(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035689
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
B26D 5/00 20060101AFI20240307BHJP
B26D 11/00 20060101ALI20240307BHJP
B26D 1/24 20060101ALI20240307BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240307BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20240307BHJP
B26D 7/26 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B26D5/00 Z
B26D11/00
B26D1/24 H
B26D7/06 Z
B26D1/24 B
B26D7/18 E
B26D7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140306
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
3C021FC01
3C021JA03
3C021JA09
3C027VV09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートを搬送方向に沿って加工する際、先行して搬送されるシートと、後続のシートの加工位置とが異なっている場合に、シートの加工処理に要する時間を短縮可能な加工装置を提供する。
【解決手段】本発明の加工装置は、シートSを搬送する搬送部18と、搬送部の搬送方向Fに沿ってシートを加工処理する複数の加工部材29、及び加工部材を搬送方向に交差する幅方向に移動する移動部が設けられた加工部24と、移動部の動作を制御する制御部45とを備えた加工装置であって、制御部は、搬送部によって先行して搬送される第1シートと後続の第2シートとの加工部材による幅方向における加工位置が異なる場合に、第1シートの加工位置からの移動距離が最小となる加工部材を用いて、第2シートを加工処理する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送方向に沿って前記シートを加工処理する複数の加工部材、及び前記加工部材を前記搬送方向に交差する幅方向に移動する移動部が設けられた加工部と、
前記移動部の動作を制御する制御部とを備えた加工装置であって、
前記制御部は、前記搬送部によって先行して搬送されるシートと後続のシートとの前記加工部材による前記幅方向における加工位置が異なる場合に、先行して搬送される前記シートの前記加工位置からの移動距離が最小となる前記加工部材を用いて、後続の前記シートを加工処理する加工装置。
【請求項2】
前記制御部は、後続の前記シートより更に後方を搬送される前記シートの前記幅方向における前記加工位置が、先行して搬送される前記シートの加工位置から所定範囲内となる前記加工部材を、先行して搬送される前記シートを加工処理した位置から所定範囲内に待機させつつ後続の前記シートを加工処理する待機制御を実行する請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記制御部は、先行して搬送される前記シートの前記加工位置が、後続の前記シートの搬送路における側端縁の位置から所定値以内である場合に、後続の前記シートの前記側端縁から所定値以内に位置する前記加工部材を、先行して搬送される前記シートの前記加工位置から所定範囲内で待機する待機位置から後続の前記シートから離れる方向へ所定量移動させた回避位置に移動し、後続の前記シートを加工処理する回避制御を実行する請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記制御部は、先行して搬送される前記シートと、後続の前記シートとの前記加工位置が異なり、後続の前記シートより更に後方の前記シートの前記加工位置が、先行して搬送される前記シートの加工位置から所定範囲内である場合に、先行して搬送される前記シートを加工処理した前記加工部材を後続の前記シートの加工位置へ移動させ、後続の前記シートを加工処理する移動制御を実行可能であり、
前記待機制御または前記移動制御のいずれを実行するかを、使用者の指示に基づいて決定する請求項1または請求項2に記載の加工装置。
【請求項5】
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送方向に沿って前記シートを裁断するスリッター、及び前記スリッターを前記搬送方向に交差する幅方向に移動するスリッター移動部が設けられたスリッター部と、
前記スリッター移動部の動作を制御する制御部とを備えた加工装置であって、
前記シートが前記スリッターによって裁断されることで生じた裁ち屑を搬送路から除去するガイド、及び前記ガイドを前記幅方向へ移動するガイド移動部が設けられ、
前記制御部は、前記スリッターによって前記シートが裁断されることで、前記シートの側端部に生じた裁ち屑を、前記ガイドによって前記搬送路から除去するよう前記ガイド移動部を制御する加工装置。
【請求項6】
前記加工部の上流側に、前記搬送方向に沿って前記シートを裁断する裁断装置を備えた請求項1または請求項5に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
載置台に積載された複数のシートを順次下流側へ搬送し、シートを加工する加工装置が知られている。特許文献1には、シートの余白部分で、加工具がシートを加工可能な状態を保持することについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、先行して搬送されるシートを搬送方向に沿って加工する加工位置と、後続のシートの加工位置とが異なる場合に、加工具がシートの搬送方向に交差する幅方向に移動するのに所定時間を要した。
【0005】
本発明の目的は、シートを搬送方向に沿って加工する際、先行して搬送されるシートと、後続のシートの加工位置とが異なっている場合に、シートの加工処理に要する時間を短縮可能な加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の加工装置は、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向に沿って前記シートを加工処理する複数の加工部材、及び前記加工部材を前記搬送方向に交差する幅方向に移動する移動部が設けられた加工部と、前記移動部の動作を制御する制御部とを備えた加工装置であって、前記制御部は、前記搬送部によって先行して搬送される第1シートと後続の第2シートとの前記加工部材による前記幅方向における加工位置が異なる場合に、前記第1シートの前記加工位置からの移動距離が最小となる前記加工部材を用いて、前記第2シートを加工処理する。
【0007】
また、前記構成において、前記制御部は、前記第2シートより後方の第3シートの前記幅方向における前記加工位置が、前記第1シートの加工位置から所定範囲内である前記加工部材を、前記第1シートを加工処理した位置から所定範囲内に待機させつつ前記第2シートを加工処理する待機制御を実行する。
【0008】
そして、前記構成において、前記制御部は、前記第1シートの前記加工位置が、前記第2シートの搬送路における側端縁の位置から所定値以内である場合に、前記第2シートの前記側端縁から所定値以内に位置する前記加工部材を、前記第1シートの前記加工位置から所定範囲内で待機する待機位置から前記第2シートから離れる方向へ所定量移動させた回避位置に移動し、前記第2シートを加工処理する回避制御を実行する。
【0009】
更に、前記構成において、前記制御部は、前記第1シートと、前記第2シートとの前記加工位置が異なり、前記第3シートの前記加工位置が、前記第1シートと同じ場合に、前記第1シートを加工処理した前記加工部材を第2シートの加工位置へ移動させ、前記第2シートを加工処理する移動制御を実行可能であり、前記待機制御または前記移動制御のいずれを実行するかを、使用者の指示に基づいて決定する。
【0010】
更に、前記構成において、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向に沿って前記シートを裁断するスリッター、及び前記スリッターを前記搬送方向に交差する幅方向に移動するスリッター移動部が設けられたスリッター部と、前記スリッター移動部の動作を制御する制御部とを備えた加工装置であって、前記シートが前記スリッターによって裁断されることで生じた裁ち屑を搬送路から除去するガイド、及び前記ガイドを前記幅方向へ移動するガイド移動部が設けられ、前記制御部は、前記スリッターによって前記シートが裁断されることで、前記シートの側端部に生じた裁ち屑を、前記ガイドによって前記搬送路から除去するよう前記ガイド移動部を制御する。
【0011】
更に、前記構成において、前記加工部の上流側に、前記搬送方向に沿って前記シートを裁断する裁断装置を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、前記制御部は、前記搬送部によって先行して搬送されるシートと後続のシートとの前記加工部材による前記幅方向における加工位置が異なる場合に、先行して搬送される前記シートの前記加工位置からの移動距離が最小となる前記加工部材を用いて、後続の前記シートを加工処理するので、シートを搬送方向に沿って加工する際、先行して搬送されるシートと、後続のシートの加工位置とが異なっている場合に、シートの加工処理に要する時間を短縮可能である。
【0013】
また、前記制御部は、後続の前記シートより更に後方を搬送される前記シートの前記幅方向における前記加工位置が、先行して搬送される前記シートの加工位置から所定範囲内となる前記加工部材を、先行して搬送される前記シートを加工処理した位置から所定範囲内に待機させつつ後続の前記シートを加工処理する待機制御を実行する場合は、シートの加工処理に要する時間をより短縮可能である。
【0014】
そして、前記制御部は、先行して搬送される前記シートの前記加工位置が、後続の前記シートの搬送路における側端縁の位置から所定値以内である場合に、後続の前記シートの前記側端縁から所定値以内に位置する前記加工部材を、先行して搬送される前記シートの前記加工位置から所定範囲内で待機する待機位置から後続の前記シートから離れる方向へ所定量移動させた回避位置に移動し、後続の前記シートを加工処理する回避制御を実行する場合は、幅の狭い裁ち屑が搬送路に留まって紙詰まりを生じさせるのを回避可能である。
【0015】
更に、前記制御部は、先行して搬送される前記シートと、後続の前記シートとの前記加工位置が異なり、後続の前記シートより更に後方の前記シートの前記加工位置が、先行して搬送される前記シートの加工位置から所定範囲内である場合に、先行して搬送される前記シートを加工処理した前記加工部材を後続の前記シートの加工位置へ移動させ、後続の前記シートを加工処理する移動制御を実行可能であり、前記待機制御または前記移動制御のいずれを実行するかを、使用者の指示に基づいて決定する場合は、シートの加工処理に要する時間をより短縮可能である。
【0016】
更に、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送方向に沿って前記シートを裁断するスリッター、及び前記スリッターを前記搬送方向に交差する幅方向に移動するスリッター移動部が設けられたスリッター部と、前記スリッター移動部の動作を制御する制御部とを備えた加工装置であって、前記シートが前記スリッターによって裁断されることで生じた裁ち屑を搬送路から除去するガイド、及び前記ガイドを前記幅方向へ移動するガイド移動部が設けられ、前記制御部は、前記スリッターによって前記シートが裁断されることで、前記シートの側端部に生じた裁ち屑を、前記ガイドによって前記搬送路から除去するよう前記ガイド移動部を制御する場合は、スリッター及びガイドを用いて生じた裁ち屑を適切に搬送路から除去可能である。
