(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003563
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20240105BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240105BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240105BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20240105BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20240105BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240105BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240105BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/04
H05B33/22 C
H05B33/10
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 309
G09F9/302 C
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102782
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 健
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD72
3K107DD89
3K107EE46
3K107FF15
3K107GG12
3K107GG28
5C094AA31
5C094BA27
5C094CA20
5C094DA07
5C094DA13
5C094EA04
5C094FA02
5G435AA14
5G435BB05
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】 信頼性を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、第1下電極と、前記第1下電極と重なる第1画素開口を有するリブと、前記リブの上に配置された隔壁と、前記第1下電極に対向する第1上電極と、前記第1下電極と前記第1上電極の間に位置し、前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触するとともに、前記第1下電極と前記第1上電極の電位差に応じて発光する第1有機層と、を備えている。前記隔壁は、第1側面を有する下部と、前記第1側面から突出した上部とを有している。前記第1有機層は、前記第1側面に接触している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1下電極と、
前記第1下電極と重なる第1画素開口を有するリブと、
前記リブの上に配置された隔壁と、
前記第1下電極に対向する第1上電極と、
前記第1下電極と前記第1上電極の間に位置し、前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触するとともに、前記第1下電極と前記第1上電極の電位差に応じて発光する第1有機層と、
を備え、
前記隔壁は、第1側面を有する下部と、前記第1側面から突出した上部とを有し、
前記第1有機層は、前記第1側面に接触している、
表示装置。
【請求項2】
前記下部は、導電性を有し、
前記第1上電極は、前記第1側面に接触している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1下電極、前記第1上電極および前記第1有機層を含む第1表示素子と、前記隔壁とを連続的に覆う第1封止層をさらに備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1有機層は、正孔注入層を含む第1層と、前記第1層を覆う第2層とを有し、
前記第1層は、前記第1側面に接触せず、
前記第2層は、前記第1側面に接触している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記リブが有する第2画素開口と重なる第2下電極と、
前記第2下電極に対向する第2上電極と、
前記第2下電極と前記第2上電極の間に位置し、前記第2画素開口を通じて前記第2下電極に接触するとともに、前記第2下電極と前記第2上電極の電位差に応じて発光する第2有機層と、
をさらに備え、
前記下部は、第2側面を有し、
前記第2有機層は、前記第2側面に接触している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1有機層と前記第1側面が接触する領域の高さと、前記第2有機層と前記第2側面が接触する領域の高さが異なる、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1有機層と前記第1側面が接触する領域の高さは、前記第2有機層と前記第2側面が接触する領域の高さよりも大きい、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1上電極と前記第1側面が接触する領域の前記隔壁の高さ方向における幅は、前記第2上電極と前記第2側面が接触する領域の前記高さ方向における幅よりも小さい、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1画素開口の面積は、前記第2画素開口の面積よりも大きい、
請求項5乃至8のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1有機層の厚さは、前記第2有機層の厚さよりも小さい、
請求項5乃至8のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
第1下電極および第2下電極を形成し、
