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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035654
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】発光装置、面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240307BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240307BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240307BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240307BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20240307BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20240307BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240307BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240307BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240307BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21V5/04 500
F21V5/00 510
F21V5/04 550
G02B3/00 Z
G02B3/02
G02B13/00
G02B13/18
H01L33/58
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140247
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】藤井 悠生
【テーマコード(参考)】
2H087
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
2H087KA29
2H087LA01
2H087PA01
2H087PA17
2H087PB01
2H087RA01
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA45
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA19
3K244BA20
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244FA03
3K244GA02
5F142AA13
5F142DB32
5F142DB36
5F142DB42
5F142EA02
5F142EA34
5F142GA11
5F142GA21
5F142HA03
(57)【要約】
【課題】輝度ムラを抑制できる発光装置を提供すること。
【解決手段】波高装置は、発光素子と、光束制御部材とを有する。光束制御部材は、凹部の内面である入射面と、出射面とを有する。凹部の開口部は、第1長軸と、第1短軸とを含む。平面視したとき、出射面の外縁は、第2短軸と、第2長軸とを含む。第1長軸の両端および第1短軸の両端を通る仮想楕円において、長半径をILとし、長半径の一方の端部における曲率半径をRLとし、短半径に沿う方向における発光素子の長さをbとし、短半径をISとしたとき、以下の(RL/IL)<0.8および0.7≦(a/RL)を満たすか、または、(RL/IL)<0.8および0.4≦(a/IS)<2.0を満たす。開口部の第1長軸の両端部および第1短軸の両端部を除く領域に、仮想楕円よりも光軸側に配置される領域が存在する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子の光軸に交わるように配置され、前記発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材と、を有する発光装置であって、
前記光束制御部材は、
裏側に開口した凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、
表側に配置され、前記入射面で入射した光を外部に出射させるための出射面と、を有し、
前記凹部の開口部は、前記光軸に垂直な第1方向に沿う第1短軸と、前記光軸および前記第1方向に垂直な第2方向に沿う第1長軸と、を含み、
平面視したとき、前記出射面の外縁は、前記第1方向に沿う第2長軸と、前記第2方向に沿う第2短軸と、を含み、
前記第1長軸の両端および前記第1短軸の両端を通る仮想楕円において、
長半径をILとし、
前記長半径の一方の端部における曲率半径をRLとし、
短半径に沿う方向における前記発光素子の長さをaとし、
前記短半径をISとしたとき、
以下の式(1)および式(2)を満たすか、または、式(1)および式(3)を満たし、
前記開口部の前記第1長軸の両端部および前記第1短軸の両端部を除く領域に、前記仮想楕円よりも前記光軸側に配置される領域が存在する、
発光装置。
(RL/IL)<0.8 式(1)
0.7≦(a/RL) 式(2)
0.4≦(a/IS)<2.0 式(3)
【請求項2】
