(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035678
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】光チップ及び光通信装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20240307BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20240307BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240307BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/42
G02B6/12 301
G02F1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140291
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AB06
2H137AB09
2H137AB12
2H137BA15
2H137BA32
2H137BA35
2H137BA44
2H137BA46
2H137BA48
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB17
2H137BC17
2H137BC41
2H137BC42
2H137BC50
2H137CA12A
2H137DB10
2H147AB02
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB11
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2H147AB24
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2H147BE01
2H147BE11
2H147BE13
2H147BE14
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2H147CA23
2H147CA28
2H147CB01
2H147CC12
2H147DA10
2K102AA28
2K102BA14
2K102BB01
2K102BB04
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2K102EB11
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB29
(57)【要約】
【課題】ウエハ当たりの光チップの取れ数を確保しながら、試験精度の向上を図る光チップ等を提供する。
【解決手段】光チップは、ウエハ上のチップ領域と、チップ領域に配置された光回路とを有する。光チップは、第1の運用ファイバと接続する第1の導波路と、第2の導波路と、第1の導波路と接続すると共に、第2の導波路と接続する第1のポート及び、光回路と接続する第2のポートを備えた第1のカプラと、を有する。更に、光チップは、チップ領域の表面に形成され、第1の試験用ファイバを挿入して第2の導波路と接続するための第1のトレンチを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ上のチップ領域と、前記チップ領域に配置された光回路とを有する光チップであって、
第1の運用ファイバと接続する第1の導波路と、
第2の導波路と、
前記第1の導波路と接続すると共に、前記第2の導波路と接続する第1のポート及び、前記光回路と接続する第2のポートを備えた第1のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、前記第2の導波路と接続する第1のトレンチと、
を有することを特徴とする光チップ。
【請求項2】
第2の運用ファイバと接続する第3の導波路と、
第4の導波路と、
前記第3の導波路と接続すると共に、前記第4の導波路と接続する第3のポート及び、前記光回路と接続する第4のポートを備えた第2のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、前記第4の導波路と接続する第2のトレンチと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光チップ。
【請求項3】
前記第1のトレンチは、
第1の試験用ファイバを挿入して前記第2の導波路と接続され、
前記第2のトレンチは、
第2の試験用ファイバを挿入して前記第4の導波路と接続されることを特徴とする請求項2に記載の光チップ。
【請求項4】
前記第1のトレンチの側面の内、前記第2の導波路に接続する側面に対して直交しないように配置される前記第2の導波路及び、
前記第2のトレンチの側面の内、前記第4の導波路に接続する側面に対して直交しないように配置される前記第4の導波路の内、
少なくとも何れか一方の導波路を有することを特徴とする請求項2に記載の光チップ。
【請求項5】
前記第2の導波路と接続する前記第1のトレンチの側面が前記チップ領域の辺に対して斜めの位置に配置される前記第1のトレンチ及び、
前記第4の導波路と接続する前記第2のトレンチの側面が前記チップ領域の辺に対して斜めの位置に配置される前記第2のトレンチの内、
