(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035676
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240307BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240307BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140285
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】野網 都夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】プラントに含まれる複数の設備の更新計画を作成するに当たって、ユーザの操作性を向上することができる、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、表示部に接続され、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置であって、制御部と、前記複数の設備に関する設備情報を記憶可能に構成された記憶部と、を備え、前記制御部は、前記設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を前記表示部に表示するステップと、前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、を実行するように構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部に接続され、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置であって、
制御部と、
前記複数の設備に関する設備情報を記憶可能に構成された記憶部と、
を備え、
前記制御部は、
前記設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を前記表示部に表示するステップと、
前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、
前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、
を実行するように構成されている、情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のオブジェクトは、前記設備毎、工種毎、または前記設備の位置毎に視認可能に規定されている、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記更新計画に基づいて、前記プラントの処理能力を算出するステップをさらに実行するように構成されている、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記更新計画はグラフによって前記表示部に表示され、
前記グラフは、前記複数のオブジェクトを含んでいる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理方法であって、
前記複数の設備に関する設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を表示部に表示するステップと、
前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、
前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、
を備えている、情報処理方法。
【請求項6】
プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記複数の設備に関する設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を表示部に表示するステップと、
前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、
前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、
を実行させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部に接続され、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、橋梁、舗装、トンネルなどの道路系資産の管理に利用するアセットマネジメントシステムが開示されている。このシステムでは、中長期計画から作成した暫定的な中期計画から補修年度及び工事位置が近い複数の資産を同年度に補修する資産の同時補修グループとして抽出し、この抽出した同時補修グループを費用削減効果が高い順にリストアップして同時修復を反映したときとしないときの比較情報を利用者に提示するように構成されている。これにより、補修計画作成にかかる工数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、補修年度や位置だけに基づいて同時補修グループを生成しているが、このようなシステムは、例えば、プラントに含まれる複数の設備の更新計画を作成するのにも要望されていた。しかしながら、道路系資産とプラントは全く異なるものであり、道路系資産の管理に関する技術をプラントに適用するのは容易ではなかった。特に、設備に関する多数の情報を管理するプラントの更新管理においては、ユーザの操作性の向上が要望されていた。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、プラントに含まれる複数の設備の更新計画を作成するに当たって、ユーザの操作性を向上することができる、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理装置は、表示部に接続され、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理装置であって、制御部と、前記複数の設備に関する設備情報を記憶可能に構成された記憶部と、を備え、前記制御部は、前記設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を前記表示部に表示するステップと、前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、を実行するように構成されている。