【0017】
更に、前記加工部の上流側に、前記搬送方向に沿って前記シートを裁断する裁断装置を備えた場合は、上流側の裁断装置で、前記搬送部によって先行して搬送されるシートと後続のシートとの前記加工部材による前記幅方向における加工位置が異なるよう前記シートが裁断される場合に、シートの加工処理に要する時間をより短縮可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る加工装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】前記処理装置のスリッター部を下流側からみた図である。
【
図4】前記加工装置によって加工処理されるシートを示す平面図である。
【
図6】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図7】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図8】前記加工装置の仕様態様を説明する図である。
【
図9】前記加工装置の使用態様を説明する図である。
【
図12】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図13】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図14】前記加工装置によって加工処理される他のシートを示す平面図である。
【
図15】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図16】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図17】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図18】前記加工装置によって加工処理される更に他のシートを示す平面図である。
【
図19】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図20】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【
図21】前記加工装置の加工部材の配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明にかかる加工装置を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる加工装置100の全体構成を示す平面図である。加工装置100は、主たる加工機構として、供給装置2、裁断装置3、クロスコンベア装置4、処理装置7、スタッカ装置8を備える。また、加工装置100は、シートSを搬送する搬送部18と、加工装置100全体の動作を制御する制御部45とを備える。裁断装置3の搬送部18による搬送方向Eと処理装置7の搬送部18による搬送方向Fは直交している。裁断装置3はシートSを
図1において右から左へ向けた第1方向Aに沿って搬送する。処理装置7は、裁断後のシートSを
図1において上から下へ向けた第2方向Bに沿って搬送する。
【0020】
近年、汎用的な印刷機における印刷可能な最大シートSの大きさが大きくなる傾向にあり、B3を超えるサイズも印刷可能な場合が多くなってきている。
本加工装置100は、一定サイズ以上の大きい印刷済のシートSを上流の裁断装置3で所定サイズに裁断し、下流の処理装置7で更に裁断処理を施し、シートSの余白を取り除いて、印刷部分のみを残すよう、シートSを加工する。
【0021】
裁断装置3は、例えば、B2サイズを超えるサイズも裁断可能である。一方、処理装置7が、加工可能なシートSの大きさは、最大でB3サイズである。裁断装置3は、処理装置7が受入れ可能なB3サイズより小さい大きさに、シートSを裁断し、処理装置7にシートSを受け渡す。
【0022】
〔供給装置2〕
供給装置2は、エア吸引ベルト式の図示しないエア給紙ユニットと、シートSの積載量に応じて上昇、下降するエレベータ式の給紙トレイ21と、エア給紙ユニットにより送り出されたシートSをさらに第1方向Aで下流側に搬送する図示しない搬送ローラ対と、を有している。尚、本実施例においては、B2サイズを超えるシートSの大きさも給紙できるように構成されている。
前記搬送ローラ対によりシートSが搬送され、下記裁断装置3の先端センサ31にシートSの先端が到達すると、供給装置2内の搬送ローラ対の圧着が解除され、下記裁断装置3内の搬送ローラ36だけでシートSが搬送される。
【0023】
〔裁断装置3〕
裁断装置3は、供給装置2から搬送されたシートSの先端が到達したことを検出する先端センサ31と、シートSの先端と予めシートSに付与されたレジマークの位置を検出し、シートSの搬送方向に対する印刷の傾斜角度を検出するレーザーセンサ32と、複数の搬送ローラ36と、複数の搬送ローラ36を駆動する図示しないモータとを有している。尚、先端センサ31とレーザーセンサ32は、それぞれ、第1方向Aに直角する第2方向Bの2箇所に配置されている。
【0024】
先端センサ31は、第1センサ311と第2センサ312を有している。第1センサ311と第2センサ312は、裁断装置3における第1方向Aにおいて同じ位置に設けられる。そして、第1センサ311と第2センサ312は、第2方向Bにおいて、所定距離X離れた位置に設けられている。
【0025】
先端センサ31は、第1センサ311と第2センサ312のそれぞれでシートSの先端を検出するタイミングに所定以上のズレが生じているときに、搬送中のシートSが斜行していることを検出する。
【0026】
又、裁断装置3は、前記レーザーセンサ32にて検出した印刷画像の傾斜角度を基に、移動刃ユニット34の角度を、印刷画像に対して直角になるように角度調整することが可能な角度調整手段35を有する。角度調整手段35は、シートSの搬送中に、移動刃ユニット34の角度を調整可能である。前記移動刃ユニット34は、予め、設定した裁断位置にシートSを停止後、シートSを搬送する方向と直交する方向に裁断刃(上下一対の回転刃)を移動することによりシートSを裁断する。裁断後のシートSは、搬送ローラ対39によりクロスコンベア装置4に排出される。
【0027】
又、前記移動刃ユニット34によって裁断され、且つ前記シートSの裁断位置を通過した不要な裁ち屑Jが所定長さ以上の場合は、搬送路5上の搬送ガイドをリジェクト位置に退避させ、前記シート片をリジェクトすることのできる回転ガイド37を備える。
【0028】
〔クロスコンベア装置4〕
クロスコンベア装置4は、裁断装置3で裁断加工されて第1方向Aに搬送されて来たシートSを、受けて、第1方向Aに対し直交する第2方向BにシートSを搬送して、処理装置7へ送り込むようになっている。
尚、クロスコンベア装置4は、裁断装置3の後段に配置されており、裁断装置3から排出されたシートSを、所定幅を有する無端状ベルト401上に受け取り、受け取ったシートSの端縁をガイド壁402に沿わせるように、シートSをガイド壁402に向けて斜めに搬送しながら、第2方向Bへ搬送する、斜行搬送手段404を備える。
【0029】
〔処理装置7〕
図2は処理装置7及びスタッカ装置8の模式縦断面図である。この
図1において、処理装置7は、装置本体101のシートSの搬送方向Fの上流端部に挿入ユニット6を備える。
【0030】
挿入ユニット6は、供給台61、案内板68、供給ローラ66、吸引搬送部62及び分離送風部63を備える。供給台61は、シートSが積載され、該シートSを搬送路5へ供給するために設けられる。供給台61は、図示しない昇降手段により昇降可能となっている。昇降手段は、シートSの供給の際、最上位のシートSが吸引搬送部62によって吸引搬送され、搬送路5へ供給可能な所定の高さの供給位置まで、待機位置から供給台61を上昇させる。よって、供給台61は、待機位置と供給位置との間で移動可能となっている。
【0031】
案内板68はシートSの側端縁SLが接触し、シートSが斜行することなく下流側へ搬送されるようを案内する。供給ローラ66は、上下一対設置される。吸引搬送部62は、吸引ファン67、搬送ベルト64及びベルトローラ65を備える。挿入ユニット6では、供給台61上に積載された所定枚数のシートSを、吸引搬送部62及び上下一対の供給ローラ66を用いて、上から順に、一枚ずつ搬送路5に供給する。
【0032】
分離送風部63は、供給台61上のシートSの前端縁Sfに向けて図示しないファンにより送風し、積載された複数のシートSから最上位のシートSを分離して吸引搬送部62に吸着させ、搬送させる。一方のベルトローラ65、及び供給ローラ66のうち下方の供給ローラ661は、給紙用駆動部47に接続される。分離送風部63、吸引ファン67及び給紙用駆動部47は制御部45に電気的に接続されている。
【0033】
処理装置7の内部に、略水平な搬送路5が構成されている。搬送路5には、上下一対の搬送ローラ9~17が複数設置された搬送部18を備えている。搬送ローラ9~17は、搬送方向Fに間隔をおいて配置される。搬送部18を構成する各搬送ローラ9~17は、図示しない動力伝達機構を介して搬送駆動部41~44にそれぞれ連結されており、各搬送駆動部41~44は制御部45に電気的に接続されている。
【0034】
搬送路5には、さらに、シートSまたは加工物Qの前端縁(下流側端縁)Sfあるいは後端(上流側端縁)Srを検出する複数の光透過式の検出部301~305が配置されており、それぞれ制御部45のインターフェースに電気的に接続されている。シートSの搬送方向Fにおいて最も上流側の第1検出部301は、挿入ユニット6の吸引搬送部62と供給ローラ66との間に配置され、次の第2検出部302は、スリッター部20の上流側近傍に配置され、次の第3検出部303は,スリッター部20の途中に配置され、次の第4検出部304は、クリース部21の上流側近傍に配置され、最も下流側の第5検出部305は、スタッカ装置8の上流側近傍に配置されている。
【0035】
第1検出部301は、挿入ユニット6の吸引搬送部62により吸引搬送されたシートSが、供給ローラ66で把持される前の段階にあるシートSの前端縁Sf、又は供給ローラ66により把持され、搬送されるシートSの後端縁Srを検出し、検出したシートSの位置を基準にして、その後搬送路5上で搬送されているシートSの位置の算出に用いられる。
【0036】
第2検出部302及び第3検出部303は、加工途中のシートSの詰まりを検出する。第4検出部304は、搬送路5が長くなって搬送路5上の加工途中のシートSの搬送方向Fの位置ずれ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、第1検出部301で得られたシート位置情報を修正して、当該シート位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。第5検出部305は、スタッカ装置8への加工物Qの排出を検出する。また、第5検出部35は、スタッカ装置8での加工物Qのジャム等を検出する。
【0037】
挿入ユニット6の下流側に必要により、読取部26及びリジェクト機構25が設けられる。読取部26は、シートSに印刷された位置マークの画像を読み取って、シートSの処理装置7の搬送方向F及び搬送方向Fと直交する幅方向Wの加工の基準位置を検出する。また、読取部26は、シートSの所定位置に印刷されたバーコードの画像を読み取ってシートSに施されるべき各種加工処理情報を取得する。読取部26は、CCDセンサー等により構成される。
【0038】
リジェクト機構25は、シートSに印刷された位置マークやバーコードが不鮮明であるために読取部26による読取が不能であった場合、そのシートSに対して、作動し、読取不能のシートSを落下させてトレイ25aで回収する。
【0039】
更に、搬送路5には、搬送されるシートSを加工する加工部24が設置されている。加工部24は、加工部材29を備える。加工部材29は、搬送部18の搬送方向Fまたは搬送方向に交差する幅方向Wに沿ってシートSを加工処理する。加工部材29が、搬送部18の搬送方向Fに沿ってシートSを加工処理する場合には、加工部24は移動部51を備える。移動部51は、加工部材29を搬送方向Fに交差する幅方向Wに移動する。
