(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035649
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】鋼管柱の防護シート
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20240307BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20240307BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G7/00
E04H12/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140240
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】593116249
【氏名又は名称】渡部工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】貫井 伸也
(72)【発明者】
【氏名】白井 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】樺澤 猛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博司
(72)【発明者】
【氏名】江端 一行
【テーマコード(参考)】
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G352AC03
5G367AD05
5G367BB05
(57)【要約】
【課題】熟練を要せず充電部分を容易に被い、特に、引留め、引通しの複雑な形状箇所の充電部を容易にかつ確実に被って防護する。
【解決手段】絶縁性の電柱本体用シートAと絶縁性の引通し用シートBから成り、前記電柱本体用シートAは、横長の長方形の中央部下縁から上縁方向に向けて矩形の切り欠き部2が設けられ、当該切り欠き部2の周囲のシートの外側面に面ファスナーが設けられ、当該シート1の四隅に係止孔8が夫々設けられ、当該シート1の両側にマグネット9が設けられ、前記引通し用シートBは低圧ラック51の支持基部片を被う矩形の中央部シート11と低圧ラック51の上部突片を被う上部シート12と低圧ラック51の下部突片を被う下部シート13が中央部シート11の上下に連接され、中央部シート11の内側面の両側に前記電柱本体用シートAの切り欠き部2の周囲の面ファスナーと接着自在な面ファスナーが設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の電柱本体用シートと絶縁性の引通し用シートから成り、前記電柱本体用シートは、横長の長方形の中央部下縁から上縁方向に向けて矩形の切り欠き部が設けられ、当該切り欠き部の周囲のシートの外側面に面ファスナーが設けられ、当該シートの四隅に係止孔が夫々設けられ、当該シートの上部両側にマグネットが設けられ、
前記引通し用シートは低圧ラックの支持基部片を被う矩形の中央部シートと低圧ラックの上部突片を被う上部シートと低圧ラックの下部突片を被う下部シートが前記中央部シートの上下に連接され、上部シートと中央部シート及び下部シートと中央部シートとは夫々両側から切り込みが入って中央部のみ接続され、
前記中央部シートの内側面の両側に前記電柱本体用シートの切り欠き部の周囲の面ファスナーと接着自在な面ファスナーが設けられ、
前記上部シートの中央部にボルト穴が設けられ、当該ボルト穴の一端から上縁まで切り込みが設けられ、当該上部シートで前記低圧ラックの上部突片の外周を被った際重なった側端部を接着する面ファスナーが当該上部シートの両側端部の外側面及び内側面に夫々設けられ、
前記下部シートの中央部にボルト穴が設けられ、当該ボルト穴の一端から下縁まで切り込みが設けられ、当該下部シートで前記低圧ラックの下部突片の外周を被った際重なった側端部を接着する面ファスナーが当該下部シートの両側端部の外側面及び内側面に夫々設けられたことを特徴とする、鋼管柱の防護シート。
【請求項2】
前記上部シートは、外側面の上部に小型面ファスナーが設けられ、内側の上部には小型面ファスナーが複数個並べて設けられ、上部シートを前記低圧ラックの上部突片に巻き付けて接着した際、低圧ラックの上部突片が内蔵されていない上部シートの端縁を重ねて前記複数の小型面ファスナーで相互に接着する構成としたことを特徴とする、請求項1に記載の鋼管柱の防護シート。
【請求項3】
