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特開2024-35712二流体吐出装置、基板処理装置および二流体ノズル制御方法
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  • 特開-二流体吐出装置、基板処理装置および二流体ノズル制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035712
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】二流体吐出装置、基板処理装置および二流体ノズル制御方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/04 20060101AFI20240307BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240307BHJP
   B05B 12/02 20060101ALI20240307BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B05B7/04
H01L21/30 569Z
H01L21/30 569F
B05B12/02
H01L21/304 643Z
H01L21/304 643C
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140344
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】甲盛 諄
【テーマコード(参考)】
4F033
4F035
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB17
4F033QD02
4F033QD15
4F033QD16
4F035BA02
5F146LA03
5F146LA04
5F146LA12
5F146LA14
5F157AA91
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB48
5F157AB90
5F157BB33
5F157BB37
5F157BB45
5F157CC03
5F157CC41
5F157CD06
5F157CF70
5F157CF74
5F157DA14
5F157DA41
5F157DB02
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】 二流体ノズルからの液滴の落下を抑制した二流体吐出装置、基板処理装置および二流体ノズル制御方法を提供する。
【解決手段】 二流体吐出装置は、液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルと、二流体ノズルに気体を供給する気体供給部11aと、二流体ノズルに液体を供給する液体供給部と、気体供給部11aおよび液体供給部を制御して、二流体ノズルからの混合液の吐出を停止する場合、液体の供給を停止した後に気体の供給を停止する制御部90と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給する気体供給部と、
前記二流体ノズルに前記液体を供給する液体供給部と、
前記気体供給部および前記液体供給部を制御して、前記二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止する制御部と、を備えた二流体吐出装置。
【請求項2】
前記二流体ノズルは、前記液体および前記気体が混合される混合部を含み、
前記液体の供給を停止してから前記気体の供給を停止するまでの時間は、前記混合部の体積に基づいて定められる、請求項1記載の二流体吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の前記二流体吐出装置を備えた、基板処理装置。
【請求項4】
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部により支持された基板の外方に位置する待機位置と前記基板の上方に位置する吐出位置との間で前記二流体ノズルを移動可能に構成されたノズル駆動部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記ノズル駆動部により前記二流体ノズルが移動される前に、前記二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止する、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記二流体ノズルは、前記液体としての現像液と前記気体が混合された第1の混合液を吐出可能な第1の二流体ノズルと前記液体としてのリンス液と前記気体が混合された第2の混合液を吐出可能な第2の二流体ノズルとを含み、
前記制御部は、基板に前記現像液の供給を開始した後に前記リンス液を供給する現像処理において、前記第1の二流体ノズルから前記第1の混合液の吐出を停止する場合、前記現像液の供給を停止した後に前記気体の供給を停止する、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項6】
液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルを備えた基板処理装置を制御する二流体ノズル制御方法であって、
前記二流体ノズルに前記液体を供給するステップと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給するステップと、
前記二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止するステップと、を含む、二流体ノズル制御方法。
【請求項7】
前記液体の供給を停止してから前記気体の供給を停止するまでの時間は、前記二流体ノズルの前記液体および前記気体が混合される混合部の体積に基づいて定められる、請求項6記載の二流体ノズル制御方法。
【請求項8】
前記基板処理装置は、
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部により支持された前記基板の外方に位置する待機位置と前記基板支持部により支持された前記基板の上方に位置する処理位置との間で前記二流体ノズルを移動させるノズル駆動部と、を備え、
前記気体の供給を停止するステップは、前記ノズル駆動部により前記二流体ノズルが移動される前に、前記二流体ノズルに前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止するステップを含む、請求項6または7記載の二流体ノズル制御方法。
【請求項9】
前記二流体ノズルは、現像液と前記気体が混合された第1の混合液を吐出可能な第1の二流体ノズルと、リンス液と前記気体が混合された第2の混合液を吐出可能な第2の二流体ノズルと、を含み、
前記気体の供給を停止するステップは、基板に前記現像液の供給を開始した後に前記リンス液を供給する現像処理において、前記第1の二流体ノズルから前記第1の混合液の吐出を停止する場合、前記現像液の供給を停止した後に前記気体の供給を停止するステップを含む、請求項6または7記載の二流体ノズル制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二流体吐出装置、基板処理装置および二流体ノズル制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置においては、基板の上方の処理位置と基板の外方に配置される待機位置との間を、基板処理に用いられる処理液を基板に供給するために処理用ノズルを移動させる。処理用ノズルが処理位置と待機位置との間を移動する間は処理液の供給は停止される。処理用ノズルが移動する場合、その移動により処理用ノズルから処理液の液滴が落下する場合がある。そこで、処理用ノズルの移動途中で処理用ノズルからの処理液の落下を防止することが求められる。
【0003】
