(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035671
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20240307BHJP
【FI】
G06Q10/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140273
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】517192098
【氏名又は名称】ジオビンゴ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 一也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
(57)【要約】
【課題】ユーザがイベント会場へ実際に行かなくても、イベント会場と同じ臨場感で充分に楽しめる映像を配信する情報処理方法等を提供する。
【解決手段】情報処理方法は、イベント会場の座席に対応した仮想空間における座席チケットの購入を受付け、前記イベント会場に配置される複数の撮像装置から動画データを取得し、購入した前記座席チケットの座席に応じた動画データを、ユーザ端末へ出力する。好適には、前記座席チケットの購入を受付ける際に、複数人から同一座席の座席チケットの購入を受付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント会場の座席に対応した仮想空間における座席チケットの購入を受付け、
前記イベント会場に配置される複数の撮像装置から動画データを取得し、
購入した前記座席チケットの座席に応じた動画データを、ユーザ端末へ出力する
情報処理方法。
【請求項2】
前記座席チケットの購入を受付ける際に、複数人から同一座席の座席チケットの購入を受付ける
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記複数の撮像装置から取得した動画データを学習済みのモデルであって、座席の座標と、座席からイベント会場のステージを見た視線方向とを入力した場合に該座席に対応する動画データを生成するよう学習済みのモデルを用いて、前記座席チケットに対応する座席の動画データを生成し、
生成した動画データを前記ユーザ端末へ出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記複数の撮像装置から取得した動画データを、座席ごとの視点の動画データに合成し、
変換した動画データを前記ユーザ端末へ出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記ユーザ端末から、ユーザのリアクションを受信し、
前記リアクションを、前記イベント会場へ出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記ユーザ端末は、VR(Virtual Reality)機器であり、
前記動画データは、前記VR機器を介して出力される
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記座席チケットの購入を受付ける際に、購入しようとする座席に応じた過去の動画データのプレビュー表示を、前記ユーザ端末へ出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記座席チケットの購入を受付ける際に、座席チケットの購入が可能な座席を選択可能に出力し、
ユーザが選択した座席に応じた前記プレビュー表示を前記ユーザ端末へ出力する
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記イベント会場において、前記座席を、複数の演者のうち特定の演者の観覧に特化した位置に割当て、
前記座席チケットの購入を受付ける際に、割当てた各演者の座席を識別可能に出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記座席チケットの購入を受付ける際に、実空間における座席チケットと、仮想空間における座席チケットが付属した実空間における座席チケットとを、選択可能に出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記座席チケットの購入を受付ける際に、イベントの演者に関するNFT(Non fungible token)付き前記仮想空間における座席チケットと、前記仮想空間における座席チケットとを選択可能に出力し、
前記NFTを保有するユーザの前記ユーザ端末に、イベントの特典を出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項12】
イベント会場の座席に対応した仮想空間における座席チケットの購入を受付け、
前記イベント会場に配置される複数の撮像装置から動画データを取得し、
購入したチケットの座席に応じた前記動画データを、ユーザ端末へ出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
イベント会場の座席に対応した仮想空間における座席チケットの購入を受付け、
前記イベント会場に配置される複数の撮像装置から動画データを取得し、
購入した前記座席チケットの座席に応じた動画データを、ユーザ端末へ出力する
情報処理装置。
【請求項14】
イベント会場における実空間の座席の実空間座席チケット、または前記イベント会場の前記座席に対応した仮想空間における座席チケットを購入することができるよう選択可能に表示し、
前記仮想空間における座席チケットの購入を受付けた場合に、前記座席に応じた視点のイベント時の動画データをリアルタイムで表示する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
前記イベント会場において、前記座席を、複数の演者の観覧に特化した位置に割当て、
