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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035645
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ドローン収納ボックス
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/12 20060101AFI20240307BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240307BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240307BHJP
   B64F 5/50 20170101ALI20240307BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C27/08
B64C39/02
B64F5/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140235
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】522351055
【氏名又は名称】舘林 秋宣
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202669
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 卓行
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】舘林 秋宣
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、ドローンおよびドローンポートの持ち込みの手間を削減することができ、ドローンの利用を手軽なものとできるドローン収納ボックスを得ることである。
【解決手段】本発明は、ドローン10を収納するドローン収納ボックス100であって、複数の側辺部を有する底面部110と、底面部110に対して起立および傾倒可能となるように底面部110の複数の側辺部に取り付けられた複数の側壁部120と、底面部110および複数の側壁部120を覆うシート部材130とを備え、複数の側壁部120が底面部110に対して起立した組立状態では、複数の側壁部120および底面部110によってドローン10の収納スペースDhが形成され、複数の側壁部120が底面部110に対して傾倒した展開状態では、シート部材130によってドローン10の着陸ポート(ドローンポート)Dpが形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンを収納するドローン収納ボックスであって、
複数の側辺部を有する底面部と、
前記底面部に対して起立および傾倒可能となるように前記底面部の複数の側辺部に取り付けられた複数の側壁部と、
前記底面部および前記複数の側壁部を覆うシート部材と
を備え、
前記複数の側壁部が前記底面部に対して起立した組立状態では、前記複数の側壁部および前記底面部によって前記ドローンの収納スペースが形成され、
前記複数の側壁部が前記底面部に対して傾倒した展開状態では、前記シート部材によって前記ドローンが離着陸可能なドローンポートが形成される、ドローン収納ボックス。
【請求項2】
前記シート部材および前記側壁部は、
前記展開状態において前記複数の側壁部が底面部に対して所定の傾斜角度で傾斜するように前記複数の側壁部および前記底面部に取り付けられている、請求項1に記載のドローン収納ボックス。
【請求項3】
前記展開状態において、前記複数の側壁部を前記底面部に対して所定の傾斜角度で保持する係止部をさらに備える、請求項1に記載のドローン収納ボックス。
【請求項4】
前記シート部材は、
前記展開状態において隣接する前記側壁部の間に対応する側壁間部分に形成された切り込みを有するとともに、
前記切り込みを開閉する開閉機構を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のドローン収納ボックス。
【請求項5】
前記開閉機構は、ジッパー部材、面ファスナ部材、あるいはホック部材から構成される、請求項4に記載のドローン収納ボックス。
【請求項6】
前記複数の側壁部は、4つの側壁部を有し、
前記ドローン収納ボックスは直方体からなる請求項1に記載のドローン収納ボックス。
【請求項7】
前記底面部に設けられた複数のキャスターをさらに有する、請求項1に記載のドローン収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン収納ボックスに関し、特に、ドローン収納ボックスをドローンの離着陸ポートが形成されるように展開可能とする構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンが注目されており、橋梁、鉄柱などの建造物の点検、農薬散布、あるいは荷物の搬送などの種々の用途でドローンが用いられるようになってきている。