前記下部シートの切込みを挟んだ下部両側端部の内側面に沿って相互に接着自在な面ファスナーが夫々設けられ、前記下部シートを前記低圧ラックの下部突片に巻き付けて接着した際、低圧ラックの下部突片が内蔵されていない下部シートの端縁を重ねて前記面ファスナーで相互に接着する構成としたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼管柱の防護シート。
【請求項4】
絶縁性の電柱本体用シートと絶縁性の引留め用シートから成り、前記電柱本体用シートは、横長の長方形の中央部下縁から上縁方向に向けて矩形の切り欠き部が設けられ、当該切り欠き部の周囲のシートの外側面に面ファスナーが設けられ、当該シートの四隅に係止孔が夫々設けられ、当該シートの上部両側にマグネットが設けられ、
前記引留め用シートは、引留め用の低圧ラックを被う大きさの四辺形のシートから成り、当該シートの上端縁の中央部から下端縁に向けて、間隔を空けて平行な2本の切込みが設けられ、当該2本の切込みの間の内側面に小型面ファスナーが設けられ、当該小型面ファスナーの、前記切り込みを挟んだ両側に横長の長方形面ファスナーが設けられ、これらの小型面ファスナー及び長方形面ファスナーは前記電柱本体用シートの切り欠き部の周縁の面ファスナーと接着自在であり、当該引留め用シートの内側面の両側縁に沿って相互に接着する面ファスナーが設けられ、これらの面ファスナーによって当該引留め用シートで前記低圧用ラックを被った際、当該引留め用シートの両下端部を重ねて接着する構成としたことを特徴とする、鋼管柱の防護シート。
【請求項5】
前記電柱本体用シートの四隅の係止孔に係止自在な係止具を両端に有し、長さ調整自在なゴム紐を設けたことを特徴とする、請求項1又は4に記載の鋼管柱の防護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電柱箇所で電線を引き通したり、引き留めたりしている電柱付近の充電線路を切断したり、接続する電気工事の際、電柱及び電柱付近の充電部を被うことにより工事中の充電部分が電柱や電線支持物等に接触しても短絡せず、作業者の感電を防止する防護シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大型の電柱への立て替え又は新設に際して、長尺なコンクリート柱は、運搬規制により輸送が困難となる場合があるため、搬入の難しい場所や狭い場所にも使用でき、狭い場所での建柱にも適した組み立て式の鋼管柱が多数使用されている。
【0003】
一方、電柱付近の充電線路を切断・接続する電気工事の際、コンクリート柱の場合は、万一工事中の充電部分が、電柱に触れても短絡はしなかったため、他相との異相短絡防止に重点を置いた防護のみを施して作業を行っていた。しかしながら、電柱がコンクリート柱から鋼管柱に代わることにより、異相だけでなく、柱体全てが接地体になり、柱体のどこに接触させても短絡する状況となったため、電柱本体の防護も必要となった。
【0004】
特許文献1は電柱を被う「保護部材及び絶縁シート」であり、特許文献2は電柱及び腕金を一体的に被う「絶縁シート」であり、特許文献3は電柱の、引留め箇所の電線、クランプカバー碍子及び腕金を被う「絶縁用防具」が開発されている。
【0005】
しかしながら、これらのものは電柱自体や装柱箇所をほぼ長方形状の絶縁シートで被うものであり、複雑な形状に合わせて、細かく被覆するものではない。
【0006】
従って、実際の電気工事では、充電線路の電線部分はゴム管から成る防護管を使用し、当該防護管で被いきれない接続部等はゴム紐付きシートを使用して防護している。また、装柱設備は2種類の長方形のゴム紐付きシートを使用して防護している。電線の引留め箇所や引通し箇所など、複雑な装柱設備については、充電線路と分けて防護することが難しいため、これらを一体に被って防護している。
【0007】
特に引通し箇所については、低圧ラック等の装柱設備内を通過する電線を捕縛するバインド作業を実施するために電線の露出部分を設けるため、ゴム紐付きシートを複数枚組み合わせて工夫しながら防護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015―122827号公報
【特許文献2】特開2015―15858号公報
