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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035610
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】移動式除草装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A01M21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140188
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 隆
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121DA17
2B121DA62
2B121DA63
(57)【要約】
【課題】不要植物に液体が付着する環境下で、不要植物を効率的に除去できる移動式除草装置を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、植物の上方から、植物に向けてレーザ光を照射するように構成されたレーザ照射器と、植物に液体が付着している場合のレーザ光の照射出力及び照射時間のうち少なくとも一方を植物に液体が付着していない場合よりも大きくするように構成された制御装置と、レーザ照射器を保持すると共に、移動機構を有する装置本体と、を備える、移動式除草装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の上方から、前記植物に向けてレーザ光を照射するように構成されたレーザ照射器と、
前記植物に液体が付着している場合の前記レーザ光の照射出力及び照射時間のうち少なくとも一方を、前記植物に液体が付着していない場合よりも大きくするように構成された制御装置と、
前記レーザ照射器を保持すると共に、移動機構を有する装置本体と、
を備える、移動式除草装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式除草装置であって、
前記装置本体に保持されると共に、前記植物を上方から撮影した画像を取得するように構成されたカメラをさらに備え、
前記制御装置は、前記画像に基づいて前記植物の液体付着状況を判定する、移動式除草装置。
【請求項3】
請求項1に記載の移動式除草装置であって、
前記装置本体に保持されると共に、前記植物に対する波動の照射と反射した波動の検出とを行うように構成されたセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記センサの検出信号に基づいて前記植物の液体付着状況を判定する、移動式除草装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
前記レーザ光の波長は、400nm以上550nm以下である、移動式除草装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移動式除草装置であって、
前記レーザ光の照射領域に水を噴射するように構成された水噴射器をさらに備える、移動式除草装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動式除草装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ照射によって、農地における不要植物(つまり雑草)を除去する除草装置が公知である(特許文献1-3参照)。この除草装置では、不要植物の上方からレーザ光を照射することで、不要植物に損傷を与えて枯死させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-53941号公報
【特許文献2】特開2015-53942号公報
【特許文献3】特開2015-62412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農地においては、例えば水などの液体が不要植物の表面に付着する。このように液体が不要植物に付着していると、液体によるレーザ光の吸収によって、不要植物の除去が不十分となるおそれがある。
【0005】