【0003】
ところで、ドローンを安定に離着陸するにはドローンの離着陸のためのポート(ドローンポート)が不可欠であり、従って、ドローンを種々の作業に利用する場合、作業現場にはドローンポートも搬入する必要があった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に開示されているように、分解、組立、および搬送を容易に行えるようにした折畳み可能な可搬式ドローンポートがすでに開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-117118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、ドローンを利用して作業する場合、作業現場にはまずドローンを持ち込む必要があり、実際のところは、ドローンはドローンポートとは別に持ち込んでおり、従って、ドローンを作業に利用する場合、ドローンとドローンポートの持ち込みが面倒であった。
【0007】
本発明は、ドローンおよびドローンポートの持ち込みの手間を削減することができ、ドローンの利用を手軽なものとすることができるドローン収納ボックスを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の項目を提供する。
【0009】
(項目1)
ドローンを収納するドローン収納ボックスであって、
複数の側辺部を有する底面部と、
前記底面部に対して起立および傾倒可能となるように前記底面部の複数の側辺部に取り付けられた複数の側壁部と、
前記底面部および前記複数の側壁部を覆うシート部材と
を備え、
前記複数の側壁部が前記底面部に対して起立した組立状態では、前記複数の側壁部および前記底面部によって前記ドローンの収納スペースが形成され、
前記複数の側壁部が前記底面部に対して傾倒した展開状態では、前記シート部材によって前記ドローンが離着陸可能なドローンポートが形成される、ドローン収納ボックス。
【0010】
(項目2)
前記シート部材および前記側壁部は、
前記展開状態において前記複数の側壁部が底面部に対して所定の傾斜角度で傾斜するように前記複数の側壁部および前記底面部に取り付けられている、項目1に記載のドローン収納ボックス。
【0011】
(項目3)
前記展開状態において、前記複数の側壁部を前記底面部に対して所定の傾斜角度で保持する係止部をさらに備える、項目1に記載のドローン収納ボックス。
【0012】
(項目4)
前記シート部材は、
前記展開状態において隣接する前記側壁部の間に対応する側壁間部分に形成された切り込みを有するとともに、
前記切り込みを開閉する開閉機構を有する、項目1から項目3のいずれか一項に記載のドローン収納ボックス。
【0013】
(項目5)
前記開閉機構は、ジッパー部材、面ファスナ部材、あるいはホック部材から構成される、項目4に記載のドローン収納ボックス。
【0014】
(項目6)
前記複数の側壁部は、4つの側壁部を有し、
前記ドローン収納ボックスは直方体からなる項目1に記載のドローン収納ボックス。
【0015】
(項目7)
前記底面部に設けられた複数のキャスターをさらに有する、項目1に記載のドローン収納ボックス。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドローンおよびドローンポートの持ち込みの手間を削減することができ、ドローンの利用を手軽なものとすることができるドローン収納ボックスを得ることができる。
【0017】
特に、本発明では、ドローン収納ボックスとドローンポートとが一体化され、ドローンおよびドローンポートの収納や移動、さらにドローンポートの設置などの作業が迅速かつ少人数で実施できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態1によるドローン収納ボックス100を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すドローン収納ボックス100の四方の側壁部120a~120dを底面部110に対して傾倒させた展開状態で形成された離着陸可能なドローンポートDpを示す図である。
図3図3は、図2に示す離着陸可能なドローンポートDpでのドローン10の離陸の様子を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態1に示すドローン収納ボックス100の変形例を示す平面図であり、実施形態1のシート部材130に代わるシート部材130aとして、切り込みSdおよびその開閉機構(ジッパー部材)180を有するものを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0020】
