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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035615
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】食品包装用フィルム
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B65D65/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140197
(22)【出願日】2022-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月4日にイセデリカ株式会社に販売。
(71)【出願人】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 将悟
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB02
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA43
3E086BB02
3E086BB51
3E086CA01
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】高温の状態の食品を包装可能な汎用性の高い食品包装用フィルムを提供すること。
【解決手段】食品包装用フィルム11は、加熱後の食品を冷ますことなく包装するための食品包装用フィルム11であって、複数の微細孔21からなる少なくとも1つの帯状の蒸気抜き部2が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱後の食品を冷ますことなく包装するための食品包装用フィルムであって、
複数の微細孔からなる少なくとも1つの帯状の蒸気抜き部が形成されている、食品包装用フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の食品包装用フィルムであって、
前記食品が鶏卵である、食品包装用フィルム。
【請求項3】
切断して請求項1又は2に記載の食品包装用フィルムとなる、長尺状フィルムであって、
長手方向が前記蒸気抜き部の延びる方向に沿っている、長尺状フィルム。
【請求項4】
請求項3に記載の長尺状フィルムが、長手方向に沿ってロール状に巻かれている、フィルムロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レトルト食品や冷凍食品等を内容物とする、積層フィルムからなる電子レンジ加熱用包装袋が開示されている。前記包装袋はウイングタイプの袋である。前記包装袋には、ウイング部に剥離可能なシール部が設けられている。前記シール部には、蒸気抜き機構を構成する蒸気口として、内容物の加熱により収容空間内に発生した蒸気を包装袋の外へ排出するための帯状に連続した複数の微細孔からなる連続孔が設けられている(特許文献1の明細書段落0021及び0022を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、食品を包装する際には、食品を加熱調理した後に常温以下まで冷ましてから包装することが多い。しかし、食品を冷ます工程を省略するという観点から、加熱した食品を高温のまま包装することの需要がある。
【0005】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温の状態の食品を包装可能な汎用性の高い食品包装用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、加熱後の食品を冷ますことなく包装できる食品包装用フィルムであって、複数の微細孔からなる少なくとも1つの帯状の蒸気抜き部が形成されている。
【0007】
この構成によると、食品包装用フィルム自体に帯状の蒸気抜き部が形成されている。このため、食品包装用フィルムを食品の形状及び大きさに合わせた形状及び大きさに適宜切断等行うことにより、食品の形状及び大きさに依らず、多様な食品を包装することができる。
【0008】
また、後述の実施例で示すように、食品包装用フィルムに複数の微細孔を設けることで、包装体内部に籠る水蒸気量を減らせることがわかった。これにより、食品包装用フィルムで加熱後の高温の食品を包装しても、食品包装用フィルムが曇りにくくなる。
【0009】
ところで、食品包装用フィルムは、曇ったまま温度が低下すると結露が発生することがある。食品を包装する食品包装用フィルム内の結露の水滴は、食品にカビが発生する原因になりやすい。ここで、本発明に係る食品包装用フィルムは曇りにくいので、これにより食品を包装すれば、カビの発生による食品の品質低下を抑えることができる。
【0010】