前記第1下電極と重なる第1画素開口および前記第2下電極と重なる第2画素開口を有するリブを形成し、
第1側面および第2側面を有する下部と、前記第1側面および前記第2側面から突出した上部とを有する隔壁を前記リブの上に形成し、
前記第1画素開口および前記第2画素開口を通じてそれぞれ前記第1下電極および前記第2下電極に接触するとともに、前記第1側面および前記第2側面に接触する第1有機層を形成し、
前記第1有機層を覆う第1上電極を形成する、
ことを含む表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記下部は、導電性を有し、
前記第1上電極は、前記第1側面および前記第2側面に接触している、
請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1下電極、前記第1上電極および前記第1有機層を含む第1表示素子と、前記隔壁とを連続的に覆う第1封止層を形成する、
ことをさらに含む請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1上電極および前記第1有機層のうち、前記第2下電極の上方に位置するとともに前記第2側面と接触した部分をエッチングにより除去し、
前記第2画素開口を通じて前記第2下電極に接触する第2有機層を形成し、
前記第2有機層を覆う第2上電極を形成する、
請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2上電極は、前記第2側面のうち、前記第1上電極のエッチング時に前記第1有機層で覆われていた領域に接触している、
請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2有機層は、前記第2側面に接触している、
請求項14に記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1有機層と前記第1側面が接触する領域の高さと、前記第2有機層と前記第2側面が接触する領域の高さが異なる、
請求項16に記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1有機層と前記第1側面が接触する領域の高さは、前記第2有機層と前記第2側面が接触する領域の高さよりも大きい、
請求項17に記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1画素開口の面積は、前記第2画素開口の面積よりも大きい、
請求項11乃至18のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1有機層の厚さは、前記第2有機層の厚さよりも小さい、
請求項14乃至18のうちいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
上記のような表示装置を製造するにあたり、信頼性を向上させる技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、信頼性を向上させることが可能な表示装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1下電極と、前記第1下電極と重なる第1画素開口を有するリブと、前記リブの上に配置された隔壁と、前記第1下電極に対向する第1上電極と、前記第1下電極と前記第1上電極の間に位置し、前記第1画素開口を通じて前記第1下電極に接触するとともに、前記第1下電極と前記第1上電極の電位差に応じて発光する第1有機層と、を備えている。前記隔壁は、第1側面を有する下部と、前記第1側面から突出した上部とを有している。前記第1有機層は、前記第1側面に接触している。
【0007】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、第1下電極および第2下電極を形成し、前記第1下電極と重なる第1画素開口および前記第2下電極と重なる第2画素開口を有するリブを形成し、第1側面および第2側面を有する下部と、前記第1側面および前記第2側面から突出した上部とを有する隔壁を前記リブの上に形成し、前記第1画素開口および前記第2画素開口を通じてそれぞれ前記第1下電極および前記第2下電極に接触するとともに、前記第1側面および前記第2側面に接触する第1有機層を形成し、前記第1有機層を覆う第1上電極を形成する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、有機層に適用し得る層構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図2中のV-V線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図2中のVI-VI線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態の一変形例を示す図である。
【
図8】
図8は、表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、表示装置の製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0012】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0014】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、青色の第1副画素SP1、緑色の第2副画素SP2および赤色の第3副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0015】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0016】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。表示素子DEは、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。