本開示の一局面は、不要植物に液体が付着する環境下で、不要植物を効率的に除去できる移動式除草装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、植物の上方から、植物に向けてレーザ光を照射するように構成されたレーザ照射器と、植物に液体が付着している場合のレーザ光の照射出力及び照射時間のうち少なくとも一方を植物に液体が付着していない場合よりも大きくするように構成された制御装置と、レーザ照射器を保持すると共に、移動機構を有する装置本体と、を備える、移動式除草装置である。
【0007】
このような構成によれば、不要植物に液体が付着している場合にはレーザ光の照射出力又は照射時間を大きくすることで、不要植物を除去できる。また、不要植物に液体が付着していない場合は、レーザ光の照射出力又は照射時間を抑えることができる。そのため、バッテリ容量の増大、消費電力の上昇、及び過度のレーザ光の照射を抑制しつつ、不要植物を効率的に除去できる。
【0008】
本開示の一態様は、装置本体に保持されると共に、植物を上方から撮影した画像を取得するように構成されたカメラをさらに備えてもよい。制御装置は、画像に基づいて植物の液体付着状況を判定してもよい。このような構成によれば、液体付着状況を比較的容易に把握できると共に、不要植物における液体の付着箇所も判定できる。
【0009】
本開示の一態様は、装置本体に保持されると共に、植物に対する波動の照射と反射した波動の検出とを行うように構成されたセンサをさらに備えてもよい。制御装置は、センサの検出信号に基づいて植物の液体付着状況を判定してもよい。このような構成によっても、液体付着状況を比較的容易に把握できると共に、不要植物における液体の付着箇所も判定できる。
【0010】
本開示の一態様では、レーザ光の波長は、400nm以上550nm以下であってもよい。このような構成によれば、レーザ光が液体によって吸収されにくくなる。そのため、不要植物の除去効率を高めることができる。
【0011】
本開示の一態様は、レーザ光の照射領域に水を噴射するように構成された水噴射器をさらに備えてもよい。このような構成によれば、レーザ光の照射による煙の発生を抑制できる。また、噴射された水が除去前の不要植物に付着した場合でも、制御装置によるレーザ光の調整によってこの不要植物を効率的に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態における移動式除草装置の模式的な側面図である。
図2図2は、図1の移動式除草装置の移動経路の一例を示す模式図である。
図3図3は、図1の移動式除草装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、不要植物における液体の付着例を示す模式図である。
図5図5A及び図5Bは、図1の移動式除草装置におけるカメラが取得した画像の一例を示す模式図である。
図6図6は、図3の制御装置が実行する処理を概略的に示すフロー図である。
図7図7は、図1とは異なる実施形態における移動式除草装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す移動式除草装置1は、農地において、農作物P1の周辺に発生した不要植物P2(つまり雑草)を除去するための装置である。移動式除草装置1は、装置本体2と、レーザ照射器3と、カメラ4と、照明5と、水噴射器6と、監視センサ7と、制御装置9とを備える。
【0014】
<装置本体>
装置本体2は、レーザ照射器3、カメラ4、照明5、水噴射器6、監視センサ7及び制御装置9を保持する筐体である。また、装置本体2は、移動機構を有する。
【0015】
本実施形態の移動機構は、複数の車輪21によって構成されている。装置本体2は、複数の車輪21によって、農地上を走行するように構成されている。移動機構は、モータによって車輪21を回転させる電動式であってもよいし、作業者が装置本体2を押す又は引くことで移動する手動式であってもよい。また、装置本体2は、移動機構として、車輪21の替わりに1以上の電動式クローラーを備えてもよい。
【0016】
図2に示すように、移動式除草装置1は、複数の畝Fの長手方向に沿って走行する。移動式除草装置1は、複数の畝Fそれぞれに対し不要植物P2へのレーザ照射と水噴射とを行う。
【0017】
<レーザ照射器>
図1に示すレーザ照射器3は、制御装置9によって識別された不要植物P2の上方から、不要植物P2に向けてレーザ光Lを照射するように構成されている。レーザ照射器3は、ミラー等の光学素子を用いてレーザ光Lの方向を変えることで、不要植物P2の上方からレーザ光Lを照射するよう構成されていてもよい。
【0018】
レーザ照射器3は、レーザ光Lにより、不要植物P2に損傷を与える(具体的には焼損させる)ことで不要植物P2を枯死させる。レーザ光Lは、不要植物P2の成長点又は根元に照射される。不要植物P2の成長点及び根元は、カメラ4が取得した画像に基づいて制御装置9によって判定される。