本明細書において、「約」とは、通常にはその数値のプラスマイナス10%程度を意味するが、それはあくまでもその技術分野に依存する。
【0021】
本発明は、ドローンおよびドローンポートの持ち込みの手間を削減することができ、ドローンの利用を手軽なものとすることができるドローン収納ボックスを得ることを課題とし、
ドローンを収納するドローン収納ボックスであって、
複数の側辺部を有する底面部と、
底面部に対して起立および傾倒可能となるように底面部の複数の側辺部に取り付けられた複数の側壁部と、
底面部および複数の側壁部を覆うシート部材と
を備え、
複数の側壁部が底面部に対して起立した組立状態では、複数の側壁部および底面部によってドローンの収納スペースが形成され、
複数の側壁部が底面部に対して傾倒した展開状態では、シート部材によってドローンが離着陸可能なドローンポートが形成される、ドローン収納ボックスを提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0022】
従って、本発明のドローン収納ボックスは、底面部と、底面部に対して起立および傾倒可能な複数の側壁部と、底面部および複数の側壁部を覆うシート部材とを有し、複数の側壁部が起立した組立状態で底面部および複数の側壁部がドローンの収納スペースを形成し、複数の側壁部が傾倒した展開状態でシート部材がドローンが離着陸可能なドローンポートを形成するものであれば、その他の構成は特に限定されるものではなく、任意であり得る。
【0023】
なお、ドローンの離着陸可能なドローンポートは、当然ドローンの離陸ポートとしてのみ、または着陸ポートのみでの利用も可能なものである。
【0024】
(ドローン収納ボックス)
ドローンを収納するためのボックスであり、収納ボックスは、ドローンを載置するための底面部と、ドローンを収納するための閉鎖空間を形成するための複数の側壁部とを備える。
【0025】
(底面部)
例えば、底面部の形状および材質は限定されるものではなく、底面部の形状は、多角形であり、1つの実施形態では正方形である。また、底面部を構成する素材は鉄、ステンレスなどの金属でも、アクリル、塩化ビニルなどの樹脂でも、合板、板状角材などの木材でもよい。しかし、本発明は正方形に限定されず、三角形や六角形などであってもよい。
【0026】
(側壁部)
複数の側壁部は、底面部に対して起立および傾倒可能に構成されたものであれば、形状および材質は限定されるものではなく、任意であり得る。
【0027】
例えば、側壁部の形状は、多角形であり、1つの実施形態では長方形である。また、側壁部を構成する素材は、鉄、ステンレスなどの金属でも、アクリル、塩化ビニルなどの樹脂でも、あるいは合板、板状角材などの木材でもよい。しかし、本発明は長方形に限定されず、正方形や三角形や六角形などであってもよい。
【0028】
(シート部材)
シート部材は、底面部および側壁部を覆うものであって、側壁部が底面部に対して傾倒した展開状態で離着陸可能なドローンポートを形成するものであれば、その他の構成は限定されるものではなく、任意であり得るが、シート部材は、展開状態において複数の側壁部が底面部に対して所定の傾斜角度で傾斜することで、側壁部(シート部材を含む)が所定角度以上に外側に広がらないよう(底面部と略水平とならないよう)に複数の側壁部および底面部に取り付けられていることが好ましい。
【0029】
このような構成を備えることにより、シート部材は底面部に対して、上方に傾斜するように広げられることになり、その結果、離陸時において巻き上げられる空気はそのシート上を傾斜に沿って上方へ噴き上がることになる。よって、地上の砂及びゴミ等を一緒に舞い上げることがなく、操作者の視界が良好な状態でドローンを操作できるとともにドローンポート近くまで近づくことが可能となる。また、さらに、このような構成を備えることにより、離着陸可能なドローンポートは中心が周辺部よりも低い形状となり、ドローンが離着陸可能なドローンポートの中心からずれた位置に着陸したときに、ドローンがドローンポートから外側に出てしまうことを抑制することも可能となる。
【0030】
なお、傾斜角度は地上の砂などを舞い上がらせることを防止できる範囲内で任意の角度であり得る。1つの実施形態において、約5°~15°の範囲である。しかし、本発明はこの範囲に限定されない。
【0031】
また、ドローン収納ボックスは、展開状態において、複数の側壁部を底面部に対して所定の傾斜角度で保持する係止部をさらに備えていてもよい。
【0032】
ドローン収納ボックスはこのような係止部を備えることで、展開状態で複数の側壁部が底面部に対してなす傾斜角を予め設定された角度に固定することができる。これにより離着陸ポートでの離陸および/または着陸時における地上の砂などの舞い上がりを確実に防止することが可能となる。