【0017】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、第1副画素SP1と第3副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。第1副画素SP1と第2副画素SP2も第1方向Xに並んでいる。さらに、第2副画素SP2と第3副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2,SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の第1副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0020】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0021】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、第1副画素SP1において第1画素開口AP1を有し、第2副画素SP2において第2画素開口AP2を有し、第3副画素SP3において第3画素開口AP3を有している。
【0022】
図2の例においては、第1画素開口AP1の面積が第2画素開口AP2の面積よりも大きい。第1画素開口AP1の面積は、第3画素開口AP3の面積よりも大きい。さらに、第3画素開口AP3の面積は、第2画素開口AP2の面積よりも小さい。
【0023】
隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2,AP3の間、および、第2方向Yに隣り合う2つの第1画素開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP2の間、および、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0024】
図2の例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0025】
第1副画素SP1は、第1画素開口AP1とそれぞれ重なる第1下電極LE1、第1上電極UE1および第1有機層OR1を備えている。第2副画素SP2は、第2画素開口AP2とそれぞれ重なる第2下電極LE2、第2上電極UE2および第2有機層OR2を備えている。第3副画素SP3は、第3画素開口AP3とそれぞれ重なる第3下電極LE3、第3上電極UE3および第3有機層OR3を備えている。
【0026】
第1下電極LE1、第1上電極UE1および第1有機層OR1は、第1副画素SP1の第1表示素子DE1を構成する。第2下電極LE2、第2上電極UE2および第2有機層OR2は、第2副画素SP2の第2表示素子DE2を構成する。第3下電極LE3、第3上電極UE3および第3有機層OR3は、第3副画素SP3の第3表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層(光学調整層)を含んでもよい。
【0027】
第1下電極LE1は、第1コンタクトホールCH1を通じて第1副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。第2下電極LE2は、第2コンタクトホールCH2を通じて第2副画素SP2の画素回路1に接続されている。第3下電極LE3は、第3コンタクトホールCH3を通じて第3副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0028】
図2の例において、コンタクトホールCH2,CH3は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP2,AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。また、第1コンタクトホールCH1は、第2方向Yに隣り合う2つの第1画素開口AP1の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0029】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。
【0030】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3はいずれも有機絶縁層12に設けられている。
【0031】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0032】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、
図3においては上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。
【0033】
第1有機層OR1は、第1画素開口AP1を通じて第1下電極LE1を覆っている。第1上電極UE1は、第1有機層OR1を覆い、第1下電極LE1と対向している。第2有機層OR2は、第2画素開口AP2を通じて第2下電極LE2を覆っている。第2上電極UE2は、第2有機層OR2を覆い、第2下電極LE2と対向している。第3有機層OR3は、第3画素開口AP3を通じて第3下電極LE3を覆っている。第3上電極UE3は、第3有機層OR3を覆い、第3下電極LE3と対向している。
【0034】
図3の例においては、第1上電極UE1の上に第1キャップ層CP1が配置され、第2上電極UE2の上に第2キャップ層CP2が配置され、第3上電極UE3の上に第3キャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0035】
第1副画素SP1には第1封止層SE1が配置され、第2副画素SP2には第2封止層SE2が配置され、第3副画素SP3には第3封止層SE3が配置されている。第1封止層SE1は、第1キャップ層CP1や第1副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第2封止層SE2は、第2キャップ層CP2や第2副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第3封止層SE3は、第3キャップ層CP3や第3副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0036】
