(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035670
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】紫外線照射装置、印刷装置および紫外線照射装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 129
B41J2/01 301
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140272
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】竹花 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】古川 航大
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC26
2C056FB09
2C056HA44
2C056KD10
(57)【要約】
【課題】円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置で使用される紫外線照射装置において、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかを紫外線照射装置のオペレータが容易に把握することが可能な紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】この紫外線照射装置は、被印刷体を保持するとともに被印刷体の軸心を回転中心にして被印刷体を回転させる回転機構と、インクが付着した被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射する紫外線照射器と、紫外線照射装置のオペレータが被印刷体の外形の情報を入力するための入力部75と、紫外線照射装置の機械的な調整項目を表示するための表示部76とを備えている。入力部75において被印刷体の外形の情報が入力されると、表示部76は、紫外線照射装置の機械的な調整項目を表示可能になる。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置において使用される紫外線照射装置であって、
前記被印刷体を保持するとともに前記被印刷体の軸心を回転中心にして前記被印刷体を回転させる回転機構と、前記インクが付着した前記被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射する紫外線照射器と、前記紫外線照射装置のオペレータが前記被印刷体の外形の情報を入力するための入力部と、前記紫外線照射装置の機械的な調整項目を表示するための表示部とを備え、
前記入力部において前記被印刷体の外形の情報が入力されると、前記表示部は、前記調整項目を表示可能になることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
1つの前記調整項目の調整が終了したことを前記オペレータが入力するための入力キーを備え、
前記調整項目は、複数あり、
1つの前記調整項目の調整が終了して前記入力キーが押されると、前記表示部は、次の前記調整項目を表示することを特徴とする請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記被印刷体の上端部が配置される開口が形成されるとともに前記紫外線照射器を上側から覆うカバー部を有するカバーと、前記開口の一部を塞ぐための2個の第2カバーとを備え、
前記被印刷体の外周面には、前記被印刷体の上方から吐出された前記インクが着弾し、
前記紫外線照射器は、前記被印刷体の側方に配置され、前記被印刷体の側方から前記被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射し、
前記被印刷体の外形は、円錐台状または円錐状となっており、
上下方向から見たときの前記被印刷体の軸心に直交する方向を左右方向とすると、
2個の前記第2カバーのうちの一方の前記第2カバーは、左右方向の一方側から前記開口の一部を塞ぐことが可能になっており、他方の前記第2カバーは、左右方向の他方側から前記開口の一部を塞ぐことが可能になっており、
左右方向から見たときの水平方向に対する前記回転機構の角度と、前記紫外線照射器の高さと、前記紫外線照射器の左右方向の位置と、上下方向から見たときの前記被印刷体の軸心に対する前記紫外線照射器の角度と、前記カバーの高さと、2個の前記第2カバーのそれぞれの左右方向の位置と、上下方向から見たときの前記被印刷体の軸心に対する前記第2カバーの角度とが調整可能になっており、
前記調整項目には、左右方向から見たときの水平方向に対する前記回転機構の角度の調整と、前記紫外線照射器の高さの調整と、前記紫外線照射器の左右方向の位置および上下方向から見たときの前記被印刷体の軸心に対する前記紫外線照射器の角度の調整と、前記カバーの高さの調整と、2個の前記第2カバーの左右方向の位置および上下方向から見たときの前記被印刷体の軸心に対する前記第2カバーの角度の調整とが含まれていることを特徴とする請求項2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記入力部で入力された前記被印刷体の外形の情報に基づいて前記紫外線照射装置の所定の調整値を算出する調整値算出部を備え、
前記被印刷体の外周面には、前記被印刷体の上方から吐出された前記インクが着弾し、
前記被印刷体の外形は、円錐台状または円錐状となっており、
上下方向から見たときの前記被印刷体の軸心に直交する方向を左右方向とすると、
左右方向から見たときの水平方向に対する前記回転機構の角度が調整可能になっていて、前記調整項目には、左右方向から見たときの水平方向に対する前記回転機構の角度の調整が含まれており、
前記調整値算出部は、前記入力部で入力された前記被印刷体の外形の情報に基づいて、左右方向から見たときの水平方向に対する前記回転機構の調整後の角度を算出し、
前記表示部は、前記調整値算出部で算出された前記回転機構の調整後の角度を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記入力部で入力された前記被印刷体の外形の情報に基づいて前記紫外線照射装置の所定の調整値を算出する調整値算出部を備え、
前記被印刷体の外周面には、前記被印刷体の上方から吐出された前記インクが着弾し、
前記紫外線照射器は、前記被印刷体の側方に配置され、前記被印刷体の側方から前記被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射し、
前記紫外線照射器の高さが調整可能になっていて、前記調整項目には、前記紫外線照射器の高さの調整が含まれており、
前記調整値算出部は、前記入力部で入力された前記被印刷体の外形の情報に基づいて、前記紫外線照射器の調整後の高さを算出し、
前記表示部は、前記調整値算出部で算出された前記紫外線照射器の調整後の高さを表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の紫外線照射装置と、前記紫外線照射装置が載置されるテーブルと、前記被印刷体の上方に配置されるとともに前記被印刷体の外周面に向かって前記インクを吐出するインクジェットヘッドとを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項2または3記載の紫外線照射装置の調整方法であって、
前記オペレータは、前記表示部に表示される前記調整項目の調整を行い、その後、前記入力キーを押し、その後、前記表示部に表示される次の前記調整項目の調整を行うことを特徴とする紫外線照射装置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置において使用される紫外線照射装置に関する。また、本発明は、かかる紫外線照射装置を備える印刷装置に関する。さらに、本発明は、かかる紫外線照射装置の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを吸収しない筒状体の外周面にインクジェット方式で印刷を行うための印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の印刷装置は、樹脂製のチューブである筒状体が取り付けられる円柱状のマンドレルと、マンドレルの軸心を回転中心にしてマンドレルを回転させるモータと、筒状体の外周面に向かって紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクが付着した筒状体の外周面に向かって紫外線を照射する紫外線照射装置とを備えている。インクジェットヘッドは、筒状体の上方に配置されており、筒状体の外周面には、筒状体の上方から吐出されたインクが着弾する。紫外線照射装置は、筒状体の下方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置において使用される紫外線照射装置を開発している。この紫外線照射装置は、被印刷体を保持するとともに被印刷体の軸心を回転中心にして被印刷体を回転させる回転機構と、インクが付着した被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射する紫外線照射器とを備えている。この紫外線照射装置が使用される印刷装置では、たとえば、回転機構に保持される被印刷体の上方にインクジェットヘッドが配置されており、被印刷体の上方から吐出されたインクが被印刷体の外周面に着弾する。
【0005】
本願発明者は、開発中の紫外線照射装置において、たとえば、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体が使用される場合であっても、インクジェットヘッドの下面に形成されるノズル面と回転機構に保持される被印刷体の外周面との距離(ギャップ)を被印刷体の軸方向の全域で一定にして、被印刷体に対して適切な印刷を行うことを可能にするために、回転機構に保持される被印刷体の軸心の、水平方向に対する角度の調整を可能にすることを検討している。
【0006】
すなわち、本願発明者は、開発中の紫外線照射装置において、回転機構の、水平方向に対する角度の調整を可能にすることを検討している。また、本願発明者は、開発中の紫外線照射装置において、たとえば、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体が使用される場合であっても、被印刷体に付着したインクを硬化させる上でより適切な位置に紫外線照射器を配置することを可能にするため、紫外線照射器の高さの調整や紫外線照射器の水平方向の位置の調整を可能にすることを検討している。
【0007】
このように、本願発明者は、開発中の紫外線照射装置において、紫外線照射装置の機械的な調整を可能にすることを検討している。かかる紫外線照射装置においては、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかを紫外線照射装置のオペレータが容易に把握できるようになっていることが好ましい。
【0008】
そこで、本発明の課題は、円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置で使用される紫外線照射装置において、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかを紫外線照射装置のオペレータが容易に把握することが可能な紫外線照射装置を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる紫外線照射装置を備える印刷装置を提供することにある。さらに、本発明の課題は、かかる紫外線照射装置の調整方法を提供することにある。
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の紫外線照射装置は、円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置において使用される紫外線照射装置であって、被印刷体を保持するとともに被印刷体の軸心を回転中心にして被印刷体を回転させる回転機構と、インクが付着した被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射する紫外線照射器と、紫外線照射装置のオペレータが被印刷体の外形の情報を入力するための入力部と、紫外線照射装置の機械的な調整項目を表示するための表示部とを備え、入力部において被印刷体の外形の情報が入力されると、表示部は、調整項目を表示可能になることを特徴とする。
【0010】
本発明の紫外線照射装置は、紫外線照射装置のオペレータが被印刷体の外形の情報を入力するための入力部と、紫外線照射装置の機械的な調整項目を表示するための表示部とを備えており、入力部において被印刷体の外形の情報が入力されると、表示部は、紫外線照射装置の機械的な調整項目を表示可能になる。そのため、本発明では、表示部に表示される調整項目をオペレータが目視で確認することで、オペレータは、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかを把握することが可能になる。すなわち、本発明では、オペレータは、紫外線照射装置の操作マニュアルを確認しなくても、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかを把握することが可能になる。したがって、本発明では、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかをオペレータが容易に把握することが可能になる。
【0011】
本発明において、紫外線照射装置は、1つの調整項目の調整が終了したことをオペレータが入力するための入力キーを備え、調整項目は、複数あり、1つの調整項目の調整が終了して入力キーが押されると、表示部は、次の調整項目を表示することが好ましい。このように構成すると、調整項目が複数あっても、1つの調整項目の調整が終了してオペレータが入力キーを押すたびに、表示部に表示される調整項目をオペレータが目視で確認することで、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかをオペレータが容易に把握することが可能になる。また、このように構成すると、オペレータは、表示部の表示にしたがって紫外線照射装置の機械的な調整を順次行えば良くなるため、調整項目が複数あっても、紫外線照射装置の調整を手際良く円滑に行うことが可能になる。
【0012】
