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  • 特開-次亜塩素酸水製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035742
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】次亜塩素酸水製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 21/20 20220101AFI20240307BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20240307BHJP
   B01F 23/45 20220101ALI20240307BHJP
   B01F 25/312 20220101ALI20240307BHJP
   B01F 25/314 20220101ALI20240307BHJP
   B01F 25/316 20220101ALI20240307BHJP
【FI】
B01F21/20
B01F23/23
B01F23/45
B01F25/312
B01F25/314
B01F25/316
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140401
(22)【出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】503280581
【氏名又は名称】Renafine株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】河 村 裕 正
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AA06
4G035AA08
4G035AA16
4G035AB06
4G035AB26
4G035AB37
4G035AC16
4G035AC23
4G035AE02
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】 次亜塩素酸水製造装置を提供する。
【解決手段】 次亜塩素酸を主成分とする次亜塩素酸水の製造装置であって、供給された水道水を案内する水配管と、当該水配管で案内される水道水に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部と、炭酸ガスが供給された水道水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を供給する次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部とからなり、前記水配管における炭酸ガス供給部の上流側には定流量弁が設けられており、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部は、水配管を流れる水道水を駆動流体として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸引するエゼクターで構成されている次亜塩素酸水製造装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸を主成分とする次亜塩素酸水の製造装置であって、
供給された水道水を案内する水配管と、
当該水配管で案内される水道水に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部と、
炭酸ガスが供給された水道水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を供給する次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部とからなり、
前記水配管における炭酸ガス供給部の上流側には定流量弁が設けられており、
前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部は、水配管を流れる水道水を駆動流体として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸引するエゼクターで構成されていることを特徴とする次亜塩素酸水製造装置。
【請求項2】
前記水配管には、前記炭酸ガス供給部よりも上流側にガスオペレート弁が設けられており、当該ガスオペレート弁は水道水に供給する炭酸ガスによって開閉される、請求項1に記載の次亜塩素酸水製造装置。
【請求項3】
前記炭酸ガスを案内する炭酸ガス配管を備えており、
当該炭酸ガス配管には三方弁を設け、炭酸ガスの供給を停止している状態において、前記定流量弁に対する圧力を開放して、当該定流量弁を閉じる、請求項2に記載の次亜塩素酸水製造装置。
【請求項4】
前記水配管には、前記炭酸ガス供給部の下流側であって、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部の上流側にバッファータンクを設けている、請求項1~3の何れか一向に記載の次亜塩素酸水製造装置。
【請求項5】
炭酸水、次亜塩素酸ナトリウム溶液及び次亜塩素酸水の何れかを選択的に製造可能な水道水調整装置であって、
請求項1に記載の水配管と、炭酸ガス供給部と、次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部とを備え、
