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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035669
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】包装材料及び容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240307BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B32B27/00 H
B32B27/00 D
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140270
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】坪井 拓矢
(72)【発明者】
【氏名】殿柿 智也
(72)【発明者】
【氏名】濱野 和也
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA33
3E086BB01
3E086BB51
3E086BB52
3E086CA40
4F100AA17B
4F100AB10B
4F100AK01E
4F100AK04E
4F100AK16B
4F100AK21B
4F100AK41C
4F100AK42A
4F100AK46C
4F100AK51D
4F100AK63E
4F100AK69B
4F100AT00A
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00D
4F100CB03E
4F100EJ38A
4F100GB16
4F100JB16E
4F100JD02B
4F100JK06
4F100JK07D
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】アンカーコート剤の塗布や熱圧着工程を必要とせず、製造工程が簡便で、樹脂成分を含む内容物に耐性のある包装材料及び容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る包装材料10は、樹脂成分を含む内容物を充填する容器を構成するものであって、基材層1とバリア層2とヒートシール層3とを含み、バリア層2とヒートシール層3との間には接着層Aが設けられ、接着層Aは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、接着層Aの23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分を含む内容物を充填する容器を構成する包装材料であって、
基材層とバリア層とヒートシール層とを含み、
前記バリア層と前記ヒートシール層との間には接着層Aが設けられ、
前記接着層Aは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、
前記接着層Aの23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい、包装材料。
【請求項2】
前記接着層Aの23~40℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記包装材料で構成された前記容器に前記内容物を充填し、40℃で1週間保管した後の前記接着層Aを介して接着される2つの層の間の層間接着強度が、2.5N/15mm以上である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項4】
前記バリア層と前記ヒートシール層との間には、中間層が設けられており、
前記バリア層と前記中間層との間、及び/または、前記ヒートシール層と前記中間層との間に接着層Aが設けられている、請求項1に記載の包装材料。
【請求項5】
前記内容物は、接着剤、または、接着剤の硬化剤である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項6】
請求項1に記載の包装材料で構成されていることを特徴とする容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料及び容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂成分を含む内容物(特に工業用または建築用等に用いる接着剤やその硬化剤)を入れる容器として、金属製容器が用いられている。しかし、このような金属製容器は、嵩張るため、資材倉庫の保管スペースの圧迫や輸送効率の低下といった問題があった。また、金属製容器は、金属製であるため重く、また、廃棄しにくいといった問題もあった。さらに、輸送時の衝撃で、缶が凹んで外観が損なわれたり、蓋が外れて内部に空気が入り込み、内容物が劣化したりといった問題もあった。
【0003】
このような問題を解決するために、軟らかくて軽い包装材料で構成された容器の使用が求められているが、内容物の浸透によって包装材料の接着層がダメージを受けてしまい、デラミネーション(剥離)が生じてしまうといった問題があった。
このデラミネーションを抑制するために、近年、種々の包装材料が開発されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1及び2の包装材料では、金属元素含有バリア層に特殊なアンカーコート剤を塗布した上で、シーラントを積層し、さらに、後工程で加熱ロールによる熱圧着工程を行うことで、耐内容物性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-123171号公報
【特許文献1】特開2019-123172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2では、アンカーコート剤の塗布工程や熱圧着工程等が必要であるため、製造工程が煩雑となる問題があった。また、アンカーコート剤の乾燥不足や熱圧着工程での加熱加圧不足の懸念から製造速度を上げられず、生産性が低下するといった問題もあった。
