる。さらに、アーム部70による押圧により消火を行うことで、消耗品を用いることなく消火を行うことができる。
【0055】
(6)また、移動式除草装置1は、作業エリアWを囲む遮蔽壁5を備えているため、不要植物P2の検出精度が向上すると共に、レーザ光Lの照射により不要植物P2を除去する際の安全性が向上する。また、移動式除草装置1は、遮蔽壁5内にてセンサ部6における煙センサや温度センサにより火Bを検出することから、風等の影響を抑制でき、精度良く火Bを検出できる。また、外部からの発見が困難な遮蔽壁5内での発火を好適に検出できるため、レーザ光Lの照射により生じた火Bに対し早期に対処することができ、このような火Bの影響を抑制できる。
【0056】
(7)また、移動式除草装置1は、消火用のガスを消火剤として用いることで、遮蔽壁5内で好適に消火を行うことができる。
[11.他の実施形態]
(1)上記実施形態の移動式除草装置1は、必ずしも画像処理部41を備えなくてもよい。すなわち、制御装置4は、外部からの不要植物の位置の入力を受け付け、入力された位置に向けて、レーザ照射器2からレーザ光Lを照射するようにしても良い。
【0057】
(2)上記実施形態の移動式除草装置1は、農地に限らず、所定の植物が栽培されているか、又は自生している農地以外の場所(例えば、公園や庭等)での不要植物P2の除去に用いられても良い。この他にも、移動式除草装置1は、除去対象から除外されるべき植物が存在せず、不要植物P2のみが存在する場所における植物の除去に用いられても良い。つまり、特定の場所に存在する全ての植物を不要植物P2とし、このような不要植物P2を除去するために移動式除草装置1が用いられても良い。
【0058】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0059】
[12.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
移動式除草装置であって、
植物に対しレーザ光を照射するよう構成されるレーザ照射器と、
火を検出するよう構成される検出部と、
を備える移動式除草装置。
[項目2]
項目1に記載の移動式除草装置であって、
前記検出部により前記火が検出された場合に、前記火を消火するよう構成される消火部を、さらに備える移動式除草装置。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の移動式除草装置であって、
前記検出部は、煙を検出する煙センサを有し、前記煙センサによる煙の検出結果に基づき、前記火を検出するよう構成される
移動式除草装置。
[項目4]
項目1から項目3のうちのいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
前記検出部は、温度センサを有し、前記温度センサを介して検出された温度に基づき、前記火を検出するよう構成される
移動式除草装置。
[項目5]
項目2、又は、項目2に従属する項目3或いは項目4のうちのいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
前記消火部は、水により前記火を消火するよう構成されている
移動式除草装置。
[項目6]
項目2、又は、項目2に従属する項目3から項目5のうちのいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
地面の画像を示す画像データを生成するよう構成されるカメラと、
前記画像データに基づき、前記火が発生している発火箇所を特定するよう構成される位置特定部と、をさらに備え、
前記消火部は、前記発火箇所に対し消火を行うよう構成される
移動式除草装置。
[項目7]
項目6に記載の移動式除草装置であって、
前記消火部は、前記発火箇所を覆うことで消火を行うよう構成される
移動式除草装置。
[項目8]
項目1から項目7のうちのいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
地面における作業エリアを側方から囲む遮蔽壁をさらに備え、
前記レーザ照射器は、前記作業エリアに位置する前記植物に前記レーザ光を照射するよう構成される
移動式除草装置。
[項目9]
項目2、又は、項目2に従属する項目3から項目8のうちのいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
地面における作業エリアを側方から囲む遮蔽壁をさらに備え、
前記レーザ照射器は、前記作業エリアに位置する前記植物に前記レーザ光を照射するよう構成され、
前記消火部は、前記遮蔽壁の内側に消火用のガスを放出することで、前記消火を行うよう構成される
移動式除草装置。
【符号の説明】
【0060】
1…移動式除草装置、10…本体、2…レーザ照射器、3…カメラ、4…制御装置、40…モニタ、41…画像処理部、42…レーザ制御部、43…消火制御部、44…通信装置、45…スピーカ、5…遮蔽壁、6…センサ部、7…消火部、70…アーム部、71…押圧部、8…タンク、P1…農作物、P2…不要植物、L…レーザ光、B…火、W…作業エリア。
図1
図2
図3