当該炭酸ガス供給部と次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部には、少なくとも何れかを閉塞可能な供給制御弁を設けたことを特徴とする、水道水調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は次亜塩素酸ナトリウムを使用した次亜塩素酸水製造装置に関し、特に水道水を使用しながらも安定して次亜塩素酸水を製造できる次亜塩素酸水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸水(Hypochlorous Acid Water)は、食品加工分野等において洗浄・消毒用途で広く使用されている。特に近年では、新型コロナウイルス(covid-19)に対する有効性も明らかにされ、また弱酸性の次亜塩素水を空間噴霧して使用したとしても人体に有害ではないことが明らかにされたことから、多くの関心を集めている。
【0003】
このような次亜塩素酸水は、電解法や二液法等により生成されるのが一般的である。しかしながら、電解法は、電解槽を備えた装置を必要とするためメンテナンス費用などが高価であり、また電極も使用に伴って劣化することから部品交換などのコストもかかる。また、電解法では、低濃度の次亜塩素酸しか製造することができないという問題も挙げられる。一方で、二液法は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩酸などの酸液を混合することでpHを酸性側に調整する方法であるが、pHの調整に塩酸などの酸液を使用することから塩素ガスの発生など、製造工程における安全上の問題が懸念される。
【0004】
そこで特許文献1(特開2021-53546号公報)では、次亜塩素酸水を殺菌水として使用する為に、炭酸ガスでpH調整する方法を提案している。即ちこの文献1では、高い安全性を有し、炭酸含有次亜塩素酸水中の炭酸ガスが抜け難く、長期的なpHの維持が図れる炭酸含有次亜塩素酸水の製造装置として、上水を供給する水供給手段と、炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給手段と、次亜塩素酸ナトリウムを供給する次亜塩素酸ナトリウム供給手段と、混合装置と、から構成され、該炭酸ガス供給手段において供給される炭酸ガスが、純度99.5vol%以上及び水分0.012vol%以下である炭酸含有次亜塩素酸水の製造装置を提案している。
【0005】
また特許文献2(特開2022-108782号公報)では、次亜塩素酸水溶液のpHを弱酸性域に安定させ、有害物質を発生させず、長期保存ができることに加え、炭酸ガスの消費および排出を抑えコストを削減できる弱酸性次亜塩素酸水溶液の製造方法として、水を炭酸ガスと混合して炭酸水を得る第1の工程と、得られた炭酸水を次亜塩素酸ナトリウム水溶液と混合して弱酸性次亜塩素酸水溶液を得る第2の工程とを含み、第2の工程では、炭酸水と次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを混合機に供給し、供給された炭酸水と次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、互いに方向の異なる流れを発生させる2つの撹拌羽根で混合する事が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-53546号公報
【特許文献2】特開2022-108782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
次亜塩素酸水の塩素成分はpHにより変化し、pH3.0以上の酸性水領域では次亜塩素酸として、アルカリ側では次亜塩素酸イオンとして存在する。特に、pH5.0付近の微酸性領域では揮発性塩素ガスを殆どあるいは全く含まないで、次亜塩素酸イオンより殺菌力が強い次亜塩素酸のみとなることが知られている。そしてpHを調整する為に使用する炭酸ガスは、無味無臭の不活性ガスで、素早く水に溶け、誤って過注入となっても急激なpH低下を呈することが無いなど、取り扱いが容易で優れており、次亜塩素酸水のpH調整において好適に利用できる。
【0008】
前記特許文献1は、炭酸含有次亜塩素酸水を製造することを開示しているが、水道水などの上水を供給する水供給手段は、開閉コックを有する蛇口を接続するか、貯水タンク内に上水を貯留した後に給水ポンプを経由して供給するものとなっており、その流量を安定させることが考慮されていない。その結果、製造する炭酸含有次亜塩素酸水の濃度を安定化させるのが困難となる。また上水、炭酸ガス、次亜塩素酸ナトリウムは混合装置で混合されることから、製造した炭酸含有次亜塩素酸水の均一性について改善の余地を有する。
【0009】
そこで本発明は、供給する水の量を安定化させて、製造する次亜塩素酸水の濃度やpHの安定化を図る事のできる次亜塩素酸水製造装置を提供することを課題の1つとする。
【0010】
また前記特許文献2は、製造した炭酸水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を供給するものとなっており、水道水を供給する給水ラインに流量調整弁と電磁弁を設けている。しかしながら炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給ラインには別の電磁弁を設けていることから、炭酸ガスの供給と水の供給はそれぞれ別に制御しなければならない。また、炭酸水と次亜塩素酸ナトリウム水溶液の混合は、第1の撹拌羽根と第2の撹拌羽根によって行われるが、その駆動源としてモーターが必要になる。
【0011】
