(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003574
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、火災時滞在人数算出方法、プログラム、及び火災時滞在人数算出システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240105BHJP
G08B 25/01 20060101ALI20240105BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240105BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B25/01 C
G08B21/00 E
G08B17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102799
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】熊本 隆敏
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA22
5C086CA09
5C086CA11
5C086CA12
5C086CA23
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB01
5C086CB16
5C086CB35
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5C086EA23
5C087AA03
5C087BB11
5C087BB15
5C087DD04
5C087DD20
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5C087FF01
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5C087GG02
5C087GG06
5C087GG35
5C087GG70
5G405AA01
5G405AA06
5G405AB02
5G405AB05
5G405AB07
5G405AC07
5G405AD07
5G405BA02
5G405BA09
5G405CA21
5G405DA07
5G405EA16
5G405EA31
5G405EA41
(57)【要約】
【課題】火災に耐える火災時滞在人数算出システムを提供する。
【解決手段】可視光を撮像し可視画像データを取得する画像撮像装置18と物体から放射される赤外線を撮像し赤外画像データを取得するサーモグラフィ19とを備える監視カメラ11と、光ファイバ検出データを取得する光ファイバセンサ13と、監視カメラ及び光ファイバセンサと接続された情報処理装置14と、を備え、情報処理装置は、監視カメラが作動可能か否か及び可視画像データまたは赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定し、情報処理装置は、監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ていない場合、可視画像データを用い、監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ている場合、赤外画像データ及び光ファイバ検出データを用い、監視カメラが作動不可能な場合、光ファイバ検出データを用いてフロアの人数を算出する、火災時滞在人数算出システムを提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域の撮像画像を取得する画像取得部と、
取得した前記撮像画像に画像判定を行う画像処理部と、
前記領域に設置された光ファイバの光ファイバ検出データを取得する光ファイバ検出データ取得部と、
前記撮像画像の品質判定を行う判定部と、
前記領域の人数を算出する算出部と、を備え、
前記算出部は、前記品質判定が第1の結果である場合、前記画像判定を用い、
前記品質判定が第2の結果である場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記領域の人数を算出する、情報処理装置。
【請求項2】
前記領域の人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、各場合の前記領域の前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記領域に滞在する人数を算出する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する情報取得部と、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定する判定部と、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出する算出部と、を備える、情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記建物と異なる建物に設置されている、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記算出部は、各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記建物に前記フロアは複数あり、前記算出部は、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記算出部は、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出する、請求項4乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出するステップと、を備える火災時滞在人数算出方法。
【請求項11】
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、請求項10に記載の火災時滞在人数算出方法。
