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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035666
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】からくり表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/37 20060101AFI20240307BHJP
   G09F 11/02 20060101ALI20240307BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G09F9/37
G09F11/02 A
G09F9/302 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140267
(22)【出願日】2022-09-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載者:おくたま経済新聞 掲載年月日:2021年11月21日 掲載アドレス:https://otakei.otakuma.net/archives/2021112106.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載者:ねとらぼ 掲載年月日:2021年11月16日 掲載アドレス:https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2111/15/news152_2.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (A)ウェブサイト(YouTube)による公開 掲載者:吉村宇生 掲載年月日:2021年11月11日、2021年12月16日、2021年12月29日、2022年1月1日、2022年3月20日、2022年4月4日、2022年5月21日 掲載アドレス:https://www.youtube.com/watch?v=RJPH8hixZ60 https://www.youtube.com/watch?v=zwngECHxrW4 https://www.youtube.com/watch?v=vODiBiEBCuE https://www.youtube.com/watch?v=jPptGgq3-z8& https://www.youtube.com/watch?v=kaPK6wnT2iM https://www.youtube.com/watch?v=FkFOhFYNo6Q https://www.youtube.com/watch?v=URPx8reGYMY (B)ウェブサイト(Twitter)による公開 掲載者:吉村宇生 掲載年月日:2021年11月11日(他、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書の▲1▼掲載日を参照のこと) 掲載アドレス:https://twitter.com/YBB_824/status/1458702233940348931(他、発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書の▲2▼公開アドレスを参照のこと) (C)展示会出展のためのウェブサイトでの先行公開 掲載者:吉村宇生 掲載年月日:2022年5月1日 掲載アドレス:https://makezine.jp/event/makers-mft2022/m0154/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載者:ABEMA 掲載年月日:2021年11月27日 掲載アドレス:https://abema.tv/video/title/89-106
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載者:Random thoughts with my puzzle sense 掲載年月日:2021年12月4日 掲載アドレス:https://puzzlesense.blogspot.com/2021/12/takao-yoshimura-unique-gear-structures.html
(71)【出願人】
【識別番号】522351228
【氏名又は名称】吉村 宇生
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】吉村 宇生
【テーマコード(参考)】
5C094
5C095
【Fターム(参考)】
5C094BA63
5C094BA71
5C094BA95
5C094CA14
5C095BA01
5C095BB07
5C095DA02
5C095DA12
5C095DA15
5C095DB02
5C095DB09
(57)【要約】
【課題】基本構成がわかりやすく、多くの動く要素を備えた趣向性の高いからくり表示装置を提供する。
【解決手段】からくり表示装置100であって、第1セグメント部114Aと一方の第4セグメント部114Dとを一体的に支持する第1回転軸116と、もう一方の第4セグメント部114Eと一方の第5セグメント部114Gと第2セグメント部114Bとを一体的に支持する第2回転軸120と、第3セグメント部114Cともう一方の第5セグメント部114Fとを一体的に支持する第3回転軸124と、本体フレーム体104と、主歯車構成体130と、第1歯車機構118と、第2歯車機構122と、第3歯車機構126と、を備え、主歯車構成体130を回転させることで、第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124を回転させ、数字を昇順に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺に配置される第1セグメント部と、中辺に配置される第2セグメント部と、下辺に配置される第3セグメント部と、該第1セグメント部と該第2セグメント部の間に配置される2つの第4セグメント部と、該第2セグメント部と該第3セグメント部の間に配置される2つの第5セグメント部とから構成される7つのセグメント部で、複数の数字または/かつ複数の英文字を表示可能とするからくり表示装置であって、
前記第1セグメント部の一方の端部に配置され、該第1セグメント部と該一方の端部の下方に配置される前記2つの第4セグメント部の一方の第4セグメント部とを一体的に支持する第1回転軸と、
該2つの第4セグメント部のもう一方の第4セグメント部と、該もう一方の第4セグメント部の下方に位置される前記2つの第5セグメント部の一方の第5セグメント部との間であって、前記第1回転軸の反対側に配置され、該もう一方の第4セグメント部、該一方の第5セグメント部および前記第2セグメント部のうちの少なくとも1つのセグメント部を支持する第2回転軸と、
前記第1回転軸と同一側であって、前記第3セグメント部の一方の端部に配置され、該第3セグメント部と前記2つの第5セグメント部のもう一方の第5セグメント部とを一体的に支持する第3回転軸と、
前記第1回転軸と、前記第2回転軸と、前記第3回転軸とを回転可能に支持する本体フレーム体と、