【0019】
レーザ照射器3としては、バッテリと、発振器と、反射制御部(例えばガルバノスキャナ、MEMS等)とを有する公知のレーザ照射装置が使用できる。レーザ照射器3のレーザ光の波長は、400nm以上550nm以下である。
【0020】
レーザ照射器3は、レーザ光Lの照射方向、照射出力、及び照射時間を変更可能に構成されている。照射出力は、制御装置9から発振器に出力される信号(例えばアナログ入力電圧)によって変更される。
【0021】
レーザ照射器3は、装置本体2の移動中にレーザ照射を行ってもよいし、装置本体2が停止した状態でレーザ照射を行ってもよい。レーザ照射器3は、制御装置9が識別した複数の不要植物P2に順次レーザ照射を行う。
【0022】
<カメラ>
カメラ4は、少なくとも1つの農作物P1及び少なくとも1つの不要植物P2が混在する農地を上方から撮影した画像を取得するように構成されている。
【0023】
カメラ4が取得する画像には、少なくとも1つの農作物P1、少なくとも1つの不要植物P2及びその他の物体(例えば、柵等の構造物、石等の障害物など)が含まれる。カメラ4の撮影範囲は、装置本体2の移動に伴って変化する。
【0024】
<照明>
照明5は、カメラ4の撮影領域を照らすように構成されている。すなわち、照明5は、少なくとも1つの不要植物P2に光を当てる。
【0025】
<水噴射器>
水噴射器6は、上方からレーザ光Lの照射領域に消火用の水を噴射するように構成されている。
【0026】
具体的には、水噴射器6は、レーザ光Lが照射された後の不要植物P2に向けて水を噴射する。水噴射器6が水を噴射する座標及び範囲は、制御装置9によって設定される。水噴射器6には、例えば、装置本体2に設置された水タンク(図示省略)から水が供給される。
【0027】
<監視センサ>
監視センサ7は、レーザ光の照射領域において温度と煙の有無とを検出する公知の装置である。
【0028】
<制御装置>
制御装置9は、レーザ照射器3及び水噴射器6を主に制御する。制御装置9は、例えばプロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、通信部と、入出力部とを備えるコンピュータにより構成される。図3に示すように、制御装置9は、画像処理部91と、レーザ制御部92と、噴射制御部93と、データベース94とを有する。
【0029】
画像処理部91は、カメラ4が撮影した画像から、不要植物P2を識別するように構成されている。画像処理部91は、公知の統計学的手法によって構築されたAI(人工知能)を用いて、不要植物P2を識別する。
【0030】
統計学的手法としては、例えば、教師あり機械学習、多変量解析等が挙げられる。教師あり機械学習では、多数のラベル(つまり教師データ)付きの植物の画像を機械学習回路にて分析することで、判定式(つまり分類器)を構築する。
【0031】
画像処理部91は、不要植物P2の識別後、さらにカメラ4が撮影した画像に基づいて不要植物P2の液体付着状況を判定するように構成されている。具体的には、画像処理部91は、「不要植物P2に対するレーザ光の照射部位における液体の有無」を判定する。
【0032】
図4に示すように、不要植物P2には、水、農薬、液体肥料等の液体が液滴W1として付着し得る。なお、不要植物P2が存在する畝F(つまり地面)にも液体が液だまりW2として存在する。
【0033】
図5Aに示すように、画像処理部91は、まず、カメラ4が撮影した不要植物P2及び液滴W1を含む画像Sにおいて、データベース94に記憶されている多数の植物の画像データ(つまり教示データ)を参照して、不要植物P2の葉の形状、枚数、位置等を認識する。
【0034】
次に、図5Bに示すように、画像処理部91は、不要植物P2に対し、AIによって識別した不要植物P2の成長点又は根元を含むターゲット領域Rを設定する。成長点は、主に植物の茎の先端にある細胞分裂の活発な組織を含む部位であり、植物の種類に応じて特定が可能である。ターゲット領域Rの設定後、画像処理部91は、ターゲット領域Rに液滴W1が存在するか否かを判定する。
【0035】
具体的には、画像処理部91は、データベース94に記憶されている多数の液滴の画像データを参照して、液滴W1が存在するか判定される。例えば、画像処理部91は、ターゲット領域Rにデータベース94の液滴の画像と一致又は類似する画像領域が含まれる場合に、液滴W1が存在する(つまり、ターゲット領域Rが濡れている)と判定する。なお、画像処理部91は、不要植物P2全体に対して液滴W1の存在の有無を判定した後、ターゲット領域Rを設定してもよい。
