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特開2024-35741風力発電装置制御システム及びブレード風検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035741
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】風力発電装置制御システム及びブレード風検出装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20240307BHJP
   F03D 80/80 20160101ALI20240307BHJP
   G01P 5/06 20060101ALI20240307BHJP
   G01P 13/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F03D7/04 L
F03D7/04 E
F03D80/80
G01P5/06 J
G01P13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140400
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】野原 修
(72)【発明者】
【氏名】小森 啓史
【テーマコード(参考)】
2F034
3H178
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034DA04
2F034DA17
2F034DB04
2F034DB15
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB12
3H178DD31Z
3H178DD42Z
3H178EE02
3H178EE13
3H178EE15
3H178EE23
3H178EE40
(57)【要約】
【課題】風力発電装置が受ける風の状態を正確に把握して風力発電装置を駆動することができる風力発電装置制御システム及びブレード風検出装置を提供する。
【解決手段】風力発電装置制御システムは、風力発電装置が備える少なくとも1つのブレード上の風向と風速の少なくとも1つを検出するブレード風検出装置と、ブレード風検出装置が検出した風向と風速の少なくとも1つに基づいて、少なくとも1つのブレードのピッチ角度と、風力発電装置のヨー角度の少なくともいずれかを制御するブレード制御装置と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置が備える少なくとも1つのブレード上の風向と風速の少なくとも1つを検出するブレード風検出装置と、
前記ブレード風検出装置が検出した前記風向と前記風速の少なくとも1つに基づいて、前記少なくとも1つのブレードのピッチ角度と、前記風力発電装置のヨー角度の少なくともいずれかを制御するブレード制御装置と、
を備える風力発電装置制御システム。
【請求項2】
前記ブレード風検出装置は、
前記ブレード上に設けられる少なくとも1つの応力センサと、
前記ブレード上に設けられ、前記応力センサの測定結果を前記ブレード制御装置に無線送信する送信部と、
を備える請求項1に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項3】
前記応力センサは、前記ブレードの円周方向に沿って設けられる複数の応力センサである
請求項2に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項4】
前記ブレード風検出装置は、
前記ブレードのピッチ角度を取得するピッチ角度取得部と、
前記応力センサの測定時点における前記ピッチ角度に基づいて、前記複数の応力センサの内の少なくとも1つの方位を特定し、特定した方位と前記複数の応力センサそれぞれの測定結果とに基づいて、前記ブレード上の風向を検出する風向検出部と、
を備える請求項3に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項5】
前記ブレード風検出装置は、
前記ブレードが風を受けたことに起因して回転する際の回転中心軸における回転角度を取得する回転角度取得部と、
前記応力センサの測定時点における前記回転角度に基づいて、前記複数の応力センサ内の少なくとも1つの方位を特定し、特定した方位と前記複数の応力センサそれぞれの測定結果に基づいて、前記ブレード上の風向を検出する風向検出部と、
を備える請求項3に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項6】
前記ブレード風検出装置は、
風速と前記応力センサの測定結果との対応関係を示す対応情報を記憶する対応情報記憶部と、
前記複数の応力センサのそれぞれの測定結果を統計処理した指標値を算出する指標値算出部と、
前記指標値と前記対応情報とに基づいて、前記ブレード上の風速を検出する風速検出部と、
を備える請求項3に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項7】
前記風力発電装置のナセルに取り付けられるナセル風向検出装置を更に備え、
前記制御部は、前記ブレードが定格回転に到達するまでは、前記ナセル風向検出装置が検出する風向に基づいて、前記ピッチ角度と前記ヨー角度の少なくともいずれかを制御し、
前記ブレードが前記定格回転に到達している間は、前記ブレード風検出装置が検出する風向に基づいて、前記ピッチ角度と前記ヨー角度の少なくともいずれかを制御する
請求項1に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項8】
前記ブレード風検出装置は、所定期間における前記風向の変化量である風向偏差を算出する偏差算出部を備え、
前記ヨー角度を回転駆動するヨー駆動装置にかかる負荷を検出する負荷検出装置と、
前記駆動装置にかかる負荷が所定の閾値を超えた際に、前記ヨー駆動装置にかかる負荷が前記所定の閾値を超えた時点を含む特定期間の前記ヨー駆動装置にかかる負荷と前記風向偏差とを外部装置に出力する出力装置と
を更に備える
請求項1に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項9】
前記ブレード風検出装置は、所定期間における前記風向の変化量である風向偏差を算出する偏差算出部を備え、
前記ヨー角度を回転駆動するヨー駆動装置にかかる負荷を検出する負荷検出装置と、
前記風向偏差が所定の閾値を超えた際に、前記風向偏差が前記所定の閾値を超えた時点を含む特定期間の前記ヨー駆動装置にかかる負荷と前記風向偏差とを外部装置に出力する出力装置と
を更に備える
請求項1に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項10】
風力発電装置が備える少なくとも1つのブレードにかかる応力を測定する応力センサと、
前記応力センサの測定結果に基づいて、前記ブレードのヨー角度を回転駆動するヨー駆動装置の出力を停止し、且つ、前記ヨー駆動装置の回転駆動を制動する制動機構による制動を解除する解除部と、
を備える風力発電装置制御システム。
【請求項11】
前記ブレードの根元から先端までの距離をZとした場合に、前記応力センサは、前記ブレードの根元から0~Z/8までの領域に設けられる
請求項2に記載の風力発電装置制御システム。
【請求項12】
風力発電装置が備える少なくとも1つのブレード上の風向と風速の少なくとも1つを検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記風向と前記風速の少なくとも1つをブレードの回転によって発電する発電機を内蔵するナセル内に設けられたブレード制御装置に無線送信する送信部と、
を備えるブレード風検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のいくつかの態様は、風力発電装置制御システム及びブレード風検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、複数枚のブレードと、ナセル、タワーなどを備える風力発電装置が開示されている。この特許文献1では、風向を検出するナセル風向検出装置をナセル上に設置している。そして、ナセル上に設置されるナセル風向検出装置が検出する風向のデータに基づいて、タワー上に取り付けられるナセルの回転角度(つまり、ヨー角度)を制御している。このような制御を行うことにより、特許文献1では、風力発電装置の発電量を向上させたり、ブレードを駆動する駆動部が、突風により衝撃を受けることを回避したりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-118076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されている風力発電装置では、風力発電装置に向かって吹く風により、複数のブレードが回転する。ナセル上に設けられているナセル風向検出装置は、複数のブレードの間を通り抜けた風を検出する。しかし、特許文献1で開示されている風力発電装置では、ナセル風向検出装置が、複数のブレードの後方に設けられており、複数のブレードと、ナセル風向検出装置との距離が離れている。そのため、ナセル上に設けられているナセル風向検出装置が検出する風向は、複数のブレード上での風向とは異なる場合がある。よって、特許文献1で開示されている風力発電装置では、複数のブレード上における風向を正確に把握して、風力発電装置のタワー上に取り付けられるナセルの回転角度(つまり、ヨー角度)を制御することができない場合がある。
