(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035675
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】パラレルリンク機構およびリンク作動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 21/46 20060101AFI20240307BHJP
B25J 11/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F16H21/46
B25J11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140280
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 賢蔵
(72)【発明者】
【氏名】松澤 英樹
【テーマコード(参考)】
3C707
3J062
【Fターム(参考)】
3C707BS24
3C707HT21
3C707MT01
3J062AA60
3J062AB01
3J062AB28
3J062AC10
3J062BA22
3J062CB04
3J062CB28
3J062CB30
3J062CB33
3J062CG01
3J062CG67
3J062CG83
(57)【要約】
【課題】調整作業が容易なパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供する。
【解決手段】パラレルリンク機構は、基端側リンクハブ1と、3つ以上のリンク機構11と、3つ以上の回転体2a~2cと、先端側リンクハブ3とを備える。3つ以上のリンク機構11において、第2リンク部材6a、6bは、第1リンク部材4a、4bに第1回転対偶部25a、25bにおいて回転可能に接続される。第2リンク部材6a、6bは、先端側リンクハブ3に第2回転対偶部26a、26bにおいて回転可能に接続される。第1回転対偶部25a、25bの第1中心軸15a、15bと、第2回転対偶部26a、26bの第2中心軸16a、16bと、回転中心軸12とは球面リンク中心点30で交わる。先端側リンクハブ3の中心軸の延びる方向に対して、第2中心軸16a、16bは傾斜している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸と、前記回転中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記先端側リンクハブの中心軸の延びる方向に対して、前記第2中心軸は傾斜している、パラレルリンク機構。
【請求項2】
前記先端側リンクハブに設置される作業体をさらに備え、
前記作業体は被作業体に対する作業を行う作用点を含み、
前記作用点は前記球面リンク中心点と一致している、請求項1に記載のパラレルリンク機構。
【請求項3】
前記球面リンク中心点は、前記先端側リンクハブから見て前記基端側リンクハブとは反対側に位置する、請求項1または請求項2に記載のパラレルリンク機構。
【請求項4】
前記球面リンク中心点は、前記先端側リンクハブから見て前記基端側リンクハブと同じ側に位置する、請求項1または請求項2に記載のパラレルリンク機構。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のパラレルリンク機構と、
前記3つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。
【請求項6】
前記3つ以上の回転体と、前記姿勢制御用駆動源とを接続する連結機構部をさらに備える、請求項5に記載のリンク作動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パラレルリンク機構およびリンク作動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種装置に用いられるパラレルリンク機構が知られている(たとえば、特開2020-153494号公報参照)。上述した従来のパラレルリンク機構は、2節連鎖のリンク機構を3組以上設けた構成を有する。当該パラレルリンク機構では、先端側のリンクハブが回転3自由度で動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のパラレルリンク機構において、先端側のリンクハブに作業体を搭載する場合、球面リンク中心と作業体の作用点とを一致させることで、被作業体に対し作業体を様々な方向から容易にアプローチさせることができる。しかし、上述した従来のパラレルリンク機構では、球面リンク中心と作業体の作用点とを一致させることは難しかった。このため、従来のパラレルリンク機構では調整作業の容易性という観点から改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、調整作業が容易なパラレルリンク機構およびリンク作動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従ったパラレルリンク機構は、基端側リンクハブと、3つ以上のリンク機構と、3つ以上の回転体と、先端側リンクハブとを備える。3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で基端側リンクハブと回転自在に連結される。3つ以上のリンク機構のそれぞれは、第1リンク部材と、第2リンク部材とを含む。第2リンク部材は、第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続される。第2リンク部材は、先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続される。3つ以上のリンク機構のそれぞれの第1リンク部材は、3つ以上の回転体のうちの1つに固定されている。第1回転対偶部の第1中心軸と、第2回転対偶部の第2中心軸と、回転中心軸とは球面リンク中心点で交わる。先端側リンクハブの中心軸の延びる方向に対して、第2中心軸は傾斜している。