【請求項12】
各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出するステップを備える、請求項11に記載の火災時滞在人数算出方法。
【請求項13】
前記建物に前記フロアは複数あり、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出するステップを備える、請求項12に記載の火災時滞在人数算出方法。
【請求項14】
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記フロアの人数を算出するステップは、前記可視画像データを用いる、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の火災時滞在人数算出方法。
【請求項15】
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出し、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出し、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出するステップと、を情報処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
前記情報処理装置は、前記建物と異なる建物に設置されている、請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出するステップを前記情報処理装置に実行させる、請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記建物に前記フロアは複数あり、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出するステップを前記情報処理装置に実行させる、請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記フロアの人数を算出するステップは、前記可視画像データを用いる、請求項15乃至19のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項21】
建物のフロアに設置された可視光を撮像し可視画像データを取得する画像撮像装置と物体から放射される赤外線を撮像し赤外画像データを取得するサーモグラフィとを備える監視カメラと、
前記フロアに設置された光ファイバ検出データを取得する光ファイバセンサと、
前記監視カメラ及び前記光ファイバセンサと接続された情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、前記監視カメラが作動可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定し、
前記情報処理装置は、前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記監視カメラが作動不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出する、火災時滞在人数算出システム。
【請求項22】
前記情報処理装置は、前記建物と異なる建物に設置されている、請求項21に記載の火災時滞在人数算出システム。
【請求項23】
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、請求項22に記載の火災時滞在人数算出システム。
【請求項24】
前記情報処理装置は、各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出する、請求項23に記載の火災時滞在人数算出システム。
【請求項25】
前記建物に前記フロアは複数あり、前記情報処理装置は、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出する、請求項24に記載の火災時滞在人数算出システム。
【請求項26】
前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記情報処理装置は、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出する、請求項21乃至25のいずれか1項に記載の火災時滞在人数算出システム。
【請求項27】
領域の可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記領域に設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する情報取得部と、
前記可視画像データが取得可能か否かを判定する判定部と、
前記可視画像データが取得可能な場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記領域の人数を算出する算出部と、を備える、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報処理装置、火災時滞在人数算出方法、プログラム、及び火災時滞在人数算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災における人命被害を少しでも抑えるためには、消火活動を効率的かつ迅速に行う必要がある。そのために火災が発生した建物内の滞在人数を測定することが行われてきた。特許文献1では、客室内残存者無しの確認を行うために火災情報及び人の在室の有無を判断するためのビデオカメラと、各室の人の出入りを検知する光センサとを備えるシステムが開示されている。特許文献1では、各部屋の人の出入りを光センサで検知し、予めチェックしておいた結果に基づく各部屋の残存者の有無を、さらに室内に設けられたビデオカメラの出力によるモニタ表示により確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、火災の熱によりセンサやビデオカメラが故障した場合、または煙または炎が充満してビデオカメラで人を検知できない場合、建物内の滞在人数を算出できなくなるという問題があった。そこで、本開示の目的は、火災に耐えられる火災時滞在人数算出システム、火災時滞在人数算出方法、人数算出システム、情報処理装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の情報処理装置は、