特許文献1には、二流体ノズルを移動させる前に液滴除去ノズルから二流体ノズルに気体を吹き付けることにより、二流体ノズルに付着していた液体を除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/132609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、二流体ノズルの外部から気体を吹き付けることにより二流体ノズルの外部に付着した処理液は除去されるが、二流体ノズルに残存する処理液を十分に除去することが困難であった。このため、二流体ノズルの移動中に二流体ノズルから液滴が落下する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、二流体ノズルからの液滴の落下を抑制した二流体吐出装置、基板処理装置、二流体ノズル制御方法および基板処理装置制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)一態様に係る二流体吐出装置は、液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルと、二流体ノズルに気体を供給する気体供給部と、二流体ノズルに液体を供給する液体供給部と、気体供給部および液体供給部を制御して、二流体ノズルからの混合液の吐出を停止する場合、液体の供給を停止した後に気体の供給を停止する制御部と、を備える。
【0008】
(2)他の態様に係る二流体ノズル制御方法は、液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルを備えた基板処理装置を制御する二流体ノズル制御方法であって、二流体ノズルに液体を供給するステップと、二流体ノズルに気体を供給するステップと、二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、液体の供給を停止した後に気体の供給を停止するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、二流体ノズルからの液滴の落下を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る現像装置の概略構成を説明するための模式的斜視図である。
図2】液処理ユニットの一部の構成を説明するための模式的断面図である。
図3】液処理ユニットの構成を説明するための第1の斜視図である。
図4】液処理ユニットの構成を説明するための第2の斜視図である。
図5】ノズルアームユニットの斜視図である。
図6】ノズルアームユニットを所定の鉛直面で切断した縦断面図である。
図7】ノズルの構成の一例を示す縦断面図である。
図8】現像装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図9】現像装置による基板の現像処理時の基本動作を示すフローチャートである。
図10】処理前ディスペンス処理を示すフローチャートである。
図11】処理液供給処理を示すフローチャートである。
図12】処理液供給処理における液体および気体の供給および停止を示すタイミングチャートである。
図13】他の実施の形態に係るノズルの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0012】
基板処理装置の一例として、現像装置を説明する。本実施の形態において現像処理の対象となる基板は、主面および裏面を有する。また、本実施の形態に係る現像装置においては、基板の主面が上方に向けられ、基板の裏面が下方に向けられた状態で、基板の裏面(下面)が保持され、基板の主面(上面)に現像処理が行われる。
【0013】
基板の主面の少なくとも中央部には露光処理後の感光性膜が形成されている。この感光性膜は、例えばネガ型の感光性ポリイミド膜である。露光されたネガ型の感光性ポリイミド膜を溶解する現像液として、シクロヘキサノンまたはシクロペンタノン等を含む有機溶剤が用いられる。また、リンス液として、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等を含む有機溶剤が用いられる。
【0014】
なお、本実施の形態において、「基板の現像処理」とは、基板の主面に形成された露光処理後の感光性膜に現像液を供給することにより、その感光性膜の一部を溶解することを意味する。
【0015】
(1)現像装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る現像装置の概略構成を説明するための模式的斜視図である。図1に示すように、現像装置1は、基本的に筐体CA内に2つの液処理ユニットLPA,LPBが収容された構成を有する。図1では、2つの液処理ユニットLPA,LPBの概略形状が点線で示される。液処理ユニットLPA,LPBの構成の詳細については後述する。
【0016】
筐体CAは、水平面内で一方向に延びる略直方体の箱形状を有する。具体的には、筐体CAは、第1の側壁板1w、第2の側壁板2w、第3の側壁板3w、第4の側壁板4w、床板5wおよび天井板6wが図示しないフレームに取り付けられることにより形成される。以下の説明では、水平面内で筐体CAが延びる方向に平行な方向を適宜第1の方向D1と呼び、水平面内で第1の方向D1に直交する方向を適宜第2の方向D2と呼ぶ。2つの液処理ユニットLPA,LPBは、筐体CA内で第1の方向D1に並ぶように床板5w上に配置されている。
【0017】
第1および第2の側壁板1w,2wは、矩形の板形状を有し、上下方向および第1の方向D1に平行でかつ互いに対向するように設けられている。第3および第4の側壁板3w,4wは、矩形の板形状を有し、上下方向および第2の方向D2に平行でかつ互いに対向するように設けられている。
【0018】
第2の側壁板2wには、筐体CAの内部と筐体CAの外部との間で基板を搬送するための2つの搬入搬出口phが形成されている。2つの搬入搬出口phは、第2の側壁板2wのうち第2の方向D2において液処理ユニットLPA,LPBに対向する2つの部分にそれぞれ形成されている。天井板6wには、第1の方向D1に並ぶように、2つの開口op1が形成されている。天井板6wにおける2つの開口op1の開口率は、筐体CAの上端全体が上方に開放されている状態と同じ程度に十分に大きく設定されている。
【0019】
天井板6wの2つの開口op1をそれぞれ塞ぐように、天井板6wの上方に2つのフィルタFLが設けられている。なお、2つのフィルタFLは、天井板6wの直下に設けられてもよい。図1では、2つのフィルタFLが太い一点鎖線で示される。2つのフィルタFLは、例えばULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタであり、筐体CAを構成する図示しないフレームまたは天井板6wに取り付けられている。筐体CAの天井板6w上には、2つのフィルタFLを取り囲むように空気ガイドAGが設けられている。図1では、空気ガイドAGが二点鎖線で示される。
【0020】
筐体CAの外部には、気体供給部10が設けられている。気体供給部10は、例えばエアーコントロールユニットであり、現像装置1の電源がオンされている間、予め定められた条件を満たすように温度および湿度等の空気の状態を調整する。また、気体供給部10は、状態が調整された空気をダクトDUを通して空気ガイドAGに供給する。この場合、空気ガイドAGは、気体供給部10から供給された空気を、2つのフィルタFLを通して天井板6wの2つの開口op1に導く。それにより、温度および湿度等が調整された清浄な空気が筐体CA内に供給され、筐体CAの内部空間SPの全体に下降気流が発生する。
【0021】
筐体CAの外部には、気体供給部11aおよび現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが設けられている。図1においては、気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが液処理ユニットLPBに接続される例が示されているが、液処理ユニットLPAについても、別の気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが接続されている。気体供給部11aは、気体供給源を含む。それにより、気体供給経路12aを通して液処理ユニットLPA,LPBに気体が供給される。現像液供給部11bは、現像液供給源を含む。それにより、現像液供給経路12bを通して液処理ユニットLPA,LPBに現像液が供給される。リンス液供給部11cは、リンス液供給源を含む。それにより、リンス液供給経路12cを通して液処理ユニットLPA,LPBにリンス液が供給される。図1では、気体供給経路12a、現像液供給経路12bおよびリンス液供給経路12cが一点鎖線で示される。なお、本実施の形態において、気体供給経路12a、現像液供給経路12bおよびリンス液供給経路12cは、1または複数の配管およびバルブ等により構成される。
