(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003566
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】外観検査装置及び外観検査方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240105BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01N21/84 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102785
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島本 純也
【テーマコード(参考)】
2F065
2G051
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA37
2F065AA53
2F065BB15
2F065DD04
2F065FF04
2F065HH14
2F065JJ03
2F065MM03
2F065NN02
2F065PP15
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ41
2F065UU01
2G051AA01
2G051AB20
2G051BB01
2G051BB11
2G051CA04
2G051CB05
2G051CB10
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】コンベア等、載置手段上の被検査物の輪郭とデザインとの両方を鮮明に撮影することができる外観検査装置を提供する。
【解決手段】外観検査装置1は、被検査物Aを載置する載置手段2と、前記載置手段2の上方に配置され、前記被検査物Aに上方から間接光のみを照射する上側照明部3と、前記載置手段2の下方に配置され、前記載置手段2を透過して前記被検査物Aに下方から光を照射する下側照明部4と、前記上側照明部3からの間接光及び前記下側照明部4からの光が照射されている前記被検査物Aを撮影するカメラ5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を載置する載置手段と、
前記載置手段の上方に配置され、前記被検査物に上方から間接光のみを照射する上側照明部と、
前記載置手段の下方に配置され、前記載置手段を透過して前記被検査物に下方から光を照射する下側照明部と、
前記上側照明部からの間接光及び前記下側照明部からの光が照射されている前記被検査物を撮影するカメラと、を備える、
外観検査装置。
【請求項2】
前記下側照明部は、下側光源を有し、
前記上側照明部は、光源を有さず、前記下側光源からの光を反射させて間接光にする反射板を有する、
請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記被検査物は、光沢を有する包材で包装されている、
請求項1又は請求項2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
透光性の載置手段に載置されてなる被検査物を撮影して検査する外観検査方法であって、
前記被検査物に、下方から前記載置手段を透過して光を照射し、上方から間接光のみを照射し、前記被検査物を撮影する、
外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食品、医薬品、化学品、電子部品、機械部品等の生産ラインにおいて、コンベア上を搬送される製品の外観をカメラで撮影し、コンベア上の製品の位置、角度、表裏等を検査する外観検査装置が用いられている。製品の位置、角度、表裏等を検査するには、製品の輪郭及びデザインを検出する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、ストロボなどの光源を有する照明機構と、画像処理システムに接続されるカメラとからなり、照明機構の光源からの照明光の照射により被検査物品の映像をカメラで取って、画像処理する物品外観検査装置において、被検査物を載置移送する無端状の透光性搬送ベルトと、該透光性搬送ベルト上の被検査物品に上方から照明光を照射する上部照明機構と、透光性搬送ベルトの下方より透光性搬送ベルトを介して被検査物品に照明光を照射する下部照明機構とを設けた物品外観検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、下部照明機構により、カメラで被検査物の輪郭を撮影することができる。また、上部照明機構により、カメラで被検査物のデザインを撮影することができる。しかしながら、被検査物が鏡面パウチ等の光沢を有する包材を用いている場合、被検査物が上部照明機構からの直接光を反射してハレーションが発生し、包材のデザインを鮮明に撮影できないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明においては、コンベア等、載置手段上の被検査物の輪郭とデザインとの両方を鮮明に撮影することができる外観検査装置を提供することを目的とする。また、コンベア等、載置手段上の被検査物の輪郭とデザインとの両方を鮮明に撮影することができる外観検査方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、外観検査装置は、被検査物を載置する載置手段と、前記載置手段の上方に配置され、前記被検査物に上方から間接光のみを照射する上側照明部と、前記載置手段の下方に配置され、前記載置手段を透過して前記被検査物に下方から光を照射する下側照明部と、前記上側照明部からの間接光及び前記下側照明部からの光が照射されている前記被検査物を撮影するカメラと、を備える。