【0040】
図2では、加工部24として、裁断部19及びクリース部21が設けられている。裁断部19は、3つのスリッター部20と、カッター部22とにより構成される。クリース部21は、シートSに折り目を形成する。同図では、スリッター部20は、搬送部18の搬送方向Fに沿ってシートSを加工処理する場合を示す。また、カッター部22とクリース部21とは、搬送方向Fに交差する幅方向Wに沿ってシートSを加工処理する場合を示す。
【0041】
スリッター部20、クリース部21及びカッター部22は、それぞれ着脱可能なユニット20a-20cとして構成されている。各ユニット20a-20cは、カセット方式により、装置本体101内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、スリッター部20、クリース部21及びカッター部22の配置順序を変更したり、あるいは幅方向Wに替えて搬送方向F沿ったクリース処理を施す機構、面取り機構やミシン目形成機構等の他の加工部24と取り替えたり、追加したりすることができる。
【0042】
スリッター部20は、搬送方向F上流側から順に、第1ユニット20a、第2ユニット20b、第3ユニット20cの3つのユニットを備える。各ユニット20a-20cには、上下の回転式切断刃からなるスリッター36が、それぞれ幅方向Wに間隔を置いて2組ずつ配置されている。スリッター36は、移動部51により、処理装置7の搬送部18の搬送方向Fに交差する幅方向Wに移動可能に設置される。スリッター36は、処理装置7の搬送部18の搬送方向Fである第2方向Bに沿ってシートSを加工処理する加工部材29を構成する。加工部材29を駆動する加工部材駆動部としての回転駆動部4l8の駆動力で、搬送路5の上側または下側のいずれか一方の回転刃を回転させ、他方の回転刃を従動回転させることにより、搬送部18による搬送方向Fに沿った裁断を行いシートSに対して裁断線Dを形成するようになっている。
【0043】
最上流の第1ユニット20aには、スリッター36の下流側にガイド55が設置されている。ガイド55は、シートSがスリッター36によって裁断されることで生じた裁ち屑Jを搬送路5から除去する。最上流の第1ユニット20aでは、主としてシートSの左右両端縁の不要な裁ち屑Ja(
図4参照)が切り取られる。ガイド55は、このスリッター36によって切り取られた左右両端縁の裁ち屑Jaを搬送路5から除去し、裁ち屑回収部23へ向けて案内し、落下させる。
【0044】
図3はスリッター部20の最上流のユニット20aを搬送方向F下流側から見た図である。最上流のユニット20aは、枠体37、スリッター36、回転駆動部48及び移動部51を備える。枠体37は、頂板371、左右一対の側板372、373及び底板375により構成される。頂板371の上面には2個の取手375が付いている。側板372,373は、頂板371の両側近傍位置から鉛直下方に向けて垂設されている。
【0045】
スリッター36は、左右一対設けられ、移動部51により枠体37内を幅方向Wに移動可能となっている。スリッター361は、上下に対向配置される駆動刃58及び従動刃59により構成される。そして、スリッター36は、この駆動刃58と従動刃59とを擦り合わせることによってシートSの裁断を行う。
【0046】
図2において、回転駆動部48は、1本の駆動軸460、ギア、ベルトなどの動力伝達機構393及びモータ等の回転駆動源(図示省略)を備える。駆動軸460は左右側板372,373に架設され、左右双方の駆動刃58の回転中心に挿通されている。動力伝達機構393は
図2において、右側に示す側板372の外方に設けられる。回転駆動源は、装置本体101に設置される。そして、ユニット20aが装置本体101に装着されたときに、回転駆動源の駆動力が動力伝達機構393に伝達され、駆動軸460を回転し、左右双方の駆動刃58を同時に回転する。
【0047】
移動部51は、加工部材29としてのスリッター36を加工位置、基準位置及び搬送路5の外側の位置の間で移動させる。この移動部51は、2本のねじ軸511と、1本の上ガイド軸512と、1本の下ガイド軸513、左右一対のギヤ514及び2個の加工部材移動駆動部(図示省略)としての裁断刃移動駆動部(図示省略)とを備える。前記ねじ軸511、上ガイド軸512、下ガイド軸513からなる4本の軸はいずれも左右の側板372,373間に架設される。2本のねじ軸511は、シートSの搬送方向F上流側及び下流側に並設される。
【0048】
上流側のねじ軸511は、
図2において左側のスリッター362の螺合部369が螺挿される。そして、この上流側のねじ軸511は、左側板373の外側に突出した端部に、ギヤ514が設けられている。一方、下流側のねじ軸511は、
図2において右側のスリッター361の螺合部369が螺挿される。そして、この下流側のねじ軸511の右側板372から外側に突出した端部に、ギヤ514が設けられている。モータ等の加工部材移動駆動部は、装置本体101に設置される。ユニット20が装置本体101の受容部6に装着されたとき、左右のギヤ514が装置本体101の2個の加工部材移動駆動部にそれぞれ連結される。そして、各加工部材移動駆動部の駆動によりギヤ514を介して2本のねじ軸511をそれぞれ独立して所定量だけ回動され、スリッター36の上下ホルダー365,366を、シートSに加工処理を行うための加工位置に移動させる。
【0049】
スリッター部20の下流側には、裁ち屑落とし機構27が配置されている。裁ち屑落とし機構27は、左右一対のガイド28を備える。前記スリッター部20の第1―第3ユニット20a-20cのうち、搬送方向F中央のユニット20b及び最下流のユニット20cで、搬送部18による搬送方向Fに沿ったシートSの裁断を行うことで搬送方向Fに沿って切り取られ不要となったシートSのなかほどの裁ち屑Jbを、ガイド28によって搬送路5から除去する。
【0050】
ガイド28はガイド移動部283により、幅方向Wに移動可能である。尚、ガイド移動部283に替えて、ガイド28は、例えば、最下流のユニット20cのスリッター36の幅方向Wの移動に伴って移動するよう構成することも可能である。ガイド28は、シートSが裁ち屑落とし機構27を通過する際に、前記裁ち屑Jbを裁ち屑回収部23へ案内し、落下させる。
【0051】
クリース部21は、上端凹部を有する下型39と、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型38とを備えており、前記上型38は、モータ等のクリース駆動部49に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、折り型駆動部49の駆動力で上型38を下降させることにより、シートSに対して、搬送方向Fと直交する幅方向Wに折り目を形成する。
【0052】
カッター部22は、幅方向Wに延び、相対向する一対の裁断刃69を備える。一方の裁断刃69は上側可動刃71により、他方の裁断刃69は下側固定刃73により構成されており、上側可動刃71が下側固定刃73に対し接触離間し、シートSを搬送方向Fと直交する幅方向Wに裁断する。上側可動刃71は、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部50に連結されている。
【0053】
裁ち屑回収部23は、収容箱54及びガイド59、60を備える。収容箱54は、上部開口を有する直方体状に形成される。収容箱54は、裁断部19において切り取られ不要となった裁ち屑Jを回収し、収容する。ガイド59、60は、裁断部19において切り取られ、落下する裁ち屑Jを収容箱54へと案内する。
【0054】
〔スタッカ装置8〕
処理装置7の搬送方向Fの下流端部にスタッカ装置8が設けられる。スタッカ装置8は、加工部24での加工処理により得られた加工物Qを積載する。スタッカ装置8には、加工物Qを載置面上の異なる位置に区分けして積載可能な載置部83が設けられる。載置部83には、周回走行するベルト85上に加工物Qを積載するベルトコンベアー86が設けられる。ベルトコンベアー86上には、搬送部18により排出された加工物Qが搬送されつつ載置される。
【0055】
ベルトコンベアー86は、無端状のベルト85、コンベアローラ87及びコンベア駆動部40を備える。コンベアローラ87は、シートSの搬送方向Fと同じ方向である加工物Qの排出方向に所定量離間して設置され、前記ベルト85が掛け渡される。ベルト85の幅方向Wの長さは、シートSが搬送される搬送路5の幅方向W長さと略同じ乃至搬送路5より少し長い所定長さとなっており、幅方向Wで並行し排出される複数の加工物Qを、ベルト85上に載置可能である。コンベア駆動部40は制御部45に電気的に接続され、制御部45がコンベア駆動部40の駆動量を制御することで、ベルトコンベアー86は、所定速度で走行するよう調整される。
【0056】
スタッカ装置8は、更に、加工物Qの満杯を検知する満杯検出部300を備える。満杯検出部300は、光学式のセンサー等によって構成され、載置部83上の加工物Qが積載許容量を超過したことを検出する。
【0057】
処理装置7の排出側にコンベアスタッカを結合してもよい。コンベアスタッカは、処理装置7から排出された裁断加工後の単票を、ベルトコンベアによってゆっくり搬送し、その端部に設けたスタッカーに斜めに立てた状態で単票を積み重ねるようにした装置である。尚、ベルトコンベアによる単票の搬送路5上には、単票を仕分けして整列する仕分けガイドを備えている。
【0058】
[制御部45]
制御部45には、CPUや、RAM及びROM等のメモリが内蔵されている。制御部45は、加工装置100全体の動作を制御する。そして、制御部45は、先端センサ31、レーザーセンサ32、検出部31~35からの情報を取得し、操作パネル46または読取部26により設定されたシートSの加工処理情報に基づいて供給装置2、裁断装置3、クロスコンベア装置4、処理装置7、スタッカ装置8及び搬送部18の駆動を制御し、シートSの加工処理を行う。
【0059】
制御部45のインターフェースには、操作パネル46及び読取部26が電気的に接続されている。操作パネル46は、シートSの裁断処理に関する情報を含む各種加工処理情報を設定する設定部と表示部とを兼ねて構成される。また、読取部26は、前記設定部を構成する。
【0060】
更に、制御部45は、加工部24の移動部51の動作を制御する。制御部45は、搬送部18によって先行して搬送されるシートSと後続のシートSとの加工部材29による幅方向Wにおける加工位置が異なる場合に、先行して搬送されるシートSの加工位置からの移動距離が最小となる加工部材29を用いて、後続のSシートを加工処理する。
【0061】
また、制御部45は、後続のシートSより更に後方を搬送されるシートSの幅方向Wにおける加工位置が、先行して搬送されるシートSの加工位置から所定範囲内となる加工部材29を、先行して搬送されるシートSを加工処理した位置から所定範囲内に待機させつつ後続のシートSを加工処理する待機制御を実行することが可能である。また、制御部45は、先行して搬送されるシートSの加工位置が、後続のシートSの搬送路5における側端縁の位置から所定値以内である場合に、後続のシートSの側端縁から所定値以内に位置する加工部材29を、先行して搬送されるシートSの加工位置から所定範囲内で待機する待機位置から後続のシートSから離れる方向へ所定量移動させた回避位置に移動し、後続のシートSを加工処理する回避制御を実行することができる。
【0062】
また、制御部45は、先行して搬送されるシートSと、後続のシートSとの加工位置が異なり、後続のシートSより更に後方のシートSの加工位置が、先行して搬送されるシートSの加工位置から所定範囲内である場合に、先行して搬送されるシートSを加工処理した加工部材29を後続のシートSの加工位置へ移動させ、後続のシートSを加工処理する移動制御を実行可能であり、前記待機制御または前記移動制御のいずれを実行するかを、使用者の指示に基づいて決定するよう制御可能である。