【0007】
本開示に係るリンク作動装置は、上記パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源とを備える。姿勢制御用駆動源は、3つ以上の回転体を回転させ、基端側リンクハブに対する先端側リンクハブの姿勢を変更する。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、調整作業が容易なパラレルリンク機構およびリンク作動装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るパラレルリンク機構の斜視模式図である。
【
図2】
図1に示されたパラレルリンク機構の側面模式図である。
【
図3】
図1に示されたパラレルリンク機構の上面模式図である。
【
図4】
図1に示されたパラレルリンク機構における先端側リンクハブの側面模式図である。
【
図5】
図2の線分V-Vにおける断面模式図である。
【
図6】
図1に示されたパラレルリンク機構における先端側リンクハブの姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。
【
図7】
図1に示されたパラレルリンク機構における先端側リンクハブの姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。
【
図8】
図7に示されたパラレルリンク機構の上面模式図である。
【
図9】実施の形態1に係るパラレルリンク機構の変形例を示す斜視模式図である。
【
図10】実施の形態2に係るリンク作動装置の斜視模式図である。
【
図11】
図10に示されたリンク作動装置の側面模式図である。
【
図13】実施の形態2に係るリンク作動装置の変形例を示す斜視模式図である。
【
図14】
図13に示されたリンク作動装置の側面模式図である。
【
図15】実施の形態3に係るリンク作動装置の斜視模式図である。
【
図16】
図15に示されたリンク作動装置の側面模式図である。
【
図17】
図15に示されたリンク作動装置の部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
(実施の形態1)
<パラレルリンク機構の構成>
図1は、実施の形態1に係るパラレルリンク機構の斜視模式図である。
図2は、
図1に示されたパラレルリンク機構の側面模式図である。
図3は、
図1に示されたパラレルリンク機構の上面模式図である。
図4は、
図1に示されたパラレルリンク機構における先端側リンクハブの側面模式図である。
図5は、
図2の線分V-Vにおける断面模式図である。
図6および
図7は、
図1に示されたパラレルリンク機構における先端側リンクハブの姿勢を変更した状態を示す斜視模式図である。
図8は、
図7に示されたパラレルリンク機構の上面模式図である。
【0012】
図1~
図8に示されたパラレルリンク機構は、基端側リンクハブ1と、3つのリンク機構11と、3つの回転体2a~2cと、先端側リンクハブ3とを備える。基端側リンクハブ1は、円盤状の部材である。なお、
図1に示された基端側リンクハブ1の平面形状は円形状であるが、当該平面形状は三角形状、四角形状などの多角形状、あるいは楕円形状、半円形状など他の任意の形状であってもよい。また、基端側リンクハブ1は
図1に示されるような板状体であってもよいが、他の任意の形状であってもよく、他の機械装置の一部であってもよい。また、リンク機構11の数は3以上であればよく、たとえば4または5としてもよい。
【0013】
3つの回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように積層された状態で基端側リンクハブ1と回転可能に連結される。3つの回転体2a~2cは、固定部材としてのボルト7とナット8とにより基端側リンクハブ1に接続されている。3つの回転体2a~2cには上記ボルト7を通すため中央部に穴が形成されている。ボルト7の端に位置する頭部と回転体2aとの間にはワッシャが配置されている。積層された3つの回転体2a~2cの間には回転抵抗低減部材19がそれぞれ配置されている。また、積層された3つの回転体2a~2cのうち最も基端側リンクハブ1側に位置する回転体2cと基端側リンクハブ1との間にも回転抵抗低減部材19が配置されている。
【0014】
3つの回転体2a~2cは、平面形状がほぼ円形状である。3つの回転体2a~2cは、それぞれの外周部にリンク機構11を接続するための突出部が形成されている。突出部は回転体2a~2cの外周端面2aa、2ba、2caから外側に突出した凸形状部である。3つ回転体2a~2cは、上記3つのリンク機構11のそれぞれと上記突出部において接続される。
【0015】
3つのリンク機構11のそれぞれは、第1リンク部材4a~4cと第2リンク部材6a~6cとを含む。
図1および
図5に示されるように、第1リンク部材4aは、回転体2aの突出部に固定される。第1リンク部材4bは回転体2bの突出部に固定される。第1リンク部材4cは回転体2cの突出部に固定される。第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に固定する方法は、任意の方法を用いることができる。たとえば、固定部材としてのネジによって第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cに固定してもよい。あるいは、第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの突出部に溶接して固定してもよく、接着剤層を介して固定してもよい。