前記第1回転軸を回転させるための第1プログラム歯車体と、前記第2回転軸を回転させるための第2プログラム歯車体と、前記第3回転軸を回転させるための第3プログラム歯車体と、を備え、同軸に一体的に支持して前記本体フレーム体に回転可能に支持される主歯車構成体と、
前記第1プログラム歯車体に噛合い、前記第1回転軸を回転させる第1歯車機構と、
前記第2プログラム歯車体に噛合い、前記第2回転軸を回転させる第2歯車機構と、
前記第3プログラム歯車体に噛合い、前記第3回転軸を回転させる第3歯車機構と、
を備え、
前記主歯車構成体を回転させることで、前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸を回転させ、前記複数の数字または/かつ複数の英文字を表示させることを特徴とするからくり表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1回転軸の回転方向は、前記第3回転軸の回転方向とは同一方向であり、かつ、前記第2回転軸の回転方向とは逆方向であることを特徴とするからくり表示装置。
【請求項3】
請求項1において、更に、
前記本体フレーム体に支持され、前記7つのセグメント部の前面に配置される表示フレームを備え、
該表示フレームは、前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸で規定されるセグメント表示領域の内側のみを視認可能とする開口部を備えることを特徴とするからくり表示装置。
【請求項4】
請求項1において、更に、
前記第1プログラム歯車体、前記第2プログラム歯車体、および前記第3プログラム歯車体はそれぞれ、2枚1組のプログラム歯車から構成され、
前記第1歯車機構、前記第2歯車機構、および前記第3歯車機構はそれぞれ、前記2枚1組のプログラム歯車それぞれに噛合う一体とされた2枚1組の読取り歯車を備え、
該2枚1組の読取り歯車はそれぞれ、同じ歯数N(Nは3以上の整数)とされており、位相が互いに360/2/N度異なるようにされていることを特徴とするからくり表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
当該からくり表示装置の表示を1つ変化させる前記主歯車構成体の回転角度として4個分の歯の角度が割り当てられ、
該4個分の歯の角度のそれぞれ1個分の歯の角度の回転が前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸それぞれを90度回転可能とする構成とされていることを特徴とするからくり表示装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記主歯車構成体に支持され、最大外形半径から最小外形半径となる際の段差を1つ以上備えた板カムと、該主歯車構成体を回転駆動させる駆動軸に支持された第1繰り上げ歯車と、前記板カムの外形により回動する第2繰り上げ歯車と、を備え、
当該からくり表示装置が2以上隣接配置された際に、他方の当該からくり表示装置の前記第2繰り上げ歯車の回転角に応じて一方の当該からくり表示装置の前記第1繰り上げ歯車が回転する構成とされ、
他方の当該からくり表示装置の前記主歯車構成体を回転させた際には、前記板カムの前記段差の位置毎に、一方の当該からくり表示装置の表示が変化するように前記主歯車構成体を回転させる構成とされていることを特徴とするからくり表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、からくり表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、7つのセグメント部を用いて、数字の0から9を表示する表示装置としては、例えば特許文献1に示すような磁気反転式の表示装置が存在する。この表示装置は、7つのセグメント部それぞれを永久磁石で回転可能に支持し、電磁石によりそれぞれのセグメント部を独立して反転制御する仕組みとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-100489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような表示装置は、7つのセグメント部には動きがあるもののそれ以外には動きがない。加えて、このような表示装置は「動かす」仕組みが目で見えるものではないので、手にとって目でその動きを追う楽しみに乏しく、例えば室内インテリアや玩具に供するには、趣向性が低いものであった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、基本構成がわかりやすく、多くの動く要素を備えた趣向性の高いからくり表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上辺に配置される第1セグメント部と、中辺に配置される第2セグメント部と、下辺に配置される第3セグメント部と、該第1セグメント部と該第2セグメント部の間に配置される2つの第4セグメント部と、該第2セグメント部と該第3セグメント部の間に配置される2つの第5セグメント部とから構成される7つのセグメント部で、複数の数字または/かつ複数の英文字を表示可能とするからくり表示装置であって、前記第1セグメント部の一方の端部に配置され、該第1セグメント部と該一方の端部の下方に配置される前記2つの第4セグメント部の一方の第4セグメント部とを一体的に支持する第1回転軸と、該2つの第4セグメント部のもう一方の第4セグメント部と、該もう一方の第4セグメント部の下方に位置される前記2つの第5セグメント部の一方の第5セグメント部との間であって、前記第1回転軸の反対側に配置され、該もう一方の第4セグメント部、該一方の第5セグメント部および前記第2セグメント部のうちの少なくとも1つのセグメント部を支持する第2回転軸と、前記第1回転軸と同一側であって、前記第3セグメント部の一方の端部に配置され、該第3セグメント部と前記2つの第5セグメント部のもう一方の第5セグメント部とを一体的に支持する第3回転軸と、前記第1回転軸と、前記第2回転軸と、前記第3回転軸とを回転可能に支持する本体フレーム体と、前記第1回転軸を回転させるための第1プログラム歯車体と、前記第2回転軸を回転させるための第2プログラム歯車体と、前記第3回転軸を回転させるための第3プログラム歯車体と、を備え、同軸に一体的に支持して前記本体フレーム体に回転可能に支持される主歯車構成体と、前記第1プログラム歯車体に噛合い、前記第1回転軸を回転させる第1歯車機構と、前記第2プログラム歯車体に噛合い、前記第2回転軸を回転させる第2歯車機構と、前記第3プログラム歯車体に噛合い、前記第3回転軸を回転させる第3歯車機構と、を備え、前記主歯車構成体を回転させることで、前記第1回転軸、前記第2回転軸、および前記第3回転軸を回転させ、前記複数の数字または/かつ複数の英文字を表示させたことにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