さらに、蒸気抜き部の数を増減することにより、蒸気抜き部から排出できる蒸気量を増減することができるので、食品包装用フィルムの曇りにくさを、食品が発する蒸気量に合わせて調整できる。従って、蒸気抜き部の数を増やすことにより、大量の蒸気を発する食品も包装することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱後の食品を高温の状態で包装できる、汎用性の高い食品包装用フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る長尺状フィルムの平面図である。
図2】実施形態に係る長尺状フィルムの、微細孔を含む概略断面図である。
図3】実施形態に係るフィルムロールの斜視図である。
図4】実施形態に係る、鶏卵を包装した包装袋を示す平面図である。
図5】実施形態の変形例に係る、シュウマイを包装した包装袋を示す平面図である。
図6】トレイに収容されたシュウマイを示す平面図である。
図7】実施形態の変形例に係る包装袋を示す斜視図である。
図8】その他の実施形態に係る長尺状フィルムの平面図である。
図9】その他の実施形態に係る包装袋を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0014】
[実施形態]
<食品包装用フィルム>
図1には、長尺状フィルム1が示されている。長尺状フィルム1には、長手方向に沿って延びる1つの帯状の蒸気抜き部2が形成されている。この蒸気抜き部2は、例えばマジックカット(登録商標)のような、複数の微細孔として形成することができる。尚、微細孔の各々の、長尺状フィルム1の長手方向に沿った長さは40μm~60μmが好ましく、長尺状フィルム1の短手方向に沿った長さは480μm~530μmが好ましい。長尺状フィルム1の長手方向における微細孔と微細孔との間隔は、300μm~330μmが好ましい。この長尺状フィルム1を、包装する食品の大きさ等に合わせて、長手方向に垂直な切断線に沿って、適切な長さに切断することにより、食品包装用フィルム11が形成される。
【0015】
図2には、蒸気抜き部2を含む、長尺状フィルム1及び食品包装用フィルム11の概略断面が示されている。長尺状フィルム1及び食品包装用フィルム11は、表面側から裏面側に向かって、二軸延伸ポリプロピレン層22(ОPP層)と、接着層23と、無軸延伸ポリプロピレン層24(CPP層)とが、この順番に設けられている。ОPP層22及びCPP層24は、夫々20μmの厚さに形成されている。接着層23の厚さは、1~3μmである。接着層23は接着剤により形成されている。接着剤としては、特に限定はしないが、例えばポリウレタン系接着剤、イミン系接着剤等の接着剤が用いられる。接着層23により、ОPP層22とCPP層24とが貼り合わせられている。これらОPP層22と接着層23とCPP層24とを貫通する複数の微細孔21として、蒸気抜き部2は形成されている。
【0016】
図3に示すように、長尺状フィルム1は芯材31を軸にして長手方向に沿ってロール状に巻かれた、フィルムロール3を構成していてもよい。このように、長尺状フィルム1を巻く方向と蒸気抜き部2が延びる方向とは、ともに長尺状フィルム1の長手方向に沿っている。このため、フィルムロール3から長尺状フィルム1を繰り出して適切な長さに切断することで、蒸気抜き部2を有する食品包装用フィルム11を形成することができる。
【0017】
以上説明したように、本実施形態に係る食品包装用フィルム11は、加熱後の食品を包装するための食品包装用フィルム11である。食品包装用フィルム11には、複数の微細孔21からなる少なくとも1つの帯状の蒸気抜き部2が形成されている。
【0018】
<包装袋>
食品を包装する際には、食品包装用フィルム11を包装袋5に加工し、その包装袋5により食品を包装してもよい。以下に、具体的な食品に基づいて、食品を包装する際の食品包装用フィルム11の加工について説明する。
【0019】
(鶏卵)
本実施形態では、図4に示すように、鶏卵が、包装袋5に加工された食品包装用フィルム11により包装される。包装袋5は、食品包装用フィルム11をヒートシールすることにより合掌貼袋状に形成されている。具体的には、図1のように矩形状に切断された食品包装用フィルム11は、CPP層24が内側になるように長手方向に延びる2つの折線に沿って 折り、重ね合わされた短手方向の両端がヒートシールされる。これにより、図4に示すように、長手方向に沿って延びる背貼り部51が形成され、食品包装用フィルム11がチューブ状に加工される。チューブ状に加工された食品包装用フィルム11の長手方向の両端部がヒートシールされることにより、包装袋5が形成される。包装袋5の蒸気抜き部2は、背貼り部51に沿って長手方向に延びている。
【0020】
<作用・効果>
ところで、従来、加熱後の鶏卵(例えば、ゆで卵又は温泉卵)を高温の状態で包装する場合、包装時に、蒸気を排出して曇りにくくするための直径1mm程度の大きな孔を包装袋に開ける場合がある。しかし、包装袋の1つ1つに孔を空ける工程は、手間がかかるので、この工程を省略したいという要望がある。また、従来の包装機でも包装袋に1mm程度の大きな孔を開けることは可能ではあるが、その大きな孔から包装袋の内部へ虫や異物が入り易いという問題がある。さらに、従来の包装機によって包装袋に孔を開ける際には、包装袋に形成できる孔の数に制限があり、十分な蒸気排出量を確保できないという問題もある。