本発明において、紫外線照射装置は、たとえば、被印刷体の上端部が配置される開口が形成されるとともに紫外線照射器を上側から覆うカバー部を有するカバーと、開口の一部を塞ぐための2個の第2カバーとを備え、被印刷体の外周面には、被印刷体の上方から吐出されたインクが着弾し、紫外線照射器は、被印刷体の側方に配置され、被印刷体の側方から被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射し、被印刷体の外形は、円錐台状または円錐状となっており、上下方向から見たときの被印刷体の軸心に直交する方向を左右方向とすると、2個の第2カバーのうちの一方の第2カバーは、左右方向の一方側から開口の一部を塞ぐことが可能になっており、他方の第2カバーは、左右方向の他方側から開口の一部を塞ぐことが可能になっており、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構の角度と、紫外線照射器の高さと、紫外線照射器の左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する紫外線照射器の角度と、カバーの高さと、2個の第2カバーのそれぞれの左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する第2カバーの角度とが調整可能になっており、調整項目には、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構の角度の調整と、紫外線照射器の高さの調整と、紫外線照射器の左右方向の位置および上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する紫外線照射器の角度の調整と、カバーの高さの調整と、2個の第2カバーの左右方向の位置および上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する第2カバーの角度の調整とが含まれている。
【0013】
この場合には、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構の角度が調整可能になっているため、紫外線照射装置が使用される印刷装置において、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体に印刷が行われる場合であっても、インクジェットヘッドのノズル面と回転機構に保持される被印刷体の外周面との距離(ギャップ)を被印刷体の軸方向の全域で一定にして、被印刷体に対して適切な印刷を行うことが可能になる。また、この場合には、紫外線照射器の高さと、紫外線照射器の左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する紫外線照射器の角度とが調整可能になっているため、被印刷体に付着したインクを硬化させる上でより適切な位置に紫外線照射器を配置することが可能になる。
【0014】
さらに、この場合には、カバーの高さが調整可能になっているため、被印刷体の外径が変わる場合であっても、被印刷体の外径に合わせて、カバーの上下方向の位置を調整することが可能になる。また、被印刷体の外径に合わせて、カバーの上下方向の位置を調整することで、カバー部の開口の縁と被印刷体との隙間を必要最小限の隙間にすることが可能になる。したがって、被印刷体の外径が変わる場合であっても、インクジェットヘッドのノズル面に紫外線が照射されるのをカバー部によって抑制することが可能になる。
【0015】
また、この場合には、2個の第2カバーのそれぞれの左右方向の位置と上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する第2カバーの角度とが調整可能になっているため、被印刷体の外径や外形が変わる場合であっても、被印刷体の外径や外形に合わせて、2個の第2カバーの左右方向の位置と上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する第2カバーの角度とを調整することが可能になる。また、被印刷体の外径や外形に合わせて、2個の第2カバーの左右方向の位置と上下方向から見たときの被印刷体の軸心に対する第2カバーの角度とを調整することで、第2カバーの端面と被印刷体との隙間を必要最小限の隙間にすることが可能になる。したがって、被印刷体の外径や外形が変わる場合であっても、インクジェットヘッドのノズル面に紫外線が照射されるのを第2カバー部によって抑制することが可能になる。
【0016】
本発明において、紫外線照射装置は、入力部で入力された被印刷体の外形の情報に基づいて紫外線照射装置の所定の調整値を算出する調整値算出部を備え、被印刷体の外周面には、被印刷体の上方から吐出されたインクが着弾し、被印刷体の外形は、円錐台状または円錐状となっており、上下方向から見たときの被印刷体の軸心に直交する方向を左右方向とすると、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構の角度が調整可能になっていて、調整項目には、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構の角度の調整が含まれており、調整値算出部は、入力部で入力された被印刷体の外形の情報に基づいて、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構の調整後の角度を算出し、表示部は、調整値算出部で算出された回転機構の調整後の角度を表示することが好ましい。このように構成すると、オペレータが回転機構の調整後の角度を算出しなくても、オペレータは、表示部に表示される回転機構の調整後の角度を目視で確認することで、回転機構の調整後の角度を容易に把握することが可能になる。したがって、オペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0017】
本発明において、紫外線照射装置は、入力部で入力された被印刷体の外形の情報に基づいて紫外線照射装置の所定の調整値を算出する調整値算出部を備え、被印刷体の外周面には、被印刷体の上方から吐出されたインクが着弾し、紫外線照射器は、被印刷体の側方に配置され、被印刷体の側方から被印刷体の外周面に向かって紫外線を照射し、紫外線照射器の高さが調整可能になっていて、調整項目には、紫外線照射器の高さの調整が含まれており、調整値算出部は、入力部で入力された被印刷体の外形の情報に基づいて、紫外線照射器の調整後の高さを算出し、表示部は、調整値算出部で算出された紫外線照射器の調整後の高さを表示することが好ましい。このように構成すると、オペレータが紫外線照射器の調整後の高さを算出しなくても、オペレータは、表示部に表示される紫外線照射器の調整後の高さを目視で確認することで、紫外線照射器の調整後の高さを容易に把握することが可能になる。したがって、オペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0018】
本発明の紫外線照射装置は、紫外線照射装置が載置されるテーブルと、被印刷体の上方に配置されるとともに被印刷体の外周面に向かってインクを吐出するインクジェットヘッドとを備える印刷装置に用いることができる。この印刷装置では、表示部に表示される調整項目をオペレータが目視で確認することで、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかをオペレータが容易に把握することが可能になる。
【0019】
本発明の紫外線照射装置の調整方法では、たとえば、オペレータは、表示部に表示される調整項目の調整を行い、その後、入力キーを押し、その後、表示部に表示される次の調整項目の調整を行う。この場合には、調整項目が順次、表示部に表示されるため、調整項目が複数あっても、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかをオペレータが容易に把握することが可能になる。また、この調整方法で紫外線照射装置を調整すれば、表示部の表示にしたがって紫外線照射装置の機械的な調整を順次行えば良いため、調整項目が複数あっても、紫外線照射装置の調整を手際良く円滑に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明では、円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための印刷装置で使用される紫外線照射装置において、紫外線照射装置のどのような機械的な調整が必要になるのかを紫外線照射装置のオペレータが容易に把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる印刷装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3】
図2に示す紫外線照射装置の構成を説明するための正面図である。
【
図4】
図3に示す回転機構およびその周辺部の構成を説明するための側面図である。
【
図5】
図3に示す回転機構およびその周辺部の構成を説明するための側面図である。
【
図6】
図4のE部の構成を説明するための拡大図である。
【
図7】
図3に示す紫外線照射器およびその周辺部の構成を説明するための側面図である。
【
図8】
図5に示す円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体の印刷を行うときの紫外線照射器等の状態を説明するための平面図である。
【
図9】
図3に示すカバー、第2カバー、カバー位置調整機構および第3カバー等の平面図である。
【
図10】
図9に示すカバー、第2カバー、カバー位置調整機構および第3カバー等の側面図である。
【
図11】
図9に示すカバー、第2カバー、カバー位置調整機構および第3カバー等の正面図である。
【
図12】
図11に示すカバー上部とカバー下部とが分離された状態を示す正面図である。
【
図13】(A)は、
図10のF部の構成を説明するための拡大図であり、(B)は、
図10のG部の構成を説明するための拡大図である。
【
図14】
図9に示すカバー部および第2カバーと被印刷体との配置関係を説明するための正面図である。
【
図15】
図4のE部の構成を説明するための平面図である。
【
図16】
図3に示す紫外線照射装置の機械的な調整を行うための構成を示すブロック図である。
【
図17】
図3に示す紫外線照射装置の機械的な調整の手順を説明するための工程図である。
【
図18】本発明の他の実施の形態にかかる回転機構の周辺部の構成を説明するための側面図である。
【
図19】
図18(A)のG-G方向から回転機構の周辺部の構成を説明するための図である。
【
図20】
図19のH-H方向から支持フレームおよび係合部材等を示す側面図である。
【
図21】
図19のJ-J断面の構成を説明するための図である。
【
図22】
図19のK-K断面の構成を説明するための図である。
【
図23】本発明の他の実施の形態にかかる紫外線照射器の周辺部の構成を説明するための側面図である。
【
図24】
図23のM-M方向から紫外線照射器の周辺部の構成を説明するための図である。
【
図25】
図24のN-N断面の構成を説明するための図である。
【
図26】本発明の他の実施の形態にかかるカバー部の構成を説明するための平面図である。
【
図27】本発明の他の実施の形態にかかるカバーの構成を説明するための側面図である。
【
図28】本発明の他の実施の形態にかかる第3カバーの構成を説明するための拡大側面図である。
【
図29】本発明の他の実施の形態にかかる紫外線照射装置の構成を説明するための正面図である。
【
図30】
図29のP-P方向から紫外線照射装置の一部の構成を示す底面図である。
【
図31】本発明の他の実施の形態にかかる回転機構の構成を説明するための平面図である。
【
図33】
図31のR部の構成を説明するための拡大平面図である。
【
図34】
図31のR部の構成を説明するための拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(印刷装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる印刷装置1の概略構成を示す正面図である。
【0024】
本形態の印刷装置1は、円柱状、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の外周面に紫外線硬化型のインクを用いて印刷を行うための装置であり、たとえば、業務用のインクジェットプリンタである。被印刷体2は、たとえば、筒状に形成されている。すなわち、被印刷体2は、円筒状、円錐台筒状または円錐筒状に形成されている。また、被印刷体2は、たとえば、樹脂で形成されている。印刷装置1では、外径や長さが異なる複数種類の被印刷体2の印刷を行うことが可能になっている。たとえば、印刷装置1で印刷可能な被印刷体2の外径は、40~110(mm)となっている。
【0025】
印刷装置1は、被印刷体2の外周面に向かって紫外線硬化型のインクを吐出するインクジェットヘッド3と、被印刷体2の外周面に吐出されたインクを硬化させるための紫外線照射装置4と、紫外線照射装置4が載置されるテーブル5を有するステージ6と、インクジェットヘッド3が搭載されるキャリッジ7と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジ7を保持するYバー8と、上下方向(鉛直方向)と主走査方向とに直交する副走査方向への移動が可能となるようにステージ6を保持する本体フレーム9とを備えている。
【0026】
また、印刷装置1は、Yバー8に対してキャリッジ7を主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構11と、本体フレーム9に対してステージ6を副走査方向に移動させるステージ駆動機構12と、テーブル5を昇降させるテーブル昇降機構13とを備えている。キャリッジ駆動機構11は、たとえば、モータと、モータの動力をキャリッジ7に伝達するベルトおよびプーリ等の動力伝達機構とを備えている。ステージ駆動機構12は、たとえば、モータと、モータの動力をステージ6に伝達するベルトおよびプーリ等の動力伝達機構とを備えている。テーブル昇降機構13は、たとえば、モータと、モータの動力をテーブル5に伝達するボールねじ等の動力伝達機構とを備えている。
【0027】
テーブル5の上面は、上下方向に直交する平面となっている。テーブル5に載置される紫外線照射装置4は、インクジェットヘッド3よりも下側に配置されている。被印刷体2は、紫外線照射装置4に保持されており、インクジェットヘッド3の下方に配置されている。すなわち、インクジェットヘッド3は、被印刷体2の上方に配置されている。インクジェットヘッド3は、下側に向かってインクを吐出する。
【0028】
インクジェットヘッド3が吐出したインクは、被印刷体2の上端部において被印刷体2の外周面に着弾する。すなわち、被印刷体2の外周面には、被印刷体2の上方から吐出されたインクが着弾する。インクジェットヘッド3の下面は、インクを吐出する複数のノズルが配列されるノズル面となっている。インクジェットヘッド3のノズル面と被印刷体2の上端との距離(ギャップ)は、たとえば、2(mm)である。
【0029】
(紫外線照射装置の全体構成)
図2は、
図1に示す紫外線照射装置4の平面図である。
図3は、
図2に示す紫外線照射装置4の構成を説明するための正面図である。
【0030】
紫外線照射装置4は、被印刷体2を保持するとともに被印刷体2の軸心を回転中心にして被印刷体2を回転させる回転機構16を備えている。本形態では、円柱状の外形を有する被印刷体2に印刷を行うときには、被印刷体2の軸心の方向は水平方向と平行になっている。一方、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2に印刷を行うときには、被印刷体2の軸心の方向は水平方向に対して傾いている。このときの水平方向に対する被印刷体2の軸心の方向の傾斜角度は、それほど大きくなく、たとえば、最大でも15°程度である。
【0031】
以下の説明では、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心の方向(
図2等のX方向)を前後方向とし、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に直交する方向(
