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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035728
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】生体情報計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/256 20210101AFI20240307BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A61B5/256 130
H04R1/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140373
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】321010254
【氏名又は名称】株式会社CyberneX
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 裕也
(72)【発明者】
【氏名】有川 樹一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬場 基文
【テーマコード(参考)】
4C127
5D005
【Fターム(参考)】
4C127AA03
4C127BB03
4C127JJ03
4C127LL13
5D005BA16
(57)【要約】
【課題】第一筐体の外側に第二筐体が配置された構成と比較して、生体情報計測装置を装着したユーザが動いた場合に、外耳道及び耳介に対して計測部が位置ずれることを抑制することを目的とする。
【解決手段】右側イヤホン20Rは、ユーザの外耳道と、耳介67の一部の所定の位置とに配置されるとともにユーザの生体情報を計測する第一電極部24及び第二電極部26を有する第一筐体40と、ユーザの生体情報を計測する計測部を有さず、耳の裏側に配置される第二筐体50と、第二筐体50と第一筐体40を繋ぐ接続アーム60と、を有し、接続部材は、弾性材料で構成される部分を含み、第一筐体40及び第二筐体50をユーザに装着させてユーザの生体情報を計測する場合、接続アーム60を弾性変形させ、第二筐体50を耳66の裏側に配置し、第一筐体40と耳66を挟み所定の位置に配置する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの外耳道、及び前記ユーザの耳介の一部の所定の位置に配置されるとともに前記ユーザの生体情報を計測する計測部を有する第一筐体と、
前記ユーザの生体情報を計測する計測部を有さず、前記ユーザの耳の裏側に配置される第二筐体と、
前記第二筐体と前記第一筐体とを繋ぐ接続部材と、を有し、
前記接続部材は、弾性材料で構成される部分を含み、
前記第一筐体及び前記第二筐体を前記ユーザに装着させて前記ユーザの生体情報を計測する場合、前記接続部材を弾性変形させ、前記第二筐体を耳の裏側に配置し、前記第一筐体と前記耳を挟み前記所定の位置に配置する、
生体情報計測装置。
【請求項2】
前記第一筐体及び前記第二筐体が前記ユーザに装着される前の外部の力によって前記接続部材が弾性変形しない状態で、前記第一筐体と前記第二筐体とは、接触又は近接して配置される、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項3】
前記接続部材は、前記第一筐体及び前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記ユーザの身体から離れる方向へ凸状に湾曲するとともに、前記耳の上縁部を跨いで前記第二筐体と接続される湾曲部を有し、
前記湾曲部は、前記弾性材料で構成される部分を含む、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項4】
前記接続部材は、ねじることで変形可能とされる、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
前記接続部材の内部には、前記第一筐体と前記第二筐体とに亘る導線が配置される、
請求項4に記載の生体情報計測装置。
【請求項6】
前記計測部は、
前記外耳道に配置される第一電極部と、
前記耳介の一部の所定の位置に配置される第二電極部と、
を有する、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の生体情報計測装置。
【請求項7】
前記第一電極部及び前記第二電極部は、弾性体によって形成される、
請求項6に記載の生体情報計測装置。
【請求項8】
前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第二筐体の重心は、前記耳の裏側に位置する、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項9】
前記第二筐体には、電池及び基板の少なくとも一方が収容される、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項10】
前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第二筐体は、前記耳の外方向に向けた部位よりも内側に配置される、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項11】
前記第一筐体及び前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第二筐体は、前記第一筐体と前記ユーザの外耳道の挿入方向で重ならない位置に配置される、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項12】
前記第一筐体に音出力部があり、
前記音出力部から発せられた音が通り抜ける前記第一筐体の開口部は、前記ユーザの装着時に前記外耳道の挿入方向に向けて開口され、
装着している前記ユーザの前記耳介の近くに配置される前記第一筐体の一部には、音が通り抜ける開口部を有さない、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項13】
前記第一筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第一筐体は、外部音を通す空洞を前記外耳道に向けて少なくとも1つ有する、
請求項1に記載の生体情報計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願が開示する技術は、生体情報計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの耳に装着され、ユーザの脳波等の生体情報を計測する生体情報計測装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された生体情報計測装置は、ユーザの耳の表側に配置される筐体と、筐体に設けられ、外耳道に接触して生体情報を計測する電極とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-186934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された生体情報計測装置では、ユーザの動きに伴って、外耳道及び耳介に対して第一電極及び第二電極が位置ずれ易い点で、改善の余地がある。
【0006】
本願が開示する技術は、第一筐体の外側に第二筐体が配置された構成と比較して、生体情報計測装置を装着したユーザが動いた場合に、外耳道及び耳介に対して計測部が位置ずれることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る生体情報計測装置は、ユーザの外耳道、及び前記ユーザの耳介の一部の所定の位置に配置されるとともに前記ユーザの生体情報を計測する計測部を有する第一筐体と、前記ユーザの生体情報を計測する計測部を有さず、前記ユーザの耳の裏側に配置される第二筐体と、前記第二筐体と前記第一筐体とを繋ぐ接続部材と、を有し、前記接続部材は、弾性材料で構成される部分を含み、前記第一筐体及び前記第二筐体を前記ユーザに装着させて前記ユーザの生体情報を計測する場合、前記接続部材を弾性変形させ、前記第二筐体を耳の裏側に配置し、前記第一筐体と前記耳を挟み前記所定の位置に配置する。