【特許文献3】特開2016―7089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、電柱付近の充電線路の切断作業・接続作業を行う場合は、その部分の防護シートのみをその都度取り外して行い、その部分の作業が終わったら再度防護シートを取り付けている。従って、手間がかかる作業となる。また、防護シートは汎用品であるため、引留め箇所、引通し箇所などにフィットさせて取り付けることに手間がかかり、また、ゴム紐も長さが決まっているため、巻き付け時に端部の引っ掛かる位置を考えながら作業をする必要がある。このため、十分な防護を行うためには熟練の技術が必要となっている。
【0010】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、熟練を要せず、電柱や装柱設備等の接地体部分を容易に被い、特に、引留め、引通しの複雑な形状箇所の接地体を容易にかつ確実に被って防護し、電線切断・接続作業等が迅速、安全にできる、鋼管柱の防護シートを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、絶縁性の電柱本体用シートと絶縁性の引通し用シートから成り、前記電柱本体用シートは、横長の長方形の中央部下縁から上縁方向に向けて矩形の切り欠き部が設けられ、当該切り欠き部の周囲のシートの外側面に面ファスナーが設けられ、当該シートの四隅に係止孔が夫々設けられ、当該シートの上部両側にマグネットが設けられ、前記引通し用シートは低圧ラックの支持基部片を被う矩形の中央部シートと低圧ラックの上部突片を被う上部シートと低圧ラックの下部突片を被う下部シートが前記中央部シートの上下に連接され、上部シートと中央部シート及び下部シートと中央部シートとは夫々両側から切り込みが入って中央部のみ接続され、前記中央部シートの内側面の両側に前記電柱本体用シートの切り欠き部の周囲の面ファスナーと接着自在な面ファスナーが設けられ、前記上部シートの中央部にボルト穴が設けられ、当該ボルト穴の一端から上縁まで切り込みが設けられ、当該上部シートで前記低圧ラックの上部突片の外周を被った際重なった側端部を接着する面ファスナーが当該上部シートの両側端部の外側面及び内側面に夫々設けられ、前記下部シートの中央部にボルト穴が設けられ、当該ボルト穴の一端から下縁まで切り込みが設けられ、当該下部シートで前記低圧ラックの下部突片の外周を被った際重なった側端部を接着する面ファスナーが当該下部シートの両側端部の外側面及び内側面に夫々設けられた、鋼管柱の防護シートとした。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記上部シートは、外側面の上部に小型面ファスナーが設けられ、内側の上部には小型面ファスナーが複数個並べて設けられ、上部シートを前記低圧ラックの上部突片に巻き付けて接着した際、低圧ラックの上部突片が内蔵されていない上部シートの端縁を重ねて前記複数の小型面ファスナーで相互に接着する構成とした、請求項1に記載の鋼管柱の防護シートとした。
【0013】
また、請求項3の発明は、前記下部シートの切込みを挟んだ下部両側端部の内側面に沿って相互に接着自在な面ファスナーが夫々設けられ、前記下部シートを前記低圧ラックの下部突片に巻き付けて接着した際、低圧ラックの下部突片が内蔵されていない下部シートの端縁を重ねて前記面ファスナーで相互に接着する構成とした、請求項1又は2に記載の鋼管柱の防護シートとした。
【0014】
また、請求項4の発明は、絶縁性の電柱本体用シートと絶縁性の引留め用シートから成り、前記電柱本体用シートは、横長の長方形の中央部下縁から上縁方向に向けて矩形の切り欠き部が設けられ、当該切り欠き部の周囲のシートの外側面に面ファスナーが設けられ、当該シートの四隅に係止孔が夫々設けられ、当該シートの上部両側にマグネットが設けられ、前記引留め用シートは、引留め用の低圧ラックを被う大きさの四辺形のシートから成り、当該シートの上端縁の中央部から下端縁に向けて、間隔を空けて平行な2本の切込みが設けられ、当該2本の切込みの間の内側面に小型面ファスナーが設けられ、当該小型面ファスナーの、前記切り込みを挟んだ両側に横長の長方形面ファスナーが設けられ、これらの小型面ファスナー及び長方形面ファスナーは前記電柱本体用シートの切り欠き部の周縁の面ファスナーと接着自在であり、当該引留め用シートの内側面の両側縁に沿って相互に接着する面ファスナーが設けられ、これらの面ファスナーによって当該引留め用シートで前記低圧用ラックを被った際、当該引留め用シートの両下端部を重ねて接着する構成とした、鋼管柱の防護シートとした。