【0005】
本発明のいくつかの態様は、上記課題を解決するためになされたものであって、風力発電装置が受ける風の状態を正確に把握して風力発電装置を駆動することができる風力発電装置制御システム及びブレード風検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムは、風力発電装置が備える少なくとも1つのブレード上の風向と風速の少なくとも1つを検出するブレード風検出装置と、前記ブレード風検出装置が検出した前記風向と前記風速の少なくとも1つに基づいて、前記少なくとも1つのブレードのピッチ角度と、前記風力発電装置のヨー角度の少なくともいずれかを制御するブレード制御装置と、を備える。
この構成によれば、風力発電装置が受ける風の状態を正確に把握して風力発電装置を駆動することができる。
【0007】
(2) なお、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレード風検出装置は、前記ブレード上に設けられる少なくとも1つの応力センサと、前記ブレード上に設けられ、前記応力センサの測定結果を前記ブレード制御装置に無線送信する送信部と、を備えてもよい。
この構成によれば、ブレードにおける風向や風速のデータを、ブレードが回転中であっても無線通信により取得することができ、取得したデータに基づいて、風力発電装置を駆動することができる。
【0008】
(3) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記応力センサは、前記ブレードの円周方向に沿って設けられる複数の応力センサであってもよい。
この構成によれば、ブレードの円周方向に設けられる複数の応力センサにより、ブレードの周囲360度の方向から吹いてくる風の状態を把握することができるため、ブレードが受ける風の状態を正確に把握して風力発電装置を駆動することができる。
【0009】
(4) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレード風検出装置は、前記ブレードのピッチ角度を取得するピッチ角度取得部と、前記応力センサの測定時点における前記ピッチ角度に基づいて、前記複数の応力センサの内の少なくとも1つの方位を特定し、特定した方位と前記複数の応力センサそれぞれの測定結果とに基づいて、前記ブレード上の風向を検出する風向検出部と、を備えてもよい。
この構成によれば、ブレードのピッチ角度が変化する場合であっても、ブレードに取り付けられている複数の応力センサの位置を正確に特定することができ、風向と風速を正確に求めることができる。
【0010】
(5) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレード風検出装置は、前記ブレードが風を受けたことに起因して回転する際の回転中心軸における回転角度を取得する回転角度取得部と、前記応力センサの測定時点における前記回転角度に基づいて、前記複数の応力センサ内の少なくとも1つの方位を特定し、特定した方位と前記複数の応力センサそれぞれの測定結果に基づいて、前記ブレード上の風向を検出する風向検出部と、を備えてもよい。
この構成によれば、ブレードが回転している場合であっても、ブレードに取り付けられている複数の応力センサの位置を正確に特定することができ、風向と風速を正確に求めることができる。
【0011】
(6) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレード風検出装置は、風速と前記応力センサの測定結果との対応関係を示す対応情報を記憶する対応情報記憶部と、前記複数の応力センサのそれぞれの測定結果を統計処理した指標値を算出する指標値算出部と、前記指標値と前記対応情報とに基づいて、前記ブレード上の風速を検出する風速検出部と、を備えてもよい。
この構成によれば、風速と前記応力センサの測定結果との対応関係を示す対応情報が予め作成され、それに基づき、風速が検出されるため、検出処理に要する負荷を軽減することができる。
【0012】
(7) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記風力発電装置のナセルに取り付けられるナセル風向検出装置を更に備えてもよく、前記制御部は、前記ブレードが定格回転に到達するまでは、前記ナセル風向検出装置が検出する風向に基づいて、前記ピッチ角度と前記ヨー角度の少なくともいずれかを制御し、前記ブレードが前記定格回転に到達している間は、前記ブレード風検出装置が検出する風向に基づいて、前記ピッチ角度と前記ヨー角度の少なくともいずれかを制御してもよい。
この構成によれば、風力発電装置のブレードが定格回転に到達した後に、ナセルに取り付けられる風向検出装置で検出される風向から、ブレードに設けられる検出部で検出される風向などに基づいて、風力発電装置が駆動されるように切り替えられるため、風力発電装置が発電中の風の状態を適切に把握して、風力発電装置を駆動することができる。
【0013】
(8) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレード風検出装置は、所定期間における前記風向の変化量である風向偏差を算出する偏差算出部を備えてもよく、前記ヨー角度を回転駆動するヨー駆動装置にかかる負荷を検出する負荷検出装置と、前記駆動装置にかかる負荷が所定の閾値を超えた際に、前記ヨー駆動装置にかかる負荷が前記所定の閾値を超えた時点を含む特定期間の前記ヨー駆動装置にかかる負荷と前記風向偏差とを外部装置に出力する出力装置とを更に備えてもよい。
この構成によれば、負荷測定部で測定した負荷のデータや、ブレードに設けられる検出部の検出結果のデータを、風力発電装置で記憶し続ける必要が無いため、風力発電装置の記憶容量を少なくすることができ、外部に送信するデータを風力発電装置の状態を把握するために利用することができる。
【0014】
(9) また、本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレード風検出装置は、所定期間における前記風向の変化量である風向偏差を算出する偏差算出部を備えてもよく、前記ヨー角度を回転駆動するヨー駆動装置にかかる負荷を検出する負荷検出装置と、前記風向偏差が所定の閾値を超えた際に、前記風向偏差が前記所定の閾値を超えた時点を含む特定期間の前記ヨー駆動装置にかかる負荷と前記風向偏差とを外部装置に出力する出力装置とを更に備えてもよい。
この構成によれば、負荷測定部で測定した負荷のデータや、ブレードに設けられる検出部の検出結果のデータを、風力発電装置で記憶し続ける必要が無いため、風力発電装置の記憶容量を少なくすることができ、外部に送信するデータを風力発電装置の状態を把握するために利用することができる。
【0015】
(10) 本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムは、風力発電装置が備える少なくとも1つのブレードにかかる応力を測定する応力センサと、前記応力センサの測定結果に基づいて、前記ブレードのヨー角度を回転駆動するヨー駆動装置の出力を停止し、且つ、前記ヨー駆動装置の回転駆動を制動する制動機構による制動を解除する解除部と、を備える。
この構成によれば、ブレードに強い力が加わった場合に、ヨー駆動装置の駆動が行われないため、ヨー駆動装置が故障するのを防ぐことができる。
【0016】
(11) 本発明の第1の態様による風力発電装置制御システムでは、前記ブレードの根元から先端までの距離をZとした場合に、前記応力センサは、前記ブレードの根元から0~Z/8までの領域に設けられてもよい。
この構成によれば、ブレードが主軸回転する際のブレード風検出装置の移動距離が小さくなる。そのため、主軸回転に基づく影響をより少なくすることができ、風力発電装置が受ける風を、ブレードで、より正確に検出することができる。
【0017】