【0008】
第2態様に係る生体情報計測装置は、第1態様に係る生体情報計測装置において、前記第一筐体及び前記第二筐体が前記ユーザに装着される前の外部の力によって前記接続部材が弾性変形しない状態で、前記第一筐体と前記第二筐体とは、接触又は近接して配置される。
【0009】
第3態様に係る生体情報計測装置は、第1態様又は第2態様に係る生体情報計測装置において、前記接続部材は、前記第一筐体及び前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記ユーザの身体から離れる方向へ凸状に湾曲するとともに、前記耳の上縁部を跨いで前記第二筐体と接続される湾曲部を有し、
前記湾曲部は、前記弾性材料で構成される部分を含む。
【0010】
第4態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第3態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記接続部材は、ねじることで変形可能とされる。
【0011】
第5態様に係る生体情報計測装置は、第4態様に係る生体情報計測装置において、前記接続部材の内部には、前記第一筐体と前記第二筐体とに亘る導線が配置される。
【0012】
第6態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第5態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記計測部は、前記外耳道に配置される第一電極部と、前記耳介の一部の所定の位置に配置される第二電極部と、を有する。
【0013】
第7態様に係る生体情報計測装置は、第6態様に係る生体情報計測装置において、前記第一電極部及び前記第二電極部は、弾性体によって形成される。
【0014】
第8態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第7態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第二筐体の重心は、前記耳の裏側に位置する。
【0015】
第9態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第8態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記第二筐体には、電池及び基板の少なくとも一方が収容される。
【0016】
第10態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第9態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第二筐体は、前記耳の外方向に向けた部位よりも内側に配置される。
【0017】
第11態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第10態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記第一筐体及び前記第二筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第二筐体は、前記第一筐体と前記ユーザの外耳道の挿入方向で重ならない位置に配置される。
【0018】
第12態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第11態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記第一筐体に音出力部があり、前記音出力部から発せられた音が通り抜ける前記第一筐体の開口部は、前記ユーザの装着時に前記外耳道の挿入方向に向けて開口され、装着している前記ユーザの前記耳介の近くに配置される前記第一筐体の一部には、音が通り抜ける開口部を有さない。
【0019】
第13態様に係る生体情報計測装置は、第1態様~第12態様の何れか1つに係る生体情報計測装置において、前記第一筐体が前記ユーザに装着された状態で、前記第一筐体は、外部音を通す空洞を前記外耳道に向けて少なくとも1つ有する。
【発明の効果】
【0020】
第1態様によれば、第一筐体の外側に第二筐体が配置された構成と比較して、生体情報計測装置を装着したユーザが動いた場合に、外耳道及び耳介に対して計測部が位置ずれることを抑制することができる。
【0021】
第2態様によれば、第一筐体及び第二筐体がユーザに装着される前の外部の力によって前記接続部材が弾性変形しない状態で、第一筐体と第二筐体との間隔が広い構成と比較して、第一筐体及び第二筐体がユーザに装着された場合に、耳を挟む第一筐体及び第二筐体の力を大きくすることができる。
【0022】
第3態様によれば、湾曲部の全体が硬質材料で構成された場合と比較して、第一筐体と第二筐体との間隔を広げ易くなるため、第一筐体及び第二筐体の装着性が向上する。
【0023】
第4態様によれば、接続部材がねじることで変形しない場合と比較して、外耳道、及び耳介の一部の所定の位置に計測部を容易に配置することができる。
【0024】
第5態様によれば、接続部材の外部に導線が配置された構成と比較して、導線の断線を抑制することができる。
【0025】
第6態様によれば、第一電極部及び第二電極部の2つの電極部によって、ユーザの外耳道及び耳介の一部の電位をそれぞれ計測することにより、1つの電極部によってユーザの外耳道の電位を計測する構成と比較して、ユーザの耳の電位の計測精度が向上する。
【0026】
第7態様によれば、第一電極部及び第二電極部が硬質体で形成された構成と比較して、外耳道、及び耳介の一部の所定の位置に第一電極部及び第二電極部をそれぞれ密着させることができるため、第一電極部及び第二電極部による電位の計測精度が向上する。
【0027】
第8態様によれば、第二筐体の重心が耳の裏側以外に位置する構成と比較して、例えば、生体情報計測装置を装着したユーザの頭部が動いた場合に、第二筐体の位置ずれ、又は落下が抑制される。
【0028】
第9態様によれば、電池及び基板の少なくとも一方を第一筐体に収容する構成と比較して、第一筐体の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0029】
第10態様によれば、ユーザの耳の外方向に向けた部位よりも外側に第二筐体が配置される構成と比較して、第二筐体を安定させることができる。
【0030】
第11態様によれば、第一筐体とユーザの外耳道の挿入方向で重なる位置に第二筐体が配置された構成と比較して、ユーザが動いた場合に、第一筐体及び第二筐体の振動を低減することができる。
【0031】
第12態様によれば、ユーザの耳介の近くに配置される第一筐体の一部に、音が通り抜ける開口部を有する構成と比較して、音出力部から発せられた音をユーザの外耳道に向けて適切に音を伝え、かつ、生体情報を精度よく計測することができる。
【0032】
第13態様によれば、第一筐体がユーザに装着された状態で、外耳道へ向かう第一筐体の外部音が遮断される構成と比較して、第一筐体の外部音を外耳道に通しつつ、第一筐体の計測部によってユーザの生体情報を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態に係る生体情報システムのシステム構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る右側イヤホン及び左側イヤホンを前方から見た正面図である。
図3】一実施形態に係る右側イヤホン及び左側イヤホンを左後方から見た斜視図である。
図4】一実施形態に係る右側イヤホン及び左側イヤホンのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】一実施形態に係る右側イヤホンを示す側面図である。
図6】ユーザの耳を模式的に示す模式図である。
図7】一実施形態に係る右側イヤホンがユーザの耳に装着された状態を示す側面図である。