領域の撮像画像を取得する画像取得部と、
取得した前記撮像画像に画像判定を行う画像処理部と、
前記領域に設置された光ファイバの光ファイバ検出データを取得する光ファイバ検出データ取得部と、
前記撮像画像の品質判定を行う判定部と、
前記領域の人数を算出する算出部と、を備え、
前記算出部は、前記品質判定が第1の結果である場合、前記画像判定を用い、
前記品質判定が第2の結果である場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記領域の人数を算出する、情報処理装置である。
【0006】
本開示の情報処理装置は、
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する情報取得部と、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定する判定部と、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出する算出部と、を備える、情報処理装置である。
【0007】
本開示の火災時滞在人数算出方法は、
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出するステップと、を備える火災時滞在人数算出方法である。
【0008】
本開示のプログラムは、
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出し、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出し、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出するステップと、を情報処理装置に実行させるプログラムである。
【0009】
本開示の火災時滞在人数算出システムは、
建物のフロアに設置された可視光を撮像し可視画像データを取得する画像撮像装置と物体から放射される赤外線を撮像し赤外画像データを取得するサーモグラフィとを備える監視カメラと、
前記フロアに設置された光ファイバ検出データを取得する光ファイバセンサと、
前記監視カメラ及び前記光ファイバセンサと接続された情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、前記監視カメラが作動可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定し、
前記情報処理装置は、前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記監視カメラが作動不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出する、火災時滞在人数算出システムである。
【0010】
本開示の情報処理装置は、
領域の可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記領域に設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する情報取得部と、
前記可視画像データが取得可能か否かを判定する判定部と、
前記可視画像データが取得可能な場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記領域の人数を算出する算出部と、を備える、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、火災に耐えられる情報処理装置、火災時滞在人数算出方法、プログラム及び火災時滞在人数算出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態にかかるXXビルの火災時滞在人数算出システムの概略図である。
【
図2】実施の形態にかかる情報処理装置のブロック図である。
【
図3】実施の形態にかかる火災時滞在人数算出方法のフローチャートである。
【
図4】実施の形態にかかる通常時のXXビル3階の西、東それぞれの入場人数、退場人数の時系列の表である。
【
図5】実施の形態にかかる火災等非常時のXXビル3階の西、東それぞれの入場人数、退場人数の時系列の表である。
【
図6】実施の形態にかかるXXビルの各フロア及びエレベータの推定人数と更新時刻を示す表である。
【
図7】実施の形態にかかる火災時滞在人数算出システムのブロック図である。
【
図8】実施の形態にかかる情報処理装置の別のブロック図である。
【
図9】実施の形態にかかる情報処理装置のさらに別のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施の形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
(実施の形態にかかる火災時滞在人数算出システムの説明)
図1は、実施の形態にかかるXXビルの火災時滞在人数算出システムの概略図である。
図1を参照しながら、実施の形態にかかるXXビルの火災時滞在人数算出システムを説明する。
【0015】
図1に示すように、実施の形態にかかる火災時滞在人数算出システムは、建物15のフロアごとに設置された監視カメラ11と、建物15のフロアごとに設置された光ファイバ12と、光ファイバセンサ(以下、単に光FSという)13と、情報処理装置14と、を備える。光FS13と情報処理装置14は、建物15と異なる建物16に配置されることが好ましい。
【0016】
監視カメラ11は、各フロアに複数設けられる。監視カメラ11は、可視光の画像である可視画像を撮像する画像撮像装置18(
図7にて図示)と、物体から放射される赤外線の画像である赤外画像を撮像するサーモグラフィ19(
