(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003572
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】表示パネル用スタンド装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240105BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20240105BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240105BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G09F9/00 351
G09F7/18 M
H04N5/64 581C
H05K5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102794
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 友希
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
【テーマコード(参考)】
4E360
5G435
【Fターム(参考)】
4E360AC14
4E360AC23
4E360ED02
4E360GA52
4E360GA53
4E360GB99
5G435AA00
5G435AA18
5G435EE07
5G435EE08
5G435EE13
5G435EE19
(57)【要約】
【課題】表示パネルを高さ調節できるスタンド装置に関し、スタンド本体の大型化を防止できる簡易な構造を提供する。
【解決手段】スタンド装置は、上下の支持ビーム9を有するスタンド本体1と、表示パネル2に固定されるコ字形の第1ブラケット3と、第1ブラケット3に連結されたフック式ブラケット4及び固定式ブラケット5を有している。フック式ブラケット4は上段の支持ビーム9に上から嵌合し、固定式ブラケット5は下段の支持ビーム9にビス24で固定されている。フック式ブラケット4及び固定式ブラケット5の高さを変えることにより、表示パネル2の高さを調節できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを高さ調節可能に支持するスタンド装置であって、
左右長手の支持ビームを有するスタンド本体と、
前記表示パネルの裏面に固定される上下長手の第1ブラケットと、
前記第1ブラケットに高さ調節可能に固定されて前記スタンド本体の支持ビームに取り付く第2ブラケットと、を備えている、
表示パネル用スタンド装置。
【請求項2】
前記スタンド本体の支持ビームは上下複数段配置されている一方、
前記第2ブラケットは、1本の前記支持ビームに上から嵌合するフック式ブラケットと、1本の前記支持ビームとは異なる高さの支持ビームの前面にファスナで上下動不能に保持される固定式ブラケットとで構成されている、
請求項1に記載した表示パネル用スタンド装置。
【請求項3】
前記フック式ブラケットは上段で前記固定式ブラケットは下段に配置されている、
請求項2に記載した表示パネル用スタンド装置。
【請求項4】
前記第1ブラケットは、左右の側板を有する平面視コ字形に形成されて、前記第2ブラケットが前記第1ブラケットの内部に配置されている、
請求項1~3のうちのいずれかに記載した表示パネル用スタンド装置。
【請求項5】
前記第1ブラケットの左右側板には取り付け穴が上下多段に形成されており、前記フック式ブラケットと固定式ブラケットとは、前記取り付け穴に挿通したファスナによって前記第1ブラケットの内部に離脱不能に保持されている、
請求項4に記載した表示パネル用スタンド装置。
【請求項6】
前記支持ビームには、前記固定式ブラケットをファスナで固定するための貫通穴が左右方向に並んで複数形成されている、
請求項2又は3に記載した表示パネル用スタンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子式モニター(ディスプレイ)のような表示パネルを支持する移動式のスタンド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子式モニターは様々な場所で使用されている。特に、近年、大型化、高精彩化、低価格化が進展し、オフィスや店舗、学校、各種のデモンストレーション会場などで使用される機会が増えている。そして、電子式モニターはスタンド装置によって支持されている。
【0003】
電子式モニター用スタンド装置の例として特許文献1には、左右長手の上下2段の支持ビームを有するスタンド本体と、電子式モニターの背面に固定されるブラケットとを有して、ブラケットに、支持ビームに嵌合する上下のフック部を設けることが開示されている。
【0004】