前記座席チケットの購入を受付ける際に、割当てた各演者の座席を識別可能に出力する
処理をコンピュータに実行させる請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対し、イベント会場で観覧している時と同じ様な臨場感を与える映像を配信するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、選択エリアごとに異なる映像を提供できるが、それでもなお、同一エリア内の視聴者に対しては画一的な映像を提供することになる。たとえば、同一エリア内であっても、最前列座席と最後列座席との間、または中心座席と両端座席との間で、見える景色が異なる。かかる場合に同一エリア内で画一的な映像を提供するのでは、ユーザはイベント会場で観覧している時と同じ臨場感を得られない。
【0005】
一つの側面では、ユーザがイベント会場へ実際に行かなくても、イベント会場と同じ臨場感で充分に楽しめる映像を配信する情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理方法は、イベント会場の座席に対応した仮想空間における座席チケットの購入を受付け、前記イベント会場に配置される複数の撮像装置から動画データを取得し、購入した前記座席チケットの座席に応じた動画データを、ユーザ端末へ出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、ユーザがイベント会場へ実際に行かなくても、イベント会場と同じ臨場感で充分に楽しめる映像を配信する情報処理方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システムの構成を説明する説明図である。
【
図3】売上DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図4】座席DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図8】カメラおよびスピーカの配置例を説明する説明図である。
【
図11】座席チケット購入の際のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図12】イベントが開催されている際のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図13】実施の形態2におけるユーザ端末の構成を説明する説明図である。
【
図15】実施の形態3における売上DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
【
図16】実施の形態4におけるカメラの配置場所を説明する説明図である。
【
図17】実施の形態4におけるチケット購入画面の画面例である。
【
図18】実施の形態5におけるチケット選択画面の画面例である。
【
図19】実施の形態5におけるNFT譲渡システムの概要を示す説明図である。
【
図21】スマートコントラクトによるイベント関係者へ譲渡費用の一部を付与する処理を説明する説明図である。
【
図22】NFTを発行する際の処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、情報処理システムの構成を説明する説明図である。本実施の形態では、イベント会場の各座席に配置されたカメラ3で撮像された画像をユーザに配信することで、イベント会場と同じ臨場感を与えることができる情報処理システムについて説明する。情報処理システムは、情報処理装置1、ユーザ端末2、複数のカメラ(撮像装置)3、及びスピーカ4を備える。各装置はインターネット等のネットワークNに通信接続されている。
【0010】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下の説明では簡潔のためサーバ1と呼ぶ。サーバ1は、後述するようにイベント会場の座席チケットの購入をユーザ端末2から受け付けると共に、座席チケットを購入したユーザのユーザ端末2に対し、該当座席に対応する位置に設置したカメラ3で撮像された動画データを配信する。
【0011】
ユーザ端末2は、各ユーザが所持する端末装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。各ユーザはユーザ端末2を介してチケットの購入を行うと共に、動画データを視聴する。
【0012】
カメラ3は、イベント会場の座席に設置された撮像装置であり、不図示のコントローラ(例えば会場内に設置されたパーソナルコンピュータ)を介して、サーバ1に接続されている。スピーカ4もカメラ3と同様、イベント会場に設置されたスピーカ装置であり、不図示のコントローラを介してサーバ1に接続されている。
【0013】
図2は、サーバ1の構成を説明する説明図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14、表示部15、入力部16、およびバスを備える。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置であり、バスを介してサーバ1を構成するハードウェア各部と接続されている。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶装置であり、制御部11が行う処理の途中で必要な情報および制御部11で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0014】
補助記憶部13は、ハードディスク等の大容量記憶装置である。補助記憶部13には、制御部11に実行させるプログラムおよびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。また、補助記憶部13は、売上DB75、座席DB77を記憶している。売上DB75は、座席チケットの売上に関する情報を格納するデータベースである。座席DB77は、イベント会場の各座席の情報を格納するデータベースである。
【0015】