【0033】
また、離着陸ポートは、ドローンが着陸する目標地点となる領域であり、目標を正確に判定するために着陸マークが形成されていることが好ましい。
【0034】
また、シート部材は、展開状態において隣接する側壁部の間に対応する側壁間部分に形成された切り込みを有するとともに、切り込みを開閉する開閉機構を有することが好ましい。このような構成を備えることにより、例えば、ドローンのメンテナンスやドローンの各部材の調整を行う際にシート部材の開閉機構を開けてその切り込みを広げて地面を露出させることで、人は強度の弱い収納ボックスの側壁部の上を通ることなく、ドローンが載置されている底面部のところまで近づくことが可能となる。
【0035】
ここで、開閉機構の具体的構成は限定されるものではないが、例えば、ジッパー部材、面ファスナ部材、あるいはホック部材が用いられる。
【0036】
また、シート部材は、底面部および側壁部を覆うものであれば、ビニールシートでも布製シートでもゴム製シートでもよいし、あるいは段ボール、ボール紙などの紙製シート、またはこれに防水加工を施した防水紙製シートであってもよい。
【0037】
(収納ボックスの組立状態)
複数の側壁部が底面部に対して起立した組立状態は、側壁部の上端の高さがドローンの高さよりも高くなる程度に起立した状態であることが好ましい。なぜなら、この場合は、底面部および複数の側壁部が形成するドローン収納スペース内にドローンの全体が収納されることとなり、複数の側壁部の上に蓋を被せることが可能となるからである。
【0038】
(収納ボックスの展開状態)
複数の側壁部が底面部に対して傾倒した展開状態は、側壁部の上端の高さがドローンのプロペラの高さよりも低くなる程度に傾倒した状態であることが好ましい。
【0039】
なお、以下に説明するように、1つの実施形態では、ドローン収納ボックスは略直方体形状をなす。この場合、複数の側壁部は、長方形形状の4つの側壁部であり、底面部は略正方形形状を有する。さらに、このようなドローン収納ボックスは地面を移動可能とするためのキャスターを有している。
【0040】
収納ドローンボックスに収容され得るドローンは、任意の目的に使用されるドローンであり得る。例えば、農薬散布、荷物の搬送、気象観測情報取得、空撮、建築物の点検作業などに用いられ得るためのドローンである。1つの実施形態として、農家などが使用する農薬散布用のドローンである。
【0041】
特に、実施形態1では、ドローン収納ボックスとして、展開状態において、複数の側壁部が底面部に対して所定の角度傾斜したものを挙げ、実施形態2では、ドローン収納ボックスとして、シート部材のうちの隣接する側壁部の間に対応する側壁間部分に切り込みが形成され、さらにこの切り込みを開閉する開閉機構を有するものを挙げる。
【0042】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1によるドローン収納ボックス100を示す斜視図であり、図1(a)は、その外観を示し、図1(b)は、ボックス蓋部100bを開けた状態で前面の側壁部120aを透視してボックス本体100aの内部を示している。なお、図1(b)では、図1(a)に示されるヒンジ部材140およびバックル部材150は省略している。
【0044】
本実施形態1のドローン収納ボックス100は、ドローン10を収納するものであって、ボックス本体100aと、ボックス本体100aの上部開口を塞ぐボックス蓋部100bとを有している。
【0045】
ここで、ボックス本体100aは、複数の側辺部を有する底面部110と、底面部110に対して起立および傾倒可能となるように底面部110の複数の側辺部に取り付けられた複数の側壁部120と、底面部110および複数の側壁部120を覆うシート部材130とを備えている。
【0046】
また、底面部110は、略正方形形状を有する樹脂部材で構成されている。また、複数の側壁部120は、略長方形形状の4つ側壁部120a~120dを含む。なお、4つの側壁部については、これらを区別する場合は、側壁部120a~120dとし、これらを区別しない場合は側壁部120として説明する。
【0047】
側壁部120aは、底面部110の正面側辺部に一対のヒンジ部材140により回動可能の取り付けられた正面側壁部であり、側壁部120bは、底面部110の後面側辺部に一対のヒンジ部材140により回動可能の取り付けられた後面側壁部である。側壁部120cは、底面部110の左側辺部に一対のヒンジ部材140により回動可能の取り付けられた左側壁部であり、側壁部120dは、底面部110の右側辺部に一対のヒンジ部材140により回動可能の取り付けられた右側壁部である。なお、ここで、前後左右は、図1(a)の紙面手前側を前とし、図1(a)の紙面奥手側を後とし、図1(a)の紙面左側を左とし、図1(a)の紙面右側を右としている。
【0048】