本発明では、7つのセグメント部を第1回転軸と第2回転軸と第3回転軸とに分散して支持させている。そして、主歯車構成体を回転させることで、第1回転軸と第2回転軸と第3回転軸とを回転させ、複数の数字または/かつ複数の英文字を表示可能としている。このため、表示される数字の変化もさることながら、それに付随して第1回転軸と第2回転軸と第3回転軸を動かす第1歯車機構、第2歯車機構、第3歯車機構の回転も主歯車構成体の回転によって生じる構成となっている。即ち、これらの動きも、数字の変化とともにその場に居合わせる人に視認可能とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基本構成がわかりやすく、多くの動く要素を備えた趣向性の高いからくり表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るからくり表示装置を示す斜視図(正面図(A)、背面図(B))
図2図1のからくり表示装置の模式図(正面図(A)、背面図(B)、右側面図(C)、左側面図(D))
図3図1のからくり表示装置の数字表示部の斜視図
図4図1のからくり表示装置の第1フレームに支持される部材を示す模式図(表示フレームのない状態の第1フレームの正面図(A)、読取り歯車の図(B)、読取り歯車の図(C))
図5図1の7つのセグメント部によって表現された数字を示す概略図(数字0の図(A)、数字1の図(B)、数字2の図(C)、数字3の図(D)、数字4の図(E)、数字5の図(F)、数字6の図(G)、数字7の図(H)、数字8の図(I)、数字9の図(J))
図6図1のからくり表示装置において、数字を昇順で変化させる際の第1回転軸、第2回転軸および第3回転軸の90度単位の回転数を示す図表
図7図1のからくり表示装置の主歯車構成体と読取り歯車との位置関係を示す斜視図
図8図7の主歯車構成体の構成要素を示す図(第2プログラム歯車の図(A)、第2プログラム歯車の図(B)、スペーサの図(C)、第1プログラム歯車の図(D)、第1プログラム歯車の図(E)、スペーサの図(F)、第3プログラム歯車の図(G)、第3プログラム歯車の図(H)、スペーサの図(I))
図9図6において、数字を昇順で変化させる際に、それぞれ4回の回転タイミングを設け、いずれのタイミングで第1回転軸、第2回転軸および第3回転軸の90度単位の回転を行うかを示す図表
図10図1のからくり表示装置において、セグメント部が干渉してしまう一例を示す模式図
図11図1のからくり表示装置の第1フレームの背面に支持される部材を示す模式図
図12図1のからくり表示装置の巻上げ機構と繰り上げ機構を示す分解斜視図
図13】本発明の第2実施形態に係る隣接させた2つのからくり表示装置を示す正面図
図14図13の隣接させた2つのからくり表示装置を示す背面図
図15図13の隣接させた2つのからくり表示装置における繰り上げ機構を示す模式図
図16】本発明の第3実施形態に係る7つのセグメント部と第1回転軸、第2回転軸および第3回転軸との関係を示す模式図
図17】本発明の第4実施形態に係る7つのセグメント部と第1回転軸、第2回転軸および第3回転軸との関係を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図12を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0011】
からくり表示装置100は、図1(A)、図2(A)に示す如く、数字表示部112の7つのセグメント部114で、数字の0から9を表示可能とする表示装置である。具体的に、からくり表示装置100は、表示フレーム102と、本体フレーム体104と、第1回転軸116と、第1歯車機構118と、第2回転軸120と、第2歯車機構122と、第3回転軸124と、第3歯車機構126と、主歯車構成体130と、巻上げ機構140と、繰り上げ機構160と、を備える。このような構成により、からくり表示装置100は、主歯車構成体130を回転させることで、第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124を回転させ、数字を昇順に表示させる構成となっている。
【0012】
なお、からくり表示装置100は、例えばほとんどが木質繊維を集積した板状の集成材を金属製のボルトとナットで結合した形態とされており、手にとってレバー156を動かすことで表示する数字を変更でき、またなじみやすい手頃な大きさとされている(例えば、高さ10cm、幅7cm、奥行き7cm程度)。
【0013】
以下、各要素を詳細に説明する。
【0014】
前記表示フレーム102は、図1(A)、図2(A)に示す如く、孔Hn1で図示せぬボルトを介して本体フレーム体104に支持され、7つのセグメント部114の前面に配置される。表示フレーム102は、7つのセグメント部114で数字の8を表示する際にすべてのセグメント部114を表示フレーム102の前方から視認可能、即ち、第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124で規定されるセグメント表示領域の内側のみを視認可能とする開口部102Aを備える。つまり、表示フレーム102は、図1(A)に示す如く、セグメント表示領域から外れるセグメント部114を半分以上覆い隠すようなフレーム幅を備えている。
【0015】
前記本体フレーム体104は、図1(A)に示す如く、第1フレーム106と、第2フレーム108と、第3フレーム110と、を備えている。第1フレーム106、第2フレーム108、および第3フレーム110はそれぞれ、孔Hn2、Hn3、Hn4で図示せぬボルトを介して互いに一体化されている。
【0016】
第1フレーム106は、図4(A)に示す如く、第1回転軸116と、第2回転軸120と、第3回転軸124とを回転可能に支持する。なお、図11における孔Hn22、Hn23はそれぞれ、後述する読取り軸118C、126Cを回転可能に支持する。孔Hn24、Hn25はそれぞれ、中間フレーム107の孔Hn27、Hn28と図示せぬボルトで連結され、第1フレーム106に対して中間フレーム107が取付けられる。孔Hn26は、後述する反転歯車122AB(図3を参照)を第1フレーム106に回転可能に支持するための孔である。孔Hn29は、読取り軸126Cを回転可能に支持するための中間フレーム107の孔である。第2フレーム108は、読取り軸118C、126C、後述する第2繰り上げ歯車166を回転可能に支持するための部材であり、実際に図1(B)、図2(B)に示す孔Hn31が読取り軸126Cを回転可能に支持する。第3フレーム110は、後述する駆動軸154と、第2繰り上げ歯車166を回転可能に支持するための部材である。実際に図1(B)、図2(B)に示す孔Hn41が読取り軸126Cを回転可能に支持する。
【0017】
数字表示部112は、図3に示す如く、7つのセグメント部114と、第1回転軸116と、第1歯車機構118と、第2回転軸120と、第2歯車機構122と、第3回転軸124と、第3歯車機構126と、3つの規制レバー119、123、127と、を備えている。7つのセグメント部114は、図1(A)に示す如く、上辺に配置される第1セグメント部114Aと、中辺に配置される第2セグメント部114Bと、下辺に配置される第3セグメント部114Cと、第1セグメント部114Aと第2セグメント部114Bの間に配置される2つの第4セグメント部114D、114Eと、第2セグメント部114Bと第3セグメント部114Cの間に配置される2つの第5セグメント部114F、114Gとから構成される。