通信部14は、サーバ1とネットワークNとの間の通信を行うインターフェイスである。表示部15は、液晶表示パネルまたは有機EL表示パネル等である。入力部16は、キーボード、マウス等である。
【0016】
なお、サーバ1は、分散処理を行う複数のコンピュータにより構成されていてもよい。例えばサーバ1は、チケットを販売するサーバと、動画データを配信するサーバとが別個に構成されていてもよい。
【0017】
図3は、売上DB75のレコードレイアウトを説明する説明図である。売上DB75は、ユーザID列、チケットID列、購入日列、チケット種類列、座席列を含む。ユーザID列は、座席チケットを購入したユーザを識別するためのユーザIDを記憶している。チケットID列、購入日列、チケット種類列、及び座席列はそれぞれ、ユーザIDと対応付けて、ユーザが購入した座席チケットのチケットID、座席チケットの購入日、チケットの種類、及びチケットに対応する座席番号を記憶している。
【0018】
より詳しくは、チケット種類列にはチケットの種類として「配信」又は「会場」の2パターンの情報が格納される。「配信」は、ユーザが購入したチケットが、動画データの配信を受ける権利であることを表す。「会場」は、ユーザが購入したチケットが、会場に来場して当該座席でイベントを観覧する権利であることを表す。以下の説明では便宜上、前者のチケットを「配信チケット」と呼び、後者のチケットを「会場チケット」と呼んで区別する。
【0019】
なお、
図3における売上DB75では、ユーザID列に、「AAAA」が記録されているレコードの座席列には、「1階F列6番」が記録されている。一方で、ユーザID列に「EEEE」が記録されているレコードの座席列にも、「1階F列6番」が記録されている。このように、本実施の形態においては、同一座席を指定する配信チケットは、複数人に譲渡されうる。
【0020】
図4は、座席DB77のレコードレイアウトを説明する説明図である。座席DB77は、座席列、座標列、画像列、スピーカ列を含む。座席列は、各座席の座席番号を記憶している。座標列、画像列、及びスピーカ列はそれぞれ、座席番号と対応付けて、各座席の座標(後述の3次元座標(x,y,z)及び視線向き(θ,φ))、各座席に対応する動画データの取得方法(カメラ3の撮像画像をそのまま配信するか、又は後述の学習モデル73により画像を生成するか)、及び各座席に対応するスピーカを記憶している。
【0021】
図5は、ユーザ端末2の構成を説明する説明図である。ユーザ端末2は、制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、タッチパネル25、音声入力部26、音声出力部27およびバスを備える。
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算制御装置であり、バスを介してユーザ端末2を構成するハードウェア各部と接続されている。主記憶部22は、SRAM、DRAM等の一時記憶装置であり、制御部21が行う処理の途中で必要な情報および制御部21で実行中のプログラムが一時的に保存される。補助記憶部23は、ハードディスク等の記憶装置であり、制御部21に実行させるプログラムおよびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。
【0022】
通信部24は、ユーザ端末2とネットワークNとの間の通信を行うインターフェイスである。タッチパネル25は液晶表示パネル等であり、画像を表示する表示部251、及び操作入力を受け付ける入力部252として機能する。音声入力部26は、マイク等の、音声を電気信号に変換する装置である。音声出力部27は、スピーカ等の、電気信号を音声に変換する装置である。
【0023】
図6は、カメラ3の配置場所を説明する説明図である。本実施の形態におけるイベント会場は、バンド、オーケストラ、オペラ、コンサート、もしくは、公演等の音楽イベント、スポーツ競技、映画、相撲、落語、もしくは、歌舞伎等の娯楽イベント、またはその他さまざまなイベントが行われる会場である。カメラ3は、動画データをサーバ1に送信可能なカメラである。動画データは、静止画、動画、またはそれらの組み合わせを含み、音が含まれ得る。本実施の形態における演者は、イベントの出演者またはスポーツ競技の選手等である。
【0024】
本実施の形態では、ライブストリーミング配信を例にして説明するが、オンデマンド配信等のストリーミング配信、プログレッシブダウンロード配信、またはDRM(Digital rights management)配信等であってもよい。
【0025】
カメラ3は、イベント会場の座席付近に複数配置される。具体的には、複数の座席(
図6では4つ)から成るエリア5ごとに一台のカメラ3が配置される。スピーカ4も同様に、エリア5ごとに一台のスピーカ4が配置される。
【0026】
なお、カメラ3及びスピーカ4は、例えば座席ごとに配置されてもよく、また、さまざまな区画方法により作成されるエリア5ごとに配置されてもよい。
【0027】
カメラ3は、各々の位置からイベント会場のステージを撮像し、撮像画像(動画データ)をサーバ1に転送する。後述するように、サーバ1は、カメラ3で撮像された動画データを、カメラ3が属するエリア5内の座席チケットを購入したユーザのユーザ端末2に配信する。
【0028】
ここでサーバ1は、カメラ3で撮像された画像をそのまま配信してもよいが、本実施の形態では更に、各座席に対応した新たな視点からの画像に変換し、ユーザ端末2に配信する。
【0029】
図7は、学習モデル73に関する説明図である。画像の変換手法は特に限定されないが、本実施の形態では、NeRF(Neural Radiance Fields)と呼ばれる機械学習モデルを用いて画像の変換を行う。NeRFとは、3次元空間上の関心座標(x,y,z)と、その座標におけるカメラ方向(θ,φ)とを入力した場合に、密度と色の4次元のパラメータを出力するMLP(Multi Layer Perceptron)である。
【0030】