(12) 本発明の第2の態様によるブレード風検出装置は、風力発電装置が備える少なくとも1つのブレード上の風向と風速の少なくとも1つを検出する検出部と、前記検出部が検出した前記風向と前記風速の少なくとも1つをブレードの回転によって発電する発電機を内蔵するナセル内に設けられたブレード制御装置に無線送信する送信部と、を備える。
この構成によれば、風力発電装置が受ける風の状態を正確に把握して風力発電装置を駆動することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のいくつかの態様によれば、風力発電装置が受ける風の状態を正確に把握して風力発電装置を駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システムの一例を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態における風力発電装置が備えるナセル及びの構造を示す模式図である。
図3】本発明の第1の実施形態における風力発電装置が備えるブレードの構造を示す模式図である。
図4図3におけるA-A断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システムが備えるブレード風検出装置の構成を示す概略ブロック図である。
図6】本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システムが備えるブレード制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システムのブレード風検出装置の処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態における応力センサ410A~410Lの測定により得られるデータの一例を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システムのブレード制御装置の処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施形態におけるブレード制御装置の制御部が生成するデータの一例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システムの一例を示す斜視図である。
図12】本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システムが備えるブレード制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図13】本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システムのブレード制御装置の処理を示すフローチャートである。
図14】本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システムの処理について説明するグラフである。
図15】本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システムが備えるブレード制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
図16】本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システムのブレード制御装置の処理を示すフローチャートである。
図17】本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システムの処理について説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システム100aの一例を示す斜視図である。風力発電装置制御システム100aは、風力発電装置200、ブレード制御装置300aと、ブレード風検出装置400(ブレード風検出装置400a、400b、400c)を備える。
【0022】
風力発電装置200は、タワー210と、ナセル220と、ブレード230a、230b、230cと、ハブ240とを備える。なお、図1では、風力発電装置200が、ブレード230a、230b、230cを備える場合について示しているが、これに限定されるものではなく、風力発電装置200が、2つ以下のブレードを備えるようにしてもよいし、4つ以上のブレードを備えるようにしてもよい。タワー210は、円柱状の構造体である。タワー210の中心軸は、地面に垂直となるように設置される。ナセル220は、タワー210の上端に取り付けられる。ナセル220は、タワー210の中心軸を回転軸として回転(ヨー回転)することが可能である。ナセル220の内部には、ブレード制御装置300aが内蔵される。
【0023】
ブレード230a、230b、230cのそれぞれは、細長い平板上の形状をしている。ブレード230a、230b、230cは、ハブ240を中心として放射状に固定されるように、ハブ240に取り付けられる。2つのブレードの長手方向は、120度で交わる。ブレード230a、230b、230cのそれぞれの根元には、風速を検出するブレード風検出装置400a、400b、400cが設置されている。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置100a(図1)が備えるナセル220及びブレード230a、230b、230cの構造を示す模式図である。ナセル220内には、発電機260が設置されている。ハブ240に連結された主軸250の回転は、増速器270により増速され、発電機260に伝達されることにより発電が行われる。なお、ナセル220内には、ブレード制御装置300aが内蔵されるが、図2では、ブレード制御装置300aの図示を省略している。風力発電装置100aでは、3つの回転が生じる。1つ目の回転は、ナセル220が、円柱状のタワー210の中心軸を回転軸として回転するヨー回転R1である。2つ目の回転は、ブレード230a、230b、230cが取り付けられたハブ40が、地面と水平な軸である主軸250を回転軸として回転する主軸回転R2である。3つ目の回転は、細長い平板上のブレード230a、230b、230cの長手方向を回転軸として回転するピッチ回転R31、R32、R33である。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置100a(図1)が備えるブレード230aの構造を示す模式図である。なお、ブレード230b及びブレード230cは、図3に示すブレード230aと同様の構成を有する。ブレード230aは、根元232から先端231まで、長手方向D1に伸びる細長い平板状の形状をしている。ブレード230aの根元232は、ハブ240に取り付けられ、長手方向D1を軸として回転可能なように固定される。
【0026】
ブレード230aの根元232の近傍には、ブレード230aの円周方向に沿ってブレード風検出装置400aが配置される。なお、ブレード230aの根元232の近傍とは、例えば、ブレード230aの先端231から根元232までの距離をZとした場合に、根本232からの距離が、0~Z/8までの領域を言う。ブレード230aの根元232の近傍に、ブレード風検出装置400aを設けることにより、根元232の近傍以外の領域にブレード風検出装置400aを設ける場合と比べて、ブレード230aが主軸回転R2(図2参照)する際のブレード風検出装置400aの移動距離が小さくなる。そのため、主軸回転R2に基づく影響をより少なくすることができ、風力発電装置200が受ける風を、ブレード230aで、より正確に検出することができる。なお、図3では、ブレード風検出装置400aを、ブレード230aの根元232の近傍に設ける場合を示しているが、これに限定されるものではなく、ブレード230aの根元232の近傍以外の領域に、ブレード風検出装置400aを設けるようにしてもよい。ただし、ブレード風検出装置400aを、ブレード230aの先端に設けると、ブレード230a自身の回転による風の影響が大きくなるため、この風の影響によるノイズが応力センサ410A~410Lに含まれたり、応力センサ410A~410Lの故障に繋がったりしてしまう。
【0027】
図4は、図3におけるA-A断面図である。ブレード230aの根元232の近傍における断面は、円形をしている。円形の円周上に、ブレード風検出装置400が設けられる。ブレード風検出装置400は、外部から加わる力を検出する12個の応力センサ410A、410B、410C、410D、410E、410F、410G、410H、410I、410J、410K、410Lを備える。応力センサ410A~410Lとしては、同じセンサを用いている。応力センサ410A~410Lのそれぞれは、外部から受ける応力を検出する。
【0028】