【0021】
ここで、後述の実施例で示すように、食品包装用フィルム11又は包装袋5に複数の微細孔21を設けることで、包装体内部に籠る水蒸気量は減らせることがわかった。そのため、本実施形態に係る包装袋5では、包装袋5の内部で発生した蒸気は、蒸気抜き部2から包装袋5の外部へ排出される。これにより、包装袋5の内側に蒸気が付着しにくくなり、包装袋5が曇りにくくなる。その結果、包装袋1つ1つに孔を空ける工程を省略しても、高温状態の鶏卵を包装しても包装袋5が曇りにくくなる。
【0022】
ところで、包装袋5は、曇ったまま温度が低下すると結露が発生する。包装袋5の結露の水滴は、鶏卵にカビが発生する原因になりやすい。ここで、包装袋5は、前記のとおり曇りにくいので、結露を原因とする鶏卵のカビの発生を抑制できる。従って、包装袋5は、鶏卵等の食品の品質低下を抑制することができる。
【0023】
さらに、本実施形態における微細孔21は、長尺状フィルム1の長手方向に沿った長さが40μm~60μm且つ、短手方向に沿った長さが300μm~350μmであり、従来の蒸気を排出するための孔の直径1mmに比べて小さい。従って、微細孔21から包装袋5の内部に虫や異物が入り難くなっている。
【0024】
また、本実施形態に係る長尺状フィルム1は、切断して食品包装用フィルム11となる、長尺状フィルム1であって、長手方向が蒸気抜き部2の延びる方向に沿っている。これにより、長尺状フィルム1の長手方向に沿って複数の微細孔21を連続して形成することで、帯状に延びる蒸気抜き部2を容易に形成できる。例えば、長尺状フィルム1を巻いてフィルムロール3にするのと同時に、フィルム1を巻きながら複数の微細孔21を形成することで、フィルム1が巻かれる方向に沿って帯状に延びる蒸気抜き部2を容易に形成できる。その後、長尺状フィルム1を長手方向に所定長さ繰り出して切断するだけで、蒸気抜き部2を有する食品包装用フィルム11を容易に形成することができるので、従来のように包装袋1つ1つに孔を開ける工程を行うことに比べて、包装袋5の製造に手間が大幅に少なくなる。
【0025】
また、本実施形態に係るフィルムロール3は、長尺状フィルム1が、長手方向に沿ってロール状に巻かれているので、長尺状フィルム1の長さを、例えば数十メートル~数百メートル又はそれ以上の長さにすることができる。このため、長尺状フィルム1を切断して多くの食品包装用フィルム11を製造できる。
【0026】
また、本実施形態に係るフィルムロール3には、蒸気抜け部2(複数の微細孔21)が形成されている。このため、フィルムロール3から切断された長尺状フィルム1を包装袋5に加工すれば、包装袋5にはすでに蒸気抜け部2が形成されている。このため、鶏卵を包装袋5に包装する際に、包装袋5に蒸気抜け部2を形成するための孔を開ける等の加工を施す必要がない。従って、鶏卵を包装袋5によって包装する際に手間がかからない。
【0027】
本実施形態では、食品包装用フィルム11に蒸気抜き部2を設けることにより、加熱した高温の食品を食品包装用フィルム11によって包装することができる。また、加熱した状態の食品を冷ますことなく食品包装用フィルム11によって包装するため、食品を冷ます工程を省略することができる。
【0028】
また、食品包装用フィルム11自体に帯状の蒸気抜き部2が形成されている。これにより、食品包装用フィルム11を食品の形状及び大きさに合わせた形状及び大きさに適宜切断等行うことにより、食品の形状及び大きさに依らず、多様な食品を包装することができる。
【0029】
[実施形態の変形例]
以下に、図5~7を参照して、実施形態の変形例について説明する。尚、以下では、前記実施形態の構成と共通する構成の説明は省略する場合がある。
【0030】
(シュウマイ)
本変形例では、図5及び図6に示すように、シュウマイ52が収容されたトレイ53が、包装袋5に加工された食品包装用フィルム11により包装される。包装袋5は、食品包装用フィルム11をヒートシールすることにより合掌貼平袋状に形成されている。
【0031】
具体的には、図1のように矩形状に切断された食品包装用フィルム11は、CPP層24が内側になるように長手方向に延びる2つの折線に沿って折り、重ね合わされた短手方向の両端がヒートシールされる。これにより、図7に示すように、長手方向に沿って延びる背貼り部51が形成され、食品包装用フィルム11がチューブ状に加工される。チューブ状に加工された食品包装用フィルム11の長手方向の両端部がヒートシールされることにより、包装袋5が形成される。図7に示すように、包装袋5の蒸気抜き部2は、背貼り部51に沿って長手方向に延びている。
【0032】
前記実施形態では、包装される食品が鶏卵であるが、本変形例で示されるように、シュウマイなどの鶏卵以外の食品も包装することができる。このように、本発明に係る食品包装用フィルム11は汎用性が高い。
【0033】
[その他の実施形態]