そこで本発明では、炭酸ガスの供給に連動して水道水の供給を制御することができる次亜塩素酸水製造装置を提供することも、前記課題とは別の課題の1つとする。更に本発明では電機などの動力を必要とすることなく、水道水を用いて時江安曽散水を製造する事のできる次亜塩素酸水製造装置を提供することも、前記課題とは別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題の少なくとも何れかを解決するべく、本発明は水道に接続して、炭酸ガスおよび/または次亜塩素酸ナトリウム溶液を水道水に供給して溶解させる事のできる次亜塩素酸水製造装置を提供する。
【0013】
即ち、次亜塩素酸を主成分とする次亜塩素酸水の製造装置であって、供給された水道水を案内する水配管と、当該水配管で案内される水道水に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部と、炭酸ガスが供給された水道水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を供給する次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部とからなり、前記水配管における炭酸ガス供給部の上流側には定流量弁が設けられており、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部は、水配管を流れる水道水を駆動流体として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸引するエゼクターで構成されている次亜塩素酸水製造装置を提供する。
【0014】
また本発明の次亜塩素酸水製造装置において、前記水配管には、前記炭酸ガス供給部よりも上流側であって、望ましくは定流量弁の下流側にガスオペレート弁を設け、当該ガスオペレート弁は水道水に供給する炭酸ガスによって開閉するように構成することができる。
【0015】
また本発明の次亜塩素酸水製造装置は、前記炭酸ガスを炭酸ガス供給部まで案内する炭酸ガス配管を備え、当該炭酸ガス配管には三方弁を設けることが望ましい。当該三方弁は、炭酸ガスの供給を停止している状態において、前記定流量弁に対する圧力を開放して、当該定流量弁を閉じるように構成することができる。また前記次亜塩素酸ナトリウム溶液を次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部まで案内する次亜塩素酸ナトリウム溶液配管を備えることが望ましい。かかる次亜塩素酸ナトリウム溶液配管にも開閉自在な制御弁を設けることが望ましい。
【0016】
そして前記炭酸ガス配管には炭酸ガスの流量を表示する炭酸ガス流量計を設け、次亜塩素酸ナトリウム溶液配管には次亜塩素酸ナトリウム溶液の流量を表示する次亜塩素酸ナトリウム溶液流量計を設けることが望ましい。
【0017】
また本発明の次亜塩素酸水製造装置では、前記水配管に、バッファータンクを設けることが望ましい。かかるバッファータンクは、少なくとも前記炭酸ガス供給部の下流側に設ける事が必要であって、望ましくは前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部の上流側に設ける。但し、当該バッファータンクは、次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部の下流側に設けることもできる。
【0018】
そして本発明では、前記本発明の次亜塩素酸水製造装置を利用して、炭酸水、次亜塩素酸ナトリウム溶液及び次亜塩素酸水の何れかを選択的に製造可能とした水道水調整装置を提供する。
【0019】
即ち、当該水道水調整装置は、前記次亜塩素酸水製造装置における水配管と、炭酸ガス供給部と、次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部とを備えており、当該炭酸ガス供給部と次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部には、少なくとも何れかを閉塞可能な供給制御弁を設けて形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る次亜塩素酸水の製造装置は、供給された水道水を案内する水配管と、当該水配管で案内される水道水に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部と、炭酸ガスが供給された水道水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を供給する次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部とを備えており、前記水配管における炭酸ガス供給部の上流側には定流量弁を設けている。即ち、水配管における炭酸ガス供給部の上流側には定流量弁を設けていることから、水道水の流量を一定に保つことができ、これにより炭酸ガスの混入量や次亜塩素酸ナトリウム溶液の混入量を一定にすることができる。
【0021】
また、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部は、水配管を流れる水道水を駆動流体として、次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸引するエゼクターで構成していることから、水配管を流れる水道水の流体エネルギーを利用して次亜塩素酸ナトリウム溶液を混入させることができ、よってモーターやポンプなどの電力の使用を不要とすることができる。