【0006】
本発明の情報処理方法は、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理方法であって、前記複数の設備に関する設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を表示部に表示するステップと、前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、を備えている。
【0007】
本発明の情報処理方法は、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記複数の設備に関する設備情報に基づき、複数のオブジェクトによって、前記更新計画を表示部に表示するステップと、前記表示部に表示された前記オブジェクトの操作を受け付けるステップと、前記操作に基づいて、前記更新計画を変更するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プラントに含まれる複数の設備の更新計画を作成するに当たって、ユーザの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】グループを施設にしたときの更新計画の棒グラフの一例である。
【
図3】グループを工種にしたときの更新計画の棒グラフの一例である。
【
図4】プラント内に複数の系が存在する場合の更新計画を示す画面の一例である。
【
図5】プラント内に複数の系が存在する場合の更新計画を示す画面の一例である。
【
図6】プラント内に複数の系が存在する場合の更新計画を示す画面の一例である。
【
図7】
図2に示す更新計画の棒グラフの操作を説明する図である。
【
図8】
図2に示す更新計画の棒グラフの操作を説明する図である。
【
図9】
図5に示す更新計画の円グラフの操作を説明する図である。
【
図10】
図5に示す更新計画の円グラフの変化を説明する図である。
【
図11】
図5に示す更新計画の円グラフの変化を説明する図である。
【
図12】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図4に示す更新計画の棒グラフの操作を説明する図である。
【
図14】
図4に示す更新計画の棒グラフの操作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る情報処理装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、プラントに含まれる複数の設備の更新計画の作成を支援する装置である。本実施形態では、プラントの一例として上下水道施設を対象とするが、これに限定されず、例えば工業製品の製造工場などであってよい。プラントに含まれる設備は、例えば、ポンプ設備、最初沈殿池設備、送風設備、最終沈殿池設備、汚泥濃縮設備、汚泥脱水設備、バルブ、反応タンクの散気装置、及び流量計などであってよいが、これらに限定されない。また、これらの設備は、機械設備又は電気設備に限られず、例えば、土木・建築・建築設備などを含む。以下、この情報処理装置について詳細に説明する。
【0011】
<1.ハードウェア構成>
まず、情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例である。
【0012】
この情報処理装置1は、制御部11、記憶部12、外部インタフェース13、及び通信インタフェース14が電気的に接続されたコンピュータであり、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、専用のコンピュータ等で構成することができるほか、タブレットコンピュータなどで構成することもできる。また、情報処理装置1を複数のコンピュータで構成することもできる。なお、
図1では、外部インタフェース13及び通信インタフェース14を「外部I/F」及び「通信I/F」と記載している。
【0013】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部12は、例えば、HDD、SSD等の補助記憶装置で構成され、情報処理プログラム121、設備情報122、及び情報処理装置1を駆動するための種々のデータを記憶する。情報処理プログラム121は、更新計画の作成を支援するためのプログラムである。制御部11は、この情報処理プログラム121を解釈及び実行することで、後述する各処理を実行するように構成される。
【0014】
設備情報122は、例えば、プラントに含まれる上述した各設備の名称、設置場所、工種(例えば、機械、電気、計装)、更新時期(例えば、更新年度)、修繕時期(例えば、修繕年度)、更新費、修繕費、維持費等が含まれる。
【0015】
外部インタフェース13は、外部装置と接続するためのインタフェースであり、接続する外部装置に応じて適宜構成される。本実施形態では、外部インタフェース13が、表示装置4及び入力装置5に接続されている。表示装置4は、例えば、ディスプレイであり、上述した入力、出力等を表示するのに利用される。ディスプレイは、特には限定されず、公知の液晶ディスプレイ等を用いることができる。入力装置5は、キーボード、マウスなどであり、上述した入力を行うためのものである。その他、外部インタフェース13には、各種の外部装置を適宜接続することができる。例えば、表示装置4及び入力装置5を兼ねたタッチパネルディスプレイを用いることができる。