他方、電子式モニターは大きさが相違するものが他種類存在することから、高さを変えて配置したいという要望が多いが、特許文献1では、電子式モニターの高さが一定に保持されているため、この要望に応え難いという問題がある。
【0005】
この点について、特許文献2には、スタンド本体に支柱を昇降自在に設け、支柱に上下支持ビームを設けることにより、電子式モニターの高さを調節できるようにした構成が開示されている。また、特許文献3には、スタンド本体の支持ビームを3段配置して、ブラケットの係止高さ位置を変更することによって電子式モニターの高さを調節できるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3193326号CD-ROM
【特許文献2】特開2010-107746号公報
【特許文献3】特開2005-108974号公報(特許第4007952号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の構成は電子式モニターの高さを変更できるが、構造が著しく複雑化してコストが嵩むという問題がある。他方、特許文献3は特許文献2に比べると構造は簡単であるためコスト上昇を抑制できるが、スタンド本体が大型化するおそれがある。
【0008】
本願発明はこのような現状を背景に成されたものであり、大型化や複雑化をもたらすことなく電子式モニター等の表示パネルを高さ調節できるスタンド装置を開示せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、表示パネルを高さ調節可能に支持するスタンド装置に係り、このスタンド装置は、
「左右長手の支持ビームを有するスタンド本体と、
前記表示パネルの裏面に固定される上下長手の第1ブラケットと、
前記第1ブラケットに高さ調節可能に固定されて前記スタンド本体の支持ビームに取り付く第2ブラケットと、を備えている」
という構成になっている。
【0010】
本願発明は様々に展開・具体化できる。その例として請求項2の発明は、
「前記スタンド本体の支持ビームは上下複数段配置されている一方、
前記第2ブラケットは、1本の前記支持ビームに上から嵌合するフック式ブラケットと、1本の前記支持ビームとは異なる高さの支持ビームの前面にファスナで上下動不能に保持される固定式ブラケットとで構成されている」
という構成になっている。
【0011】
請求項2の発明の好適な具体例として、請求項3では、
「前記フック式ブラケットは上段で前記固定式ブラケットは下段に配置されている」
という構成になっている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1~3のうちのいずれかにおいて、
「前記第1ブラケットは、左右の側板を有する平面視コ字形に形成されて、前記第2ブラケットが前記第1ブラケットの内部に配置されている」
という構成になっている。
【0013】
請求項4の具体例として、請求項5では、
「前記第1ブラケットの左右側板には取り付け穴が上下多段に形成されており、前記フック式ブラケットと固定式ブラケットとは、前記取り付け穴に挿通したファスナによって前記第1ブラケットの内部に離脱不能に保持されている」
という構成になっている。
【0014】
請求項6の発明は、請求項2又は3において、
「前記支持ビームには、前記固定式ブラケットをファスナで固定するための貫通穴が左右方向に並んで複数形成されている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、第2ブラケットを第1ブラケットに付け替えることによって表示パネルの高さを変更するものであり、ブラケットが高さ調節機能を有しているため、スタンド本体には特段の加工を施す必要はなくて、スタンド本体の大型化を防止できる。また、第2ブラケットは第2ブラケット及び支持ビームに取り付く機能があればよくて大きい必要はないため、ブラケット全体としても大型化は生じない。従って、本願発明のスタンド装置は、大型化を抑制しつつ、表示パネルを高さ調節可能に支持できる。
【0016】
第1ブラケット及び第2ブラケットの構造は様々に具体化できるが、請求項2のように第2ブラケットをフック式ブラケットと固定式ブラケットとで構成すると、フック式ブラケットを支持ビームに係止することによって表示パネルを落下不能に保持できるため、表示パネルの取り付け・取り外しを安全かつ容易に行える。
【0017】
請求項2のように、第2ブラケットをフック式ブラケットと固定式ブラケットとで構成すると、フック式ブラケットを支持ビームに係止した状態では、表示パネルには、自重により、フック式ブラケットを支点にして回動する作用を受けるが、請求項3のように、フック式ブラケットを上段で固定式ブラケットを下段に配置すると、表示パネルの重量が、固定式ブラケットを下段の支持ビームに密着させるように作用するため、取り付け・取り外しの作業に際して人が手を表示パネルから手を離しても、表示パネルは安定した姿勢に保持される。従って、表示パネルの取り付け・取り外しの作業を安全かつ容易に行える。