そこで、本発明では、アンカーコート剤の塗布や熱圧着工程を必要とせず、製造工程が簡便で、樹脂成分を含む内容物に耐性のある包装材料及び容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装材料は、樹脂成分を含む内容物を充填する容器を構成する包装材料であって、
基材層とバリア層とヒートシール層とを含み、
前記バリア層と前記ヒートシール層との間には接着層Aが設けられ、
前記接着層Aは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、
前記接着層Aの23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きいことを特徴とする。
また、本発明に係る容器は、本発明の包装材料で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンカーコート剤の塗布や熱圧着工程を必要とせず、製造工程が簡便で、樹脂成分を含む内容物に耐性のある包装材料及び容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る包装材料の構成を示す断面図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る包装材料の構成を示す断面図である。
図3】実施例における各接着剤で形成した接着層の貯蔵弾性率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の包装材料及び容器の好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装材料の構成を示す断面図である。
【0010】
本実施形態において、包装材料10は、図1に示すように、基材層1と、バリア層2と、ヒートシール層3とを有する積層体で構成されている。
包装材料10は、樹脂成分を含む内容物を充填する容器に用いられる材料である。
包装材料10で構成された容器は、内容物として、接着剤、または、接着剤の硬化剤に適用することができ、特に、工業用や建築用で用いられる接着剤、または、接着剤の硬化剤により好適に適用することができる。
包装材料10は、容器を構成した際に、基材層1が容器の外側に配され、ヒートシール層3が容器の内側に配されるよう構成されている。
【0011】
基材層1は、プラスチック材料や紙材料等で構成することができる。また、基材層1は、1層で構成されていても、2層以上で構成されていてもよい。2層以上の場合には、同じ組成の層であってもよいし、異なる組成の層であってもよい。また、基材層1は印刷可能な層を有していてもよい。
【0012】
プラスチック材料の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステル;及びこれらを形成するモノマーの共重合体等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、メタクリル又はアクリルを意味する。また、紙材料の具体例としては、純白ロール紙、コート紙、クラフト紙等が挙げられる。これらの中でも、耐久性の観点から、プラスチック材料を用いることが好ましく、ポリエステルを用いることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートを用いることがさらに好ましく、ニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。
【0013】
基材層1の平均厚さは、1~300μmとすることが好ましく、5~100μmとすることがより好ましく、10~50μmとすることがさらに好ましい。
また、基材層1の表面には、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理などの濡れ性を向上させる処理をしてもよい。
【0014】
バリア層2は、図1に示すように、基材層1の一方の面側に積層されており、水蒸気や酸素等のガス透過を防止するための層である。
バリア層2を構成する材料としては、例えば、アルミニウム等の金属;アルミナやシリカ等の金属酸化物;ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のバリア性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、金属を用いることが好ましく、アルミニウムを用いることがより好ましい。
【0015】
バリア層2の平均厚さは、0.01~30μmであることが好ましく、0.05~20μmであることがより好ましく、0.1~15μmであることがさらに好ましい。
バリア層2は、本実施形態のように、接着層Bを介して基材層1の一方の面側に積層してもよいし、蒸着等で基材層1の一方の面側に積層してもよい。
【0016】
本実施形態のように接着層Bを用いて積層する場合において、接着層Bを構成する材料としては、フィルムのラミネートに用いる一般的な接着剤を用いることができるが、内容物に対する耐久性の観点から、接着層Bは、後述する接着層Aと同様に、「ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成された層であり、当該層の23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい」層であることが好ましい。この場合、接着層Bと接着層Aとは、同じ組成比率のウレタン系接着剤で構成されていてもよいし、異なる組成比率のウレタン系接着剤で構成されていてもよいが、同じ組成比率のウレタン系接着剤で構成されていることが好ましい。
【0017】
ヒートシール層3は、包装材料にヒートシール性を付与する機能を備える。また、包装材料10を用いて容器を構成する場合、ヒートシール層3は、容器内の内容物と接触する構成となっている。