【0016】
第1リンク部材4a~4cは、屈曲部を有する柱状の形状を有している。第1リンク部材4a~4cの長さは互いに異なっている。最も基端側リンクハブ1に近い位置に配置された回転体2cに接続された第1リンク部材4cの長さが最も長くなっている。また、最も基端側リンクハブ1から遠くに配置された回転体2aに接続された第1リンク部材4aの長さが最も短くなっている。第1リンク部材4a~4cは、回転体2a~2cの表面に垂直な方向に伸びる第1部分と、第1部分の伸びる方向に対して斜めに伸びる第2部分と、第1部分と第2部分との接続部である上記屈曲部とを含む。
図2に示されるように、第1リンク部材4a~4cの第1部分の一方端部が回転体2a~2cに固定されている。第1部分の上記一方端部と反対側の他方端部が、第2部分の一方端部と接続されている。第2部分において一方端部と反対側の他方端部が第2リンク部材6a~6cとそれぞれ回転可能に接続されている。第2部分は、一方端部から他方端部に向けて、回転体2a~2cの回転中心軸12から徐々に離れるように構成されている。つまり、第1リンク部材4a~4cの第2部分の伸びる方向は、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0017】
第2リンク部材6aは、第1リンク部材4aに第1回転対偶部25aにおいて回転可能に接続される。第2リンク部材6bは、第1リンク部材4bに第1回転対偶部25bにおいて回転可能に接続される。第2リンク部材6cは、第1リンク部材4cに第1回転対偶部25cにおいて回転可能に接続される。第1回転対偶部25a~25cは、それぞれ第1中心軸15a~15cを有する。第1中心軸15a~15cは、回転体2a~2cの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。また、第1中心軸15a~15cは、回転中心軸12に近づくにつれて回転体2a~2cから離れるように、回転中心軸12に対して傾斜している。
【0018】
第1回転対偶部25a~25cの構造は、任意の構成とすることができる。たとえば、第1回転対偶部25a~25cは、第1中心軸15a~15cに沿って伸びる軸部と、当該軸部が挿入される貫通穴が形成された第1リンク部材4a~4cの部分と、当該軸部が挿入される貫通穴が形成された第2リンク部材6a~6bの部分とにより構成されていてもよい。この場合、軸部を中心軸として第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cは回転可能となっている。第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cの貫通穴から軸部が抜けることを防止するため、軸部の両端にはたとえば位置決め部材としてのナットが固定されていてもよい。
【0019】
あるいは、軸部が第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか一方に接続されており、当該軸部が第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか他方に形成された貫通穴に挿入された状態となっていてもよい。軸部に対して第1リンク部材4a~4cおよび第2リンク部材6a~6cのいずれか他方が回転可能になっていてもよい。軸部の先端部には貫通穴から軸部が抜けることを防止するための位置決め部材としてのナットなどが固定されていてもよい。第1回転対偶部25a~25cにおいては、第1リンク部材4a~4cの部分と第2リンク部材6a~6cの部分との間に、図示しない回転抵抗低減部材が配置されていてもよい。回転抵抗低減部材としては、上述した第1リンク部材4a~4cの部分と第2リンク部材6a~6cの部分との間の摩擦係数を低減できる任意の部材を用いることができる。
【0020】
第2リンク部材6a~6cは、第1中心軸15a~15cの伸びる方向と交差する方向に伸びる第1部分と、当該第1部分の先端部から第1部分の伸びる方向に交差する方向に伸びる第2部分とを含む。第1部分の上記先端部と反対側の根元部は、第1リンク部材4a~4cと回転可能に接続された第1回転対偶部25a~25cの一部となっている。
【0021】
第2リンク部材6a~6cは、先端側リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26cにおいて回転可能に接続される。第2回転対偶部26a~26cは、それぞれ第2中心軸16a~16cを有する。具体的には、第2回転対偶部26a~26cは、第2中心軸16a~16cに沿って伸びる軸部と、当該軸部を挿入する貫通穴が形成された先端側リンクハブ3の突出部と、当該突出部と第2中心軸16a~16cに沿った方向において並ぶように配置され、軸部を挿入する貫通穴が形成された第2リンク部材6a~6cにおける第2部分の先端部とを含む。先端側リンクハブ3の突出部は、先端側リンクハブ3の外周端面から外側に突出するとともに基端側リンクハブ1から離れる斜め方向に伸びるように形成されている。軸部はたとえばボルトとナットとにより構成される。軸部を中心として、先端側リンクハブ3の突出部と第2リンク部材6a~6cとは回転可能になっている。第2リンク部材6a~6cの第2部分の先端部と先端側リンクハブ3の突出部との間には、図示しない回転抵抗低減部材が配置されていてもよい。回転抵抗低減部材としては、上述した第2リンク部材6a~6cの第2部分の先端部と先端側リンクハブ3の突出部との間の摩擦係数を低減できる任意の部材を用いることができる。たとえば、回転抵抗低減部材として摩擦係数がより低い樹脂製のシム・ワッシャなどを用いることができる。