【0018】
前記第1回転軸116は、図1(A)、図2(A)、図2(C)、図2(D)に示す如く、第1セグメント部114Aの一方の端部(左端部)に配置され、第1セグメント部114Aと一方の端部(左端部)の下方に配置される2つの第4セグメント部114D、114Eの一方の第4セグメント部114Dとを一体的に支持する。なお、図3では、第1回転軸116が記載されていないので、あるべきところを破線で示している(読取り軸118C、122C、126C、第2回転軸120、第3回転軸124も同様)。
【0019】
図3に示す前記第1歯車機構118は、後述する第1プログラム歯車体134に噛合い、第1回転軸116を回転させる。第1歯車機構118は、軸歯車118Aと、制動部材118AAと、駆動歯車118Bと、読取り歯車118BA、118BBと、読取り軸118C(図2(D)を参照)とを備えている。軸歯車118Aは、例えばM(モジュール)=0.5でn(歯数)=18の平歯車であり、第1回転軸116に取付けられている。制動部材118AAは、4回対称に凹部が設けられた略円形の部材であり、第1フレーム106の背面で第1回転軸116に取付けられている。駆動歯車118Bは、例えばM=0.5でn=36の平歯車であり、軸歯車118Aと噛合うように、読取り軸118Cに取付けられ第1フレーム106に回転可能に支持されている。図4(B)、図4(C)に示す如く、2枚1組の読取り歯車118BA、118BBはそれぞれ、n=4で同一形状とされており、位相が互いに45度異なるように一体化されている。この状態で、読取り歯車118BA、118BBは、M=1.5でn=8となっており、第1フレーム106の背面で読取り軸118Cに取付けられている。このため、読取り歯車118BA、118BBが1個分の歯の角度45度回転すると、第1回転軸116が90度回転する構成となっている。
【0020】
なお、規制レバー119は、第1回転軸116が90度毎に安定して停止するための部材である。規制レバー119は、図3に示す如く、延在部119Aと、固定部119Bと、板ばね部119Cと、連結部119Dと、制動ベアリング119E(図3では不図示)と、を備える。延在部119Aは、固定部119Bに一体的に設けられている。延在部119Aは、第1フレーム106に固定部119Bがボルトで取付けられた際に、ボルトが緩んでもボルト回りに規制レバー119が回転しないように、自身の側面が第1フレーム106に当接するようになっている。固定部119Bには孔が設けられており、その孔にボルトが挿通され第1フレーム106に規制レバー119が固定される。板ばね部119Cは、先端に設けられた連結部119Dを支持し固定部119Bに一体的に設けられており、連結部119Dが変位しても元の位置に配置されるように弾性変形する。連結部119Dは、自身に設けられている孔で、制動ベアリング119Eを支持する。制動ベアリング119Eは、制動部材118AAの凹部に嵌合するように配置されている。このため、制動部材118AA、即ち第1回転軸116は、90度毎の回転に規制される構成となっている。
【0021】
前記第2回転軸120は、図1(A)、図2(A)、図2(C)、図2(D)に示す如く、2つの第4セグメント部114D、114Eのもう一方の第4セグメント部114Eと、もう一方の第4セグメント部114Eの下方に位置される2つの第5セグメント部114F、114Gの一方の第5セグメント部114Gとの間に配置される。そして、第2回転軸120は、第1回転軸116の反対側に配置され、もう一方の第4セグメント部114Eと一方の第5セグメント部114Gと第2セグメント部114Bとを(第2セグメント部114Bの右端部で)一体的に支持する。
【0022】
図3に示す如く前記第2歯車機構122は、後述する第2プログラム歯車体132に噛合い、第2回転軸120を回転させる。第2歯車機構122は、軸歯車122Aと、反転歯車122ABと、駆動歯車122Bと、読取り歯車122BA、122BBと、読取り軸122C(図2(C)、図2(D)を参照)とを備えている。軸歯車122Aは、例えばM=1.5でn=8の平歯車であり、第2回転軸120に取付けられている。反転歯車122ABは、例えばM=1.5でn=13の平歯車であり、軸歯車122Aと噛合うように、第1フレーム106に回転可能に支持されている。駆動歯車122Bは、例えばM=1.5でn=16の平歯車であり、反転歯車122ABと噛合うように、読取り軸122Cに取付けられ第1フレーム106に回転可能に支持されている。なお、読取り歯車122BA、122BBは読取り歯車118BA、118BBと同一の構成なので、説明は省略する。このため、第2歯車機構122は、第1歯車機構118と同様に、読取り歯車122BA、122BBが1個分の歯の角度45度回転すると、第2回転軸120が90度回転する構成となっている。ここで、第2歯車機構122は反転歯車122ABを備えるので、主歯車構成体130の回転による回転方向は第1歯車機構118の回転方向とは逆方向となる構成となっている。
【0023】
なお、規制レバー123は、規制レバー119と同様に、第2回転軸120が90度毎に安定して回転するための部材である。規制レバー123は、図3に示す如く、延在部123Aと、固定部123Bと、板ばね部123Cと、連結部123Dと、制動ベアリング123Eと、を備え、規制レバー119と同様の機能・構成なので、説明は省略する。規制レバー123は、規制レバー119とは異なり、制動ベアリング123Eが直接、軸歯車122Aの2つの歯を同時に押圧するようにされている。このため、第2回転軸120は、もし第2回転軸120が45度単位で回転可能であれば、45度毎の回転で規制することも可能となっている。
【0024】
前記第3回転軸124は、図1(A)、図2(A)、図2(C)、図2(D)に示す如く、第1回転軸116と同一側であって、第3セグメント部114Cの一方の端部(左端部)に配置され、第3セグメント部114Cと2つの第5セグメント部114F、114Gのもう一方の第5セグメント部114Fとを一体的に支持する。
【0025】
図3に示す如く前記第3歯車機構126は、後述する第3プログラム歯車体136に噛合い、第3回転軸124を回転させる。第3歯車機構126は、軸歯車126Aと、制動部材126AAと、駆動歯車126Bと、読取り歯車126BA、126BBと、読取り軸126C(図2(D)を参照)とを備えている。ここで、第3歯車機構126は、第1歯車機構118とほぼ同一の構成・機能であり、説明を省略する。また、規制レバー127も、規制レバー119とほぼ同一の構成・機能であり、説明を省略する。
【0026】
本実施形態では、主歯車構成体130が時計回りに回転することから、図4(A)の白抜き矢印に示すように、第1回転軸116、第3回転軸124はそれぞれ時計回り、第2回転軸120は反時計回りに回転する。即ち、第1回転軸116の回転方向は、第3回転軸124の回転方向とは同一方向となり、かつ、第2回転軸120の回転方向とは逆方向となる構成である。また、第1歯車機構118、第2歯車機構122、第3歯車機構126により、読取り軸118C、122C、126Cが45度回転すると、第1回転軸116、第2回転軸120、第3回転軸124のいずれも90度回転する構成となっている。