【0022】
現像装置1は、さらに制御部90を有する。制御部90は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、液処理ユニットLPA,LPBおよびそれらにそれぞれ対応して設けられる気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cを制御する。制御部90の詳細は後述する。
【0023】
(2)液処理ユニットの構成
(2-1)液処理ユニットLPA,LPBの構成の概略
図1の2つの液処理ユニットLPA,LPBは、一部の構成要素が第1の方向D1に直交する面(鉛直面)を基準として互いに対称となるように設けられる点を除いて、基本的に同じ構成を有する。したがって、以下の説明では特に言及しない限り2つの液処理ユニットLPA,LPBを代表して液処理ユニットLPBの構成を説明する。
【0024】
図2は、図1の液処理ユニットLPA,LPBの一部の構成を説明するための模式的断面図である。図2に示すように、液処理ユニットLPBは、区画板100、筒部材200、カップ40、収容器50および待機ポッド500を含む。
【0025】
筐体CA内では、収容器50が床板5w(図1)上に固定される。収容器50は、側壁部51および底部52を含む。側壁部51は、円環形状の水平断面を有し、一定の内径および一定の外径で上下方向に延びるように形成されている。底部52は、側壁部51の下端を閉塞するように形成されている。
【0026】
底部52には、2つの貫通孔が形成されている。底部52の一方の貫通孔の形成部分に排気管61が接続されている。排気管61は、筐体CA内の雰囲気を、筐体CAの外部に設けられる図示しない排気装置に導く。収容器50において、排気管61の端部(開口端)は底部52よりも上方に位置する。
【0027】
また、底部52には、他方の貫通孔の形成部分に排液管62がさらに接続されている。排液管62は、基板Wの現像処理時に、カップ40から収容器50の底部に流れる液体(現像液およびリンス液)を筐体CAの外部に設けられる図示しない排液装置に導く。収容器50において、排液管62の端部(開口端)は排気管61の端部よりも下方に位置する。
【0028】
収容器50内には、基板保持装置70の少なくとも下部が収容される。具体的には、基板保持装置70は、吸着保持部71、スピンモータ72およびモータカバー79を含む。スピンモータ72は、平面視で収容器50の中央に位置するように底部52上に固定されている。スピンモータ72には、上方に向かって延びるように回転軸73が設けられている。回転軸73の上端に吸着保持部71が設けられている。吸着保持部71は、収容器50の上端よりも上方に突出している。
【0029】
収容器50の外部には、図示しない吸引装置が設けられている。吸着保持部71は、吸引装置が動作することにより基板Wの裏面中央部を吸着可能に構成されている。吸着保持部71が基板Wの裏面中央部を吸着することにより、基板Wが収容器50の上方の位置で水平姿勢で保持される。また、基板Wが吸着保持部71により吸着保持された状態でスピンモータ72が動作することにより、基板Wが水平姿勢で回転する。
【0030】
モータカバー79は、略椀形状を有し、開放された径大部分が下方を向くように収容器50に固定されている。モータカバー79は、そのモータカバー79の上端中央部の貫通孔に回転軸73が挿入された状態で、回転軸73を除くスピンモータ72の上端部分と水平面内でスピンモータ72を取り囲む一定幅の空間とを上方から覆っている。モータカバー79の外周端部と側壁部51の内周面との間には、一定幅の隙間が形成されている。
【0031】
ここで、上記の排気管61の端部は、平面視でモータカバー79の内側に位置し、側面視でモータカバー79の下端よりも上方に位置する。それにより、基板Wの現像処理時に、収容器50の上方から落下する液体(現像液およびリンス液)が排気管61の内部に進入することが防止される。
【0032】
収容器50内には、基板保持装置70の下部に加えて、カップ40の少なくとも下端が収容される。ここで、カップ40は、収容器50内で上下方向に移動可能に構成されている。また、カップ40は、筒状壁部41および液受け部42を含む。筒状壁部41および液受け部42の各々は、円環形状の水平断面を有し、少なくとも上下方向に延びるように設けられている。カップ40は、平面視で基板保持装置70を取り囲むように構成されている。
【0033】
液受け部42の外径および内径は、液受け部42の上端から下方に向かうにつれて漸次拡大されている。液受け部42の下端の外径(液受け部42の最大外径)は、収容器50の側壁部51の内径よりも小さい。そのため、液受け部42の外周端部と側壁部51の内周面との間には、一定幅の隙間が形成されている。筒状壁部41は、一定の内径および一定の外径で、液受け部42の上端から上方に向かって延びるように形成されている。
【0034】
筒部材200は、円筒形状を有し、図示しないブラケットを介して筐体CAの一部に固定されている。筒部材200の内径は、カップ40の筒状壁部41の外径よりも大きい。区画板100は、略円板形状を有し、筒部材200の上端部近傍でかつ筒部材200の内周面全体に接するように、筒部材200に取り付けられている。区画板100の略中央部には、第1の方向D1に延びる長方形のノズル開口110が形成されている。ノズル開口110は、基板Wの現像処理時に、基板保持装置70により保持される基板Wの中央部分に対向する。区画板100には、複数の貫通孔(図示せず)がノズル開口110を除く区画板100の全体に渡って分散するように形成されている。
【0035】
筐体CA内で収容器50の近傍には昇降駆動部(図示せず)が設けられている。昇降駆動部は、モータまたはエアシリンダ等の駆動機構を含み、カップ40を支持するとともにカップ40を上下動させることにより、カップ40を第1の状態と第2の状態とに移行させる。ここで、第1の状態とは、カップ40が収容器50の内部の位置まで下降した状態を示す。第2の状態とは、カップ40の上端が筒部材200の下端よりも上方の位置まで上昇した状態を示す(図2の状態)。
【0036】
現像装置1においては、液処理ユニットLPA,LPBに対する基板Wの搬入搬出時に、カップ40が第1の状態で維持される。それにより、現像装置1の外部から搬入される基板Wを液処理ユニットLPA,LPBの吸着保持部71上に載置することができる。また、液処理ユニットLPA,LPBの吸着保持部71上に載置された基板Wを取り出し、現像装置1の外部に搬出することができる。
【0037】
カップ40が第2の状態においてカップ40の液受け部42の内周面は、基板保持装置70により保持される基板Wを水平面内で取り囲む。それにより、基板Wの現像処理時に複数のノズル310から基板Wに供給される現像液およびリンス液の大部分は、液受け部42の内周面により受け止められて、収容器50へ導かれる。
【0038】
一方、基板保持装置70により保持される基板Wの現像処理時に、液処理ユニットLPA,LPBの各々において、カップ40が第2の状態で維持されカバー部材330が区画板100のノズル開口110を覆う。それにより、筐体CAの内部空間SPが、液処理ユニットLPA,LPBの区画板100、筒部材200、カバー部材330、カップ40および収容器50により、処理空間SPaと非処理空間SPbとに区画される。処理空間SPaは基板保持装置70により保持される基板Wを含む空間であり、非処理空間SPbは処理空間SPaを取り囲む空間である。
【0039】
図3は、図1の液処理ユニットLPBの構成を説明するための第1の斜視図である。図3に示すように、図1の筐体CA内では、ノズル駆動部400が第1の方向D1において収容器50に隣り合うように設けられている。ノズル駆動部400は、回転軸401を有するモータとアクチュエータとを含む。アクチュエータは、エアシリンダ、液圧シリンダまたはモータ等を含み、回転軸401を有するモータが上下方向に移動可能となるように、当該モータを床板5w(図1)上に支持する。回転軸401は、ノズル駆動部400の上端部に位置する。
【0040】