【0016】
通信インタフェース14は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。すなわち、通信インタフェース14は、他の装置と通信を行うように構成された通信部の一例である。例えば、ネットワークを介して、設備情報122などが記憶されたサーバに接続することができる。したがって、情報処理装置1は、例えば、外部のサーバから各プラント毎の設備情報を受信することができる。
【0017】
なお、情報処理装置1の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、制御部11は、FPGAにより構成されてもよい。記憶部12は、制御部11に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。
【0018】
<2.更新計画の作成及び変更>
次に、上記情報処理装置1による更新計画の作成及び変更について説明する。更新計画の作成及び変更においては、以下の処理が行われる。すなわち、情報処理装置1の制御部11は、記憶部12に記憶された情報処理プログラム121をRAMに展開すると、その情報処理プログラム121をCPUにより解釈及び実行して、以下の処理を行う。
【0019】
<2-1.設備情報の取得>
上述した設備情報122は、予め記憶部12に記憶されていてもよいが、更新計画の作成のたびに、外部のサーバから取得したり、あるいはCD-ROM等の記憶媒体から取得することができる。
【0020】
<2-2.グループ化>
情報処理プログラム121は、設備情報122から、更新計画の費用を分類した、グループを抽出する。グループとは、検討すべき観点であり、これにより、更新計画の費用を複数の観点から検討することができる。グループは、例えば、プラントに含まれる施設毎、工種毎、設備の設置位置(例えば棟屋)毎、工事発注毎などに設定することができる。ユーザは、検討すべき更新計画に応じて、表示装置4の画面から入力装置5を操作することで、グループを選択する。
【0021】
<2-3.更新計画の作成>
本実施形態では、情報処理プログラム121が、設備情報122から所定の情報を抽出し、表示装置4の画面に、更新計画を示すグラフ、選択されたグループとその内容、年度毎の予算、処理能力等を含む更新計画を表示する。更新計画を示すグラフとしては、種々のグラフを作成することができるが、まずは棒グラフについて、複数の表示例を挙げて説明する。
【0022】
<2-3-1.棒グラフ>
ここでは、上記設備情報122に基づいて、各年度の修繕費及び更新費を示す棒グラフ用のデータを生成する。例えば、
図2及び
図3に示すように、この棒グラフは、横軸が計画年度及び工事分類(修繕または更新)を示し、縦軸が修繕費または更新費を示している。また、この棒グラフは、積み上げ棒により構成されており、各積み上げ棒には、選択されたグループ毎の修繕費または更新費が含まれている。例えば、
図2は、グループとして施設(設備)が選択されたときの更新計画を示す棒グラフの例であり、各積み上げ棒には6つの設備が含まれている。また、各積み上げ棒の上端には、修繕費または更新費を示す数値が付されている。一方、
図3は、グループとして工種が選択されたときの更新計画を示す棒グラフの例であり、各積み上げ棒には3つの工種が含まれている。なお、各積み上げ棒に含まれる各グループの内容は、視認しやすいように異なる色、模様等が付されている。
【0023】
また、水処理のフローは、最初沈殿池、反応槽、最終沈殿池など、複数の施設で行われる処理で構成されている。ここでは、1つのフロー(処理系統)を「系」と称することとする。一般的に、水処理プラントには、メンテナンス等に備えて、複数の系が設けられており、いずれかの系が使用不可の状態であっても、他の系を利用することで水処理が停止しないように構成されている。このように、プラント内に複数の系が存在する場合には、各積み上げ棒には、所定のグループについて各系が含まれる。例えば、
図4は、3つの系を含むプラントの更新計画が表示された画面の例である。この例では、グループとして設備(水処理設備)が選択されており、積み上げ棒に各系の更新費が含まれている。また、
図4に示す画面には、選択されたグループとその内容71、年度当たりの予算72と、各年度の水処理能力73も表示されている。年度当たりの予算72は、入力装置5によりユーザが入力するものであり、入力された予算を示す水平な予算線721がグラフ内に示される。これにより、ユーザは各年度の修繕費及び更新費が予算内であるか否かを視認することができる。
【0024】
この画面に示される水処理能力73は、プラント全体としての水処理設備の稼働率を示している。例えば、各年度の水処理能力として、2028~2030年度は66%が示されている。これは、各年度の積み上げ棒が示すように、3つの系のうち、1つの系についてのみ更新を行っているため、残り2つの系が稼働しているためである。2031年度は、3つの系の全ての更新を行っているため、水処理能力が0%となっている。また、2032年度は、3つの系のうち、2つの系について更新を行っており、残り1つの系のみが稼働しているため、水処理能力が33%となっている。このような水処理能力73を画面に表示することで、ユーザは、プラントの稼働率を視認することができ、必要な水処理能力を確保できているかを容易に判断することができる。
【0025】
また、棒グラフ以外に円グラフを用いることもできる。以下、この例について説明する。
【0026】
<2-3-2.円グラフ>
ここでは、プラント内に複数の系が存在する場合について説明する。例えば、