ヒートシール層3は、加熱することにより軟化し、密着性を発揮する熱可塑性樹脂を含むことができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。これの中でも、ポリオレフィン樹脂を用いることが好ましく、ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0018】
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられ、これらの中でも、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。
ヒートシール層3の平均厚さは、特に限定されないが、シール性の観点から、10μm~300μmであることが好ましく、20μm~150μmであることがより好ましい。
【0019】
ヒートシール層3は、図1に示すように、接着層Aを介して、バリア層2に積層されている。
すなわち、本実施形態では、接着層Aは、バリア層2とヒートシール層3との間に設けられており、バリア層2とヒートシール層3とを接合する機能を備えている。
接着層Aは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい層となっている。
【0020】
このような接着層Aをバリア層2とヒートシール層3との間に設けることで、包装材料10内部への内容物の浸透を抑制することができ、凝集力の低下によるデラミネーション(剥離)を防止することができる。また、接着層Aを用いて、バリア層2とヒートシール層3とを積層することで、アンカーコート剤の塗布や熱圧着工程を必要とせずに、耐内容物性を得ることができ、製造工程を簡便化することができる。
【0021】
また、従来の金属製の容器と比較して、包装材料10で構成された容器は、軽量で折り畳むことで容積を減らすことができるため、資材倉庫の保管場所の省スペース化、輸送効率の向上や廃棄がしやすいといった効果を得ることができる。また、包装材料10で構成された容器は柔軟性を備え、容器の開口部をヒートシールやスパウトキャップなどで密閉することができるため、輸送時の衝撃で発生する容器変形による外観悪化や、酸素や湿気の侵入による内容物の劣化を防ぐことができる。
【0022】
上記ポリオール成分の30質量%濃度における粘度は、80~500mPa・sであることが好ましく、100~200mPa・sであることがより好ましい。これにより、接着層Aの貯蔵弾性率G’をより適度なものとすることができる。
また、上記ポリイソシアネート成分に含まれるイソシアネート基の含有率は、1~50質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。これにより、接着層Aの貯蔵弾性率G’をより適度なものとすることができる。
【0023】
接着層Aは、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい層であるが、接着層Aの23℃における貯蔵弾性率G’は、1.5MPa以上であることが好ましく、1.5~10MPaであることがより好ましく、2~6MPaであることがさらに好ましい。これにより、包装材料10内部への内容物の浸透をより効果的に抑制することができ、凝集力の低下によるデラミネーションをより効果的に防止することができる。
【0024】
また、接着層Aの23~40℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きいことが好ましく、1.5MPa以上であることがより好ましく、1.5~10MPaであることがさらに好ましく、2~6MPaであることが特に好ましい。これにより、包装材料10内部への内容物の浸透をさらに効果的に抑制することができ、凝集力の低下によるデラミネーションをさらに効果的に防止することができる。
接着層Aの平均厚さは、0.1μm~20μmであることが好ましく、1μm~5μmであることがより好ましい。
【0025】
なお、前述した接着層Bは、接着層Aと同様に、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい層であることが好ましい。また、この場合、接着層Aと接着層Bとは、貯蔵弾性率が同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0026】
また、包装材料10で構成された容器に内容物を充填し、40℃で1週間保管した後の接着層Aを介して接着される2つの層(本実施形態ではバリア層2とヒートシール層3)の間の層間接着強度は、2.5N/15mm以上であることが好ましく、3.0N/15mm以上であることがより好ましい。これにより、凝集力の低下によるデラミネーションをさらに効果的に防止することができる。
【0027】
なお、図2に示すように、バリア層2とヒートシール層3との間に、中間層4が設けられていてもよい。その場合、バリア層2と中間層4の間の接着層X、ヒートシール層3と中間層4との間の接着層X’のうちの、少なくともいずれか一方が前述した接着層A、すなわち、「ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい層」であればよいが、接着層X及びX’の双方が「ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい層」であることが好ましく、接着層Bと接着層X及びX’の全てが「ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるウレタン系接着剤で構成される層であり、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい層」であることがより好ましい。この場合、全ての接着層の貯蔵弾性率は、全て同じであってもよいし、一部同じであってもよいし、全て異なっていてもよいが、全て同じであることが好ましい。また、各層を構成するウレタン系接着剤の組成比率は、同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0028】