前記実施形態及びその変形例では、長尺状フィルム1には、1つの帯状の蒸気抜き部2が設けられている。しかし、図8に示すように、蒸気抜き部2は2つ以上設けられていてもよい。蒸気抜き部2の数を増やすことにより、発する蒸気の量の多い食品を包装しても曇りにくい食品包装用フィルム11を提供することができる。具体的に、長尺状フィルム1の長手方向に延びる2つ以上の蒸気抜き部2を、短手方向に並ぶように設けるだけで容易に蒸気抜き部2を複数形成することができる。従って、食品の発する蒸気に合わせ蒸気抜き部2の数を変えることにより、包装可能な食品の多い汎用性の高い食品包装用フィルム11を提供することができる。
【0034】
前記実施形態及びその変形例では、食品包装用フィルム11は、≪卵の袋の形状≫(図4参照)又は合掌貼平袋(図7参照)に加工されてるが、包装袋5の形状は≪卵の袋の形状≫又は合掌貼平袋に限定されない。例えば、図9に示すように、二方シール袋P1であってもよい。二方シール袋P1は、矩形状に切断された食品包装用フィルム11を、CPP層24が内側になるように折り、袋横方向の両端がヒートシールされて加工される。このように、本発明は、蒸気抜け部2が、図7のように袋縦方向と平行な構成に限られず、図9のように袋横方向と平行な構成であってもよく、汎用性の高い包装袋を製造可能な食品包装用フィルム11を提供できる。
【0035】
尚、包装袋の幅方向両端部にはガゼット部を設けてもよい。また、包装袋が自立型となるように、包装袋の底部が、袋厚さ方向(図9において紙面に略垂直な方向)に広がった構成にしてもよい。また、包装袋5の開口は、チャックによって開閉自在に構成されていてよい。
【0036】
このように、長尺状フィルム1が長手方向に沿った蒸気抜き部2を有するため、蒸気抜き部2を有する包装袋5を自由に加工することができる。
【実施例0037】
前記実施形態で説明した、帯状の蒸気抜き部2が形成された長尺状フィルム1を、切断して、寸法120mm×120mmの矩形状の包装袋サンプルを作製した。包装袋サンプル内部には吸湿材(塩化カルシウム)20gを封入した。包装袋サンプルにおける、幅10mmの四辺にわたる外周部は、包装袋サンプル内部に吸湿材(塩化カルシウム)20gを封入後、10mmの四辺にわたる外周部をヒートシールした。蒸気抜き部2が形成された領域の面積は、0.02mであった。蒸気抜き部2を構成する微細孔は、長尺状フィルム1の長手方向に沿った長さが平均48μmであり、短手方向に沿った長さが平均318μmであった。包装袋サンプルの内部と外部とは、蒸気抜き部2のみにおいて水蒸気等の気体が透過可能であった。
【0038】
以下では、以上説明した蒸気抜き部2が形成された包装袋サンプルを実施例とする。また、蒸気抜き部2が形成されていないこと以外は実施例と同様の包装袋サンプルを比較例とする。
【0039】
実施例及び比較例の包装袋サンプルの重量を測定後、各包装袋サンプルを40℃90%RH(40℃における相対湿度が90%)の恒温槽内に投入し、24時間静置した。その後、各包装袋サンプルを恒温槽から取り出し、再び各包装袋サンプルの重量を測定した。恒温槽内での静置前後で測定された各重量(g)の差をとり、この差(g)を蒸気抜き部2の表面積0.02mmで割ることにより、吸湿材が吸収した水分量、すなわち包装袋サンプル外部から内部に透過した水蒸気透過度(g/m・d)を算出した(表1)。以上の操作を3回行い、平均値を算出した。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、実施例における水蒸気透過度の平均値は37.89g/m・dであり、比較例における水蒸気透過度の平均値は、5.19g/m・dである。このことから、包装袋サンプルが、長尺状フィルム1の長手方向に沿った長さが平均48μmであり、短手方向に沿った長さが平均508μmの微細孔からなる蒸気抜き部2を有することにより、水蒸気が確実に透過できることがわかる。このことから、本発明に係る食品包装用フィルムは、蒸気抜き部2を有することにより曇りにくいといえる。
【符号の説明】
【0042】
1 長尺状フィルム
11 食品包装用フィルム
2 蒸気抜き部
21 微細孔
3 フィルムロール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱後の食品を冷ますことなく包装するための食品包装用フィルムであって、
複数の微細孔からなる少なくとも1つの帯状の蒸気抜き部が形成され
前記微細孔は細長孔である、食品包装用フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の食品包装用フィルムであって、
前記蒸気抜き部が延びる方向に沿った前記微細孔の長さは、40μm~60μmであり、
前記蒸気抜き部が延びる方向に直交する方向の前記微細孔の長さは、480μm~530μmである、食品包装用フィルム。
【請求項3】
切断して請求項1又は2に記載の食品包装用フィルムとなる、長尺状フィルムであって、
長手方向が前記蒸気抜き部の延びる方向に沿っている、長尺状フィルム。
【請求項4】
請求項3に記載の長尺状フィルムが、長手方向に沿ってロール状に巻かれている、フィルムロール。