【0036】
図3に示すレーザ制御部92は、画像処理部91によって識別された不要植物P2の座標に対するレーザ光の照射をレーザ照射器3に指示する。具体的には、レーザ制御部92は、画像処理部91が設定したターゲット領域Rへのレーザ光の照射をレーザ照射器3に指示する。
【0037】
また、レーザ制御部92は、不要植物P2における液体付着状況に応じて、レーザ光の照射量(つまり不要植物P2への照射エネルギー)を決定する。レーザ光の照射量は、レーザ光の照射出力及び照射時間に比例する。
【0038】
レーザ制御部92は、ターゲット領域Rに液体が存在すると判定された(つまり、不要植物P2に液体が付着している)場合のレーザ光の照射量を、ターゲット領域Rに液体が存在しないと判定された(つまり、不要植物P2に液体が付着していない)場合のレーザ光の照射量よりも大きくする。
【0039】
レーザ光の照射量は、レーザ光の照射出力及び照射時間のうち少なくとも一方の変更により調整される。レーザ光の照射量を大きくする調整では、照射時間は変えずに照射出力のみを大きくする、照射出力は変えずに照射時間のみを大きくする、又は照射出力及び照射時間の双方を大きくする、のいずれかの調整が行われる。
【0040】
これらの制御パターンのうち、レーザ光の照射出力のみ、又はレーザ光の照射時間のみを調整することで、複雑な制御を必要とせず、比較的容易にレーザ光の照射量を調整できる。
【0041】
レーザ光の照射出力は、上述のようにレーザ照射器3への入力によって調整される。レーザ光の照射時間は、例えばレーザ光の照射点の周回数及び/又は移動速度によって調整される。レーザ光の照射点は、不要植物P2の成長点又は根元を中心に周回するように移動する。
【0042】
レーザ制御部92は、レーザ照射器3に対して、上述のようにして調整された照射座標、照射出力、照射時間、照射軌跡等を入力する。レーザ照射器3は、レーザ制御部92から指示された照射出力及び照射時間にて、照射軌跡に沿って不要植物P2へレーザ光を照射する。
【0043】
噴射制御部93は、監視センサ7が高温と検出した領域、又は煙を検出した領域への水噴射を水噴射器6に指示する。また、噴射制御部93は、監視センサ7の検出結果に関わらず、不要植物P2へのレーザ照射器3のレーザ光の照射完了後、レーザ光が照射された不要植物P2への水噴射を水噴射器6に指示してもよい。
【0044】
制御装置9は、装置本体2に設置されたモニタに、画像処理部91による不要植物P2の識別結果、監視センサ7による温度及び煙の検出結果等を出力するように構成されてもよい。
【0045】
<制御装置の処理>
以下、図6のフロー図を参照しつつ、制御装置9の画像処理部91及びレーザ制御部92が実行する処理の一例について説明する。
【0046】
本処理では、まず、画像処理部91が、カメラ4が撮影した画像を取得する(ステップS110)。次に、画像処理部91は、取得した画像に含まれる植物が不要植物であるか否か判定する(ステップS120)。
【0047】
画像の植物が不要植物でない場合(S120:NO)、制御装置9は、処理を終了する。一方、画像の植物が不要植物である場合(S120:YES)、画像処理部91は、ターゲット領域を設定する(ステップS130)。
【0048】
ターゲット領域の設定後、画像処理部91は、ターゲット領域に液体が存在するか否か判定する(ステップS140)。液体が存在しない場合(S140:NO)、レーザ制御部92は、第1照射時間T1でレーザ光を不要植物のターゲット領域に照射する(ステップS150)。
【0049】
一方、液体が存在する場合(S140:YES)、レーザ制御部92は、第1照射時間T1よりも長い第2照射時間T2でレーザ光を不要植物のターゲット領域に照射する(ステップS160)。
【0050】
なお、レーザ制御部92は、液体が存在しない場合(S140:NO)に第1照射出力でレーザ光を照射し、液体が存在する場合(S140:YES)に第1照射出力よりも大きい第2照射出力でレーザ光を照射してもよい。
【0051】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)不要植物に液体が付着している場合にはレーザ光の照射出力又は照射時間を大きくすることで、不要植物を除去できる。また、不要植物に液体が付着していない場合は、レーザ光の照射出力又は照射時間を抑えることができる。そのため、バッテリ容量の増大、消費電力の上昇、及び過度のレーザ光の照射を抑制しつつ、不要植物を効率的に除去できる。