封止層SE1,SE2,SE3の端部(周縁部)は、上部62の上に位置している。
図3の例においては、副画素SP1,SP2間の隔壁6の上部62の上に位置する封止層SE1,SE2の端部同士が離間し、副画素SP1,SP3間の隔壁6の上部62の上に位置する封止層SE1,SE3の端部同士が離間している。
【0037】
封止層SE1,SE2,SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。さらに、封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0038】
有機絶縁層12および樹脂層13,15は、有機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、例えばシリコン窒化物(SiNx)などの無機材料で形成されている。リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)または酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5および封止層14,SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層および酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
【0039】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された中間層と、この中間層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)またはIGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0040】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0041】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1,SE2,SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は省略されてもよい。
【0042】
隔壁6の下部61は、例えばアルミニウム(Al)によって形成されている。下部61は、アルミニウム-ネオジム(AlNd)などのアルミニウム合金によって形成されてもよいし、アルミニウム層とアルミニウム合金層の積層構造を有してもよい。さらに、下部61は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の下に、アルミニウムやアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成された薄膜を有してもよい。このような薄膜は、例えばモリブデン(Mo)によって形成することができる。
【0043】
隔壁6の上部62は、例えばチタン(Ti)などの金属材料で形成された第1薄膜と、ITOなどの導電性酸化物で形成された第2薄膜との積層構造を有している。上部62は、チタンなどの金属材料の単層構造を有してもよい。
【0044】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0045】
図4は、有機層OR1,OR2,OR3に適用し得る層構造の一例を示す図である。有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、電子ブロッキング層EBL、発光層EML、正孔ブロッキング層HBL、電子輸送層ETLおよび電子注入層EILを第3方向Zに順に積層した構造を有している。
【0046】
第1下電極LE1と第1上電極UE1の間に電位差が形成されると、第1有機層OR1の発光層EMLが青色の波長域の光を放つ。第2下電極LE2と第2上電極UE2の間に電位差が形成されると、第2有機層OR2の発光層EMLが緑色の波長域の光を放つ。第3下電極LE3と第3上電極UE3の間に電位差が形成されると、第3有機層OR3の発光層EMLが赤色の波長域の光を放つ。
【0047】
図5は、
図2中のV-V線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図であり、第1副画素SP1と第2副画素SP2の間の隔壁6(第2隔壁6y)とその近傍の様子を示している。下部61は、第1側面SF1および第2側面SF2を有している。第1側面SF1は、
図2に示した平面形状の隔壁6の側面うち、第1副画素SP1を囲う部分に相当する。第2側面SF2は、
図2に示した平面形状の隔壁6の側面うち、第2副画素SP2を囲う部分に相当する。上部62は、これら側面SF1,SF2よりも隔壁6の幅方向(第1方向Xと平行な方向)に突出している。
【0048】
有機層OR1,OR2は、第1層L1と、第1層L1を覆う第2層L2とを有している。
図4に示した各層のうち、少なくとも正孔注入層HILが第1層L1に含まれ、第1層L1に含まれないものが第2層L2に含まれる。一例では、第1層L1は正孔注入層HILによって構成され、第2層L2は電子ブロッキング層EBL、発光層EML、正孔ブロッキング層HBL、電子輸送層ETLおよび電子注入層EILによって構成される。
【0049】
第1有機層OR1は、厚さT1を有している。第2有機層OR2は、厚さT2を有している。
図5の例においては、厚さT1が厚さT2よりも小さい(T1<T2)。この例に限られず、厚さT1と厚さT2が同等であってもよい。
【0050】
本実施形態においては、第1有機層OR1が第1側面SF1に接触し、第2有機層OR2が第2側面SF2に接触している。より具体的には、第1有機層OR1の第2層L2が第1側面SF1の領域A1aに接触し、第2有機層OR2の第2層L2が第2側面SF2の領域A2aに接触している。一方で、第1有機層OR1の第1層L1は、第1側面SF1に接触していない。同様に、第2有機層OR2の第1層L1は、第2側面SF2に接触していない。
【0051】