本実施の形態においてサーバ1は、各カメラ3の3次元座標(x,y,z)及びカメラ3の向き(θ,φ)を事前に取得済みであるものとする。サーバ1は、各カメラ3で撮像した画像と、これらの5次元のパラメータとのペアを訓練データとし、学習モデル73を構築する。
【0031】
実際に各座席に対応した視点の画像を生成(変換)する場合、サーバ1は、上記で構築した学習モデル73に、座席の座標と、当該座席からステージに向かう視線向きとを入力し、当該座席から見たステージの画像を生成する。
【0032】
上記のように、学習モデル73を利用することで、複数の座席から成るエリア5ごとに設置された画像をそのまま配信するのではなく、座席ごとの画像を配信することができる。
【0033】
図8は、カメラ3およびスピーカ4の配置例を説明する説明図である。
図8では、A列~C列の1~3番席にカメラ3及びスピーカ4が配置されている様子を図示している。
【0034】
例えば
図8では、A列1番席に「camA」のカメラ3が設置されている。この場合、サーバ1は座席DB77を参照して、A列1番席の座席チケットを購入したユーザのユーザ端末2に対し、「camA」のカメラ3で撮像された画像を配信する。また、A列1番席の近傍には「spkA」のスピーカ4が設置されている。この場合、サーバ1は座席DB77を参照して、後述の通りユーザからのリアクションを出力する場合、「spkA」のスピーカ4から音声を出力する。
【0035】
一方で、B列1番席にはカメラ3が設置されていない。この場合、サーバ1は、座席DB77を参照して、B列1番席のユーザに対して配信する画像が、学習モデル73により生成するものであることを特定する(
図4参照)。この場合、サーバ1はB列1番席の3次元座標(x,y,z)及び視線向き(θ,φ)を学習モデル73に入力することで、B列1番席から見えるステージの画像を生成する。サーバ1は、生成した画像を該当ユーザのユーザ端末2に配信する。なお、音声についてはA列1番席と同様に、「spkA」のスピーカ4から音声を出力する。
【0036】
このようにして、サーバ1は、カメラ3が設置されている座席については当該カメラ3で撮像された画像を、カメラ3が設置されていない座席については学習モデル73で生成した画像を、それぞれユーザ端末2に配信する。
【0037】
なお、NeRFは画像変換手法の一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば学習モデル73は、MLP(NeRF)以外の生成系モデル(例えばCNN(Convolutional Neural Network)、U‐NET、GAN(Generative Adversarial Network)等)を用いて、各カメラ3で撮像された動画データを合成することで、各座席に対応する動画データを生成するようにしてもよい。
【0038】
具体的には、サーバ1は、各カメラ3の動画データと、特定の座席の動画データとを入出力のペアとした訓練データを用いて、各カメラ3の動画データを入力した場合に、これらを合成した動画データを生成するモデルを構築する。サーバ1は、構築したモデルに各カメラ3の動画データを入力することで、ユーザが購入した座席に対応する動画データを生成し、ユーザ端末2に配信する。
【0039】
このように、サーバ1は、複数のカメラ3で撮像された動画データを、座席ごとの視点の動画データに合成してもよい。
【0040】
次に、ユーザ端末2側での処理(チケット購入時の画面操作と、配信動画視聴時の画面操作)について、
図9及び
図10を用いて説明する。
【0041】
図9は、チケット購入画面の画面例である。
図9では、チケット購入時にユーザ端末2が表示する画面例を図示している。
図9Aのチケット購入画面の画面左側に表示されている部分は、座席選択部51である。ユーザは、座席選択部51内に表示される座席を押下することで、座席を選択することができる。
【0042】
会場チケットが既に購入されている座席は、座席選択部51内において×マークが表示される。座席選択部51内において、×マークが表示されている座席の会場チケットは購入することができない。一方で、配信チケットを購入する場合は、×マークが表示されている座席でも選択することができる。
【0043】
図9Aの画面右上に表示されている部分は、プレビュー表示部52である。座席選択部51で選択された座席から観覧できる実際の動画データがプレビュー表示される。プレビュー表示部52に表示される動画データは、過去に行なわれたイベントのハイライトシーンを同座席近傍のカメラ3から撮影したものである。
【0044】
ユーザは、プレビュー表示部52の再生ボタンをタップすることで、過去のハイライトシーンを視聴することができる。同時に、ユーザは選択した座席から見える景色を確認することができ、座席選択の参考にすることができる。
【0045】
ユーザが、一度選択したプレビュー表示は、選択履歴としてメモリに記録される。ユーザが、一覧を開くボタン54をタップすることで、
図9Bのチケット購入画面に遷移する。
図9Bのチケット購入画面では、一覧表示部56に複数の座席のプレビュー表示のサムネイルが表示されている。一覧表示部56に表示されているプレビュー表示のサムネイルは、メモリに記録されたユーザの過去の選択履歴である。
【0046】
ユーザは
図9Aのチケット購入画面内の座席選択部51のみならず、一覧表示部56のプレビュー表示からも座席を選択することができる。複数のプレビュー表示を座席選択の候補として、ユーザがお気に入り登録できるようにしてもよい。この場合、お気に入り登録されたプレビュー表示を一覧として表示してもよい。
【0047】
図9Aの画面右下および
図9Bの画面左下に表示されている部分は、座席情報表示部53である。座席情報表示部53には、座席選択部51または一覧表示部56で選択した座席の座席情報と、チケット料金が表示される。また、ユーザは座席情報表示部53内のチケット種類欄を押下することで、チケットの種類をプルダウン選択することができる。チケットの種類には、配信チケットおよび会場チケットが含まれる。ユーザは、座席情報表示部53内の購入ボタンを押下することで、選択した座席チケットを購入することができる。