【0027】
なお、図5(A)~(J)は、7つのセグメント部114で、昇順に、数字0から9まで表示させた際の7つのセグメント部114の具体的な位置を示している。そして、数字が変わる際に、時計回りの第1回転軸116、第3回転軸124、反時計回りの第2回転軸120の回転を何回行うのかを示したのが図6の図表となる。
【0028】
前記主歯車構成体130は、図2(C)、図2(D)、図7に示す如く、第1回転軸116を回転させるための第1プログラム歯車体134と、第2回転軸120を回転させるための第2プログラム歯車体132と、第3回転軸124を回転させるための第3プログラム歯車体136と、を同軸に一体的に支持して本体フレーム体104に回転可能に支持される。主歯車構成体130を回転可能に支持するのは、具体的には、主ベアリング128(図2(C)、図2(D)、図8(A)、図8(B)において、破線で表示)を介して第1フレーム106に固定された後述する固定軸142である(図11では、白抜き矢印の位置に主ベアリング128が配置される)。
【0029】
図7に示す如く、第1プログラム歯車体134は、第1プログラム歯車134Aと第1プログラム歯車134Bとを備える。第2プログラム歯車体132は、第2プログラム歯車132Aと第2プログラム歯車132Bとを備える。第3プログラム歯車体136は、第3プログラム歯車136Aと第3プログラム歯車136Bとを備える。つまり、第1プログラム歯車体134、第2プログラム歯車体132、および第3プログラム歯車体136はそれぞれ、2枚1組のプログラム歯車から構成されている。そして、第1歯車機構118の2枚1組の読取り歯車118BA、118BBは、2枚1組のプログラム歯車(第1プログラム歯車134Aと第1プログラム歯車134B)にそれぞれに噛合う。同様に、第2歯車機構122の2枚1組の読取り歯車122BA、122BBは、2枚1組のプログラム歯車(第2プログラム歯車132Aと第2プログラム歯車132B)にそれぞれに噛合う。また、第3歯車機構126の2枚1組の読取り歯車126BA、126BBも、2枚1組のプログラム歯車(第3プログラム歯車136Aと第3プログラム歯車136B)にそれぞれに噛合う。なお、本実施形態では、M=1.5でn=40の平歯車を基に設計されている。
【0030】
図7で示す如く、主歯車構成体130において、一番前面にくる(即ち、第1フレーム106に最も近接する)のが第2プログラム歯車体132であり、次に配置されるのが第1プログラム歯車体134であり、その後ろにくるのが第3プログラム歯車体136である。
【0031】
なお、第2プログラム歯車体132と第1プログラム歯車体134との間、第1プログラム歯車体134と第3プログラム歯車体136との間、第3プログラム歯車体136の後にはそれぞれ、スペーサ133、135、137が配置されている。スペーサ133により、第2プログラム歯車体132に噛合う読取り歯車122BA、122BBの円滑な回転を担保し、読取り歯車122BA、122BBの第1プログラム歯車体134や第3プログラム歯車体136と噛合う可能性を少なくし、回転誤差を低減することが可能とされている(スペーサ135、137についても同様の作用効果を有するので、説明は省略する)。
【0032】
図4(A)に示す如く第2回転軸120の回転中心は、主歯車構成体130の回転中心と同一とされている。ここで、主歯車構成体130の回転中心から読取り軸122Cの回転中心への方向に対して、主歯車構成体130の回転中心から読取り軸126Cの回転中心への方向は、時計回りに角度α(図4(A)、図7を参照)ずれている。また、主歯車構成体130の回転中心から読取り軸126Cの回転中心への方向に対して、主歯車構成体130の回転中心から読取り軸118Cの回転中心への方向は、時計回りに角度βずれている。即ち、第2プログラム歯車体132と第3プログラム歯車体136との間で角度αの位相がずれた状態で、また第1プログラム歯車体134と第3プログラム歯車体136との間で角度βの位相がずれた状態で、表示される同じ数字を規定する歯形(プログラムデータ)の開始位置が定まっている。つまり、例えば、図8でいえば、第2プログラム歯車体132は6時の方向から時計回りに角度γずれた位置から反時計回りに、数字0から9までの表示を実現する歯形が設けられている。そして、第1プログラム歯車体134は6時の方向から時計回りに角度γ+α+βずれた位置から反時計回りに、数字0から9までの表示を実現する歯形が設けられている。さらに、第3プログラム歯車体136は6時の方向から時計回りに角度γ+αずれた位置から反時計回りに、数字0から9までの表示を実現する歯形が設けられている。本実施形態では、例えば角度α、β、γはそれぞれ、大体57度、51度、7度とされている。
【0033】
本実施形態では、主歯車構成体130が1回転することで、数字の0から9までが順番に表示される。このため、数字を変更させるたびに、主歯車構成体130を1/10回転、即ち、36度回転させる。ここで、主歯車構成体130の1/10回転する角度(36度)に4個分の歯の角度が割り当てられている。そして、4個分の歯の角度(36度)のそれぞれ1個分の歯の角度(9度)の回転が第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124それぞれを90度回転可能とする構成とされている。すると、図6に示すように、第1回転軸116、第2回転軸120、第3回転軸124はそれぞれ、最大でも270度、即ち90度の回転は最大でも3回なので、4個分のうち1個分の歯の角度については必ず回転しないように設定することができる。本実施形態では、90度回転しない場合を0とし、90度回転する場合を1として、各数字を実現するのに4つの0、1データを用いて表示している(図9を参照)。本実施形態では、基本的には、各4つのデータのうち、4番目のデータを0に設定し、1番目のデータをなるべく0としながら、2番目、3番目のデータを優先的に調整して、図10に示すような干渉状態が生じないように、90度回転のタイミングを互いにずらすようにしている。結果として、本実施形態では、表示する数字が昇順で変化する際における第1回転軸116、第2回転軸120、第3回転軸124のそれぞれの90度回転を行うタイミングが図9に示すように規定されている。なお、図9に示す数字をプログラムデータと称してもよい。
【0034】
前記巻上げ機構140は、図12に示す如く、固定軸142と、固定ラチェット機構143と、駆動ラチェット機構147と、駆動軸154と、レバー156と、を備え、すべて同軸上に配置されている。
【0035】
固定軸142は、図11に示す如く第1フレーム106の背面に取付けられ、ラチェット歯車144を支持している。ラチェット歯車144は、同一方向に沿って傾いた状態の歯が設けられた平歯車であり、n=10とされている。なお、図11の白抜き矢印の位置、図12の上側に示された白抜き矢印の位置に示す固定軸142の外周に、主ベアリング128が配置される。
【0036】