【0063】
また、制御部45は、スリッター36によってシートSが裁断されることで、シートSの側端部に生じた裁ち屑Jaを、ガイド28によって搬送路5から除去するようガイド移動部283を制御することができる。
【0064】
[シートSの加工物配列パターン]
図4は、シートSの加工物Qの配列パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工物Qの配列パターンは、一枚のシートS1から折り目のない3枚の加工物Q1-Q3を製作するようになっている。3枚の加工物Q1-Q3の大きさい、形状は同じであってもよく、異なっていてもよい。加工物Q1-Q3の形状、大きさが同一またはほぼ同じ場合には、前後して交互に搬送されるシートS2,3の搬送方向Fに沿って形成される複数の加工処理位置が、所定範囲内となることがおおい。
【0065】
まずは、第1方向Aに搬送されるシートS1が、第1方向Aに直交する第2方向Bに沿って、シートS1の第1方向Aにおける先端縁SfからシートS1の長手方向である第1方向Aで3分の1の位置C1で裁断される。
【0066】
シートS1は裁断され、シートS2、シートS3の2枚となる。シートS2、S3はクロスコンベア装置4によって、搬送方向が第2方向Bへと変更され、シートS2、シートS3の順に、1枚ずつ処理装置7へ搬送される。
【0067】
次に、第2方向Bに搬送されるシートS2を処理装置7の搬送部18の搬送方向Fである第2方向Bに平行な2本の裁断線D1、D2で搬送方向Fに沿って裁断される。そして、搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って、裁断線E1、E2で順次裁断される。その後シートS3が搬送方向Fに搬送される。シートS3は、搬送方向Fに平行な4本の裁断線D3-D6で搬送方向Fに沿って裁断される。そして、搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って、裁断線E3、E4で順次裁断される。
【0068】
シートS1が複数連続して加工処理される場合、処理装置7へは、シートS2とシートS3とが交互に継続して搬送されることとなる。すなわち、例えば、シートS3が先行して搬送された後、シートS2が後続して搬送される。更にシートS2より更に後方を、シートS3が搬送されることとなる。
【0069】
図5は、制御部45のフローを示す。制御部45は、
図4に示す加工処理のうち、処理装置7の搬送部18の搬送方向Fに沿ってシートS2,S3を交互に加工処理する際に、制御部45が移動部51を制御し、いずれの加工部材29を幅方向Wのどの位置に移動させ、シートSを加工するかを決定する。本第1の実施形態では、加工部材29としての左右一対のスリッター36が搬送方向Fに沿って3列並設されている。よって、制御部45は6個のスリッター36のうちいずれのスリッター36を幅方向Wのどの位置に設置するかを決定する。
【0070】
図5のステップ1で、シートS1における加工物Qの配列パターンを基に、搬送路5における加工部材29の配置に関するジョブを構築する。
図4に示すシートS1の加工処理では、先行して搬送されるシートS2は、2本の裁断線D1、D2が設定されている。後続のシートS3は、4本の裁断線D3―D6が設定されている。制御部45は、搬送部18によって先行して搬送されるシートS2と後続のシートS3とで、加工部材29としてのスリッター36を用いた幅方向Wにおける加工位置としてのスリッター36の裁断位置が異なる2種類のジョブA,Bを生成する。
【0071】
図6は、ジョブAにおける加工部材29としてのスリッター36の配置を説明する図である。ジョブAは、シートS2の搬送方向Fに沿った加工処理である。シートS2には、処理装置7の搬送方向Fに沿った2本の裁断線D1、D2が設定されている。
図6に示すように、シートS2を加工処理するためには、加工部材29として、第1ユニット20aの左右一対のスリッター361,362を用いることとなる。
【0072】
裁断線D1の基準線Gからの距離はL1である。基準線Gは、加工部材29の幅方向Wにおける位置を決定するための基準となる線である。基準線Gは自由に設定可能だが、例えば、クロスコンベア装置4のガイド壁402及び案内板68と同じ処理装置7内部の搬送路5における幅方向Wの位置とすることができる。これは処理装置7において、シートSが搬送部18によって搬送される際、シートSの左側端縁SLの位置となる。第1ユニット20aの
図6における左側のスリッター361は、シートS2を加工する際、移動部51によって、基準線Gからの長さがL1となる位置に移動される。スリッター361は、ジョブAにおいて、シートS2の側端縁SLからの長さがL1となる裁断線D1を形成する。
【0073】
裁断線D2の基準線Gからの距離はL2である。第1ユニット20aの
図6における右側のスリッター362は、移動部51によって、基準線Gからの長さがL2となる位置に移動される。スリッター362は、ジョブAにおいて、シートS2の左側端縁SLからの長さがL2となる位置で裁断線D2を形成する。
【0074】
ジョブAでは、第1ユニット20aのスリッター361,362を使用するため、スリッター36の側方に設置され、スリッター36とともに幅方向Wに移動するガイド55によって、裁断により生じた裁ち屑Jが搬送路5から除去される。ジョブAでは、第2ユニット20b、第3ユニット20cのスリッター363-366及び下流側の裁ち屑落とし機構27のガイド28は移動部51及びガイド移動部283によってそれぞれ搬送路5の外側の位置へ移動され、待機される。
【0075】
図7は、ジョブBにおける加工部材29としてのスリッター36の配置を説明する図である。ジョブBはシートS3の搬送方向Fに沿った加工処理である。シートS3には、搬送方向Fに沿って4本の裁断線D3-D4が設定されている。シートS3を加工処理するためには、第1ユニット20aの左右一対のスリッター361,362及び第2ユニット20bの左側のスリッター363、第3ユニット20cの左側のスリッター364を用いる。
【0076】
シートS2及びシートS3の左側端縁SLで生じる裁ち屑JL及び右側端縁SRの裁ち屑JRは、いずれも第1ユニット20aのスリッター36に設けられたガイド55によって搬送路5から除去される。このため、シートS2及びシートS3の双方とも、左右両側端縁SL、SR近傍に設定された裁断線D1,D2、D3、D6は、第1ユニット20aのスリッター361,362を用いて形成される。
【0077】
第1ユニット20aの
図6,7における左側のスリッター361は、ジョブA,Bで移動部51によって、裁断線D1、D3の形成位置である基準線GからL1、L3の位置にそれぞれ移動される。そして、第1ユニット20aの
図6,7における右側のスリッター362は、ジョブA,Bで移動部51によって、裁断線D2,D6の形成位置である基準線GからL2,L6の位置に移動される。
【0078】
これに対し、第2ユニット20bの
図7における左側スリッター363及び第3ユニット20cの左側のスリッター36は、シートS3の中ほどの裁断線D4,D5を形成する。第2ユニット20bの
図7における左側スリッター363は、移動部51によって、裁断線D4の形成位置である基準線GからL4の位置に移動される。第3ユニット20cの左側スリッター365は、移動部51によって、裁断線D5の形成位置である基準線GからL5の位置に移動される。
【0079】
裁ち屑落とし機構27の左側のガイド281は、ガイド移動部283よって基準線GからL3とL4との間となる位置に移動される。ガイド281は加工物Q2、Q3の間の裁ち屑Jbを搬送路5の下方へ案内し、搬送路5から除去する。
【0080】
ジョブBで使用されない第2ユニット20b及び第3ユニット20cのいずれも右側のスリッター364,366と、裁ち屑落とし機構27の右側のガイド282は、それぞれ移動部51及びガイド移動部283によって搬送路5の外側の位置へ移動される。
【0081】
図5のステップ2で、構築したジョブA,Bを、必要な加工部材29の数で降順にソートする。ジョブAで使用されるスリッター36の数は2である。そして、ジョブBで使用されるスリッター36の数は4である。この場合、ジョブAとジョブBとを降順でソートすると、1番目がジョブBであり、2番目がジョブAである。
【0082】
ステップ3で必要なスリッター36の数が最も多いと判断されたジョブBを基準ジョブとする。この基準となるジョブBをジョブ1とする。そして、他のジョブを降順にジョブ2、ジョブ3、ジョブ4等とする。このため、ジョブAはジョブ2となる。
【0083】
ステップ4で、ジョブ2の加工部材29の配置を、ジョブ1を基に入れ替え可能かどうかを判断する。加工部材29の配置を入れ替え可能かどうかは例えば、以下のように判断するころができる。
【0084】
加工部材29がスリッター36のとき、スリッター部20では、回転する駆動刃58と従動刃59とが圧接され、擦り合わされる圧接部29をシートSが通過する。最上流の第1ユニット20aでは、シートSの右側端及び左側端を裁断するための裁断線Dを形成することができる。
【0085】
図8(A)に示すように、スリッター36の裁断処理によってシートSを裁断し、加工物Qと裁ち屑Jとに分離する場合、幅方向Wにおいて、裁断線Dに対し、加工物Qと同じ側に下側の切断刃36bが位置し、裁ち屑Jと同じ側に上側の切断刃36aが位置することが好ましい。幅方向Wにおいて、加工物Qと同じ側に下側の切断刃36bが位置することで、裁断線Dが形成され分離された加工物Qを下側の切断刃36bが下方から支持することができる。よって、適正に下流側へ搬送することができる。一方、幅方向Wにおいて、裁ち屑Jと同じ側に上側の切断刃36aが位置することで、シートSから分離された裁ち屑Jを上側の切断刃36aによって下方へと導くことができる。
【0086】
スリッター部20に設置される6個のスリッター361~366のうち2つのスリッター36をどのような組み合わせで使用し、シートSを加工物Qと裁ち屑Jとに切り離すための裁断線Dを形成するかは、
図8の(A)―(D)の4通りが考えられる。
【0087】
同図(A)、(B)は、同図における左側のスリッター36Lの搬送路5の上側の切断刃36aが、裁断線Dに対し右側に位置する。同図(C)、(D)では、左側のスリッター36Lの搬送路5の上側の切断刃36aが、裁断線Dに対し左側に位置する。一方、同図(A)、(C)では、右側のスリッター36Rの搬送路5の上側の切断刃36aが、裁断線Dに対し左側に位置する。同図(B)、(D)では、右側のスリッター36Rの搬送路5の上側の切断刃36aが、裁断線Dに対し右側に位置する。
【0088】
左側のスリッター36Lと右側のスリッター36Rの上側の切断刃36aとでシートSを裁断することによって双方のスリッター36L,36Rの間に不要な裁ち屑Jが発生するとき、この裁ち屑Jに対して、上側の切断刃36aを下側の切断刃36bより外側に位置させないことが好ましい。そして、加工物Qと裁ち屑Jとを分離する裁断線Dに対し、上側の切断刃36aの少なくとも一方が、裁ち屑Jの発生する側に位置され、下側の切断刃36bが、加工物Qが発生する側に位置されることが好ましい。
【0089】
具体的には、
図8(D)に示されるように、発生する裁ち屑Jを挟む上側の切断刃36aが各々の裁断線Dに対して、左右とも加工物Qの発生する側に位置する組み合わせは、設定しないようにする。このように、スリッター36の配置を切り替えることで、発生する裁ち屑Jを挟む上側の切断刃36aが各々の裁断線Dに対して、左右とも加工物Qの発生する側に位置する組み合わせとなる場合には、制御部45は、スリッター36の配置を入れ替え可能でないと判断する。
【0090】
これに対し、制御部45は、設定される組み合わせとして、同図の(A)、(B)、及び(C)に示す場合には、スリッター36の配置を切り替え可能と判断する。同図の(A)では、上側の切断刃36aが発生する裁ち屑Jに対して下側の切断刃36bより内側に位置することとなる組み合わせである。同図の(B)及び(C)は、一方の上側の切断刃36aが発生する裁ち屑Jに対して下側の切断刃36bより内側に位置し、且つ、他方の上側の切断刃36aが発生する裁ち屑Jに対して下側の切断刃36bより外側に位置する組み合わせである。