図8】一実施形態に係る右側イヤホンがユーザの耳に装着された状態を示す側面図である。
図9】一実施形態に係る右側イヤホンのイヤピース及び耳介ピースがユーザの外耳道及び耳甲介腔にそれぞれ配置された状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本願が開示する技術の一実施形態について説明する。
【0035】
(生体情報計測システム)
図1には、本実施形態に係る生体情報システム10が示されている。生体情報システム10は、生体情報取得装置12及び端末装置14を備えている。
【0036】
生体情報取得装置12と端末装置14とは、通信経路を介して互いに通信可能とされている。この生体情報取得装置12と端末装置14との通信には、無線通信又は有線通信が用いられる。なお、生体情報システム10には、サーバ等の装置が含まれてもよい。
【0037】
以下では、先ず、生体情報取得装置12及び端末装置14の構成の概略について説明し、次に、生体情報取得装置12の構成の詳細について説明する。
【0038】
(生体情報計測装置)
図2及び図3に示されるように、生体情報取得装置12は、ユーザの耳に装着された状態で、当該ユーザの生体情報を計測する装置である。また、生体情報取得装置12は、一例として、生体情報としてのユーザの脳波を計測する脳波計測装置である。また、生体情報取得装置12は、音声の入力や出力の機能を有し、人体に密着して利用されるウェラブルデバイスの形態であってよい。
【0039】
生体情報取得装置12は、ユーザの耳の電位(皮膚電位)を計測し、計測結果を示す情報(例えば計測された電位を示す信号、又は計測された電位を解析することにより生成された脳波信号等)を、脳波計測結果を示す情報として端末装置14等の外部装置に出力する。
【0040】
生体情報取得装置12は、イヤホンと兼用されている。具体的には、生体情報取得装置12は、カナル型のイヤホンと兼用されており、ユーザの外耳道に挿入された状態(嵌め込まれた状態)で、ユーザの生体情報を計測する。この生体情報取得装置12は、イヤホンの機能として、再生装置から出力された音信号を、スピーカを用いて音波に変換する機能を有している。
【0041】
生体情報取得装置12は、例えば、無線通信機能を有している。無線通信方式は、例えば、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)等)、赤外線通信、可視光通信、又はWi-Fi(登録商標)通信等である。
【0042】
生体情報取得装置12は、例えば、音声等の音信号を端末装置14から無線通信によって受信し、受信した信号に基づいて音を発生させる。また、生体情報取得装置12は、脳波計測結果を示す情報を無線通信によって端末装置14に送信する。
【0043】
なお、生体情報取得装置12は、音信号を端末装置14から有線通信によって受信してもよいし、脳波計測結果を示す情報を有線通信によって端末装置14に送信してもよい。
【0044】
(端末装置)
図1に示されるように、端末装置14は、例えば、パーソナルコンピュータ、モバイル端末(例えば、スマートホン、携帯電話、タブレット端末等)、音楽プレイヤー、又は動画再生装置等である。なお、端末装置14は、情報処理装置の一例である。
【0045】
端末装置14は、例えば、無線通信機能を有している。この端末装置14は、例えば、生体情報取得装置12から、ユーザの脳波計測結果を示す情報を無線通信によって受信し、受信した脳波計測結果を示す情報を解析することにより、ユーザの脳波状態を評価する機能を有している。
【0046】
なお、ユーザの脳波計測結果を示す情報を生体情報取得装置12によって解析し、解析結果を示す情報を、生体情報取得装置12から端末装置14に送信してもよい。
【0047】
端末装置14は、例えば、音信号を再生する再生装置としての機能を有し、再生した音信号を無線通信によって生体情報取得装置12に送信する。
【0048】
なお、端末装置14は、脳波計測結果を示す情報を有線通信によって生体情報取得装置12から受信してもよいし、音信号を有線通信によって生体情報取得装置12に送信してもよい。また、端末装置14は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信経路を介して他の装置と通信してもよい。
【0049】
(生体情報取得装置)
次に、生体情報取得装置の構成の詳細について説明する。
【0050】
図2及び図3に示されるように、生体情報取得装置12は、ユーザの右耳に装着される右側イヤホン20Rと、ユーザの左耳に装着される左側イヤホン20Lと、右側イヤホン20Rと左側イヤホン20Lとを電気的に接続するケーブル16とを備えている。なお、ケーブル16で左右の生体情報計測装置としての右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lを接続せず、各デバイス(右側イヤホン20R及び左側イヤホン20L)が独立して稼働するようにしてもよい。同様に、ケーブル16のように有線で左右の生体情報計測装置を接続せず、無線で左右の生体情報計測装置を接続して情報を同期すようにして稼働させてもよい。
【0051】
なお、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lは、生体情報計測装置の一例である。また、各図に適宜示される矢印Xは、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの前方(前側)を示している。また、矢印Yは、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの幅方向(厚み方向)を示している。さらに、矢印Zは、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの上方(上側)を示している。
【0052】
また、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lがユーザの耳に装着された状態で、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの前方(矢印X方向)は、ユーザの顔が向く方向と一致する。また、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lがユーザの耳に装着された状態で、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの幅方向(矢印Y方向)は、ユーザの頭部の横幅方向(左右方向)と一致する。さらに、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lがユーザの耳に装着された状態で、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの上方は、ユーザの頭頂が向く方向と一致する。
【0053】
図2に示されるように、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lは、第一筐体40と、第二筐体50と、接続アーム60とを有している。
【0054】
第一筐体40には、イヤピース(外耳道ピース)42及び耳介ピース(耳甲介腔ピース)44が設けられている。また、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの第二筐体50同士は、ユーザの頭部の後方に配置されるケーブル16を介して互いに接続されている。なお、接続アーム60は、接続部材の一例である。
【0055】
(生体情報取得装置のハードウェア構成)
図4には、生体情報取得装置12のハードウェア構成を示すブロック図が示されている。
【0056】
図4に示されるように、右側イヤホン20Rは、スピーカ22と、第一電極部24と、第二電極部26と、基板28とを有している。一方、左側イヤホン20Lは、スピーカ22と、第三電極部38と、電池39とを有している。なお、第一電極部24及び第二電極部26は、計測部の一例である。
【0057】
スピーカ(ドライバ)22は、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの第一筐体40(図2参照)にそれぞれ収容され、音信号に基づいて音を発する。なお、スピーカ22は、音出力部の一例である。