【0009】
これにより、コンベア等、載置手段上の被検査物の輪郭とデザインとの両方を鮮明に撮影することができる。
【0010】
また、前記下側照明部は、下側光源を有し、前記上側照明部は、光源を有さず、前記下側光源からの光を反射させて間接光にする反射板を有する。
【0011】
これにより、上側照明部に光源を設ける構成に比べて、簡単な構成にできるとともに、コストを削減することができる。
【0012】
また、前記被検査物は、光沢を有する包材で包装されている。
【0013】
このように、被検査物が光沢を有する包材で包装したものであっても、上側照明部によって被検査物の上面に間接光のみが照射されるため、ハレーションのない画像を撮影することができる。
【0014】
外観検査方法は、透光性の載置手段に載置されてなる被検査物を撮影して検査する外観検査方法であって、前記被検査物に、下方から前記載置手段を透過して光を照射し、上方から間接光のみを照射し、前記被検査物を撮影する方法である。
【0015】
これにより、コンベア等、載置手段上の被検査物の輪郭とデザインとの両方を鮮明に撮影することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンベア等、載置手段上の被検査物の輪郭とデザインとの両方を鮮明に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】被検査物を示す図であり、(a)は被検査物の表面を示す平面図、(b)は被検査物の裏面を示す平面図である。
【
図3】上側光源を備えた外観検査装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0019】
[外観検査装置]
図1は一実施形態の外観検査装置1を示す図、
図2は被検査物Aを示す図であり、(a)は被検査物Aの表面を示す平面図、(b)は被検査物Aの裏面を示す平面図である。
【0020】
図2に示すように、被検査物Aは、内容物である食品を光沢を有する包材で包装したものである。光沢を有する包材には、例えばアルミ蒸着フィルムを用いることができる。本実施形態における被検査物Aは、文字や図柄が印刷されたアルミ蒸着フィルムを用いた包材を背貼りの合掌袋にして食品を包装したものである。
【0021】
図1に示すように、外観検査装置1は、載置手段2に載置されてなる被検査物Aを撮影し、載置手段2上の被検査物Aの位置、角度、表裏等を検査する装置である。外観検査装置1は、載置手段2と、上側照明部3と、下側照明部4と、カメラ5と、制御部6とを備えている。
【0022】
載置手段2は、2つの動輪21と、動輪21に架装される無端状の搬送ベルト22とを有するコンベアである。動輪21は、搬送ベルト22を駆動するものであり、駆動輪と従動輪で構成される。搬送ベルト22は、載置された被検査物Aを搬送する透光性のベルトである。ここでの透光性は、下側照明部4からの光を所定の透光率で透光することを指す。
【0023】
上側照明部3は、搬送ベルト22の上方に配置され、被検査物Aに上方から間接光のみを照射するものである。上側照明部3は、光源を有していない。上側照明部3は、下側照明部4からの光を反射して間接光にする反射板31を有している。本実施形態における反射板31は、下面が開放された略直方体の形態を有する箱体であり、内側面全体が白色の反射面となっている。上側照明部3は、搬送ベルト22上の少なくとも1つの被検査物Aを覆う大きさを有している。
【0024】
よって、上側照明部3は、下側照明部4からの光を反射板31で反射して間接光にし、搬送ベルト22上の被検査物Aの上面に照射する。また、上側照明部3は光源を有していないため、上側照明部3で覆われた搬送ベルト22上の被検査物Aの上面に直接光が照射されることはない。また、上側照明部3に光源を設ける構成に比べて、簡単な構成にできるとともに、コストを削減することができる。
【0025】
下側照明部4は、搬送ベルト22の下方に上側照明部3と対向して配置され、搬送ベルト22を透過して被検査物Aに下方から光を照射するものである。下側照明部4は、上下の搬送ベルト22の間に配置される。下側照明部4は、上側照明部3よりも小さく、被検査物Aよりも大きい。下側照明部4は、上方へ均一な面状の光を照射できる構成であればよい。
【0026】
下側照明部4は、下側光源41と、下側光源41を支持する筐体42とを有している。下側光源41には、例えばLED(light-emitting diode)光源を用いることができる。LED光源は、均一な面状の光を照射するために、LEDチップを面状に配置して拡散板で拡散する構成や、LEDチップをライン状に配置して導光板及び拡散板で拡散する構成とすることができる。下側光源41の光色には特に限定はなく、例えば白色光を用いることができる。
【0027】
筐体42は、上方が開放され、下側光源41の下面及び側面を覆う筐体である。これにより、下側照明部4は上方へ光を出射する。下側照明部4から出射された光は、搬送ベルト22を透過して搬送ベルト22上の被検査物Aの下面及び上側照明部3の反射板31に照射される。
【0028】
カメラ5は、搬送ベルト22の上方に配置され、上側照明部3からの間接光及び下側照明部4からの光が照射されている被検査物Aを上方から撮影するカメラである。カメラ5には、例えばCCDカメラを用いることができる。カメラ5は、上側照明部3の上面中央に設けられた開口部に配置され、上側照明部3内を搬送される直下の被検査物Aを撮影する。
