IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朝日航洋株式会社の特許一覧 ▶ 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構の特許一覧

<>
  • 特開-回収装置および回収方法 図1
  • 特開-回収装置および回収方法 図2
  • 特開-回収装置および回収方法 図3
  • 特開-回収装置および回収方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035668
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】回収装置および回収方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/32 20060101AFI20240307BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20240307BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B63B35/32 Z
B64C27/04
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140269
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正康
(72)【発明者】
【氏名】山縣 真
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 充
(72)【発明者】
【氏名】玉川 雄三
(72)【発明者】
【氏名】前原 健次
(72)【発明者】
【氏名】羽生 宏人
(72)【発明者】
【氏名】山田 和彦
(57)【要約】
【課題】ヘリコプターやドローン等の飛翔体を用いて水面に浮遊する回収物を確実に回収する回収装置を提供する。
【解決手段】
回収装置は、第1ロープと、空中で静止可能な飛翔体から第1ロープと連結された状態で投下されるシーアンカーと、水面に浮遊する回収物を回収する回収袋と、回収袋と結ばれ、第1ロープに沿って牽引可能に設けられた第2ロープと、回収物を回収した回収袋と結ばれた第2ロープを牽引した際に第1ロープの所定位置で回収袋を係止する係止機構と、シーアンカーと係止機構との間の第1ロープを張架した状態で第2ロープを牽引して回収袋を飛翔体に回収する回収機構とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロープと、
空中で静止可能な飛翔体から前記第1ロープと連結された状態で投下されるシーアンカーと、
水面に浮遊する回収物を回収する回収袋と、
前記回収袋と結ばれ、前記第1ロープに沿って牽引可能に設けられた第2ロープと、
前記回収物を回収した回収袋と結ばれた前記第2ロープを牽引した際に前記第1ロープの所定位置で前記回収袋を係止する係止機構と、
前記シーアンカーと前記係止機構との間の前記第1ロープを張架した状態で前記第2ロープを牽引して前記回収袋を前記飛翔体に回収する回収機構とを備える、回収装置。
【請求項2】
前記シーアンカーが設けられた前記回収物を捕獲する捕獲袋をさらに備え、
前記回収袋は、前記捕獲袋の内側に前記捕獲袋と分離可能に設けられる、請求項1記載の回収装置。
【請求項3】
前記捕獲袋に対して設けられる少なくとも1つ以上のフロートをさらに備える、請求項2記載の回収装置。
【請求項4】
前記係止機構は、
前記第1ロープの所定位置に設けられる固定ストッパーと、
前記固定ストッパーの位置で係止する前記回収袋に対して設けられる遊動ストッパーとを含む、請求項1記載の回収装置。
【請求項5】
前記固定ストッパーは、第1および第2の固定ストッパーを含み、
前記遊動ストッパーは、前記第1および第2の固定ストッパーにそれぞれ対応してそれぞれの位置で係止するための第1および第2の遊動ストッパーを含み、
前記第1の遊動ストッパーは、前記回収袋の開口部に対して設けられ、
前記第2の遊動ストッパーは、前記回収袋の底部に対して設けられる、請求項4記載の回収装置。
【請求項6】
前記シーアンカーは、底部に穴が設けられたバケツである、請求項1記載の回収装置。
【請求項7】
空中で静止可能な飛翔体から第1ロープと連結した状態でシーアンカーを投下するステップと、
水面に浮遊する回収物を回収袋に回収するステップと、
前記回収袋と結ばれ、前記第1ロープに沿って牽引可能に設けられた第2ロープを牽引するステップと、
前記回収物を回収した回収袋と結ばれた前記第2ロープを牽引した際に前記第1ロープの所定位置で前記回収袋を係止するステップと、