【0052】
(1b)カメラ4が取得した画像に基づいて制御装置9によって不要植物P2の液体付着状況が判定されることで、液体付着状況を比較的容易に把握できると共に、不要植物における液体の付着箇所も判定できる。
【0053】
(1c)レーザ光の波長が400nm以上550nm以下であることで、レーザ光が液体によって吸収されにくくなる。そのため、不要植物の除去効率を高めることができる。
【0054】
(1d)水噴射器6によって、レーザ光の照射による煙の発生を抑制できる。また、噴射された水が除去前の不要植物に付着した場合でも、制御装置9によるレーザ光の調整によってこの不要植物を効率的に除去できる。
【0055】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
図7に示す移動式除草装置11は、装置本体2と、レーザ照射器3と、カメラ4と、照明5と、水噴射器6と、監視センサ7と、液体センサ8と、制御装置19とを備える。
【0056】
移動式除草装置11の装置本体2、レーザ照射器3、カメラ4、照明5、水噴射器6及び監視センサ7は、図1の移動式除草装置1と同じものである。本実施形態の移動式除草装置11は、第1実施形態の移動式除草装置1に液体センサ8を追加すると共に、第1実施形態の制御装置9の機能を一部変更したものである。
【0057】
<センサ>
液体センサ8は、カメラ4等と共に装置本体2に保持されている。液体センサ8は、不要植物P2に対する波動の照射と反射した波動の検出とを行うように構成されている。
【0058】
液体センサ8が利用する波動としては、音波、電磁波(つまり光波及び電波)等が挙げられる。液体センサ8としては、例えば、市販の距離センサ(例えばLiDAR)、ソナー等が使用できる。
【0059】
液体センサ8が照射した波動は、植物に衝突した場合と液体に衝突した場合とで反射が変化する。そのため、液体センサ8の検出信号の解析によって、レーザ光の照射領域における液体の存在を確認することができる。
【0060】
<制御装置>
制御装置19は、第1実施形態の制御装置9を、カメラ4が取得した画像に替えて、液体センサ8の検出信号に基づいて不要植物P2の液体付着状況を判定するように変更したものである。
【0061】
具体的には、制御装置19は、検出信号の解析によって不要植物のターゲット領域に液体が存在すると判定された場合のレーザ光の照射量を、ターゲット領域に液体が存在しないと判定された場合のレーザ光の照射量よりも大きくする。
【0062】
レーザ光の照射量は、レーザ光の照射出力及び照射時間うち少なくとも一方の変更により調整される。レーザ光の照射量を大きくする調整では、照射時間は変えずに照射出力のみを大きくする、照射出力は変えずに照射時間のみを大きくする、又は照射出力及び照射時間の双方を大きくする、のいずれかの調整が行われる。
【0063】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)液体センサ8の検出信号に基づいて制御装置19によって液体付着状況が判定されることで、液体付着状況を比較的容易に把握できると共に、不要植物における液体の付着箇所も判定できる。
【0064】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0065】
(3a)上記実施形態の移動式除草装置において、制御装置は、必ずしも装置本体に保持されなくてもよい。例えば、制御装置は、農地の上又は農地から離れた施設に設置されると共に、カメラ、レーザ照射器等と無線通信を行うように構成されてもよい。
【0066】
(3b)上記実施形態の移動式除草装置は、必ずしも照明を備えなくてもよい。外光の取り込みや、カメラの輝度調整によって不要植物を認識できる画像が取得できれば、照明は省略することができる。
【0067】
(3c)上記実施形態の移動式除草装置において、装置本体の移動形態は走行に限定されない。移動式除草装置は、例えば、飛行により移動してもよい。
【0068】
(3d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0069】
1…移動式除草装置、2…装置本体、3…レーザ照射器、4…カメラ、5…照明、
6…水噴射器、7…監視センサ、8…液体センサ、9…制御装置、
11…移動式除草装置、19…制御装置、21…車輪、91…画像処理部、
92…レーザ制御部、93…噴射制御部、94…データベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7