【0022】
第2中心軸16a~16cは、第1中心軸15a~15cと異なる方向であって、回転体2a~2cの回転中心軸12に向かう方向に伸びている。第2中心軸16a~16cは、回転体2a~2cの回転中心軸12に対して傾斜する方向に伸びている。つまり、
図4に示されるように、先端側リンクハブ3の中心軸31の延びる方向に対して、第2中心軸16a~16cは傾斜している。先端側リンクハブ3の中心軸31と、第2中心軸16a~16cとのなす角度である先端軸角θ1は直角ではない(鋭角である)。なお、
図3では回転体2a~2cの回転中心軸12と先端側リンクハブ3の中心軸31とが重なるように、先端側リンクハブ3が配置されている。
図2および
図4などに示されるように、球面リンク中心点30は、先端側リンクハブ3から見て基端側リンクハブ1とは反対側に位置する。
【0023】
3つのリンク機構11において、第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cとは球面リンク中心点30で交わる。3つ以上の回転体2a~2cの回転中心軸12は球面リンク中心点30と交わる。上記のような関係を満たせば第1回転対偶部25a~25cおよび第2回転対偶部26a~26cの配置は任意に変更できる。
図3からわかるように、3つの第2リンク部材6a~6cのそれぞれにおいて、先端側リンクハブ3側から視て(以下、平面視)第2中心軸16aと第2中心軸16bとのなす角度(球面リンク中心点30から見た中心角)は実質的に120°である。また、同様に第2中心軸16bと第2中心軸16cとのなす角度、および第2中心軸16cと第2中心軸16aとのなす角度も、実質的に120°である。
【0024】
先端側リンクハブ3の平面形状は六角形状であるが、他の任意の多角形状であってもよい。当該平面形状は円形状、楕円形状など任意の形状であってもよい。
【0025】
図3に示された先端側リンクハブ3の配置では、3つのリンク機構11は、平面視において円周上に等間隔に配置されている。すなわち、の第1中心軸15a~15cについて、平面視において球面リンク中心点30から見て隣接する2つの第1中心軸のなす角度が120°である。なお、先端側リンクハブ3に対して、3つのリンク機構11を平面視において円周上に異なる間隔で配置してもよい。
【0026】
<パラレルリンク機構の動作>
図1および
図6に示されるように、全ての回転体2a~2cを回転中心軸12(
図2参照)まわりに同方向かつ同角度だけ回転させることで、先端側リンクハブ3の姿勢を維持したまま、回転中心軸12(
図2参照)を中心に先端側リンクハブ3を回転させる(回転角またはロール角を変更する)ことができる。このとき、回転体2a~2cの突出部間の相対的な位置関係は維持される。
【0027】
また、
図7および
図8に示されるように、3つの回転体2a~2cの回転方向や回転角度を異ならせることにより、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を任意に変更できる。つまり、3つの回転体2a~2cの回転角度を制御することにより、球面リンク中心点30から見た先端側リンクハブ3の姿勢における折れ角θ2、旋回角θ3および回転角(またはロール角、ピッチ角およびヨー角)を制御できる。つまり、先端側リンクハブ3の姿勢は折れ角θ2、旋回角θ3および回転角という3自由度を有する。
【0028】
ここで、折れ角θ2とは、先端側リンクハブ3の中心軸31と回転体2a~2cの回転中心軸12とのなす角度である。先端側リンクハブ3の中心軸31は、
図7に示すように、球面リンク中心点30を通り、先端側リンクハブ3と第2リンク部材6a~6cとの接続部である第2回転対偶部26a~26cを通る仮想平面に対して垂直な直線である。
図8に示すように、旋回角θ3とは、球面リンク中心点30を通り、回転中心軸12が垂直に交わる平面(XY平面)に上記先端側リンクハブ中心軸31を投影した直線と、XY平面において球面リンク中心点30を原点として設定したX軸とのなす角度である。また、回転角とは、基端側リンクハブ1に対して回転中心軸12を中心に先端側リンクハブ3が回転する場合の回転角度である。
【0029】
<作用>
本開示に従ったパラレルリンク機構は、基端側リンクハブ1と、3つ以上のリンク機構11と、3つ以上の回転体2a~2cと、先端側リンクハブ3とを備える。3つ以上の回転体2a~2cは、それぞれの回転中心軸12が一致するように並んで配置された状態で基端側リンクハブ1と回転自在に連結される。3つ以上のリンク機構11のそれぞれは、第1リンク部材4a~4cと、第2リンク部材6a~6cとを含む。第2リンク部材6a~6cは、第1リンク部材4a~4cに第1回転対偶部25a~25cにおいて回転可能に接続される。第2リンク部材6a~6cは、先端側リンクハブ3に第2回転対偶部26a~26cにおいて回転可能に接続される。3つ以上のリンク機構11のそれぞれの第1リンク部材4a~4cは、3つ以上の回転体2a~2cのうちの1つに固定されている。第1回転対偶部25a~25cの第1中心軸15a~15cと、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16cと、回転中心軸12とは球面リンク中心点30で交わる。先端側リンクハブ3の中心軸31の延びる方向に対して、第2中心軸16a~16cは傾斜している。
【0030】