【0048】
一般に、イベント会場の座席は、一座席につき一人しか座れない。そのため、イベント会場の座席チケットは、同一座席のチケットを複数人に販売することができない。しかし、本実施の形態においては、座席に応じたイベントの動画データを配信し、配信チケットを座席ごとに販売している。したがって、同一座席のチケットを複数人に販売することができ、広いスペースのイベント会場を要することなく、収益化を図るイベントを開催することができる。
【0049】
図10は、イベント視聴画面60の画面例である。イベント視聴画面60は、座席チケットを購入したユーザのユーザ端末2に表示される。イベント視聴画面中央に表示されている部分は、イベント動画表示部61である。
【0050】
イベント動画表示部61に表示されている動画は、ユーザが購入した座席チケットの座席に対応する動画データである。すなわち、イベント動画表示部61の動画は、ユーザが購入した座席チケットの座席近辺に配置されたカメラ3から取得した動画データである。また、イベント動画表示部61の動画は、上述の如く、学習モデル73により生成した動画データであってもよい。
【0051】
イベント視聴画面60の左下に表示されている部分は、コメント送信部62である。ユーザは、入力部252を操作して、イベントに対する感想のコメントを送信することができる。送信されたコメントは、逐次イベント会場に設置される図示を省略する大型モニタに出力される。
【0052】
イベント会場の観客および演者は、送信されたコメントを観覧しながらイベントを楽しむことができる。また、送信されたコメントは、イベント視聴画面60内の図示を省略するコメント欄に出力されてもよい。
【0053】
イベント視聴画面60の右下に表示されているボタンは、声援送信部63である。ユーザは、声援送信部63を押下することで、音声入力部26を介して、イベントに対する声援、すなわちリアクションを送信することができる。
【0054】
送信されたリアクションは、イベント会場に設置される複数のスピーカ4のうち、ユーザの購入した座席チケットの座席に対応するスピーカ4に出力される。声援送信部63により、ユーザは、斉唱またはコールアンドレスポンス等ができるようになり、イベント会場に行かなくても、演者およびイベント会場との一体感を得ることができる。
【0055】
図11は、座席チケット購入の際のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図11のプログラムは、座席チケットを購入する際に、ユーザがユーザ端末2を操作して起動する。
【0056】
制御部11は、チケット購入画面を送信する(ステップS211)。制御部21は、チケット購入画面を受信する(ステップS311)。制御部21は、チケット購入画面を表示する(ステップS312)。制御部21は、座席選択を受付ける(ステップS313)。制御部21は、選択された座席に対応するプレビュー表示を出力する(ステップS314)。
【0057】
制御部21は、チケット種類の選択を受付ける(ステップS315)。具体的には、制御部21は、配信チケットまたは会場チケットの選択を受付ける。制御部21は、座席チケットの購入を受付ける(ステップS316)。制御部21は、購入された座席チケットの情報をサーバ1に送信する(ステップS317)。
【0058】
制御部11は、購入された座席チケットの情報を受信する(ステップS212)。制御部11は、受信した座席チケットの情報に基づいてチケットIDを生成する(ステップS213)。ここで、チケットIDは、配信される特定の動画データを特定の時間帯に閲覧可能にするためのURLであり、本実施の形態のチケット情報の一例である。制御部11は、チケットIDをユーザ端末2に送信する(ステップS214)。制御部11は、たとえば電子メールまたはSMS等を介してチケットIDをユーザ端末2に送信する。
【0059】
制御部11は、売上DB75に新規レコードを作成し、チケット情報に固有に対応するユーザID、チケットID、購入日時、チケットの種類、座席を記録する(ステップS215)。
【0060】
制御部21は、チケットIDを受信する(ステップS318)。制御部21は、チケットIDを受信した旨をユーザに通知する(ステップS319)。その後、ユーザ端末2は、処理を終了する。
【0061】
図12は、イベントが開催されている際のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。カメラ3は、動画データを生成する(ステップS411)。カメラ3は、生成した動画データをサーバ1へ送信する(ステップS412)。制御部11は、動画データを受信する(ステップS251)。
【0062】
制御部11は、座席DB77の座席列、画像列、およびスピーカ列を参照し、座席に対応する画像データの取得方法および音声データを取得したスピーカ4を特定する(ステップS252)。
【0063】
制御部11は、特定した画像データの取得方法およびスピーカ4に基づいて受信した動画データを編集する(ステップS253)。制御部11は、編集した動画データをユーザ端末2へ送信する(ステップS254)。
【0064】
制御部21は、動画データを受信する(ステップS351)。制御部21は、受信した動画データを表示部251に出力する(ステップS352)。制御部21は、ユーザのリアクションを受付ける(ステップS353)。リアクションは、後述する声援送信部63(
図12参照)を押下することで、音声入力部26を介して、入力される。
【0065】
制御部21は、入力されたリアクションをサーバ1へ送信する(ステップS354)。制御部11は、リアクションを受信する(ステップS255)。制御部11は、受信したリアクションを座席に対応するスピーカ4へ送信する(ステップS256)。
【0066】
スピーカ4は、リアクションを受信する(ステップS511)。スピーカ4は、リアクションを出力する(ステップS512)。イベント終了後、制御部11は、処理を終了する。