【0018】
第1ブラケットと第2ブラケットとの関係は様々に設定できるが、請求項4のように、第1ブラケットをコ字形の溝状に形成してその内部に第2ブラケットを配置すると、ブラケットを全体としてコンパクト化できるのみならず、第1ブラケットを第2ブラケットによって補強できるため、強度面でも優れている。
【0019】
請求項4の展開例として請求項5を採用すると、第1ブラケットの側板に取り付け穴を設けても第1ブラケットの強度は基本的には低下しないし、逆に、左右側板が第2ブラケットで連結された状態になるため、第1ブラケットの剛性・強度を向上できる。また、第1ブラケットの基板は表示パネルの裏面にビス等で固定されるが、表示パネルに対する第1ブラケットの固定機能を損なわない利点もある。
【0020】
電子式モニター等の表示パネルは様々な大きさのものがあり、大きさ(特に左右幅) によって第1ブラケットの固定位置も相違することになるが、請求項6の構成では、第1ブラケットの配置位置に応じて支持ビームへの取り付け位置を変更できるため、表示パネルの大きさの違いに対する対応性に優れている。従って、実用的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態を示す図で、(A)は前方から見た斜視図、(B)は後ろから見た斜視図である。
【
図2】(A)は分離斜視図、(B)は一部の部材を分離して後ろ下方から見た斜視図である。
【
図3】(A)は要部の分離斜視図、(B)は
図1のIIIB-IIIB 視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1).構造の説明
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、スタンド装置は、床上に自立するスタンド本体1と、表示パネル2の裏面に固定される左右の第1ブラケット3と、第1ブラケット3の上寄り部に連結されたフック式ブラケット4(
図3参照)と、第1ブラケット3の下寄り部位に連結された固定式ブラケット5(
図3参照)とを備えている。フック式ブラケット4と固定式ブラケット5とは、請求項に記載した第2ブラケットを構成している。
【0023】
スタンド本体1は、側面視で逆V形の姿勢を成した左右の脚部6と、左右の脚部6から立ち上がった支柱7と、左右の脚部6を中途高さで連結する補強ステー8と、左右の支柱7に装架した上下2段の支持ビーム9とを備えている。脚部6の下端にはキャスタ10を設けている。
【0024】
脚部6はスチール製等の丸パイプを材料にして製作されており、脚部6を構成する一方の部分を上向きに延長して支柱7成している。支持ビーム9は角パイプによって中空に形成されており、側面視では上下に長い長方形を成している。
【0025】
左右脚部6の上端間には、筆記具やポインター等の付属品を載置できる左右長手の物品載置トレー11を装架している。
図2(B)に示すように、左右脚部6の上端間に、支持ビーム9と同様の角パイプよりなる補強ステー12を連結し、補強ステー12に左右のブラケット片12aを介して物品載置トレー11が固定されている。
【0026】
脚部6について正確に述べると、支柱7が立ち上がった左右の足材に補強ステー12を連結し、補強ステー12の左右側部に他方の足材の上端を固定している。従って、
図4に明示するように、支柱7が立ち上がった足材は左右外側に位置している。
【0027】
図3に明示するように、第1ブラケット3はスチール製であり、表示パネル2の裏面に重なる基板(背板)3aと左右の側板3bとを有している。従って、平面視で後ろ向きに開口したコ字形のチャンネル状(溝状)の形態を成している。基板3aの上寄り部位と下寄り部位とには、それぞれ3段ずつの貫通穴13が空いており、貫通穴13に挿通したビス14によって第1ブラケット3を表示パネル2の背面に固定している。従って、表示パネル2の背面部には、ビス14がねじ込まれるタップ穴15を設けている。
【0028】
他方、フック式ブラケット4は、基板4aと左右の側板4bとを有する平面視コ字形を成しており、第1ブラケット3の内部に嵌入する左右幅であるが、側板4bは第1ブラケット3から後ろ向きにはみ出ており、はみ出し部が支持ビーム9に上から嵌まる下向き鉤状のフック部16と成している。すなわち、側板4bに、支持ビーム9に嵌合する切欠きを形成してフック部16と成している。
【0029】
第1ブラケット3の左右側板3bの上部と下部とには3段の取り付け穴18の対が空いている一方、フック式ブラケット4の左右側板4bにも取り付け穴19が空いており、第1ブラケット3の一方の側板3bに挿通した筒ナット20に対して、第1ブラケット3の他方の側板3bから挿通してビス21をねじ込むことより、フック式ブラケット4をずれ不能に保持している。
図3(A)に示すように、ビス21は、筒ナット20と同径の段部21aを有する段付きビスになっている。
【0030】