このようにすれば、基端側リンクハブ1に対して、先端側リンクハブ3を回転3自由度で動作させることができる。つまり、3つの回転体2a~2cを回転させることにより、基端側リンクハブ1に対して先端側リンクハブ3を、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動させることができる。また、回転中心軸12を中心として先端側リンクハブ3を回転させることができる。さらに、回転体2a~2cの回転運動により先端側リンクハブ3の姿勢を制御するので、上記パラレルリンク機構を用いたコンパクトなリンク作動装置を実現できる。
【0031】
また、先端側リンクハブ3の中心軸31の延びる方向に対して、第2中心軸16a~16cは傾斜しており、当該傾斜の程度を変更することで
図4に示される先端軸角θ1を任意に変更できる。このため、先端側リンクハブ3と球面リンク中心点30との間の距離を容易に調整できる。たとえば、先端軸角θ1を小さくすることで、先端側リンクハブ3の主面と球面リンク中心点30との間の空間を大きくできる。
【0032】
また、先端側リンクハブ3が、球面リンク中心点30を中心とした球面に沿って移動するので、先端側リンクハブ3の動作をイメージしやすい。
【0033】
上記パラレルリンク機構において、前記3つ以上の回転体2a~2cはそれぞれ回転中心軸12を囲むように延びる外周端面2aa~2caを含んでもよい。3つ以上のリンク機構11のそれぞれの第1リンク部材4a~4cは、3つ以上の回転体2a~2cのうちの1つの外周端面に固定されている。この場合、回転体2a~2cに対して第1リンク部材4a~4cを容易に固定できる。
【0034】
上記パラレルリンク機構において、球面リンク中心点30は、先端側リンクハブ3から見て基端側リンクハブ1とは反対側に位置してもよい。この場合、球面リンク中心点30が基端側リンクハブ1から見て先端側リンクハブ3より遠くに位置する。そのため、当該球面リンク中心点30に作用点が一致するように、先端側リンクハブ3に工具などの作業体を容易に配置できる。
【0035】
<変形例の構成および作用>
図9は、実施の形態1に係るパラレルリンク機構の変形例を示す斜視模式図である。
図9に示されたパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図8に示されたパラレルリンク機構と同様の構成を備え同様の効果が得られるが、3つ以上のリンク機構11および先端側リンクハブ3の構成が
図1~
図8に示されたパラレルリンク機構と異なっている。すなわち、
図9に示されたパラレルリンク機構では、先端側リンクハブ3において第2回転対偶部26a~26cを構成する突出部が、先端側リンクハブ3の外周端面から外側に突出するとともに基端側リンクハブ1に近づく斜め方向に伸びるように形成されている。そして、第2回転対偶部26a~26cの第2中心軸16a~16c(
図3参照)は、先端側リンクハブ3の外周部から、回転体2a~2cの回転中心軸12に向けて、かつ基端側リンクハブ1に近づくように斜め方向に伸びている。このため、球面リンク中心点30は、先端側リンクハブ3から見て基端側リンクハブ1と同じ側に位置している。
【0036】
この場合、当該球面リンク中心点30に作用点が一致するように、先端側リンクハブ3の裏面(基端側リンクハブ1側の表面)に工具などの作業体を配置することができる。そして、基端側リンクハブ1と先端側リンクハブ3との間の球面リンク中心点30付近に作業対象である被作業体を配置し、リンク機構11を操作することで被作業体に対する加工などの処理を実施できる。このように、作業体が先端側リンクハブ3の裏面側に設置されるので、先端側リンクハブ3に設置された作業体を操作する時の、球面リンク中心点30まわりの慣性モーメントを
図1~
図8に示されたパラレルリンク機構より小さくできる。
【0037】
(実施の形態2)
<リンク作動装置の構成>
図10は、実施の形態2に係るリンク作動装置の斜視模式図である。
図11は、
図10に示されたリンク作動装置の側面模式図である。
図12は、
図10に示されたリンク作動装置の模式図である。
図10~
図12に示されたリンク作動装置は、パラレルリンク機構と、当該パラレルリンク機構を駆動するための姿勢制御用駆動源35a~35cとを主に備える。
【0038】
図10~
図12に示されたリンク作動装置に含まれるパラレルリンク機構は、基本的には
図1~
図8に示したパラレルリンク機構と同様の構成を備えるが、回転体2a~2cの形状、第1リンク部材4a~4cと回転体2a~2cとの接続部の構成および作業体103を含む点が
図1~
図8に示したパラレルリンク機構と異なっている。すなわち、
図10~
図12に示したリンク作動装置に含まれるパラレルリンク機構では、回転体2a~2cに平面形状がC字状の貫通孔27a~27cが形成されている。回転体2aは、貫通孔27aの内周側と外周側とを接続する接続部28aを含む。回転体2bは、貫通孔27bの内周側と外周側とを接続する接続部(図示せず)を含む。回転体2cは、貫通孔27cの内周側と外周側とを接続する接続部28cを含む。回転体2a~2cは基本的に同様の平面形状を有している。
【0039】
3つのリンク機構11の第1リンク部材4a~4cは、それぞれ回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定されている。つまり、第1リンク部材4a~4cは回転体2a~2cの外周部より内側において回転体2a~2cと接続されている。第1リンク部材4a~4cを回転体2a~2cの接続部28a~28cに固定する方法は任意の方法を用いることができる。たとえば、ネジなどの固定部材46を用いて第1リンク部材4a~4cを接続部28a~28cに固定してもよい。
【0040】
回転体2bの接続部28bに固定された第1リンク部材4bは、回転体2aの貫通孔27aの内部を通り、先端側リンクハブ3側に延びている。回転体2cの接続部28cに固定された第1リンク部材4cは、回転体2aの貫通孔27aおよび回転体2bの貫通孔27bの内部を通り、先端側リンクハブ3側に延びている。
