(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035731
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】標的システム
(51)【国際特許分類】
F41J 9/14 20060101AFI20240307BHJP
F41J 5/10 20060101ALI20240307BHJP
F41J 5/06 20060101ALI20240307BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F41J9/14
F41J5/10
F41J5/06
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140384
(22)【出願日】2022-09-02
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 晋也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 規一
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 一茂
(72)【発明者】
【氏名】関 太樹
【テーマコード(参考)】
5C058
【Fターム(参考)】
5C058BA24
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA03
(57)【要約】
【課題】標的映像の高速投映が可能な技術を提供することにある。
【解決手段】解決手段の1つとして、標的システムは、スクリーンを有する標的装置と、前記スクリーンに標的を投映する第一の投映器と、前記第一の投影器を制御する制御装置と、を備える。前記第一の投映器は、単一光の光源と、前記光源の照射光を集光する集光レンズと、投映レンズと、前記投映レンズに設けられる、前記スクリーンに標的映像を投映する影絵形成手段または回析光学素子と、を備える。前記制御装置は前記光源のON/OFFの制御をするよう構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投映スクリーンを有する標的装置と、
前記投映スクリーンに標的を投映する投映器と、
前記投映器を制御する制御装置と、
を備え、
前記投映器は、単一光の光源と、前記光源の照射光を集光する集光レンズと、投映レンズと、前記投映レンズに設けられる、前記投映スクリーンに標的映像を投映する影絵形成手段または回析光学素子と、を備え、
前記制御装置は前記光源のON/OFFの制御をするよう構成される標的システム。
【請求項2】
投映スクリーンを有する標的装置と、前記投映スクリーンおよび前記投映スクリーンの背景エリアにプロジェクションマッピング映像を投映する投映器と、
前記投映器を制御する制御装置と、
を備え、
前記標的装置は、さらに、弾着位置を検出する検出器を有し、
前記制御装置は、前記投映器により、
前記検出器により検出される弾着位置に基づいて弾着箇所の強調表示映像、
敵味方識別またはクレー射撃標的を含む標的映像、
夏のゆらぎ、砂塵、雪または雨を含む環境模擬の映像、および
標的側の撃ち返しによるマズルフラッシュの模擬の映像、
の少なくとも一つの映像を投映するよう構成される標的システム。
【請求項3】
投映スクリーンを有する標的装置と、
前記標的装置を制御する制御装置と、
前記制御装置と有線通信または無線通信を行う通信インタフェースを有する入出力処理器と、
射手の近傍に設けられ、前記入出力処理器と有線通信または無線通信を行う通信インタフェースを有する射手センサと、
射手が装着し、前記入出力処理器と無線通信を行う通信インタフェースおよび表示装置を有するVR眼鏡と、
を備え、
前記標的装置は、さらに、弾着位置を検出する検出器を有し、
前記入出力処理器は、
前記検出器により検出される弾着位置に基づいて前記表示装置に弾着箇所を表示する表示データを作成し、または、
前記射手センサが検出する射撃弾数に基づいて残弾数を算出し、
前記VR眼鏡は、前記弾着箇所または前記残弾数を前記表示装置に表示するよう構成される標的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は標的システムに関し、例えば、投映器により標的を形成する標的システムに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