そして、隣接する側壁部120にはバックル部材150を構成する一対の結合部材(第1結合部材および第2結合部材)のいずれかが取り付けられている。ここで、第1結合部材は操作レバーと係合部とを有し、第2結合部材は係合部を有し、第1結合部材の操作レバーの操作により、第1結合部材の係合部と第2結合部材の係合部とが結合されるようになっている。
【0049】
例えば、底面部110に対する起立状態、ここでは、側壁部120が底面部110に対して鉛直方向に沿って起立した状態では、隣接する側壁部120は、バックル部材150により起立状態が保持されるように保持されている。
【0050】
つまり、正面壁部材120aの上部の左右端部には、バックル部材150a,150bの第1結合部材が取り付けられ、後面壁部材120bの上部の左右端部には、バックル部材150c,150dの第1結合部材が取り付けられている。
【0051】
また、左側壁部材120cの上部の前後端部には、バックル部材150a,150cの第2結合部材が取り付けられ、右側壁部材120dの上部の前後端部には、バックル部材150b,150dの第2結合部材が取り付けられている。
【0052】
そして、正面壁部材120aの左側の第1結合部材と左側壁部120cの前側の第2結合部材とが係合することで、正面壁部材120aと左側壁部120cとが倒れないようにバックル部材150aで保持される。同様に、正面壁部材120aと右側壁部120dcとがバックル部材150bで保持され、後面壁部材120bと左側壁部120cとがバックル部材150cで保持され、後面壁部材120bと右側壁部120dとがバックル部材150dで保持される。
【0053】
また、ボックス蓋部100bと側壁部120の少なくとも一部とをバックル部材150などの結合部材で結合させてもよい(図示せず)。このように側壁部とボックス蓋体とを結合部材で結合することにより、側壁部120にボックス蓋体100bをしっかり固定することが可能となる。
【0054】
さらに、このドローン収納ボックス100のボックス本体100aの裏面には、底面部110の四隅に位置するようにキャスター160が取り付けられている。
【0055】
図2は、図1に示すドローン収納ボックス100の側壁部120a~120dを底面部110に対して傾倒させた展開状態で離着陸可能なドローンポートDpが形成された様子を示す図であり、図2(a)は、離着陸可能なドローンポートDpを示す平面図、図2(b)は、図2(a)のA-A線断面図である。
【0056】
このドローン収納ボックス100は、複数の側壁部120が底面部110に対して起立した組立状態では、図1(b)に示すように、複数の側壁部120および底面部110によってドローン10の収納スペースDhが形成され、複数の側壁部120が底面部110に対して傾倒した展開状態では、図2(a)、(b)に示すように、シート部材130によってドローン10のドローンポート(離着陸ポート)Dpが形成されるように構成されている。このシート部材130には、ドローン10が着陸する目標地点を画像認識によってより正確に判定するために着陸マークDpmが形成されていることが好ましい。
【0057】
さらに、シート部材130は、展開状態において複数の側壁部120が底面部110に対して所定の傾斜角度(約5°~約15°)が保持されるように複数の側壁部120および底面部110に取り付けられている。このようにすることにより、ドローンポートDpは中心が周辺部よりも低い形状となるとともに外周が上方に傾斜する。その結果、離陸時や着陸時における風はシート上の傾斜に沿って上方に噴き上がることになる。その結果、地上の砂などが一緒に巻き上がることが防止され、操作者がドローンポートの近くで、かつ視認性よく操作することが可能となる。
【0058】
また、このドローン収納ボックス100は、展開状態において、複数の側壁部120を底面部110に対して所定の傾斜角度で保持する係止部170をさらに備えていてもよい。ドローン収納ボックス100がこのような係止部170を備えることで、展開状態で複数の側壁部120を底面部110に対してなす傾斜角が予め設定された角度になるように固定することができる。これにより離着陸ポートでの離陸および/または着陸時における地上の砂などの舞い上がりを確実に防止することが可能となる。
【0059】
次にこのドローン収納ボックス100の利用方法を説明する。
【0060】
図3は、図2に示すドローンポートDpにドローン10が離陸する様子を示す斜視図である。
【0061】
このドローン収納ボックス100には、図1に示す組立状態では、ドローン収納スペースDhが底面部110および4つの側壁部120a~120dにより形成されており、このドローン収納スペースDhには図1(b)に示すようにドローン10が収納可能となっている。
【0062】