図2等のY方向)を左右方向とする。すなわち、水平方向であって、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心の方向を前後方向とし、水平方向であって、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に直交する方向を左右方向とする。また、以下では、前後方向の一方側である
図2等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図2等のX2方向側を「後ろ」側とし、左右方向の一方側である
図2等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である
図2等のY2方向側を「左」側とする。
【0032】
本形態では、左右方向と主走査方向とが一致するように(すなわち、前後方向と副走査方向とが一致するように)、紫外線照射装置4がテーブル5に載置されている。なお、本形態では、インクジェットヘッド3を一定位置に停止させた状態で回転機構16によって被印刷体2を回転させながら被印刷体2に印刷を行う。また、本形態では、被印刷体2の長さ(軸心の方向の長さ)がインクジェットヘッド3の前後方向の幅よりも長くなっているため、被印刷体2の印刷を行うときには、テーブル5を段階的に前後方向(副走査方向)に移動させる。
【0033】
紫外線照射装置4は、インクが付着した被印刷体2の外周面に向かって紫外線を照射する紫外線照射器17と、紫外線照射器17を上側から覆うカバー部18aを有するカバー18とを備えている。カバー部18aには、被印刷体2の上端部が配置される開口18bが形成されている。紫外線照射器17は、被印刷体2の側方に配置されている。具体的には、紫外線照射器17は、被印刷体2の左側に配置されている。紫外線照射器17は、被印刷体2の側方から被印刷体2に紫外線を照射する。すなわち、紫外線照射器17は、被印刷体2の左側から被印刷体2に紫外線を照射する。
【0034】
本形態では、被印刷体2の印刷を行うときに、回転機構16は、前側から見たときの反時計回りの方向に被印刷体2を回転させる。また、上述のように、紫外線照射器17は、被印刷体2の左側に配置されている。すなわち、紫外線照射器17は、被印刷体2の側方に配置されるとともに、回転機構16による被印刷体2の回転方向において、被印刷体2の外周面へのインクの着弾地点の下流側に配置されている。また、紫外線照射器17は、被印刷体2の左側から被印刷体2に紫外線を照射する。そのため、被印刷体2の上端部において被印刷体2にインクが着弾した後、被印刷体2が180°回転する前に、被印刷体2の外周面の、インクが着弾した部分に紫外線が照射される。
【0035】
また、紫外線照射装置4は、左右方向の外側から開口18bの一部を塞ぐための2個の第2カバー20と、2個の第2カバー20のそれぞれの左右方向の位置を調整するためのカバー位置調整機構21とを備えている。すなわち、2個の第2カバー20のそれぞれの左右方向の位置は調整可能になっている。本形態の紫外線照射装置4は、4個のカバー位置調整機構21を備えている。さらに、紫外線照射装置4は、開口18bの前後方向の一部を塞ぐ第3カバー22を備えている。第3カバー22は、カバー部18aに載置されている。また、紫外線照射装置4は、回転機構16に被印刷体2が保持されていることを検知するための第1検知機構23(
図6参照)と、カバー部18aに第3カバー22が載置されていることを検知するための第2検知機構24(
図15等参照)とを備えている。なお、
図3では、第3カバー22の図示を省略している。
【0036】
(回転機構および回転機構の周辺部の構成)
図4、
図5は、
図3に示す回転機構16およびその周辺部の構成を説明するための側面図である。
図6は、
図4のE部の構成を説明するための拡大図である。
【0037】
回転機構16は、被印刷体2の一端を保持する第1回転部27と、第1回転部27を回転可能に保持する第1保持部28と、第1回転部27を回転させるためのモータ29と、第1回転部27とモータ29とを連結する動力伝達機構30と、被印刷体2の他端を保持する第2回転部32と、第2回転部32を回転可能に保持する第2保持部33と、左右方向を回動の軸方向とする第2保持部33の回動が可能となるように第2保持部33を回動可能に保持する第3保持部34と、第2保持部33が第1保持部28側に傾く方向に第3保持部34に対して第2保持部33を付勢する圧縮コイルバネ35(
図6(A)参照)とを備えている。
【0038】
第1回転部27および第2回転部32は、被印刷体2と一緒に回転する。第1回転部27は、被印刷体2の後端を保持し、第2回転部32は、被印刷体2の前端を保持している。第1回転部27、第1保持部28、モータ29および動力伝達機構30は、被印刷体2の後ろ側に配置されている。第2回転部32、第2保持部33、第3保持部34および圧縮コイルバネ35は、被印刷体2の前側に配置されている。動力伝達機構30は、ベルトおよびプーリによって構成されている。なお、動力伝達機構30は、歯車列によって構成されていても良い。
【0039】
第2保持部33は、第3保持部34の上端部に回動可能に連結されている。第2保持部33は、第3保持部34の上端部の後端側に配置される回動中心軸37を中心にして第3保持部34に対して回動可能となっている。圧縮コイルバネ35は、回動中心軸37よりも前側に配置されている。圧縮コイルバネ35は、第2保持部33に下側から接触しており、第2保持部33を上側に向かって付勢している。すなわち、第2保持部33は、圧縮コイルバネ35によって、回動中心軸37を中心にして、
図6の時計回りの方向に付勢されている。
【0040】
回転機構16に被印刷体2が取り付けられていないときには、第2保持部33は、圧縮コイルバネ35の付勢力によって第1保持部28側に傾いている(
図6(C)参照)。すなわち、回転機構16に被印刷体2が取り付けられていないときには、第1回転部27の軸心に対して、第2回転部32の軸心が傾いている。回転機構16に被印刷体2が取り付けられると、第2保持部33は、圧縮コイルバネ35の付勢力に抗して、第2回転部32の軸心と被印刷体2の軸心とが一致する位置まで回動する。
【0041】
第3保持部34は、被印刷体2の軸心の方向に移動可能になっており、被印刷体2の軸心の方向における第3保持部34の位置が調整可能になっている。本形態では、被印刷体2の長さに応じて、被印刷体2の軸心の方向における第2回転部32、第2保持部33および第3保持部34の位置が調整される。また、本形態では、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の傾きが調整可能になっている。すなわち、水平方向に対する被印刷体2の軸心の傾きが調整可能となっている。本形態では、
図5に示すように、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の外周面に印刷を行うときに回転機構16の傾きが調整される。
【0042】
回転機構16は、被印刷体2の軸心の方向に第3保持部34を案内するためのガイドレール38と、ガイドレール38に係合するとともに第3保持部34が固定されるガイドブロック39と、ガイドレール38が固定される回動フレーム40とを備えている。回動フレーム40は、被印刷体2の軸心の方向に細長い長尺状に形成されている。第1保持部28の下端部は、回動フレーム40に固定されている。すなわち、第1回転部27は、第1保持部28を介して回動フレーム40に回転可能に取り付けられている。
【0043】
ガイドブロック39は、ガイドレール38に上側から係合している。ガイドブロック39は、第2保持部33よりも下側に配置されている。ガイドブロック39には、第3保持部34が固定されている。すなわち、第2回転部32は、第2保持部33、第3保持部34、ガイドブロック39およびガイドレール3を介して回動フレーム40に回転可能に取り付けられている。ガイドブロック39は、第3保持部34と一緒に被印刷体2の軸心の方向に移動する。
【0044】
回動フレーム40には、被印刷体2の軸心の方向に細長いネジ挿通穴(図示省略)が形成されている。ネジ挿通穴には、第3保持部34を回動フレーム40に固定するための固定用ネジ46(
図15参照)が挿通されている。第3保持部34には、固定用ネジ46が係合するネジ穴が形成されている。固定用ネジ46を緩めると、ガイドレール38に沿って被印刷体2の軸心の方向に第2回転部32、第2保持部33および第3保持部34を移動させることが可能になる。
【0045】
回動フレーム40は、紫外線照射装置4の底面を構成する下部フレーム41に対して回動可能となっている。具体的には、回動フレーム40は、左右方向を回動の軸方向として下部フレーム41に対して回動可能となっている。また、回動フレーム40は、紫外線照射装置4の後端側に配置される回動中心軸42を中心にして回動可能となっている。下部フレーム41の後端部には、支持フレーム43が固定されている。支持フレーム43には、回動中心軸42が取り付けられている。支持フレーム43は、左右方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。具体的には、支持フレーム43は、回動フレーム40の左右方向の両端側に配置されている。
【0046】
下部フレーム41の前端部には、ガイドフレーム44が固定されている。ガイドフレーム44には、回動フレーム40の回動方向に回動フレーム40を案内するためのガイド穴44aが形成されている。ガイド穴44aは、左右方向でガイドフレーム44を貫通している。左右方向から見たときのガイド穴44aの形状は、回動中心軸42を回動中心とする円弧状となっている。ガイドフレーム44は、左右方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。具体的には、ガイドフレーム44は、回動フレーム40の左右方向の両端側に配置されている。
【0047】
ガイド穴44aには、回動フレーム40の前端部をガイドフレーム44に固定するための固定用ネジ45が挿通されている。固定用ネジ45は、つまみネジである。回動フレーム40の前端部には、固定用ネジ45が係合するネジ穴が形成されている。固定用ネジ45を緩めると、回動中心軸42を中心にして、下部フレーム41、支持フレーム43およびガイドフレーム44に対して回動フレーム40を回動させることが可能になる。また、回動フレーム40を回動させることで、水平方向に対する回転機構16の傾きが調整される。
【0048】
本形態では、円柱状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときには、
図4に示すように、被印刷体2の軸心の方向と前後方向とが一致するように回動フレーム40が固定されている。すなわち、円柱状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときには、被印刷体2の軸心は水平面上に配置されている。また、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときには、
図5に示すように、被印刷体2の上端が前後方向と平行になるように、回転機構16の傾きが調整されて、回動フレーム40が固定される。
【0049】
(紫外線照射器および紫外線照射器の周辺部の構成)
図7は、
図3に示す紫外線照射器17およびその周辺部の構成を説明するための側面図である。
図8は、
図5に示す円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときの紫外線照射器17等の状態を説明するための平面図である。
【0050】
紫外線照射器17は、紫外線(紫外光)を射出する多数のLEDチップが実装されるLED基板48を備えている。LED基板48は、細長い長方形の平板状に形成されている。LED基板48は、左右方向から見たときに長方形状に形成されるLED基板48の短辺方向と上下方向とが一致し、LED基板48の長辺方向と前後方向とが一致するように配置されている。上述のように、紫外線照射器17は、被印刷体2の左側に配置されている。紫外線照射器17は、右側に向かって紫外線を射出する。本形態では、紫外線照射器17の上下方向の位置が調整可能になっている。また、紫外線照射器17の左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の傾きとが調整可能になっている。
【0051】
紫外線照射器17は、保持部49に固定されている。紫外線照射器17が取り付らけれた保持部49は、載置部50に載置されている。載置部50の上面は、上下方向に直交する平面となっている。載置部50には、互いに平行な一対のリンク部材51の一端部が回動可能に連結されている。リンク部材51の他端部は、下部フレーム41に固定される保持フレーム52に回動可能に連結されている。保持フレーム52は、載置部50よりも下側に配置されている。
【0052】
リンク部材51は、左右方向を回動の軸方向として載置部50および保持フレーム52に対して回動可能になっている。一対のリンク部材51は、左右方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。具体的には、
図3に示すように、一対のリンク部材51は、載置部50および保持フレーム52の左右方向の両端側に配置されている。本形態では、載置部50とリンク部材51と保持フレーム52とによって平行リンク機構が形成されている。
【0053】
保持フレーム52の前端部には、ガイドフレーム53が固定されている。ガイドフレーム53には、載置部50を上下方向に案内するためのガイド穴53aが形成されている。ガイド穴53aは、左右方向でガイドフレーム53を貫通している。ガイド穴53aは、円弧状に形成されている。ガイドフレーム53は、左右方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。具体的には、ガイドフレーム53は、載置部50および保持フレーム52の左右方向の両端側に配置されている。
【0054】
ガイド穴53aには、載置部50の前端部をガイドフレーム53に固定するための固定用ネジ54が挿通されている。固定用ネジ54は、つまみネジである。載置部50の前端部には、固定用ネジ54が係合するネジ穴が形成されている。固定用ネジ54を緩めると、下部フレーム41、保持フレーム52およびガイドフレーム53に対して載置部50を昇降させることが可能になる。また、載置部50を昇降させることで、紫外線照射器17の上下方向の位置が調整される。本形態では、被印刷体2の外周面の最適な箇所に紫外線が照射されるように、被印刷体2の外形に応じて紫外線照射器17の上下方向の位置が調整される。
【0055】
保持部49の下面には、シート状の永久磁石であるマグネットシート55が貼り付けられている。載置部50の上面を構成する部材は、磁性を有する金属材料で形成された磁性部材となっている。保持部49は、マグネットシート55と載置部50の上面との間に生じる磁気的吸着力によって載置部50の上面に固定されている。本形態では、磁気的吸着力によって載置部50の上面に固定される保持部49を左右方向に移動させることで、紫外線照射器17の左右方向の位置が調整される。また、磁気的吸着力によって載置部50の上面に固定される保持部49を水平面内において傾けることで、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の傾きが調整される。
【0056】