実弾射撃訓練のためのシステムが種々提案されている。これらの射撃訓練システムには、プロジェクタを使用して投映用布等のスクリーンに標的映像を投映するものがある。例えば、特許文献1に開示される射撃訓練システムは、プロジェクタを使用してスクリーンとしてのラバータイプのセンサの表面に標的映像を投映する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水銀ランプやレーザを光源に使用して赤(R)緑(G)青(B)の多色光を照射するプロジェクタが販売されている。この市販のプロジェクタでの標的映像の投映は映像投映迄に時間が掛かり、速射射撃の標的に対応できない場合がある。
【0005】
本開示の課題は、標的映像の高速投映が可能な技術を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なもののうちの1つの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、標的システムは、スクリーンを有する標的装置と、前記スクリーンに標的を投映する投映器と、前記投影器を制御する制御装置と、を備える。前記投映器は、単一光の光源と、前記光源の照射光を集光する集光レンズと、投映レンズと、前記投映レンズに設けられる、前記スクリーンに標的映像を投映する影絵形成手段または回析光学素子と、を備える。前記制御装置は前記光源のON/OFFの制御をするよう構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、標的映像の高速投映が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態における射撃訓練システムの装置構成を示す図である。
【
図4】
図4は
図1に示す第一の投影器の構成を示すイメージ図である。
【
図5】
図5は
図1に示す第二の投影器の構成を示すイメージ図である。
【
図6】
図6は
図1に示す入出力処理器、VR眼鏡および射手センサの構成を示すイメージ図である。
【
図7】
図7は
図1に示す射撃訓練システムの準備フローの一例を示す図である。
【
図8】
図8は
図1に示す射撃訓練システムの射撃訓練フローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。
【0010】
図1は実施形態における射撃訓練システムの装置構成を示す図である。
【0011】
射撃訓練システム10は、例えば、屋内の実弾射撃訓練場に使用されるシステムである。射撃訓練システム10は、標的装置20と、第一の投映器30と、第二の投映器40と、入出力処理器50と、VR(Virtual Reality)眼鏡60、射手センサ70と、制御装置80と、背景エリア90と、を備える。
【0012】
標的装置20、第一の投映器30、第二の投映器40および入出力処理器50は、有線通信(有線LAN、RS-422等)または無線通信(無線LAN(WiFi)、Bluetooth等)により制御装置80とデータ通信が行われる。VR眼鏡60は無線通信により入出力処理器50とデータ通信が行われる。射手センサ70は有線通信または無線通信により入出力処理器50とデータ通信が行われる。
【0013】
射撃訓練システム10において、射撃前に射手Sが使用する銃などの火器Fの装弾数を入出力処理器50に登録する。射手Sは銃などの火器Fを使用し、実弾を標的装置20の投映スクリーン21に投影された標的Tに向かって発射し、訓練を実施する。弾着位置は、標的装置20の検出器22により検知され、制御装置80を介して射手Sの近傍に設置された入出力処理器50に通知することで、そのモニタ上またはVR眼鏡60に弾着位置を表示する。射撃弾数は、射手センサ70により検知され、入出力処理器50に通知することで、装弾数から射撃弾数を減算処理した値を、そのモニタ上またはVR眼鏡60に残弾数として表示する。また、制御装置80から訓練時の情報(使用標的、使用火器等)の訓練条件の設定が行えるようになっている。
【0014】
制御装置80について
図2を用いて説明する。
図2は
図1に示す制御装置の構成イメージを示すブロック図である。
【0015】
制御装置80は第一の投映器30および第二の投映器40の制御機能、第二の投映器40の映像生成機能および弾着位置と標的との組合せ機能を備える。制御装置80はPC(Personal Computer)や専用機等を用いることができる。制御装置80は、表示装置81(DSP)、制御回路(CNT)82、通信インタフェース回路(CMI/F)83、電源回路(PC)84、電源インタフェース回路(PCI/F)85、入力装置(INP)86および補助記憶装置(AXS)87を有する。
【0016】
表示装置81は、液晶などのFPD(Flat Panel Display)であり、射撃システムの制御画面を表示したり、弾着に関する情報を表示したりすることができる。電源回路84は通信インタフェース回路83や制御回路82に電源を供給する。入力装置86はキーボード、マウス、タッチパネル等であり、制御装置80の操作者からの入力を受ける。通信インタフェース回路83は制御回路82と、標的装置20、第一の投映器30、第二の投映器40、入出力処理器50及び射手センサ70との間でデータの有線通信または無線通信を行うためのインタフェースである。