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記電柱本体用シートの四隅の係止孔に係止自在な係止具を両端に有し、長さ調整自在なゴム紐を設けた、請求項1又は4に記載の鋼管柱の防護シートとした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、電線の引通し箇所の電柱工事において、防護シートを電柱本体用シートと引通し用シートに分け、前記電柱本体用シートを低圧ラックの周囲の電柱に、また、引通し用シートを低圧ラックの支持基部片、上部突片及び下部突片に被せ、これらを接着、連結することにより完全に防護シートで被うことが出来るため、電気工事の際の充電部がこれらの箇所に接触しても短絡事故が起きない。この当該防護シートの取り付けに際しては、前記電柱本体用シートを電柱外周の一側に巻き付け、四隅の係止孔に紐等を通して、電柱背部に当該紐等を巻き回して固定し、引通し用シートを低圧ラックの各箇所に巻き付け、最後に当該電柱本体用シートに引通し用シートの中央部シートの両端片を面ファスナーで接着することにより一体化する。この様に、鋼管柱本体と装柱設備をしっかりと隠蔽し、作業箇所のみを限定して露出させることを可能にしている。
【0017】
また、防護シートを電柱に被せる際、電柱本体用シートを電柱に押さえると両側のマグネットが鋼管柱に吸着し、これにより電柱本体用シートの仮固定が出来、作業者の両手が空き、他の作業にとりかかることが出来る。また、引通し用シートは低圧ラックの形状に合わせて裁断されているため、取り付けが簡単であると同時に、当該防護シートを取り付けても余分な形状にならず、低圧ラックの碍子に電線をバインド線で捕縛する作業の際等にも防護シートが邪魔にならない。
【0018】
また、請求項2及び3の各発明によれば、低圧ラックの形状に合わせて防護シートを巻き付け、低圧ラックの上部突片や下部突片が入っていない上部シートの端部や下部シートの端部を面ファスナーで結束できるため、電気工事の際、絶縁性に優れ、かつ、当該防護シートが邪魔にならず、作業が良い。
【0019】
また、請求項4の発明によれば、電線の引留め箇所の電柱工事において、防護シートを電柱本体用シートと引留め用シートに分け、前記電柱本体用シートを低圧ラックの周囲の電柱に、また、引留め用シートを電線を引留めている低圧ラックに被せ、これらを接着、連結することにより引留め箇所及びその周辺の電柱を防護シートで完全に被うことが出来るため、工事中の充電部がこれらの箇所に接触しても短絡事故が起きない。
【0020】
この当該防護シートの取り付けに際しては、前記電柱本体用シートを電柱外周の一側に巻き付け、四隅の係止孔に紐等を通して、電柱背部に当該紐等を巻き回して固定し、引留め用シートを低圧ラックに巻き付け、最後に当該電柱本体用シートに引留め用シートの端片を面ファスナーで接着することにより一体化する。この様に、鋼管柱本体と装柱設備をしっかりと隠蔽し、作業箇所のみを限定して露出させることを可能にしている。また、防護シートを電柱に被せる際、電柱本体用シートを電柱に押さえると両側のマグネットが鋼管柱に吸着し、これにより仮固定が出来、作業者の両手が空き、他の作業にとりかかることが出来る。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、電柱本体シートの四隅の各係止孔に係止自在な係止具を両端に有する、長さ調整自在なゴム紐を設けることにより、電柱本体用シートを被覆対象物の鋼管柱の一部外周に取付けやすくなる。被覆対象物の鋼管柱はその外径が異なるものがあるが、その際もゴム紐の長さが自由に調整できるため、取り付け作業が容易である。ゴム紐の長さが余って、他の箇所に巻きつける等の手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シートの折り返し片を開いた外側図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シートの折り返し片を閉じた内側面図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シートの折り返し片を閉じた状態の部分要図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の防護シートの引通し用シートの外側面図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1の防護シートの引通し用シートの内側面図である。
【
図6】この発明の実施の形態例1の防護シートの引留め用シートの内側面図である。
【
図7】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シートを電柱に取り付けるための長さ調整自在なゴム紐の斜視図である。