【0029】
制御部6は、カメラ5を制御するとともに、カメラ5で撮影された画像から載置手段2であるコンベア上の被検査物Aの位置、角度、表裏等を算出するものである。制御部6には、例えばマイクロプロセッサを用いることができる。載置手段2であるコンベア上の被検査物Aの位置、角度、表裏を算出するには、被検査物Aの輪郭及びデザインを検出する必要がある。
【0030】
外観検査装置1で撮影された画像は、被検査物Aの輪郭及びデザインが鮮明に写った画像となっている。なぜなら、下側照明部4によって被検査物A及びその周辺に下方から光を照射した状態で、被検査物Aの上方からカメラ5で撮影するため、被検査物Aの輪郭を鮮明に撮影することができる。同時に、上側照明部3によって被検査物Aの上面に均一な間接光を照射した状態で、被検査物Aの上方からカメラ5で撮影するため、被検査物Aの上面のデザインを鮮明に撮影することができる。
【0031】
本実施形態の被検査物Aのように、光沢を有する包材で包装したものであっても、上側照明部3によって被検査物Aの上面に間接光のみが照射されるため、ハレーションのない画像を撮影することができる。このように、外観検査装置1によれば、コンベア等、載置手段2上の被検査物Aの輪郭及びデザインを同時に鮮明に撮影することができる。
【0032】
よって、制御部6は、撮影した画像を解析することにより、撮影した画像における被検査物Aの輪郭及びデザインを検出することができる。そして、制御部6は、撮影した画像における被検査物Aの輪郭を用いて載置手段2上の被検査物Aの位置及び角度を算出し、撮影した画像における被検査物Aのデザインを用いて載置手段2上の被検査物Aの表裏を算出する。
【0033】
[外観検査方法]
次に、上記の外観検査装置1を用いた外観検査方法について説明する。この外観検査方法は、撮影工程と、撮影工程後の検出工程と、検出工程後の算出工程とを含んでいる。撮影工程は、被検査物Aに、下方から搬送ベルト22を透過して光を照射しつつ、上方から間接光のみを照射しながら、被検査物Aを上方から撮影する工程である。この工程により、載置手段2であるコンベア上の被検査物Aの輪郭とデザインとの両方を同時に鮮明に撮影することができる。
【0034】
検出工程は、制御部6が、撮影された画像における被検査物Aの輪郭及びデザインを検出する工程である。算出工程は、制御部6が、撮影した画像における被検査物Aの輪郭を用いて載置手段2上の被検査物Aの位置及び角度を算出し、撮影した画像における被検査物Aのデザインを用いて載置手段2上の被検査物Aの表裏を算出する工程である。
【0035】
[変形例]
上記の実施形態では上側照明部3は光源を有していないが、上側光源を有する構成であってもよい。
図3は上側光源32を備えた外観検査装置10を示す図である。外観検査装置10は、上述した外観検査装置1に上側光源32及び支持部33を追加した構成であるため、外観検査装置1と同様の構成には同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
上側照明部3は、上側光源32と、上側光源32を支持する支持部33とを有している。上側光源32には、例えばLED光源を用いることができる。LED光源は、例えばライン状に配置されたLEDチップを封止体及びレンズで覆った構成とすることができる。上側光源32の光色には特に限定はなく、例えば白色光を用いることができる。
【0037】
支持部33は、反射板31の内側面から突出し、下側光源41の下面を支持する板状部材である。これにより、上側光源32は上方へ光を出射する。上側光源32から出射された光は、被検査物Aに直接照射されることはなく、反射板31で反射されて間接光となり、搬送ベルト22上の被検査物Aの上面に照射される。
【0038】
このように、上側照明部3が上側光源32を有する構成とすることにより、上側光源32の光量を適切に設定することにより、被検査物Aの上面に照射される間接光の光量を最適に設定できる。よって、下側光源41の光量は、被検査物Aの下面に照射されるのに最適な光量に設定できる。つまり、被検査物Aの上面に照射されるのに最適な間接光の光量と、被検査物Aの下面に照射されるのに最適な光量とを個別に調整できるという利点がある。
【0039】
上記の実施形態では上側照明部3として反射板を有する箱体を用いたが、上側照明部3の形態には特に限定はなく、ドーム照明やフラットドーム照明を用いることもできる。
【0040】
上記の実施形態では被検査物Aを用いたが、被検査物には特に限定はなく、食品、医薬品、化学品、電子部品、機械部品等とすることができる。
また、上記の実施形態では載置手段2としてコンベアを用いたが、これに限るものではなく、被検査物Aを搬送しない、固定された態様の載置手段を用いることもできる。
【0041】
なお、以上の説明においては、被検査物A及びその周辺に下方から光を照射した状態で、上側照明部3によって被検査物Aの上面に均一な間接光を照射した状態で、被検査物Aを上方からカメラ5で撮影する態様を例示したが、これに限るものではなく、下方からの光の照射と上方からの間接光の照射とは別個で行い、それぞれで得た画像を合成することでも、被検査物の輪郭及びデザインを同時に鮮明に撮影することができる。
【符号の説明】
【0042】
1、10 外観検査装置
2 載置手段(コンベア)
3 上側照明部
4 下側照明部
5 カメラ
22 搬送ベルト
31 反射板
41 下側光源
A、B、C 被検査物