第1上電極UE1は、第1側面SF1の領域A1bに接触している。第2上電極UE2は、第2側面SF2の領域A2bに接触している。領域A1b,A2bは、それぞれ領域A1a,A2aの上方に位置している。
【0052】
第1側面SF1は、全体的に均一な粗さを有している。一方で、第2側面SF2は、第1側面SF1と同程度の粗さの領域A2cと、領域A2cよりも粗い領域A2dとを有している。領域A2dは、領域A2cの上方に位置している。領域A2aは、全体的に領域A2cと重なっている。領域A2bは、領域A2c,A2dの双方と重なっている。
【0053】
図5の例においては、領域A1aの第3方向Zにおける高さと、領域A2aの第3方向Zにおける高さが異なっている。具体的には、領域A1aの高さが領域A2aの高さよりも大きい(A1a>A2a)。
【0054】
また、
図5の例においては、領域A1bの第3方向Z(隔壁6の高さ方向)における幅と、領域A2bの第3方向Zにおける幅が異なっている。具体的には、領域A1bの幅が領域A2bの幅よりも小さい(A1b<A2b)。領域A2cの高さは、領域A1aの高さと同等である(A2c=A1a)。
【0055】
図6は、
図2中のVI-VI線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図であり、第1副画素SP1と第3副画素SP3の間の隔壁6(第2隔壁6y)とその近傍の様子を示している。下部61は、第1側面SF1および第3側面SF3を有している。第1側面SF1は、上述の通り
図2に示した平面形状の隔壁6の側面うち第1副画素SP1を囲う部分に相当する。第3側面SF3は、
図2に示した平面形状の隔壁6の側面うち、第3副画素SP3を囲う部分に相当する。上部62は、これら側面SF1,SF3よりも隔壁6の幅方向(第1方向Xと平行な方向)に突出している。
【0056】
第3有機層OR3は、第1有機層OR1と同じく第1層L1および第2層L2を有している。第3有機層OR3は、厚さT3を有している。
図6の例においては、厚さT3が第1有機層OR1の厚さT1よりも大きい(T1<T3)。厚さT3は、
図5に示した第2有機層OR2の厚さT2よりも大きい(T2<T3)。この例に限られず、厚さT3は、厚さT1と同等であってもよいし、厚さT2と同等であってもよい。
【0057】
図6の例においては、第3有機層OR3が第3側面SF3に接触している。より具体的には、第3有機層OR3の第2層L2が第3側面SF3の領域A3aに接触し、第3有機層OR3の第1層L1が第3側面SF3に接触していない。
【0058】
第3上電極UE3は、第3側面SF3の領域A3bに接触している。領域A3bは、領域A3aの上方に位置している。
【0059】
図6の断面においても、第1側面SF1は、全体的に均一な粗さを有している。一方で、第3側面SF3は、第1側面SF1と同程度の粗さの領域A3cと、領域A3cよりも粗い領域A3dとを有している。領域A3dは、領域A3cの上方に位置している。領域A3aは、全体的に領域A3cと重なっている。領域A3bは、領域A3c,A3dの双方と重なっている。
【0060】
図6の例においては、領域A1aの第3方向Zにおける高さと、領域A3aの第3方向Zにおける高さが異なっている。具体的には、領域A1aの高さが領域A3aの高さよりも大きい(A1a>A3a)。領域A3aの高さは、
図5に示した領域A2aの高さよりも小さい(A3a<A2a)。
【0061】
また、
図6の例においては、領域A1bの第3方向Z(隔壁6の高さ方向)における幅と、領域A3bの第3方向Zにおける幅が異なっている。具体的には、領域A1bの幅が領域A3bの幅よりも小さい(A1b<A3b)。領域A3bの幅は、
図5に示した領域A2bの幅よりも大きい(A3b>A2b)。領域A3cの高さは、
図5に示した領域A2aの高さと同等である(A3c=A2a)。
【0062】
図7は、本実施形態の一変形例であり、
図6と同じく
図2中のVI-VI線に沿う表示装置DSPの概略的な断面を示している。この変形例においては、第3有機層OR3が第3側面SF3に接触していない。これにより、
図5に示した領域A3aが存在せず、領域A3bが拡大している。第3有機層OR3は、全体的に第3上電極UE3によって覆われている。
【0063】
図5乃至
図7においては、第1方向Xに沿う隔壁6の断面(第2隔壁6yの断面)に着目し、領域A1a,A1b,A2a,A2b,A2c,A2d,A3a,A3b,A3c,A3dの関係を説明した。第2方向Yに沿う隔壁6の断面(第1隔壁6xの断面)についても、これら領域に同様の関係が成立し得る。
【0064】
続いて、表示装置DSPの製造方法について説明する。
図8は、表示装置DSPの製造方法の一例を示すフローチャートである。
図9乃至
図17は、それぞれ表示装置DSPの製造工程の一部を示す概略的な断面図である。
図9乃至
図17においては、基板10および回路層11を省略している。なお、
図9乃至
図17は、
図3と同じく
図2のIII-III線に沿う断面に相当する。
【0065】
表示装置DSPの製造においては、先ず基板10の上に回路層11、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3が形成される(工程P1)。さらに、
図9に示すようにリブ5が形成され(工程P2)、リブ5の上に隔壁6が形成される(工程P3)。リブ5の画素開口AP1,AP2,AP3は、工程P3の前に形成されてもよいし、工程P3の後に形成されてもよい。
【0066】
工程P3の後、
図10に示すように、第1画素開口AP1を通じて第1下電極LE1に接触する第1有機層OR1、第1有機層OR1を覆う第1上電極UE1、第1上電極UE1を覆う第1キャップ層CP1が蒸着によって順に形成される(工程P4)。さらに、第1封止層SE1がCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される(工程P5)。第1封止層SE1は、第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1を含む第1表示素子DE1や隔壁6を連続的に覆っている。
【0067】