前記開口部の前記第1長軸の両端部および前記第1短軸の両端部以外の領域は、前記仮想楕円よりも前記光軸側に配置されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記開口部の外縁において、前記第1長軸に対する、前記開口部の中心および前記開口部の外縁の任意の点Aを結ぶ直線の角度をθとしたとき、80°≦θ≦90°の範囲内に、前記点Aにおける曲率半径が、前記直線と、前記仮想楕円との交点における曲率半径の2/3以下の領域が存在する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記開口部の外縁において、前記第1長軸に対する、前記開口部の中心および前記開口部の外縁の任意の点Bを結ぶ直線の角度をθとしたとき、30°≦θ≦60°の範囲内の前記点Bにおける曲率半径は、前記直線と、前記仮想楕円との交点における曲率半径よりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記開口部は、2回回転対称であり、
前記出射面の外縁は、楕円形状である、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複数の発光装置と、
複数の前記発光装置を支持する基板と、
前記発光装置から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散部材と、
を有し、
前記基板と前記光拡散板との間の距離をHとし、前記第1方向において隣接する2つの前記発光装置の間の距離をPxとし、前記第2方向において隣接する2つの前記発光装置の間の距離をPyとしたとき、
前記基板と前記光拡散板との間の距離Hは、30mm以下であり、
H/Px≧0.1およびPx/Py≧2を満たす、
面光源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射された光を照射される表示部材と、を有する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、面光源装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光素子を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。
【0003】
例えば、直下型の面光源装置は、基板と、複数の発光素子と、複数の光束制御部材(レンズ)と、光拡散部材とを有する。発光素子は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。複数の発光素子は、基板上にマトリックス状に配置されている。各発光素子の上には、各発光素子から出射された光を基板の面方向に拡げる光束制御部材が配置されている。光束制御部材から出射された光は、光拡散部材により拡散され、被照射部材(例えば、液晶パネル)を面状に照らす(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、光源およびレンズを含む発光装置と、発光装置から出射された光を拡散しつつ放射させる拡散板と、を含む面光源が記載されている。レンズは、入射面と、出射面とを有している。入射面の平面視形状および出射面の平面視形状は、いずれも楕円形状である。平面視したときに、入射面の長軸は、出射面の長軸と垂直となるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/114608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1における発光装置では、平面視したときに出射面の長軸の延長線上に位置する領域に明部が生じ、かつ明部の周りには暗部が生じることにより、輝度ムラが生じてしまうという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、輝度ムラを抑制できる発光装置を提供することである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、当該発光装置を有する面光源装置および表示装置を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]発光素子と、前記発光素子の光軸に交わるように配置され、前記発光素子から出射された光の配光を制御するための光束制御部材と、を有する発光装置であって、前記光束制御部材は、裏側に開口した凹部の内面であって、前記発光素子から出射された光を入射させるための入射面と、表側に配置され、前記入射面で入射した光を外部に出射させるための出射面と、を有し、前記凹部の開口部は、前記光軸に垂直な第1方向に沿う第1長軸と、前記光軸および前記第1方向に垂直な第2方向に沿う第1短軸と、を含み、平面視したとき、前記出射面の外縁は、前記第1方向に沿う第2短軸と、前記第2方向に沿う第2長軸と、を含み、前記第1長軸の両端および前記第1短軸の両端を通る仮想楕円において、長半径をILとし、前記長半径の一方の端部における曲率半径をRLとし、短半径に沿う方向における前記発光素子の長さをbとし、前記短半径をISとしたとき、以下の式(1)および式(2)を満たすか、または、式(1)および式(3)を満たし、前記開口部の前記第1長軸の両端部および前記第1短軸の両端部を除く領域に、前記仮想楕円よりも前記光軸側に配置される領域が存在する、発光装置。
(RL/IL)<0.8 式(1)