図5は、水処理のための3つの系を含むプラントの更新計画が表示された画面の例である。この例では、グループとして工種(機械、計装、電気)が選択されており、2022~2024年度の更新計画が示される3つの枠と、付加情報が示される1つの枠(右下の枠)とが示されている。付加情報としては、本実施形態では、選択されたグループとその内容81、入力された予算82、予算の大きさを示す円(以下、予算円という)83、及び処理能力84が含まれている。予算円83は、入力された予算に応じて直径が変化するように構成されており、後述する円グラフ85をこの予算円83と比較することで、各円グラフ85が示す更新費を直感的に把握することができる。
【0027】
3つの系のそれぞれには、最初沈殿池、反応タンク、最終沈殿池の3つの設備が設けられており、各年度の更新計画では、円グラフ85が付された設備が更新を行うことを示している。各円グラフ85には、3つの工種の更新費の構成比率が示されている。また、各円グラフ85の直径は、更新費の総額を示しており、上記のように予算円83と比較することで、各設備における更新費を把握することができる。また、各円グラフ85の内部に更新費を表示することもできる。
【0028】
2022年度の更新計画では、1系の3つの設備のみ更新が行われることを示している。また、2023年及び2024年は、それぞれ2系の設備、3系の設備の更新が行われる。したがって、付加情報の処理能力84は、3つの年度とも66%となっている。
【0029】
図6は、水処理のための3つの系と、汚泥処理のための2つの系を含むプラントの2022年度及び2023年度の更新計画の例を示している。また、
図6では、グループとして工種が選択されているが、この図ではグループ、予算、及び予算円は省略されている。この例では、
図5で示したように、3つの系で水処理がなされた後、2つの系で汚泥処理が行われる。
図5と同様に、更新が行われる設備には円グラフが付されている。2022年度は、水処理の1系と汚泥処理の1系において更新が行われるため、水処理能力は66%、汚泥処理能力は50%となっている。一方、2023年度は、汚泥処理の2系においてのみ更新が行われるため、水処理能力は100%、汚泥処理能力は50%となっている。
【0030】
図5及び
図6に示すように、これらの更新計画の画面では、更新を行う設備と対応する位置に更新費を及びその構成比率を表示しているため、ユーザは、より直感的に更新計画を把握することができる。この更新計画は、水処理及び汚泥処理のような処理毎の表示も可能であり、このうちの少なくとも1つを含むように表示することができる。これにより、必要な水処理能力と汚泥処理能力の双方が確保できているか否かを容易に判断することができる。以上、棒グラフと円グラフの例を示したが、これらを適宜切換えて表示できるようにすることもできる。
【0031】
<2-4.更新計画の変更>
次に、更新計画の変更について説明する。更新計画の変更とは、各グラフを操作することにより行われる。より詳細には、各グラフに含まれるグループの内容を別の年度に移動(延期または前倒し)することである。例えば、更新計画が
図7に示すような棒グラフで示されているとき、ユーザは各積み上げ棒に含まれる少なくとも1つの設備を別の年度に移動することができる。
図7では、2022年度の更新のうち、汚泥脱水設備の更新を2024年度に延期し、2028年度の更新のうち、ポンプ設備の更新を2027年度に前倒しすることを示している。その結果、
図8に示すように、2022年度の更新費を示す積み上げ棒からは汚泥脱水設備の更新費が削除され、新たに積み上げ棒が描画される。これに伴い、2024年度の更新費を示す積み上げ棒には、汚泥脱水設備の更新費が追加される。同様に、2028年度の更新費を示す積み上げ棒からはポンプ設備の更新費が削除され、新たに積み上げ棒が描画される。これに伴い、2027年度の更新費を示す積み上げ棒には、ポンプ設備の更新費が追加される。このような更新計画の変更は、円グラフにおいても同様に行われる。
【0032】
図9は、円グラフで示された更新計画の変更の例を示す図である。
図9では、2022年の1系の最初沈殿池の機械の更新を、2023年の2系の最初沈殿池の更新時に延期することを示している。この延期により、
図10に示すように、2022年の1系の最初沈殿池の更新費から機械の更新費が削除され、円グラフが変化する。一方、
図11に示すように、2023年の2系の最初沈殿池の更新費に、延期された更新費が追加され、円グラフが変化する。また、延期に伴い、更新費の総額が変化するため、円グラフの直径が変化する。
【0033】
グループの内容の移動方法は特には限定されないが、例えば、マウスによるドラッグアンドドロップ、タッチペンや指によるドラッグアンドドロップ、移動するグループを選択した後、プルダウンメニューにより移動する年度を選択する等、種々の方法がある。
【0034】
以上のような処理において、制御部11は、マウス等によるグループの内容の移動(グラフの操作)を抽出し、記憶部12に記憶された設備情報122を更新する。これに伴い、制御部11は、更新された設備情報122に基づいて、例えば、
図8のようにグラフを更新する。また、制御部11は、グループの移動により処理能力が変化した場合には、画面に表示される処理能力が更新する。
【0035】
<3.情報処理装置の動作>
次に、更新計画の作成及び変更のための情報処理装置の動作について、
図12に示すフローチャートを参照しつつ説明する。ここでは、
図4に示すような棒グラフによって更新計画を作成する場合の例について説明する。
【0036】
まず、情報処理装置1の記憶部12に設備情報122が格納されていない場合には、装置の外部から設備情報122を取得する(ステップS1)。次に、ユーザは、入力装置5により、表示装置4の画面に示された複数のグループから1つを選択する(ステップS2)。続いて、情報処理装置1は、設備情報122及び選択されたグループに基づいて、
図4に示すような更新計画を表示装置4の画面に表示する(ステップS3)。このとき、水処理能力も表示される。次に、ユーザは、入力装置5により年度当たりの予算を入力する(ステップS4)。これにより、入力された予算が画面に表示されるとともに、グラフには予算を示す予算線が表示される。
【0037】
続いて、更新計画の変更を検討する。例えば、