前記シーアンカーと前記係止機構との間の前記第1ロープを張架した状態で前記第2ロープを牽引して前記回収袋を前記飛翔体に回収するステップとを備える、回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水面に浮遊する回収物を回収する回収装置および回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、海上における回収作業は、回収船舶を用いて行われていた。この場合、船舶に搭載した機器により作業することが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
一方で、回収船舶の場合には、現場に急行することが難しいため、ヘリコプターやドローン等を用いて現場に急行し、回収物を回収する作業方式等が種々提案されている(特許文献2~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-506627号公報
【特許文献2】特開昭57-134388号公報
【特許文献3】特許第6557089号公報
【特許文献4】特許第6593771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、ヘリコプターやドローン等を用いる場合、大気を下方に吹き下ろすダウンウォッシュが発生することが知られている。回収物を回収する作業をする場合、当該ダウンウォッシュの影響により海上での作業に支障が生じる可能性がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためのものであって、ヘリコプターやドローン等の飛翔体を用いて水面に浮遊する回収物を確実に回収する回収装置および回収方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の回収装置は、第1ロープと、空中で静止可能な飛翔体から第1ロープと連結された状態で投下されるシーアンカーと、水面に浮遊する回収物を回収する回収袋と、回収袋と結ばれ、第1ロープに沿って牽引可能に設けられた第2ロープと、回収物を回収した回収袋と結ばれた第2ロープを牽引した際に第1ロープの所定位置で回収袋を係止する係止機構と、シーアンカーと係止機構との間の第1ロープを張架した状態で第2ロープを牽引して回収袋を飛翔体に回収する回収機構とを備える。
【0008】
回収装置は、シーアンカーが設けられた回収物を捕獲する捕獲袋をさらに備える。回収袋は、捕獲袋の内側に捕獲袋と分離可能に設けられる。
【0009】
回収装置は、捕獲袋に対して設けられる少なくとも1つ以上のフロートをさらに備える。
【0010】
係止機構は、第1ロープの所定位置に設けられる固定ストッパーと、固定ストッパーの位置で係止する回収袋に対して設けられる遊動ストッパーとを含む。
【0011】
固定ストッパーは、第1および第2の固定ストッパーを含む。遊動ストッパーは、第1および第2の固定ストッパーにそれぞれ対応してそれぞれの位置で係止するための第1および第2の遊動ストッパーを含む。第1の遊動ストッパーは、回収袋の開口部に対して設けられる。第2の遊動ストッパーは、回収袋の底部に対して設けられる。
【0012】
シーアンカーは、底部に穴が設けられたバケツである。
本開示の回収方法は、空中で静止可能な飛翔体から第1ロープと連結した状態でシーアンカーを投下するステップと、水面に浮遊する回収物を回収袋に回収するステップと、回収袋と結ばれ、第1ロープに沿って牽引可能に設けられた第2ロープを牽引するステップと、回収物を回収した回収袋と結ばれた第2ロープを牽引した際に第1ロープの所定位置で回収袋を係止するステップと、シーアンカーと係止機構との間の第1ロープを張架した状態で第2ロープを牽引して回収袋を飛翔体に回収するステップとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の回収装置および回収方法は、飛翔体を用いて水面に浮遊する回収物を確実に回収することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に従う航空機100の一例について説明する図である。
図2】実施形態に従う回収装置を用いた回収物CPの回収作業について説明する図である。
図3】実施形態に従う回収物CPの回収方法について説明するフロー図である。
図4】実施形態に従う回収袋40の第1ロープL1に対する係止方式について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、実施形態に従う航空機100の一例について説明する図である。
図1を参照して、航空機100は、回収物を回収するための回収装置を搭載している。
【0017】
本例においては、航空機100は、空中で静止可能な飛翔体であるヘリコプターであるが、ヘリコプターに限られず、例えば、ドローン(無人航空機)、ラジコンにより操作される飛行物体などを含み得る。
【0018】
回収物CPは、一例として、水上に浮遊するカプセルであり、一例として当該カプセルにはデータが格納されたメモリが含まれていても良い。