【
図8】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シートを電線の引通し箇所の電柱に取り付けた状態の正面図である。
【
図9】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シート及び引通し用シートを電線の引通し箇所に取り付けた状態の側面図である。
【
図10】この発明の実施の形態例1の防護シートの引通し用シートを低圧ラックの形状に合わせて折り曲げた状態の斜視図である。
【
図11】この発明の実施の形態例1の防護シートの引通し用シートの上部シートを低圧ラックの上部突片に巻き付けた状態箇所の一部底面図である。
【
図14】この発明の実施の形態例1の防護シートの引通し用シートの下部シートを低圧ラックの下部突片に巻き付けた状態箇所の一部平面図である。
【
図17】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シート及び引留め用シートを電線の引留め箇所に取り付けた状態の側面図である。
【
図18】この発明の実施の形態例1の防護シートの電柱本体用シート及び引留め用シートを電線の引留め箇所に取り付けた状態の、内部機構を省略した一部断面正面図である。
【
図19】この発明の実施の形態例1の防護シートを使用する電柱の電線引通し箇所の側面図である。
【
図20】この発明の実施の形態例1の防護シートを使用する電柱の電線引通し箇所の正面図である。
【
図21】この発明の実施の形態例1の防護シートを使用する電柱の電線引留め箇所の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の防護シートを
図1~
図6に基づいて説明する。
【0024】
この防護シートは電柱本体用シートA、引通し用シートB及び引留め用シートCに分かれている。
【0025】
上記電柱本体用シートAは
図1~
図3に示すように、被覆する対象の電柱の一定幅の外周の半分以上を被う大きさの、絶縁材から成る横長の長方形のシート1から成り、中央部の下縁1aから上縁1b方向に向けて縦に長い矩形の切り欠き部2が設けられ、当該切り欠き部2の周囲のシート1の外側面にメス型面ファスナーが設けられている。具体的には当該切り欠き部2の左右両側に沿って概ね縦長のメス型面ファスナー3a、3bが夫々設けられ、前記切り欠き部2の上縁には矩形の小型メス型面ファスナー4が設けられている。
【0026】
また、前記切り欠き部2の一側縁から、当該切り欠き部2の高さより低い横長の折り返し片5が設けられている。当該折り返し片5の外側面には小型メス型面ファスナー6が設けられ、内側面には小型オス型面ファスナー7が設けられている。また、当該シート1の四隅に係止孔8が夫々設けられ、当該シートの上部両側にマグネット9が埋め込まれている。
【0027】
上記引通し用シートBは、
図4及び
図5に示すように、低圧ラックの支持基部片を被う矩形の中央部シート11と低圧ラックの上部突片を被う上部シート12と低圧ラックの下部突片を被う下部シート13から成り、前記上部シート12及び下部シート13が前記中央部シート11の上下に連接され、上部シート12と中央部シート11及び下部シート13と中央部シート11とは夫々両側から切り込み11aが入って中央部のみが接続されている。
【0028】
前記中央部シート11の内側面の両側に前記電柱本体用シートAの切り欠き部2の周囲のメス型面ファスナー3a、3bと接着自在な縦長のオス型面ファスナー14が設けられている。
【0029】
また、前記上部シート12の中央部にボルト穴15が設けられ、当該ボルト穴15の一端から上部シート12の上縁まで切り込み16が設けられ、当該上部シート12の外側面の一側縁に縦長のメス型面ファスナー17が設けられ、また、前記切り込み16と当該メス型面ファスナー17との間の上端縁に小型メス型面ファスナー18が設けられている。また、当該上部シート12の内側面の、前記外側面のメス型面ファスナー17とは反対側の一側縁に縦長のオス型面ファスナー19が設けられっている。また、当該内側面の上端縁に沿って、小型の面ファスナーが3個並べて設けられており、前記切り込み16と前記オス型面ファスナー19との間に小型オス型面ファスナー20,前記切り込み16から右側に小型オス型面ファスナー21及び小型メス型面ファスナー22が並んで設けられている。
【0030】