図7にて図示)とを備える。画像撮像装置18とサーモグラフィ19は、光の波長に対する感度の違いを備えるだけである。したがって、可視光と赤外線の両方に感度を備える監視カメラ11の場合、可視光と赤外線の画像を切り替えるだけの場合がある。すなわち、画像撮像装置18とサーモグラフィ19は、一体であってもよい。また、画像撮像装置18を用いるとは、可視画像データを用いるということである。さらに、サーモグラフィ19を用いるとは、赤外画像データを用いるといることである。なお、映像は、時系列の複数の画像(フレームとも称する)を含むため、映像と画像とは互いに言い換え可能である。すなわち、画像撮像装置は、映像撮像装置ともいえる。
【0017】
監視カメラ11は、情報処理装置14とネットワークにより接続される。ネットワークは有線でも無線でもよい。ネットワークは、LAN(Local Area Network)でも、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、LTE(Long Term Evolution)などの携帯電話回線でもよい。また、ネットワークは、インターネット回線でもよい。監視カメラ11は、位置情報、時刻、撮像データ(画像撮像装置18を用いて撮像した可視画像データとサーモグラフィ19を用いて撮像した赤外画像データ)を情報処理装置14に送信する。監視カメラ11は、各フロアの出入り口に設置され、人物の入場と退場を撮像する。
【0018】
光ファイバ12は、放出されたレーザ光の後方散乱光(レイリー散乱光)を検出する線状のケーブルである。光ファイバ12は、光を伝送する。光ファイバ12は、繊維状に形成した石英ガラス、プラスチック等の光を伝送することが可能な物質を用い、中心部のコアと、コアの周囲を覆うクラッドの二層構造になったものを用いる。光ファイバ12は、光FS13に接続される。光ファイバ12は、振動を検出したい場所に接続し、配設される。光ファイバ12は、特にフロアの床下に配設されることが好ましい。光ファイバ12は、熱に強いため火災時に溶けて断線することが少ない。
【0019】
光FS13は、時間領域反射測定(OTDR(Optical Time Domain Reflectometry))を用いて、光ファイバ12に伝わる振動を測定する。光ファイバ12にプローブ光としてパルス光を入射すると、パルス光の伝搬に伴って後方散乱光が発生していく。OTDRは、光ファイバ12の長手方向の各位置において発生した後方散乱光を測定する。振動の測定は、OTDRによって得られた後方散乱光の強度、位相の変化を観測することにより得られる。このような光FS13は、分布型音響センサ(DAS(Distributed Acoustic Sensor))などと呼ばれる。
【0020】
光FS13は、情報処理装置14に接続される。光FS13は、光ファイバ12で収集した振動、音のデータを受信する。光FS13は、当該振動、位置情報、時刻を付与した音のデータを情報処理装置14に送信する。これらのデータを光ファイバ検出データという。光ファイバ12及び光FS13を用いることにより、各フロアの人数を算出できる。
【0021】
情報処理装置14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、ソフトウェア、I/O(Input/Output)インターフェースなどから構成されるコンピュータを用いることができる。情報処理装置14は、1つの装置により構成してもよいし、複数の装置により構成してもよい。また、情報処理装置14の一部または全部をエッジまたはクラウドに配置してもよい。さらに、情報処理装置14は、クラウドに各機能を分散配置してもよい。
【0022】
情報処理装置14は、監視カメラ11及び光FS13から集められたデータを用いて、各フロア及び建物15の人数を算出し、記録する。例えば、情報処理装置14に記録されたデータ17bには、位置情報XXビル3階、時刻14:00、推定人数5人が格納される。同様に、データ17cには、位置情報XXビル2階、時刻13:10、推定人数2人が格納される。データ17dには、位置情報XXビル1階、時刻13:50、推定人数1人が格納される。データ17eには、位置情報西エレベータ、時刻13:55、推定人数1人が格納される。したがって、データ17aのように、建物15であるXXビルは、更新時刻14:00、推定人数9人が算出される。
【0023】
人数を算出するために、監視カメラ11の画像撮像装置18で撮像した可視画像データを用いることが、最も正確である。また、床下に設置された光ファイバ12も人数を算出することができる。火災時には煙または炎により画像撮像装置18の画像が遮断される可能性がある。一方、光ファイバ12は、煙または炎の影響を受けにくい。そのため、監視カメラ11が作動可能、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、画像撮像装置18でフロアの人数を算出する。また、監視カメラ11が作動可能、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能で、煙または炎が発生した場合は、監視カメラ11の赤外画像データと光FS13の光ファイバ検出データを用いてフロアの人数を算出する。また、監視カメラ11が作動可能、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能で、消火され、炎と煙が消えた場合、再び画像撮像装置18でフロアの人数を算出する。さらに、熱または炎により、監視カメラ11が動作不可能、可視画像データ及び赤外画像データが取得不可能になった場合、光FS13で光ファイバ検出データを取得してフロアの人数を算出する。
【0024】
このように、フロアの人数を算出する装置を順位付けすることで、火災に耐えられる火災時滞在人数算出システムを提供できる。また、光FS13と、情報処理装置14は、建物15と異なる建物16に配置されることで、さらに火災に耐えられる火災時滞在人数算出システムを提供できる。
【0025】
(実施の形態にかかる情報処理装置の説明)
図2は、実施の形態にかかる情報処理装置のブロック図である。
図2を参照しながら実施の形態の情報処理装置を説明する。