【0019】
回収装置は、第1ロープL1と、空中で静止可能な航空機100から第1ロープL1と連結された状態で投下されるシーアンカーと、水面に浮遊する回収物CPを回収する回収袋40と、回収袋40と結ばれ、第1ロープL1に沿って牽引可能に設けられた第2ロープL2と、回収物CPを回収した回収袋40と結ばれた第2ロープを牽引した際に第1ロープの所定位置で回収袋40を係止する係止機構と、シーアンカーと係止機構との間の第1ロープL1を張架した状態で第2ロープL2を牽引して回収袋40を航空機100に回収する回収機構とを含む。
【0020】
より具体的には、本例においては、第1ロープL1の先端側は捕獲袋45と結ばれ、捕獲袋45にシーアンカーとなるバケツ20が取り付けられている。
【0021】
捕獲袋45は、水面に浮遊する回収物(カプセル)を捕獲する。
捕獲袋45の内側には、捕獲袋45と分離可能に設けられた回収物を回収する回収袋40が設けられる。本例の場合には捕獲袋45とともに内側の回収袋40により水面に浮遊する回収物を回収する。なお、本例においては、一例として捕獲袋45の内側に回収袋40を設けた構成について説明するが、捕獲袋45を設けない構成としても良い。その場合にはシーアンカーとなるバケツ20と第1ロープL1とが直接結ばれることになる。
【0022】
捕獲袋45にはフロートを設けるようにしてもよい。フロートにより浮力が生じ、捕獲袋45は水面上で操作し易くなる。これにより捕獲袋45の内側に設けられた回収袋40に水上に浮遊する回収物を回収することが容易になる。
【0023】
係止機構は、固定ストッパーと、遊動ストッパーとで構成される。
より具体的には、第1ロープL1の所定位置に固定ストッパーが設けられる。また、遊動ストッパーは、回収袋40に対して設けられ、第2ロープL2を牽引した際に固定ストッパーの位置で係止される。
【0024】
本例においては、第1ロープL1に対して設けられる固定ストッパー30,32と、第2ロープL2に対して設けられ、固定ストッパー30,32のそれぞれの位置で係止される遊動ストッパー34,36とが設けられる。なお、本例においては、2つの固定ストッパー30,32および2つの遊動ストッパー34,36について説明するが、いずれか1つの固定ストッパーおよび遊動ストッパーとしても良い。
【0025】
回収機構は、第2ロープL2が懸架されたプーリー10と、第2ロープL2と結ばれたウエイト70とを含む。
【0026】
ウエイト70を下方に降ろすことにより第2ロープL2がプーリー10を介して牽引される。
【0027】
本例においては、ウエイト70を下方に降ろした際に第2ロープL2が牽引され、係止機構で回収袋40が第1ロープL1の所定位置で係止される。具体的には、第2ロープL2に対して設けられた遊動ストッパーが固定ストッパーで係止される。
【0028】
固定ストッパーは、第1ロープL1に対して設けられており第1ロープL1にはシーアンカーが連結されている。
【0029】
したがって、ウエイト70をさらに下方に降ろした際に第2ロープL2が牽引されるが、その際には、係止機構によりシーアンカーの荷重が負荷される。
【0030】
すなわち、シーアンカーと係止機構との間の第1ロープL1を張架した状態で第2ロープL2を牽引して回収袋40を航空機100に回収する。
【0031】
これにより第2ロープL2を牽引して回収袋40を航空機100に回収する間、回収機構と係止機構との間の第2ロープL2および係止機構とシーアンカーとの間の第1ロープL1は定常的に張架した状態となる。
【0032】
当該状態を維持しながら回収袋40を航空機100に回収する回収作業が可能となるためヘリコプターやドローン等を用いる場合に大気を下方に吹き下ろすダウンウォッシュが発生する場合であっても安定した状態で回収作業が可能となる。
【0033】
すなわち、実施形態に従う回収装置は、ヘリコプターやドローン等の飛翔体を用いて水面に浮遊する回収物を確実に回収することが可能である。
【0034】
なお、本例においては、回収物(カプセル)を回収した回収袋40をより安定させるためにウエイト80を付加する方式について説明するが、ウエイト80を付加しないようにしてもよい。例えば回収物の重量が重い場合にはウエイト80を付加しないようにしてもよい。
【0035】
回収機構は、第1ロープL1を巻き取り可能に設けられたリール60を含み、リール60を用いて捕獲袋45を航空機100に回収することが可能である。
【0036】
図2は、実施形態に従う回収装置を用いた回収物CPの回収作業について説明する図である。
【0037】
図2(A)に示されるように、航空機100に搭乗している作業員は、海上に浮遊する回収物CPを確認する。なお、航空機100にカメラが搭載されている場合にはカメラを介して回収物CPを確認するようにしてもよい。
【0038】