0.7≦(b/RL) 式(2)
0.4≦(b/IS)<2.0 式(3)
[2]前記開口部の前記第1長軸の両端部および前記第1短軸の両端部以外の領域は、前記仮想楕円よりも前記光軸側に配置されている、[1]に記載の発光装置。
[3]前記開口部の外縁において、前記第1長軸に対する、前記開口部の中心および前記開口部の外縁の任意の点Aを結ぶ直線の角度をθとしたとき、80°≦θ≦90°の範囲内に、前記点Aにおける曲率半径が、前記直線と、前記仮想楕円との交点における曲率半径の2/3以下の領域が存在する、[1]または[2]に記載の発光装置。
[4]前記開口部の外縁において、前記第1長軸に対する、前記開口部の中心および前記開口部の外縁の任意の点Bを結ぶ直線の角度をθとしたとき、30°≦θ≦60°の範囲内の前記点Bにおける曲率半径は、前記直線と、前記仮想楕円との交点における曲率半径よりも大きい、[1]~[3]のいずれか一項に記載の発光装置。
[5]前記入射面の前記開口部は、2回回転対称であり、前記出射面の外縁は、楕円形状である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の発光装置。
[6][1]~[5]のいずれか一項に記載の複数の発光装置と、複数の前記発光装置を支持する基板と、前記発光装置から出射された光を拡散させつつ透過させる光拡散部材と、を有し、前記基板と前記光拡散板との間の距離をHとし、前記第1方向において隣接する2つの前記発光装置の間の距離をPxとし、前記第2方向において隣接する2つの前記発光装置の間の距離をPyとしたとき、前記基板と前記光拡散板との間の距離Hは、30mm以下であり、H/Px≧0.1およびPx/Py≧2を満たす、表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明の発光装置は、出射される光の輝度ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1A、Bは、実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る面光源装置の構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態1に係る面光源装置の断面図である。
図4図4A~Cは、実施の形態1における光束制御部材の構成を示す図である。
図5図5は、開口部と発光素子との形状および大きさの関係を説明するための図である。
図6図6A~Fは、発光装置における輝度分布を説明するための図である。
図7図7A~Fは、発光装置における輝度分布を説明するための図である。
図8図8A~Fは、発光装置における輝度分布を説明するための図である。
図9図9A~Cは、仮想楕円と、凹部の開口部との形状の関係を示すグラフである。
図10図10A~Cは、仮想楕円と、凹部の開口部との形状の関係を示すグラフである。
図11図11は、発光装置における輝度分布を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態に係る発光装置、面光源装置および表示装置について、図面を参照して説明する。以下の説明では、本実施の形態に係る面光源装置の代表例として、液晶表示装置のバックライトなどに適する面光源装置について説明する。
【0013】
(面光源装置および発光装置の構成)
図1図3は、実施の形態1に係る面光源装置100の構成を示す図である。図1Aは、実施の形態1に係る面光源装置100の平面図であり、図1Bは、正面図である。図2A図1Bに示されるA-A線の断面図である。図3は、面光源装置100の部分拡大断面図である。
【0014】
なお、以下の説明では、光束制御部材123の凹部145の第1短軸L1aに沿った方向を第1方向(X方向)D1とし、凹部145の第1長軸L1bに沿った方向を第2方向(Y方向)D2とし、第1方向(X方向)D1および第2方向(Y方向)D2に垂直な第3方向(Z方向)D3とする。なお、第3方向D3は、発光素子122の光軸OAおよび光束制御部材123の中心軸CAに沿う方向である。
【0015】
図1A、B、図2および図3に示されるように、面光源装置100は、筐体110と、複数の発光装置120と、光拡散部材130とを有する。本実施の形態に係る面光源装置100は、液晶表示装置のバックライトなどに適用できる。また、図1Bに示されるように、面光源装置100は、液晶パネルなどの表示部材(被照射部材)107(図1Bにおいて、点線で示している)と組み合わせることで、表示装置100’としても使用できる。
【0016】
複数の発光装置120は、筐体110の底板111上にマトリックス状に、または一列に配置されている。底板111の内面は、拡散反射面として機能する。また、筐体110の天板112には、開口部が設けられている。光拡散部材130は、この開口部を塞ぐように配置されており、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmとすることができる。
【0017】