【0026】
情報処理装置14は、機能としてカタログ部22と、イベント処理部23と、外部連携・分析部24と、データ転送部25と、ガバナンス部26と、アダプタ部27と、データ管理部28と、を備える。
【0027】
カタログ部22は、建物の管理者であるビル管理者、消防署及び警察署などの通報先一覧を保持する機能を有する部分である。
【0028】
ガバナンス部26は、権限を確認する機能を有する部分である。ガバナンス部26は、ビル管理者、消防署及び警察署などへ通報する権限を確認する。
【0029】
アダプタ部27は、外部機器と接続する機能を有する部分である。アダプタ部27は、監視カメラ11、光FS13、ビル管理者、消防署及び警察署と接続する機能を有する。
【0030】
データ転送部25は、外部からのデータを送受信する機能を有する部分である。データ転送部25は、監視カメラ11、光FS13、ビル管理者、消防署及び警察署とデータを送受信する。
【0031】
外部連携・分析部24は、監視カメラ11の撮像データを分析する機能を有する部分である。外部連携・分析部24は、監視カメラ11が作動可能か否か判定する。また、外部連携・分析部24は、煙または炎の発生有無を、例えば撮像データに対する画像解析を行うこと、またはカメラ部付属または別体となる煙センサ、熱センサ等で検知することなどにより判定する。この判定結果により、煙や炎が出ているか否かを判定する。特に撮像データに煙または炎が出ているか否かを判定することは、入場する人及び退場する人が撮影できるか否か判断できるので好ましい。しかしながら、入場する人及び退場する人を撮影できなくなる可能性を予測するため、煙センサ及び熱センサを用いることができる。外部連携・分析部24は、撮像データから煙または炎が検出されない場合、すなわち第1の判定結果の場合、画像撮像装置18で撮像された撮像データを用いて入場人数、退場人数を算出する。外部連携・分析部24は、撮像データから煙または炎が検出された場合、すなわち第2の判定結果の場合、サーモグラフィ19で撮像されたデータと光FS13のデータを用いて入場人数、退場人数を算出する。第2の判定結果の場合、少なくとも光FS13のデータを用い、サーモグラフィ19を用いなくてもよい。外部連携・分析部24は、監視カメラ11の状態が「異常」または「停止」の場合または撮像データが受信できない等、監視カメラ11の状態が正常でない場合、光FS13のデータを用いて入場人数、退場人数を算出する。
【0032】
イベント処理部23は、各フロア及び建物の推定人数を算出する機能を有する部分である。イベント処理部23は、外部連携・分析部24で入場人数、退場人数を算出した後、位置情報、時刻、監視カメラ11の状態、煙または炎の検出の有無、入場人数及び退場人数が送信される。イベント処理部23は、上記データが送信された後、推定人数を算出する。
【0033】
データ管理部28は、外部連携・分析部24で算出された入場人数、退場人数、位置情報、時刻、監視カメラ11の状態、煙または炎の検出の有無、各フロア及び建物の推定人数を記録し、保持する機能を有する部分である。
【0034】
図9に示すように、情報処理装置14は、画像取得部91と、画像処理部92と、光ファイバ検出データ取得部93と、判定部94と、算出部95と、を備える構成にしてもよい。画像取得部91は領域の撮像画像を取得する。アダプタ部27、データ転送部25、外部連携・分析部24は、領域の撮像画像を取得する画像取得部91として機能する。画像処理部92は、取得した撮像画像に画像判定を行う。したがって、外部連携・分析部24が画像処理部92として機能する。光ファイバ検出データ取得部93は、領域に設置された光ファイバの光ファイバ検出データを取得する。したがって、アダプタ部27、データ転送部25、外部連携・分析部24は、光ファイバ検出データ取得部93として機能する。判定部94は、撮像画像の品質判定を行う。したがって、外部連携・分析部24は、判定部94として機能する。算出部95は、領域の人数を算出する。特に、算出部95は、品質判定が第1の結果の場合、すなわち撮像画像の品質が良く人数を判別できる場合、画像判定を用いて領域の人数を算出する。また、算出部95は、品質判定が第2の結果の場合、すなわち、撮像画像の品質が悪く人数を判別できない場合、光ファイバ検出データを用いて領域の人数を算出する。したがって、外部連携・分析部24及びイベント処理部23は、領域の人数を算出する算出部95として機能する。
【0035】
図8に示すように、情報処理装置14は、情報取得部81と、判定部82と、算出部83とを備える構成にしてもよい。情報取得部81は、建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データを取得する。また情報取得部81は、フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する。したがって、アダプタ部27、データ転送部25、外部連携・分析部24は、画像撮像装置、サーモグラフィ及び光FS13から情報を取得する情報取得部81として機能する。判定部82は、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能か否か及び可視画像データまたは赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定する。したがって、外部連携・分析部24は、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能か否か及び可視画像データまたは赤外画像データに煙または炎が発生しているか否かを判定する判定部82として機能する。また、算出部83は、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合は、可視画像データを用いてフロアの人数を算出する。また、算出部83は、可視画像データ及び赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合は、赤外画像データ及び光ファイバ検出データを用いてフロアの人数を算出する。また、算出部83は、可視画像データ及び赤外画像データが取得不可能な場合は、光ファイバ検出データを用いてフロアの人数を算出する。したがって、外部連携・分析部24及びイベント処理部23は、各フロア及び建物の人数を算出する算出部83として機能する。