【0017】
制御回路82はCPU(Central Processing Unit)821および記憶装置(MRY)822を備える。CPU821は、記憶装置822に格納されている各種の処理プログラムを実行する。
【0018】
記憶装置822は、SRAMやDRAM等の揮発性メモリで構成されるRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発メモリなどで構成されるROM(Read Only Memory)などで構成される。また、補助記憶装置(AXS)87は、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。記憶装置822および補助記憶装置87はCPU821で実行するプログラムの他、第二の投映器40の映像生成等のために必要なデータを記憶している。
【0019】
制御装置80に実行される機能の一部としては、標的装置20から受信する弾着位置座標に基づいて弾着箇所の強調表示する映像データの作成、第一の投映器30および第二の投映器40の制御および設定、第二の投映器40が投映するプロジェクションマッピング映像データの生成および入出力処理器50の制御および設定等がある。これらは対応する処理プログラムを実行することで実現される。
【0020】
標的装置20は弾着位置検出機能および通信機能を備える。
図1に示すように、標的装置20は、投映スクリーン21および検出器22を含んで構成される。投映スクリーン21は、投映用布やラバー等で形成される。第一の投映器30により映像が投映スクリーン21に投映されて標的Tが映し出される。検出器22は投映スクリーン21の下に設置され、射撃の弾着を検知する。
【0021】
標的装置20の一構成例について
図3を用いて説明する。なお、
図3は
図1に示す標的装置の一構成を示す図である。
【0022】
投映スクリーン21は、木枠211の裏表をラバー212,213で挟んで構成される。検出器22は木枠211下部に設けた複数のセンサ214で構成される。ラバー212,213は伸縮能力を有し、弾丸貫通時の貫通穴が収縮可能な自己修復材料であることが望ましい。ラバー212,213を用いることにより、けん銃等の初速の遅い火器の場合であっても、衝撃波を検知することができる。
【0023】
検出器22は投映スクリーン21に投影される標的Tよりも広い検出エリア215への弾着が検知でき、また標的Tへの弾着如何に関わらず、検出エリア215への弾着を検知する。検出エリア215は投映スクリーン21内のエリアであって、標的Tよりも広い領域が設定される。弾がラバー212,213を通過したときに、弾の衝撃波が音響センサ、超音波センサ等の複数のセンサ214で検知され、複数のセンサ214が衝撃波を検知した時間、センサ間の位置関係から、検出器22は検出エリア215におけるXY座標に変換された弾着座標を算出する。検出器22には、制御装置80と有線通信または無線通信によりデータの送受信を行う通信装置が付設されている。
【0024】
第一の投映器30について
図4を用いて説明する。
図4は
図1に示す第一の投映器の構成を示すイメージ図である。
【0025】
第一の投映器30は標的投映機能、投写/消灯の制御機能および通信機能を備える。第一の投映器30は単一光を投映する。第一の投映器30は光源(LS)31と、制御回路(CNT)32と、通信インタフェース回路(CMI/F)33と、電源回路(PC)34と、電源インタフェース回路(PCI/F)35と、投映レンズ36と、集光レンズ(コンデンサレンズ)37と、標的映像形成手段38と、を備える。制御回路(CNT)32および通信インタフェース回路33はCPUおよび記憶装置を含むマイクロコントローラユニットで構成されてもよい。
【0026】
光源31は単一光のレーザで構成される。レーザの光度は10000mcd以上が好ましい。集光レンズ37は、例えば、コンデンサレンズで構成され、指向性を考慮して光源31からの照射光を集光する。これにより、照度に対し、消費電力を減らすことが可能である。
【0027】
投映レンズ36の前面(投映スクリーン21側)に設けられる標的映像形成手段38は、投映により投映スクリーン21に影絵を形成する影絵形成手段(遮光物)又は回折光学素子(DOE)である。通信インタフェース回路33は制御装置80と有線通信または無線通信を行う。
【0028】