図1の筐体CA内では、床板5w(図1)上に待機ポッド500がさらに設けられている。ノズル駆動部400および待機ポッド500は、収容器50の側方の位置で間隔をおいて第2の方向D2に並ぶ。待機ポッド500は、第2の方向D2に一定長さ延びる箱形状を有する。待機ポッド500の上面には、後述する複数のノズル310の噴射部310dを収容するための複数の待機孔510が形成されている。
【0041】
ノズル駆動部400の回転軸401の上端部に、ノズルアームユニット300が取り付けられている。ノズルアームユニット300は、回転軸401の上端部に取り付けられた状態で、回転軸401とは異なる方向に直線状に延びる長手形状を有する。
【0042】
ノズル駆動部400のモータが上下方向に移動すると、ノズルアームユニット300は上下方向に移動する。また、ノズル駆動部400のモータが動作すると、ノズルアームユニット300は回転軸401を中心として水平面内で回転する。本実施の形態では、図3に示すように、複数のノズル310は、基板Wに対する現像処理が行われる間、基板保持装置70により保持される基板Wの上方の処理位置P2で保持される。複数のノズル310が処理位置P2に位置する状態において、平面視で複数のノズル31は基板Wと重なる。図3においては、複数のノズル310が処理位置P2に位置する状態が示される。なお、図3には、待機位置P1および処理位置P2がそれぞれ白抜きの矢印で示されている。
【0043】
図4は、図1の液処理ユニットLPBの構成を説明するための第2の斜視図である。図4に示すように、ノズルアームユニット300の複数のノズル310は、基板Wに対する現像処理が行われない間、基板保持装置70により保持される基板Wの外方の待機位置P1で保持される。複数のノズル310が待機位置P1に位置する状態において、平面視で複数のノズル31は基板Wと重ならない。なお、図4には、待機位置P1および処理位置P2がそれぞれ白抜きの矢印で示されている。ノズル310が待機位置P1で保持されている間、ノズル310が待機ポッド500の待機孔510に収容される。本実施の形態においては、ノズル310内に滞留する液体を吐出する動作が行われる。以下、この動作を処理前ディスペンス処理と呼ぶ。処理前ディスペンス処理の詳細については、後述する。
【0044】
待機ポッド500には、ノズルアームユニット300が待機位置P1に位置する状態において、複数のノズル310から噴射された液体または落下した液体を筐体CAの外部に排出する排液管(図示せず)が接続されている。また、待機ポッド500には、当該待機ポッド500内部の雰囲気を筐体CAの外部に排出する排気管(図示せず)が接続されている。
【0045】
(2-2)ノズルアームユニット300
ノズルアームユニット300は、主として、複数(本例では6個)のノズル310、支持体320およびカバー部材330から構成される。図5は、ノズルアームユニット300の斜視図であり、図6は、ノズルアームユニット300を所定の鉛直面(ノズルアームユニット300が延びる方向に平行な鉛直面)で切断した縦断面図である。図5では、ノズルアームユニット300の内部構造が理解しやすいように、カバー部材330が他の構成要素から分離された状態で示される。同様に、後述する配管PPの各構成要素への接続の図示が省略される。
【0046】
支持体320は、例えば所定形状に切り抜き加工またはレーザ加工された一枚の金属板を適宜折り曲げ加工することにより作製される。また、支持体320は、一方向に延びるように形成され、一端部321および他端部322を有する。また、支持体320は、一端部321の近傍から他端部322に向かって延びるノズル固定部323を有する。ノズル310は、基板Wに現像液を供給するための3つの現像液用ノズル311と、基板Wにリンス液を供給するための3つのリンス液用ノズル312と、を含む。ノズル固定部323には、3つの現像液用ノズル311が所定間隔で配され、3つのリンス液用ノズル312が所定間隔で配置される。さらに、支持体320は、配管固定部324および2つのカバー取り付け部325を有する。配管固定部324は、他端部322の近傍に位置する。
【0047】
複数のノズル310各々は、液体および気体の混合液を噴射可能な二流体ノズルである。現像液用ノズル311は、当該現像液用ノズル311内に現像液を導入するための液体導入部311a、当該現像液用ノズル311内に気体を導入するための気体導入部311b,311cおよび混合液を噴射する噴射部311dを有する。同様に、リンス液用ノズル312は、当該リンス液用ノズル312内にリンス液を導入するための液体導入部312a、当該リンス液用ノズル312内に気体を導入するための気体導入部312b,312cおよび混合液を噴射する噴射部312dを有する。
【0048】
現像液用ノズル311の液体導入部311aには、当該現像液用ノズル311に現像液を供給するための配管PPの一端が接続される。また、現像液用ノズル311の気体導入部311b,311cには、当該現像液用ノズル311に気体(本例では、窒素ガス)を供給するための配管PPの一端が接続される。同様に、リンス液用ノズル312の液体導入部312aには、当該リンス液用ノズル312にリンス液を供給するための配管PPの一端が接続される。また、リンス液用ノズル312の気体導入部312b,312cには、当該リンス液用ノズル312に気体を供給するための配管PPの一端が接続される。
【0049】
配管PPは、柔軟性を有する樹脂材料で形成される。このような樹脂材料としては、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等がある。
【0050】
複数の配管PPの各々の一部は、現像液用ノズル311の液体導入部311aおよび気体導入部311b,311cから配管固定部324に向かって延びるように設けられ、リンス液用ノズル312が有する液体導入部312aおよび気体導入部312b,312cから配管固定部324に向かって延びるように設けられる。
【0051】
配管固定部324においては、複数の配管PPが束ねられる。図5においては、配管固定部324の配管PPの断面が示されている。これにより、複数の配管PPが支持体320の他端部322近傍で固定される。複数の配管PPのうち配管固定部324から支持体320の外方に延びる部分は、束ねられた状態で筒状結束部材391の内部に収容される。筒状結束部材391は、例えばゴムまたは樹脂で形成され、柔軟性を有する。
【0052】
カバー部材330は、下方が開放された箱形状を有する。カバー部材330の上面部331においては、支持体320の2つのカバー取り付け部325に対応する2つの部分に貫通孔331hが形成されている。
【0053】
支持体320に複数の現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312が取り付けられかつ複数の現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312に複数の配管PPが接続されかつ複数の配管PPが固定された状態で、支持体320にカバー部材330が取り付けられる。図5では、支持体320に取り付けられた場合のカバー部材330の状態が二点鎖線で示される。
【0054】
ここで、支持体320において、配管固定部324は、支持体320の他端部322とカバー部材330の他方端面部333との間に位置する。配管固定片329は、カバー部材330から引き出される複数の配管PPが他方端面部333の切り欠き333Nの内縁に接触しないように、複数の配管PPを束ね、配管固定部324に固定する。
【0055】
図6に示すように、支持体320にカバー部材330が取り付けられた状態で、液体導入部311a,312aおよび気体導入部311b,311c,312b,312cを除く複数のノズル310の大部分は、カバー部材330の下方に突出している。
【0056】
(2-3)現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312の構成