複数の発光装置120をマトリックス状に配置する場合の第1方向D1における発光装置120の中心間距離(ピッチ)Pxと、第1方向D1に直交する第2方向D2における発光装置120の中心間距離(ピッチ)Pyとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態では、第1方向D1における発光装置120のピッチと、第2方向D2における発光装置120のピッチとが異なる。第1方向D1における発光装置120の中心間距離(ピッチ)Pxは、10mm以上が好ましい。第2方向D2における発光装置120の中心間距離(ピッチ)Pyは、20mm以上が好ましい。本実施の形態では、第1方向D1における発光装置120のピッチは、第2方向D2における発光装置120のピッチよりも短い。このように第1方向D1におけるピッチと第2方向D2におけるピッチとが異なる場合、発光装置120により照らされる光拡散部材130の形状は、略楕円形状であることが好ましい。本実施の形態では、被照射領域の楕円の長径が、第1方向D1に沿っている。
【0018】
複数の発光装置120は、それぞれ筐体110の底板111上の所定の位置に固定されている。図3に示されるように、複数の発光装置120は、発光素子122と、光束制御部材123とを有する。なお、本実施の形態では、複数の発光装置120は、基板121に配置されている。
【0019】
基板121は、複数の発光装置120(発光素子122および光束制御部材123)を支持する板状の部材であり、電気配線など介して各発光装置120に電力を供給する。本実施の形態では、基板121には、複数の発光装置120が第2方向D2に沿って長い長方形の形状である。また、複数の発光装置120は、第1長軸L1bが第2方向D2に沿うように配置されている。
【0020】
発光素子122は、面光源装置100の光源であり、基板121上に配置されている。発光素子122は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。発光素子122の発光面の形状は、正方形または長方形が好ましい。本実施の形態では、発光素子122の発光面の形状は、正方形である。発光素子122の発光面の大きさは、光束制御部材123の凹部145の開口部148の大きさや曲率などに応じて適宜設定される。発光素子122の発光面の一辺の長さは、0.1~2.0mmの範囲内である。なお、本実施の形態では、発光素子122の一辺の長さと、発光面の一辺の長さとは、ほぼ同じである。発光素子122は、その光軸OAが光束制御部材123の中心軸CAと一致する。「発光素子の光軸OA」とは、発光素子122からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。本実施の形態では、発光素子122の光軸OAは、発光面の中心を通る。
【0021】
光束制御部材123は、レンズであり、基板121上に固定されている。光束制御部材123は、発光素子122から出射された光の配光を制御し、当該光の進行方向を基板121の面方向に拡げる。光束制御部材123は、その中心軸CAが発光素子122の光軸OAに一致するように、発光素子122の上に配置されている(図3参照)。なお、「光束制御部材123の中心軸CA」とは、出射面142の回転中心を通る直線を意味する。本実施の形態に係る光束制御部材123では、回転対称(二回対称)であるため、光束制御部材123の中心軸CAは、第1方向D1における光束制御部材123の中点と一致し、かつ第2方向D2における光束制御部材123の中点と一致する。
【0022】
光束制御部材123は、一体成形により形成することができる。光束制御部材123の材料は、所望の波長の光を通過させ得る材料であればよい。たとえば、光束制御部材123の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)、シリコーン樹脂などの光透過性樹脂、またはガラスである。光束制御部材123の詳細な構造と、発光素子122および光束制御部材123の関係とについては、後述する。
【0023】
光拡散部材130は、光拡散性を有する板状の部材であり、発光装置120からの出射光を拡散させつつ透過させる。光拡散部材130は、複数の発光装置120の上に基板121と略平行に空気層を介して配置されている。通常、光拡散部材130は、液晶パネルなどの被照射部材とほぼ同じ大きさである。たとえば、光拡散部材130は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、スチレン・メチルメタクリレート共重合樹脂(MS)などの光透過性樹脂により形成される。光拡散部材130は、光拡散性を付与するため、光拡散部材130の表面に微細な凹凸が形成されているか、またはその内部にビーズなどの光拡散子が分散している。基板121および光拡散部材130の間の距離と、発光装置120(光束制御部材123)および光拡散部材130の間の距離は、特に限定されない。基板121および光拡散部材130の間の距離は、30mm以下が好ましく、5~30mmの範囲内がより好ましい。発光装置120(光束制御部材123)および光拡散部材130の間の距離は、1~26mmの範囲内が好ましい。
【0024】
本実施の形態に係る面光源装置100では、各発光素子122から出射された光は、光束制御部材123により光拡散部材130の広範囲を照らすように拡げられる。各光束制御部材123から出射された光は、さらに光拡散部材130により拡散される。その結果、本実施の形態に係る面光源装置100は、面状の被照射部材(例えば液晶パネル)を均一に照らすことができる。
【0025】
(光束制御部材の構成)
図4A~Cは、実施の形態に係る光束制御部材123の構成を示す図である。図4Aは、光束制御部材123の平面図であり、図4Bは、正面図であり、図4Cは、底面図である。
【0026】
図4A~Cに示されるように、光束制御部材123は、入射面141と、出射面142、鍔部143と、脚部144とを有する。
【0027】