第一の投映器30において、光源31から出力される照射光が標的映像形成手段38を通過して投映スクリーン21に投映される。照射光が標的映像形成手段38を通過することで、照射光の光が表示されない箇所に影ができ、標的映像の表示が可能となる。標的映像は、例えば、ライフル300m標的、エアライフル10m標的、フリーピストル50m標的等である。投映スクリーン21は白色布または白色板を使用した上で、標的装置20側にライトを照らさず暗室状態にすることで、投映スクリーン21に標的の投映が可能となる。
【0029】
制御装置80は通信インタフェース回路33および制御回路32介して光源31のオン/オフ(ON/OFF)制御が可能である。光源31のON/OFF制御および標的映像形成手段38による標的の高速な投写/消灯制御が可能である。投映スクリーン21、第一の投映器30および制御装置80は、標的システムを構成する。
【0030】
市販のプロジェクタは、水銀ランプやレーザを光源に使用して赤(R)緑(G)青(B)の多色光を照射するので、投映表示するのに時間が掛かる。このため、速射射撃に対応できないことがある。速射射撃は、例えば、7秒間標的が隠れ3秒間正面を向いた時に1発を撃ち込む射撃である。第一の投映器30は、単一光のレーザを用いるので、ON/OFF制御を高速化することが可能である。これにより、速射射撃に対応することが可能である。
【0031】
市販のプロジェクタは熱出力が高いので、屋内射場の空調設備によっては夏場の室温上昇に伴い、プロジェクタの放射熱も上昇することでプロジェクタがオーバーヒートすることがある。又、市販のプロジェクタには空冷用のファンが稼働しているため、射場の砂埃を吸い込んでしまう。このため、ファンに砂塵が吸着してファンが故障することによりオーバーヒートし、射撃訓練が実施できないことがある。一方で、第一の投映器30は熱出力が低いので、ヒートシンクの自然放熱のみとしファンを無くすことが可能である。これにより、上述した市販のプロジェクタの問題をなくすることが可能である。
【0032】
第二の投映器40について
図5を用いて説明する。
図5は
図1に示す第二の投影器の構成を示すイメージ図である。
【0033】
第二の投映器40は映像投影機能、弾着箇所の強調表示機能および通信機能を備える。第二の投映器40は多色光を投映するプロジェクタと同一の機能を有する。第二の投映器40は、プロジェクタ光学エンジン(POE)41と、制御回路(CNT)42と、通信インタフェース回路(CMI/F)43と、電源回路(PC)44と、電源インタフェース回路(PCI/F)45と、投映レンズ46と、を備える。通信インタフェース回路43は制御装置80と有線通信または無線通信を行う。制御回路(CNT)42および通信インタフェース回路43はCPUおよび記憶装置を含むマイクロコントローラユニットで構成されてもよい。
【0034】
プロジェクタ光学エンジン(POE)41は、光源として水銀ランプやレーザを使用し、液晶方式やデジタルライティングプロセッシング方式等によりRGBの多色光を照射する、多色投映機能を備える。
【0035】
第二の投映器40は、プロジェクタ光学エンジン41の多色投映機能による多色光のレーザが照射されることで、プロジェクタマッピング等の映像投映が可能である。映像データは制御装置80において用意され、通信インタフェース回路43を介して制御回路42が映像データを取得する。制御回路42は受信した映像データをプロジェクタ光学エンジン41に供給する。プロジェクタ光学エンジン41は供給された映像データに基づいて多色投影機能により投影する。
【0036】
例えば、制御装置80は、標的装置20側の検出器22にて取得した弾着位置座標に基づいて弾着箇所の強調表示する映像データを作成する。第二の投映器40は、この映像データに基づいて強調表示映像を投映スクリーン21に投映する。これにより、投映映像上にて弾着箇所の強調表示が可能となる。
【0037】
また、制御装置80は、例えば、標的映像(敵味方識別、クレー射撃標的等)、各環境模擬(夏のゆらぎ、砂塵、雪、雨等)の映像、標的側の撃ち返し(マズルフラッシュ)模擬の映像データを作成する。第二の投映器40は、この映像データに基づいて映像を投映スクリーン21および背景エリア90に投映する。これにより、人工現実感を付与することが可能となる。
【0038】
背景エリア90へ、標的装置20側に照明を減らした状態又は暗室状態にすることで、第二の投映器40によるプロジェクタマッピングの投映が可能となる。背景エリア90へ白布を配置した場合、光・映像の反射が発生し、映像を主として鮮明に表示が可能となる。白布を配置せずに背景エリアの形状に合わせた映像で人工現実感付与する事も可能となる。なお、第一の投映器30と第二の投映器40を組み合わせる場合は、第二の投映器40が投映する範囲から第一の投映器30が投映する範囲を除いて標的を影での表示にすることで、両表示が可能となる。第二の投映器40を使用しないで、射撃訓練システムを構成してもよい。
【0039】