【0058】
図2に示されるように、第一電極部24は、右側イヤホン20Rのイヤピース42の外表面に設けられ、ユーザの外耳道の内周面に接触した状態で、当該内周面の電位(皮膚電位)を計測する。第二電極部26は、右側イヤホン20Rの耳介ピース44の外表面に設けられ、ユーザの耳甲介腔の表面に接触した状態で、当該表面の電位(皮膚電位)を計測する。
【0059】
図4に示されるように、第三電極部38は、左側イヤホン20Lのイヤピース42の外表面に設けられ、ユーザの外耳道の内周面に接触した状態で、当該内周面の電位(皮膚電位)を計測する。
【0060】
なお、説明の便宜上、右側イヤホン20Rのイヤピース42に設けられた電極部を第一電極部24とし、左側イヤホン20Lのイヤピース42に設けられた電極部を第三電極部38として区別しているが、第一電極部24及び第三電極部38の構成は同様である。
【0061】
また、本実施形態では、左側イヤホン20Lの耳介ピース44の外表面には、電極部が設けられていない。しかし、左側イヤホン20Lの耳介ピース44の外表面には、電極部(第四電極部)が設けられてもよい。
【0062】
第一電極部24、第二電極部26、第三電極部38によってそれぞれ計測されたユーザの電位を示す信号は、後述する脳波演算処理部36に出力される。
【0063】
電池39は、例えば、充放電可能な二次電池とされ、例えば、左側イヤホン20Lの第二筐体50(図2参照)に収容される。この電池39から、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの各部に電力が供給される。なお、電池39は、二次電池に限らず、一次電池でもよい。
【0064】
図5に示されるように、基板28は、例えば、右側イヤホン20Rの第二筐体50に収容される。基板28には、CPU及びメモリ等の複数の電子部品が実装されている。
【0065】
なお、基板28及び電池39は、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの少なくとも一方に設けることができる。
【0066】
図4に示されるように、基板28は、機能として、制御部30、記憶部32、通信部34、及び脳波演算処理部36を有している。制御部30は、例えば、基板28に実装されたCPU等によって実現される。この制御部30は、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの各部の動作を制御する。
【0067】
記憶部32は、例えば、基板28に実装されたメモリによって実現される。この記憶部32は、例えば、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38によってそれぞれ計測された電位を示す信号、及び後述する脳波演算処理部36によって演算された脳波を示す信号等を記憶する。
【0068】
通信部34は、基板28に実装された通信チップ等によって実現される。この通信部34は、前述した無線通信機能を有し、端末装置14との間でデータを送受信する。具体的には、通信部34は、例えば、スピーカ22から発する音の音信号を端末装置14又は他の外部装置から受信する。また、通信部34は、例えば、後述する脳波演算処理部36によって演算された脳波を示す情報を、端末装置14又は他の外部装置に送信する。
【0069】
脳波演算処理部36は、基板28に実装された電子回路等によって実現される。この脳波演算処理部36は、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38によってそれぞれ計測された電位に基づいて脳波を演算する。
【0070】
ここで、例えば、第一電極部24は、脳波を計測するセンサ電極として用いられ、第二電極部26は、接地用のグランド電極として用いられ、第三電極部38は、計測された脳波と比較するためのリファレンス信号を計測する参照用電極として用いられる。
【0071】
脳波演算処理部36は、グランド電極である第二電極部26によって計測された電位を基準電位(グランド電位)とし、センサ電極である第一電極部24によって計測された脳波の電位と、参照用電極である第三電極部38によって計測されたリファレンス電位との電位差を、脳波計測結果として演算する。
【0072】
なお、脳波演算処理部36は、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38を含む電極群の中から選択された2つの電極部によって計測された電位に基づいて、脳波を演算してもよい。また、脳波演算処理部36は、第一電極部24及び第二電極部26の2つの電極部によって計測された電位に基づいて、脳波を演算してもよい。さらに、脳波演算処理部36は、3つ以上の電極部によって計測された電位に基づいて、脳波を演算してもよい。
【0073】
(イヤホンの構造)
次に、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの構造について説明する。
【0074】
図2及び図3に示されるように、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lは、ユーザの頭部に対して左右対称に構成される。また、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの基本的な構造は、同様である。そのため、以下では、右側イヤホン20Rの構成について説明し、左側イヤホン20Lの構成については、説明を省略する。
【0075】
先ず、ユーザの耳について説明する。
【0076】
図6には、ユーザの耳(右耳)66の外観が模式的に示されている。図6に示されるように、耳(外耳)66は、外耳道94及び耳介67を有している。耳介67は、外耳道94に繋がる外耳孔68と、外耳孔68の周囲の部位である耳甲介腔70とを有している。また、耳介67は、耳輪72、耳甲介艇74、三角窩76、舟状窩78、対輪脚80、対輪82、耳輪脚84、耳珠86、対珠88、珠間切痕90、及び耳垂92を有している。
【0077】
図5には、ユーザの耳66に装着される前の状態(以下、「非装着状態」という)の右側イヤホン20Rが示されている。また、図7には、一例として、成人男性のような大きな耳66(耳66A)に、右側イヤホン20Rが装着された状態が示されている。一方、図8には、一例として、子供又は成人女性のような小さな耳66(耳66B)に、右側イヤホン20Rが装着された状態(以下、「装着状態」という)が示されている。さらに、図9には、ユーザの外耳道94及び耳甲介腔70に、イヤピース42及び耳介ピース44がそれぞれ配置された状態が示されている。なお、図7及び図8では、図6よりも耳66が簡略化されている。
【0078】
(第一筐体)
図5に示されるように、右側イヤホン20Rの第一筐体40は、例えば、第二筐体50よりも小さく、かつ、軽い箱状に形成されている。この第一筐体40は、右側イヤホン20Rの装着状態において、耳66の表側に配置される。また、第一筐体40の内部には、前述したスピーカ22(図4参照)が収容されている。なお、スピーカ22として、空気振動による音源を搭載したスピーカユニットを採用する場合には、スピーカ22は、第一筐体40内に収容する。一方、スピーカ22として、骨伝導型のスピーカユニットを採用する場合には、スピーカ22は、第一筐体40内に限らず、第二筐体50に収容してもよい。この場合は第二筐体50にユーザの頭部との接触点を設け、耳66周辺の骨を振動させることで、耳66の蝸牛へ音を届ける。
【0079】
第一筐体40は、耳介ピース(耳甲介腔ピース)44を有している。この耳介ピース44には、イヤピース(外耳道ピース)42が設けられている。イヤピース42は、弾性体によって半球状に形成されている。
【0080】
イヤピース42を形成する弾性体として、例えば、ゴム等の樹脂が挙げられる。より具体的には、弾性体としては、Si系のゴム(例えば、NOK社製のS1734)又はウレタン系のゴム等が挙げられる。また、イヤピース42及び耳介ピース44のそれぞれの硬度(例えば、デュロメータタイプA(瞬時)の規格に従った硬度)は、例えば40~75である。一例として、硬度が70の樹脂が、イヤピース42に用いられる。