固定ラチェット機構143は、上述したラチェット歯車144と、ラチェット爪146と、を備えている。ラチェット爪146は、図8(D)の破線で示す如く、第1プログラム歯車体134の内側に配置され、固定部146Aと、板ばね部146Bと、回動部146Cと、爪部146Dと、を備える。固定部146Aにより、ラチェット爪146は、主歯車構成体130に取付けられている。板ばね部146Bは、円弧状の部材であり、固定部146Aと回動部146Cとに一体的に設けられている。回動部146Cは、回動可能に主歯車構成体130に取付けられている。爪部146Dは、回動部146Cに一体的に設けられ、その先端が内側に向いている。爪部146Dは、板ばね部146Bによりラチェット歯車144の傾いた歯の表面の状態によらず絶えずラチェット歯車144の表面に相応に押圧された状態となっている。このため、ラチェット歯車144のいずれかの回転方向ではラチェット歯車144の傾いた歯に食い込む構成とされており、ラチェット歯車144に対して一方向のみに主歯車構成体130の回転を許容するようにされている(本実施形態では、図12において反時計回りを許容している)。
【0037】
駆動ラチェット機構147は、ラチェット歯車148と、ラチェット爪150と、を備えている。ラチェット歯車148は、駆動軸154に取付けられ、Z方向に同軸で隣接配置されるラチェット歯車144とトーションばね152で接続されている。ラチェット歯車148は、ラチェット歯車144とほぼ同一形状なので、説明は省略する。ラチェット爪150は、図8(F)の破線で示す如く、ほぼスペーサ135の内側に配置され、固定部150Aと、板ばね部150Bと、回動部150Cと、爪部150Dと、を備える。ラチェット爪150も、ラチェット爪146とほぼ同一形状で、同様に主歯車構成体130に取付けられているので、説明は省略する。
【0038】
駆動軸154は、図12に示す如く、第1繰り上げ歯車164に取付けられており、その背面にレバー156が取付けられている。レバー156は操作者が手で数を変更させる際に使用するようにされている。なお、図12の中央に示される白抜き矢印は、図示せぬ主歯車構成体130に対して、駆動軸154を回転可能に支持する巻上げベアリング138が配置される位置を示している(図2(C)、図2(D)、図8(I)も参照)。また、第1繰り上げ歯車164とレバー156との間に軸ベアリング158が配置され(図2(C)、図2(D)を参照)、駆動軸154は第3フレーム110の孔Hn42(図1(B)、図2(B)を参照)に回転可能に支持される。
【0039】
ここで、巻上げ機構140の動作について説明する。
【0040】
まず、レバー156を角度θで回転させると、同時に第1繰り上げ歯車164と駆動軸154とラチェット歯車148が同じ角度θ(図2(B)を参照)で回転する。角度θは、ラチェット歯車148(144)の1個分の歯の角度以上で2個分の歯の角度未満とされている。つまり、角度θは、36度以上で72度未満となっている。この角度θにより、主歯車構成体130に固定されたラチェット爪150に対して、必ずラチェット歯車148の歯を1つだけ回転させる。そして、その主歯車構成体130に対する駆動軸154の回転角度をラチェット爪150で保持する(なお、角度θは、図2(B)で示す如く、第2フレーム108に設けられた側部108A、108Bで、レバー156と一体化された第1繰り上げ歯車164に設けられた凸部164Bの移動範囲を規制することで実現している)。
【0041】
すると、ラチェット歯車144に対して、ラチェット歯車148が当初よりも、1個分の歯の角度だけ回転することとなるで、ラチェット歯車144とラチェット歯車148との間を接続するトーションばね152には元に戻ろうとする力が生じる。そのため、ラチェット歯車148が元の回転角度に戻ろうとすることで、駆動軸154が回転してラチェット歯車144との間の角度の違いが解消されることとなる。ここで、駆動ラチェット機構147により、駆動軸154と主歯車構成体130とが一体的になっているので、主歯車構成体130が駆動軸154と共に固定軸142に対して回転することとなる。なお、固定ラチェット機構143は、駆動軸154と主歯車構成体130とが一体的に回転する際に、主歯車構成体130の回転の勢いが強い場合に生じるおそれのある回転のし過ぎを防止するために設けている。
【0042】
なお、本実施形態では、巻上げ機構140を用いることで、簡単且つ確実に数字を変化できるようにしているが、主歯車構成体130を直接正確に36度ずつ手回しすることでも数字を変化させることができる。このため、主歯車構成体130がさらに簡素な形態で、第1フレーム106に支持されているだけでもよく、本実施形態の巻上げ機構140は必ずしも必要ではない。
【0043】
前記繰り上げ機構160は、図12に示す如く、板カム162と、第1繰り上げ歯車164と、第2繰り上げ歯車166と、を備える。板カム162は、図2(C)に示す如く、スペーサ137に支持されている。つまり、板カム162は、主歯車構成体130に支持され、主歯車構成体130と一体的に回転する。板カム162は、図15に示す如く、数字0のときに外形半径が最小であり、数字9のときに外形半径が最大となり、その間の外形半径は、例えば単調増加するような形状とされており、最大外形半径から最小外形半径となる際の段差を1つ備えている。第1繰り上げ歯車164は、図15に示す如く、円形の平歯車のほぼ1/4以下の部分だけに歯形(歯形部164A)を成形した平歯車であり、歯形部164Aの直径反対側に、凸部164Bを備える。第1繰り上げ歯車164は、図2(C)に示す如く、主歯車構成体130を回転駆動させる駆動軸154に支持されている。第2繰り上げ歯車166は、図15に示す如く、円形の平歯車の1/4以下の部分だけに歯形(歯形部166A)を成形した平歯車であり、その回転中心から離れた位置に、板カム162に係合するベアリングを備えるカムフォロア166Bを備える。つまり、第2繰り上げ歯車166は、第2フレーム108と第3フレーム110とに回転可能に支持され、板カム162の外形により回動する。繰り上げ機構160は、からくり表示装置100が2以上隣接配置された際に使用される。このため、本実施形態では、繰り上げ機構160は取り外されていてもよい。なお、本実施形態では、数字が9から0に変化する際に、桁の繰り上げをしているが、桁の繰り下がりは数字が0から9に変化する際に行う。つまり、桁の繰り下がりでは、板カムが数字9のときに外形半径が最小であり、数字0のときに外形半径が最大となる。
【0044】
このように、本実施形態では、7つのセグメント部114を第1回転軸116と第2回転軸120と第3回転軸124とに分散して支持させている。そして、主歯車構成体130を回転させることで、第1回転軸116と第2回転軸120と第3回転軸124とを回転させ、数字0から9までを昇順に表示させている。このため、表示される数字の変化もさることながら、それに付随して第1回転軸116と第2回転軸120と第3回転軸124を回転させる第1歯車機構118、第2歯車機構122、第3歯車機構126の動きも主歯車構成体130の回転によって生じる構成となっている。即ち、これらの動きも、数字の変化とともにその場に居合わせる人に視認可能である。
【0045】