入射面141は、光束制御部材123の中心軸CAと交わるように裏側の中央部に配置された凹部145の内面である。入射面141は、発光素子122から出射された光のうち、大部分の光を、その光の進行方向を制御するとともに、光束制御部材123の内部に入射させる。凹部145の開口部148は、中心軸CA(光軸OA)に垂直な第1方向D1に沿う第1短軸L1aと、中心軸CA(光軸OA)および第1方向D1に垂直な第2方向D2に沿う第1長軸L1bとを含む(図5参照)。凹部145の開口部148において、中心を通る直線のうち一番長いのが第1長軸L1bで、一番短いのが第1短軸Liaで、本実施の形態の光束制御部材123では第1長軸L1bと第1短軸Liaとは必ず直交している開口部148の第1長軸L1bの両端部および第1短軸L1aの両端部を除く領域には、第1短軸L1aの両端および第1長軸L1bの両端を通る仮想楕円よりも光軸OA側に配置される領域が存在する。なお、本実施の形態では、開口部148の第1長軸L1bの両端部および第1短軸L1aの両端部以外の領域は、仮想楕円よりも光軸OA側に配置されている。なお、図5では凹部145の開口部148を示す線と仮想楕円とが重なっていて見えないが、実際は、凹部145の開口部148は楕円よりもわずかに菱形に近い形状をしており、当該菱形の4つの角は仮想楕円と重なるが、それ以外の領域は、仮想楕円よりも内側に配置されている。また、凹部145は、その開口部148だけでなく、凹部145の任意の高さにおける水平断面の形状は、凹部145の開口部148の形状の相似形状である。特に、凹部145の開口部148にける中心軸CAに対する角度は、30°以下が好ましく、7~23°の範囲内がより好ましい。当該範囲ないにおいて、当該仮想楕円に対応する楕円よりも光軸OA側に配置される領域が存在することが好ましい。また、中心軸CAに垂直な断面において、凹部145(入射面141)は、曲線で構成されている。入射面141は、中心軸CAを含む断面において、中心軸CAから離れるにつれて、裏面146に近づくように曲線で形成されている。中心軸CAを含む断面において、凹部145(入射面141)は、曲線で構成されている。入射面141は、中心軸CAを回転軸とした回転対称(2回対称)である。なお、以下の説明では、「中心軸CAに垂直な断面」を単に「水平断面」ともいう。凹部145の開口部148と、発光素子122との関係については、後述する。本実施の形態では、開口部148の形状が略菱形であるため、第1方向D1に進行する光が第2方向D2に向かって拡げられる。よって、第2長軸の延長線上に位置する領域に明部が生じることを抑制できる。
【0028】
裏面146は、光束制御部材123の裏側に位置し、凹部145の開口縁部から径方向に延在する平面である。裏面146には、凹部145の他にマーク147が配置されている。
【0029】
マーク147は、凹部145の開口部148の中心(重心)を位置出しするために使用する。マーク147の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、マーク147は、一対の凸部147aを有する。凸部147aは、円弧形状の外側面147bを有する。本実施の形態では、一方の凸部147aの外側面147bと、他方の凸部147aの外側面147bとは、仮想円上に配置されている。そして、仮想円の中心は、第1中心軸O1に一致する。これにより、仮想円の中心を求めることにより、開口部148の中心(重心)を求めることができる。
【0030】
出射面142は、光束制御部材123の表側(光拡散部材130側)に配置されている。本実施の形態では、出射面142は、鍔部143から突出するように配置されている。出射面142は、光束制御部材123内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面142は、その中心軸が発光素子122の光軸OA(光束制御部材123の中心軸CA)と一致するように配置されている。出射面142の外形(水平断面)は、楕円形状であり、第2長軸L2aおよび第2短軸L2bを有する。
【0031】
出射面142の第2短軸L2bは、凹部145の開口部の第1長軸L1bに一致するように配置されており、出射面142の第2長軸L2aは、凹部145の開口部の第1短軸L1aに一致するように配置されている。
【0032】
出射面142は、中心軸CAを中心とする所定範囲に位置する第1出射面142aと、第1出射面142aの周囲に連続して形成される第2出射面142bとを有する(図4B参照)。本実施形態において、第1出射面142aは、平面である。第2出射面142bは、第1出射面142aの周囲に位置する、表側に凸の滑らかな曲面である。第2出射面142bの形状は、楕円の環状の凸形状である。また、本実施の形態では、第2出射面142bの水辺断面の形状は、楕円形状である。
【0033】
鍔部143は、裏面146および出射面142を接続する。鍔部143は、光束制御部材123の取り扱いを容易にする。なお、本実施の形態では、鍔部143の一部には、ゲート跡143aが配置されている。なお、本実施の形態では、光束制御部材123は鍔部143を有するが、出射面142の外縁は、鍔部143の外縁ではない。
【0034】
脚部144は、発光素子122から発せられる熱を外部に逃がすための間隙を形成するとともに、光束制御部材123を基板121に位置決めして固定する。脚部144は、裏面146から柱状に突出して形成されている。脚部144の数は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。本実施の形態では、脚部144の数は、4個である。