図3(B)に示すように、フック式ブラケット4の基板4aは第1ブラケット3に基板3aに重なっているが、第1ブラケット3を表示パネル2に固定するビス14がフック式ブラケット4と重なることがあるため、フック式ブラケット4における基板4aの下端には、ビス14の頭を逃がす下向きの切欠き4dが形成されている。
【0031】
固定式ブラケット5は、基板5aと左右の側板5bとを有するコ字形であるが、第1ブラケット3の背板3aに向けて開口しており、基板5aは支持ビーム9の前面に重なっている。そして、フック式ブラケット4と同様に左右の側板5bに取り付け穴22が空いており、フック式ブラケット4と同様に、筒ナット20及びビス21で第1ブラケット3に連結している。
【0032】
固定式ブラケット5の側板5bは第1ブラケット3の基板3aに当接しており、従って、固定式ブラケット5は第1ブラケット3にずれ不能に連結されている。そして、基板5aの内面にナット23を固定し、下段の支持ビーム9に後ろから挿通したビス24をナット23にねじ込むことにより、固定式ブラケット5を下段の支持ビーム9に固定している。従って、下段の支持ビーム9にはビス24が貫通する取り付け穴25が空いているが、取り付け穴25は左右に間隔を空けて複数個(4個)設けている。
【0033】
(2).まとめ
以上の構成において、
図4に二点鎖線及び三点鎖線で表示するように、第1ブラケット3に対するフック式ブラケット4及び固定式ブラケット5の高さを変えることにより、表示パネル2の高さを変えることができる。本実施形態では、例えば75インチの電子式モニターに対応できるが、大型の電子式モニターを最も視認しやすい状態に支持して、展示効果を向上できる。
【0034】
また、下段の支持ビーム9に対する固定式ブラケット5の固定位置を左右に変更することにより、第1ブラケット3の左右位置を変更できる。従って、表示パネル2の左右幅の相違に柔軟に対応できる。すなわち、本実施形態のスタンド装置は、様々な大きさの表示パネル2を支持できると共に、表示パネル2の高さも3段階に調節できる。従って、融通性が高い。
【0035】
表示パネル2を取り付けるに当たっては、フック式ブラケット4を上段に支持ビーム9に係止してから、固定式ブラケット5を下段の支持ビーム9に固定することになるが、フック式ブラケット4を支持ビーム9に係止すると、表示パネル2は落下不能に保持されるため、作業者は表示パネル2から手を離して固定式ブラケット5を下段の支持ビーム9に固定できる。従って、取り付け作業を安全かつ迅速に行える。
【0036】
そして、表示パネル2は支持ビーム9の手前に配置されているため、表示パネル2には、自重により、フック式ブラケット4を支点にして下端が後ろに向かうように回動しようとするが、フック式ブラケット4が上段の支持ビーム9に係止しているため、表示パネル2は支持ビーム9に密着している。従って、表示パネル2を安定的に保持できる。
【0037】
実施形態のように、フック式ブラケット4及び固定式ブラケット5を筒ナット20と段付きビス21からなるファスナで固定すると、第1ブラケット3の左右側板3bの間隔がファスナで保持されるため、左右側板3bがファスナによって連結されるため、第1ブラケット3の剛性・強度を格段に向上できるし、フック式ブラケット4及び固定式ブラケット5の固定強度も向上できる。
【0038】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、第2ブラケットは第1ブラケットに外側から嵌合する形態であってもよい。また、第1ブラケットは中空角形の形態やC型のチャンネル構造であってもよい。実施形態のスタンド本体は丸パイプ製であるが、角パイプ製やアングル材製などであってもよい。
【0039】
実施形態では、第2ブラケットは上下に分離したフック式ブラケットと固定式ブラケットとで構成されているが、上下に連続した形態と成すことも可能である。すなわち、1本の第2ブラケットにフック部と固定部とを設けた形態と成すこともできる。第2ブラケットを第1ブラケットに固定するファスナや第2ブラケットを支持ビームに固定するファスナとしては、拡張式のリベット(ブラインドリベット)も使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本願発明は、実際にスタンド装置に適用できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 スタンド本体
2 表示パネル(電子式モニター)
3 第1ブラケット
4 第2ブラケットを構成するフック式ブラケット
5 第2ブラケットを構成する固定式ブラケット
6 脚部
7 支柱
9 支持ビーム
14 第1ブラケットを表示パネルに固定するビス
15 タップ穴
18 取り付け穴
19,22 取り付け穴
20 ファスナを構成する筒ナット
21 ファスナを構成するビス
24 固定式ブラケットを支持ビームに固定するビス
25 支持ビームの取り付け穴