前記下部シート13の中央部にボルト穴23が設けられ、当該ボルト穴23の一端から前記下部シート13の下縁まで切り込み24が設けられている。当該下部シート13の外側面の一側縁に沿って縦長のメス型面ファスナー25が設けられ、内側面の、前記外側面のメス型面ファスナー25とは反対側の一側縁に沿って縦長のオス型面ファスナー26が設けられ、これらのメス型面ファスナー25とオス型面ファスナー26とは相互に接着自在である。また、当該下部シート13の内側面の下端縁に沿って、かつ、前記切り込み24をはさんで、オス型面ファスナー27及び当該オス型面ファスナー27に接着自在なメス型面ファスナー28が設けられている。
【0031】
次に、引留め用シートCは、
図6に示すように、引留め用の低圧ラックを被う大きさの四辺形の絶縁性のシート30から成り、当該シート30の上端縁の中央部から下端縁に向けて、間隔を空けて平行な2本の切込み31、31が設けられ、当該2本の切込み31、31の間の内側面に小型オス型面ファスナー32が設けられ、当該小型オス型面ファスナー32の、前記切り込み31、31を挟んだ両側に横長のオス型面ファスナー33、33が夫々設けられている。これらの小型オス型面ファスナー32及び各オス型面ファスナー33、33は前記電柱本体用シートAの切り欠き部2の周縁のメス型面ファスナー3a、3b及び小型オス型面ファスナー4と接着自在である。また、当該シート30の内側面の両側縁に沿って相互に接着するオス型面ファスナー34及びメス型面ファスナー35が設けられている。
【0032】
また、前記電柱本体用シートAを電柱に取り付けるための長さ調整自在なゴム紐36を、
図7に基づいて説明する。当該長さ調整自在なゴム紐36は、両端にフック37、37を設けた伸縮自在なゴム紐38から成り、長さ調整具39を設けているため、両端のフック37、37間のゴム紐38の長さが調整可能である。
【0033】
この発明は以上の構成を有するもので、まず、電柱における電線引通し箇所への防護シートの取り付けについて説明する。
【0034】
電線引通し箇所は、
図19及び
図20に示すように、鋼管柱50に取り付けた低圧ラック51の碍子52に電線53が引き通されている。電線53はバインド線54により碍子52に固定されている。
【0035】
この低圧ラック51の周囲の鋼管柱50の外周面に、前記電柱本体用シートAを当てる。これにより
図8に示すように、電柱本体用シートAは両側上部のマグネット9、9により鋼管柱50に仮固定できる。
【0036】
この状態において、前記長さ調整自在なゴム紐36を2本用意し、前記電柱本体用シートAの切り欠き部2に前記低圧ラック51の支持基部片51a(
図10参照)を入れて電柱本体用シートAを広げ、四隅の係止孔8に上下の各長さ調整自在なゴム紐36の両端のフック37、37を左右の各係止孔8に引っ掛けて電柱本体用シートAを鋼管柱50の外周に固定する。この長さ調整自在なゴム紐36による電柱本体シートAの固定は、後述する引通し用シートBの低圧ラック51への取り付け後に行っても良い。
【0037】
その後、引通し用シートBを低圧ラック51に被せ、当該引通し用シートBの中央部シート11の両側端部の内側面のオス型面ファスナー14、14を、電柱本体シートAのメス型面ファスナー3a、3bに接着して前記中央部シート11を電柱本体シートAに固定して、
図9に示すように引通し箇所が防護シートに被覆される。
【0038】
前記引通し用シートBの低圧ラック51への固定は、まず、引通し用シートBを、
図10に示すように、低圧ラック51の形状に合わせて、上部シート12及び下部シート13を中央部シート11に対して直角に折り曲げ,引通し用シートBの中央部シート11を低圧ラック51の支持基部片51aの内側に、上部シート12を上部突片51bの下面に、下部シート13を下部突片51cの上面に重ねる。
【0039】
その際、
図11及び
図12に示すように、上部シート12の切り込み16を介して、ボルト穴15に低圧ラック51のボルトを通して低圧ラック51の上部突片51aの下面に上部シート12を当て、当該上部シート12の両側縁を上方に折って前記上部突片51bの上面に重ね、上部シート12の外側面のメス型面ファスナー17と上部シート12の内側面のオス型面ファスナー19とを重ねて接着する。
【0040】
そして、当該上部シート12の
図4及び
図5における上下の長さは前記低圧ラック51の上部突片51bの長さより長く、上端(先端)は前記上部突片51bが来ていない。そこで、