【0067】
以上より、本実施の形態1によれば、ユーザがイベント会場へ実際に行かなくても、イベント会場と同じ臨場感で充分に楽しめる映像を配信することができる。
【0068】
[実施の形態2]
本実施の形態は、ユーザがVR(Virtual Reality)により動画データを視聴することができる情報処理システムに関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0069】
図13は、実施の形態2におけるユーザ端末2の構成を説明する説明図である。実施の形態2におけるユーザ端末2には、VR機器28が接続される。VR機器28は、VRゴーグル等の、覗きこむことで仮想現実を体験することができる装置である。VR機器28は、有線または無線でユーザ端末2と接続される。VR機器28は、再生部281および検出部282を有する。
【0070】
再生部281は、VR機器28の内側に内蔵されたディスプレイである。ディスプレイは、VR機器28の内側に二つ左右に並んで設置される。右側のディスプレイには右目用映像が出力され、左側のディスプレイには左目用映像が出力される。また、VR機器28にヘッドホンが内蔵されている場合、再生部281には、ヘッドホンも含まれる。
【0071】
検出部282は、VR機器28を装着したユーザの動きを検出するセンサ等である。検出部282は、ヘッドトラッキング機能およびアイトラッキング機能を有する。ヘッドトラッキング機能は、VR機器28を装着したユーザの頭の動きを追尾する機能である。ヘッドトラッキング機能により、頭の動きに連動した映像を出力することができる。
【0072】
アイトラッキング機能は、VR機器28を装着したユーザの目の動きや焦点をとらえ、映像に動きを反映させる機能である。なお、検出部282は、VR機器28を装着したユーザの全身の動きを追尾するポジショントラッキング機能を有していてもよい。また、検出部282は、ヘッドトラッキング機能またはアイトラッキング機能のどちらか一方のみを有していてもよい。
【0073】
本実施の形態において、カメラ3は、上下左右の広方位を一度に撮影できるカメラである。上下左右の広方位は、たとえば360度である。カメラ3により取得した広方位の動画データは、通信部24を介してユーザ端末2へ送信され、再生部281に出力される。さらに、再生部281に出力する際に、検出部282により検出した、ユーザの頭または目線等の動きに応じた動的な視線を動画データに付加する。
【0074】
なお、再生部281に出力される動画データは、複数のカメラ3から取得した広方位の動画データを学習モデル73により合成処理した動画データであってもよい。また、VR機器28と、対応する座席に設置されたカメラ3とが連動し、ユーザの頭の動きに応じてカメラ3が動いてもよい。また、VR機器28を装着したユーザが左右へ首を回した場合には、実際にイベント会場にいる隣の座席の観客の顔が見えてもよい。
【0075】
たとえば、ステージ上に複数の演者がいる場合または演者が移動した場合には、ユーザは演者を目で追いかけることができる。すなわち、ユーザが観覧したい演者が、フレームアウトしてユーザが歯がゆい思いをすることがない。
【0076】
本実施の形態によると、ユーザはイベント会場へ実際に行かなくても、イベント会場と同じ臨場感で充分にイベントを楽しむことができる情報処理システムを提供することができる。
【0077】
[実施の形態3]
本実施の形態は、会場チケット(実空間における座席チケット)と、配信チケット付きの会場チケット(仮想空間における座席チケットが付属した実空間における座席チケット)とを分けて販売する情報処理システムに関する。実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、説明を省略する。
【0078】
図14は、チケット選択画面84の画面例である。チケット選択画面84の中央には、会場チケットボタン85、配信チケットボタン86、および配信付き会場チケットボタン87が表示されている。
【0079】
会場チケットボタン85を押下すると、会場チケット購入画面へ遷移し、会場チケットを購入することができる。会場チケットは、イベント会場における座席チケットであり、同一座席の座席チケットは一人のみ購入することができる。会場チケットのみでは、ユーザ端末2を介して動画データは配信されない。
【0080】
配信チケットボタン86を押下すると、配信チケットのチケット購入画面(
図9参照)へ遷移し、座席を選択することができる。配信チケットは、同一座席の座席チケットを複数人に対して販売することが可能である。配信チケットは、イベント会場の座席に対応した、仮想空間における座席チケットである。配信チケットを購入したユーザのユーザ端末2には、座席に対応する動画データが配信される。
【0081】
配信付き会場チケットボタン87を押下すると、配信チケットが付属した会場チケットの購入画面へ遷移する。配信チケットの仮想空間における座席と会場チケットの実空間における座席は対応する。配信付き会場チケットを購入したユーザは、実際にイベント会場へ行くか、またはイベント会場へ行かずに配信を観覧するかを選択することができる。実際にイベント会場へ行きつつ、イベント終了後にアーカイブ配信を観覧することができてもよい。たとえば、イベント会場が屋外で、イベント当日が雨天の場合に、ユーザはイベント会場へ行かずに、イベントを楽しむことができる。
【0082】
図15は、実施の形態3における売上DB75のレコードレイアウトを説明する説明図である。実施の形態3における売上DB75のチケット種類フィールドには、「配信」および「会場」に加えて「配信・会場」が記録されている。配信付き会場チケットをユーザが購入した時に作成されるレコードのチケット種類フィールドに「配信・会場」が記録される。
【0083】
[実施の形態4]
本実施の形態は、特定の演者を応援する観客が集まる専用シートからの動画データを視聴することができる情報処理システムに関する。実施の形態1~3と共通する部分については、説明を省略する。