また、本実施形態では、図4に示す如く、第1回転軸116の回転方向は、第3回転軸124の回転方向とは同一方向で時計回りであり、かつ、第2回転軸120の回転方向の反時計回りとは逆方向である。このため、7つのセグメント部114が互いに干渉し合う可能を少なくでき、数字を安定して表示することが可能である。なお、これに限らず、第1回転軸、第2回転軸、第3回転軸のそれぞれの回転方向は同一でもよいし、全く異なっていてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、表示フレーム102を備え、表示フレーム102は、第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124で規定されるセグメント表示領域の内側のみを視認可能とする開口部102Aを備える。このため、例えば、図5(A)~(J)に示す表示フレーム102のない状態に比べて、数字を視認しやすくことが可能である。なお、これに限らず、表示フレームが設けられなくてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、第1プログラム歯車体134、第2プログラム歯車体132、および第3プログラム歯車体136はそれぞれ、2枚1組のプログラム歯車134A、134B、132A、132B、136A、136Bから構成されている。そして、第1歯車機構118、第2歯車機構122、および第3歯車機構126はそれぞれ、2枚1組のプログラム歯車134A、134B、132A、132B、136A、136Bにそれぞれに噛合う一体とされた2枚1組の読取り歯車118BA、118BB、122BA、122BB、126BA、126BBを備える。なお、2枚1組の読取り歯車118BA、118BB、122BA、122BB、126BA、126BBはそれぞれ、歯数4で同一形状とされており、位相が互いに45度異なるようにされている。このため、第1プログラム歯車体134、第2プログラム歯車体132、および第3プログラム歯車体136それぞれに設けられた回転情報を安定して、第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124に伝えることが可能である。なお、これに限らず、2枚1組の読取り歯車はそれぞれ、歯数3や歯数5のものでもよいし、それぞれが同一形状でなく形状がわずかに違っていてもよい。その際には、歯数により、位相が互いに異なるようにされていることが望ましい。例えば、歯数3のときは位相が互いに60度、歯数5のときは位相が互いに36度異なるようにされていればよい。つまり、歯数N(Nは3以上の整数)とされており、位相が互いに360/2/N度異なるようにされていることが望ましい。勿論、第1プログラム歯車体、第2プログラム歯車体、および第3プログラム歯車体はそれぞれ、1枚のプログラム歯車だけでもよいし、3枚以上で1組となるプログラム歯車で構成されてもよい。また、読取り歯車は2枚1組でなくてもよいし、歯数は本実施形態と異なってもよい。
【0048】
また、本実施形態では、主歯車構成体130(第1プログラム歯車体134、第2プログラム歯車体132、および第3プログラム歯車体136)が1回転することで、数字の0から9までが昇順に表示される構成とされている。そして、主歯車構成体130の1/10回転する角度(36度)に4個分の歯の角度が割り当てられている。すなわち、からくり表示装置100の表示を1つ変化させる主歯車構成体130(第1プログラム歯車体134、第2プログラム歯車体132、および第3プログラム歯車体136)の回転角度として4個分の歯の角度が割り当てられている。ここで、第1プログラム歯車体134、第2プログラム歯車体132、および第3プログラム歯車体136における4個分の歯の角度のそれぞれ1個分の歯の角度(9度)の回転が第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124それぞれを90度回転可能とする構成とされている。このため、第1回転軸116、第2回転軸120、および第3回転軸124のそれぞれの90度単位の回転タイミングを4つのうちから最大で3つのタイミングに決めればよい状態となっている。つまり、第1回転軸116と第2回転軸120、第2回転軸120と第3回転軸124の回転において、7つのセグメント部114の何れかが干渉(衝突)してしまうような状態を回転するタイミングを変更して干渉することを防止でき、結果的により小型のからくり表示装置100を実現しても確実な数字変更が可能である。
【0049】
なお、これに限らず、主歯車構成体が1回転した際に、数字が0から9までを昇順に1つずつ表示させる構成でなくてもよい。例えば、主歯車構成体が半分だけ回転した際に、数字が0から9までを昇順に1つずつ表示させる構成でもよいし、数字が5から0までを降順に1つずつ表示させる構成であってもよい(勿論、数字が順番に変わらなくてもよい)。また、必ずしも90度単位で、第1回転軸、第2回転軸、および第3回転軸が回転する必要はない。より小さい角度、例えば、45度を単位として、第1回転軸、第2回転軸、および第3回転軸を回転させてもよい。さらに、表示を1つ変化させる主歯車構成体の回転角度として4個分の歯の角度が割り当てられていたが、状況に応じて4個分以上でもよいし4個分未満であってもよい。
【0050】
よって、本実施形態では、基本構成がわかりやすく、多くの動く要素を備えた趣向性の高いからくり表示装置100を提供することが可能である。
【0051】
なお、上記実施形態では、からくり表示装置100が単体で使用された際の構成を示していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図13図14図15に示す第2実施形態の如く、2つのからくり表示装置100、200を隣接配置して2桁の表示装置として使用してもよい。
【0052】
本実施形態では、からくり表示装置100が1桁目を表示し、からくり表示装置200が2桁目を表示する構成となっている。からくり表示装置100とからくり表示装置200との違いは、レバーの有無だけであり、それ以外はすべて同一とされている。
【0053】
図15に示す如く、からくり表示装置100、200が2つ(3つ以上でもよい)隣接配置された際に、一方のからくり表示装置200の第1繰り上げ歯車264と他方のからくり表示装置100の第2繰り上げ歯車166とが噛合う構成とされている。このため、他方のからくり表示装置100の主歯車構成体130を1回転させた際には、板カム162の段差の位置で、一方のからくり表示装置200の表示が変化するように主歯車構成体230を1/10回転させる構成となっている。なお、図15において、第1繰り上げ歯車164は、第2繰り上げ歯車166の動きに影響を与えていないので、破線で示している。また、第2繰り上げ歯車166と第1繰り上げ歯車264の破線図は、板カム162が一周した際の角度θを実現するそれぞれの回転状態を示している。なお、本実施形態では、板カム162の形状と、第1繰り上げ歯車264(164)と第2繰り上げ歯車166との噛合い条件を調整することで、第1繰り上げ歯車264の凸部264Bの回転する角度θを実現している。
【0054】
なお、本実施形態では、第1繰り上げ歯車264と第2繰り上げ歯車166とが直接噛合う構成となっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、別の1以上の歯車が組み合わされることで、第2繰り上げ歯車166の回転角に応じて第1繰り上げ歯車264が回転する構成であればよい。