【0041】
作業体103は、先端側リンクハブ3の上面(基端側リンクハブ1に面する裏面と反対面)に設置されている。エンドエフェクタとも呼ばれる作業体103は、先端側リンクハブ3の上面にたとえば図示されないボルトなどにより取り付けられている。なお
図10~
図12では作業体103の円柱状の本体部分から上方に軸が突出し、当該軸の先端部にはドリルなどの工具が設置されている。この軸はドリルなどの工具を回転させる回転中心軸であり、取り付けられたドリルに回転動力を伝えるための軸である。当該軸の先端部(ドリルなどの工具が取り付けられた部分)は作業体103の作用点103aである。作用点103aは、作業体103が被作業体に対する切削加工などの処理を行う部分である。当該作用点103aが球面リンク中心点30と重なるように、作業体103は先端側リンクハブ3に設置される。なお、作業体103はこのような軸が含まれない構成としてもよい。たとえば、作業体103としてカメラなどを用いてもよい。作業体103としてカメラを用いる場合、当該カメラを構成する光学系の焦点が球面リンク中心点30と重なるように作業体103が配置される。
【0042】
作業体103を先端側リンクハブ3に固定する方法としては、任意の方法を採用できる。たとえば、ネジなどの固定部材を用いて作業体103を直接先端側リンクハブ3に固定してもよい。あるいは、先端側リンクハブ3にツールチェンジャまたはツールホルダを設置し、当該ツールチェンジャまたはツールホルダに作業体103を固定してもよい。
【0043】
図10~
図12に示されたリンク作動装置では、基端側リンクハブ1が回転体2a~2cの外周より外側にまで延びるように形成されている。つまり基端側リンクハブ1の平面視における大きさは回転体2a~2cの平面視における大きさより大きくなっている。基端側リンクハブ1の平面形状は、
図10に示すような円形状であってもよいが、他の任意の形状、たとえば四角形や三角形などの多角形状であってもよく、楕円形状などでもよい。基端側リンクハブ1には3つの姿勢制御用駆動源35a~35cが固定部36a~36cを介して固定されている。姿勢制御用駆動源35a~35cとしては、たとえば電動モータなどを用いることができる。
【0044】
姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ、歯車38および回転伝達部材37a~37cを介して駆動力を伝達可能に、回転体2a~2cと接続されている。姿勢制御用駆動源35a~35cは、平面視において回転中心軸12を中心として周方向に実質的に等間隔に配置されている。なお、姿勢制御用駆動源35a~35cは、上記周方向において異なる間隔で配置されていてもよい。
【0045】
具体的には、姿勢制御用駆動源35a~35cはそれぞれ回転軸を含み、当該回転軸の端部に歯車38が接続されている。また回転体2a~2cの外周部には回転伝達部材37a~37cがネジなどの固定部材47により固定されている。回転伝達部材37a~37cは、外周部に歯車部を有する円環状の部材である。回転伝達部材37a~37cを回転体2a~2cに固定する方法としては、必要な強度および精度が得られれば、上述した固定部材47を用いる方法以外の任意の方法を採用できる。たとえば、回転伝達部材37a~37cを接着、圧入、カシメなどの方法により回転体2a~2cに固定してもよい。なお、回転体2aと回転伝達部材37aとが1つの部材により構成(つまり一体化)されてもよい。回転体2bと回転伝達部材37b、または回転体2cと回転伝達部材37cも一体化されてもよい。このように回転体2a~2cと回転伝達部材37a~37cとが一体化した部品を用いることで、リンク作動装置の部品点数を削減できるとともに製造工程を簡略化できる。
【0046】
回転伝達部材37a~37cの歯車部は姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸に接続された歯車38と噛み合っている。姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸が回転することにより、歯車38および回転伝達部材37a~37cが回転し、結果的に回転体2a~2cを回転駆動することができる。なお、回転伝達部材37a~37cとしては、姿勢制御用駆動源35a~35cの回転軸の回転を回転体2a~2cに伝達できれば、他の構成の部材を採用してもよい。たとえば、回転伝達部材37a~37cとして、内歯車、ベルトプーリおよびベルト、傘歯車、ウォームなどを用いてもよい。あるいは、回転体2a~2c自体が姿勢制御用駆動源の機能を有するようにしてもよい。たとえば、回転体2a~2cがダイレクトドライブモータの回転子となっていてもよい。
【0047】
回転体2a~2cにはリンク機構11の第1リンク部材4a~4cが固定部材46としてのネジにより固定されている。回転体2a~2cが姿勢制御用駆動源35a~35cにより回転することにより、リンク機構11の回転中心軸12周りの位置が変更される。この結果、先端側リンクハブ3の姿勢を変更できる。
【0048】
<作用>
上記パラレルリンク機構において、3つ以上の回転体2a~2cには、回転中心軸12の周りを囲むように環状の貫通孔27a~27cが形成されている。3つ以上の回転体2a~2cは、第1回転体としての回転体2aと、回転体2aから見て基端側リンクハブ1が位置する側に配置された第2回転体としての回転体2bとを含む。回転体2bに接続された第1リンク部材4bは、回転体2aの貫通孔27aの内部を通り、先端側リンクハブ3側に延びている。
【0049】