作業員は、航空機100から回収物を発見した後、回収物CPの近辺に捕獲袋45を投下する。なお、回収物CPの近辺にマーカーを投下して位置を容易に把握してから捕獲袋45を投下するようにしてもよい。作業員の目視確認に限らず遠隔でカメラを介して回収物CPを確認後、捕獲袋45を回収物CP近辺に投下するように設定してもよい。
【0039】
図2(B)に示されるように、作業員は、捕獲袋45と結ばれた第1ロープL1を引いて回収物CPを捕獲袋45内部の回収袋40に回収する。あるいは航空機100の位置を調節して捕獲袋45の位置を調節して回収物CPを捕獲袋45内部の回収袋40に回収するようにしてもよい。あるいは、潮流の向きに応じて捕獲袋45を投下するようにして潮流の流れを利用して捕獲袋45内部の回収袋40に回収するようにしてもよい。捕獲袋45のサイズを大きくして回収物CPを回収しやすくしても良く、回収袋40への回収物CPの回収方式は種々の方式を採用することが可能である。
【0040】
図2(C)に示されるように、プーリー10を介してウエイト70を下方に降下させて回収袋40と結ばれた第2ロープL2を牽引する。これにより、回収物CPが回収された回収袋40を捕獲袋45から取り出す。そして、係止機構で回収袋40が第1ロープL1の所定位置で係止される。また、当該回収袋40に対してウエイト80を付加する。
【0041】
図2(D)に示されるように、プーリー10を介してさらにウエイト70を下方に降下させる。第2ロープL2を牽引して回収袋40を航空機100に回収する間、回収機構と係止機構との間の第2ロープL2および係止機構とシーアンカーとの間の第1ロープL1は定常的に張架した状態となる。当該状態を維持しながら回収袋40を航空機100に回収する回収作業が可能となるためヘリコプターやドローン等を用いる場合に大気を下方に吹き下ろすダウンウォッシュが発生する場合であっても安定した状態で回収作業が可能となる。
【0042】
図2(E)に示されるように、プーリー10を介してウエイト70をさらに下方に降下させる。そして、回収袋40を航空機100の機内に回収する。
【0043】
図2(F)に示されるように、リール60により第1ロープL1を巻きとって捕獲袋45を航空機100の機内に回収する。
【0044】
図2(G)に示されるように、第2ロープL2をリール60と連結して、第2ロープL2を巻き取ってウエイト70を航空機100の機内に回収する。
【0045】
図3は、実施形態に従う回収物CPの回収方法について説明するフロー図である。
図3を参照して、捕獲袋45を投下する(ステップS2)。具体的には図2(A)で説明したように回収物CPの近辺に捕獲袋45を投下する。
【0046】
次に、捕獲袋45を用いて回収物を捕獲する(ステップS4)。具体的には図2(B)で説明したように捕獲袋45と結ばれた第1ロープL1を引いて回収物を捕獲袋45内部の回収袋40に回収する。
【0047】
次に、第2ロープL2を牽引する(ステップS5)。プーリー10を介して第2ロープL2の他端にウエイト70を付けて下方に降ろす。
【0048】
次に、回収袋40を係止する(ステップS6)。具体的には図2(C)に示されるように、プーリー10を介してウエイト70をさらに下方に降下させて回収袋40と結ばれた第2ロープL2を牽引する。そして、係止機構で回収袋40を第1ロープL1の所定位置で係止する。
【0049】
次に、回収袋40を回収する(ステップS8)。具体的には、図2(D)、(E)に示されるように、プーリー10を介してウエイト70をさらに下方に降下させる。そして、回収袋40を航空機100の機内に回収する。
【0050】
次に、捕獲袋45を回収する(ステップS10)。具体的には、図2(F)に示されるように、リール60を巻き上げて捕獲袋45を航空機100の機内に回収する。
【0051】
次に、ウエイトを回収する(ステップS11)。具体的には、図2(G)に示されるように、リール60を巻き上げてウエイト70を航空機100の機内に回収する。
【0052】
そして、処理を終了する(エンド)。
当該方式により、第2ロープL2を牽引して回収袋40を航空機100に回収する間、回収機構と係止機構との間の第2ロープL2および係止機構とシーアンカーとの間の第1ロープL1は定常的に張架した状態となる。当該状態を維持しながら回収袋40を航空機100に回収する回収作業が可能となるためヘリコプターやドローン等を用いる場合に大気を下方に吹き下ろすダウンウォッシュが発生する場合であっても安定した状態で回収作業が可能となる。
【0053】
図4は、実施形態に従う回収袋40の第1ロープL1に対する係止方式について説明する図である。
【0054】
図4(A)に示されるように第1ロープL1には、固定ストッパー30,32が設けられる。固定ストッパー30は、第1ロープL1の上流側(航空機100に近い側)に設けられる。固定ストッパー32は、第1ロープL1の下流側(シーアンカー側)に設けられる。
【0055】