【0036】
(実施の形態にかかる火災時滞在人数算出方法の説明)
図3は、実施の形態にかかる火災時滞在人数算出方法のフローチャートである。
図4は、実施の形態にかかる通常時のXXビル3階の西、東それぞれの入場人数、退場人数の時系列の表である。
図5は、実施の形態にかかる火災等非常時のXXビル3階の西、東それぞれの入場人数、退場人数の時系列の表である。
図6は、実施の形態にかかるXXビルの各フロア及びエレベータの推定人数と更新時刻を示す表である。
図3乃至
図6を参照しながら、実施の形態にかかる火災時滞在人数算出方法を説明する。
【0037】
まず、情報処理装置14は、入場または退場があった際、監視カメラ11及び光FS13から入場または退場の人数を受信する(ステップS30)。次に情報処理装置14は、監視カメラ11が正常か否か判断する(ステップS31)。情報処理装置14に監視カメラ11の映像データが来た場合、情報処理装置14は、監視カメラ11が正常であると判定する。すなわち、監視カメラ11は作動可能である。情報処理装置14に監視カメラ11の映像データが来ない場合、すなわち「異常」または「停止」の場合、情報処理装置14は、監視カメラ11が正常ではないと判定する。すなわち、監視カメラ11は作動不可能である。監視カメラ11が正常の場合(ステップS31のはいの場合)、情報処理装置14は、監視カメラ11が煙または炎を検知したか否か判定する(ステップS32)。
【0038】
煙または炎を検知しない場合(ステップS32のいいえの場合)、情報処理装置14は、監視カメラ11の画像撮像装置18の可視画像データを用いて入場または退場の人数を算出する(ステップS33)。次に、情報処理装置14の監視カメラ稼働中かつ煙または炎の検知なし(
図4、5)に監視カメラ11の状態及び入場または退場の人数を格納する(ステップS36)。
【0039】
煙または炎を検知した場合(ステップS32のはいの場合)、情報処理装置14は、監視カメラ11のサーモグラフィ19の赤外画像データ及び光ファイバ検出データを用いて入場または退場の人数を算出する(ステップS34)。次に情報処理装置14の監視カメラ稼働中かつ煙または炎の検知あり(
図5)に監視カメラ11の状態及び入場または退場の人数を格納する(ステップS37)。
【0040】
監視カメラ11の状態が正常でない場合(ステップS31のいいえの場合)、情報処理装置14は、光ファイバ検出データを用いて入場または退場の人数を算出する。次に監視カメラ11停止中(
図5)に監視カメラ11の状態及び入場または退場の人数を格納する(ステップS38)。
【0041】
最後に、ステップS36、S37、S38の入場人数、退場人数をそれぞれ合計し、入場人数の合計-退場人数の合計でフロアの推定人数を算出する(ステップS39)。
【0042】
図4に炎や煙の検知がなく、XXビル3階西の監視カメラ11とXXビル3階東の監視カメラ11が正常である例を示す。XXビル3階西の時系列の表41には、可視画像データにより、10:00に入場1人、10:12に退場1人、11:20に入場2人、12:16に退場1人、14:00に入場1人が格納される。また、最新の14:00時点で監視カメラ11の状態は正常である。そのため、XXビル3階西の合計の表42には、最新の更新時刻14:00、監視カメラ11の状態「正常」、入場合計4人、退場合計2人、推定人数2人が格納される。
【0043】
一方、XXビル3階東の時系列の表43には、可視画像データにより、9:20に入場3人、10:12に退場1人、11:20に入場1人、12:55に退場1人、13:30に入場1人が格納される。また最新の13:30時点で監視カメラ11の状態は正常である。そのため、XXビル3階東の合計の表44には、最新の更新時刻13:30、監視カメラ11の状態「正常」、入場合計5人、退場合計2人、推定人数3人が格納される。
【0044】
XXビル3階の合計の表45には、表42と表44を合計して、最新の更新時刻14:00、推定人数5人が格納される。このようにして各フロアの推定人数を算出できる。
【0045】
図5に炎や煙の検知がある及びXXビル3階西の監視カメラ11が正常であり、XXビル3階東の監視カメラ11が停止した例を示す。XXビル3階西の時系列の表51には、可視画像データにより、10:00に入場1人、10:12に退場1人が格納される。11:20に炎や煙を検知したため、赤外画像データと、光ファイバ検出データにより入場2人、12:16に退場1人がXXビル3階西の時系列の表51に格納される。14:00に消火され、炎や煙の検知がなくなったため、可視画像データにより入場1人がXXビル3階西の時系列の表51に格納される。消火後、サーモグラフィ19と光FS13での検知から画像撮像装置18の検知に切り替えることにより、正確な人数を検出できる。また、最新の14:00時点で監視カメラ11の状態は正常である。そのため、XXビル3階西の合計の表52には、最新の更新時刻14:00、監視カメラ11の状態「正常」、入場合計4人、退場合計2人、推定人数2人が格納される。
【0046】
一方、XXビル3階東の時系列の表53には、可視画像データにより、9:20に入場3人が格納される。10:12に炎や煙を検知したため、赤外画像データと光ファイバ検出データにより、退場1人がXXビル3階東の時系列の表53に格納される。11:20に監視カメラ11が停止したため、光ファイバ検出データにより入場1人、12:55に退場1人、13:30に入場1人がXXビル3階東の時系列の表53に格納される。また最新の13:30時点で監視カメラ11の状態は異常である。そのため、XXビル3階東の合計の表54には、最新の更新時刻13:30、監視カメラ11の状態「異常」、入場合計5人、退場合計2人、推定人数3人が格納される。
【0047】
XXビル3階の合計の表55には、表52と表54を合計して、最新の更新時刻14:00、推定人数5人が格納される。このようにして火災時の各フロアの人数を算出できる。