なお、図4では、ブレード230aに、12個の応力センサ410A~410Lを設ける場合を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、ブレード230aに、1~11個の応力センサを設けるようにしてもよいし、13個以上の応力センサを設けるようにしてもよい。ブレード230aに設ける応力センサの数を少なくすれば、ブレード風検出装置400を製造するための費用を減らすことができる。一方、ブレード230aに設ける応力センサの数を多くすれば、ブレード230aが受ける風の風速や風向を、より細かく把握することができる。
【0029】
図5は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)が備えるブレード風検出装置400aの構成を示す概略ブロック図である。なお、ブレード風検出装置400b、400cは、ブレード風検出装置400aと同様の構成を有するため、それらの説明については省略する。ブレード風検出装置400aは、応力測定部401と、検出装置制御部402と、送信部403と、回転角度取得部404とを備える。応力測定部401は、12個の応力センサ410A~410L(図4)を備える。応力測定部401は、応力センサ410A~410Lが外部から受ける応力を同時刻に測定し、検出装置制御部402に出力する。検出装置制御部402は、ブレード風検出装置400aの各部を制御する。制御部402は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。検出装置制御部402は、風速検出部4021と、風向検出部4022を備える。送信部403は、無線送信機器により構成される。送信部403は、風速検出部4021が出力する風速に関するデータと、風向検出部4022が検出する風向のデータとを、無線通信により、ナセル220に内蔵されているブレード制御装置300aに送信する。回転角度取得部404は、ブレード230a、230b、230cが風を受けたことに起因して回転する際の回転中心軸(主軸250)における回転角度を取得する。例えば、ブレード230aが、上、右、下、左を向いているときには、回転角度取得部404は、回転角度として、それぞれ、0時、90度、180度、270度という値を取得する。
【0030】
図6は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)が備えるブレード制御装置300aの構成を示す概略ブロック図である。ブレード制御装置300aは、受信部301、記憶部302、ブレード制御部303a、主軸角度取得部304、ヨー角度取得部305、ピッチ角度取得部306を備える。受信部301は、無線通信機器により構成される。受信部301は、ブレード風検出装置400の送信部403から送信される風速及び風向などに関するデータを受信し、ブレード制御部303aに出力する。記憶部302は、メモリにより構成される。記憶部302は、ブレード制御部303aにより取得されるデータであって、受信部301からブレード制御部303aに出力されるデータや、主軸角度取得部304からブレード制御部303aに出力されるデータや、ヨー角度取得部305からブレード制御部303aに出力されるデータや、ピッチ角度取得部306からブレード制御部303aに出力されるデータなどを記憶する。
【0031】
ブレード制御部303aは、ブレード制御装置300aの各部を制御する。ブレード制御部303aは、CPUにより構成される。ブレード制御部303aは、ヨー角度制御部3031、ピッチ角度制御部3032を備える。ヨー角度制御部3031は、タワー210とナセル220の間に設けられるヨー駆動装置に指示を出力することにより、ヨー回転R1(図2)でナセル220が回転する角度を制御する。ピッチ角度制御部3032は、ハブ240に取り付けられているブレード230a、230b、230cに指示を出力し、ピッチ回転R31、R32、R33(図2)により、ブレード230a、230b、230cが回転する角度を制御する。
【0032】
主軸角度取得部304は、主軸250(図2)の現在の回転角度のデータを取得し、ブレード制御部303aに出力する。例えば、図1に示すブレード230aが真上を向いている場合には、主軸角度取得部304は、ブレード230aが回転角度0度の位置にあり、ブレード230bが回転角度120度の位置にあり、ブレード230cが回転角度240度の位置にあることを示すデータを、ブレード制御部303aに出力する。
【0033】
ヨー角度取得部305は、タワー210上で、ナセル220がどの方角を向いているかに関するデータを取得し、ヨー角度制御部3031に出力する。例えば、図1に示すブレード230a、230b、230cが南の方角度を向いて発電している場合には、ヨー角度取得部305は、ヨー角度が、南(180度)であることを示すデータを、ヨー角度制御部3031に出力する。
【0034】
ピッチ角度取得部306は、ハブ240に回転可能に取り付けられているブレード230a、230b、230cが、ハブ240に対して、どの方向を向いているかに関するデータを取得し、ピッチ角度取得部306に出力する。例えば、図1に示すブレード230a、230b、230cの風を受ける面が、いずれも正面を向いている場合には、ピッチ角度取得部306は、ブレード230a、230b、230cのピッチ角度がいずれも0度であることを示すデータを、ピッチ角度制御部3032に出力する。
【0035】
図7は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)のブレード風検出装置400aの処理を示すフローチャートである。なお、図7では、風力発電装置制御システム100a(図1)が備えるブレード230aに取り付けられているブレード風検出装置400aの処理について説明するが、他のブレード230b、230cに取り付けられているブレード風検出装置400b、400cにおいても、図7に示すフローチャートと同様の処理が行われる。
【0036】
始めに、回転角度取得部404は、ブレード風検出装置400aが設けられているブレード230aの回転角度を取得する(ステップS101)。ブレード230aが上を向いている場合には、回転角度として0度が取得される。ブレード230aが右を向いている場合には、回転角度として90度が取得される。ブレード230aが下を向いている場合には、回転角度として180度が取得される。ブレード230aが左を向いている場合には、回転角度として270度が取得される。次に、ブレード風検出装置400aの検出装置制御部402は、ブレード風検出装置400aが回転軌道の最上部または最下部に来たか否かについて判定する(ステップS102)。ブレード風検出装置400aは、ブレード230a、230b、230cが主軸回転R2(図2参照)を行う場合であって、時計回りに回転する場合、ブレード230aが真上を向いた状態(回転角度0度)、ブレード230aが右を向いた状態(回転角度90度)、ブレード230aが真下を向いた状態(回転角度180度)、ブレード230aが左を向いた状態(回転角度270度)、ブレード230aが真上を向いた状態(回転角度0度)の順に変化する。ブレード風検出装置400aが真上を向いた状態(回転角度0度)と、ブレード230aが真下を向いた状態(回転角度180度)のいずれかになるまでこの処理を繰り返し実行する。
【0037】
なお、ブレード230aが真上を向いた状態(回転角度0度)、または、ブレード230aが真下を向いた状態(回転角度180度)にあるか否かは、例えば、ブレード風検出装置400aにGPS(Grobal Positioning System)を取り付けておき、ブレード風検出装置400aの高度が、ブレード風検出装置400aの回転軌道の最高地点と最低地点に来たか否かを判定することにより行うことができる。なお、主軸250の回転角度を、主軸角度取得部304(図6)から取得できるブレード制御部303aの指示に基づいて、ブレード風検出装置400aの高度が、ブレード風検出装置400aの回転軌道の最高地点と最低地点に来たか否かを判定するようにしてもよい。
【0038】
検出装置制御部402が、ステップS102で「YES」と判定した場合(つまり、ブレード230aが真上を向いた状態や真下を向いた状態である場合)には、検出装置制御部402は、ステップS103の処理に進む。検出装置制御部402は、応力センサ410A~410Lを制御することにより、応力を測定する(ステップS103)。具体的には、ブレード風検出装置400aが真上を向いた時刻と、ブレード230aが真下を向いた時刻に、検出装置制御部402は、同時に応力センサ410A~410Lに、応力を測定させる。そして、風速検出部4021は、同時刻に、応力センサ410A~410Lで測定された応力に基づいて、応力センサ410A~410L上における風速を検出する(ステップS104)。具体的には、風速検出部4021は、応力センサで検出される応力の大きさと、風速と、の対応関係を予めデータとして記憶しておき、そのデータに基づいて、検出された応力に対応する風速を求める。