この場合、回転体2a~2cの外側に第1リンク部材4bが配置される構成よりも、パラレルリンク機構を小型化することができる。また、環状に形成された貫通孔27aを通るように第1リンク部材4bが配置されているので、回転体2aに対して回転体2bが相対的に回転しても、第1リンク部材4bが回転体2aと干渉しない。また、第1リンク部材4cが回転体2a、2bのそれぞれの貫通孔27a、27bを通るように配置されているので、回転体2a、2bに対して回転体2cが相対的に回転しても第1リンク部材4cは2つの回転体2a、2bと干渉しない。
【0050】
上記パラレルリンク機構は、先端側リンクハブ3に設置される作業体103をさらに備えてもよい。作業体103は被作業体に対する作業を行う作用点103aを含んでもよい。作用点103aは球面リンク中心点30と一致していてもよい。この場合、被作業体に対して、作用点103aを中心として周方向の全域から作業体103をアプローチさせることができる。
【0051】
本開示に係るリンク作動装置は、上記パラレルリンク機構と、姿勢制御用駆動源35a~35cとを備える。姿勢制御用駆動源35a~35cは、3つ以上の回転体2a~2cを回転させ、基端側リンクハブ1に対する先端側リンクハブ3の姿勢を変更する。
【0052】
この場合、姿勢制御用駆動源35a~35cが複数のリンク機構11を個別に制御することで、先端側リンクハブ3を広範囲かつ精密に動作させることができる。また、上記のようなパラレルリンク機構を用いることで、軽量かつコンパクトなリンク作動装置を実現できる。
【0053】
上記リンク作動装置は、少なくとも3つの回転体2a~2cに接続された回転伝達部材37a~37cを備える。姿勢制御用駆動源35a~35cは、回転伝達部材37a~37cを介して少なくとも3つの回転体2a~2cを回転させる。この場合、回転体2a~2cに別部材としての回転伝達部材37a~37cを設置するので、回転伝達部材37a~37cの材質を回転体2a~2cの材質とは独立して選択できる。
【0054】
<変形例の構成および作用>
図13は、実施の形態2に係るリンク作動装置の変形例を示す斜視模式図である。
図14は、
図13に示されたリンク作動装置の側面模式図である。
図13および
図14に示されたリンク作動装置は、基本的には
図10~
図12に示されたリンク作動装置と同様の構成を備え,同様の効果を得ることができるが、パラレルリンク機構の構成が
図10~
図12に示されたリンク作動装置と異なっている。すなわち、
図13および
図14に示されたリンク作動装置では、パラレルリンク機構の構成が
図9に示されたパラレルリンク機構の構成と同様となっている。このため、球面リンク中心点30は、先端側リンクハブ3から見て基端側リンクハブ1と同じ側に位置している。また、当該球面リンク中心点30に作用点103aが一致するように、先端側リンクハブ3の裏面に作業体103が設置されている。このため、作業体103を操作する時の、球面リンク中心点30まわりの慣性モーメントを
図10~
図12に示されたリンク作動装置より小さくできる。
【0055】
(実施の形態3)
<リンク作動装置の構成>
図15は、実施の形態3に係るリンク作動装置の斜視模式図である。
図16は、
図15に示されたリンク作動装置の側面模式図である。
図17は、
図15に示されたリンク作動装置の部分断面模式図である。
図15~
図17に示されたリンク作動装置は、基本的には
図10~
図12に示されたリンク作動装置と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、パラレルリンク機構の構成が
図10~
図12に示されたリンク作動装置と異なっている。すなわち、
図15~
図17に示されたリンク作動装置では、回転体2a~2cと回転伝達部材37a~37cとのそれぞれを連結する連結機構部137a~137cが配置されている。
【0056】
図15~
図17に示されたリンク作動装置において、環状の回転伝達部材37a~37cは、基端側リンクハブ1の表面に対して垂直な方向(回転中心軸12に沿った方向)において回転体2a~2cと積層されるように配置されている。回転伝達部材37a~37cは回転体2a~2cと同軸上に配置されている。回転体2aと回転伝達部材37aとは、第1連結機構部としての連結機構部137aにより接続されている。連結機構部137aは、固定部材としてのボルト7の外周を囲むように、回転中心軸12回りに回転可能である。連結機構部137aは円筒状の形状を有する。連結機構部137aの基端側リンクハブ1側に位置する第1端部に回転伝達部材37aが固定されている。環状の回転伝達部材37aにおける内周側の領域が連結機構部137aと接続されている。連結機構部137aにおける第1端部と反対側の第2端部(上端部)に回転体2aが固定されている。環状の回転体2aにおける内周側の領域が連結機構部137aと接続されている。
【0057】
連結機構部137aの外周面上に、第2連結機構部としての連結機構部137bが配置されている。連結機構部137bは、連結機構部137aとは独立して、回転中心軸12回りに回転可能である。回転中心軸12に沿った方向において、連結機構部137bの長さは連結機構部137aの長さより短い。連結機構部137bは円筒状の形状を有する。連結機構部137bの基端側リンクハブ1側に位置する第1端部に回転伝達部材37bが固定されている。環状の回転伝達部材37bにおける内周側の領域が連結機構部137bと接続されている。連結機構部137bにおける第1端部と反対側の第2端部(上端部)に回転体2bが固定されている。環状の回転体2bにおける内周側の領域が連結機構部137bと接続されている。
【0058】