【0081】
図9に示されるように、イヤピース42は、耳介ピース44に音導管41を介して設けられている。このイヤピース42は、ユーザの外耳道94に挿入される(嵌め込まれる)。
【0082】
なお、イヤピース42は、第一筐体40に着脱可能(交換可能)に装着される。また、第一筐体40は、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向(矢印Y方向)から見て、耳66よりも小さい。
【0083】
イヤピース42の中央部には、音導管41に通じる開口42Hが形成されている。この開口42H及び音導管41を通して、第一筐体40内のスピーカ22(図4参照)から発せられた音が外耳道94に流れる。なお、音導管41の先端側の開口部は、外耳道94にイヤピース42を挿入した状態で、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向に向けて開口する第二筐体50の開口部の一例である。
【0084】
右側イヤホン20Rの装着状態において、イヤピース42の外表面は、外耳道94の内周面に接触(密着)される。このイヤピース42の外表面の少なくとも一部には、前述したように、外耳道94の電位を計測する第一電極部24が設けられている。第一電極部24は、例えば、カーボン製の導電性ゴムによって構成される。
【0085】
なお、第一電極部24には、後述する導線62(図5参照)が電気的に接続されている。また、前述したように、左側イヤホン20Lのイヤピース42の外表面には、第三電極部38(図2参照)が設けられている。
【0086】
耳介ピース44は、例えば、弾性を有する樹脂等によって楕円形の球体状に形成されている。この耳介ピース44は、右側イヤホン20Rの装着状態において、イヤピース42の外側(外耳道94と反対側)に配置されている。また、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向から見て、耳介ピース44は、楕円状に形成されている。この耳介ピース44の外径は、イヤピース42の外径よりも大きくされている。この耳介ピース44は、イヤピース42が外耳道94に挿入された状態で、耳甲介腔70に配置される(嵌め込まれる)。
【0087】
なお、耳介ピース44は、インナーイヤー型イヤホンとは異なり、スピーカ22から発せられた音声が通り抜ける開口部を有していない。また、耳介ピース44の形状は、楕円形の球体状に限らず、適宜変更可能である。
【0088】
右側イヤホン20Rの装着状態において、耳介ピース44の外表面は、耳甲介腔70の表面に接触(密着)される。この耳介ピース44の外表面の少なくとも一部には、前述したように、耳甲介腔70の電位を計測する第二電極部26が設けられている。第二電極部26は、第一電極部24と同様に、例えば、カーボン製の導電性ゴム(ゴム材料と1種のカーボンブラックとを含有)によって形成される。なお、第二電極部26には、後述する導線62(図5参照)が電気的に接続されている。
【0089】
第一電極部、第二電極部、及び第三電極部の材料は、導電性材料を弾性体材料に混ぜて形成する場合と、導電性材料を弾性体に接合、接着、メッキ、蒸着して形成する場合とがある。導電性材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、ステンレス(SUS304、SUS316L)、はんだ、鉄(Fe)、又は、銀-塩化銀(Ag/AgCl)等である。弾性体材料としては、ゴム、ゲル、カーボンナノチューブ粘弾性体等である。導電性材料としての銀-塩化銀(Ag/AgCl)は、静止電位及び分極電圧が小さいので、人体皮膚との接点におけるインピーダンスが安定するまでの時間が短く、生体情報計測装置をユーザに装着してから早期に生体情報を計測可能になるため、ユーザビリティの向上が可能な材料である。弾性体材料は、水分を含有可能なゲル材料であれば人体皮膚の乾燥などで、人体皮膚との接点における接触抵抗が高くなって安定しなくなる問題を解決できる点で優れている。
【0090】
(第二筐体)
図5図7、及び図8に示されるように、第二筐体50は、第一筐体40よりも大きく、かつ、重い扁平な箱状に形成されている。この第二筐体50は、厚み方向(幅方向)をユーザの頭部の横幅方向(矢印Y方向)として、耳66の裏側に配置される。つまり、第二筐体50は、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向(矢印Y方向)で、第一筐体40と重ならない位置に配置される。この第二筐体50の内部には、前述した基板28(図5参照)等が収容されている。
【0091】
第二筐体50の前端部50Fは、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向(矢印Y方向)から見て、耳66の裏面に沿うように、後方(矢印Xと反対方向)に凹むように緩やかに湾曲している。これにより、耳66の裏面に第二筐体50の前端部50Fを接触させた状態で、第二筐体50の安定性が高められるとともに、耳66の裏側に対する第二筐体50の装着感が高められる。
【0092】
右側イヤホン20Rの装着状態では、第二筐体50の重心G(図7及び図8参照)が耳66の裏側に位置する。また、右側イヤホン20Rの装着状態では、第二筐体50は、耳66の外方向に向けた部位66Sよりも内側(ユーザの側頭部側)に配置される。
【0093】
なお、第二筐体50の重心Gの位置は、適宜変更可能である。また、本実施形態では、第一筐体40及び第二筐体50の重量比は、一例として、1:9であり、第二筐体50の方が重くなる。この比率(重量比)は、第二筐体50が第一筐体40より重くなる範囲で、適宜変更してよい。そうすることで、耳66部の荷重負荷に対するユーザごとの快適性を向上させることができる。
【0094】
(接続部材)
図5に示されるように、接続アーム60は、一例として、第一筐体40と第二筐体50とを繋ぐとともに、弾性変形した状態で、第一筐体40及び第二筐体50にユーザの耳66(図7及び図8参照)を表裏面の両側から挟んで保持させる保持部材として機能する。
【0095】
接続アーム60は、一例として、シリコンゴム等の弾性材料によって円筒状に形成されている。この接続アーム60は、第二筐体50の上端部における前面から、アーム状に延び出し、第一筐体40の上面に接続されている。なお、接続アーム60は、円筒状(断面円形状)に限らず、例えば、断面多角形状でもよい。
【0096】
接続アーム60の内部には、第一筐体40と第二筐体50とに亘る導線62が配置されている。導線62は、例えば、第一筐体40のスピーカ22(図4参照)、第一電極部24、及び第二電極部26と、第二筐体50の基板28とをそれぞれ電気的に接続している。なお、導線62は、接続アーム60の内部に限らず、例えば、接続アーム60の外部に配置してもよい。
【0097】
接続アーム60は、直線状部60A及び湾曲部60Bを有している。直線状部60Aは、第一筐体40の上面から前方、かつ、上方へ直線状に延び出している。この直線状部60Aの先端部(上端部)には、湾曲部60Bが設けられている。
【0098】
なお、右側イヤホン20Rの上下方向(鉛直方向)に対する直線状部60Aの傾斜角度θは、一例として、30°~40°が好ましく、34°がより好ましい。
【0099】
図7及び図8に示されるように、右側イヤホン20Rの装着状態において、湾曲部60Bは、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向(矢印Y方向)から見て、ユーザの身体から離れる方向(前方)へ凸状に湾曲している。この湾曲部60Bの一端部(下端部)は、直線状部60Aの上端部に接続されている。また、湾曲部60Bの他端部(上端部)は、耳66の上縁部66Uを跨いで第二筐体50の上端部における前端部50Fに接続されている。湾曲部60Bの曲率は、一例として、100~500(1/m)程度に設定されている。なお、湾曲部60Bの曲率は、上記の範囲に限定されず、他の曲率を選択してもよい。
【0100】
ここで、本実施形態では、接続アーム60の全体、すなわち直線状部60A及び湾曲部60Bの全体が弾性材料によって形成されている。この接続アーム60は、図5に二点鎖線で示されるように、第一筐体40と第二筐体50とが、前後方向に互いに離れる方向に弾性変形可能とされている。