【0039】
なお、検出装置制御部402は、応力センサ410A~410Lのそれぞれで検出される応力を、統計処理した指標値(例えば、合計値、平均値、中央値、最大値と最小値の差)を予め記憶しているとデータと比較して、ブレード230a、230b、230c上の風速を検出するようにしてもよい。例えば、風速検出部4021は、応力測定部401が備える応力センサ410A~410Lが測定する応力のデータの合計を取得するようにしてもよい。そして、予め、応力のデータの合計と、風速の値とを対応付けて記憶しておき、その対応関係に基づいて、応力センサ410A~410Lが測定する応力のデータの合計に対応する風速を検出するようにしてもよい。このようにすれば、風速を検出するために、応力センサ410A~410Lの測定結果のそれぞれを風速に換算する必要が無くなるため、ブレード風検出装置400aによる演算量を削減することができる。
【0040】
次に、風向検出部4022は、応力センサ410A~410Lが応力を測定した時点の風向を検出する(ステップS105)。具体的には、風速検出部4021が検出した風速であって、応力測定部401を構成する応力センサ410A~410Lごとに検出された風速のうち、最も大きい風速が観測された応力センサの方位を、風向として検出する。なお、複数の応力センサ410A~410Lの方位は、主軸250が回転すれば変化するため、風向検出部4022は、回転角度取得部404が取得した回転角度に基づいて、最も大きい応力を測定した応力センサが向いている方位を、風向として検出する。なお、風向検出部4022は、応力測定部401が備える応力センサ410A~410Lが測定する応力のデータを取得し、取得した応力の中で、一番大きい応力を測定した応力センサが向いている向きを、風向として検出するようにしてもよい。このようにすれば、風向を検出するために、風速を検出する必要が無くなるため、ブレード風検出装置400aによる演算量を削減することができる。
【0041】
次に、送信部403は、ステップS102で検出した風速および風向に関するデータを、ブレード制御装置300a(図6)の受信部301に送信する(ステップS106)。具体的には、ブレード制御装置300aは、ステップS104で風速検出部4021により検出された応力と、その応力が検出されたブレード(ここでは、ブレード230a)を特定するためのブレード識別情報と、その風速が検出された時のブレード230aの回転角度(ここでは、0度または180度)と、その風速が検出された時刻とを対応付ける。図7のフローチャートの処理は、ブレード230aに取り付けられているブレード風検出装置400aだけでなく、ブレード230b、230cに取り付けられているブレード風検出装置400b、400cでも行われる。そのため、図7のフローチャートのステップS103による処理が行われると、図8に示すようなデータが蓄積される。
【0042】
なお、ブレード230aには、図4に示すように応力センサ410A~410Lが取り付けられている。この場合、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが南を向いている状態であり、ブレード230aが真上を向いている状態であり、図4の応力センサ410Aが北を向いている状態においては、応力センサ410Eが測定した応力に基づいて検出される風速は、東から吹いてくる風についてものであり、応力センサ410Jが測定した応力に基づいて検出される風速は、西から吹いてくる風についてものである。一方、この状況において、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが南を向いている状態であり、ブレード230aが真下を向いている状態においては、応力センサ410Eが測定した応力に基づいて検出される風速は、西から吹いてくる風についてものであり、応力センサ410Jが測定した応力に基づいて検出される風速は、東から吹いてくる風についてものである。よって、ブレード制御部303aは、ブレード230a、230b、230cの主軸250の回転角度に基づいて、複数の応力センサ410A~410Lのそれぞれの位置を特定し、特定した複数の応力センサ410A~410Lの位置に基づいて、ブレード230a、230b、230c上の風向と風速の少なくとも1つを決定する。
【0043】
図7のフローチャートによる処理が行われることにより、図10に示すようなデータが得られる。図10に示すデータでは、最大風速(例えば、10(m/秒))、風速検出時刻(例えば、0時0分0秒)、風向(例えば、東南東(120度))が対応付けられている。なお、ここでは、北の角度を0度とし、東の角度を90度とし、南の角度を180度とし、西の角度を270度として、風向を数値で表している。図10に示すデータを参照することにより、何時何分何秒に、最大風速は何m/秒であり、風向は何であるかを把握することができる。
【0044】
なお、各応力センサ410A~410Eが測定する応力と、各応力センサ410A~410Eが向いている方位とを、ベクトルに換算し合力ベクトルの方向を求めることにより、風向を決定するようにしてもよい。なお、各応力センサ410A~410Eが、どの方位を向いているかを正確に把握するために、ブレード230a、230b、230cのピッチ角度やブレード230a、230b、230cの回転角度が考慮される。
【0045】
図8は、本発明の第1の実施形態における応力センサ410A~410Lの測定により得られるデータの一例を示す図である。図8に示すデータでは、ブレード識別情報(例えば、ブレード230a)、主軸回転角度(例えば、0度)、応力検出時刻(例えば、0時0分0秒)、各ブレード230a、230b、230cのそれぞれが備える応力センサ410A~410Lで測定された応力(例えば、0、0、1、2、3、2、1、0、0、0、0、0(m/秒))が対応付けられている。
【0046】
なお、図7のフローチャートでは、ブレード風検出装置400が、回転軌道の最上部または最下部に来た場合に、ブレード風検出装置400が風速及び風向を検出する場合について説明した。しかし、風速及び風向を検出するのは、ブレード風検出装置400が、回転軌道の最上部または最下部に来た場合に限定されるものではない。ただし、風力発電装置200が南を向いている場合であって、ブレード230aが東を向いている場合(つまり、ブレード230aの回転角度が90度の場合)には、ブレード230aにリング状に設けられている応力センサ410A~410Lの中心軸が、東西方向を向いてしまい、東西から吹いてくる風を検出することが難しくなる。図7のフローチャートで説明したように、ブレード風検出装置400aが、回転軌道の最上部または最下部に来たときに風速を測定するようにすれば、リング状に設けられている応力センサ410A~410Lの中心軸は、地面と垂直となり、東西南北のいずれから吹いてくる風も検出することができるため好ましい。
【0047】
なお、図7のフローチャートでは、ブレード風検出装置400が、回転軌道の最上部または最下部に来た場合に、風速及び風向を検出するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、ブレード風検出装置400が、回転軌道の最上部に来た場合にのみ、風速及び風向を検出するようにしてもよいし、ブレード風検出装置400が、回転軌道の最下部に来た場合にのみ、風速を検出するようにしてもよい。このようにすれば、風速及び風向を求める処理の回数が半分に減るため、ブレード制御装置300aにかかる負荷を軽減することができる。
【0048】
図9は、本発明の第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)のブレード制御装置300aの処理を示すフローチャートである。始めに、ナセル220(図1)内に設けられるブレード制御装置300a(図6)のブレード制御部303aは、受信部301を介して、ブレード風検出装置400から、風速及び風向に関するデータを受信する(ステップS201)。ブレード制御部303aは、ステップS201で受信した風速及び風向に関するデータを、記憶部302に記憶させる(ステップS202)。次に、ブレード制御部303aは、現在時刻が、ヨー回転R1(図2)又はピッチ回転R31、R32、R33を制御する時刻になったか否かについて判定する(ステップS203)。例えば、ヨー回転およびピッチ回転は、10分毎に行われるため、前回、ヨー回転の制御が行われた時刻から10分が経過したか否かを判定することにより、ブレード制御部303aは、ステップS203の処理を行う。