現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312は、同じ構成を有する。以下の現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312の説明については、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312を代表して現像液用ノズル311の構成を説明する。図7は、現像液用ノズル311の構成の一例を示す縦断面図である。現像液用ノズル311は、本体部311Aを含む。本体部311Aは、液体導入部311aおよび2つの気体導入部311b,311cを有する。液体導入部311aは、円筒形状の円筒部3Aと、円筒部3Aの下端に設けられかつ円筒部3Aの軸に垂直な衝突面3bを有する底部3Bと、を有する。図7の例では、液体導入部310aは、円筒部3Aの軸が本体部311Aの軸AXと一致するように本体部311Aに取り付けられる。円筒部3Aには、軸AXに平行な方向に沿った流路FPaが形成されており、底部3Bには、円筒部3Aの軸AXに垂直な方向に沿った複数の流路が形成されている。ここでは、4つの流路が形成されており、4つの流路それぞれは二流体混合空間MSPに連通する開口部OP1を有する。
【0057】
2つの気体導入部311b,311cは、軸方向に延びる円筒形状であり、それぞれの軸が、液体導入部311aの円筒部3Aの軸AXと平行となるように本体部311Aの上面から本体部311Aに取り付けられる。液体導入部311aは、2つの気体導入部311b,311cの間に配置される。気体導入部311b,311cの各々には、気体導入部311b,311cの軸に平行な方向に沿った流路FPb,FPcが形成されている。
【0058】
本体部311Aの内部には、気体滞留空間GSPおよび二流体混合空間MSPが上方からこの順に形成されている。気体滞留空間GSPは、液体導入部311aの円筒部3Aの周りを取り囲む空間であり、上方で2つの気体導入部311b,311cの流路FPb,FPcと接続され、下方で二流体混合空間MSPと接続される。
【0059】
二流体混合空間MSPは、二流体衝突空間MSP1および二流体導出空間MSP2を含む。二流体衝突空間MSP1は、気体滞留空間GSPと二流体導出空間MSP2との間に位置する。二流体衝突空間MSP1は、液体導入部311aの底部3Bを取り囲む空間を含み、上方で気体滞留空間GSPと接続され、下方で二流体導出空間MSP2と接続される。二流体導出空間MSP2は、内径が下方に向かって漸次減少する円錐台形状の空間である。二流体導出空間MSP2の下端は、噴射部310dと接続される。噴射部310dは、二流体導出空間MSP2を本体部311Aの外部に開放する開口を有する。
【0060】
液体導入部311aに導入される液体は、円筒部3Aに形成された流路FPaを上方から下方に進み、底部3Bに形成された衝突面3bに衝突する。衝突面3bに衝突した液体は、底部3Bに形成された複数の流路のいずれかを通って液体導入部310aの開口部OP1から二流体混合空間MSPに排出される。
【0061】
一方、気体導入部311b,311cそれぞれに導入される気体は、気体導入部311b,311cに形成された流路FPb,FPcを上方から下方に進み、気体滞留空間GSPに排出される。ここで、気体滞留空間GSP内部の圧力が上昇することにより、気体滞留空間GSP内部の気体が二流体混合空間MSPに排出される。二流体混合空間MSPの二流体衝突空間MSP1において、液体と気体とが混合され、混合液が生成される。混合液は、二流体導出空間MSP2を通って、噴射部310dから本体部311Aの外部に噴射される。
【0062】
(3)現像装置1の制御部の構成
図8は、図1の現像装置1の制御部90の構成を示すブロック図である。図8に示すように、制御部90は、第1の昇降制御部91、気体制御部92a、液体制御部92b、第1の回転制御部93、吸引制御部94、第2の昇降制御部95および第2の回転制御部96を含む。図8の制御部90の各部の機能は、例えばCPUがメモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0063】
第1の昇降制御部91は、液処理ユニットLPA,LPBの昇降駆動部の動作を制御する。それにより、各液処理ユニットLPA,LPBのカップ40が第1の状態と第2の状態とに移行する。気体制御部92aは、液処理ユニットLPA,LPBのそれぞれに対応する気体供給部11aの動作を制御する。液体制御部92bは、液処理ユニットLPA,LPBのそれぞれに対応する現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cの動作を制御する。それにより、各液処理ユニットLPA,LPB内で複数のノズル310のうち3つの現像液用ノズル311から現像液と気体とを混合した混合液が噴射され、複数のノズル310のうち3つのリンス液用ノズル312からリンス液と気体とを混合した混合液が噴射される。
【0064】
第1の回転制御部93は、図1の液処理ユニットLPA,LPBのスピンモータ72の動作を制御する。また、吸引制御部94は、液処理ユニットLPA,LPBの吸引装置(図示なし)の動作を制御する。それにより、各基板保持装置70において基板Wが水平姿勢で吸着保持され、回転される。
【0065】
第2の昇降制御部95および第2の回転制御部96は、図1の液処理ユニットLPA,LPBのノズル駆動部400の動作を制御する。具体的には、第2の昇降制御部95は、各ノズル駆動部400のアクチュエータの動作を制御する。第2の回転制御部96は、各ノズル駆動部400の回転軸401を有するモータの動作を制御する。
【0066】
(4)現像装置1の基本動作
現像装置1の基本動作について説明する。現像装置1の基本動作は、制御部90がメモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、制御部90により実行される。図9は、現像装置1による基板Wの現像処理時の基本動作を示すフローチャートである。
【0067】
初期状態においては、気体供給部10から現像装置1に温度および湿度等が調整された空気が供給されている。また、筐体CA内の雰囲気は、液処理ユニットLPA,LPBの排気管61から図示しない排気装置に導かれている。筐体CA内には清浄な下降気流が形成されている。さらに、初期状態においては、カップ40は、第1の状態で保持されているものとする。また、ノズルアームユニット300は、待機位置P1に保持されているものとする。
【0068】
基板Wの現像処理の開始前には、まず、液処理ユニットLPA,LPBに処理対象となる基板Wが搬入される。また、基板保持装置70の吸着保持部71上に基板Wが載置される。基板Wの現像処理が開始されると、図8の吸引制御部94は、基板保持装置70の吸着保持部71により基板Wが吸着されるように、液処理ユニットLPA,LPBの吸引装置78を制御する(ステップS1)。
【0069】
次に、図8の第1の昇降制御部91は、カップ40が第1の状態から第2の状態へ移行するように、液処理ユニットLPA,LPBの昇降駆動部49を制御する(ステップS2)。ここで、待機位置P1において、待機ポッド500の待機孔510に複数のノズル310が収容された状態で、処理前ディスペンス処理が行われる(ステップS3)。処理前ディスペンス処理については、後述する。
【0070】
次に、図8の第2の昇降制御部95および第2の回転制御部96は、ノズルアームユニット300が待機位置P1から処理位置P2に移動するように、液処理ユニットLPA,LPBのノズル駆動部400を制御する(ステップS4)。次に、図8の第1の回転制御部93は、基板Wが回転軸73の周りで回転するように、液処理ユニットLPA,LPBのスピンモータ72を制御する(ステップS5)。
【0071】
次に、図8の気体制御部92aおよび液体制御部92bは、処理液供給処理を実行する(ステップS6)。処理液供給処理の詳細は後述するが、現像液と気体とを混合した第1の混合液およびリンス液と気体とを混合した第2の混合液を基板Wに供給する処理である。次に、図8の第1の回転制御部93は、基板Wの回転を継続させることにより基板Wを乾燥させる。また、図8の第1の回転制御部93は、処理液供給処理の終了から一定時間経過後に基板Wの回転が停止するように、液処理ユニットLPA,LPBのスピンモータ72を制御する(ステップS7)。
【0072】
次に、図8の第2の昇降制御部95および第2の回転制御部96は、複数のノズル310が処理位置P2から待機位置P1に移動するように、液処理ユニットLPA,LPBのノズル駆動部400を制御する(ステップS8)。それにより、ノズル310が待機ポッド500の待機孔510に収容される。
【0073】