射距離によっては、射手S射撃位置から射撃の命中箇所が視認できないことがある。第二の投映器40が弾着箇所を強調表示することにより、射距離が長い場合であっても射撃の命中箇所を視認することが可能となる。また、標的Tから外れた場合でも、どの程度外れたか視認することが可能となる。
【0040】
標的表示に対する射撃訓練又は隠滅・隠顕動作による射撃訓練を実施する場合においては、これらの同動作の繰り返しであるとき、撃ち返し模擬等の予定外動作による射手の経験増加及び練度向上に繋がらないことがある。第二の投映器40が上述した人工現実感を付与することにより、第二の投映器40の表示に応じた射手の経験増加及び練度向上が可能となる。
【0041】
入出力処理器50、VR眼鏡60および射手センサ70について
図5を用いて説明する。
図6は
図1に示す入出力処理器、VR眼鏡および射手センサの構成を示すイメージ図である。
【0042】
入出力処理器50は残弾数演算機能および通信機能を備える。入出力処理器50はPC(Personal Computer)や専用機等で構成される。入出力処理器50は、表示装置(DSP)51、制御回路(CNT)52、第一の通信インタフェース回路(CMI/F)53、第二の通信インタフェース回路54、入力装置(INP)55および電源回路を有する。制御回路52は制御回路82と同様な構成である。
【0043】
VR眼鏡60は残弾数表示機能、弾着位置表示機能および通信機能を備える。VR眼鏡60は射手Sの視線をそらした箇所にヘッドセット、帽子又はヘルメット等の頭部装着品Eに取り付けられる。VR眼鏡60は表示装置(DSP)61、制御回路(CNT)62、通信インタフェース回路および電源を備える。制御回路(CNT)62および通信インタフェース回路はCPUおよび記憶装置を含むマイクロコントローラユニットで構成されてもよい。
【0044】
射手センサ70は射撃弾数検出機能および通信機能を備える。射手センサ70は射手Sの火器Fの近傍に設けられる。射手センサ70は火器Fによる射撃を検知するセンサ71と、センサ71で検知した射撃から射撃弾数を算出する制御回路72と、射撃弾数を入出力処理器50に通信する通信インタフェース回路73と、電源回路と、を備える。制御回路72および通信インタフェース回路73はCPUおよび記憶装置を含むマイクロコントローラユニットで構成されてもよい。
【0045】
第一の通信インタフェース回路53は射手センサ70の通信インタフェース回路および制御装置80と有線通信または無線通信を行う。第二の通信インタフェース回路54はVR眼鏡60と無線通信(無線LAN(WiFi)、近距離無線等)を行う。
【0046】
入出力処理器50は、射手センサ70および制御装置80から取得したデータをVR眼鏡60の表示装置61の画面上に表示させる。射手Sは入出力処理器50の入力装置55にてVR眼鏡60へ表示させたい内容(弾着箇所又は残弾数)を選択することが可能である。
【0047】
制御回路52は、第一の通信インタフェース回路53を介して標的装置20側の検出器22にて取得した弾着位置座標を制御装置80から取得する。制御回路52は取得した弾着位置座標に基づいて、VR眼鏡60の表示装置61に表示させる画像表示データを作成する。ここで、弾着位置座標は標的画像の中心を絶対値とする。そして、第二の通信インタフェース回路54を介して制御回路52は、画像表示データをVR眼鏡60へ伝送して、弾着箇所を表示装置61に表示させる。
【0048】
また、制御回路52は、第一の通信インタフェース回路53を介して射手S側の射手センサ70から射撃弾数を取得する。制御回路52は、火器Fに装填されている弾数に対し、取得した射撃弾数を減算することで残弾数を算出する。第二の通信インタフェース回路54を介して制御回路52はVR眼鏡60へ残弾数を伝送し、残弾数を表示装置61に表示させる。
【0049】
命中箇所を射撃場所に設けられるディスプレイ上に表示する場合、射撃場所の制限や、射撃中に射手が首を移動する等の視認性に問題がある。VR眼鏡60含めた入出力処理器50を使用することで、射撃後に視線を逸らすのみで標的に対する弾着箇所(命中箇所又は外れた箇所の位置)を視認することが可能となる。これにより、頭を動かさずに射撃照準へ集中することが可能となる。
【0050】
また、発射弾数を記憶し、残弾数をカウントする必要がある場合、命中だけに集中できなかったり、連装銃等の連射時の正しい残数が把握できなかったりする問題がある。
VR眼鏡60含めた入出力処理器50を使用することで、射撃後に視線を逸らすのみで残弾数を確認することが可能となる。これにより、カウント記憶が不要となり、射撃照準へ集中することが可能となる。
【0051】
射撃訓練システム10の射撃前の準備について
図7を用いて説明する。
図7は
図1に示す射撃訓練システムの準備フローの一例を示す図である。
【0052】
(ステップS1)