本形態では、円柱状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときには、紫外線照射器17の紫外線の射出面が前後方向と平行になるように紫外線照射器17が設置される。また、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときには、
図8に示すように、紫外線照射器17の紫外線の射出面が被印刷体2の左端と平行になるように、紫外線照射器17の傾きが調整されて、紫外線照射器17が設置される。
【0057】
(カバー、第2カバー、カバー位置調整機構および第3カバーの構成)
図9は、
図3に示すカバー18、第2カバー20、カバー位置調整機構21および第3カバー22等の平面図である。
図10は、
図9に示すカバー18、第2カバー20、カバー位置調整機構21および第3カバー22等の側面図である。
図11は、
図9に示すカバー18、第2カバー20、カバー位置調整機構21および第3カバー22等の正面図である。
図12は、
図11に示すカバー上部58とカバー下部59とが分離された状態を示す正面図である。
図13(A)は、
図10のF部の構成を説明するための拡大図であり、
図13(B)は、
図10のG部の構成を説明するための拡大図である。
図14は、
図9に示すカバー部18aおよび第2カバー20と被印刷体2との配置関係を説明するための正面図である。
【0058】
カバー18は、カバー部18aを含むカバー上部58と、カバー上部58が上端側に取り付けられるカバー下部59とを備えている。本形態のカバー18は、1個のカバー上部58と2個のカバー下部59とによって構成されている。2個のカバー下部59は、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。右側に配置されるカバー下部59は、カバー上部58の右端部を下側から支持し、左側に配置されるカバー下部59は、カバー上部58の左端部を下側から支持している。本形態では、カバー18の上下方向の位置が調整可能となっている。具体的には、カバー下部59の上下方向の位置が調整可能となっている。
【0059】
カバー部18aは、長方形の平板状に形成されている。カバー部18aは、カバー部18aの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、カバー部18aは、カバー部18aの長辺方向と前後方向とが一致するように配置されている。カバー部18aは、カバー18の上面を構成するとともにカバー上部58の上面を構成している。
【0060】
開口18bは、上下方向でカバー部18aを貫通する貫通穴である。開口18bは、前後方向に細長い長方形状に形成されている。開口18bの前後方向の長さは、印刷装置1で印刷が行われる被印刷体2の中で最も長い被印刷体2の長さよりも長くなっている。カバー部18aの上面には、左右方向において第3カバー22を位置決めするためのガイド板60が固定されている。ガイド板60は、前後方向に細長い長方形の平板状に形成されている。ガイド板60は、左右方向において間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。2枚のガイド板60は、左右方向において開口18bを挟むように配置されている。
【0061】
カバー上部58は、カバー上部58の前後方向の側面を構成する平板状の2個の側板部58aと、カバー上部58の左右方向の側面を構成する平板状の2個の側板部58bとを備えている。側板部58aは、側板部58aの厚さ方向と前後方向とが一致するように配置され、側板部58bは、側板部58bの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。側板部58aは、カバー部18aの前後方向の両端に繋がり、側板部58bは、カバー部18aの左右方向の両端に繋がっている。
【0062】
また、カバー上部58は、カバー位置調整機構21の一部を構成する後述の押付部材68が取り付けられる取付部58cと、第2カバー20を保持する保持部58dとを備えている。取付部58cは、前後方向に細長い略長方形の平板状に形成されている。取付部58cは、取付部58cの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。取付部58cは、カバー部18aの下側に配置されている。また、取付部58cは、カバー上部58の右端部と左端部との2箇所に配置されている。取付部58cの下面には、シート状の永久磁石であるマグネットシート61が貼り付けられている。すなわち、カバー上部58は、マグネットシート61を備えている。
【0063】
保持部58dは、カバー上部58の後端部において左右方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されるとともに、カバー上部58の前後方向の中心よりも前側において左右方向に間隔をあけた状態で2箇所に配置されている。カバー上部58の後端部に配置される2個の保持部58dは、左右方向において開口18bの両側に配置されている。同様に、カバー上部58の前後方向の中心よりも前側に配置される2個の保持部58dは、左右方向において開口18bの両側に配置されている。
【0064】
保持部58dは、カバー部18aの下面に固定される平板状の固定板62と、固定板62の下面に固定される平板状の載置板63とから構成されている。載置板63は、固定板62よりも前後方向の内側に突出している。載置板63の上面は、上下方向に直交する平面となっている。
図13に示すように、カバー部18aの下面と載置板63の上面との間には隙間が形成されている。この隙間には、第2カバー20の前後方向の両端部が配置されている。
【0065】
カバー下部59は、磁性材料で形成されている。たとえば、カバー下部59は、磁性を有する金属材料で形成されている。カバー下部59は、固定フレーム64に固定されている。固定フレーム64の下端部は、下部フレーム41に固定されている。固定フレーム64は、下部フレーム41の右前端、右後端、左前端および左後端の4箇所に固定されている。カバー下部59は、固定フレーム64に固定される被固定部59aと、取付部58cが載置される載置部59bとを備えている。
【0066】
載置部59bは、前後方向に細長い長方形の平板状に形成されている。載置部59bは、載置部59bの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。載置部59bは、カバー下部59の上面を構成している。上述のように、カバー下部59は磁性材料で形成されている。すなわち、載置部59bは磁性材料で形成されている。カバー上部58は、マグネットシート61と載置部59bの上面との間に生じる磁気的吸着力によって載置部59bの上面に固定されている。すなわち、カバー上部58は、マグネットシート61と載置部59bの上面との間に生じる磁気的吸着力によってカバー下部59に取り付けられている。
【0067】
本形態では、カバー下部59に取り付けられるカバー上部58は、側板部58bの左右方向の内側面および載置部59bの端面等によってカバー下部59に対して水平方向で位置決めされる。そのため、カバー下部59にカバー上部58を取り付けると、カバー下部59に対してカバー上部58が水平方向で自動的に位置決めされる。
【0068】
被固定部59aは、カバー下部59の前端部と後端部との2箇所に配置されている。
図10に示すように、被固定部59aには、固定フレーム64に対してカバー下部59を上下方向に案内するためのガイド穴59cが形成されている。ガイド穴59cは、左右方向で被固定部59aを貫通している。ガイド穴59cは、上下方向に細長い長穴状に形成されている。ガイド穴59cには、カバー下部59を固定フレーム64に固定するための固定用ネジ65が挿通されている。固定フレーム64には、固定用ネジ65が係合するネジ穴が形成されている。
【0069】
固定用ネジ65を緩めると、下部フレーム41および固定フレーム64に対してカバー下部59を昇降させることが可能になる。また、カバー下部59を昇降させることで、カバー下部59の上下方向の位置が調整される。すなわち、固定用ネジ65を緩めると、下部フレーム41および固定フレーム64に対してカバー18を昇降させることが可能になり、カバー18を昇降させることで、カバー18の上下方向の位置が調整される。
【0070】
第2カバー20は、主として、前後方向に細長い略長方形の平板状に形成される平板部によって構成されている。第2カバー20の平板部は、第2カバー20の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。第2カバー20の平板部の下面には、起毛処理が施されている。第2カバー20は、カバー部18aの下側に配置されている。上述のように、カバー部18aの下面と載置板63の上面との間の隙間に、第2カバー20の前後方向の両端部が配置されており、第2カバー20は、カバー18に保持されている。具体的には、第2カバー20は、カバー上部58に保持されている。また、第2カバー20は、左右方向へのスライドが可能となるようにカバー18に保持されている。
【0071】
第2カバー20の前後方向の長さは、開口18bの前後方向の長さよりも短くなっている。前後方向において、第2カバー20の後端と開口18bの後端とはほぼ同じ位置に配置されている。2枚の第2カバー20のうちの一方の第2カバー20は、開口18bの左右方向の中心よりも右側に配置されており、右側から開口18bの一部を塞ぐことが可能になっている。他方の第2カバー20は、開口18bの左右方向の中心よりも左側に配置されており、左側から開口18bの一部を塞ぐことが可能になっている。
【0072】
カバー位置調整機構21は、2枚の第2カバー20の前端部の左右方向の外側の2箇所と、2枚の第2カバー20の後端部の左右方向の外側の2箇所とに配置されている。カバー位置調整機構21は、カバー上部58に保持されている。カバー位置調整機構21は、左右方向の外側から第2カバー20に接触して左右方向の内側に第2カバー20を押す押付部材68と、左右方向の外側に第2カバー20を付勢する引張りコイルバネ69と、カバー18に回転可能に保持されるとともに押付部材68に係合する調整用ネジ70とを備えている。
【0073】
押付部材68は、左右方向へのスライドが可能になるようにカバー18に保持されている。押付部材68は、カバー上部58の取付部58cに載置されている。押付部材68は、カバー部18aの下側に配置されている。押付部材68は、2枚の第2カバー20の左右方向の外側に配置されている。右側に配置される押付部材68は、右側に配置される第2カバー20の右端面に接触して第2カバー20を左側に押している。左側に配置される押付部材68は、左側に配置される第2カバー20の左端面に接触して第2カバー20を右側に押している。
【0074】
図9に示すように、押付部材68には、左右方向に押付部材68を案内するためのガイド穴68aが形成されている。ガイド穴68aには、ガイド用ネジ71が上側から挿通されている。取付部58cには、ガイド用ネジ71が係合するネジ穴が形成されている。押付部材68は、ガイド用ネジ71に沿って左右方向にスライド可能となっている。また、押付部材68には、調整用ネジ70が係合するネジ穴が形成されている。
【0075】
引張りコイルバネ69の一端部は、第2カバー20に係合している。引張りコイルバネ69の他端部は、取付部58cに形成されるバネ係合部に係合している。引張りコイルバネ69は、2枚の第2カバー20の左右方向の外側に配置されている。右側に配置される引張りコイルバネ69は、右側に配置される第2カバー20を右側に付勢し、左側に配置される引張りコイルバネ69は、左側に配置される第2カバー20を左側に付勢している。調整用ネジ70は、つまみネジである。調整用ネジ70は、側板部58bに回動可能に保持されている。調整用ネジ70の頭部は、側板部58bの左右方向の外側に配置されている。
【0076】
本形態では、調整用ネジ70を回すと、第2カバー20が左右方向にスライドする。また、本形態では、第2カバー20の前端側と後端側とにカバー位置調整機構21が配置されているため、前側に配置される押付部材68の左右方向の位置と、後ろ側に配置される押付部材68の左右方向の位置とをずらすことで、
図8に示すように、上下方向から見たときの前後方向に対する第2カバー20の傾きを調整することが可能になっている。
【0077】
第3カバー22は、長方形の平板状に形成されている。上述のように、第3カバー22は、カバー部18aに載置されている。第3カバー22は、2枚のガイド板60の間に配置されている。第3カバー22は、開口18bの前端側部分を塞いでいる。第3カバー22の前端は、開口18bの前端よりも前側に配置されている。第3カバー22には、第2検知機構24によって検知される被検知部72aを有する被検知部材72が取り付けられている。被検知部材72は、第3カバー22の下面に固定されている。被検知部材72は、第3カバー22の下面から下側に向かって伸びており、被検知部材72の下端部が被検知部72aとなっている。
【0078】
本形態では、被印刷体2の外径に応じて、カバー18の上下方向の位置と第2カバー20の左右方向の位置とを調整する。具体的には、たとえば、被印刷体2の外径が比較的大きい場合には、
図14(A)に示すように、開口18bの左右方向の縁と被印刷体2の外周面との間の隙間G1が必要最小限の大きさとなるように、カバー18の上下方向の位置と第2カバー20の左右方向の位置とを調整する。また、たとえば、被印刷体2の外径が比較的小さい場合には、
図14(B)に示すように、第2カバー20の端面と被印刷体2の外周面との間の隙間G2が必要最小限の大きさとなるように、カバー18の上下方向の位置と第2カバー20の左右方向の位置とを調整する。
【0079】
また、本形態では、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときには、
図8に示すように、被印刷体2の形状に応じて第2カバー20の傾きを調整する。具体的には、前後方向の全域において第2カバー20の端面と被印刷体2の外周面との間の隙間G2が一定になるように、被印刷体2の形状に応じて第2カバー20の傾きを調整する。隙間G1、G2は、たとえば、2(mm)である。また、第2カバー20の左右方向の調整および傾きの調整を行うときには、第2カバー20の端面と被印刷体2の外周面との間にシム板(たとえば、厚さ2(mm)のシム板)を配置するとともに、第2カバー20を移動させて、第2カバー20の端面と被印刷体2の外周面とをシム板に押し付ける。
【0080】
また、本形態では、被印刷体2の長さに応じて第3カバー22の前後方向の位置をずらす。被印刷体2の長さが比較的短くて、開口18bの前端部を第3カバー22で覆うことができない場合には、追加のカバーを第3カバー22の前側に配置する。ただし、前後方向の長さが異なる複数種類の第3カバー22を準備しておいて、開口18bの前端側部分の全体が覆われる第3カバー22を選択して取り付けても良い。
【0081】
(第1検知機構および第2検知機構の構成)
図15は、
図4のE部の構成を説明するための平面図である。
【0082】
第1検知機構23は、接点部を構成する接点部材と接点部材を押すレバー23aとを有するインターロックスイッチである(
図6参照)。第1検知機構23は、第3保持部34に取り付けられている。第1検知機構23は、第2保持部33の下側に配置されている。レバー23aは、第1検知機構23の本体部の上側に配置されている。回転機構16に被印刷体2が取り付けられていないときには、圧縮コイルバネ35の付勢力によって第2保持部33が第1保持部28側に傾いており、レバー23aは、接点部材に接触していない(