【0049】
現在時刻が、ヨー回転R1(図2)を制御する時刻になっていないと判定した場合には、ブレード制御部303aは、ステップS203で「NO」と判定し、ステップS201の処理に進む。一方、現在時刻が、ヨー回転R1(図2)を制御する時刻になったと判定した場合には、ブレード制御部303aは、ステップS203で「YES」と判定し、記憶部302に記憶されているデータ(図8参照)のうち、風向に関するデータに基づいて、ヨー回転角度を決定する(ステップS204)。具体的には、ヨー角度制御部3031は、ステップS201で受信する風向に対して、風力発電装置200が正対するように、ヨー回転角度を決定する。次に、ヨー角度制御部3031は、ヨー角度取得部305から取得する現在のヨー角度が、ステップS204で決定したヨー回転角度となるように、ナセル220についてヨー回転を行う(ステップS205)。
【0050】
次に、ピッチ角度制御部3032は、記憶部302に記憶されているデータ(図8参照)のうち、風速に関するデータ等に基づいて、ピッチ回転角度を決定する(ステップS206)。具体的には、ピッチ角度制御部3032は、ステップS201で受信する風速と、主軸250の回転角度に基づいて、ピッチ回転角度を決定する。より具体的には、ピッチ角度制御部3032は、風速に基づいてピッチ角度を決定して制御し、主軸回転角度から算出した回転速度をフィードバックして定格回転速度を維持するように、ピッチ回転角度を決定する。次に、ピッチ角度制御部3032は、ピッチ角度取得部306から取得する現在のピッチ角度が、ステップS206で決定したピッチ回転角度となるように、プレード230a、230b、230cについてピッチ回転を行う(ステップS207)。
【0051】
上述した第1の実施形態では、直接、風を受けるブレード230a、230b、230c上の風向に基づいて、ヨー回転R1(図2)を行うことにより、ブレード230a、230b、230cを、できるだけ風向に正対するように制御する。よって、ブレード230a、230b、230cが主軸250(図2)の周りを回転することによって乱れた風を、風力発電装置200のナセル220上に設けたナセル風向検出装置で検出する場合と比べて、風力発電装置200が受ける風向を、より正確に求めることができる。よって、風力発電装置200を、風速が強い方角度に向けることができるため、風力発電装置200の発電効率を向上させることができる。
【0052】
また、上述した第1の実施形態では、風を受けるブレード230a、230b、230c上での風速に基づいて、ピッチ回転R31、R32、R33(図2)を行う。つまり、検出された風速によって、より早くブレード230a、230b、230cが定格運転に達するように、ピッチ角度を制御する。よって、風力発電装置200が、より早く定格運転に達するようにすることができるため、風力発電装置200の発電効率を向上させることができる。
【0053】
なお、第1の実施形態では、複数のブレード風検出装置400a、400b、400cを、ブレード230a、230b、230cに設け、それらのブレード風検出装置400a、400b、400cが検出する風向に関するデータを、無線通信により、ブレード制御装置300aに送信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ブレード230a、230b、230cのいずれか1つに、風見鶏を設け、ナセル220上に、カメラなどの撮像装置を設けるようにしてもよい。そして、ナセル220上に設けられる撮像装置で、ブレード230a、230b、230cのいずれか1つに設けられる風見鶏を撮像して、ブレード上の風向を検出するようにしてもよい。このような構成にすることにより、第1の実施形態におけるブレード制御装置300aの受信部301を設ける必要が無くなり、ブレード制御装置300aの構造を簡素化することができる。
【0054】
なお、図9のフローチャートのステップS207では、ピッチ回転を行う場合について説明したが、風力発電装置200が、ピッチ制御を行わない場合には、図9のフローチャートのステップS206及びステップS207の処理を行う必要はない。
【0055】
また、図9のフローチャートでは、ヨー回転に関する処理(ステップS204及びS205)を行った後に、ピッチ回転に関する処理(ステップS206及びS207)を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。ピッチ回転に関する処理を行った後に、ヨー回転に関する処理を行ってもよい。また、ヨー回転に関する処理と、ピッチ回転に関する処理とを同時に行ってもよい。また、ヨー回転に関する処理と、ピッチ回転に関する処理とを、独立して行ってもよい。
【0056】
なお、第1の実施形態では、ブレード風検出装置400a、400b、400cに、応力測定部401、検出装置制御部402、送信部403、回転角度取得部404を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ブレード風検出装置400a、400b、400cは、応力測定部401および送信部403を備えていればよく、それ以外の部材を、ブレード制御装置300aや外部装置に設けることにより、ブレード風検出装置400a、400b、400c以外の装置で、ブレード230a、230b、230c上の風速を検出するようにしてもよい。このことは、以降の実施形態においても同様である。
【0057】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システム100bの一例を示す斜視図である。第2の実施形態における風力発電装置制御システム100bは、ナセル風向検出装置500を備えている点と、ブレード制御装置300aの代わりにブレード制御装置300bを備えている点において、第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)と異なる。第2の実施形態における風力発電装置制御システム100b(図11)のその他の構成は、第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)と同様であるため、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。ナセル風向検出装置500は、カップ型の風向検出装置などであり、ナセル220上の領域であって、ブレード230a、230b、230cと離れた位置に設けられる。ナセル風向検出装置500が検出した風向は、有線通信又は無線通信により、ナセル220内に設けられるブレード制御装置300bに送信される。
【0058】
図12は、本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システム100b(図11)が備えるブレード制御装置300bの構成を示す概略ブロック図である。第2の実施形態におけるブレード制御装置300bは、ナセル風向検出装置データ取得部307を備えている点と、ブレード制御部303aの代わりにブレード制御部303bを備えている点において、第1の実施形態におけるブレード制御装置300a(図6)と異なる。第2の実施形態におけるブレード制御装置300b(図12)のその他の構成は、第1の実施形態におけるブレード制御装置300a(図6)と同様であるため、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。ナセル風向検出装置データ取得部307は、ナセル220上に設けられるナセル風向検出装置500から、ナセル風向検出装置500が検出した風向に関するデータを受信する。ブレード制御部303bは、CPUなどにより構成される。ブレード制御部303bは、ナセル風向検出装置データ取得部307から出力された風向に関するデータに基づいて、後述する図13に関する処理を行う。
【0059】
図13は、本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システム100b(図11)のブレード制御装置300bの処理を示すフローチャートである。始めに、ブレード制御部303bは、ナセル220上に設けられているナセル風向検出装置500から、ナセル風向検出装置500が検出した風向に関するデータを受信する(ステップS301)。次に、ブレード制御部303bは、ステップS301で、ナセル風向検出装置データ取得部307を介して、ナセル風向検出装置500から受信した風向に関するデータを、記憶部302に記憶させる(ステップS302)。次に、ブレード制御部303bは、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cの回転数が定格回転数に達したか否かについて判定する(ステップS303)。例えば、ブレード制御部303bは、ブレード230a、230b、230cの主軸回転R2(図2参照)の回転数が、定格回転数N(例えば、6(回転/分))に達したか否かについて判定する。