【0091】
同図の(B)に示す上側の切断刃36aが上下切断刃36a、36bの圧接部343より右側に設置されるのは、最上流の第1ユニット20aの右側のスリッター361と、中央の第2ユニット20bの左側のスリッター364と、最下流の第3ユニット20cの右側のスリッター365である。これらのスリッター36は相互に切り替え可能である。
【0092】
同図(C)に示す上側の切断刃36aが上下切断刃36a、36bの圧接部343より左側に設置されるのは、最上流の第1ユニット20aの左側のスリッター362と、中央の第2ユニット20bの右側のスリッター363と、最下流の第3ユニット20cの左側のスリッター366である。これらのスリッター36も相互に切り替え可能である。
【0093】
最上流の第1ユニット20aでシートSの最も外側の裁断線Dを形成し、中央の第2ユニット20bで第1ユニット20aより一つ内側の裁断線Dを形成し、最下流の第3ユニット20cでシートSの最も中央寄りの裁断線Dを形成することで、
図9に示すように、全ての上側の切断刃36aが裁断線Dを形成する圧接部343に対し裁ち屑Ja,Jbの発生する側に位置し、全ての下側の切断刃36bが圧接部343に対し加工物Qの発生する側に位置する。よって、裁ち屑Jを適正に落下させつつ、部分的に加工処理の施されたシートSを適正に下流側へ搬送することができる。
【0094】
裁ち屑落とし機構27では、ガイド28によって、スリッター部20のうち中央の第2ユニット20b及び最下流の第3ユニット20cによってシートSから切り取られた裁ち屑Jbが、下方の裁ち屑回収部23へと下向きに移動させられ、収容箱54に収容される。
【0095】
加工部材29が搬送方向Fに沿ったクリースを形成する回転式の凹刃(図示省略)及び凸刃(図示省略)を備えたクリース刃(図示省略)であるとき、このようなすべてのクリース刃を同じ対応の他のクリース刃と入れ替え可能と判断する。クリース刃は、スリッター36のように、シートSの加工線に対し凹刃及び凸刃の形状が左右で異なるといったことがないからである。尚、クリース刃は、例えば、搬送路5の上方に凸刃を備え、搬送路5の下方を備えることができる。また、これに替えて、搬送路5の上方に凹刃が設置され、搬送路5の下方に凸が設置されてもよい。
【0096】
加工部材29がミシン目を形成する回転式のミシン目刃(図示省略)及びミシン目刃の受刃(図示省略)を備えた上下一対のミシン目刃(図示省略)であるときにも、
図5のステップ4の加工部材29の配置を入れ替え可能とする。回転式のミシン目刃及び受刃は、クリース刃と同様に、シートSの加工線に対し左右対称だからである。
加工部材29がシートSの厚さ方向の一部を裁断するハーフカット刃(図示省略)であるとき、全ての加工部材29の配置を入れ替え可能知判断することができる。
【0097】
図5のステップ4で加工部材29の入れ替えが可能であると判断されると、ステップ5に進み、ジョブ1を基準ジョブとし、他のジョブ2,3、4の加工部材29の配置を入れ替えるよう制御する。
【0098】
スリッター36を入れ替えると、
図8(D)のようになる場合など、ステップ4でスリッター36の入れ替えができないと判断されると、ステップ6に進み、スリッター36の入れ替えを行わないよう制御する。
【0099】
また、例えば、加工部材29の配置を入れ変えないよう使用者が入力し、設定指示している場合にも、ステップ4を満たさず、ステップ6に進む。
【0100】
このように、制御部45は、シートS2と、シートS3との加工位置が異なり、後続のシートS2またはシートS3の加工位置が、先行して搬送されるシートS2、S3のいずれかと同じ場合に、シートS2またはシートS3のいずれかを加工処理した加工部材29をシートS2またはシートS3の加工位置から他方の加工位置へ移動させ、加工処理する移動制御を実行可能である。
【0101】
この場合、使用者が加工部材29を待機位置で待機させる待機制御を実行するかどうかを使用者が選択することができ利便性が向上する。
【0102】
図10,11は、
図5のステップ5の加工部材29としてのスリッター36の配置を入れ替える場合の詳細なフローを示す。基準となるジョブ1のスリッター36の配置は、
図7に示すシートS3の搬送方向Fに沿った加工処理である。この
図7に示すジョブ1のスリッター361,362,363,365の配置に対し、
図6に示すジョブ2のスリッター361,362をどの加工位置に位置させ、他のスリッターへ入れ替えるかを順に決定していく。そして、ジョブ2で使用する第1ユニット20aの左右一対のスリッター361,362を、他のいずれかのユニット20b、20cのスリッター363,364,365,366へ切り替えるかどうかを判断し、切り替える場合に切り替えたスリッター36を幅方向Wのどの位置に位置させるかを決定する。
【0103】
図10のステップ11では、ジョブ1,ジョブ2で、幅方向Wにおける位置を決定した複数のスリッター361,362,363,365について、基準線Gからの長さが短い順に番号を付与する。
【0104】
ステップ12で、ジョブ番号Nを2に設定する。ステップ13で、i=0とする。iは、基準線Gからの長さが最も短い位置に位置するスリッター36から順にスリッター36を切り替えるかどうかを検討するために設定される。
【0105】
ステップ14でジョブ2の基準線Gからの長さがL1の最初のスリッター361の識別番号が、ジョブ1の基準線Gからの長さが最も短い最初のスリッター361の識別番号と同じかどうかを判断する。スリッター部20に設置される全てのスリッター36に、例えば
図12に示すような識別番号が予め付与されている。
図12では、識別番号が、第1ユニット20aの左側のスリッター36を1、右側のスリッター36を2,第2ユニット20bの左側のスリッター36を3、右側のスリッター36を4、第3ユニット20cの左側のスリッター36を5、右側のスリッター36を6とした場合を示す。
【0106】
ジョブ2の最初のスリッター36の識別番号は1であり、ジョブ1の最初のスリッター36の識別番号1と同じである。この場合、ジョブ1とジョブ2との双方のジョブで同じ識別番号1のスリッター36を用いるので、入れ替えの必要がない。このとき、ステップ14を満たしステップ17に進む。
【0107】
ここで、基準線Gから長さL1とL3とが同じとき、シートS2とシートS3の左側端縁SLの裁ち屑Jaの幅が同じ長さとなる。この場合には、第1ユニット20aの左側のスリッター361の位置をシートS2とシートS3との間で移動させることなく、同じ位置のままで加工処理を継続する。
【0108】
一方、基準線Gからの長さL1とL3とが異なるとき、シートS2とシートS3の左側端縁SLの裁ち屑Jaの幅方向Wの長さが異なることとなる。この場合には、第1ユニット20aの左側のスリッター361の幅方向Wにおける位置を、先行するシートS2の加工処理の後、後続のシートS3の加工処理の前に移動部51によって、L1の位置からL3の位置へ移動させる。このときスリッター361は、L1とL3と差の分だけ移動させる。
【0109】
また、同じ配列パターンを有する複数のシートS1が連続して加工処理される場合、処理装置7では、シートS3が搬送された後、シートS2が搬送される。この場合、先行するシートS3の加工処理の後、後続のシートS2の加工処理の前に、スリッター36の位置をL3の位置からL1の位置へ移動する。
【0110】
このように、制御部45は、搬送部18によって先行して搬送されるシートS2と後続のシートS3、または先行するシートS3と後続のシートS2の加工部材29としてのスリッター36による幅方向Wにおける加工位置L1,L3が異なる場合に、シートS2の加工位置からの移動距離が最小となる加工部材29としてのスリッター361を用いて、シートS3の裁断線D3を加工処理する。
【0111】
これより、シートS2とシートS3との間で、スリッター361が幅方向Wに移動するために要する時間を短くすることができる。シートS1の加工処理を開始した後、スタッカ装置8へ排出するまでに要する時間を短縮できる。
【0112】
ステップ17でiをインクリメントする。これより、次のスリッター36として、基準側から2番目のスリッター36をジョブ2のスリッター362から他のスリッター36に切り替えるかどうか検討する。
【0113】
ステップ18に進み、iの数値が、ジョブ2で使用されるスリッター36の数より小さいかどうか判断する。ステップ18では、ジョブ2で使用される全てのスリッター36が、どのスリッター36を用いるかを決定済みかどうかを確認する。ジョブ2では2個のスリッター36を用いるところ、i=1であり、ジョブ2のスリッター36の数2より小さくステップ18を満たす。すなわち、現時点でまだ、基準線Gからの長さが最も短い最初のスリッター361についてのみいずれのスリッター36を用いるかを決定した状態である。この場合、ステップ18を満し、ステップ14に戻る。
【0114】
ステップ14において、
図6に示すジョブ2の基準線Gからの長さがL2の2番目のスリッター36の識別番号が、
図6に示すジョブ1の2番目の識別番号と同じかどうかを判断する。ジョブ1において、2番目のスリッター36の識別番号は3であり、ジョブ2の識別番号は、2である。この場合、両者は異なり、ステップ14を満たさず、ステップ15に進む。
【0115】
ステップ15でジョブ2の2番目の識別番号2のスリッター36を、ジョブ1の識別番号3のスリッター36と入れ替え可能かどうか判断する。入れ替えできない場合、ステップ15を満たさず、ステップ26に進む。ステップ26で、スリッター36の位置をジョブ2の設定のまま変更なしとする。
【0116】
識別番号2と識別番号3とが入れ替え可能である場合、ステップ15を満たし、ステップ16に進む。識別番号2のスリッター362と識別番号3のスリッター363は、
図9に示すように、裁断線Dに対し、左側に下側の切断刃36bが位置し、右側に上側の切断刃36aが位置する。この場合、識別番号2と識別番号3のスリッター362,363を入れ替えても適正に加工物Qを下流側へ搬送することができるとともに、裁ち屑Jを搬送路5から除去し、落下させることができる。
【0117】
このように、識別番号2と識別番号3とが入れ替え可能と判断される場合、ステップ16において、ジョブ2の基準線Gの側から数えて2番目のスリッター36を識別番号2から識別番号3に変更するよう設定する。
【0118】
このように、スリッター362と、スリッター363とを入れ替えることで、シートS2の裁断線D2の加工処理に、スリッター363を使用することができる。
図13は、前後して交互に搬送されるシートS2とシートS3の裁断線D1-D6をいずれのスリッター361-364を用いて裁断するかを示す図である。
【0119】
制御部45は、ジョブAとジョブBのように、搬送部18によって前後して搬送されるシートS2、S3のスリッター361、362,363,365による幅方向Wにおける裁断位置が裁断線D1,D2と裁断線D3-D6のように異なっている場合に、シートS3の裁断線D4を形成するスリッター363を用いて、この裁断位置からの移動距離が最小となるシートS2の裁断線D2を形成することができる。
【0120】
これより、ジョブA、Bを交互に実施する場合には、シートS2の裁断後、スリッター362を移動部51によって基準線Gからの長さがL2の裁断線D2の形成位置からL4の裁断線D6の形成位置まで幅方向Wに移動することなく、加工処理することができる。シートS2の裁断線D2の形成には、第2ユニット20bの左側のスリッター263を用いることとすることができる。
【0121】