第1有機層OR1、第1上電極UE1、第1キャップ層CP1および第1封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に対して形成され、第1副画素SP1だけでなく第2副画素SP2および第3副画素SP3にも配置されている。第1有機層OR1、第1上電極UE1および第1キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0068】
図10(a)(b)に拡大して示すように、第1有機層OR1および第1上電極UE1は、隔壁6の下部61の第1側面SF1に接触する。これにより、
図5に示した領域A1a,A1bが形成される。第1有機層OR1および第1上電極UE1は、下部61の第2側面SF2および第3側面SF3にも同様に接触する。
【0069】
工程P5の後、
図11に示すように、第1封止層SE1の上にレジストRが配置される(工程P6)。レジストRは、第1副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部を覆っている。
【0070】
その後、レジストRをマスクとしたドライエッチングにより、
図12に示すように第1封止層SE1のうちレジストRから露出した部分が除去される(工程P7)。例えば、当該ドライエッチングには、フッ素を含むエッチングガスが用いられる。第1キャップ層CP1や第1上電極UE1は、このドライエッチングのエッチングストッパとして機能する。
【0071】
工程P7の後、レジストRをマスクとしたエッチングにより、
図13に示すように第1キャップ層CP1のうちレジストRから露出した部分が除去される(工程P8)。例えば第1キャップ層CP1が積層構造である場合、当該エッチングは、各層に対するウェットエッチングまたはアッシングを含む。
【0072】
工程P8の後、レジストRをマスクとしたウェットエッチングにより、
図14に示すように第1上電極UE1のうちレジストRから露出した部分が除去される(工程P9)。第1有機層OR1は、このウェットエッチングのエッチングストッパとして機能する。
【0073】
図14(a)に拡大して示すように、第2副画素SP2においては、第2側面SF2に接触していた第1上電極UE1が除去され、第1有機層OR1が露出する。第2側面SF2のうち、第1有機層OR1で覆われていない領域は、工程P9のウェットエッチングに晒される。このとき、第2側面SF2に微小な凹凸が生じ、
図5に示した領域A2dが形成される。
図14(b)に拡大して示すように、第3側面SF3にも同様の微小な凹凸が形成され得る。一方、工程P9のウェットエッチング時に第1有機層OR1で覆われていた領域A2cは、当該ウェットエッチングから保護される。
【0074】
工程P9の後、レジストRをマスクとしたエッチング(アッシング)により、
図15に示すように第1有機層OR1のうちレジストRから露出した部分が除去される(工程P10)。その後、レジストRが除去される(工程P11)。これにより、
図15に示すように、第1副画素SP1に第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成され、第2副画素SP2および第3副画素SP3に表示素子や封止層が形成されていない基板を得ることができる。
【0075】
第2表示素子DE2は、第1表示素子DE1と同様の手順で形成される。具体的には、第2画素開口AP2を通じて第2下電極LE2に接触する第2有機層OR2、第2有機層OR2を覆う第2上電極UE2、第2上電極UE2を覆う第2キャップ層CP2が蒸着によって順に形成されるとともに(工程P12)、第2キャップ層CP2や隔壁6を連続的に覆う第2封止層SE2がCVDによって形成される(工程P13)。
【0076】
その後、工程P6と同様に、第2副画素SP2とその周囲の隔壁6の一部を覆うレジストRが配置される(工程P14)。さらに、工程P7と同様に第2封止層SE2のうちレジストRから露出した部分が除去され(工程P15)、工程P8と同様に第2キャップ層CP2のうちレジストRから露出した部分が除去され(工程P16)、工程P9と同様に第2上電極UE2のうちレジストRから露出した部分が除去され(工程P17)、工程P10と同様に第2有機層OR2のうちレジストRから露出した部分が除去される(工程P18)。その後、レジストRが除去される(工程P19)。
【0077】
以上の工程P12~P19を経ると、
図16に示すように、第1副画素SP1に第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成され、第2副画素SP2に第2表示素子DE2および第2封止層SE2が形成され、第3副画素SP3に表示素子や封止層が形成されていない基板を得ることができる。
【0078】
なお、
図16(a)に拡大して示すように、第2有機層OR2は、第2側面SF2と接触している。第2有機層OR2は、第2側面SF2と接触する領域A2aの高さが、領域A1aの高さよりも小さくなるように形成される。例えば、領域A2aの高さは、第2有機層OR2を形成する際の蒸着条件、一例では蒸着源から放出される蒸着材料の拡がり角によって調整することができる。
【0079】
上述の通り、領域A1aと領域A2cの高さは同等である。したがって、領域A2aの高さが領域A1aの高さよりも小さい場合、第2上電極UE2は、領域A2cにも接触する。
【0080】
第2上電極UE2を形成する際の蒸着条件は、第1上電極UE1を形成する際の蒸着条件と同じである。したがって、第2上電極UE2は、第1側面SF1に付着した第1上電極UE1と同じ高さまで第2側面SF2に付着する。これにより、第2上電極UE2と第2側面SF2が接触する領域A2bの幅は、第1上電極UE1と第1側面SF1が接触する領域A1bの幅よりも大きくなる。
【0081】
工程P17において、第3副画素SP3に隣接する下部61の第3側面SF3のうち第2有機層OR2で覆われていない部分は、第2上電極UE2に対するウェットエッチングに晒される。
図16(b)に拡大して示すように、当該ウェットエッチングに晒された領域には微小な凹凸が生じ、
図6に示した領域A3dが形成される。
【0082】