【0101】
また、右側イヤホン20Rの非装着状態で、かつ、外部の力によって接続アーム60が弾性変形しない状態では、一例として、第一筐体40の後端部40Rと第二筐体50の前端部50Fとが接触する。これにより、ユーザが、右側イヤホン20Rを装着する際に、第一筐体40の後端部40Rと第二筐体50の前端部50Fとの間隔を広げると、接続アーム60が弾性変形する。そして、右側イヤホン20Rの装着状態では、弾性変形した接続アーム60の復元力(弾性力)によって、第一筐体40の後端部40Rと第二筐体50の前端部50Fとの間で耳66(図7及び図8参照)が表裏面(前後方向)の両側から挟み込まれる。
【0102】
なお、右側イヤホン20Rの非装着状態において、接続アーム60は、弾性変形してもよいし、弾性変形せずに自然状態でもよい。また、右側イヤホン20Rの非装着状態において、第一筐体40の後端部40Rと第二筐体50の前端部50Fとは、接触せずに、近接してもよい。ここでいう「近接」とは、第一筐体40の後端部40Rと第二筐体50の前端部50Fとの隙間が、例えば、ユーザの耳66(耳介67)の厚み以下の状態を意味する。
【0103】
接続アーム60は、図9に矢印Pで示されるように、ねじることで変形可能とされている。なお、ここでいう接続アーム60がねじることで変形可能とは、弾性変形を意味する。また、接続アーム60の復元力(弾性力)は、イヤピース42が外耳道94に挿入された状態で、接続アーム60のねじれた状態が維持されるように設定される。
【0104】
(右側イヤホンの装着方法)
次に、ユーザの耳66に対する右側イヤホン20Rの装着方法の一例について説明する。なお、ユーザの耳66に対する左側イヤホン20Lの装着方法は、右側イヤホン20Rと同様である。
【0105】
図7及び図8に示されるように、耳66に右側イヤホン20Rを装着し、ユーザの生体情報を計測する際には、先ず、ユーザは、接続アーム60の湾曲部60Bを弾性変形させ、第一筐体40と第二筐体50との間隔を広げる。この状態で、ユーザは、第一筐体40と第二筐体50との間に耳66(耳介67)を挿入し、耳66の表側に第一筐体40を配置するとともに、耳66の裏側に第二筐体50を配置する。この際、ユーザは、耳66の外方向に向けた部位66Sよりも内側(ユーザの側頭部側)に第二筐体50を配置する。
【0106】
次に、ユーザは、図9に示されるように、イヤピース42を外耳道94に挿入するとともに、耳介ピース44を耳甲介腔70に挿入する。この際、ユーザは、外耳道94の角度等に応じて接続アーム60の湾曲部60Bをねじることで変形させる。これにより、外耳道94及び耳甲介腔70にイヤピース42及び耳介ピース44をそれぞれ容易に挿入することができる。
【0107】
ここで、イヤピース42は、弾性体によって形成されている。これにより、イヤピース42が外耳道94に挿入されると、イヤピース42の形状が外耳道94の形状に沿って変形し、イヤピース42の外表面が外耳道94の表面に密着する。この結果、イヤピース42の外表面に設けられた第一電極部24が、外耳道94の表面に密着するため、第一電極部24による外耳道94の電位(皮膚電位)の計測精度が向上する。
【0108】
イヤピース42と同様に、耳介ピース44は、弾性部材によって形成されている。これにより、耳介ピース44が耳甲介腔70に配置されると、耳介ピース44の形状が耳甲介腔70の形状に沿って変形し、耳介ピース44の外表面が耳甲介腔70の表面に密着する。この結果、耳介ピース44の外表面に設けられた第二電極部26が、耳甲介腔70の表面に密着するため、第二電極部26による耳甲介腔70の電位(皮膚電位)の計測精度が向上する。
【0109】
次に、ユーザは、耳66の裏側に配置された第二筐体50の位置を調整し、耳66の裏面上で第二筐体50を安定させる。
【0110】
ここで、右側イヤホン20Rの装着状態では、接続アーム60、特に接続アーム60の湾曲部60Bが弾性変形する。これにより、弾性変形した湾曲部60Bの復元力(弾性力)によって、第二筐体50の前端部50Fが、耳66の裏面に接触する(押し付けられる)。したがって、耳66の裏面上で、第二筐体50がさらに安定する。
【0111】
また、湾曲部60Bの復元力(弾性力)によって、第一筐体40の後端部40Rと第二筐体50の前端部50Fとの間で、耳66が表裏面(前後方向)の両側から挟み込まれた状態で保持される。これにより、耳66の裏面上で、第二筐体50がさらに安定する。
【0112】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。なお、以下では、右側イヤホン20Rの作用及び効果について説明するが、左側イヤホン20Lの作用及び効果も右側イヤホン20Rと同様である。
【0113】
右側イヤホン20Rの第一筐体40には、イヤピース42が設けられている。イヤピース42には、第一電極部24が設けられている。また、第一筐体40は、耳介ピース44を有している。耳介ピース44には、第二電極部26が設けられている。これらの第一電極部24及び第二電極部26によって、ユーザの外耳道94及び耳甲介腔70の電位(皮膚電位)がそれぞれ計測される。
【0114】
このように本実施形態では、第一電極部24及び第二電極部26の2つの電極部によって、ユーザの外耳道94及び耳甲介腔70の電位(生体電位)をそれぞれ計測する。したがって、本実施形態では、例えば、1つの電極部によってユーザの外耳道94の電位を計測する構成と比較して、ユーザの耳66の電位の計測精度が向上する。
【0115】
また、第一電極部24及び第二電極部26は、弾性体によって形成されている。これにより、本実施形態では、第一電極部24及び第二電極部26が硬質体で形成された構成と比較して、外耳道94及び耳甲介腔70に第一電極部24及び第二電極部26をそれぞれ密着させることができる。したがって、第一電極部24及び第二電極部26による外耳道94及び耳甲介腔70の電位の計測精度が向上する。
【0116】
ここで、右側イヤホン20Rを装着したユーザが動くと、ユーザの外耳道94及び耳甲介腔70に対して第一電極部24及び第二電極部26が位置ずれ、第一電極部24及び第二電極部26によって計測される電位にノイズが入る可能性がある。そして、第一電極部24及び第二電極部26によって計測される電位にノイズが入ると、ユーザの脳波等の測定精度が低下する可能性がある。
【0117】
特に、ユーザの動きに伴って第一筐体40及び第二筐体50が振動すると、ユーザの外耳道94及び耳甲介腔70に対して第一電極部24及び第二電極部26が位置ずれ易くなる。そのため、第一電極部24及び第二電極部26によって計測される電位に大きなノイズが入る可能性がある。
【0118】
これに対して本実施形態では、第一筐体40及び第二筐体50をユーザに装着させてユーザの生体情報を計測する場合、ユーザは、接続アーム60を弾性変形させ、第一筐体40を耳66の表側に配置するとともに、第二筐体50を耳66の裏側に配置する。そして、第一筐体40と第二筐体50との間で、ユーザの耳66を挟んだ状態で、第一筐体40及び第二筐体50を所定の位置に配置する。
【0119】
これにより、第一筐体40及び第二筐体50が安定する。また、ユーザが動いた場合に、第一筐体40及び第二筐体50の振動が低減される。さらに、ユーザが動いた場合に、第二筐体50が振動しても、接続アーム60によって第二筐体50の振動が低減される。
【0120】
したがって、本実施形態では、第一筐体40の外側に第二筐体50が配置された構成と比較して、ユーザが動いた場合に、外耳道94及び耳甲介腔70に対して、第一電極部24及び第二電極部26が位置ずれることを抑制することができる。
【0121】
また、図5に示されるように、右側イヤホン20Rの非装着状態で、かつ、外部の力によって接続アーム60が弾性変形しない状態において、第一筐体40と第二筐体50とは、接触又は近接して配置される。そのため、本実施形態では、右側イヤホン20Rの非装着状態で、かつ、外部の力によって接続アーム60が弾性変形しない状態において、第一筐体40と第二筐体50との間隔が広い構成と比較して、第一筐体40と第二筐体50との間隔を広げた場合に、接続アーム60の弾性変形が大きくなる。したがって、右側イヤホン20Rの装着状態において、ユーザの耳66を挟む第一筐体40及び第二筐体50の力(接続アーム60の復元力)を大きくすることができる。