【0084】
図16は、実施の形態4におけるカメラ3の配置場所を説明する説明図である。本実施の形態において、イベント会場における座席は、演者ごとに割当てられる。
図16に示すように、座席81は、イベント中にステージ上で移動する演者80bの観覧に最適な位置に割当られ、座席81には演者80bを応援する観客が集まる。カメラ3bは座席81近辺に複数配置される。カメラ3bは、演者80bのみを追跡して撮影する。同様に演者80a、演者80cおよび演者80dをそれぞれ応援する観客専用の座席と特定の演者のみを追跡して撮影する複数のカメラ3が配置される。
【0085】
カメラ3は、たとえば複数の演者を構成するグループの中で、特定の演者を象徴する色(メンバーカラー)等で標識されていてもよい。演者は、自分のメンバーカラーの標識を見つけることによって、自分を応援する観客の座席、およびカメラ3の場所が分かる。そのため、演者は、自分を応援する観客およびカメラ3の方へ、目を向けてパフォーマンスをし、また、手を振ること等ができる。
【0086】
図17は、実施の形態4におけるチケット購入画面の画面例である。
図17の画面は、表示部251に表示される。座席選択部91には、演者ごとに座席が表示される。ユーザは、応援する演者を観覧するのに特化した座席を選択することができる。さらに、プレビュー表示部92の再生ボタンを押下することで、選択した座席から過去のイベントのハイライトシーンを視聴し、座席選択の参考にすることができる。
【0087】
座席情報表示部93には、選択した座席の座席情報と、チケット料金が表示される。ユーザは、座席情報表示部93内の購入ボタンを押下することで選択した座席チケットを購入することができる。
【0088】
本実施の形態によると、イベント会場に行かなくても、演者との距離が近い状態でイベントを楽しむことができる情報処理システムを提供することができる。さらに、同一座席の座席チケットは、複数人に対して販売することができる。そのため、購入された座席チケットの数により、個々の演者のグループ活動における成績評価を計ることができる。したがって、演者の座席チケットを購入することで、応援する演者の活躍を後押しすることができる。
【0089】
[実施の形態5]
本実施の形態は、NFT(Non fungible token)付きチケットを販売する形態に関する。実施の形態1~4と共通する部分については、説明を省略する。
【0090】
図18は、実施の形態5におけるチケット選択画面94の画面例である。チケット選択画面94は、表示部251に表示される。チケット選択画面94には、配信チケットボタン95およびNFT付き配信チケットボタン96が表示される。本実施の形態では、チケット購入の際、配信チケットまたはNFT付き配信チケットのいずれを購入するかを選択することができる。また、会場チケット、NFT付き会場チケット、またはNFT付き配信チケット付き会場チケットが選択できるようにしてもよい。
【0091】
ユーザが、配信チケットボタン95を押下すると、配信チケットのチケット購入画面(
図9参照)へ遷移し、座席を選択することができる。一方で、NFT付き配信チケットボタン96を押下すると、NFT付き配信チケットのチケット購入画面へ遷移し、NFT付き配信チケットを購入することができる。NFT付き配信チケットの料金は、配信チケットの料金よりも高額に設定される。NFT付き配信チケットは数量を限定して販売されてもよい。
【0092】
本実施の形態においてNFT付き配信チケットとは、NFTが付属した配信チケットである。NFTは、鑑定書または所有証明書付きのデジタルデータであり、仮想通貨と同様にデータ管理にブロックチェーン技術が用いられ、改ざんおよび偽造が困難となっている。配信チケットは、サーバ1により発行される。NFTは、配信チケットとは別に、ブロックチェーンシステム上で発行される。
【0093】
なお、NFT付き配信チケットは、NFTが付属した配信チケットに限定されず、たとえば、チケットとNFTとが一体になっていてもよい。また、配信チケットに限定されず、実空間における会場チケットにNFTが付属していてもよい。さらに、配信チケット付き会場チケットにNFTが付属していてもよい。
【0094】
本実施の形態におけるNFTは、イベントに参加する演者のデジタルブロマイドに紐づけられて発行される。デジタルブロマイドは、演者が一人で写っているものでも、複数人で映っているものでもよい。NFTはデジタルブロマイドに限定されず、たとえば演者が映った限定動画、演者が描いた絵画、または演者の歌唱を音源化したデータ等に紐づけられていてもよい。
【0095】
各演者が映っているデジタルブロマイドをNFTに紐づけ、配信チケットに付属させる場合は、ユーザは自分が応援する演者に対応するNFTが付属した配信チケットを選択して購入することができる。演者ごとのNFT付き配信チケットの売上げを比較することにより、個々の演者のグループ活動における成績評価を計ることもできる。そのため、ユーザはNFT付き配信チケットを購入することで、自分が応援する演者の活躍を後押しすることができる。
【0096】
また、NFT付き配信チケットを購入し、NFTを所有しているユーザに対して特典を付与してもよい。たとえば、NFTを所有しているユーザのユーザ端末2にイベントに関する特典映像を出力してもよい。
【0097】
図19は、実施の形態5におけるNFT譲渡システムの概要を示す説明図である。本実施の形態のシステムは、サーバ1、ブロックチェーンシステム6、およびユーザ端末2を有する。各装置はインターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0098】
ブロックチェーンシステム6は、分散台帳技術、または分散ネットワークである。ブロックチェーンシステム6は、コンセンサス処理を実行する複数のノード7により構成される。ノード7の各々は、当該コンセンサス処理の実行を通じて、ブロックチェーンデータのコピーを保持する。ブロックチェーンシステム6は、ブロックと呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖のように連結していくことによりデータを保管する。