【0060】
ブレード230a、230b、230cの主軸回転R2(図2参照)の回転数が、定格回転数Nに達していない場合には、ブレード制御部303bは、ステップS303で「NO」と判定し、ステップS301でナセル風向検出装置500から受信した風向に関するデータに基づいて、ヨー回転R1(図2)を行う。例えば、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが、現在向いている方角度が、ステップS301でナセル風向検出装置500から受信した風向と一致しない場合には、ブレード制御部303bのヨー角度制御部3031は、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが、現在向いている方角度が、ステップS301でナセル風向検出装置500から受信した風向と一致するように、ヨー回転R1(図2)を行う。
【0061】
ブレード230a、230b、230cの主軸回転R2(図2参照)の回転数が、定格回転数Nに達した場合には、ブレード制御部303bは、ステップS303で「YES」と判定し、ブレード制御部303bは、図13に示されるフローチャートによる処理ではなく、図9に示されるフローチャートによる処理を開始する(ステップS305)。ステップS301でナセル風向検出装置500から受信した風向に関するデータに基づいて、ヨー回転R1(図2)を行う。例えば、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが、現在向いている方角度が、ステップS301でナセル風向検出装置500から受信した風向と一致しない場合には、ブレード制御部303bのヨー角度制御部3031は、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが、現在向いている方角度が、ステップS301でナセル風向検出装置500から受信した風向と一致するように、ヨー回転R1(図2)を行う。
【0062】
図14は、本発明の第2の実施形態における風力発電装置制御システム100bの処理について説明するグラフである。図14において、横軸は時間を示しており、縦軸はブレード230a、230b、230cの主軸回転R2(図2参照)による回転数を示している。図14において、風力発電装置制御システム100b(図11)の風力発電装置200が備えるブレード230a、230b、230cは、時刻tで主軸回転R2(図2参照)を開始する。その後、ブレード230a、230b、230cの主軸回転R2(図2参照)の回転数は、時刻tで、定格回転数Nに達する。時刻t~時刻tの間は、図13のフローチャートによる処理が行われる。ブレード230a、230b、230cの主軸回転R2(図2参照)の回転数は、時刻tで、定格回転数Nに達する。時刻t以降は、図13のフローチャートによる処理に代えて、図9に示されるフローチャートによる処理が行われる。
【0063】
第2の実施形態では、風力発電装置制御システム100bの風力発電装置200による発電量が十分ではない時刻tから時刻tまでは、ブレード230a、230b、230cの後方のナセル220上に設けられている1つのナセル風向検出装置500(図11)に基づいて風向の検出を行う。一方、風力発電装置制御システム100bの風力発電装置200による発電量が十分になった時刻t以降は、ブレード230a、230b、230c上に設けられているブレード風検出装置400に基づいて風向の検出を行う。第2の実施形態では、風力発電装置200による発電量が十分となる前よりも、風力発電装置200による発電量が十分となった後に、より精度よく風向を検出することができるブレード風検出装置であって、ブレードに設置されたブレード風検出装置を用いてヨー角度などの制御を行う。よって、風力発電装置200による発電量が十分となる前の風向検出の処理負荷を軽減することができる。
【0064】
なお、図13のフローチャートのステップS303では、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが定格回転に到達した場合に、図8のフローチャートを用いた処理に切り替える場合について説明したが、これに限定されるものではなない。例えば、風力発電装置200のブレード230a、230b、230cが定格回転に到達している間は、図8のフローチャートを用いた処理に切り替えるようにしてもよい。これにより、風力発電装置200が、一度、定格回転に到達した後、定格回転ではない状態になった場合に、図8のフローチャートではなく、図13のフローチャートを用いた処理に切り替えることができ、ヨー駆動で行われる処理を、少なくすることができる。なお、図13のフローチャートのステップS304では、ヨー角度を制御する場合について説明したが、これに限られるものではなく、ヨー角度の代わりにピッチ角度を制御したり、ヨー角度とともにピッチ角度を制御したりしてもよい。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システムについて説明する。第3の実施形態における風力発電装置制御システムは、第1の実施形態における風力発電装置制御システム100a(図1)と同様の構成を有するため、詳細については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図15は、本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システムが備えるブレード制御装置300cの構成を示す概略ブロック図である。第3の実施形態におけるブレード制御装置300cは、偏差算出部308と、負荷測定部310(負荷検出装置とも称する)と、出力部311(出力装置とも称する)とを備えている点と、ブレード制御部303aの代わりにブレード制御部303cを備えている点において、第1の実施形態におけるブレード制御装置300a(図6)と異なる。第3の実施形態におけるブレード制御装置300c(図15)のその他の構成は、第1の実施形態におけるブレード制御装置300a(図6)と同様であるため、同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0067】
ヨー駆動装置は、タワー102に対してナセル103を回転させてブレードをヨー駆動する。偏差算出部308は、所定期間(例えば、3秒)における風向の変化量である風向偏差を算出する。所定時間の間に、風向が大きく変化した場合(例えば、風向が90度以上変化した場合)には、風向偏差は大きくなる。一方、所定時間の間に、風向が大きく変化しなかった場合には、風向偏差は小さくなる。負荷測定部310は、ボルトひずみセンサや、トルクセンサなどである。ボルトひずみセンサは、どの程度の負荷がかかっているかを調べるためのボルト型のセンサであり、ボルト内部に歪を検出するためのセンサが組み込まれている。このボルトひずみセンサは、ヨー駆動装置を、風力発電装置200に固定する際に用いられることにより、ヨー駆動運転中に、どの程度の負荷が、ヨー駆動装置に加わっているかを把握することができる。トルクセンサは、回転軸にかかる回転方向の力(トルク)を計測するためのセンサである。トルクセンサは、ヨー駆動を行うための軸などに設置される。ブレード230a、230b、230cは主軸250を介して、ヨー駆動装置の駆動力が負荷測定部310は、タワー210と、ナセル220(図1参照)の間に設けられるヨー駆動装置(図示省略)であって、タワー210上でナセル220をヨー回転R1(図2)させるヨー駆動装置にかかるヨー負荷を検出する。出力部311は、ブレード制御部303cの制御に基づいて、記憶部302に記憶されるデータのうち、所定のデータを、外部装置に送信する。外部装置は、ブレード制御装置300a内に設けられる不図示の記憶装置や風力発電装置制御システム外のクラウドサーバ等である。ブレード制御部303cは、CPUなどにより構成される。ブレード制御部303cは、負荷測定部310から出力された負荷に関するデータに基づいて、後述する図16に関する処理を行う。
【0068】
図16は、本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システム100のブレード制御装置300c(図15)の処理を示すフローチャートである。始めに、ブレード制御部303cは、タワー210上でナセル220をヨー回転R1(図2)させるヨー駆動装置にかかるヨー負荷を、負荷測定部310から取得し、記憶部302に記憶させる(ステップS401)。また、偏差算出部308は、ブレード風検出装置400(図1)から風向に関するデータを取得し、その風向のデータから風向偏差に基づくデータを生成し、記憶部302に記憶させる(ステップS402)。