【0035】
(凹部の開口部と発光素子との位置関係)
ここで、凹部145の開口部148と発光素子122との形状および大きさの関係を説明する。ここでは、どのような発光素子122に対してどのような光束制御部材123を用いた場合に明部(輝度ムラ)が生じるのかをシミュレーションした。図5は、開口部148と発光素子122との形状および大きさの説明するための図である。なお、ここでは、説明のため、本実施の形態における発光装置と同様の符号を付している。
【0036】
図5に示されるように、第1短軸L1aの両端および第1長軸L1bの両端を通る仮想楕円を考える。当該仮想楕円は、凹部145の開口部148の形状を模している。第1方向D1における発光素子122の長さをaとし、第2方向D2における発光素子122の長さをbとする。本シミュレーションでは、第1方向D1における発光素子122の長さをaと、第2方向D2における発光素子122の長さをbとは、必ずしも一致しない。仮想楕円における長半径(開口部148の中心O(重心)と、第1長軸L1bの一方の端部との間の距離)をILとし、短半径(開口部の中心O(重心)と、第1短軸L1aの一方の端部との間の距離)をISとした。第1長軸L1bの一方の端部における曲率半径をRLとし、第1短軸L1aの一方の端部における曲率半径をRSとした。
【0037】
各発光装置における使用した発光素子122の大きさと、凹部145の開口部148の形状を模した仮想楕円の大きさと、仮想楕円の曲率半径とを表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
各発光装置における発光素子/凹部形状と、発光素子/曲率半径と、曲率半径/凹部形状とを表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
次に、発光装置A~Jから出射された光の光拡散部材130における輝度分布について調べた。なお、基板121および光拡散部材130の間の距離は20mmであり、光束制御部材123および光拡散部材130の間の距離は16mmである。なお、実際の面光源装置では、基板121および光拡散部材130の間の距離は25mm程度であり、光束制御部材123および光拡散部材130の間の距離は21mm程度になる。図6A~F、図7A~Dおよび図8A~Fは、発光装置B~Jおよび凹部の開口部との関係と、発光装置Aの輝度分布に対する各発光装置B~Gの輝度分布の変化量とを示している。
【0042】
図6Aは、発光装置Bにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図6Bは、発光装置Bの輝度分布を示しており、図6Cは、発光装置Cにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図6Dは、発光装置Cの輝度分布を示しており、図6Eは、発光装置Dにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図6Fは、発光装置Dの輝度分布を示している。図7Aは、発光装置Eにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図7Bは、発光装置Eの輝度分布を示しており、図7Cは、発光装置Fにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図7Dは、発光装置Fの輝度分布を示しており、図7Eは、発光装置Gにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図7Fは、発光装置Gの輝度分布を示している。図8Aは、発光装置Hにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図8Bは、発光装置Hの輝度分布を示しており、図8Cは、発光装置Iにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図8Dは、発光装置Iの輝度分布を示しており、図8Eは、発光装置Jにおける発光素子122および光束制御部材の配置を模式的に示しており、図8Fは、発光装置Jの輝度分布を示している。図6C~F、図7A~Fおよび図8A~Fにおける白色の領域は発光装置Aの輝度に対して明るい領域を示しており、黒色の領域は発光装置Aの輝度に対して暗い領域を示している。
【0043】
図6B図6F図7B図7Dおよび図8Dに示されるように、発光装置C、E、F、G、Jは第2長軸L2a(第1短軸L1a)方向の外側に明部が生じた。
【0044】
表1と、表2と、図6A~Fと、図7A~Dと、図8A~Fとから導き出されるように、発光装置120が以下の式(1)および式(2)を満たすか、または、式(1)および式(3)を満たす場合には、第2長軸L2a(第1短軸L1a)方向の外側に明部が生じることがわかった。
式(1) (RL/IL)<0.8
式(2) 0.7≦(b/RL)
式(3) 0.4≦(b/IS)<2.0
【0045】
次に、第2長軸L2a(第1短軸L1a)方向の外側に明部が生じた発光装置が備えるべき凹部145の開口部の形状について説明する。なお、本実施の形態における凹部145の開口部148の形状は、第1長軸L1bに対して線対称であり、かつ第1短軸L1aに対して線対称であるため、ここでは、図5における右上の領域のみについて説明する。
【0046】