そして、このシートS2の第2裁断線D2を形成した第2ユニット20bの左側のスリッター363を用いて、後続のシートS3の第4裁断線D4を形成する。裁断線D4の形成後、この第2ユニット20bの左側のスリッター263を、再度シートS2の裁断線D2の形成に用いることとすることができる。よって、スリッター362を移動部51によって基準線Gからの長さがL4の裁断線D6の形成位置から、シートS2の基準線Gからの長さがL2の裁断線D2の形成位置まで、幅方向Wに移動することなく、シートS2を加工処理することができる。この結果、スリッター36の移動に要する時間を短縮可能である。シートS1の処理を速く処理することができる。
【0122】
特に、
図4に示すシートS1を、加工装置100によって、複数枚連続して加工処理する場合には、上流の裁断装置3において、裁断線C1でシートS1が裁断され、その後処理装置7においてジョブAとジョブBとが交互に繰り返し実施されることとなる。このとき、前後して搬送されるシートS2,S3の間で毎回スリッター362を移動しなければならず、処理速度が非常に遅くなるといった事態を回避可能である。
【0123】
ここで、L2とL4とが同じ長さのとき、基準線GからシートS2の裁断線D2とシートS3の裁断線D4までの長さが同じことになる。この場合には、第2ユニット20bの左側のスリッター363は、幅方向Wに移動させることなく、同じ位置を維持したままでシートS2及びシートS3双方の加工処理を連続して行う。
【0124】
一方、L2とL4との長さが異なるとき、第2ユニット20bの左側のスリッター363の幅方向Wにおける位置を、シートS2の加工処理のときと、シートS3の加工処理のときとで、L2とL4と差分だけ幅方向Wに移動させる。
【0125】
ステップ17に進み、iをインクリメントする。ステップ18で、iの数値がジョブ2で使用されるスリッター36の数より小さいかどうか判断する。この時点でのiの数値は2であり、ジョブ2で使用されるスリッターの数は2である。よって、ステップ18を満たさず、
図11のステップ19に進む。
【0126】
ステップ19でiの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数以上かどうか判断する。この時点でiの数値は2で、ジョブ1で使用されるスリッター36の数は4である。よって、ステップ19を満たさずステップ20へ進む。
【0127】
ステップ20で、ジョブ1の基準線Gから3番目の長さL5のスリッター365をジョブ1においても先行して搬送されシートS3を裁断した位置から、所定範囲内となる待機位置で待機させつつ後続のシートS2を裁断するよう設定する。
【0128】
更に、処理装置7で先行して搬送されるシートS3の基準線Gから3番目の裁断線D5の加工位置が、後続のシートS2の搬送路5における
図13における右側端縁SRの位置から所定値以内であるかどうか判断する。シートS3の基準線Gから3番目の裁断線D5の形成位置と、シートS2の右側端縁SRの幅方向Wの搬送位置との差が所定値以内である場合には、後続のシートS2の側端縁Swから所定値以内に位置するスリッター365を、先行して搬送されるシートS3の裁断線D5形成位置から所定範囲内で待機する待機位置から後続のシートS2から離れる
図13において右方向へ所定量α移動させた回避位置に移動し、後続のシートS2を加工処理する回避制御を実行するよう設定する。
【0129】
これより、加工部材29としてのスリッター365が、シートS2を処理する際に、搬送されるシートS2の右側端縁SRから所定値以内に位置したままとなるのを防止する。シートS2の右側端縁SRの位置にスリッター365が位置すると、幅方向Wの長さが所定値以下となる非常に短い裁ち屑Jが発生することがある。このような裁ち屑Jは、自重やガイド55,28によって搬送路5から除去させることが難しい。スリッター365をシートS2の加工処理の際、シートS2から離れる方向へ移動することで、幅の狭い裁ち屑Jが駆動刃58及び従動刃59の近傍や搬送路5に留まって裁断時の不具合や紙詰まりを生じさせるのを回避できる。
【0130】
スリッター365が回避位置に位置した状態で、シートS2が加工処理された後、後続のシートS3がスリッター365設置位置へ搬送される前に、スリッター365は元の待機位置へ移動される。
【0131】
ステップ21でiをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は3であり、ジョブ1で使用されるスリッターの数は4であるので、ステップ22を満たしステップ23に進む。
【0132】
ステップ23で、基準線からの長さが4番目となるスリッター36であるシートS3の裁断線D6を形成するスリッター362について、シートS2を加工処理する際に、シートS3の裁断線D6形成位置で待機させるよう設定する。これより、第1ユニット20aの右側のスリッター362は、シートS2の加工処理の際に、加工処理を行わない状態のまま待機位置で待機される。
【0133】
すなわち、加工装置100によって、
図4に示す配列パターンのシートSが複数連続して加工処理される場合、まず、上流の裁断装置3において、シートSは、1枚ずつ裁断線Cで裁断され、シートS2とシートS3とにそれぞれ分割される。その後、下流の処理装置7へは、第1方向Aの長さの異なる2種類のシートS2及びシートS3が交互に搬送されることとなる。
【0134】
先行してシートS3が搬送され、後続のシートS2が搬送され、更に後方をシートS3が搬送される場合に、制御部45は、シートS3の幅方向Wにおける加工位置が、先行して搬送されるシートS3の加工位置から所定範囲内となる加工部材29としてのスリッター362を、先行して搬送されるシートS3を加工処理した位置から所定範囲内に待機させつつ後続のシートS2を加工処理する待機制御を実行する。
【0135】
これより、スリッター362の幅方向Wにおける位置を、基準線GからL2の位置と、図基準線GからL6の位置との間でシートS2,S3が交互に搬送される毎に移動させ、入れ替えることなく、基準線Gからの長さがL6の位置でとどめることができる。スリッター362を幅方向Wに移動させるのに必要となる時間を短縮可能である。処理速度が速くなる。
【0136】
そこで、制御部45は、ジョブAとジョブBのように、異なる種類のジョブが繰り返し実行される場合には、シートS3の加工位置からの移動距離が最小となる加工部材29としてのスリッター36を用いて、シートS3を加工処理する加工部材29としてのスリッター36の位置を所定範囲内の移動にとどめるよう制御する。これより、処理時間を短縮可能である。
【0137】
ステップ23からステップ21に戻る。ステップ21でiをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は4であり、ジョブ1で使用されるスリッターの数は4であるので、ステップ22を満たさない。この場合、ステップ24に進む。
【0138】
ステップ24でNをインクリメントする。ステップ25に進み、Nの数値が有効なジョブの数より小さいかどうかを判断する。ジョブの種類が3種類以上ある場合、ステップ25を満たし、
図10に示すステップ13に戻る。ステップ13からステップ25をもう一度実施して、別のジョブについて、ジョブ1で使用する全ての加工部材29を、別のジョブの際に他の加工部材29に切り替えるか、または加工位置から所定範囲内で待機させるかどうかを判断する。そして、必要により、別のジョブにおいて、加工部材29を他の加工部材29に切り替え、また、ジョブ1の加工位置から所定範囲内で待機させるよう設定する。
【0139】
図4に示すシートS1の加工処理では、ステップ25の時点で、Nの数値は3であり、有効なジョブの数値は2である。よって、ステップ25を満たさず、終了となる。
【0140】
〔作用〕
加工装置100の動作について以下に説明する。
使用者は操作パネル46より、各種加工処理情報を入力する。なお、この手動入力に替えて、パソコンで別途ジョブを生成し、当該ジョブを読み込んでもよい。また、パソコンで予め生成され、メモリに記憶されたジョブを呼出してもよい。さらに、読取部26によってシートSに印刷された情報を読取ることで、加工処理情報を自動的に入力させることもできる。
【0141】
使用者は、
図1の給紙トレイ21上にシートSを積載する。シートSは、エア給紙ユニットにより送り出される。裁断装置3の先端センサ31にシートSの先端が到達すると、搬送ローラ対39によりシートS1が搬送される。
【0142】
裁断装置3において、先端センサ31によって、第1方向Aに対するシートS自体の搬送時の傾斜角度が検出される。続いて、レーザーセンサ32によって、第1方向Aに対するシートSに形成された印刷画像の傾斜角度が検出される。尚、レーザーセンサ32によって印刷画像の傾斜角度に加え、シートS自体の傾斜角度を検出してもよい。
【0143】
裁断装置3は、検出された印刷画像の傾斜角度を元に、クロスカット部の移動刃ユニット34の角度を、搬送されるシートS1自体の傾斜角度とは無関係に、印刷画像に対して適切な裁断が実施できるよう調整する。シートS1の第2方向Bに沿った裁断位置C1が裁断刃設置位置に至ると、シートS1の搬送を停止し、シートS1を裁断する。裁断後のシートS1は、シートS2及びシートS3に分割される。シートS2,S3は、それぞれ搬送ローラ対39によりクロスコンベア装置4に排出される。
【0144】
クロスコンベア装置4に至ったシートS2,S3は、ガイド壁402に沿って第2方向Bに搬送される。そして、処理装置7に至る。
【0145】
シートS2は、処理装置7のスリッター部20において、スリッター361、363によって、処理装置7の搬送部18の搬送方向Fに沿った裁断線D1、D2が形成される。そして、シートS2の裁断線E1,E2形成位置がカッター部22の裁断刃69設置位置に至ると、搬送部18による搬送が停止される。上側稼働刃71が下側固定は73に近接し、幅方向Wに沿った裁断線E1,E2が形成される。
【0146】
シートS3は、処理装置7のスリッター部20において、スリッター361、363、365,362によって、それぞれ処理装置7の搬送部18の搬送方向Fに沿った裁断線D3、D4,D5,D6が形成される。そして、シートS3の裁断線E1,E2形成位置がカッター部22の裁断刃69設置位置に至ると、搬送部18による搬送が停止される。上側稼働刃71が下側固定は73に近接し、幅方向Wに沿った裁断線E1,E2が形成される。シートS2,S3を加工処理することで得られた加工物Qは、スタッカ装置8へ排出される。
【0147】
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係るシートS4の加工物配列パターンを示す平面図である。尚、本第2の実施形態にかかる加工装置100は、上記第1の実施形態に係る加工装置100と機械的構成が同じである。また、本第2の実施形態に係る加工装置100の制御部45は、上記第1の実施形態に係る制御部45と同じ制御フローに従って制御される。
【0148】
図14のシートS4は、一枚のシートS4から折り目のない5枚の加工物Q4-Q8を製作するようになっている。5枚の加工物Q4-Q8のそれぞれの大きさ、形状はほぼ同じであるが、異なっていてもよい。
【0149】
裁断装置3において、まずは、第1方向Aに搬送されるシートS4が、第1方向Aに直交する第2方向Bに沿って、シートS4の第1方向Aにおける先端部SfからシートS4の長手方向である第1方向Aで5分の2の位置C2で裁断される。
【0150】
シートS4はシートS5、シートS6の2枚に分割される。シートS5、S6はクロスコンベア装置4によって、シートSを搬送する方向が第2方向Bへと変更され、シートS5、シートS6の順に、1枚ずつ処理装置7へ搬送される。
【0151】
次に、第2方向Bに搬送されるシートS5を処理装置7における搬送部18の搬送方向Fに平行な4本の裁断線D7-D10で、搬送方向Fに沿って裁断する。そして、搬送方向Fに直交する幅方向Wに沿って、裁断線E3、E4で順次裁断される。その後シートS6が搬送方向Fに搬送される。シートS6は、搬送方向Fに平行な6本の裁断線D11-D16で搬送方向Fに沿って裁断される。そして、搬送方向Fに交差する幅方向Wに沿って、裁断線E3、E4で順次裁断される。
【0152】
第2の実施形態に係るシートS4を加工処理する際には、第1の実施形態と同様に、