図6(C)参照)。そのため、第1検知機構23は、オフ状態になっている。
【0083】
この状態で、回転機構16に被印刷体2が取り付けられると、第2保持部33が圧縮コイルバネ35の付勢力に抗して回動して、レバー23aを押す(
図6(A)、(B)参照)。第2保持部33に押されたレバー23aが接点部材を押すと、第1検知機構23がオン状態になって、第2保持部33が第1検知機構23によって検知される。すなわち、回転機構16に被印刷体2が取り付けられると、第2保持部33が第1検知機構23によって検知される位置まで圧縮コイルバネ35の付勢力に抗して第3保持部34に対して回動する。また、第2保持部33が第1検知機構23によって検知されることで、回転機構16に被印刷体2が保持されていることが第1検知機構23によって検知される。
【0084】
第2検知機構24は、第1検知機構23と同様に、接点部を構成する接点部材と接点部材を押すレバー24aとを有するインターロックスイッチである。第2検知機構24は、固定部材73に固定されている。固定部材73は、第2保持部33に固定されている。すなわち、第2検知機構24は、固定部材73を介して第2保持部33に取り付けられている。第2検知機構24は、第2回転部32の前側に配置されている。レバー24aは、第2検知機構24の本体部の前側に配置されている。
図15に示すように、固定部材73には、被検知部材72の被検知部72aをレバー24aに案内するためのガイド溝73aが形成されている。ガイド溝73aは、固定部材73の前端から後ろ側に向かって形成されている。
【0085】
回転機構16に被印刷体2が保持された状態でカバー部18aの所定の位置に第3カバー22が載置されると、被検知部72aがレバー24aを押す。被検知部72aに押されたレバー24aが接点部材を押すと、第2検知機構24がオン状態になって、被検知部72aが第2検知機構24によって検知される。すなわち、回転機構16に被印刷体2が保持された状態でカバー部18aの所定の位置に第3カバー22が載置されると、被検知部72aが第2検知機構24によって検知される。また、被検知部72aが第2検知機構24によって検知されることで、カバー部18aに第3カバー22が載置されていることが第2検知機構24によって検知される。
【0086】
本形態では、回転機構16に被印刷体2が保持されていることが第1検知機構23によって検知されると、紫外線照射器17による紫外線の照射が可能になる。より具体的には、回転機構16に被印刷体2が保持されていることが第1検知機構23によって検知され、かつ、カバー部18aに第3カバー22が載置されていることが第2検知機構24によって検知されると、紫外線照射器17による紫外線の照射が可能になる。
【0087】
(紫外線照射装置の調整方法)
図16は、
図3に示す紫外線照射装置4の機械的な調整を行うための構成を示すブロック図である。
図17は、
図3に示す紫外線照射装置4の機械的な調整の手順を説明するための工程図である。
【0088】
上述のように、紫外線照射装置4では、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の角度(傾き)が調整可能になっている。また、紫外線照射装置4では、紫外線照射器17の高さ(上下方向の位置)と、紫外線照射器17の左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の角度と、カバー18の高さ(上下方向の位置)と、2個の第2カバー20のそれぞれの左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する第2カバー20の角度と、第3カバー22の前後方向の位置とが調整可能になっている。すなわち、紫外線照射装置4の様々な機械的な調整が可能となっている。
【0089】
印刷装置1において被印刷体2の印刷が行われる前の、紫外線照射装置4の機械的な調整項目には、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の角度の調整と、紫外線照射器17の高さの調整と、紫外線照射器17の左右方向の位置および上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の角度の調整と、カバー18の高さの調整と、2個の第2カバー20の左右方向の位置および上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する第2カバー20の角度の調整と、第3カバー22の前後方向の位置の調整とが含まれている。すなわち、印刷装置1において被印刷体2の印刷が行われる前の、紫外線照射装置4の機械的な調整項目は複数ある。
【0090】
紫外線照射装置4は、紫外線照射装置4の機械的な調整を行うための構成として、紫外線照射装置4のオペレータが被印刷体2の外形の情報を入力するための入力部75と、紫外線照射装置4の機械的な調整項目を表示するための表示部であるディスプレイ76とを備えている。入力部75では、被印刷体2の外形の情報が入力される以外に、紫外線照射装置4の機械的な調整を行うための各種の操作が行われる。入力部75は、各種の操作キーを備えている。操作キーの中には、ENTERキー77が含まれている。入力部75およびディスプレイ76は、印刷装置1の操作パネルに設置されている。この操作パネルは、本体フレーム9に取り付けられる。なお、操作パネルは、紫外線照射装置4に取り付けられていても良い。
【0091】
紫外線照射装置4に取り付けられる被印刷体2の外形が円錐台状または円錐状である場合、入力部75では、被印刷体2の最大外径(被印刷体2の、最も外径が大きくなっている部分の外径)と、被印刷体2の最小外径(被印刷体2の、最も外径が小さくなっている部分の外径)と、被印刷体2の長さとが入力される。また、紫外線照射装置4に取り付けられる被印刷体2の外形が円柱状である場合、入力部75では、被印刷体2の外径が入力される。
【0092】
紫外線照射装置4は、入力部75で入力された被印刷体2の外形の情報に基づいて紫外線照射装置4の所定の調整値を算出する調整値算出部78を備えている。調整値算出部78は、たとえば、印刷装置1の操作パネルに内蔵される制御基板に実装されている。紫外線照射装置4に取り付けられる被印刷体2の外形が円錐台状または円錐状である場合、調整値算出部78は、入力部75で入力された被印刷体2の外形の情報に基づいて、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の調整後の角度と、紫外線照射器17の調整後の高さとを算出する。
【0093】
紫外線照射装置4に取り付けられる被印刷体2の外形が円錐台状または円錐状である場合、紫外線照射装置4の機械的な調整は、
図17に示す手順で行われる。オペレータは、まず、入力部75で所定の操作を行って被印刷体2の外形を選択する(工程ST1)。具体的には、オペレータは、入力部75で所定の操作を行って、被印刷体2の外形が円錐台状または円錐状であるのか、それとも、被印刷体2の外形が円柱状であるのかを選択する。
図17に示す手順では、オペレータは、工程ST1において、被印刷体2の外形が円錐台状または円錐状であることを選択する。
【0094】
その後、オペレータは、入力部75で所定の操作を行って被印刷体2の外形の情報を入力する(工程ST2)。具体的には、オペレータは、被印刷体2の最大外径と被印刷体2の最小外径と被印刷体2の長さとを入力する。このときには、オペレータは、たとえば、ノギスを用いて被印刷体2の寸法を測定して、被印刷体2の最大外径と被印刷体2の最小外径と被印刷体2の長さとを入力部75で入力する。その後、オペレータは、ENTERキー77を押す(工程ST3)。工程ST3でENTERキー77が押されると、調整値算出部78は、入力部75で入力された被印刷体2の外形の情報に基づいて、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の調整後の角度と、紫外線照射器17の調整後の高さとを算出する。
【0095】
その後、オペレータは、被印刷体2を回転機構16にセットしてから(すなわち、被印刷体2を回転機構16に取り付けてから、工程ST4)、ENTERキー77を押す(工程ST5)。工程ST5でENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、調整項目を表示する。具体的には、ディスプレイ76は、調整項目の1つである「左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の角度の調整」を行うことをオペレータに知らせるための所定の表示を行う。また、ディスプレイ76は、調整値算出部78で算出された回転機構16の調整後の角度を表示する。なお、ディスプレイ76は、調整項目と回転機構16の調整後の角度とが一緒に表示される1個の画面を備えていても良いし、調整項目が表示される画面と回転機構16の調整後の角度が表示される画面とを別々に備えていても良い。
【0096】
ディスプレイ76の表示を確認したオペレータは、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の角度の調整を行う(工程ST6)。すなわち、オペレータは、ディスプレイ76に表示される調整項目の調整を行う。工程ST6では、オペレータは、被印刷体2の上端が前後方向と平行になるように回転機構16の角度の調整を行う。本形態では、左右方向から見たときの前後方向に対する回動フレーム40の角度を示す目盛が印された目盛板がガイドフレーム44に固定されている。工程ST6では、オペレータは、まず、回転機構16の角度がディスプレイ76に表示された角度となるように、目盛板に印された目盛を確認しながら回転機構16の角度を調整する。その後、オペレータは、被印刷体2の上端に水準器を置いて、被印刷体2の上端が前後方向と平行になるように回転機構16の角度を微調整する。
【0097】
工程ST6での調整が終了すると、オペレータは、ENTERキー77を押す(工程ST7)。工程ST7でENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。具体的には、ディスプレイ76は、次の調整項目である「紫外線照射器17の高さの調整」を行うことをオペレータに知らせるための所定の表示を行う。また、ディスプレイ76は、調整値算出部78で算出された紫外線照射器17の調整後の高さを表示する。
【0098】
ディスプレイ76の表示を確認したオペレータは、紫外線照射器17の高さの調整を行う(工程ST8)。本形態では、紫外線照射器17の高さを示す目盛が印された目盛板がガイドフレーム53に固定されている。工程ST8では、オペレータは、紫外線照射器17の高さがディスプレイ76に表示された高さとなるように、目盛板に印された目盛を確認しながら紫外線照射器17の高さを調整する。工程ST8での調整が終了すると、オペレータは、ENTERキー77を押す(工程ST9)。
【0099】
工程ST9でENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。具体的には、ディスプレイ76は、次の調整項目である「紫外線照射器17の左右方向の位置および上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の角度の調整」を行うことをオペレータに知らせるための所定の表示を行う。ディスプレイ76の表示を確認したオペレータは、紫外線照射器17の左右方向の位置の調整と上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の角度の調整とを行う(工程ST10)。
【0100】
工程ST10での調整が終了すると、オペレータは、ENTERキー77を押す(工程ST11)。工程ST11でENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。具体的には、ディスプレイ76は、次の調整項目である「カバー18の高さの調整」を行うことをオペレータに知らせるための所定の表示を行う。ディスプレイ76の表示を確認したオペレータは、カバー18の高さの調整を行う(工程ST12)。工程ST12では、第2カバー20の上面が上下方向に直交するように、水準器を用いてカバー18の高さを調整する。
【0101】
工程ST12での調整が終了すると、オペレータは、ENTERキー77を押す(工程ST13)。工程ST13でENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。具体的には、ディスプレイ76は、次の調整項目である「第2カバー20の左右方向の位置および上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する第2カバー20の角度の調整」を行うことをオペレータに知らせるための所定の表示を行う。ディスプレイ76の表示を確認したオペレータは、第2カバー20の左右方向の位置の調整と、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する第2カバー20の角度の調整とを行う(工程ST14)。工程ST14では、オペレータは、第2カバー20の端面と被印刷体2の外周面との間にシム板を配置して、第2カバー20の位置や角度を調整する。
【0102】
工程ST14での調整が終了すると、オペレータは、ENTERキー77を押す(工程ST15)。工程ST15でENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。具体的には、ディスプレイ76は、次の調整項目である「第3カバー22の前後方向の位置の調整」を行うことをオペレータに知らせるための所定の表示を行う。ディスプレイ76の表示を確認したオペレータは、第3カバー22の前後方向の位置の調整を行う(工程ST16)。工程ST16での調整が終わると、被印刷体2の印刷前の、紫外線照射装置4の機械的な調整が終了する。
【0103】
このように、1つの調整項目の調整が終了してENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。また、オペレータは、ディスプレイ76に表示される調整項目の調整を行い、その後、ENTERキー77を押し、その後、ディスプレイ76に表示される次の調整項目の調整を行う。本形態のENTERキー77は、1つの調整項目が終了したことをオペレータが入力するための入力キーである。また、本形態では、工程ST2で、入力部75において被印刷体2の外形の情報が入力されると、ディスプレイ76は、紫外線照射装置4の機械的な調整項目を順次表示可能になる。
【0104】
紫外線照射装置4に取り付けられる被印刷体2の外形が円柱状である場合にも、紫外線照射装置4の機械的な調整は、
図17に示す手順で行われる。この場合には、オペレータは、工程ST1において、被印刷体2の外形が円柱状であることを選択する。また、工程ST2において、オペレータは、入力部75で所定の操作を行って被印刷体2の外径を入力する。なお、この場合には、オペレータは、工程ST6において回転機構16の角度の調整を行わずに、工程ST7においてENTERキー77を押す。また、オペレータは、工程ST10において上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の角度の調整を行わない。また、オペレータは、工程ST14において上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する第2カバー20の角度の調整を行わない。