次に、図8の第1の昇降制御部91は、カップ40が第2の状態から第1の状態へ移行するように、液処理ユニットLPA,LPBの昇降駆動部49を制御する(ステップS9)。最後に、図8の吸引制御部94は、基板保持装置70の吸着保持部71による基板Wの吸着が解除されるように、液処理ユニットLPA,LPBの吸引装置78を制御する(ステップS10)。それにより、基板Wの現像処理が終了する。現像処理後の基板Wは、液処理ユニットLPA,LPBから搬出される。
【0074】
(5)処理前ディスペンス処理
ノズル310の噴射部310d付近に滞留している液体については、空気と接触する。ノズル310内の液体が揮発性の成分が揮発することにより、濃度が変化する場合がある。そこで、気体制御部92aおよび液体制御部92bが液処理ユニットLPA,LPBの気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cを制御することにより、処理前ディスペンス処理が行われる。
【0075】
図10は、処理前ディスペンス処理を示すフローチャートである。図10の処理前ディスペンス処理においては、まず、複数のノズル310のうち3つの現像液用ノズル311から気体を含まない現像液が待機ポッド500内に吐出されるとともに、複数のノズル310のうち3つのリンス液用ノズル312それぞれから気体を含まないリンス液が待機ポッド500内に吐出される(ステップS31)。次に、現像液およびリンス液の供給が停止される(ステップS32)。具体的には、現像液供給部11bが3つの現像液用ノズル311への現像液の供給を停止し、リンス液供給部11cが3つのリンス液用ノズル312へのリンス液の供給を停止する。
【0076】
次に、3つの現像液用ノズル311および3つのリンス液用ノズル312に、気体が供給される(ステップS33)。続けて、制御部90は、予め定められた時間が経過した否かを判定する(ステップS34)。なお、予め定められた時間は、後述する液体吐出期間T2に設定されてもよい。予め定められた時間が経過すると、気体供給部11aが現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312への気体の供給を停止する(ステップS35)。それにより、3つの現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312内に現像液およびリンス液が滞留することが抑制される。その結果、現像液の濃度、リンス液の濃度を適切な状態にすることができる。
【0077】
また、現像液用ノズル311から現像液の吐出が終了した後の液体吐出期間T2の間、現像液用ノズル311に気体が供給されるので、現像液用ノズル311に蓄積された現像液が外部に排出される。同様に、リンス液用ノズル312からリンス液の吐出が終了した後の液体吐出期間T2の間、リンス液用ノズル312に気体が供給されるので、リンス液用ノズル312に蓄積されたリンス液が外部に排出される。したがって、ノズルが待機位置P1から処理位置P2に移動する間に、現像液用ノズル311から現像液の液滴の落下が抑制されるとともに、リンス液用ノズル312からリンス液の液滴の落下が防止される。
【0078】
(6)処理液供給処理
気体制御部92aおよび液体制御部92bが液処理ユニットLPA,LPBの気体供給部11a、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cを制御することにより、処理液供給処理が行われる。
【0079】
図11は、処理液供給処理を示すフローチャートである。図12は、処理液供給処理における液体および気体の供給および停止を示すタイミングチャートである。図12の第1段目に現像液用ノズル311に対する気体供給部11aからの気体の供給および停止のタイミングが示され、および第2段目に現像液用ノズル311に対する現像液供給部11bからの現像液の供給および停止のタイミングが示される。図11の第3段目に、リンス液用ノズル312に対する気体供給部11aからの気体の供給および停止のタイミングが示され、第4段目にリンス液用ノズル312に対するリンス液供給部11cからの現像液の供給および停止のタイミングが示される。以下、図11および図12を用いて処理液供給処理を説明する。
【0080】
処理液供給処理は、基板Wが回転している状態で実行される。図12においては、処理液供給処理が開始する時点が時刻t1として示される。まず、時刻t1において、気体供給部11aおよび現像液供給部11bがオンされる。それにより、ノズル310のうち3つの現像液用ノズル311から現像液と気体とを混合した第1の混合液が噴射される(ステップS61)。
【0081】
続いて、時刻t1より後の時刻t2において、気体供給部11aおよびリンス液供給部11cがオンされる。それにより、3つのリンス液用ノズル312からリンス液と気体とを混合した第2の混合液が噴射される(ステップS62)。時刻t2以降は、第1の混合液と第2の混合液とが基板に供給される。以下、基板Wに対してリンス液と気体とを混合した第2の混合液が噴射される期間をリンス液供給期間T1と呼ぶ。本実施の形態において、リンス液供給期間T1は予め定められている。
【0082】
次に、時刻t2より後の時刻t3において、現像液供給部11bがオフされる(ステップS63)。それにより、3つの現像液用ノズル311内には、気体のみが供給される。その結果、3つの現像液用ノズル311内(現像液用ノズル311の二流体混合空間MSP(図7参照))に滞留した現像液が現像液用ノズル311の外部に吐出される。
【0083】
制御部90は、時刻t3から液体吐出期間T2が経過したか否かを判定する(ステップS64)。時刻t3から液体吐出期間T2が経過していない場合、液体吐出動作が行われ続ける。時刻t3から液体吐出期間T2が経過した時刻t4において現像液用ノズル311に対する気体供給部11aがオフされる(ステップS65)。
【0084】
液体吐出期間T2は、予め定められた期間である。以下、現像液用ノズル311が現像液と気体とを混合した第1の混合液を吐出している状態において現像液用ノズル311に現像液の供給を停止してから現像液用ノズル311に気体の供給を停止するまでの動作を滞留現像液吐出動作という。
【0085】
ここで、制御部90は、時刻t2からリンス液供給期間T1が経過したか否かを判定する(ステップS66)。時刻t2からリンス液供給期間T1が経過していない場合、基板Wに3つのリンス液用ノズル312からリンス液と気体とを混合した混合液が噴射され続ける。時刻t2からリンス液供給期間T1が経過した時刻t5において、リンス液供給部11cがオフされる(ステップS67)。それにより、リンス液用ノズル312内には、気体のみが供給される。その結果、3つのリンス液用ノズル312の二流体混合空間MSP(図7参照))に滞留したリンス液がリンス液用ノズル312の外部に吐出される。
【0086】
制御部90は、時刻t5から液体吐出期間T2が経過したか否かを判定する(ステップS68)。時刻t5から液体吐出期間T2が経過していない場合、液体吐出動作が行われ続ける。時刻t5から液体吐出期間T2が経過した時刻t6で気体供給部11aがオフされる(ステップS69)。上述した、ステップS61~ステップS69の動作を経て処理液供給処理が終了する。
【0087】
本実施の形態においては、液体吐出期間T2は、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312それぞれが有する二流体混合空間MSP(図7参照)の体積に基づいて定められる。また、液体吐出期間T2は、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312に供給される気体の流量に基づいて定められてもよい。液体吐出期間T2は、例えば、0.1秒より大きく1.0秒より小さく設定されることが好ましい。液体吐出期間T2は、0.5秒に設定されることがより好ましい。
【0088】
上述したように、本実施の形態では、リンス液供給期間T1に、基板Wにリンス液用ノズル312からリンス液と気体とを混合した第2の混合液が供給される。リンス液供給期間T1の間に滞留現像液吐出動作が行われる。それにより、リンス液供給期間T1のうち滞留現像液吐出動作が終了した後の期間において基板Wに現像液用ノズル311から現像液の液滴の落下を抑制することが可能になる。その結果、基板Wへの現像液の液滴の落下を抑制しつつ、基板Wの清浄度を維持することが可能になる。
【0089】