利用者は、標的装置20、第一の投映器30、第二の投映器40、入出力処理器50およびVR眼鏡60(上記五つの装置を構成品という。)、並びに制御装置80に電源を供給して構成品および制御装置80を立ち上げる。制御装置80は構成品との通信が確立されていることを確認する。
【0053】
(ステップS2)
利用者からの入力に基づいて制御装置80は第一の投映器30が投映する標的映像を選択して第一の投映器30に送信する。ここで、選択される標的映像は、例えば、ライフル300m標的、エアライフル10m標的およびフリーピストル50m標的等を含む。第一の投映器30は投映スクリーン21に標的映像を投映する。
【0054】
(ステップS3)
利用者からの入力に基づいて制御装置80は第二の投映器40が投影する映像を選択して第二の投映器40に送信する。ここで、選択される標的映像は、例えば、弾着箇所の強調表示の映像、標的映像(敵味方識別・クレー射撃標的他)、各環境模擬(夏のゆらぎ、砂塵、雪、雨)の映像、標的側の撃ち返し(マズルフラッシュ)模擬の映像等を含む。第二の投映器40は投映スクリーン21および投映スクリーン21の背景にプロジェクトマッピング映像を投映する。
【0055】
(ステップS4)
利用者からの入力に基づいて入出力処理器50はVR眼鏡60に表示させたい内容(弾着位置又は弾数)を設定する。VR眼鏡60は設定された表示内容(標的画像又は弾数)を表示する。利用者である射手SはVR眼鏡60を装着して射撃位置にて火器Fを構えて射撃準備を行う。
【0056】
射撃訓練システム10の射撃訓練について
図8を用いて説明する。
図8は
図1に示す射撃訓練システムの射撃訓練フローの一例を示す図である。
【0057】
(ステップS11)
射手Sは標的Tを狙って射撃する。
【0058】
(ステップS12)
射手センサ70は銃Gから射撃された弾数を検出して入出力処理器50へ送信する。
【0059】
(ステップS13)
検出器22は標的装置20に弾着した座標データを検出して制御装置80へ送信する。
【0060】
(ステップS14)
制御装置80は弾着した座標データを処理して標的含めた弾着箇所を設定する。
【0061】
(ステップS15)
制御装置80は設定した標的含めた弾着箇所を入出力処理器50へ送信する。
【0062】
(ステップS16)
入出力処理器50が受信したデータを処理して弾数又は弾着位置の表示データをVR眼鏡60へ送信する。
【0063】
(ステップS17)
制御装置80はステップS14において設定された弾着箇所に基づいて第二の投映器40から映像を投映して弾着位置検出箇所を強調表示させる。以降、ステップS11~S17を繰り返す。
【0064】
(ステップS18)
入出力処理器50がVR眼鏡60における残弾数の表示を設定した場合、弾補充時は入出力処理器50にて補充された残弾数の設定を行う。
【0065】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0066】
例えば、上記した実施形態は本開示のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0067】
例えば、射撃訓練システム10は、第二の投映器40、入出力処理器50、VR眼鏡60および射手センサ70を使用しないで、標的装置20、第一の投映器30および制御装置80で構成してもよい。射撃訓練システム10は、入出力処理器50、VR眼鏡60および射手センサ70を使用しないで、標的装置20、第一の投映器30、第二の投映器40および制御装置80で構成してもよい。また、射撃訓練システム10は、標的装置20、第二の投映器40および制御装置80で構成してもよいし、標的装置20、VR眼鏡60および制御装置80で構成してもよい。さらに、射撃訓練システム10は、標的装置20、第一の投映器20、VR眼鏡60および制御装置80で構成してもよいし、標的装置20、第二の投映器40、VR眼鏡60および制御装置80で構成してもよい。
【0068】
例えば、標的装置の投映スクリーンは、ラバータイプに限定されず、標的や射撃結果の投影が可能であり、弾着位置が検出可能であれば、他の構成のものであっても良い。
【0069】
さらに、上述した各構成、機能、制御装置等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成する例を中心に説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、処理部の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0070】
20 標的装置
21 投映スクリーン
22 検出器
30 第一の投映器
31 光源
36 投映レンズ
37 集光レンズ
38 標的映像形成手段(影絵形成手段または回析光学素子)
80 制御装置