少なくとも何れか一方のトレンチを有することを特徴とする請求項4に記載の光チップ。
【請求項6】
前記第2の導波路及び、前記第1のトレンチ内に挿入された前記第1の試験用ファイバの内、少なくとも何れか一方に接続する第1のエッジカプラと、
前記第4の導波路及び、前記第2のトレンチ内に挿入された前記第2の試験用ファイバの内、少なくとも何れか一方に接続する第2のエッジカプラと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の光チップ。
【請求項7】
前記第1のポートが2個、前記第2のポートが2個の2×2カプラである前記第1のカプラ及び、
前記第3のポートが2個、前記第4のポートが2個の2×2カプラである前記第2のカプラの内、
少なくとも何れか一方のカプラを有することを特徴とする請求項2に記載の光チップ。
【請求項8】
前記第1のポートが2個、前記第2のポートが1個のマッハツェンダ構成の可変減衰器である前記第1のカプラ及び、
前記第3のポートが2個、前記第4のポートが1個のマッハツェンダ構成の可変減衰器である前記第2のカプラの内、
少なくとも何れか一方のカプラを有することを特徴とする請求項2に記載の光チップ。
【請求項9】
ウエハ上のチップ領域と、前記チップ領域に配置された光回路とを有する光チップを備えた光通信装置であって、
前記光回路は、
第1の受信部と、
第2の受信部と、を有し、
前記チップ領域は、
局発光用の第1の運用ファイバと接続する第1の導波路と、
第2の導波路と、
前記第1の導波路と接続すると共に、前記第2の導波路と接続する第1のポート及び、前記光回路と接続する第2のポートを備えた第1のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、前記第2の導波路と接続する第1のトレンチと、
受信光用の第2の運用ファイバと接続する第3の導波路と、
第4の導波路と、
前記第3の導波路と接続すると共に、前記第4の導波路と接続する第3のポート及び、前記第1の受信部と接続する第4のポートを備えた第2のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、前記第4の導波路と接続する第2のトレンチと、
第5の導波路と、
前記第3の導波路と接続すると共に、前記第5の導波路と接続する第5のポート及び、前記第2の受信部と接続する第6のポートを備えた第3のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、前記第5の導波路と接続する第3のトレンチと、
を有することを特徴とする光通信装置。
【請求項10】
前記光回路は、
第1の変調部と、
第2の変調部と、を有し、
前記チップ領域は、
送信光用の第3の運用ファイバと接続する第6の導波路と、
第7の導波路と、
前記第6の導波路と接続すると共に、前記第7の導波路と接続する第7のポート及び、前記第1の変調部と接続する第8のポートを備えた第4のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、第4の試験用ファイバを挿入して前記第7の導波路と接続するための第4のトレンチと、
第8の導波路と、
前記第6の導波路と接続すると共に、前記第8の導波路と接続する第9のポート及び、前記第2の変調部と接続する第10のポートを備えた第5のカプラと、
前記チップ領域の表面に形成され、第5の試験用ファイバを挿入して前記第8の導波路と接続するための第5のトレンチと、
を有することを特徴とする請求項9に記載の光通信装置。
【請求項11】
前記第1のトレンチ、前記第2のトレンチ、前記第3のトレンチ、前記第4のトレンチ及び前記第5のトレンチが、前記チップ領域内の略同一線上に配置されることを特徴とする請求項10に記載の光通信装置。
【請求項12】
前記第2の導波路、前記第4の導波路、前記第5の導波路、前記第7の導波路及び前記第8の導波路は、同一方向及び同一ピッチに前記チップ領域内に配置されることを特徴とする請求項10に記載の光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光チップ及び光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の試験システム300の一例を示す説明図である。
図9に示す試験システム300は、光チップ301と、試験装置302とを有する。試験装置302は、光源321と、偏波コントローラ322と、光パワーメータ323と、第1の試験用ファイバ324と、第2の試験用ファイバ325とを有する。光源321は、試験光を発光するLD(Laser Diode)である。偏波コントローラ322は、光源321から試験光の偏波を制御するコントローラである。第1の試験用ファイバ324は、光チップ301と光接続し、偏波コントローラ322からの偏波調整後の試験光を入力する光ファイバである。第2の試験用ファイバ325は、光チップ301と接続する光ファイバである。光パワーメータ323は、第2の試験用ファイバ325からの試験光のパワーを計測するメータである。
【0003】