固定ストッパー30,32の位置でそれぞれ係止するためのリング状の遊動ストッパー34,36が設けられる。遊動ストッパー34のリングの内径を第1ロープL1および第2ロープL2が挿通されている。遊動ストッパー34は、回収袋40の開口部に対して設けられる。
【0056】
遊動ストッパー36のリングの内径を第1ロープL1が挿通されている。遊動ストッパー36は回収袋40の底部に対応して設けられている。第3ロープL3の一方が回収袋40の底部と結ばれ、他方が遊動ストッパー36と結ばれている。なお、本例においては、第3ロープL3を回収袋40の底部と結ぶ構成について説明するがこれに限られず、第3ロープL3を設けずに遊動ストッパー36を回収袋40の底部と結ぶ構成としてもよい。
【0057】
遊動ストッパー34は、固定ストッパー30よりもリング径は小さく、固定ストッパー32よりもリング径が大きくなるように設定されている。遊動ストッパー36は、固定ストッパー32よりもリング径は小さくなるように設定されている。
【0058】
図4(A)では、捕獲袋45および捕獲袋45の内部の回収袋40により回収物CPを回収した場合が示されている。
【0059】
図4(B)に示されるように第2ロープL2を第1ロープL1に沿って牽引して、捕獲袋45から回収物CPが入った回収袋40を取り出す。
【0060】
図4(C)に示されるように、第2ロープL2を第1ロープL1に沿ってさらに牽引して、遊動ストッパー34とともに回収袋40が引き出される。遊動ストッパー36も回収袋40に従って上昇する。
【0061】
図4(D)に示されるように遊動ストッパー34は、固定ストッパー32よりもリング径が大きいため固定ストッパー32では係止されない。第2ロープL2を第1ロープL1に沿ってさらに牽引して、遊動ストッパー34は、固定ストッパー30よりもリング径が小さいため固定ストッパー30で係止される。また、遊動ストッパー36は、固定ストッパー32よりもリング径が小さいため固定ストッパー32により係止される。
【0062】
これにより、回収袋40は、固定ストッパー30,32により固定される。
ここで固定ストッパー30により遊動ストッパー34が係止された状態で第2ロープL2を牽引することにより回収袋40の開口部は絞られる。
【0063】
遊動ストッパー34,36が固定ストッパー30,32により係止されているため捕獲袋45も引っ張られる。
【0064】
この場合の引き荷重は、航空機100の機内側からすると第2ロープL2→固定ストッパー30(遊動ストッパー34)→回収袋40→第3ロープL3→固定ストッパー32(遊動ストッパー36)→第1ロープL1→捕獲袋45となる。
【0065】
回収袋40には、捕獲袋45の荷重(シーアンカーの抵抗を含む)が乗ることにより、回収袋40の開口部が絞られ、回収袋40の姿勢変化を第1ロープL1に沿って縦位置に抑える。これにより、回収袋40の姿勢変化によるランダムな方向への揚力を抑えることが可能となる。
【0066】
ヘリコプターやドローン等の飛翔体には特性上ダウンウォッシュの発生が避けられず、機内へ収容する回収物に回転や振れを生じさせる。
【0067】
回収物への回転や振れが大きいと航空機100への衝突の危険が有り、機内収容のためには回収物への回転や振れを抑える必要がある。
【0068】
一例として、回収物CPのカプセルは、円盤状態となっている。また、カプセルは重量が軽く、大気を効率よく受けて減速させるための風袋が設けられ、且つ滑空姿勢を保つ特性を有するためダウンウォッシュの影響を受けやすい。
【0069】
回収袋40に捕獲袋45の荷重(シーアンカーの抵抗を含む)が乗ることで、回収袋40のダウンウォッシュによる浮き上がり、回転や振れを抑えて航空機100の機内へ回収することを容易にすることが可能となる。
【0070】
回収袋40を航空機100の機内に回収後、第1ロープL1を引き、捕獲袋45を海面より引上げて航空機100の機内に回収する。
【0071】
海中でシーアンカーとして機能したバケツ20は海水が入った状態で捕獲袋45とともに引き上げられ、捕獲袋45をダウンウォッシュから安定させて回収ことが可能である。また、バケツ20の底部には穴が設けられている。これにより、機内回収までにバケツ20の穴から海水を排出することが可能である。
【0072】
なお、本例においては、回収機構として、第2ロープL2が懸架されたプーリー10と、第2ロープL2と結ばれたウエイト70とを用いて回収物を回収する方式について説明したが、当該方式に限られず例えばリールを用いて回収するようにしてもよい。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10 プーリー、20 バケツ、30,32 固定ストッパー、34,36 遊動ストッパー、40 回収袋、45 捕獲袋、60 リール、70,80 ウエイト、100 航空機、CP 回収物、L1~L3 第1~第3ロープ。
図1
図2
図3
図4