【0105】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、入力部75において被印刷体2の外形の情報が入力されると、ディスプレイ76は、紫外線照射装置4の機械的な調整項目を順次表示可能になる。そのため、本形態では、ディスプレイ76に表示される調整項目をオペレータが目視で確認することで、オペレータは、紫外線照射装置4のどのような機械的な調整が必要になるのかを把握することが可能になる。すなわち、本形態では、オペレータは、紫外線照射装置4の操作マニュアルを確認しなくても、紫外線照射装置4のどのような機械的な調整が必要になるのかを把握することが可能になる。したがって、本形態では、紫外線照射装置4のどのような機械的な調整が必要になるのかをオペレータが容易に把握することが可能になる。
【0106】
本形態では、1つの調整項目の調整が終了してENTERキー77が押されると、ディスプレイ76は、次の調整項目を表示する。そのため、本形態では、紫外線照射装置4の調整項目が複数あっても、1つの調整項目の調整が終了してオペレータがENTERキー77を押すたびに、ディスプレイ76に表示される調整項目をオペレータが目視で確認することで、紫外線照射装置4のどのような機械的な調整が必要になるのかをオペレータが容易に把握することが可能になる。また、本形態では、ENTERキー77を押すたびに、調整項目が順次、ディスプレイ76に表示されるため、オペレータは、ディスプレイ76の表示にしたがって紫外線照射装置4の機械的な調整を順次行えば良い。したがって、本形態では、調整項目が複数あっても、紫外線照射装置4の調整を手際良く円滑に行うことが可能になる。
【0107】
本形態では、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の傾きが調整可能になっており、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の印刷を行うときに、被印刷体2の上端が前後方向と平行になるように、回転機構16の傾きが調整されている。そのため、本形態では、円錐台状または円錐状の外形を有する被印刷体2の印刷を行う場合であっても、被印刷体2の軸方向の全域において、被印刷体2の外周面とインクジェットヘッド3のノズル面との距離を一定にすることが可能になる。したがって、本形態では、被印刷体2に対して適切な印刷を行うことが可能になる。
【0108】
本形態では、紫外線照射器17の高さと、紫外線照射器17の左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の角度とが調整が可能になっている。そのため、本形態では、印刷装置1で印刷される被印刷体2の外形や外径が変わる場合であっても、被印刷体2に付着したインクを硬化させる上でより適切な位置に紫外線照射器17を配置することが可能になる。
【0109】
本形態では、カバー18の高さと、第2カバー20の左右方向の位置と、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する第2カバー20の角度とが調整可能になっている。また、本形態では、開口18bの左右方向の縁と被印刷体2の外周面との間の隙間G1や、第2カバー20の端面と被印刷体2の外周面との間の隙間G2が必要最小限の大きさとなるように被印刷体2の外形や外径に応じて、カバー18の上下方向の位置と第2カバー20の左右方向の位置と第2カバー20の角度とを調整している。そのため、本形態では、紫外線照射器17が被印刷体2の側方に配置され、かつ、被印刷体2の外形や外径が変わる場合であっても、インクジェットヘッド3のノズル面に紫外線が照射されるのをカバー部18aや第2カバー20によって抑制することが可能になる。
【0110】
本形態では、調整値算出部78は、入力部75で入力された被印刷体2の外形の情報に基づいて、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の調整後の角度を算出している。また、本形態では、ディスプレイ76は、調整値算出部78で算出された回転機構16の調整後の角度を表示している。そのため、本形態では、オペレータが回転機構16の調整後の角度を算出しなくても、オペレータは、ディスプレイ76に表示される回転機構16の調整後の角度を目視で確認することで、回転機構16の調整後の角度を容易に把握することが可能になる。したがって、本形態では、オペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0111】
本形態では、調整値算出部78は、入力部75で入力された被印刷体2の外形の情報に基づいて、紫外線照射器17の調整後の高さを算出している。また、本形態では、ディスプレイ76は、調整値算出部78で算出された紫外線照射器17の調整後の高さを表示している。そのため、本形態では、オペレータが紫外線照射器17の調整後の高さを算出しなくても、オペレータは、ディスプレイ76に表示される紫外線照射器17の調整後の高さを目視で確認することで、紫外線照射器17の調整後の高さを容易に把握することが可能になる。したがって、本形態では、オペレータの負担を軽減することが可能になる。
【0112】
(回転機構の周辺部の変更例)
図18は、本発明の他の実施の形態にかかる回転機構16の周辺部の構成を説明するための側面図である。
図19は、
図18(A)のG-G方向から回転機構16の周辺部の構成を説明するための図である。
図20は、
図19のH-H方向から支持フレーム80および係合部材81等を示す側面図である。
図21は、
図19のJ-J断面の構成を説明するための図である。
図22は、
図19のK-K断面の構成を説明するための図である。なお、
図18~
図22では、上述した形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0113】
上述した形態では、下部フレーム41の前端部に左右方向に間隔をあけた状態で2個のガイドフレーム44が固定されているが、この変更例では、2個のガイドフレーム44のうちの1個のガイドフレーム44に代えて、支持フレーム80が下部フレーム41の前端部に固定されている。この変更例では、紫外線照射装置4は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように回転機構16に保持される(具体的には、回動フレーム40に保持される)係合部材81と、回転機構16に対する係合部材81の回動方向の一方側に係合部材81を付勢する引張りコイルバネ82と、回動フレーム40に対する係合部材81の回動中心となる回動軸83と、回動軸83に固定される偏心カム84とを備えている。
【0114】
上述のように、回動フレーム40は、左右方向を回動の軸方向として下部フレーム41に対して回動可能となっている。また、下部フレーム41の後端部には、支持フレーム43が固定され、支持フレーム43には、回動フレーム40の回動中心となる回動中心軸42が取り付けられている。すなわち、回動フレーム40は、左右方向を回動の軸方向とする回動フレーム40の回動が可能となるように支持フレーム43に連結されている。この変更例では、下部フレーム41と支持フレーム43とによって、左右方向を回動の軸方向とする回転機構16の回動が可能となるように回転機構16が前後方向の一端部である後端部に連結されるベースフレーム85が構成されている。ベースフレーム85の後端部には、回動フレーム40の後端部が回動可能に連結されている。なお、
図18では、支持フレーム43の図示を省略している。
【0115】
支持フレーム80は、下部フレーム41の前端部に固定されている。すなわち、支持フレーム80は、ベースフレーム85の前後方向の他端部となる前端部に固定されている。ガイドフレーム44は、回動フレーム40の右側に配置され、支持フレーム80は、回動フレーム40の左側に配置されている。支持フレーム80には、ガイドフレーム44のガイド穴44aに相当するガイド穴80aが形成されている。また、支持フレーム80には、左右方向で支持フレーム80を貫通する縦長の貫通穴80bが形成されている。貫通穴80bは、ガイド穴80aの前側に形成されている。
【0116】
貫通穴80bの前側の側面は、上下方向に配列される複数の段差面80cが形成される階段状の段差部80dとなっている。すなわち、支持フレーム80は、階段状の段差部80dを備えている。複数の段差面80cは、左右方向から見たときに、回動中心軸42を曲率中心とする円弧上に配列されている。複数の段差面80cは、上側を向いている。上下方向で隣接する段差面80cの間の段差S(
図20参照)は一定となっている。具体的には、段差Sは、回動中心軸42を中心とする周方向において一定となっている。
【0117】
ガイドフレーム44または支持フレーム80には、左右方向から見たときの前後方向に対する回動フレーム40の角度を示す目盛86が印された目盛板87が固定されている。すなわち、ガイドフレーム44または支持フレーム80には、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の角度を示す目盛86が印された目盛板87が固定されている。
【0118】
回動軸83は、回動軸83の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。偏心カム84は、円板状に形成される偏心円板カムである。偏心カム84は、回動軸83の両端部に固定されており、2枚の偏心カム84は、回動軸83と一緒に回動可能となっている。偏心カム84の中心は、回転軸83の軸心からずれている。偏心カム84の中心と回動軸83の軸心との距離である偏心量D(
図22(A)参照)は、上下方向で隣接する段差面80cの間の段差Sの半分と等しくなっている。
【0119】
回動フレーム40には、偏心カム84が配置されるカム配置穴40aが形成されている(
図22参照)。具体的には、回動フレーム40の左右方向の側面を構成する側面部40bの前端部にカム配置穴40aが形成されている。カム配置穴40aは、長穴状に形成されている。偏心カム84は、側面部40bに回動可能に保持されている。すなわち、偏心カム84が固定される回動軸83は、偏心カム84を介して回動フレーム40に回動可能に保持されている。具体的には、回動軸83の両端部が偏心カム84を介して回動フレーム40の前端部に回動可能に保持されている。回動軸83および偏心カム84は、左右方向を回動の軸方向として回動フレーム40に対して回動可能となっている。
【0120】
回動軸83の両端は、回動フレーム40よりも左右方向の外側に突出している。回動軸83の右端部は、ガイドフレーム44のガイド穴44aに挿通され、回動軸83の左端部は、支持フレーム80のガイド穴80aに挿通されている。また、回動軸83の右端は、ガイドフレーム44よりも右側に突出し、回動軸83の左端は、支持フレーム80よりも左側に突出している。ガイドフレーム44よりも右側に突出する回動軸83の右端部には、偏心カム付きのクランプレバー88が取り付けられている。
【0121】
係合部材81は、左右方向において2枚の側面部40bの間に配置されている。また、係合部材81は、左側に配置される側面部40bの右側に隣接するように配置されている。係合部材81には、回動軸83が挿通される挿通穴が形成されている。係合部材81は、回動軸83および偏心カム84を介して回動フレーム40の前端部に回動可能に保持されている。また、回動軸83は、係合部材81に対して回動可能となっている。係合部材81は、段差面80cに載置される載置部81aを備えている(
図19、
図20参照)。載置部81aは、係合部材81の前下端部に配置されており、回動軸83よりも前側かつ下側に配置されている。また、載置部81aは、係合部材81の左端部に配置されている。
【0122】
引張りコイルバネ82の一端側は、係合部材81の後ろ上端部に係合している。引張りコイルバネ82の他端側は、回動フレーム40の前端部に配置されるバネ係合部40cに係合している。バネ係合部40cは、係合部材81の後ろ側に配置されている。引張りコイルバネ82は、右側から見たときに、回動軸83を中心にして時計回りの方向(
図21の時計回りの方向)に係合部材81を付勢している。係合部材81の前下端部に配置される載置部81aは、段差部80dの後ろ側に配置されている。引張りコイルバネ82は、載置部81aが段差部80dに向かう方向に係合部材81を付勢している。
【0123】
載置部81aは、回転機構16の自重によって段差面80cに載置されている。また、載置部81aが段差部80dに向かう方向に係合部材81が付勢されているため、回動フレーム40の前端部が上昇するようにベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させると、水平方向に対する回動フレーム40の角度に応じた段差面80cに載置部81aが自動的に載置される。
【0124】
引張りコイルバネ82の付勢力に抗して係合部材81を回動させると(すなわち、載置部81aが段差部80dから離れるように、右側から見たときの反時計回りの方向に係合部材81を回動させると)、段差面80cから載置部81aが外れる。そのため、引張りコイルバネ82の付勢力に抗して係合部材81を回動させると、回動フレーム40の前端部が下降するようにベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させることが可能になる。なお、係合部材81の前上端部には、引張りコイルバネ82の付勢力に抗して係合部材81を回動させるための指掛け部81bが形成されている。
【0125】
この変更例では、クランプレバー88の偏心カム88aが
図19の二点鎖線で示す位置に配置されていると、ベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させることが可能になる。一方、偏心カム88aが
図19の実線で示す位置に配置されるように、前後方向を回動の軸方向としてクランプレバー88を回動させると、ガイドフレーム44および支持フレーム80に対して回動フレーム40の前端部が固定された状態となり、ベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させることができない状態となる。
【0126】
なお、支持フレーム80の左側では、回動軸83が座金89に挿通されるとともに座金89が回動軸83に固定されている。また、ガイドフレーム44の右側であって、かつ、クランプレバー88の左側では、回動軸83が座金89に挿通されるとともに座金89は回動軸83に対して左右方向に移動可能となっている。そのため、偏心カム88aが
図19の実線で示す位置に配置されるようにクランプレバー88を回動させると、2枚の座金89の間にガイドフレーム44、支持フレーム80および回動フレーム40が挟まれて、ガイドフレーム44および支持フレーム80に対して回動フレーム40の前端部が固定された状態となる。
【0127】
この変更例では、クランプレバー88の偏心カム88aを