【0122】
また、接続アーム60は、湾曲部60Bを有している。湾曲部60Bは、右側イヤホン20Rの装着状態において、ユーザの身体から離れる方向へ凸状に湾曲するとともに、耳66の上縁部66Uを跨いで第二筐体50と接続される。これにより、湾曲部60Bと耳66の上縁部66Uとの干渉を抑制しつつ、第一筐体40と第二筐体50とを接続することができる。
【0123】
また、接続アーム60は、弾性材料で構成されている。そのため、本実施形態では、湾曲部60Bの全体が硬質材料で構成された場合と比較して、第一筐体40と第二筐体50との間隔を容易に広げることができる。特に、本実施形態では、接続アーム60の湾曲部60Bが弾性材料によって構成されている。これにより、ユーザは、第一筐体40と第二筐体50との間隔をさらに容易に広げることができる。したがって、耳66に対する右側イヤホン20Rの装着性が向上する。
【0124】
なお、接続アーム60の内部には、第一筐体40と第二筐体50とに亘る導線62が配置されている。これにより、本実施形態では、接続アーム60の外部に導線62が配置された構成と比較して、導線62の断線を抑制することができる。
【0125】
また、図7及び図8には、大きさが異なる耳66(耳66A,66B)に対する右側イヤホン20Rの装着状態が示されている。図7に示されるように、大きな耳66(耳66A)に右側イヤホン20Rが装着された場合、例えば、耳66(耳介67)の上縁部66Uに、接続アーム60の湾曲部60Bが引っ掛かる。
【0126】
これにより、接続アーム60によって、第二筐体50の前端部50Fが吊り上げられ、耳66の裏面の上部に第二筐体50の前端部50Fが接触する。この状態で、弾性変形した接続アーム60の復元力によって、第二筐体50の前端部50Fが、耳66の裏面の上部に押し付けられるため、第二筐体50が安定する。
【0127】
一方、図8に示されるように、小さな耳66(耳66B)に右側イヤホン20Rが装着された場合、例えば、耳66(耳介67)の上縁部66Uに接続アーム60の湾曲部60Bが引っ掛からず、耳66の上縁部66Uと接続アーム60の湾曲部60Bとの間に隙間Tが形成される。
【0128】
そのため、耳66の上縁部66Uに接続アーム60の湾曲部60Bが引っ掛かる場合よりも、第二筐体50が耳66の下側へ回り込み、耳66の裏面の下部に第二筐体50の前端部50Fが接触する。この状態で、弾性変形した接続アーム60の復元力によって、第二筐体50の前端部50Fが、耳66の裏面の下部に押し付けられるため、第二筐体50が安定する。
【0129】
このように本実施形態では、ユーザの耳66の大きさに関わらず、耳66の裏面側で第二筐体50を安定させることができる。したがって、右側イヤホン20Rの汎用性が向上する。
【0130】
また、図9に矢印Pで示されるように、接続アーム60は、ねじることで変形可能とされている。そのため、ユーザは、耳66に右側イヤホン20Rを装着する際に、外耳道94の角度等に応じて、接続アーム60をねじることで変形させることができる。したがって、本実施形態では、接続アーム60がねじることで変形しない場合と比較して、外耳道94及び耳甲介腔70に第一電極部24及び第二電極部26をそれぞれ容易に挿入することができる。
【0131】
また、右側イヤホン20Rの装着状態において、第二筐体50は、ユーザの耳66の外方向に向けた部位66Sよりも内側に配置される。これにより、本実施形態では、右側イヤホン20Rの装着状態において、ユーザの耳66の外方向に向けた部位66Sよりも外側に第二筐体50が配置された構成と比較して、第二筐体50を安定させることができる。
【0132】
さらに、右側イヤホン20Rの装着状態では、第二筐体50が第一筐体40とユーザの外耳道94の挿入方向で重ならない位置に配置される。これにより、本実施形態では、右側イヤホン20Rの装着状態において、第二筐体50が第一筐体40とユーザの外耳道94の挿入方向で重なる位置に配置された構成と比較して、ユーザが動いた場合に、第一筐体40及び第二筐体50の振動を低減することができる。
【0133】
したがって、本実施形態では、ユーザが動いた場合に、外耳道94及び耳甲介腔70に対して、第一電極部24及び第二電極部26が位置ずれることがさらに抑制される。
【0134】
また、図7及び図8に示されるように、右側イヤホン20Rの装着状態において、第二筐体50の重心Gは、耳66の裏側に位置する。これにより、本実施形態では、右側イヤホン20Rの装着状態において、第二筐体50の重心Gが耳66の裏側以外に位置する構成と比較して、例えば、右側イヤホン20Rを装着したユーザの頭部が動いた場合に、第二筐体50の位置ずれ又は落下が抑制される。
【0135】
また、右側イヤホン20Rの第二筐体50には、基板28(図4参照)が収容されている。また、左側イヤホン20Lの第二筐体50には、電池39(図4参照)が収容されている。これにより、本実施形態では、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの第一筐体40に基板28又は電池39が収容される構成と比較して、当該第一筐体40の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0136】
また、耳甲介腔70に配置される耳介ピース44、及び当該耳介ピース44を支持する第一筐体40の支持部は、スピーカ22から発せられた音が通り抜ける開口部を有していない。これにより、本実施形態では、耳介ピース44及び第一筐体40の支持部が開口部を有する構成と比較して、スピーカ22から発せられた音をユーザの外耳道94に向けて適切に音を伝え、かつ、生体情報を精度よく計測することができる。
【0137】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0138】
第一筐体40(耳介ピース44)には、右側イヤホン20Rの装着状態において、第一筐体40の外部の音(外部音)を外耳道94に向けて通す少なくとも1つの空洞(貫通穴)が設けられてもよい。これにより、右側イヤホン20Rの装着状態において、外耳道94へ向かう第一筐体40の外部音が遮断される構成と比較して、第一筐体40の外部音を外耳道94に通しつつ、第一筐体40の第二電極部26によって、ユーザの電位を計測することができる。なお、第一筐体40に空洞(貫通穴)を設けたことにより、空気振動を音源とするスピーカユニットを第一筐体40に収容することが難しい場合には、第二筐体50に骨伝導型スピーカユニットを収容し、骨伝導型スピーカユニットからユーザに音情報を届けてもよい。
【0139】
また、第一筐体40(耳介ピース44)には、空洞(貫通穴)を開閉する蓋が設けられてもよい。これにより、ユーザが、必要に応じて空洞を開閉可能になるため、右側イヤホン20Rの利便性が向上する。
【0140】
さらに、耳介ピース44に空洞(貫通穴)を設けることにより、耳介ピース44が歪み易くなる。これにより、耳介ピース44が耳甲介腔70に嵌め込まれた場合に、耳介ピース44の形状が耳甲介腔70の形状に沿って変形し、耳介ピース44の外表面が耳甲介腔70の表面に密着し易くなる。この結果、耳介ピース44の外表面に設けられた第二電極部26が、耳甲介腔70の表面に密着し易くなるため、第二電極部26による耳甲介腔70の電位(皮膚電位)の計測精度が向上する。
なお、耳介ピース44に空洞(貫通穴)を設けることで得られる上記密着性向上の効果は、第一筐体40(耳介ピース44)を緩やかに撓む構造体として設計することでも得られる。例えば、第一筐体40のフレームの円周方向の一部に切り欠きを設け、又は当該フレームの円周方向のフレーム厚さの一部を薄くし、当該フレームの円周方向に対して変形しやすくなるようにフレームの強度を意図的に低下させることでも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0141】
また、耳介ピース44の形状が耳甲介腔70の形状に沿って変形することにより、耳甲介腔70に接触する耳介ピース44の接触面積が増加する。この結果、耳介ピース44が接触する耳甲介腔70の接触部に対する応力集中が緩和されるため、耳介ピース44の装着感が向上する。