第3表示素子DE3も第1表示素子DE1と同様の手順で形成される。具体的には、第3画素開口AP3を通じて第3下電極LE3に接触する第3有機層OR3、第3有機層OR3を覆う第3上電極UE3、第3上電極UE3を覆う第3キャップ層CP3が蒸着によって順に形成されるとともに(工程P20)、第3キャップ層CP3や隔壁6を連続的に覆う第3封止層SE3がCVDによって形成される(工程P21)。
【0083】
その後、工程P6と同様に、第3副画素SP3とその周囲の隔壁6の一部を覆うレジストRが配置される(工程P22)。さらに、工程P7と同様に第3封止層SE3のうちレジストRから露出した部分が除去され(工程P23)、工程P8と同様に第3キャップ層CP3のうちレジストRから露出した部分が除去され(工程P24)、工程P9と同様に第3上電極UE3のうちレジストRから露出した部分が除去され(工程P25)、工程P10と同様に第3有機層OR3のうちレジストRから露出した部分が除去される(工程P26)。その後、レジストRが除去される(工程P27)。
【0084】
以上の工程P20~P27を経ると、
図17に示すように、第1副画素SP1に第1表示素子DE1および第1封止層SE1が形成され、第2副画素SP2に第2表示素子DE2および第2封止層SE2が形成され、第3副画素SP3に第3表示素子DE3および第3封止層SE3が形成された基板を得ることができる。
【0085】
なお、
図17(b)に拡大して示すように、第3有機層OR3は、第3側面SF3と接触する領域A3aの高さが、領域A1aの高さよりも小さくなるように形成される。領域A3aの高さは、
図17(b)に示す領域A2aの高さよりも小さい。例えば、領域A3aの高さは、第3有機層OR3を形成する際の蒸着条件、一例では蒸着源から放出される蒸着材料の拡がり角によって調整することができる。
【0086】
上述の通り、領域A2aと領域A3cの高さは同等である。したがって、領域A3aの高さが領域A2aの高さよりも小さい場合、第3上電極UE3は、領域A3cにも接触する。
【0087】
第3上電極UE3を形成する際の蒸着条件は、第1上電極UE1および第2上電極UE2を形成する際の蒸着条件と同じである。したがって、第3上電極UE3は、第1側面SF1に付着した第1上電極UE1や、第2側面SF2に付着した第2上電極UE2と同じ高さまで第3側面SF3に付着する。これにより、第3上電極UE3と第3側面SF3が接触する領域A3bの幅は、第1上電極UE1と第1側面SF1が接触する領域A1bの幅や、第2上電極UE2と第2側面SF2が接触する領域A2bの幅よりも大きくなる。
【0088】
工程P27の後、
図3に示した樹脂層13、封止層14および樹脂層15が順に形成される(工程P28)。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0089】
本実施形態に係る表示装置DSPとその製造方法が奏する効果について以下に説明する。
本実施形態に係る表示装置DSPおいては、第1有機層OR1が第1側面SF1に接触している。このような表示装置DSPの製造に際しては、
図10に示したように、第2副画素SP2に隣接する下部61の第2側面SF2にも第1有機層OR1が接触する。これにより、第1上電極UE1のウェットエッチング(工程P9)において、第2側面SF2のうち第1有機層OR1で覆われた領域A2cの損傷を抑制することができる。
【0090】
仮に、第2側面SF2が第1有機層OR1で覆われていない場合、第2側面SF2の全体が当該ウェットエッチングにより損傷し得る。そうすると、その後に形成される第2上電極UE2の全体が当該損傷した領域に接触することとなり、損傷が激しいと第2上電極UE2と下部61が良好に導通しない可能性がある。
【0091】
これに対し、本実施形態においては、第2有機層OR2と第2側面SF2が接触する領域A2aの高さが、第1有機層OR1と第1側面SF1が接触する領域A1aの高さよりも小さい。そのため、第2有機層OR2の上に形成される第2上電極UE2は、第1上電極UE1のウェットエッチング時に損傷を受けていない領域A2cにも接触する。これにより、第2上電極UE2と下部61の良好な導通を確保することができる。
【0092】
同様に、第2上電極UE2のウェットエッチング(工程P17)の際に、第3側面SF3に第2有機層OR2が接触している。これにより、第3側面SF3のうち第2有機層OR2で覆われた領域A3cの損傷を抑制することができる。
【0093】
さらに、本実施形態においては、第3有機層OR3と第3側面SF3が接触する領域A3aの高さが、第2有機層OR2と第2側面SF2が接触する領域A2aの高さよりも小さい。そのため、第3有機層OR3の上に形成される第3上電極UE3は、第2上電極UE2のウェットエッチング時に損傷を受けていない領域A3cにも接触する。これにより、第3上電極UE3と下部61の良好な導通を確保することができる。
【0094】
このように、本実施形態によれば、上電極UE1,UE2のウェットエッチングによる下部61の損傷を抑制し、信頼性に優れた表示装置DSPを提供することができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置およびその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置およびその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0096】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0097】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0098】
DSP…表示装置、DA…表示領域、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、LE1,LE2,LE3…下電極、OR1,OR2,OR3…有機層、UE1,UE2,UE3…上電極、SE1,SE2,SE3…封止層、DE1,DE2,DE3…表示素子、5…リブ、6…隔壁、61…隔壁の下部、62…隔壁の上部、SF1,SF2,SF3…下部の側面。