光チップ301は、チップ領域310と、光回路311と、第1の導波路312と、第1のカプラ313と、第1のエッジカプラ(EC:Edge Coupler)314と、第2の導波路315と、第2のカプラ316と、第2のEC317とを有する。光回路311は、例えば、チップ領域310上に配置された送信回路や受信回路である。第1の導波路312は、例えば、チップ領域310上に配置され、第1のカプラ313と第1のEC314との間を光結合する光導波路である。第1のカプラ313は、第1の導波路312と光回路311との間を光結合する1×2カプラである。第1のEC314は、光チップ301のチップ端面に配置され、第1の導波路312と第1の試験用ファイバ324とを光結合するカプラである。
【0004】
第2の導波路315は、例えば、チップ領域310上に配置され、第2のカプラ316と第2のEC317との間を光結合する光導波路である。第2のカプラ316は、第2の導波路315と光回路311との間を光結合する1×2カプラである。第2のEC317は、光チップ301のチップ端面に配置され、第2の導波路315と第2の試験用ファイバ325とを光結合するカプラである。
【0005】
第1のカプラ313は、第1の導波路312からの試験光を光回路311内の送信回路及び受信回路に分岐出力する。第2のカプラ316は、送信回路の送信処理後の試験光又は受信回路の受信処理後の試験光を第2の導波路315に出力する。
【0006】
更に、第2のカプラ316は、送信回路からの送信処理後の試験光を入力した場合、送信処理後の試験光を第2の導波路315に出力する。更に、第2のEC317は、第2の導波路315からの送信処理後の試験光を第2の試験用ファイバ325を通じて光パワーメータ323に出力する。その結果、光パワーメータ323は、送信処理後の試験光の光パワーを測定できる。
【0007】
更に、第2のカプラ316は、受信回路からの受信処理後の試験光を入力した場合、受信処理後の試験光を第2の導波路315に出力する。更に、第2のEC317は、第2の導波路315からの受信処理後の試験光を第2の試験用ファイバ325を通じて光パワーメータ323に出力する。その結果、光パワーメータ323は、受信処理後の試験光の光パワーを測定できる。
【0008】
試験装置302は、光チップ301を試験用のステージに1個ずつセットした後、第1のEC314に第1の試験用ファイバ324を接続すると共に、第2のEC317に第2の試験用ファイバ325を接続する。しかしながら、例えば、チップ端面の第1のEC314と第1の試験用ファイバ324とを接続する際の調心作業が面倒であるため、測定に要する作業効率が低下してしまう。
【0009】
そこで、光チップ301をチップ化する前のウエハ状態で試験ができる試験システムが知られている。
図10は、従来の光チップ301Aの一例を示す説明図である。尚、
図9に示す試験システム300と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。光チップ領域301Aは、チップ化する前のウエハの状態である。ウエハは、光チップ領域301A1と、試験領域301A2と、を有し、光チップ領域301Aと試験領域301A2との間の境界線をダイシングライン301Cで切断可能にしている。光チップ領域301A1は、光回路311と、第1の導波路312と、第1のカプラ313と、第1のEC314とを有する。光チップ領域301A1は、第2の導波路315と、第2のカプラ316と、第2のEC317とを有する。
【0010】
試験領域301A2は、第1のEC314と光接続する第1の試験用導波路331と、第2のEC317と光接続する第2の試験用導波路332と、を有する。試験領域301A2は、ウエハ表面に配置され、第1の試験用ファイバ324と第1の試験用導波路331との間を光接続する第1のグレーティングカプラ(GC:Grating Coupler)333を有する。試験領域301A2は、ウエハ表面に配置され、第2の試験用導波路332と第2の試験用ファイバ325との間を光接続する第2のGC334を有する。更に、試験領域301A2は、ウエハ表面に配置され、第1の試験用ファイバ324と第1のGC333とを光接続すると共に、第2の試験用ファイバ325と第2のGC334とを光接続する光ファイバアレイ335を有する。尚、第1の試験用ファイバ324は、偏波コントローラ322を介して光源321と接続すると共に、第2の試験用ファイバ325は、光パワーメータ323と接続する。
【0011】
ウエハ表面方向から光ファイバアレイ335をGCに近づけて第1の試験用ファイバ324と第1のGC333との間、第2の試験用ファイバ325と第2のGC334との間を光結合する。その結果、ウエハ状態での試験が可能となるため、測定に要する作業効率の向上を図ることができる。
【0012】
しかしながら、GCは波長依存性が高く、光の波長によって損失が異なり、また、光の戻り反射が大きく、戻り反射によって試験光が大きな影響を受ける。しかも、GCの製造精度に依存した損失の個体ばらつきがある。その結果、GCを用いた測定は測定精度が悪化してしまう。
【0013】
そこで、GCを使用しない光チップが考えられる。
図11は、従来の光チップ301B1の一例を示す説明図である。尚、
図11に示す光チップ301Bと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。試験領域301Dは、第1のEC314と光接続する第1の試験用導波路331と、第2のEC317と光接続する第2の試験用導波路332と、ウエハ表面に形成されたトレンチ341とを有する。トレンチ341の側面から第1の試験用ファイバ324を挿入することで、第1の試験用ファイバ324と第1の試験用導波路331とを光接続する。更に、トレンチ341の側面から第2の試験用ファイバ325を挿入することで、第2の試験用ファイバ325と第2の試験用導波路332とを光接続する。