【0142】
なお、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向(矢印Y方向)から見て、耳介ピース44及び空洞(穴)の形状は、楕円状でもよいし、略真円状でもよいし、円形以外の四角や三角といった多角形の空洞であってもよい。また、外耳道94に対するイヤピース42の挿入方向(矢印Y方向)から見て、耳介ピース44及び空洞(穴)の一方を楕円状とし、耳介ピース44及び空洞(穴)の他方を略真円状としてもよい。また、耳介ピース44は、金属より弾性変形が容易な樹脂等によって形成することが好ましい。
【0143】
また、上記実施形態では、接続部材としての接続アーム60の全体が、弾性材料によって構成されている。しかし、接続アーム60の少なくとも一部が弾性材料によって構成されてもよい。つまり、湾曲部60Bの少なくとも一部が、弾性材料によって構成されてもよいし、直線状部60Aの少なくとも一部が、弾性材料によって構成されてもよい。
【0144】
また、上記実施形態では、接続アーム60が直線状部60A及び湾曲部60Bを有している。しかし、接続アーム60の形状は、適宜変更可能である。例えば、接続アーム60の直線状部60Aの対応する部分が、湾曲部60Bと連続するように湾曲されてもよい。
【0145】
また、上記実施形態では、接続部材が、接続アーム60とされている。しかし、接続部材は、接続アーム60に限らない。接続部材は、例えば、第一筐体40と第二筐体50とを接続する導線と、弾性材料によって構成される部分を含むカバー部材とを含んで構成されてもよい。
【0146】
カバー部材は、例えば、第二筐体50から延び出し、ユーザの耳の上部に引っ掛けられる湾曲部を有する。また、カバー部材は、第一筐体40に到達せず、導線の一部をカバーする。この場合、カバー部材は、第一筐体40と第二筐体50とを繋がず、カバー部材の第一筐体40側の端部から突出する導線が第一筐体40に繋がれる。
【0147】
このようにカバー部材の湾曲部をユーザの耳の上部に引っ掛けることにより、第二筐体50が安定するとともに、第二筐体50の振動が低減される。また、カバー部材によって第一筐体40と第二筐体50とを繋がず、導線によって第一筐体40と第二筐体50とを繋ぐことにより、ユーザの外耳道94及び耳甲介腔70に対してイヤピース42及び耳介ピース44を容易に位置決めすることができる。さらに、カバー部材によって導線の一部をカバーすることにより、導線の断線が抑制される。
【0148】
また、上記実施形態では、接続アーム60がねじることで変形可能とされている。しかし、例えば、別体とされた直線状部60Aと湾曲部60Bとが回転可能に連結されてもよい。また、接続アーム60は、ねじることで変形しない構成とされてもよい。
【0149】
また、上記実施形態では、計測部としての第二電極部26が耳甲介腔70に接触してユーザの電位を計測する。しかし、計測部としての第二電極部は、耳甲介腔70以外の耳介67の一部の所定の位置に接触してユーザの電位を計測してもよい。
【0150】
また、上記実施形態では、計測部が、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38等の電極部とされている。しかし、計測部は、電極部に限らず、例えば、光センサ等の電極部以外のセンサでもよい。また、計測部は、電極部、及び光センサ等の電極部以外のセンサ等を含んでもよい。
【0151】
なお、電極部、及び電極部以外のセンサは、ユーザに接触してユーザの生体情報を計測してもよいし、ユーザに接触せずにユーザの生体情報を計測してもよい。
【0152】
また、上記実施形態では、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの両方が、生体情報計測装置として機能する。しかし、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの少なくも一方が、生体情報計測装置として機能してもよい。また、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの一方を省略し、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの他方を生体情報計測装置としてユーザの片方の耳に装着してもよい。
【0153】
また、生体情報計測装置は、イヤホンに限らず、例えば、補聴器、ピアス型のデバイス、クリップ型のデバイス、眼鏡型のデバイス、又は耳に巻き付けられるバンド若しくはケーブルを含むデイバス等であってもよい。
【0154】
また、上記実施形態では、生体情報計測装置としての右側イヤホン20Rによって、生体情報としてのユーザの脳波を計測する。しかし、生体情報計測装置によって計測する生体情報は、ユーザの脳波に限らず、ユーザが発する様々な情報を含んでもよい。
【0155】
生体情報は、例えば、脳の活動を示す情報(例えば、脳波、脳の血流量、脳磁場信号等)、脈拍数を示す情報、筋電波形等の筋電情報、唾液に関する情報(例えば唾液量を示す情報)、脈波を示す情報、血圧を示す情報、血流量を示す情報、脈拍を示す情報、心拍数を示す情報、心電波形を示す情報、眼球運動を示す情報、体温を示す情報、発汗量を示す情報、視線を示す情報、音声情報、人の動きを示す情報、又は体液(例えば血液等)から得られる情報等である。
【0156】
また、バイオマーカによって特定される情報が、生体情報として用いられてもよい。生体情報は、ユーザから検出される電位に起因する情報であってもよい。例えば、生体情報は、脳の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である脳波、心臓の拍動に伴い発生する微小電流の測定結果である心電図、筋肉の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である筋電図、又は皮膚に生じる微小電流の測定結果である皮膚電位等であってもよい。これらは生体情報の一例に過ぎず、これら以外の生体情報が用いられてもよい。生体情報計測装置は、1又は複数の種類の生体情報を測定する。
【0157】
また、生体情報システム10において、例えば、生体情報を解析することにより、感情情報、精神情報、又は心理情報等が得られてもよい。また、生体情報システム10において、例えば、ユーザの生体情報を解析することにより、当該ユーザの感情を示す情報、当該ユーザの精神状態を示す情報、又は当該ユーザの心理を示す情報等が得られてもよい。
【0158】
また、上記実施形態は、深部脳活動、皮質脳波、頭皮上脳波、血管内脳波、機能的磁気共鳴画像、脳磁図、又は近赤外光分光法等の記録手法によって、生体情報を計測する装置に適用されてもよい。
【0159】
また、上記実施形態の第一筐体、第二筐体、及び接続部材によるユーザへの装着構造は、生体情報を計測しない装置に適用されてもよい。なお、この装着構造は、耳部の所定の位置に配置する固定機構として、広く転用してよい。例えば、この装着構造は、貴金属で装飾するアクセサリー等における固定機構に用いてよい。
【0160】
以上、本願が開示する技術の一実施形態について説明したが、本願が開示する技術は上記の実施形態に限定されるものでない。また、上記実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いてもよいし、本願が開示する技術の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0161】
20L 左側イヤホン(生体情報計測装置)
20R 右側イヤホン(生体情報計測装置)
22 スピーカ(音出力部)
24 第一電極部(計測部)
26 第二電極部(計測部)
28 基板
39 電池
40 第一筐体
41 音導管(第一筐体の開口部)
50 第二筐体
60 接続アーム(接続部材)
60B 湾曲部
62 導線
66 耳
66S 耳の外方向に向けた部位
66U 耳の上縁部
67 耳介
94 外耳道
G 第二筐体の重心
図1
図2
図3
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図9