【0069】
次に、ブレード制御部303cは、ステップS401で負荷測定部310から取得したヨー負荷と、ステップS402で生成した風向偏差の少なくともいずれかに、異常が発生しているか否かについて判定する(ステップS403)。ステップS401で取得したヨー負荷と、ステップS402で生成した風向偏差の少なくともいずれかに、異常が発生しているか場合には、ブレード制御装置303cは、ステップS403で「YES」と判定し、異常が発生した時刻の前後所定期間のヨー負荷と、風向と、風向偏差に関するデータを、それらのデータが検出された時刻と対応付けて、出力部311を介して外部に送信する(ステップS404)。その後、ブレード制御部303cは、ステップS405の処理を行う。なお、ステップS404において、ブレード制御部303cは、ヨー負荷と、風向と、風向偏差に関するデータの全てではなく、それらの少なくとも一部を外部に送信するようにしてもよい。
【0070】
例えば、ステップS401で取得したヨー負荷が、所定のヨー負荷閾値を超えた場合には、所定のヨー負荷閾値を超えた時刻の所定時間(例えば、20秒)前から、所定時間(例えば、20秒)後までのヨー負荷と、風向と、風向偏差に関するデータを、外部装置に送信する。あるいは、ステップS402で生成した風向偏差が、所定の風向偏差閾値を超えた場合には、所定の風向偏差閾値を超えた時刻の所定時間(例えば、20秒)前から、所定時間(例えば、20秒)後までのヨー負荷と、風向と、風向偏差に関するデータを、外部装置に送信する。
【0071】
その後、ブレード制御部303cは、ヨー負荷または風向偏差に異常が発生した時刻から所定時間(例えば、20秒)以前のデータを、記憶部302から削除する(ステップS405)。このようにすることにより、異常が発生した期間付近のデータについては外部装置に送信して残しつつ、異常が発生しておらず検証が不要なデータについては削除されるため、ブレード制御装置303cの記憶部302に記憶されるデータ量を削減することができる。その後、ブレード制御部303cは、ステップS401の処理を行う。なお、ステップS405において、ブレード制御部303cは、記憶部302に記憶してあるヨー負荷と、風向と、風向偏差に関するデータの全てではなく、それらの少なくとも一部のデータであって、異常が発生した時刻から所定時間(例えば、20秒)以前のデータを削除するようにしてもよい。
【0072】
図17は、本発明の第3の実施形態における風力発電装置制御システムの処理について説明するグラフである。図17において、横軸は時間を示しており、左側の縦軸はヨー負荷を示しており、右側の縦軸は風向偏差を示している。図17では、ヨー負荷閾値は、TXに設定されている。また、風向偏差閾値は、TYに設定されている。グラフGXは、時間経過に伴うヨー負荷の変化を示している。グラフGYは、時間経過に伴う風向偏差の変化を示している。
【0073】
図16で示したグラフでは、時刻t2から時刻t3の間に、風向偏差が風向偏差閾値TYを超えているため、時刻t2よりも所定時間(例えば、20秒)前の時刻t1から、時刻t3よりも所定時間(例えば、20秒)後の時刻t4までのデータであって、ヨー負荷に関するデータと、風向偏差に関するデータが、クラウドサーバなどの外部装置に送信される。また、図16で示したグラフでは、時刻t6から時刻t7の間に、ヨー負荷がヨー負荷閾値TXを超えているため、時刻t6よりも所定時間(例えば、20秒)前の時刻t5から、時刻t7よりも所定時間(例えば、20秒)後の時刻t8までのデータであって、ヨー負荷に関するデータと、風向偏差に関するデータが、クラウドサーバなどの外部装置に送信される。
【0074】
これにより、ヨー負荷がヨー負荷閾値TXを超える異常が発生している場合、または、風向偏差が風向偏差閾値TYを超える異常が発生している場合に、異常が発生している時間帯t2~t3およびt6~t7をカバーする時間帯t1~t4、t5~t8におけるヨー負荷および風向偏差に関するデータが、外部装置に送信される。そのため、利用者は、外部装置が受信した異常が発生したヨー負荷と風向偏差のいずれかに関するデータと、異常が発生していないヨー負荷と風向偏差のいずれか他方に関するデータを比較及び解析して、状況を分析することができる。
【0075】
風向偏差が大きくなると、つまり、風向が急激に変わると、タワー210とナセル220の間に設けられるヨー駆動装置への負荷が大きくなって、風力発電装置200が故障する原因となる。第3の実施形態では、ヨー負荷と風向偏差との関連性を検証することができ、その検証結果に基づいて、その風力発電装置200の近くに新たな風力発電装置200を設置するのか、あるいは、他の場所に設置した方がよいのかを検証することができる。
【0076】
なお、図16のフローチャートのステップS404では、ヨー負荷と風向偏差のいずれかに異常が発生した場合に、ブレード制御部303cが、異常が発生した時間帯付近のヨー負荷と風向偏差に関するデータを外部装置に送信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ヨー負荷に異常が発生した場合に、異常が発生していない風向偏差に関するデータを外部装置に送信してもよい。また、風向偏差に異常が発生した場合に、異常が発生していないヨー負荷に関するデータを外部装置に送信してもよい。このようにすることにより、ブレード制御装置300cから外部装置に対して送信するデータ量を減らすことができ、外部装置の利用者は、ヨー負荷と風向偏差について異常が発生している期間に、ヨー負荷と風向偏差について異常が発生していない方のデータを取得および解析することができる。
【0077】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、ヨー駆動装置はブレードのヨー角度を駆動する駆動力を供給するモータと、モータからの駆動力を制動する制動機構と備える。また、複数のブレード230a、230b、230cのそれぞれに応力センサが1つずつ設けられる。ブレード230a、230b、230c上の応力センサが閾値以上の応力を測定すると、解除部は、モータの駆動力の出力を停止し、且つ、制動機構による回転制動を解除する、所謂、フリーヨー制御を行う。この制御は、ナセル220及びタワー210間における自由な相対回転を許容する制御であり、ナセル220及びタワー210間の自由な相対回転を阻害しうる制動力及び駆動力を低減又は解除する。なお、モータに対する通電をコントロールしてモータ制動部からモータ駆動部に制動力が付与されないように制御することで、回転制動を解除してもよい。例えば、突風等の外力が負荷された場合、制動機構での制動力によってブレードの回転が規制されていると、モータとブレードを接続するギアの噛み合い部における負荷が過大となってしまう。そこで、ブレード上の応力センサが異常を検出した場合に、解除部により、駆動装置の制動機構による回転の制動を解除することで、噛み合い部における負荷の上昇を回避するだけでなく、噛み合い部に生じた負荷を解放することもできる。
【0078】
なお、ブレード風検出装置400(図5)、ブレード制御装置300a(図6)、ブレード制御装置300b(図12)、ブレード制御装置300c(図15)における各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより図5図6図12図15における各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【符号の説明】
【0079】
100a、100b・・・風力発電装置制御システム、200・・・風力発電装置、210・・・タワー、220・・・ナセル、230a、230b、230c・・・ブレード、240・・・ハブ、250・・・主軸、260・・・発電機、270・・・増幅器、300a、300b、300c・・・ブレード制御装置、301・・・受信部、302・・・記憶部、303a、303b、303c・・・ブレード制御部、3031・・・ヨー角度制御部、3032・・・ピッチ角度制御部、304・・・主軸角度取得部、305・・・ヨー角度取得部、306・・・ピッチ角度取得部、307・・・ナセル風向検出装置データ取得部、308・・・偏差算出部、310・・・負荷測定部、311・・・出力部、400、400a、400b、400c・・・ブレード風検出装置、401・・・応力測定部、402・・・検出装置制御部、403・・・送信部、404・・・回転角度取得部、410A~410L・・・応力センサ、500・・・ナセル風向検出装置、4021・・・風速検出部、4022・・・風向検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17