【0014】
その結果、GCを使用せずに、第1の試験用ファイバ324と第1の試験用導波路331とを光接続すると共に、第2の試験用ファイバ325と第2の試験用導波路332とを光接続するので、測定精度が改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表2020-516932号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0293866号明細書
【特許文献3】特開平1-29810号公報
【特許文献4】国際公開第2020/132968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の光チップ301Bでは、ウエハの光チップ領域301A1以外の試験領域301D内に形成するトレンチ341として試験用ファイバの端面が試験用導波路に光結合するのに十分な大きさを確保する必要がある。従って、ウエハ内で試験領域301Dを広くする必要がある。しかしながら、ウエハ内で試験領域301Dを広くした場合、ウエハ内の光チップ301Bの取れ数が少なくなる。
【0017】
一つの側面では、ウエハ当たりの光チップの取れ数を確保しながら、試験精度の向上を図る光チップ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一つの態様の光チップは、ウエハ上のチップ領域と、前記チップ領域に配置された光回路とを有する。光チップは、第1の運用ファイバと接続する第1の導波路と、第2の導波路と、前記第1の導波路と接続すると共に、前記第2の導波路と接続する第1のポート及び、前記光回路と接続する第2のポートを備えた第1のカプラと、を有する。光チップは、前記チップ領域の表面に形成され、前記第2の導波路と接続する第1のトレンチを有する。
【発明の効果】
【0019】
一つの側面によれば、ウエハ当たりの光チップの取れ数を確保しながら、試験精度の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例1の試験システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施例2の光チップの一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施例3の光チップの一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施例4の光チップの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施例5の光チップの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施例6の光チップの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、光チップを搭載した光デバイスの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、従来の試験システムの一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、従来の光チップの一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、従来の光チップの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本願の開示する光チップ等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0022】
図1は、実施例1の試験システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す試験システム1は、光チップ2と、試験装置3とを有する。試験装置3は、光源31と、偏波コントローラ32と、光パワーメータ33と、第1の試験用ファイバ35と、第2の試験用ファイバ36とを有する。
【0023】
光源31は、試験光を発光するLDである。偏波コントローラ32は、光源31からの試験光の偏波を制御するコントローラである。第1の試験用ファイバ35は、光チップ2と光接続し、偏波コントローラ32からの偏波調整後の試験光を入力する光ファイバである。第2の試験用ファイバ36は、光チップ2と接続する光ファイバである。光パワーメータ33は、第2の試験用ファイバ36からの試験光のパワーを計測するメータである。
【0024】
光チップ2は、ウエハ上のチップ領域11と、チップ領域11に配置された光回路12とを有する。光回路12は、送信回路と、受信回路とを有する。光チップ2は、第1の導波路13と、第2の導波路14と、第1のEC(Edge Coupler)15と、第1のカプラ16と、第1のトレンチ17とを有する。第1の導波路13は、第1のEC15と第1のカプラ16との間を光結合する光導波路である。第1のEC15は、第1の運用ファイバと接続するECである。第1のカプラ16は、第1の導波路13と接続すると共に、第2の導波路14と接続する第1のポート16Aと、光回路12内の送信回路と接続すると共に、受信回路と接続する第2のポート16Bとを備えた2×2の光カプラである。第1のトレンチ17は、チップ領域11の表面に形成され、第1の試験用ファイバ35を挿入して第2の導波路14と接続するための溝である。