連結機構部137bの外周面上に、第3連結機構部としての連結機構部137cが配置されている。連結機構部137cは、連結機構部137bとは独立して、回転中心軸12回りに回転可能である。回転中心軸12に沿った方向において、連結機構部137cの長さは連結機構部137bの長さより短い。連結機構部137cは円筒状の形状を有する。連結機構部137cの基端側リンクハブ1側に位置する第1端部に回転伝達部材37cが固定されている。環状の回転伝達部材37cにおける内周側の領域が連結機構部137cと接続されている。連結機構部137cにおける第1端部と反対側の第2端部(上端部)に回転体2cが固定されている。環状の回転体2cにおける内周側の領域が連結機構部137cと接続されている。
【0059】
回転伝達部材37a~37cには、姿勢制御用駆動源35a~35cがそれぞれ歯車38を介して接続されている。姿勢制御用駆動源35a~35cを動作させることで、回転伝達部材37a~37cおよび連結機構部137a~137cを介して回転体2a~2cを個別に回転させることができる。
【0060】
なお、上述したリンク作動装置では、リンク機構11の数が3であるため、連結機構部137a~137cおよび回転体2a~2cの数も3となっているが、リンク機構11,連結機構部137a~137cおよび回転体2a~2cの数は4または5以上であってもよい。また、回転伝達部材37a~37cと連結機構部137a~137cとの固定方法、および連結機構部137a~137cと回転体2a~2cとの固定方法としては、任意の方法を採用できる。たとえば、当該固定方法としてネジなどの固定部材を用いる固定方法、圧入による固定方法、接着剤を用いる固定方法などを用いてもよい。
【0061】
また、回転伝達部材37a~37cと連結機構部137a~137cとが一体の部品として構成されていてもよい。あるいは、連結機構部137a~137cと回転体2a~2cとが一体の部品として構成されていてもよい。また、回転伝達部材37a~37c自体がダイレクトドライブモータの回転子となるように、回転伝達部材37a~37cが姿勢制御用駆動源35a~35cの機能を有するようにしてもよい。
【0062】
<作用>
上記リンク作動装置は、連結機構部137a~137cをさらに備えてもよい。連結機構部137a~137cは、3つ以上の回転体2a~2cと、姿勢制御用駆動源35a~35cとを接続してもよい。この場合、姿勢制御用駆動源35a~35cと回転体2a~2cとを、連結機構部137a~137cを介して接続するので、姿勢制御用駆動源35a~35cと回転体2a~2cとを互いに離れた位置に配置できる。このため、回転体2a~2cに接続されるリンク機構11と姿勢制御用駆動源35a~35cとが干渉すると言った問題の発生を抑制できる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0064】
(付記1)
基端側リンクハブと、
3つ以上のリンク機構と、
3つ以上の回転体と、
先端側リンクハブとを備え、
前記3つ以上の回転体は、それぞれの回転中心軸が一致するように並んで配置された状態で前記基端側リンクハブと回転自在に連結され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれは、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材に第1回転対偶部において回転可能に接続された第2リンク部材とを含み、
前記第2リンク部材は、前記先端側リンクハブに第2回転対偶部において回転可能に接続され、
前記3つ以上のリンク機構のそれぞれの前記第1リンク部材は、前記3つ以上の回転体のうちの1つに固定されており、
前記第1回転対偶部の第1中心軸と、前記第2回転対偶部の第2中心軸と、前記回転中心軸とは球面リンク中心点で交わり、
前記先端側リンクハブの中心軸の延びる方向に対して、前記第2中心軸は傾斜している、パラレルリンク機構。
【0065】
(付記2)
前記先端側リンクハブに設置される作業体をさらに備え、
前記作業体は被作業体に対する作業を行う作用点を含み、
前記作用点は前記球面リンク中心点と一致している、付記1に記載のパラレルリンク機構。
【0066】
(付記3)
前記球面リンク中心点は、前記先端側リンクハブから見て前記基端側リンクハブとは反対側に位置する、付記1または付記2に記載のパラレルリンク機構。
【0067】
(付記4)
前記球面リンク中心点は、前記先端側リンクハブから見て前記基端側リンクハブと同じ側に位置する、付記1または付記2に記載のパラレルリンク機構。
【0068】
(付記5)
付記1から付記4のいずれかに記載のパラレルリンク機構と、
前記3つ以上の回転体を回転させ、前記基端側リンクハブに対する前記先端側リンクハブの姿勢を変更する姿勢制御用駆動源とを備える、リンク作動装置。
【0069】
(付記6)
前記3つ以上の回転体と、前記姿勢制御用駆動源とを接続する連結機構部をさらに備える、付記5に記載のリンク作動装置。
【符号の説明】
【0070】
1 基端側リンクハブ、2a,2b,2c 回転体、2aa,2ba,2ca 外周端面、3 先端側リンクハブ、4a,4b,4c 第1リンク部材、6a,6b,6c 第2リンク部材、7 ボルト、8 ナット、11 リンク機構、12 回転中心軸、15a,15b,15c 第1中心軸、16a,16b,16c 第2中心軸、19 回転抵抗低減部材、25a,25b,25c 第1回転対偶部、26a,26b,26c 第2回転対偶部、27a,27b,27c 貫通孔、28a,28b,28c 接続部、30 球面リンク中心点、31 先端側リンクハブ中心軸、35a,35b,35c 姿勢制御用駆動源、36a,36b,36c 固定部、37a,37b,37c 回転伝達部材、38 歯車、46,47 固定部材、103 作業体、103a 作用点、137a,137b,137c 連結機構部。