ドローン収納ボックス100に収納されたドローン10を利用する場合、ドローンを離陸させる場所までドローン収納ボックス100を搬送させる。なお、ドローン収納ボックス100にキャスター140を備えていることにより容易に離陸場所まで搬送させることが可能となる。そして、離陸場所において、ボックス本体100aに被せてあるボックス蓋部100bを開け、さらに隣接する側壁部120を起立状態に保持しているバックル部材150を外して側壁部120を底面部110に対して傾倒させて、ドローン収納ボックス100を、シート部材130がドローンポートDpを形成する展開状態とする(図2(a)、(b)参照)。これによりドローン10はドローンポートDpに対して離着陸可能な状態となる。なお、図2では、ドローン10は省略している。
【0063】
従って、ドローン10を用いて作業を行う場合、ドローン収納ボックス100にドローン10を収納した状態でドローン収納ボックス100を作業現場に搬送することで、ドローン10とそのドローンポートDpの両方をまとめて作業現場に持ち込むことができる。その結果、この実施形態1のドローン収納ボックス100では、ドローン10およびドローンポートDpの持ち込みの手間を削減することができ、ドローン10の利用を手軽なものとすることができる。
【0064】
このように、本実施形態1では、ドローン10およびドローンポートDpの持ち込みの手間を削減することができ、ドローン10の利用を手軽なものとすることができるドローン収納ボックス100を得ることができる。
【0065】
特に、本実施形態1では、ドローン収納ボックス100とドローンポートDpとが一体化され、ドローン10およびドローンポートDpの収納や移動、さらにドローンポートDpの設置などの作業が迅速かつ少人数で実施できる利点がある。
【0066】
なお、上述した実施形態1では、シート部材130として、ボックス本体100aの底面部110および4つの側壁部120に跨るよう底面部110から4つの側壁部120に連続して伸びるよう形成されたものを示したが、シート部材130は、隣接する側壁部120の間に対応する側壁間部分131に切り込みSdが形成されたシート部材130aでもよく、以下、このようなシート部材を有するドローン収納ボックスを実施形態1の変形例として説明する。
【0067】
(実施形態1の変形例)
図4は、実施形態1のシート部材130の変形例としてシート部材130aを示す図であり、図4(a)は、シート部材130aに形成された切り込みSdを示し、図4(b)は、切り込みSdを開閉する開閉機構(ジッパー部材)180を示す。
【0068】
この実施形態1の変形例のドローン収納ボックスは、実施形態1のドローン収納ボックス100におけるシート部材130に代わるシート部材130aを備えたものであり、その他の構成は、実施形態1のドローン収納ボックス100におけるものと同一である。
【0069】
このシート部材130aでは、展開状態において隣接する側壁部120の間に対応する側壁間部分131aに切り込みSdが形成されており、さらに、このシート部材130aは、切り込みSdを開閉する開閉機構180を有している。ここで、開閉機構180は、ジッパー部材で構成されている。なお、開閉機構180はジッパー部材に限定されるものではなく、例えば、面ファスナ部材、あるいはホック部材であってもよい。
【0070】
このように実施形態1の変形例では、シート部材130aには、展開状態において隣接する側壁部の間に対応する側壁間部分131aに切り込みSdが形成され、シート部材130aは、切り込みSdを開閉する開閉機構180を有しているので、前述している実施形態1の効果に加えて以下の効果が得られる。
【0071】
例えば、ドローンのメンテナンス、またはドローンの各部材の調整などを行う際に、シート部材の開閉機構を開けてその切り込みを広げて地面を露出させることで、人は強度の弱い収納ボックスの側壁部の上を通ることなく、ドローンが載置されている底面部のところまで着陸ポートを形成するシート部材を踏みつけることなく、着陸ポートの外側からその中心部に位置するドローンに近づくことが可能となる。
【0072】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ドローンおよびドローンポートの持ち込みの手間を削減することができ、ドローンの利用を手軽なものとすることができるドローン収納ボックスを得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0074】
10 ドローン
100 ドローン収納ボックス
100a ボックス本体
100b ボックス蓋部
110 底面部
120a 正面側壁部(側壁部120)
120b 後面側壁部(側壁部120)
120c 左側壁部(側壁部120)
120d 右側壁部(側壁部120)
130、130a シート部材
131、131a 側壁間部分
140 ヒンジ部材
150 バックル部材
160 キャスター
170 係止部
180 開閉機構
Dh ドローン収納スペース
Dp 着陸ポート(ドローンポート)
Dpm 着陸マーク
Sd 切り込み
図1
図2
図3
図4