【0099】
図20は、NFTの構成を説明する説明図である。
図20のNFTの構成は、Ethereum(登録商標)でのERC721の場合を例にして説明する。
【0100】
インデックスデータは、トークンID、所有者ID、およびトークンURI(Uniform Resource Identifier)を紐づけて構成されている。トークンIDは、所有するトークンに一意に対応する識別子である。所有者IDとは、ブロックチェーンシステム6上でトークン所有者を識別する識別子である。トークンURIは、NFTのメタデータの保存場所である。
【0101】
トークンURIは、ブロックチェーンシステム6上のファイルで管理され、トークンIDと結びつくことでNFTの機能を構成する。さらに所有者IDと結びつくことでユーザがNFTを所有している証拠を構成する。
【0102】
メタデータは、NFTの名前、NFTの説明、および対象データのURL(Uniform Resource Locator)が記録されている。NFTの名前は、NFTに付された名称である。NFTの説明は、NFTの種類についての記載である。
【0103】
対象データのURLは、NFTの対象となるデータの、インターネット上での場所を示す文字列である。NFTの対象となるデータは、たとえば画像、または動画等である。
図20の例においては、イベントに参加する演者であるメンバーCのデジタルブロマイドがNFTに紐づけられている。
【0104】
図21は、スマートコントラクトによるイベント関係者へ譲渡費用の一部を付与する処理を説明する説明図である。
図21では、NFT付きの座席チケットを購入したユーザAのNFTを、ユーザBに譲渡する様子を図示している。
【0105】
上述の如く、サーバ1はNFT付きの座席チケットをユーザに販売する。当該NFTは、当然のことながら、第三者に譲渡することができる。譲渡費用(代金)の支払いは、例えば仮想通貨により行われる。
【0106】
ここで、本実施の形態では、NFTを第三者に譲渡する場合に、その譲渡費用の一部をイベント関係者に付与する。イベント関係者とは、例えば演者、イベント主催者などであるが、特に限定されない。
【0107】
譲渡費用の付与は、例えばノード7がNFT譲渡の際に呼び出すスマートコントラクトに定義しておくことで実行される。すなわち、サーバ1は、イベント関係者への費用付与処理を行うための必要な執行条件、契約内容および、イベント関係者のウォレットアドレス等が記載されたスマートコントラクトを生成し、ブロックチェーンシステム6にブロードキャストしておく。ノード7は、NFTの譲渡が行われた場合に当該スマートコントラクトを呼び出し、譲渡費用の一部(例えば譲渡費用の10%)をイベント関係者に付与するトランザクションを生成する。これにより、譲渡費用の一部がイベント関係者に支払われる。
【0108】
図22は、NFTを発行する際の処理の流れを説明するフローチャートである。
図22のプログラムは、チケットを購入する際にユーザがユーザ端末2を操作して起動する。
【0109】
制御部11は、チケット選択画面94(
図18参照)をユーザ端末2に送信する(ステップS271)。制御部21は、通信部24を介してチケット選択画面94を受信する(ステップS371)。制御部21は、チケット選択画面94を表示部251に表示する(ステップS372)。制御部21は、NFT付き配信チケットの選択を受付ける(ステップS373)。制御部21は、NFT付き配信チケットの購入を受付ける(ステップS374)。ステップS374において、制御部21は、NFT付き会場チケット、またはNFT付き配信チケット付き会場チケットの購入を受付けてもよい。
【0110】
制御部21は、購入されたNFT付き配信チケットの購入情報をサーバ1に送信する(ステップS375)。制御部11は、購入情報を受信する(ステップS272)。制御部11は、受信した購入情報に基づいてチケットIDを生成する(ステップS273)。
【0111】
制御部11は、購入情報に基づいて、ユーザに付与するNFTを発行する(ステップS274)。NFTは、イベントの特典(例えばデジタルブロマイド)の所有者を示すデータである。制御部11は、発行したNFTをブロックチェーンシステム6にブロードキャストする(ステップS275)。
【0112】
制御部11は、チケットID、及びNFTに紐付けた特典(デジタルブロマイド)をユーザ端末2へ送信する(ステップS276)。制御部11は、売上DB75の新規レコードを追加し、ユーザID、チケットID、購入日、チケットの種類、および座席を記録する(ステップS277)。
【0113】
制御部21は、チケットID及び特典を受信する(ステップS376)。制御部21は、チケットID及び特典を受信した旨をユーザに通知する(ステップS377)。制御部21は、ユーザの操作により、受信した特典(デジタルブロマイド)を表示部251に表示する(ステップS378)。制御部21は、その後処理を終了する。
【0114】
本実施の形態によると、ユーザは会場へ行かなくても特別感を得ながらイベントを楽しむことができる情報処理システムを提供することができる。
【0115】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0116】
特許請求の範囲に記載した独立請求項および従属請求項は、引用形式に関わらずのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0117】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 補助記憶部
14 通信部
15 表示部
16 入力部
2 ユーザ端末
21 制御部
22 主記憶部
23 補助記憶部
24 通信部
25 タッチパネル
26 音声入力部
27 音声出力部
28 VR機器
3 カメラ
4 スピーカ
6 ブロックチェーンシステム
7 ノード