【0055】
また、本実施形態では、主歯車構成体130、230を1回転させることで、数字の0から9までが順番に1回だけ表示されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、主歯車構成体を1回転させたら、数字の0から9までが順番に2回、あるいは3回繰り返されてもよい。即ち、板カムは、最大外形半径から最小外形半径となる際の段差を1つ以上備えてもよい。また、数字の繰り返しも、0と1だけ、あるいは0から4、0から5などであってもよい。即ち、他方の当該からくり表示装置の主歯車構成体を回転させた際には、板カムの段差の位置毎に、一方の当該からくり表示装置の表示が変化するように主歯車構成体を回転させる構成とされていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、7つのセグメント部で、数字の0から9までを表示可能とさせていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、7つのセグメント部で、数字の0から9までのうちの複数の数字を表示可能とするからくり表示装置であってもよい(図13を参照)。
【0057】
また、上記実施形態では、からくり表示装置は数字を表示するとしていたが、本発明はこれに限定されない。からくり表示装置を、例えば、A、B、C、H等の複数の英文字を表示するのに使用してもよい。また、からくり表示装置では、複数の数字と複数の英文字のうちいずれかが表示可能とされているときに、更に記号などの表示を可能としてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、図1(A)に示す如く、紙面に向かって左側に第1回転軸116と第3回転軸124とが配置され、紙面に向かって右側に第2回転軸120が配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16に示す第3実施形態の如く、紙面に向かって右側に第1回転軸316と第3回転軸324とが配置され、紙面に向かって左側に第2回転軸320が配置されていてもよい。この場合には、複数の数字を表示可能としながら、EやF等の複数の英文字を表示するのに使用することができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、7つのセグメント部は、互いに90度あるいは、180度の角度で構成されるとしていたが、本発明はこれに限定しない。例えば、図17で示す第4実施形態の如く、7つのセグメント部のうちのいくつかが互いに135度などの別の角度の関係で配置される構成であってもよい。このような形態であっても、第4セグメント部414Eは第1セグメント部414Aと第2セグメント部414Bの間に配置され、第5セグメント部414Gは第2セグメント部414Bと第3セグメント部414Cの間に配置されており、英文字のE、F、Pなどが表示可能であり、本発明に含まれている。
【0060】
なお、上記実施形態では、からくり表示装置では数字が昇順で表示されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、からくり表示装置で数字が降順で表示されてもよい。あるいは、数字がすべて表示されなくても、複数の数字が表示されるだけでもよい。
【0061】
なお、上記実施形態では、からくり表示装置を手動で数字を変更させていたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ゼンマイ、電池、モータ、振り子、発振子などを組み合わせて、時計や計測タイマーの一部として使用してもよい。その際に、上記実施形態の巻上げ機構をそのまま用いて、例えば1秒間隔で駆動軸を角度θ回転させるようにしてもよいが、駆動軸を直接主歯車構成体に取付けた形態として、例えば1秒間隔でその駆動軸を正確に回転させるようにしてもよい。
【0062】
その際には、7つのセグメント部で、数字の0から5を表示可能とするからくり表示装置であってもよい。例えば、第2実施形態で示したように、からくり表示装置を2以上隣接配置させ、60分といった時間で繰り上げるようなタイマーを構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、特に室内インテリアや玩具に供することが可能な趣向性の高いからくり表示装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
100、200…からくり表示装置
102、202…表示フレーム
102A…開口部
104…本体フレーム体
106…第1フレーム
107…中間フレーム
108…第2フレーム
108A、108B…側部
110…第3フレーム
112、212…数字表示部
114…セグメント部
114A、314A、414A…第1セグメント部
114B、314B、414B…第2セグメント部
114C、314C、414C…第3セグメント部
114D、114E、314D、314E、414D、414E…第4セグメント部
114F、114G、314F、314G、414F、414G…第5セグメント部
116、316、416…第1回転軸
118…第1歯車機構
118A、122A、126A…軸歯車
118AA、126AA…制動部材
118B、122B、126B…駆動歯車
118BA、118BB、122BA、122BB、126BA、126BB…読取り歯車
118C、122C、126C…読取り軸
119、123、127…規制レバー
119A、123A、127A…延在部
119B、123B、127B…固定部
119C、123C、127C…板ばね部
119D、123D、127D…連結部
119E、123E、127E…制動ベアリング
120、320、420…第2回転軸
122…第2歯車機構
122AB…反転歯車
124、324、424…第3回転軸
126…第3歯車機構
128…主ベアリング
130、230…主歯車構成体
132…第2プログラム歯車体
132A、132B…第2プログラム歯車
133、135、137…スペーサ
134…第1プログラム歯車体
134A、134B…第1プログラム歯車
136…第3プログラム歯車体
136A、136B…第3プログラム歯車
138…巻上げベアリング
140、240…巻上げ機構
142…固定軸
143…固定ラチェット機構
144、148…ラチェット歯車
146、150…ラチェット爪
146A、150A…固定部
146B、150B…板ばね部
146C、150C…回動部
146D、150D…爪部
147…駆動ラチェット機構
152…トーションばね
154…駆動軸
156…レバー
158…軸ベアリング
160、260…繰り上げ機構
162…板カム
164、264…第1繰り上げ歯車
164A、166A、264A…歯形部
164B、264B…凸部
166…第2繰り上げ歯車
166B…カムフォロア
Hn1、Hn2、Hn3、Hn4、Hn22、Hn23、Hn24、Hn25、Hn26、Hn27、Hn28、Hn29、Hn31、Hn41、Hn42…孔
M…モジュール
n、N…歯数
α、β、γ、θ…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図15
図16
図17