また、現像液用ノズル311から現像液の吐出が終了した後の液体吐出期間T2の間、現像液用ノズル311に気体が供給されるので、現像液用ノズル311に蓄積された現像液が外部に排出される。同様に、リンス液用ノズル312からリンス液の吐出が終了した後の液体吐出期間T2の間、リンス液用ノズル312に気体が供給されるので、リンス液用ノズル312に蓄積されたリンス液が外部に排出される。したがって、ノズルが処理位置P2から待機位置P1に移動する間に、現像液用ノズル311から現像液の液滴の落下が抑制されるとともに、リンス液用ノズル312からリンス液の液滴の落下が防止される。
【0090】
(7)実施の形態の効果
上記実施の形態によれば、液体吐出動作により現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312に対して、液体の供給が停止した後に気体の供給が停止する。この場合、液体の供給の停止により、吐出されなかった液体が現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312に残存する。この状態で、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312に気体が供給されるので、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312に残存した液体が現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312から離脱する。その結果、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312において残存した液体が現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312から落下することが抑制される。
【0091】
また、液体吐出期間T2が二流体混合空間MSPの体積に基づいて定められるので、より正確に、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312において残存した液体を排出することが可能になる。
【0092】
また、処理前ディスペンス処理および処理液供給処理において、現像液用ノズル311に現像液の供給が停止した後の液体吐出期間T2の間、現像液用ノズル311に気体が供給され、リンス液用ノズル312にリンス液の供給が停止した後の液体吐出期間T2の間、リンス液用ノズル312に気体が供給される。このため、3つの現像液用ノズル311および3つのリンス液用ノズル312が待機位置P1と処理位置P2との間を移動する間に、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312において残存した液体が現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312から基板W上に落下することが抑制される。
【0093】
(8)他の実施の形態
(8-1)上記実施の形態においては、現像液用ノズル311(リンス液用ノズル312)内に気体を導くための気体導入部311b,311c(312b,312c)を有するが、本発明はこれに限定されない。現像液用ノズル311内に気体を導くための単一の気体導入部を有してもよい。また、図7の例では、気体導入部311b,311cは、現像液用ノズル311内の気体滞留空間GSPに接続されているが、気体と液体とが混合される二流体混合空間MSPに接続されていてもよい。さらに、図7の例においては、現像液用ノズル311に二流体混合空間MSPが形成されているが、本発明はこれに限定されない。
【0094】
図13は、他の実施の形態に係る現像液用ノズル311の構成を説明するための図である。図13に示すように、他の実施の形態に係る現像液用ノズル311は、図7に示した現像液用ノズル311が有する二流体混合空間MSPが形成されず、現像液用ノズル311の外部で気体と液体とが混合される。
【0095】
具体的には、他の実施の形態に係る現像液用ノズル311は、液体導入部311aと、気体導入部材311Bとを含む。液体導入部311aの軸AXに沿って流路FPaが形成されている。液体導入部311aの下端には、流路FPaを外部に開放する液体吐出口a3が形成されている。
【0096】
液体導入部311aは、気体導入部材311B内に挿入されている。気体導入部材311Bは、気体導入部材311Bの内壁と気体導入部311aの外壁とで液体導入部311aの一部の周囲を囲む気体滞留空間GSPが形成されている。気体導入部材311Bの下端には、気体滞留空間GSPを外部に開放する気体吐出口b3が形成されている。気体吐出口b3は、液体吐出口a3の周辺を囲む。気体滞留空間GSPは、気体吐出口b3近傍において、下方に向かうにつれて径小となっている。本体部311Aの周壁には、気体滞留空間GSPに連通する気体導入部311bが設けられている。
【0097】
気体導入部311bに流路FPbを介して進入する窒素ガス等の気体は、気体滞留空間GSPに進入し、気体吐出口b3近傍において流速が加速され、気体吐出口b3より吐出される。
【0098】
図13の現像液用ノズル311では、液体吐出口a3から吐出された液体と気体吐出口b3から吐出された気体とが現像液用ノズル311の下端近傍の外部で混合されることにより混合液が生成され、当該混合液が噴射される。
【0099】
図13の現像液用ノズル311に対して気体および液体の供給が停止した場合、液体吐出口a3付近に表面張力による液滴が残存する。そこで、気体吐出口b3から気体が吐出されることにより、液体吐出口a3付近に残存する液滴が現像液用ノズル311から離脱する。
【0100】
(8-2)上記実施の形態の図12に示される処理液供給処理においては、時刻t2において、リンス液用ノズル312に対して気体を供給する気体供給部11aおよびリンス液を供給するリンス液供給部11cがオンされるが、本発明はこれに限定されない。気体供給部11aおよびリンス液供給部11cは、例えば、現像液用ノズル311に対して現像液の供給が停止する時点を示す時刻t3にオンされてもよい。この場合、処理液供給処理において、基板Wに供給される液体を、現像液からリンス液に直ちに切り替える場合に、リンス液を供給している最中に現像液が基板Wに供給される時間をできるだけ短くすることができる。このため、現像装置1のスループットを向上することが可能になる。
【0101】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、現像液用ノズル311およびリンス液用ノズル312が二流体ノズルの例であり、現像液供給部11bおよびリンス液供給部11cが液体供給部の例であり、二流体混合空間MSPが混合部の例であり、吸着保持部71が基板支持部の例であり、現像液用ノズル311が第1の二流体ノズルの例であり、リンス液用ノズル312が第2の二流体ノズルの例である。
【0102】
(9)実施の形態の総括
(第1項)一態様に係る二流体吐出装置は、
液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給する気体供給部と、
前記二流体ノズルに前記液体を供給する液体供給部と、
前記気体供給部および前記液体供給部を制御して、前記二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止する制御部と、を備える。
【0103】
第1項に記載の二流体吐出装置によれば、二流体ノズルに対して、液体の供給が停止した後に気体の供給が停止する。この場合、液体の供給の停止により、二流体ノズルから吐出されなかった液体が残存する。この状態で、二流体ノズルに気体が供給されるので、二流体ノズルに残存した液体が二流体ノズルから離脱する。その結果、二流体ノズルにおいて残存した液体が二流体ノズルから落下するのを抑制することが可能になる。
【0104】
(第2項)第1項に記載の二流体吐出装置において、
前記二流体ノズルは、前記液体および前記気体が混合される混合部を含み、
前記液体の供給を停止してから前記気体の供給を停止するまでの時間は、前記混合部の体積に基づいて定められてもよい。
【0105】
第2項に記載の二流体吐出装置によれば、液体の供給を停止してから気体の供給を停止するまでの時間が混合部の体積に基づいて定められるので、より正確に、二流体ノズルにおいて残存した液体を排出することが可能になる。
【0106】
(第3項)他の態様に係る基板処理装置は、
第1項または第2項記載の前記二流体吐出装置を備える。
【0107】