図4の例では、2031年度の更新費が予算を超えていることが視認でき、さらに水処理能力が0%になっていることも視認できるため、ユーザは、2031年度の更新費に問題があることを容易に理解することができる。そして、検討の結果、ユーザが更新計画の変更が必要と判断した場合には(ステップS5のYES)、例えば、
図13に示すように、2031年度の2系の水処理設備の更新費を2030年度に移動することとする。この場合には、グラフの操作を行う(ステップS6)。例えば、上述したように、ドラッグアンドドロップで積み上げ棒に含まれるグループの内容を移動することができる。こうして、入力装置5によるグラフの操作が受け付けられると、表示装置4の画面には、
図14に示すように、変更後の更新計画を示すグラフが描画されるとともに、変更後の水処理能力が示される(ステップS7)。すなわち、2031年度の水処理能力が33%に変化する。また、この変更に伴い、記憶部12に格納された設備情報122が更新される(ステップS8)。そして、ユーザがさらなる更新計画の変更が必要ではないと判断した場合には(ステップS5のNO)、処理を終了する。
【0038】
<4.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)更新計画を変更する場合には、各グラフに含まれるグループの内容(オブジェクト)を移動させればよいため、直感的な操作によって更新計画を変更することができる。したがって、例えば、このような操作を繰り返すことで、更新計画の変更を容易に検討することができる。
【0039】
(2)各グラフに含まれるグループの内容は、種類毎に色や模様が異なっているため、各グラフにおいて修繕費または更新費に占めるグループの内容を容易に視認することができる。
【0040】
(3)更新計画のグラフには予算を示す予算線721や予算円83が表示されるため、これによって修繕費や更新費が予算を超えていないか否かを容易に視認することができる。
【0041】
(4)更新計画にはプラントの処理能力が示されるため、この処理能力を参照することで、更新計画の変更が必要な年度を容易に視認することができる。例えば、処理能力が0%である場合には、プラントが稼働しないため、変更を要することが容易に視認できる。また、グラフの移動に伴って処理能力も更新されるため、更新後の処理能力を見れば、更新計画の変更が適切であったか否かを用に視認することができる。なお、処理能力としては、上述した稼働率以外の指標も用いることができる。
【0042】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。また、以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0043】
<5-1>
上記実施形態では、グラフの操作を自由に行うことができるが、例えば、処理能力が所定の基準を下回ったり、修繕費または更新費が予算を上回る場合には、グラフの操作ができないようにしたり、あるいはアラート(音または表示)を発するようにすることができる。
【0044】
<5-2>
上記実施形態では、更新計画を示す画面に、予算や処理能力を表示しているが、グラフだけ表示することもできる。
【0045】
<5-3>
上記実施形態で示したグラフは、更新計画の一例であり、棒グラフ及び円グラフ以外のグラフを用いることもできる。また、グラフ以外の図形を用いて、修繕費または更新費を表すこともできる。すなわち、上記実施形態では、更新計画の積み上げ棒や円グラフに含まれるグループの内容を本発明のオブジェクトとして表示しているが、視認可能な複数のオブジェクトによって更新計画を表し、さらに複数のオブジェクトを操作できるように構成されていればよい。オブジェクトは種々の態様を採ることができ、例えば、上記のようなグラフの積み上げ棒等を構成する要素として、種々の色、形状(点、線を含む)にすることができる。また、上記のように、更新計画はグラフ以外の態様も可能であり、種々の色や形状を有する図形(点、線を含む)をオブジェクトとして含むことができる。
【0046】
<5-4>
上述した情報処理プログラム121により、設備情報の内容を修正できるようにすることもできる。
【0047】
<5-5>
更新計画で用いられるグループは、上述したものに限定されず、種々の観点からグループを設定することができる。例えば、上記実施形態では、グループの1つとして設備を説明したが、各設備に含まれる要素、例えば、各設備で用いる部品をグループとすることもできる。例えば、部品のグループとして、沈砂池掻寄機、汚水ポンプ、送風機などを設定することができる。例えば、棒グラフで更新計画が生成される場合、グループとして、沈砂池掻寄機を選択したときには、本体フレーム、Vバケット、軸・軸受、チェーン、スプロケット、駆動装置(電動機、減速機)等が、積み上げ棒の要素として含まれる。同様に、汚水ポンプには、例えば、ケーシング、インペラ、主軸、軸封装置、軸受、及びケーシングライナ等が含まれる。また、送風機には、例えば、ケーシング、インペラ、インレットベーン、ラビリンス、スリーブ、主軸、軸受、軸継手、及び給油装置等が含まれる。
【0048】
<5-6>
上記実施形態では、1つの情報処理プログラム121により、上述した処理を行っているが、複数のプログラムにより上述した処理を行うこともできる。例えば、表示装置4にグラフを描画するために、専用の描画プログラム(描画ツール)を用い、設備情報122の修正等の管理を別の管理プログラムにより行うこともできる。したがって、例えば、描画プログラムによりグラフの変更が行われたときには、その変更を管理プログラムを用いて、設備情報122に反映させることもできる。これにより、例えば、設備の健全度、劣化度、処理能力の再計算が可能となり、再計算した健全度、劣化度、処理能力を表示可能となっている。
【符号の説明】
【0049】
1 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
4 表示装置(表示部)
5 入力装置