図5,10、11に示す制御フローに従って、いずれの加工部材29を幅方向Wのどの位置に移動させ、シートS4を加工するかを決定する。
【0153】
図5のステップ1で、シートS5,シートS6における加工物Q4-Q8の配列パターンを基に、搬送路5における加工部材29の配置に関するジョブを構築する。
図14に示す加工処理では、処理装置7へ先行して搬送されるシートS5は、4本の裁断線D7-D10が設定されている。後続のシートS6は、6本の裁断線D11―D16が設定されている。制御部45は、搬送部18によって先行して搬送されるシートS5と後続のシートS6とで、加工部材29としてのスリッター36を用いた幅方向Wにおける加工位置としてのスリッター36の裁断位置が異なる2種類のジョブC,Dを生成する。
【0154】
図15は、ジョブCにおける加工部材29としてのスリッター36の配置を説明する図である。ジョブCでは、
図7に示す第1の実施形態のジョブAの加工処理と同様に、処理装置7の搬送方向Fに沿った4本の裁断線D7-D10が設定されている。シートS5を加工処理するためには、加工部材29として、第1ユニット20aの左右一対のスリッター361,362及び第2ユニット20bの左側のスリッター363、第3ユニットの左側のスリッター365を用いることとなる。
【0155】
図16は、ジョブDにおける加工部材29としてのスリッター36の配置を説明する図である。ジョブDでは、搬送方向Fに沿って6本の裁断線D11-D16が設定されている。シートS6を加工処理するためには、スリッター部20に設置された第1-3ユニット20a,-20cの全てのスリッター361-366が用いられる。
【0156】
シートS6の左右両側端縁近傍の裁断線D11、D16は、第1ユニット20aのガイド55を有するスリッター361,362を用いて形成される。シートS6の裁断線D11、D16よりシートS6の中央よりの裁断線D12、D15は、第2ユニット20bのスリッター363,364を用いて形成される。シートS6の最も中央に近い裁断線D13、D14は第3ユニット20cのスリッター365,366によって形成される。
【0157】
裁ち屑落とし機構27の左右一対のガイド28は、スリッター363とスリッター365の間、及びスリッター366とスリッター364の間となる位置に移動される。
【0158】
図5のステップ2で、構築したジョブC,Dを、必要な加工部材29の数で降順にソートする。ジョブCで使用されるスリッター36の数は4である。そして、ジョブDで使用されるスリッターの数は6である。この場合、ジョブCとジョブDとを降順でソートすると、1番目がジョブDであり、2番目がジョブCである。
【0159】
ステップ3で必要なスリッター36の数が最も多いと判断されたジョブDを基準ジョブとする。この基準となるジョブDをジョブ1とする。そして、もう一つのジョブCをジョブ2とする。
【0160】
ステップ4で、ジョブ2とされたジョブCの加工部材29の配置を、他の加工剤29と入れ替え可能かどうかを判断する。ステップ4で加工部材29の入れ替えが可能であると判断されると、ステップ5に進み、ジョブ1を基準ジョブとし、他のジョブ2の加工部材29の配置を入れ替えるよう制御する。ステップ4で加工部材29の入れ替えができない場合、ステップ6に進み、入れ替えすることなく終了する。
【0161】
本第2の実施形態において、
図10、11に示す制御フローを実行するとき、
図10のステップ11で、ジョブ1,ジョブ2で、幅方向Wにおける位置を決定した複数のスリッター361-366について、基準線Gからの長さが短い順に番号を付与する。
【0162】
ステップ12で、ジョブ番号Nを2に設定する。基準となるジョブ1とされたジョブDのスリッター36の配置は、
図15に示すシートS6の搬送方向Fに沿った加工処理である。この
図15に示すジョブ1のスリッター36の配置に対し、ジョブ2とされた
図16に示すジョブCのスリッター36をどの加工位置に位置させるかを順に決定していく。ステップ13で、i=0とする。
【0163】
ステップ14でジョブ2の最初のスリッター361の識別番号が、ジョブ1の最初のスリッター361の識別番号と同じかどうかを判断する。
【0164】
ジョブ2の最初のスリッター361の識別番号は1であり、ジョブ1の最初のスリッター361の識別番号1と同じである。この場合、ジョブ1とジョブ2との双方のジョブで同じ識別番号1のスリッター361を用いるので、入れ替えの必要がない。このとき、ステップ14を満たしステップ17に進む。
【0165】
ステップ17でiをインクリメントする。ステップ18に進み、iの数値が、ジョブ2で使用されるスリッター36の数より小さいかどうか判断する。ジョブ1では6個のスリッター36を用いるところ、i=1であり、ジョブ1のスリッター数6より小さい。この場合ステップ18を満たし、ステップ14に戻る。
【0166】
ステップ14において、
図15に示すジョブ2の2番目のスリッター36の識別番号が、
図16に示すジョブ1の2番目の識別番号と同じかどうかを判断する。ジョブ1において、2番目のスリッター36の識別番号は3であり、ジョブ2の識別番号も3である。よって、両者は同じとなる。この場合、最初のスリッター361と同様に、ステップ14を満たしステップ17へ進む。ステップ17でiをインクリメントする。ステップ18に進み、iがジョブ2のスリッター36数4より小さいかどうか判断する。
【0167】
ステップ18で、この時点でiは2である。ジョブ2のスリッター36の数4より小さい。よって、ステップ18を満たし、ステップ14に戻る。
【0168】
ステップ14において、ジョブ2の3番目の加工部材29の識別番号がジョブ1の3番目のスリッター36の識別番号と同じかどうか判断する。3番目のスリッター36はジョブ1、ジョブ2のいずれも5であるので、ステップ14を満たす。ステップ17でiをインクリメントする。ステップ18で、iがジョブ2のスリッター36数4より小さいかどうか判断する。この時点で、iの値は3である。ジョブ2の全てのスリッター36の数は4である。この場合、ステップ18を満たし、ステップ14に戻る。
【0169】
ステップ14で、ジョブ2の4番目の識別番号は2であり、ジョブ1の4番目のスリッター36の識別番号は6である。この場合、両者は異なり、ステップ14を満たさず、ステップ15に進む。ステップ15でジョブ2の4番目の識別番号2のスリッター362を、ジョブ1の識別番号6のスリッター36と入れ替え可能かどうか判断する。
【0170】
図9より、識別番号2のスリッター362と識別番号6スリッター366とは、いずれも上下切断刃36a、36bの圧接部343に対し、左側に下側の切断刃36bが位置し、右側に上側の切断刃36aが位置する。この場合、スリッター362とスリッター366を入れ替え可能とすることができる。ステップ15を満たすので、ステップ16に進む。
【0171】
ステップ16において、ジョブ2の基準線Gの側から数えて4番目のスリッター36を識別番号2から識別番号6に変更するよう設定する。スリッター362と、スリッター366とを入れ替えることで、シートS5の裁断線D10の加工処理に、スリッター366を使用する。シートS5とシートS6とが交互に搬送されるとき、シートS5の右側端縁SRに近い裁断線10を、スリッター366を用いて裁断することする。スリッター366により生じた裁ち屑Jaは裁ち屑落とし機構27の左右いずれかのガイド28によって搬送路5から除去する。
【0172】
シートS5の裁断線D10を形成するために、スリッター362を幅方向Wに移動するのに替えて、シートS6での裁断線D14を形成するスリッター366を使用することで、裁断位置の異なるシートS4とシートS5の加工処理29を行う場合に、スリッター36の幅方向Wの移動距離が、最小となる前記加工部材29である第3ユニット20cの右側のスリッター366を用いて、シートS5を加工処理することができる。第1ユニット20aの右側のスリッター362を用いる場合に比較して、シートS4の加工時間を短縮できる。
【0173】
図10のステップ17に進み、iをインクリメントする。ステップ18で、iの数値がジョブ2で使用されるスリッター36の数より小さいかどうか判断する。この時点でのiの数値は4であり、ジョブ2で使用されるスリッターの数は4である。よって、ステップ18を満たさず、
図11のステップ19に進む。
【0174】
ステップ19でiの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数以上かどうか判断する。この時点でiの数値は4で、ジョブ1で使用されるスリッター36の数は6である。よって、ステップ19を満たさずステップ20へ進む。
【0175】
ステップ20で、ジョブ1での基準線Gからの長さL15が5番目のスリッター364をジョブ1の際に、待機位置に位置させるよう設定する。そして、搬送路5を搬送されるシートS5の右側端縁SRの位置が、ジョブ1の基準線Gから5番目のスリッター364の加工位置から所定値以内かどうか判断する。所定値以内のときには、シートS5の幅方向Wの長さSwがジョブ1の基準線Gから5番目のスリッター364の加工位置までの長さD15について、所定値以内となる。搬送路5におけるシートS5の右側端縁SRの搬送位置が、基準線Gからジョブ1の5番目のスリッター364の裁断線D15までの長さL15と比較し、両者の差が所定値以内の場合には、ジョブ2の処理において、先行して搬送される前記シートの前記加工位置から所定範囲内で待機する待機位置から後続の前記シートから離れる方向へ所定量移動させた回避位置に移動し、後続の前記シートを加工処理する回避制御を実行する5番目のスリッター364を、シートS5の幅方向Wの長さSwより所定量長い図における右側の位置に移動させるよう設定する。
【0176】
ステップ23からステップ21へ戻り、iをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は5であり、ジョブ1で使用されるスリッターの数は6であるので、ステップ22を満たしステップ23に進む。
【0177】
ステップ23で、基準線からの長さが6番目となるスリッター36であるシートS6の裁断線D16を形成するスリッター362について、シートS5を加工処理する際に、シートS6の裁断線D16を形成位置するための幅方向Wの位置で待機させるよう設定する。これより、第1ユニット20aの左側のスリッター362は、シートS5の加工処理の際に、加工処理を行わない状態のまま待機位置で待機される。これよりスリッター362を移動させ、加工処理する場合に比較して処理時間を短縮可能である。
【0178】
ステップ23からステップ21に戻る。ステップ21でiをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は7であり、ジョブ1で使用されるスリッターの数は6であるので、ステップ22を満たさない。この場合、ステップ24に進む。
【0179】
ステップ24でNをインクリメントする。ステップ25に進み、Nの数値が有効なジョブの数より小さいかどうかを判断する。
図16に示すシートS4はジョブC,ジョブDの2種類のジョブが実行されるので、有効なジョブの数が2である。一方、Nの数値は3であるので、ステップ25を満たさず、終了となる。
【0180】
(第3の実施形態)
図18は、第3の実施形態に係るシートS7の加工物配列パターンを示す平面図である。尚、本第3の実施形態にかかる加工装置100は、上記第1の実施形態に係る加工装置100と機械的構成が同じである。また、本第3の実施形態に係る加工装置100の制御部45は、上記第1の実施形態に係る制御部45と同じ制御フローに従って制御される。
【0181】
図18では、一枚のシートS7から折り目のない4枚の加工物Q9-Q12を製作するようになっている。4枚の加工物Q9-Q12のそれぞれの大きさ、縦横の割合は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0182】