【0048】
図6に示すように、XXビル3階の合計の表62に最新の更新時刻14:00、推定人数5人が格納される。同様にXXビル2階の合計の表63に最新の更新時刻13:10、推定人数2人が格納される。XXビル1階の合計の表64に最新の更新時刻13:50、推定人数1人が格納される。西エレベータの合計の表65に最新の更新時刻13:20、推定人数1人が格納される。したがって、XXビル(建物)の人数の表61に、すべての表の最新の更新時刻14:00、全ての表の推定人数の合計9人が格納される。
【0049】
このようにして、建物に滞在する人数を算出できる。このような火災時滞在人数算出方法は、火災に耐えることができる。
【0050】
また、上述した情報処理装置14における処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0051】
上記プログラムを情報処理装置14に実行させることにより、火災に耐えられる火災時滞在人数算出システムを実現できる。
【0052】
図7に示すように、本開示の火災時滞在人数算出システム10は、建物のフロアに設置された可視光を撮像し可視画像データを取得する画像撮像装置18と物体から放射される赤外線を撮像し赤外画像データを取得するサーモグラフィ19とを備える監視カメラ11と、フロアに設置された光ファイバ検出データを取得する光ファイバセンサ13と、監視カメラ11及び光ファイバセンサ13と接続された情報処理装置14と、を備え、情報処理装置14は、監視カメラ11が作動可能か否か及び可視画像データまたは赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定し、情報処理装置14は、監視カメラ11が作動可能で、煙または炎が出ていない場合、可視画像データを用い、監視カメラ11が作動可能で、煙または炎が出ている場合、赤外画像データ及び光ファイバ検出データを用い、監視カメラ11が作動不可能な場合、光ファイバ検出データを用いてフロアの人数を算出する。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本開示では、各フロアの出入り口に設置された監視カメラ11と光FS13を用いているが、各部屋の出入り口に監視カメラ11と光FS13を設置することで、部屋ごとの滞在人数を算出することができる。また、本開示では、火災により視界が遮られる場合での滞在人数の算出を例示しているが、暗闇や霧で監視カメラ11の視界が遮られる場所や、停電及び故障により監視カメラ11が使用できなくなった場合でも滞在人数を算出できる。暗闇や霧で監視カメラ11の視界が遮られる場合及び停電及び故障により監視カメラ11が使用できなくなった場合も可視画像が取得不可能であるといえる。
【0054】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
領域の撮像画像を取得する画像取得部と、
取得した前記撮像画像に画像判定を行う画像処理部と、
前記領域に設置された光ファイバの光ファイバ検出データを取得する光ファイバ検出データ取得部と、
前記撮像画像の品質判定を行う判定部と、
前記領域の人数を算出する算出部と、を備え、
前記算出部は、前記品質判定が第1の結果である場合、前記画像判定を用い、
前記品質判定が第2の結果である場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記領域の人数を算出する、情報処理装置。
(付記2)
前記領域の人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記算出部は、各場合の前記領域の前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記領域に滞在する人数を算出する、付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する情報取得部と、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定する判定部と、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出する算出部と、を備える、情報処理装置。
(付記5)
前記情報処理装置は、前記建物と異なる建物に設置されている、付記4に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、付記5に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記算出部は、各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出する、付記6に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記建物に前記フロアは複数あり、前記算出部は、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出する、付記7に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記算出部は、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出する、付記4乃至8のいずれかに記載の情報処理装置。
(付記10)
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出するステップと、を備える火災時滞在人数算出方法。
(付記11)
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、付記10に記載の火災時滞在人数算出方法。
(付記12)
各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出するステップを備える、付記11に記載の火災時滞在人数算出方法。
(付記13)
前記建物に前記フロアは複数あり、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出するステップを備える、付記12に記載の火災時滞在人数算出方法。