図9A~Cおよび図10A~Cは、仮想楕円と、凹部145の開口部148との形状の関係を示すグラフである。図9Aは、第1短軸L1a方向における開口部148の中心からの距離と、第1長軸L1b方向における開口部148の中心からの距離との関係を示している。図9Aの横軸および縦軸は、開口部148の中心からの距離を示している。横軸は、第1短軸L1aであり、縦軸は、第1長軸L1bである。図9Bは、第1短軸L1a方向における開口部148の中心からの距離と、角度θとの関係を示している。ここで、角度θとは、第1長軸L1bに対する、開口部148の中心および開口部148の外縁の任意の点を結ぶ直線の角度を意味する。図9Bの横軸は、第1短軸L1a方向における開口部148の中心からの距離を示しており、縦軸は角度θを示している。図9Cは、第1短軸L1a方向における開口部148の中心からの距離と、曲率半径との関係を示している。図9Cの横軸は、第1短軸L1a方向における開口部148の中心からの距離を示しており、縦軸は曲率半径を示している。図10Aは、角度θと、第1長軸L1b方向における開口部148の中心からの距離とを示している。図10Aの横軸は角度θを示しており、縦軸は第1長軸L1b方向における開口部148の中心からの距離を示している。図10Bは、角度θと、当該角度θに対応する凹部145の開口部の外縁部における接線の傾斜角度との関係を示している。図10Bの横軸は、角度θを示しており、縦軸は角度θに対応する凹部145の開口部の外縁部における接線の傾斜角度を示している。図10Cは、角度θと、曲率半径との関係を示している。図10Cの横軸は、角度θを示しており、縦軸は曲率半径を示している。図9A~Cおよび図10A~Cにおける実線は、本実施の形態における凹部145の開口部148に基づく結果を示しており、図9A~Cおよび図10A~Cにおける破線は、本実施の形態における凹部145と同様の第1長軸L1bおよび第1短軸L1aを有する正楕円に基づく結果を示している。
【0047】
図9A~Cおよび図10A~Cに示されるように、開口部148の第1長軸L1bの両端部および第1短軸L1aの両端部を除く領域に、仮想楕円よりも光軸OA側に配置されている領域が存在する。より具体的には、図9Aに示されるように、本実施の形態における凹部145の開口部148では、第1短軸L1aおよび第2長軸L1bの両端以外の領域では、全て仮想楕円よりも中心側に位置している。
【0048】
また、図10Cに示されるように、発光装置120は、開口部148の外縁において、第1長軸L1bに対する、開口部148の中心および開口部148の外縁の任意の点Aを結ぶ直線の角度をθとしたとき、80°≦θ≦90°の範囲内に、点Aにおける曲率半径が、直線と、仮想楕円との交点における曲率半径の2/3以下の領域が存在することが好ましい。この条件は、凹部145の開口部の第1短軸L1aの両端部が尖っていることを意味している。
【0049】
さらに、図10Cに示されるように、開口部148の外縁において、第1長軸L1bに対する、開口部148の中心および開口部148の外縁の任意の点Bを結ぶ直線の角度をθとしたとき、30°≦θ≦60°の範囲内の点Bにおける曲率半径は、直線と、仮想楕円との交点における曲率半径よりも大きいことが好ましい。この条件は、開口部148の外縁が30°≦θ≦60°の範囲内において、正楕円よりも開口部148の中心側に位置していることを意味している。
【0050】
このように、本実施の形態では、凹部145の開口部148の形状が略菱形となるため、第1方向D1に向かって進行した光が第2方向D2に向かって拡がるように屈折して光束制御部材123の内部に入射する。そして、さらに第2方向D2に向かって拡がるように屈折して光束制御部材123から出射される。よって、出射面142の長軸の延長線上に位置する領域に生じる輝度ムラを抑制できる。
【0051】
図11は、本実施の形態に係る発光装置120における輝度分布を示す図である。ここでは、1つの発光素子を点灯させた場合について示す。図11に示されるように、上記の条件を満たす発光装置120では、輝度ムラが抑制されたことがわかる。より、具体的には、1つの発光素子122を点灯させた場合、光拡散板130上における輝度分布がX字となるように光が制御される。このように制御することで、複数の発光素子122を点灯させた場合には、光拡散板130上の輝度を一様にできる。
【0052】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る発光装置120は、凹部145の開口部148の外縁が仮想楕円よりも光軸OA側に配置される領域が存在するため、輝度ムラを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の発光装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用できる。
【符号の説明】
【0054】
100 面光源装置
100’ 表示装置
107 表示部材(被照射部材)
110 筐体
111 底板
112 天板
120 発光装置
121 基板
122 発光素子
123 光束制御部材
130 光拡散部材
141 入射面
142 出射面
142a 第1出射面
142b 第2出射面
143 鍔部
143a ゲート跡
144 脚部
145 開口部
145 凹部
146 裏面
147 マーク
147a 凸部
147b 外側面
148 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11