裁断装置3において、まずは、第1方向Aに搬送されるシートS7が、第1方向Aに直交する第2方向Bに沿って、シートS7の第1方向Aにおける先端部SfからシートS7の長手方向である第1方向Aで4分の3の位置C3で裁断される。
【0183】
シートS7はシートS8、シートS9の2枚に分割される。シートS8、S9はクロスコンベア装置4によって、搬送方向Fが第2方向Bへと変更され、シートS8、シートS9の順に、1枚ずつ処理装置7へ搬送される。次に、第2方向Bに搬送されるシートS8を第2方向Bに平行な6本の裁断線D17-D22で第2方向Bに沿って裁断される。そして、第2方向Bに直交する第1方向Aに沿って、裁断線E5、E6で順次裁断され、加工物Q9-Q11が得られる。その後、クロスコンベア装置4から後続のシートS9が処理装置7に向けて第2方向Bに搬送される。シートS9は、第2方向Bに平行な2本の裁断線D23、D24で第2方向Bに沿って裁断される。そして、第2方向Bに直交する第1方向Aに沿って、裁断線E5、E6で順次裁断される。
【0184】
第3の実施形態に係るシートS7を加工処理する際にも、第1の実施形態と同様に、
図5に示す制御フローに従って、いずれの加工部材29を幅方向Wのどの位置に移動させ、シートSを加工するかを決定する。
【0185】
このとき、
図5のステップ1で、シートS7における加工物Q9-Q12の配列パターンを基に、搬送路5における加工部材29の配置に関するジョブを構築する。
図18に示す加工処理では、先行して搬送されるシートS8は、6本の裁断線D17-D22が設定されており、後続のシートS9は、2本の裁断線D23、D24が設定されているので、シートS8と後続のシートS9とは、スリッター36の裁断位置が異なる2種類のジョブE,Fを生成する。
【0186】
ジョブEは搬送方向に沿った6本の裁断線D17-D22が設定されている。
図19は、ジョブEを説明する図である。ジョブEはシートS7の搬送方向Fに6本の裁断線D17-D22が設定されており、第2の実施形態のシートS6のスリッター36の配置と同様である。
【0187】
図20は、ジョブFにおけるスリッター36の配置を説明する図である。ジョブFはシートS8の搬送方向Fに2本の裁断線D23、D24が設定されており、第1の実施形態のシートS2のスリッター36の配置と同様である。
【0188】
図5のステップ2で、構築したジョブE,Fを、必要な加工部材29の数で降順にソートする。ジョブEで使用されるスリッター36の数は6である。そして、ジョブFで使用されるスリッターの数は2である。この場合、ジョブEとジョブFとを降順でソートすると、1番目がジョブEであり、2番目がジョブFである。
【0189】
ステップ3で必要なスリッター36の数が最も多いと判断されたジョブEを基準ジョブとする。この基準となるジョブEをジョブ1とする。そして、もう一つのジョブFをジョブ2とする。
【0190】
ステップ4で、加工部材29の配置を入れ替え可能かどうかを判断する。ステップ4で加工部材29の入れ替えが可能であると判断されると、ステップ5に進み、ジョブ1を基準ジョブとし、他のジョブ2の加工部材29の配置をジョブ1の配置に合わせて入れ替えるよう制御する。加工部材29を入れ替えができない場合、ステップ6に進み、加工部材29の配置を入れ替えすることなく終了する。
【0191】
本第3の実施形態において、
図10,11に示す入替制御のフローを実行するとき、
図10のステップ11で、ジョブ1,ジョブ2で、幅方向Wにおける位置を決定した複数のスリッター361-366について、基準線Gからの長さが短い順に番号を付与する。
【0192】
ステップ12で、ジョブ番号Nを2に設定する。基準となるジョブ1とされたジョブEのスリッター36の配置は、
図19に示すシートS8の搬送方向Fに沿った加工処理である。この
図19に示すジョブ1のスリッター36の配置に対応して、ジョブ2とされた
図20に示すジョブFのスリッター36の配置をどう切り替えるかを順に決定していく。ステップ13で、i=0とする。
【0193】
ステップ14でジョブ2の最初のスリッター361の識別番号が、ジョブ1の基準線Gからの長さが最も短い最初のスリッター361の識別番号と同じかどうかを判断する。
【0194】
ジョブ2の最初のスリッター361の識別番号は1であり、ジョブ1の最初のスリッター361の識別番号1と同じである。この場合、ジョブ1とジョブ2との双方のジョブで同じ識別番号1のスリッター361を用いるので、入れ替えの必要がない。このとき、ステップ14を満たしステップ17に進む。
【0195】
ステップ17でiをインクリメントする。ステップ18に進み、iの数値が、ジョブ2で使用されるスリッター36の数より小さいかどうか判断する。ジョブ2では2個のスリッター36を用いるところ、i=1であり、ジョブ2のスリッター数2より小さい。この場合ステップ18を満たし、ステップ14に戻る。
【0196】
ステップ14において、
図20に示すジョブ2の2番目のスリッター36の識別番号が、
図19に示すジョブ1の2番目の識別番号と同じかどうかを判断する。ジョブ1において、2番目のスリッター36の識別番号は3であり、ジョブ2の識別番号は2である。この場合、両者は異なり、ステップ14を満たさず、ステップ15に進む。ステップ15でジョブ2の識別番号2のスリッター362を、ジョブ1の識別番号3のスリッター363と入れ替え可能かどうか判断する。
【0197】
図20より、識別番号2のスリッター362と識別番号3のスリッター363とは、いずれも上下切断刃36a、36bの圧接部343に対し、左側に下側の切断刃36bが位置し、右側に上側の切断刃36aが位置する。この場合、スリッター362とスリッター363を入れ替え可能とすることができる。ステップ15を満たすので、ステップ16に進む。
【0198】
ステップ16において、ジョブ2の2番目のスリッター362を識別番号2から識別番号3のスリッター363に変更するよう設定する。これより、シート8の裁断線D24を罫精するとき、第1ユニット20aの右側のスリッター362に替えて、第2ユニット20bの左側のスリッター363を使用するよう設定を変更する。この結果、シートS8とシートS9とが交互にスリッター部20に搬送され、加工処理される際、第1ユニット20aの右側のスリッター36を幅方向Wするのに替えて、移動距離が最小となる第2ユニット20bの左側のスリッター36を用いて、シートS9を加工処理することができる。よって、加工部材29の移動に要する時間を短縮でき、シートS7の加工時間を短縮できる。
【0199】
図10のステップ17に進み、iをインクリメントする。ステップ18で、iの数値がジョブ2で使用されるスリッター36の数より小さいかどうか判断する。この時点でのiの数値は2であり、ジョブ2で使用されるスリッターの数は2である。よって、ステップ18を満たさず、
図11のステップ19に進む。
【0200】
ステップ19でiの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数以上かどうか判断する。この時点でiの数値は2で、ジョブ1で使用されるスリッター36の数は6である。よって、ステップ19を満たさずステップ20へ進む。
【0201】
ステップ20で、シートS9の幅方向Wの長さSwと、ジョブ1の基準線から3番目のスリッター36の加工位置までの長さに所定量αを加算した長さ以上かどうかを比較する。ジョブ1の3番目のスリッター363までの長さSwが、シートS9の幅方向Wの長さSwに所定量αを加算した長さ以上でない場合には、ジョブ2の3番目のスリッター363を、シートS8の幅方向Wの長さから離れる方向へ所定量α移動させた回避位置に移動させるよう設定する。
【0202】
ステップ21に進み、iをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は3であり、ジョブ1で使用されるスリッターの数は6であるので、ステップ22を満たしステップ23に進む。
【0203】
ステップ23で、ジョブ1の4番目となるスリッター36であるシートS8の裁断線D20を形成するスリッター366について、シートS9を加工処理する際に、シートS8の裁断線D20を形成位置するための幅方向Wの位置で待機させるよう設定する。これより、第3ユニット20cの右側のスリッター366は、シートS9の加工処理の際に、加工処理を行わない状態のまま待機位置で待機される。そして、後続のシートS8が搬送されたとき、この幅方向Wの位置のままで、シートS8の裁断線20を形成する。これよりスリッター366を移動させることなく、シートS8及びシートS9の双方を加工処理することができる。スリッター366を幅方向Wに移動させるための時間がかからず、処理時間を短縮可能である。
【0204】
ステップ23からステップ21に戻る。ステップ21でiをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は4であり、ジョブ1で使用されるスリッター36の数は6であるので、ステップ22を満たす。この場合、ステップ23に進む。
【0205】
ステップ23で、スリッター366と同様に、ジョブ1の5番目となるスリッター36であるシートS8の裁断線D21を形成するスリッター364について、シートS9を加工処理する際に、シートS8の裁断線D21を形成位置するための幅方向Wの位置で待機させるよう設定する。
【0206】
これより、第2ユニット20bの右側のスリッター364は、シートS9の加工処理の際に、加工処理を行わない状態のまま待機位置で待機される。そして、後続のシートS8が搬送されたとき、この幅方向Wの位置のままで、シートS8の裁断線21を形成する。これよりスリッター364を移動させることなく、シートS8及びシートS9の双方を加工処理することができる。スリッター364を幅方向Wに移動させるための時間がかからず、処理時間を短縮可能である。
【0207】
ステップ23から再度ステップ21に戻る。ステップ21でiをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は5であり、ジョブ1で使用されるスリッター36の数は6であるので、ステップ22を満たし、ステップ23に進む。
【0208】
ステップ23で、スリッター364、366と同様に、ジョブ1の6番目となるスリッター36であるシートS8の裁断線D22を形成するスリッター362について、シートS9を加工処理する際に、シートS8の裁断線D22を形成位置するための幅方向Wの位置で待機させるよう設定する。
【0209】
これより、第1ユニット20aの右側のスリッター362は、シートS9の加工処理の際に、加工処理を行わない状態のまま待機位置で待機される。そして、後続のシートS8が搬送されたとき、この幅方向Wの位置のままで、シートS8の裁断線22を形成する。これよりスリッター362を移動させることなく、シートS8及びシートS9の双方を加工処理することができる。スリッター362を幅方向Wに移動させるための時間がかからず、処理時間を短縮可能である。
【0210】
ステップ23からもう一度ステップ21に戻る。ステップ21でiをインクリメントする。ステップ22で、iの数値がジョブ1で使用されるスリッター36の数より小さいか判断する。この時点でiの数値は6であり、ジョブ1で使用されるスリッター36の数は6であるので、ステップ22を満たさない。この場合、ステップ24に進む。
【0211】
ステップ24でNをインクリメントする。ステップ25に進み、Nの数値が有効なジョブの数より小さいかどうかを判断する。
図18に示すシートS4はジョブE,ジョブFの2種類のジョブが実行されるので、有効なジョブの数が2である。一方、Nの数値は3であるので、ステップ25を満たさず、終了となる。
【0212】
尚、上記実施形態では、シートの配列パターンは、各図に例示したものに限定されず、裁断線や折線の数や位置について、他の種々のパターンが設定可能である。
【符号の説明】
【0213】
F 搬送方向、J 裁ち屑、S シート、W 幅方向、3 裁断装置、18 搬送部、24 加工部、28 ガイド、29 加工部材、36 スリッター、45 制御部、51 移動部、100 加工装置、283 ガイド移動部。