第3項に記載の基板処理装置においては、二流体ノズルからの混合液の吐出が停止する際、二流体ノズルに残存した液体を排出することができるので、基板への液滴の落下を抑制することが可能になる。
【0108】
(第4項)第3項に記載の基板処理装置は、
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部により支持された基板の外方に位置する待機位置と前記基板の上方に位置する吐出位置との間で前記二流体ノズルを移動可能に構成されたノズル駆動部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記ノズル駆動部により前記二流体ノズルが移動される前に、前記二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止してもよい。
【0109】
第4項に記載の基板処理装置においては、二流体ノズルが移動する前に、液体の供給が停止された後に気体の供給が停止される。そのため、二流体ノズルにおいては、液体の供給が停止された後に気体が供給されるので、二流体ノズルに残存する余分な現像液が除去される。その結果、ノズル移動中に液体の落下を抑制することができる。
【0110】
(第5項)第3項に記載の基板処理装置は、
前記二流体ノズルは、前記液体としての現像液と前記気体が混合された第1の混合液を吐出可能な第1の二流体ノズルと前記液体としてのリンス液と前記気体が混合された第2の混合液を吐出可能な第2の二流体ノズルとを含み、
前記制御部は、基板に現像液の供給を開始した後にリンス液を供給する現像処理において、前記第1の二流体ノズルから前記第1の混合液の吐出を停止する場合、前記現像液の供給を停止した後に前記気体の供給を停止してもよい。
【0111】
第5項に記載の基板処理装置においては、基板の現像処理において、第1の二流体ノズルから第1の混合液の吐出が停止される場合、現像液の供給が停止された後に気体の供給が停止される。それにより、基板にリンス液が供給されている間に、第1の二流体ノズルに残存する余分な現像液が除去される。このため、基板への現像液の付着を回避することができる。その結果、効率的に現像処理を実行することができる。
【0112】
(第6項)他の態様に係る二流体ノズル制御方法は、
液体および気体が混合された混合液を吐出可能な二流体ノズルを備えた基板処理装置を制御する二流体ノズル制御方法であって、
前記二流体ノズルに前記液体を供給するステップと、
前記二流体ノズルに前記気体を供給するステップと、
前記二流体ノズルからの前記混合液の吐出を停止する場合、液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止するステップと、を含む。
【0113】
第6項に記載の二流体ノズル制御方法によれば、二流体ノズルに対して、液体の供給が停止した後に気体の供給が停止する。この場合、液体の供給の停止により、二流体ノズルから吐出されなかった液体が残存する。この状態で、二流体ノズルに気体が供給されるので、二流体ノズルに残存した液体が二流体ノズルから離脱する。その結果、二流体ノズルにおいて残存した液体が二流体ノズルから落下するのを抑制することが可能になる。
【0114】
(第7項)第6項に記載の二流体ノズル制御方法は、
前記液体の供給を停止してから前記気体の供給を停止するまでの時間は、前記二流体ノズルの前記液体および前記気体が混合される混合部の体積に基づいて定められてもよい。
【0115】
第7項に記載の二流体ノズル制御方法によれば、液体の供給を停止してから気体の供給を停止するまでの時間が混合部の体積に基づいて定められるので、より正確に、二流体ノズルにおいて残存した液体を排出することが可能になる。
【0116】
(第8項)第6項または第7項に記載の二流体ノズル制御方法において、
前記基板処理装置は、
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部により支持された前記基板の外方に位置する待機位置と前記基板支持部により支持された前記基板の上方に位置する処理位置との間で前記二流体ノズルを移動させるノズル駆動部と、を備え、
前記気体の供給を停止するステップは、前記ノズル駆動部により前記二流体ノズルが移動される前に、前記二流体ノズルに前記液体の供給を停止した後に前記気体の供給を停止するステップを、含む。
【0117】
第8項に記載の二流体ノズル制御方法によれば、二流体ノズルが移動する前に、液体の供給が停止された後に気体の供給が停止される。そのため、二流体ノズルにおいては、液体の供給が停止された後に気体が供給されるので、二流体ノズルに残存する余分な現像液が除去される。その結果、ノズル移動中に液体の落下を抑制することができる。
【0118】
(第9項)第6項または第7項に記載の二流体ノズル制御方法において、
前記二流体ノズルは、現像液と前記気体が混合された第1の混合液を吐出可能な第1の二流体ノズルと、リンス液と前記気体が混合された第2の混合液を吐出可能な第2の二流体ノズルとを含み、
前記気体の供給を停止するステップは、基板に前記現像液の供給を開始した後に前記リンス液を供給する現像処理において、前記第1の二流体ノズルから前記第1の混合液の吐出を停止する場合、前記現像液の供給を停止した後に前記気体の供給を停止するステップを含む。
【0119】
第9項に記載の二流体ノズル制御方法によれば、基板の現像処理において、第1の二流体ノズルから第1の混合液の吐出が停止される場合、現像液の供給が停止された後に気体の供給が停止される。それにより、基板にリンス液が供給されている間に、第1の二流体ノズルに残存する余分な現像液が除去される。このため、基板への現像液の付着を回避することができる。その結果、効率的に現像処理を実行することができる。
【0120】
上記一連の実施形態に係る二流体吐出装置、基板処理装置および二流体ノズル制御方法によれば、二流体ノズルからの液滴の落下が抑制されるので、液滴の揮発による大気汚染を抑制することができる。それにより、地球環境の汚染の低減に寄与することができる。
【符号の説明】
【0121】
1…現像装置,1w…第1の側壁板,2w…第2の側壁板,3A…円筒部,3B…底部,3b…衝突面,3w…第3の側壁板,4w…第4の側壁板,5w…床板,6w…天井板,10…気体供給部,11a…気体供給部,11b…現像液供給部,11c…リンス液供給部,12a…気体供給経路,12b…現像液供給経路,12c…リンス液供給経路,31…ノズル,40…カップ,41…筒状壁部,42…液受け部,49…昇降駆動部,50…収容器,51…側壁部,52…底部,61…排気管,62…排液管,70…基板保持装置,71…吸着保持部,72…スピンモータ,73…回転軸,78…吸引装置,79…モータカバー,90…制御部,91…第1の昇降制御部,92a…気体制御部,92b…液体制御部,93…第1の回転制御部,94…吸引制御部,95…第2の昇降制御部,96…第2の回転制御部,100…区画板,110…ノズル開口,200…筒部材,300…ノズルアームユニット,310…ノズル,310a…液体導入部,310d…噴射部,311…現像液用ノズル,311A…本体部,311B…気体導入部材,311a…液体導入部,311b,311c…気体導入部,311d…噴射部,312…リンス液用ノズル,312a…液体導入部,312b,312c…気体導入部,312d…噴射部,320…支持体,321…一端部,322…他端部,323…ノズル固定部,324…配管固定部,325…カバー取り付け部,329…配管固定片,330…カバー部材,331…上面部,331h…貫通孔,333…他方端面部,333N…切り欠き,391…筒状結束部材,400…ノズル駆動部,401…回転軸,500…待機ポッド,510…待機孔,AG…空気ガイド,AX…軸,CA…筐体,D1…第1の方向,D2…第2の方向,DU…ダクト,FL…フィルタ,FPa,FPb,FPc…流路,GSP…気体滞留空間,LPA…液処理ユニット,LPB…液処理ユニット,MSP…二流体混合空間,MSP1…二流体衝突空間,MSP2…二流体導出空間,OP1…開口部,P1…処理位置,P2…待機位置,PP…配管,SP…内部空間,SPa…処理空間,SPb…非処理空間,T1…リンス液供給期間,T2…液体吐出期間,W …基板,a3…液体吐出口,b3…気体吐出口,op1…開口,ph…搬入搬出口
図1
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