図19の二点鎖線で示す位置に移動させて、ベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させることで、水平方向に対する回転機構16の傾きが調整される。水平方向に対する回転機構16の傾きを調整するときには、まず、印刷装置1のオペレータが手動で、回動フレーム40の前端部が上昇するようにベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させる。このように回動フレーム40を回動させると、水平方向に対する回動フレーム40の角度に応じた段差面80cに載置部81aが自動的に載置される。この変形例では、複数の段差面80cを用いて、水平方向に対する回転機構16の傾きを、たとえば、0.5°ピッチで変えることが可能となっている。
【0128】
その後、オペレータは、左右方向を回動の軸方向としてクランプレバー88を回動させて偏心カム84を回動させる。偏心カム84は、回動軸83を回動中心にして回動フレーム40および係合部材81に対して回動するため、偏心カム84を回動させると、回動フレーム40の前端部は、係合部材81に対して上下動する。すなわち、ベースフレーム85に対して回動フレーム40が回動する。このように、偏心カム84を回動させると、回動フレーム40の前端部が係合部材81に対して上下動して、ベースフレーム85に対して回動フレーム40が回動するため、この変更例では、偏心カム84を利用して、水平方向に対する回転機構16の傾きを微調整することが可能になっている。
【0129】
また、この変更例では、偏心カム84の中心と回動軸83の軸心との距離である偏心量Dが上下方向で隣接する段差面80cの間の段差Sの半分と等しくなっているため、支持フレーム80の段差部80dと係合部材81とを用いて、水平方向に対する回転機構16の傾きを調整する場合であっても、水平方向に対する回転機構16の傾きを連続的に調整することが可能になる。
【0130】
なお、偏心量Dが段差Sの半分と等しくなっていなくても良い。また、紫外線照装置4は、偏心カム84を備えていなくても良い。また、ネジ部材を用いて回動フレーム40の前端部を上下動させることで、ベースフレーム85に対して回動フレーム40を回動させても良い。この場合には、オペレータが手動でネジ部材を回転させても良いし、ネジ部材を回転させるモータを紫外線照射装置4が備えていても良い。
【0131】
(紫外線照射器の周辺部の変更例)
図23は、本発明の他の実施の形態にかかる紫外線照射器17の周辺部の構成を説明するための側面図である。
図24は、
図23のM-M方向から紫外線照射器17の周辺部の構成を説明するための図である。
図25は、
図24のN-N断面の構成を説明するための図である。なお、
図23~
図25では、上述した形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0132】
上述した形態では、下部フレーム41の前端側に左右方向に間隔をあけた状態で2個のガイドフレーム53が配置されているが、この変更例では、2個のガイドフレーム53のうちの1個のガイドフレーム53に代えて、支持フレーム80とほぼ同様に形成される支持フレーム90が下部フレーム41の前端側に配置されている。この変更例では、紫外線照射装置4は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように載置部50に保持される係合部材91と、載置部50に対する係合部材91の回動方向の一方側に係合部材91を付勢する引張りコイルバネ92と、載置部50に対する係合部材91の回動中心となる回動軸93と、回動軸93に固定される偏心カム94とを備えている。
【0133】
載置部50は、リンク部材51の一端部が連結されるリンク連結部50aを備えている。
図23に示すように、リンク連結部50aと保持フレーム52との間には、紫外線照射器17を持ち上げる方向に載置部50を付勢する圧縮コイルバネ98が配置されている。圧縮コイルバネ98の上端部は、後ろ側に配置されるリンク部材51とリンク連結部50aとの連結部分の近傍でリンク連結部50aに係合している。圧縮コイルバネ98は、後ろ側に配置されるリンク部材51の保持フレーム52に対する回動中心を中心とする周方向の一方側にリンク連結部50aを付勢している。圧縮コイルバネ98は、アシストバネとしての機能を果たしている。
【0134】
支持フレーム90は、下部フレーム41の前端部に固定されている。ガイドフレーム53は、リンク連結部50aの右側に配置され、支持フレーム90は、リンク連結部50aの左側に配置されている。支持フレーム90には、ガイドフレーム53のガイド穴53aに相当するガイド穴90aが形成されている。また、支持フレーム90には、左右方向で支持フレーム90を貫通する縦長の貫通穴90bが形成されている。貫通穴90bは、ガイド穴90aの前側に形成されている。なお、
図23では、貫通穴90bの図示を省略し、
図25では、ガイド穴90aの図示を省略している。
【0135】
支持フレーム80と同様に、貫通穴90bの前側の側面は、上下方向に配列される複数の段差面90cが形成される階段状の段差部90dとなっている。上下方向で隣接する段差面90cの間の段差は一定となっている。ガイドフレーム53または支持フレーム90には、紫外線照射器17の高さを示す目盛96が印された目盛板97が固定されている。
【0136】
回動軸93は、回動軸93の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。偏心カム94は、円板状に形成される偏心円板カムである。偏心カム94は、回動軸93の両端部に固定されており、2枚の偏心カム94は、回動軸93と一緒に回動可能となっている。偏心カム94の中心は、回転軸93の軸心からずれている。偏心カム94の中心と回動軸93の軸心との距離である偏心量は、上下方向で隣接する段差面90cの間の段差の半分と等しくなっている。
【0137】
リンク連結部50aの左右方向の側面を構成する側面部50bの前端部には、偏心カム94が配置されるカム配置穴が形成されている。偏心カム94は、側面部50bに回動可能に保持されている。すなわち、偏心カム94が固定される回動軸93は、偏心カム94を介して載置部50に回動可能に保持されている。具体的には、回動軸93の両端部が偏心カム94を介して載置部50の前端部に回動可能に保持されている。回動軸93および偏心カム94は、左右方向を回動の軸方向として載置部50に対して回動可能となっている。
【0138】
回動軸93の両端は、リンク連結部50aよりも左右方向の外側に突出している。回動軸93の右端部は、ガイドフレーム53のガイド穴53aに挿通され、回動軸93の左端部は、支持フレーム90のガイド穴90aに挿通されている。また、回動軸93の右端は、ガイドフレーム53よりも右側に突出し、回動軸93の左端は、支持フレーム90よりも左側に突出している。支持フレーム90よりも左側に突出する回動軸93の左端部には、クランプレバー88が取り付けられている。
【0139】
係合部材91は、左右方向において2枚の側面部50bの間に配置されている。また、係合部材91は、左側に配置される側面部50bの右側に隣接するように配置されている。係合部材91には、回動軸93が挿通される挿通穴が形成されている。係合部材91は、回動軸93および偏心カム94を介してリンク連結部50aの前端部に回動可能に保持されている。また、回動軸93は、係合部材91に対して回動可能となっている。係合部材91は、段差面90cに載置される載置部91aを備えている(
図24参照)。載置部91aは、係合部材91の前下端部に配置されており、回動軸93よりも前側かつ下側に配置されている。また、載置部91aは、係合部材91の左端部に配置されている。
【0140】
引張りコイルバネ92の一端側は、係合部材91の後ろ上端部に係合している。引張りコイルバネ92の他端側は、リンク連結部50aの前端部に配置されるバネ係合部50cに係合している。バネ係合部50cは、係合部材91の後ろ側に配置されている。引張りコイルバネ92は、右側から見たときに、回動軸93を中心にして時計回りの方向(
図25の時計回りの方向)に係合部材91を付勢している。係合部材91の前下端部に配置される載置部91aは、段差部90dの後ろ側に配置されている。引張りコイルバネ92は、載置部91aが段差部90dに向かう方向に係合部材91を付勢している。
【0141】
載置部91aは、紫外線照射器17等の自重によって段差面90cに載置されている。また、載置部91aが段差部90dに向かう方向に係合部材91が付勢されているため、載置部50と一緒に紫外線照射器17を持ち上げると、紫外線照射器17の高さに応じた段差面90cに載置部91aが自動的に載置される。引張りコイルバネ92の付勢力に抗して係合部材91を回動させると(すなわち、載置部91aが段差部90dから離れるように、右側から見たときの反時計回りの方向に係合部材91を回動させると)、段差面90cから載置部91aが外れて、載置部50と一緒に紫外線照射器17を下降させることが可能になる。なお、係合部材91の前上端部には、引張りコイルバネ92の付勢力に抗して係合部材91を回動させるための指掛け部91bが形成されている。
【0142】
この変更例では、クランプレバー88の偏心カム88aが
図24の二点鎖線で示す位置に配置されていると、載置部50と一緒に紫外線照射器17を昇降させることが可能になる。一方、偏心カム88aが
図24の実線で示す位置に配置されるように、前後方向を回動の軸方向としてクランプレバー88を回動させると、ガイドフレーム53および支持フレーム90に対してリンク連結部50aの前端部が固定された状態となり、載置部50と一緒に紫外線照射器17を昇降させることができない状態となる。
【0143】
なお、ガイドフレーム53の右側では、回動軸93が座金89に挿通されるとともに座金89が回動軸93に固定されている。また、支持フレーム90の左側であって、かつ、クランプレバー88の右側では、回動軸93が座金89に挿通されるとともに座金89は回動軸93に対して左右方向に移動可能となっている。そのため、偏心カム88aが
図24の実線で示す位置に配置されるようにクランプレバー88を回動させると、2枚の座金89の間にガイドフレーム53、支持フレーム90およびリンク連結部50aが挟まれて、ガイドフレーム53および支持フレーム90に対してリンク連結部50aの前端部が固定された状態となる。
【0144】
この変更例では、クランプレバー88の偏心カム88aを
図24の二点鎖線で示す位置に移動させて、紫外線照射器17の高さ(上下方向の位置)を調整する。紫外線照射器17の高さを調整するときには、まず、印刷装置1のオペレータが手動で、リンク連結部50aを持ち上げる。リンク連結部50aを持ち上げると、リンク連結部50aの高さに応じた段差面90cに載置部91aが自動的に載置される。
【0145】
その後、オペレータは、左右方向を回動の軸方向としてクランプレバー88を回動させて偏心カム94を回動させる。偏心カム94は、回動軸93を回動中心にしてリンク連結部50aおよび係合部材91に対して回動するため、偏心カム94を回動させると、リンク連結部50aは、係合部材91に対して上下動する。このように、偏心カム94を回動させると、リンク連結部50aが係合部材91に対して上下動するため、この変更例では、偏心カム94を利用して、紫外線照射器17の高さを微調整することが可能になっている。
【0146】
なお、ネジ部材を用いてリンク連結部50aを上下動させても良い。この場合には、オペレータが手動でネジ部材を回転させても良いし、ネジ部材を回転させるモータを紫外線照射装置4が備えていても良い。
【0147】
(カバーの変更例、カバーの周辺部の変更例)
図26は、本発明の他の実施の形態にかかるカバー部18aの構成を説明するための平面図である。
図27は、本発明の他の実施の形態にかかるカバー18の構成を説明するための側面図である。
図28は、本発明の他の実施の形態にかかる第3カバー22の構成を説明するための拡大側面図である。
図29は、本発明の他の実施の形態にかかる紫外線照射装置4の構成を説明するための正面図である。
図30は、
図29のP-P方向から紫外線照射装置4の一部の構成を示す底面図である。なお、
図26~
図30では、上述した形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0148】
上述した形態では、紫外線照射装置4は、カバー位置調整機構21を備えているが、この変更例では、紫外線照射装置4は、カバー位置調整機構21を備えていない。この変更例では、オペレータが第2カバー20の上面に直接触れて、第2カバー20の左右方向の位置や傾きを調整するための複数の貫通穴18cがカバー部18aに形成されている(
図26参照)。貫通穴18cは、開口18bの左右方向の両側に形成されている。また、貫通穴18cは、開口18bの左右方向の両側のそれぞれにおいて、たとえば、3箇所に形成されている。
【0149】
また、上述した形態では、被印刷体2を交換するときにカバー下部59からカバー上部58が取り外されているが、この変更例では、被印刷体2を交換するときに被印刷体2を交換可能な位置までカバー下部59に対してカバー上部58が開くように、カバー下部59に対してカバー上部58を回動させることが可能になっている(
図27参照)。また、この変更例では、第3カバー22がカバー部18aに載置されている状態でカバー上部58が開いたときに、第3カバー22に取り付けられる被検知部材72を畳むことが可能になっている(
図27の破線および二点鎖線参照)。さらに、この変形例では、紫外線照射装置4は、下部フレーム41に対してカバー下部59を昇降させるカバー昇降機構105を備えている(
図29参照)。
【0150】
この変更例では、
図27に示すように、カバー上部58の後端部は、カバー下部59の後ろ上端部に回動可能に連結されている。カバー上部58は、カバー下部59に対して左右方向を回動の軸方向として回動可能になっている。この変更例では、オペレータは、被印刷体2を交換するときに、被印刷体2を交換可能な位置までカバー下部59に対してカバー上部58を回動させてカバー上部58を開く。カバー下部59には、開いた状態のカバー上部58を下側から支持するための支持部材106が取り付けられている。支持部材106の一端部は、カバー下部59の前上端部に回動可能に取り付けられている。支持部材106の他端部は、カバー上部58に下側から係合可能となっている。支持部材106は、カバー下部59の内側に収容可能となっている。
【0151】
この変更例では、被検知部材72は、左右方向を回動の軸方向として第3カバー22に対して回動可能になっている。
図28に示すように、被検知部材72は、第3カバー22の下側に配置される回動中心軸107を回動中心にして第3カバー22に対して回動可能となっている。第3カバー22の下面には、回動中心軸107が取り付けられる軸保持部材108が固定されている。被検知部材72は、カバー上部58から被検知部材72が下側に向かって伸びる検知可能位置(
図27の二点鎖線で示す位置)と、カバー上部58の内側に被検知部材72が収容される収容位置(
図27の破線で示す位置)との間で、第3カバー22に対して回動可能となっている。
【0152】
第3カバー22の下面には、被検知部材72を保持するための板バネ109が固定されている。板バネ109は、検知可能位置で被検知部材72を保持するための第1係合部109aと、収容位置で被検知部材72を保持するための第2係合部109bとを備えている。被検知部材72には、第1係合部109aが係合する第1係合穴72bと、第2係合部109bが係合する第2係合穴72cとが形成されている。被印刷体2の印刷時には、被検知部材72は、検知可能位置に配置されている(
図28(A)参照)。また、被印刷体2を交換する際にカバー上部58を開いたときには、被印刷体2の交換作業の支障とならないように、オペレータは、被検知部材72を検知可能位置から収容位置まで回動させる(