図13に示すように、前記上部シート12の小型オス型面ファスナー21と小型メス型面ファスナー22とを重ねて接着し、上部シート12の外側の小型メス型面ファスナー18に上部シート12の内側面の小型オス型面ファスナー20を前記切り込み16を内側に引っ張って重ね合わせ接着する。これにより上部シート12の折り重ねた先端が先き細になり、折り重ねた先端の各シートが面ファスナーにより接着され、密閉される。
【0041】
また、
図14及び
図15に示すように、下部シート13の切り込み24を介して、ボルト穴23に低圧ラック51のボルトを通して低圧ラック51の下部突片51cの上面に下部シート13を当て、下部シート13の両側縁を下方に折って前記上部突片51cの下面に重ね、下部シート13の外側面のメス型面ファスナー25に下部シート13の内側面のオス型面ファスナー26を重ねて接着する。
【0042】
また、当該下部シート13の
図4及び
図5における上下の長さは、低圧ラック51の下部突片51cの長さより長いので、下部シート13の下端(先端)には下部突片51cは来ていない。そこで、
図16に示すように、前記下部シート13の内側面の下端縁を重ねて、メス型面ファスナー27とオス型面ファスナー28を接着する。これにより、下部シート13の先端縁は密閉される。
【0043】
その後、中央部シート11の両側の内側面のオス型面ファスナー14を、
図8の電柱本体用シートAの切り欠き部2の両側のメス型面ファスナー3a、3bに重ねて、接着する。これにより
図9に示すように、引通し箇所は当該防護シートで被覆される。
【0044】
次に、電柱における電線引留め箇所への本発明の防護シートの取り付けについて説明する。
【0045】
電線引留め箇所は、
図21に示すように、鋼管柱50に取り付けた低圧ラック51の碍子52に、引留めクランプ55を介して電線53が引き留められている。引留めクランプ55にはクランプカバー56がかけられている。
【0046】
当該電線引留め箇所においても、まず、当該低圧ラック51の周囲の鋼管柱50に電柱本体用シートAを掛ける。これは前記引通し箇所の場合(
図8参照)とほぼ同じある。そして、前記引留め用シートCを低圧ラック51及びクランプカバー56の一部に被せる。
【0047】
その際、引留め用シートCの2つの切り込み31、31を介して、
図6におけるシート30の上端部を外側に広げて折り曲げ、当該シート30の内側面の小型オス型面ファスナー32及びオス型面ファスナー33を、電柱本体用シートAの切り欠き部2の周囲のメス型面ファスナー3a、3b、4に夫々重ねて接着する。そして、前記低圧ラック51やクランプカバー56より下に位置するシート30の内側面のオス型面ファスナー34とメス型面ファスナー35を重ねて接着する。
【0048】
これにより
図17及び
図18に示すように、当該防護シートにより引留め箇所は被覆され防護される。
【0049】
なお、上記実施の形態例では、オス型面ファスナー及びメス型面ファスナーと分けて設けたが、オスメス両用の面ファスナーを使用してもよい。
【0050】
また、上記実施の形態例1では電柱本体用シートAの切り欠き部2に開閉自在な折り返し片5を設けたが、これは低圧ラックの鋼管柱への取り付け台座が小さい場合、当該折り返し片5を閉じて使用することを想定しており、低圧ラックが大きい場合は、当該折り返し片5を開いたままで使用することができる。この折り返し片5はこの発明の必須要件ではない。
【符号の説明】
【0051】
A 電柱本体用シート B 引通し用シート
C 引留め用シート
1 シート 1a 下縁
1b 上縁 2 切り欠き部
3a メス型面ファスナー 3b メス型面ファスナー
4 小型メス型メンファスナー 5 折り返し片
6 小型メス型面ファスナー 7 小型オス型面ファスナー
8 係止孔 9 マグネット
11 中央部シート 12 上部シート
13 下部シート 14 オス型面ファスナー
15 ボルト穴 16 切り込み
17 メス型面ファスナー 18 小型メス型面ファスナー
19 オス型面ファスナー 20 小型オス型面ファスナー
21 小型オス型面ファスナー 22 小型メス型面ファスナー
23 ボルト穴 24 切り込み
25 メス型面ファスナー 26 オス型面ファスナー
27 オス型面ファスナー 28 メス型面ファスナー
30 シート 31 切り込み
32 小型オス型面ファスナー 33 オス型面ファスナー
34 オス型面ファスナー 35 メス型面ファスナー
36 長さ調整自在なゴム紐 37 フック
38 ゴム紐 39 長さ調整具
50 鋼管柱 51 低圧ラック
51a 支持基部片 51b 上部突片
51c 下部突片 52 碍子
53 電線 54 バインド線
55 クランプ 56 クランプカバー