(付記14)
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記フロアの人数を算出するステップは、前記可視画像データを用いる、付記10乃至13のいずれかに記載の火災時滞在人数算出方法。
(付記15)
建物のフロアに設置された可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記フロアに設置された物体から放射される赤外線を撮像するサーモグラフィで取得された赤外画像データと、前記フロアに設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定するステップと、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出し、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出し、
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出するステップと、を情報処理装置に実行させるプログラム。
(付記16)
前記情報処理装置は、前記建物と異なる建物に設置されている、付記15に記載のプログラム。
(付記17)
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、付記16に記載のプログラム。
(付記18)
各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出するステップを前記情報処理装置に実行させる、付記17に記載のプログラム。
(付記19)
前記建物に前記フロアは複数あり、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出するステップを前記情報処理装置に実行させる、付記18に記載のプログラム。
(付記20)
前記可視画像データ及び前記赤外画像データが取得可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記フロアの人数を算出するステップは、前記可視画像データを用いる、付記15乃至19のいずれかに記載のプログラム。
(付記21)
建物のフロアに設置された可視光を撮像し可視画像データを取得する画像撮像装置と物体から放射される赤外線を撮像し赤外画像データを取得するサーモグラフィとを備える監視カメラと、
前記フロアに設置された光ファイバ検出データを取得する光ファイバセンサと、
前記監視カメラ及び前記光ファイバセンサと接続された情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、前記監視カメラが作動可能か否か及び前記可視画像データまたは前記赤外画像データに煙または炎が出ているか否かを判定し、
前記情報処理装置は、前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ていない場合、前記可視画像データを用い、
前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ている場合、前記赤外画像データ及び前記光ファイバ検出データを用い、
前記監視カメラが作動不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記フロアの人数を算出する、火災時滞在人数算出システム。
(付記22)
前記情報処理装置は、前記建物と異なる建物に設置されている、付記21に記載の火災時滞在人数算出システム。
(付記23)
前記人数は、少なくとも入場人数または退場人数のいずれかを用いて算出される、付記22に記載の火災時滞在人数算出システム。
(付記24)
前記情報処理装置は、各場合の前記フロアの前記入場人数及び前記退場人数を合計して、前記フロアに滞在する人数を算出する、付記23に記載の火災時滞在人数算出システム。
(付記25)
前記建物に前記フロアは複数あり、前記情報処理装置は、各フロアに滞在する人数を合計して前記建物に滞在する人数を算出する、付記24に記載の火災時滞在人数算出システム。
(付記26)
前記監視カメラが作動可能で、煙または炎が出ていると判定された後、煙または炎が出ていないと判定された場合、前記情報処理装置は、前記可視画像データを用いて前記フロアの人数を算出する、付記21乃至25のいずれかに記載の火災時滞在人数算出システム。
(付記27)
領域の可視光を撮像する画像撮像装置で取得された可視画像データと、前記領域に設置された光ファイバセンサから取得された光ファイバ検出データと、を取得する情報取得部と、
前記可視画像データが取得可能か否かを判定する判定部と、
前記可視画像データが取得可能な場合、前記可視画像データを用い、
前記可視画像データが取得不可能な場合、前記光ファイバ検出データを用いて前記領域の人数を算出する算出部と、を備える、情報処理装置。
【符号の説明】
【0055】
11 監視カメラ
12 光ファイバ
13 光ファイバセンサ
14 情報処理装置
15 建物
16 建物
17a データ
17b データ
17c データ
17d データ
17e データ
18 画像撮像装置
19 サーモグラフィ
22 カタログ部
23 イベント処理部
24 外部連携・分析部
25 データ転送部
26 ガバナンス部
27 アダプタ部
28 データ管理部
41 XXビル3階西の時系列の表
42 XXビル3階西の合計の表
43 XXビル3階東の時系列の表
44 XXビル3階東の合計の表
45 XXビル3階の合計の表
51 XXビル3階西の時系列の表
52 XXビル3階西の合計の表
53 XXビル3階東の時系列の表
54 XXビル3階東の合計の表
55 XXビル3階の合計の表
61 XXビル(建物)の人数の表
62 XXビル3階の合計の表
63 XXビル2階の合計の表
64 XXビル1階の合計の表
65 西エレベータの合計の表
81 情報取得部
82 判定部
83 算出部
91 画像取得部
92 画像処理部
93 光ファイバ検出データ取得部
94 判定部
95 算出部