図28(B)参照)。
【0153】
カバー昇降機構105は、上下方向を回転の軸方向とする回転が可能となるように下部フレーム41に保持されるネジ部材112と、ネジ部材112に螺合するとともにカバー下部59に固定されるナット部材113とを備えている。ネジ部材112およびナット部材113は、紫外線照射装置4の四隅のそれぞれの近傍に配置されている。すなわち、カバー昇降機構105は、4本のネジ部材112と4個のナット部材113とを備えている。ナット部材113は、カバー下部59の下端に固定されている。
【0154】
ネジ部材112の下端部には、プーリ114が固定されている。
図30に示すように、4個のプーリ114には、ベルト115が架け渡されている。また、カバー昇降機構105は、ベルト115の張力を調整するためのアイドルプーリ116を備えている。4本のネジ部材112のうちの1本のネジ部材112の上端部には、このネジ部材112を回転させるためのレバー117が着脱可能になっている。
【0155】
この変更例では、カバー下部59の高さを調整してカバー18の高さを調整するときには、オペレータは、1本のネジ部材112にレバー117を取り付けてレバー117を回転させる。レバー117を回転させると、4本のネジ部材112が一緒に回転して、下部フレーム41に対してカバー下部59が昇降する。カバー下部59が昇降するときには、4本のネジ部材112が同期して回転するため、カバー部18aの水平状態が維持される。カバー18の高さの調整が終了すると、レバー117が取り外される。
【0156】
紫外線照射装置4は、カバー18の高さを示す目盛118が印された目盛板119を備えている。目盛板119は、下部フレーム41に固定される固定部材120に固定されている。なお、カバー昇降機構105は、ネジ部材112を回転させるモータを備えていても良い。
【0157】
(回転機構の変更例)
図31は、本発明の他の実施の形態にかかる回転機構16の構成を説明するための平面図である。
図32は、
図31のQ-Q断面の断面図である。
図33、
図34は、
図31のR部の構成を説明するための拡大平面図である。なお、
図31~
図34では、上述した形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0158】
上述した形態では、回転機構16は、第3保持部34と圧縮コイルバネ35とを備えているが、この変更例の回転機構16は、第3保持部34および圧縮コイルバネ35を備えていない。この変更例では、第2保持部33は、ガイドブロック39に固定されている。また、この変更例では、回転機構16は、ガイドブロック39に固定される固定部材124と、固定部材124に対して前後方向の移動が可能となるように固定部材124に保持されるスライド部材125と、スライド部材125に対して左右方向を軸方向とする回動が可能となるようにスライド部材125に保持される係合部材126と、スライド部材125および係合部材126の前側への移動を規制するための規制部材127とを備えている。
【0159】
また、回転機構16は、スライド部材125に対する係合部材126の回動方向の一方側に係合部材126を付勢するネジリコイルバネ128(
図32参照)と、スライド部材125に固定される固定軸129と、固定軸129が挿通される圧縮コイルバネ130と、固定部材124に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように固定部材124に保持される回動部材131と、固定部材124に対する回動部材131の回動方向の一方側に回動部材131を付勢する引張りコイルバネ132とを備えている。
【0160】
スライド部材125には、固定部材124に対してスライド部材125を前後方向に案内するとともに固定部材124に対するスライド部材125の前後方向の移動範囲を規制するためのガイド穴125aが形成されている(
図32参照)。ガイド穴125aは、前後方向に長い長穴である。ガイド穴125aには、固定部材124に固定されるガイド用ネジ135が挿通されている。スライド部材125は、固定部材124に対する回動部材131の回動方向の一方側への回動部材131の回動を規制する回動規制部125bと、ネジリコイルバネ128の一端部が接触するバネ係合部125cとを備えている。
【0161】
固定軸129は、固定軸129の軸方向と前後方向とが一致するように配置されている。固定軸129の前端は、スライド部材125に固定されている。第2保持部33には、固定軸129が挿通される貫通穴が形成されている。上述のように、固定軸129は、圧縮コイルバネ130の内周側に挿通されている。圧縮コイルバネ130の前端は、スライド部材125に接触している。圧縮コイルバネ130の後端は、第2保持部33に接触している。圧縮コイルバネ130は、スライド部材125に対して第2保持部33を後ろ側に付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ130は、スライド部材125に対して、第2回転部32と第2保持部33とガイドブロック39と固定部材124とを後ろ側に付勢している。
【0162】
規制部材127は、前後方向に細長い長尺状に形成されている。規制部材127は、回動フレーム40に固定されている。規制部材127は、前後方向に配列される複数の規制面127aが形成される鋸刃状の規制部127bを備えている(
図32参照)。規制部127bは、規制部材127の上端面に形成されている。規制面127aは、前側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜する傾斜面となっている。複数の規制面127aのピッチ(前後方向のピッチ)は、一定になっている。
【0163】
係合部材126は、スライド部材125の後端部に固定される回動中心軸136(
図32参照)を回動中心にしてスライド部材125に対して回動可能になっている。回動中心軸136は、回動中心軸136の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。回動中心軸136は、バネ係合部125cの下側に配置されている。係合部材126の後端部には、回動中心軸136が挿通される挿通穴が形成されている。係合部材126は、規制面127aに係合する係合部126aを備えている(
図32参照)。係合部126aは、係合部材126の下端部に配置されている。回転機構16に被印刷体2が正しく取り付けられているときには、係合部126aの前端面が規制面127aに所定の接触圧で接触している。
【0164】
係合部材126には、スライド部材125に対する係合部材126の回動方向へ係合部材126を案内するとともにスライド部材125に対する係合部材126の回動範囲を規制するためのガイド穴126bが形成されている(
図32参照)。ガイド穴126bは、回動中心軸136よりも前側に配置されている。また、ガイド穴126bは、回動中心軸136よりも上側に配置されている。左右方向から見たときのガイド穴126bの形状は、回動中心軸136の軸心を曲率中心とする円弧状に形成されている。ガイド穴126bには、スライド部材125に固定されるガイド用ネジ137が挿通されている。
【0165】
ネジリコイルバネ128には、回動中心軸136が挿通されている。ネジリコイルバネ128の一端部は、スライド部材125のバネ係合部125cに接触している。ネジリコイルバネ128の他端部は、係合部材126に接触している。ネジリコイルバネ128は、右側から見たときに、回動中心軸136を中心にして反時計回りの方向(
図32の反時計回りの方向)に係合部材126を付勢している。係合部材126の下端部に配置される係合部126aは、規制部127bの上側に配置されている。ネジリコイルバネ128は、係合部126aが規制部127bに向かう方向に係合部材126を付勢している。
【0166】
ネジリコイルバネ128の付勢力に抗して係合部材126を回動させると(すなわち、係合部126aが規制部127bから離れるように、右側から見たときの時計回りの方向に係合部材126を回動させると)、
図32の二点鎖線で示すように、規制面127aから係合部126aが外れる。そのため、ネジリコイルバネ128の付勢力に抗して係合部材126を回動させると、スライド部材125および係合部材126を前側に移動させることが可能になる。なお、係合部材126の前上端部には、ネジリコイルバネ128の付勢力に抗して係合部材126を回動させるための指掛け部126cが形成されている。
【0167】
この変更例では、回転機構16に被印刷体2が正しく取り付けられているときには、規制面127aと、規制面127aに接触する係合部126aとによって、スライド部材125および係合部材126の前側への移動が規制されている。また、回転機構16に被印刷体2が正しく取り付けられているときには、圧縮コイルバネ130が所定量縮んでおり(たとえば、5(mm)程度縮んでおり)、圧縮コイルバネ130に付勢力によって、スライド部材125に対して、第2回転部32と第2保持部33とガイドブロック39と固定部材124とが後ろ側に付勢されている。そのため、回転機構16に被印刷体2が正しく取り付けられているときには、被印刷体2の前端面は、第2回転部32に所定の接触圧で接触し、被印刷体2の後端面は、第1回転部27に所定の接触圧で接触している。
【0168】
回動部材131は、固定部材124の前端部に固定される回動中心軸を回動中心にして固定部材124に対して回動可能になっている。この回動中心軸は、回動中心軸の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。回動部材131は、回動規制部125bの前側に配置される被規制部131aと、引張りコイルバネ132の前端部が係合するバネ係合部131bとを備えている。被規制部131aは、回動部材131の左前端部に配置されている。バネ係合部131bは、被規制部131aの後ろ側に配置されている。
【0169】
回動部材131の後ろ側には、第1検知機構23が配置されている。第1検知機構23は、第1検知機構23の本体部の前側にレバー23aが配置されるように、固定部材124に取り付けられている。レバー23aには、回動部材131の後端部が前側から接触可能となっている。引張りコイルバネ132の後端部は、第2保持部33に係合している。引張りコイルバネ132の前端部は、上述のように、回動部材131のバネ係合部131bに係合している。引張りコイルバネ132は、上側から見たときに、回動部材131の回動中心を中心にして時計回りの方向(
図33、
図34の時計回りの方向)に回動部材131を付勢している。
図33、
図34の時計回りの方向への回動部材131の回動は、被規制部131aの後ろ側に配置される回動規制部125bによって規制されている。
【0170】
この変形例では、回転機構16に被印刷体2を取り付けるときには、第1回転部27と第2回転部32との間に被印刷体2を配置した後、圧縮コイルバネ130が所定量縮むまで、スライド部材125および係合部材126を後ろ側に移動させる。スライド部材125および係合部材126が後ろ側に移動すると、第2回転部32、第2保持部33、ガイドブロック39および固定部材124も圧縮コイルバネ130に押されて後ろ側に移動する。また、圧縮コイルバネ130が所定量縮むまで、スライド部材125および係合部材126を後ろ側に移動させると、被印刷体2の前端面が第2回転部32に所定の接触圧で接触するとともに、被印刷体2の後端面が第1回転部27に所定の接触圧で接触して、回転機構16に被印刷体2が正しくセットされる。
【0171】
回転機構16に被印刷体2が正しく取り付けられているときには、圧縮コイルバネ130が所定量縮んでおり、第2保持部33に対してスライド部材125が相対的に後ろ側に移動して回動規制部125bが後ろ側に移動している。このときには、
図34に示すように、
図34の時計回りの方向に回動部材131が回動しており、回動部材131の後端部がレバー23aを後ろ側に押している。具体的には、第1検知機構23の接点部材をレバー23aが押す位置まで回動部材131の後端部がレバー23aを後ろ側に押している。そのため、回転機構16に被印刷体2が正しく取り付けられていることが第1検知機構23によって検知される。
【0172】
回転機構16から被印刷体2を取り外すときには、ネジリコイルバネ128の付勢力に抗して係合部材126を回動させて、第1回転部27と第2回転部32との間から被印刷体2を取り外すことが可能となる位置まで、スライド部材125および係合部材126を前側に移動させる。
【0173】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0174】
上述した形態において、調整値算出部78は、入力部75で入力された被印刷体2の外形の情報に基づいて、カバー18の調整後の高さを算出しても良い。この場合には、ディスプレイ76は、調整値算出部78で算出されたカバー18の調整後の高さを表示する。また、上述した形態において、調整値算出部78は、回転機構16の調整後の角度または紫外線照射器17の調整後の高さを算出しなくても良い。また、上述した形態において、紫外線照射装置4は、調整値算出部78を備えていなくても良い。
【0175】
上述した形態では、カバー上部58とカバー下部59とが別体で形成されており、カバー上部58とカバー下部59とが分離可能となっているが、カバー上部58とカバー下部59とが一体で形成されていても良い。また、上述した形態において、第2カバー20は、カバー18の上側に配置されていても良い。
【0176】
上述した形態において、一定の外径を有する被印刷体2のみの印刷が印刷装置1で行われる場合には、カバー18の上下方向の位置が調整可能となっていなくても良い。また、一定の外径を有する被印刷体2の印刷のみが印刷装置1で行われる場合には、紫外線照射装置4は、第2カバー20およびカバー位置調整機構21を備えていなくても良い。また、一定の外径を有する被印刷体2の印刷のみが印刷装置1で行われる場合には、紫外線照射器17の上下方向の位置が調整可能になっていなくても良い。
【0177】
上述した形態において、一定の長さの被印刷体2のみの印刷が印刷装置1で行われる場合には、紫外線照射装置4は、第3カバー22を備えていなくても良い。また、上述した形態において、円柱状の外形を有する被印刷体2のみの印刷が印刷装置1で行われる場合には、左右方向から見たときの水平方向に対する回転機構16の傾きが調整可能になっていなくても良い。また、円柱状の外形を有する被印刷体2のみの印刷が印刷装置1で行われる場合には、上下方向から見たときの被印刷体2の軸心に対する紫外線照射器17の傾きが調整可能になっていなくても良い。
【0178】
上述した形態において、紫外線照射装置4は、前後方向(X方向)と主走査方向とが一致するように(すなわち、左右方向と副走査方向とが一致するように)テーブル5に載置されても良い。また、上述した形態において、印刷装置1は、ステージ駆動機構12に代えて、Yバー8を副走査方向に移動させるYバー駆動機構を備えていても良い。また、上述した形態において、紫外線照射器17は、被印刷体2の下方に配置されていても良い。
【符号の説明】
【0179】
1 印刷装置
2 被印刷体
3 インクジェットヘッド
4 紫外線照射装置
5 テーブル
16 回転機構
17 紫外線照射器
18 カバー
18a カバー部
18b 開口
20 第2カバー
75 入力部
76 ディスプレイ(表示部)
77 ENTERキー(入力キー)
78 調整値算出部
Y 左右方向