中間層4としては、機械的強度の向上や耐ピンホール性の向上、内容物の浸透の抑制などという機能を備えた層であることが好ましい。
中間層4を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステル;及びこれらを形成するモノマーの共重合体等を挙げることができ、これらの中でも、ポリアミドやポリエステルを用いることが好ましい。
中間層4の平均厚さは、1μm~300μmであることが好ましく、10μm~50μmであることがより好ましい。
【0029】
以上、本発明の包装材料及び容器の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例0030】
以下、具体的な実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
1.接着剤の調製
表1の配合比で接着剤を調製した。
【0031】
【表1】
なお、ポリオール成分の30質量%濃度における粘度[mPa・s]は以下のようにして測定した。
まず、接着剤1~5の各ポリオール成分について、ポリオール成分の濃度が30質量%になるように酢酸エチルを添加して試料を調整した。
次に、調整した各試料の粘度をB形粘度計(東機産業株式会社製、TVB-10M)を使用し、スピンドルNo.M1を使用して液温24℃にて30rpmの条件で測定した。
【0032】
2.接着層の貯蔵弾性率G’の測定
表1の各接着剤を手塗り塗工用アプリケーターにて、ポリエチレンテレフタレート製のセパレーター(PETセパレーター)の剥離コート面にハンドコートした。
その後、100℃で2分間乾燥した。
次に、乾燥後の接着剤塗膜面上に別のPETセパレーターの剥離コート面を合わせて、PETセパレーター/接着剤塗膜/PETセパレーターのサンプルを作成した。
次に40℃で4日間エージングを行った。
エージング終了後、PETセパレーターから接着剤塗膜を剥がし、接着剤塗膜単体を得た。
得られた接着剤塗膜単体を重ね合わせて、1mm高の測定用接着層サンプルを作成した。
【0033】
測定用接着層サンプルを直径8mmの円に裁断し、試験片を作成した。
得られた試験片の動的粘弾性を下記粘弾性測定装置を用いて、下記条件にて測定し、23~40℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’を得た。表1に23℃における貯蔵弾性率G’を示し、図3に23~40℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’を示した。
図3から解るように、接着剤1及び2の23~40℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’は、1MPaよりも大きかった。一方、接着剤3~5の23~40℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’は、1MPa以下であった。
【0034】
(測定装置及び測定条件)
・測定装置:TA Instruments社製 粘弾性測定装置 Discoverry HR-2
・測定モード:Compression
・パラレルプレート:直径8mm
・印加周波数:10.0Hz
・法線応力:1.0N
・昇温速度:5.0℃/min
【0035】
2.包装材料の調製
(実施例1、2、比較例1~3)
表1に示す各接着剤を、基材層としてのニ軸延伸PETフィルム(東洋紡社製、製品名「T-4102」、厚さ:12μm)のコロナ処理を施した面に乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させ、接着層Bを作成した。
接着層Bの表面にバリア層としてのアルミ箔(東洋アルミニウム社製、製品名「1N30」、厚さ:7μm)をラミネートし、基材層/接着層B/バリア層の積層体1を得た。
【0036】
さらにバリア層の上に、接着層Bと同じ接着剤を乾燥後の厚さが3μmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させ、接着層Aを作成した。
接着層Aの表面に、ヒートシール層としてのLLDPEフィルム(東洋紡社製、製品名「L-4102」、厚さ:40μm)をラミネートし、基材層/接着層B/バリア層/接着層A/ヒートシール層の積層体2を得た。
その後、積層体2を40℃で4日間エージングを行い、包装材料を得た。
【0037】
3.層間接着強度の測定
(1)初期値の測定
実施例及び各比較例の包装材料から幅15mmの短冊状の試験片を切り出し、テンシロン引張試験機を用いて、バリア層とヒートシール層との間の初期の層間接着強度を測定した。測定は、23℃雰囲気下、測定速度:300mm/min、T字剥離の条件にて行った。
【0038】
(2)1週間保管後の測定
実施例及び各比較例の包装材料を横65mm×縦100mmの三方袋形状に製袋し、内容物としてエポキシ樹脂硬化剤を15g封入した。
エポキシ樹脂硬化剤を封入した包装袋(容器)を40℃の乾燥条件で1週間保管した。
1週間保管後の包装袋から幅15mmの短冊状の試験片を切り出し、テンシロン引張試験機を用いて、バリア層とヒートシール層との間の層間接着強度を測定した。測定は、23℃雰囲気下、測定速度:300mm/min、T字剥離の条件にて行った。
これらの結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPaよりも大きい接着層Aを備える各実施例の包装材料では、内容物を充填して40℃1週間保管した後の層間接着強度が2.5N/15mm以上であり、初期から保管後においても良好な接着強度を維持しており、優れた耐内容物性を有していることが解る。一方、23℃における貯蔵弾性率G’が1MPa以下である接着層Aを備える比較例1~3の包装材料では、内容物を充填して40℃1週間保管した後の層間接着強度が2.5N/15mm未満であり、満足な結果が得られなかった。
【符号の説明】
【0041】
1 基材
2 バリア層
3 ヒートシール層
4 中間層
A 接着層
B 接着層
X、X’ 接着層
10 包装材料

図1
図2
図3