【0025】
光チップ2は、第3の導波路18と、第4の導波路19と、第2のEC20と、第2のカプラ21と、第2のトレンチ22とを有する。第3の導波路18は、第2のEC20と第2のカプラ21との間を光結合する光導波路である。第2のEC20は、第2の運用ファイバと接続するECである。第2のカプラ21は、第3の導波路18と接続すると共に、第4の導波路19と接続する第3のポート21Aと、光回路12内の送信回路と接続すると共に、受信回路と接続する第4のポート21Bとを備えた2×2の光カプラである。第2のトレンチ22は、チップ領域11の表面に形成され、第2の試験用ファイバ36を挿入して第4の導波路19と接続するための溝である。
【0026】
第1のカプラ16は、第2の導波路14からの試験光を送信回路及び受信回路に分岐出力する。第2のカプラ21は、送信回路の送信処理後の試験光又は受信回路の受信処理後の試験光を第3の導波路18及び第4の導波路19に出力する。
【0027】
尚、第1のカプラ16及び第2のカプラ21は、2×2カプラで構成するため、2入力及び2出力の方が入力と出力とで分岐比が安定化することで、光損失が発生しないため、光回路12に入射される光の強度が大きくなり、測定精度を改善できる。しかしながら、1×2カプラで構成しても良く、この場合、3dBの光損失が発生するものの、ある程度の測定精度の改善は認められる。
【0028】
次に実施例1の試験システム1の動作について説明する。光チップ2のウエハの状態で試験を開始する。第1の試験用ファイバ35の端面を第1のトレンチ17に挿入することで、第1の試験用ファイバ35と第2の導波路14との間を光接続する。第2の試験用ファイバ36の端面を第2のトレンチ22に挿入することで、第2の試験用ファイバ36と第4の導波路19との間を光接続する。
【0029】
偏波コントローラ32は、光源31からの試験光を偏波調整後、偏波調整後の試験光を第1の試験用ファイバ35に入力する。第1のカプラ16は、第1の試験用ファイバ35からの試験光を光回路12内の送信回路又は受信回路に分岐出力する。送信回路は、偏波調整後の試験光に通常の送信処理を経た後、送信処理後の試験光を第2のカプラ21に出力する。また、受信回路は、偏波調整の試験光に通常の受信処理を経た後、受信処理後の試験光を第2のカプラ21に出力する。
【0030】
第2のカプラ21は、光回路12内の送信回路から送信処理後の試験光又は受信回路から受信処理後の試験光を入力した場合、試験光を第4の導波路19に出力する。光パワーメータ33は、第4の導波路19からの試験光を第2の試験用ファイバ36を経て試験光のパワーを測定する。その結果、光チップ2の送信処理後の試験光及び受信処理後の試験光を測定できる。
【0031】
実施例1の光チップ2では、第1のトレンチ17での第2の導波路14と第1の試験用ファイバ35との間を光結合すると共に、第2のトレンチ22での第4の導波路19と第2の試験用ファイバ36との間を光結合する。その結果、光結合による光回路12の試験が可能となり、ウエハ状態での測定精度が改善できる。しかも、光チップ2内の空き領域に、第1のトレンチ17及び第2のトレンチ22を設けることで、ウエハ当たりの光チップ2の取れ数を確保できる。
【0032】
つまり、実施例1では、従来のような試験領域ではなく、光チップ2内の空き領域にトレンチを配置したので、ウエハ当たりの光チップ2の取れ数を確保できる。更に、GCを使用しないため、試験光が反射光の影響を受けることはなく、光源が不安定になることがなくなることで測定値を安定化できる。
【0033】
実施例1の光チップ2では、第1のトレンチ17の側面と第2の導波路14とが直交するため、試験光と反射光とが同一の光進行方向になるため、反射光の影響が大きくなる。そこで、このような事態に対処する実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
第2の導波路14Aは、第1のトレンチ17の側面の内、第2の導波路14Aと接続する側面に対して直交しない位置、例えば、斜め10度の位置に配置されるため、試験光に対する反射光が第2の導波路14Aに進入するのを抑制する。その結果、試験光に対する反射光が小さくできるため、測定精度が高くなる。
第4の導波路19Aは、第2のトレンチ22の側面の内、第4の導波路19Aと接続する側面に対して直交しない位置、例えば、斜め10度の位置に配置されるため、試験光に対する反射光が第4の導波路19Aに進入するのを抑制する。その結果、試験光に対する反射光が小さくできるため、測定精度が高くなる。
尚、実施例2の光チップ2Aは、第2の導波路14A及び第4の導波路19Aの両方を有する場合を例示したが、第2の導波路14Aを第2の導波路14、第4の導波路19Aを第4の導波路19の何れか一方に置き換えても良く、適宜変更可能である。
実施例2の光チップ2Aでは、第2の導波路14Aが第1のトレンチ17に対して斜めに配置する場合を例示したが、第2の導波路14Aと第1のトレンチ17内に挿入された第1の試験用ファイバ35との間で結合損失が大きくなる。また、第4の導波路19Aと第2のトレンチ22内に挿入された第2の試験用ファイバ36との間で結合損失が大きくなる。そこで、このような事態に対処すべく、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。