【0022】
そして前記水配管には、前記炭酸ガス供給部よりも上流側にガスオペレート弁を設け、当該ガスオペレート弁は水道水に供給する炭酸ガスによって開閉させることにより、炭酸ガスの供給と連動させて水道水の供給を開始させることができる。しかも当該水配管における水道水の流通および停止は、炭酸ガスの圧力によって行うことができ、電力を不要とすることができる。
【0023】
また、前記炭酸ガス配管には三方弁を設けることにより、炭酸ガスの供給を停止している状態において、前記定流量弁に対する圧力を開放することができる。この為、炭酸ガスの供給を停止した後において、ガスオペレート弁への配管に圧力が残ることもなく、ガスオペレート弁は迅速に閉塞し、水配管における水道水の流通を迅速に阻止することができる。
【0024】
また前記水配管における前記炭酸ガス供給部の下流側であって、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部の上流側にバッファータンクを設けることにより、水道水への炭酸ガスの溶解を促進させて、均一な溶解濃度の炭酸水を製造することができる。そしてこのように均一な濃度の炭酸水に対して次亜塩素酸ナトリウム溶液を混入させることにより、殺菌能力が安定した次亜塩素酸水を製造することができる。かかる次亜塩素酸ナトリウム溶液はバッファータンクの上流側で炭酸水に混入することも可能であるが、エゼクター効果における吸入流体となる次亜塩素酸ナトリウム溶液の混入量を一定に保つためには、当該次亜塩素酸ナトリウム溶液はバッファータンクの下流側に設けるのが望ましい。
【0025】
そして本発明における水道水調整装置では、炭酸ガス供給部と次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部には、少なくとも何れかを閉塞可能な供給制御弁を設けていることから、炭酸水、次亜塩素酸ナトリウム溶液及び次亜塩素酸水の何れかを選択的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置を示すブロック図
図2】第1の実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置を示す正面図
図3】第2の実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50を具体的に説明する。特に本実施の形態は上水道を供給する水道に接続して、次亜塩素酸を主成分とする次亜塩素酸水を製造可能な次亜塩素酸水製造装置50の実施の形態を示している。但し水道は上水道に限ることなく、工業用水道など他の水道であって良い。
【0028】
図1は第1の実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50を示すブロック図である。この実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50は、水道から供給される水を案内する水配管10と、当該水配管10で案内される水道水に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部29と、炭酸ガスが供給された水道水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を供給する次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39とを備えて構成されている。そして炭酸ガスボンベ21から供給される炭酸ガスを前記炭酸ガス供給部29に案内する炭酸ガス配管20と、次亜塩素酸ナトリウム溶液が充填された容器31から当該次亜塩素酸ナトリウム溶液を前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39まで案内する次亜塩素酸ナトリウム溶液配管30を備えている。
【0029】
そして水配管10には、水道から供給される水を一定圧力および/または流量に制御する定流量弁11を設け、その下流側に逆止弁12を設けている。即ち、水配管10における炭酸ガス供給部29の上流側には定流量弁11を設けている。かかる定流量弁11を設ける事により、水道の蛇口の開度に依存することなく、製造する次亜塩素酸水の量を一定にすることができ、これにより前記単ガスの供給量や次亜塩素酸ナトリウム溶液の供給量を安定させることができ、一定の品質の次亜塩素酸水を製造することができる。
【0030】
そして前記逆止弁12の下流側には、当該水配管10の開閉を行うガスオペレート弁13を設けている。このガスオペレート弁13は外部からの圧力を受けてバルブを開くように構成することができ、本実施の形態では、当該外部からの圧力として水道水に供給する炭酸ガスの圧力を使用している。即ち、前記炭酸ガス配管20を分岐させて、その一部をガスオペレート弁13に案内してこれを開閉させ、炭酸ガスの供給と同時に水道水の流通を行うように構成している。かかるガスオペレート弁13を使用する事により、電気的なエネルギーを利用することなく、水道水の供給、即ち次亜塩素酸水の製造を行うことができる。
【0031】
そして当該ガスオペレート弁13の下流側には、炭酸ガスボンベ21から供給される炭酸ガスを水道水中に混入させる炭酸ガス供給部29を設けている。かかる炭酸ガス供給部29は炭酸ガス配管20によって供給された炭酸ガスを水配管10中の水道水に混入させるためのガス噴射ノズルや配管などで形成することができる。
【0032】
炭酸ガス配管20には、その基端側に炭酸ガスが充填されたボンベ21が接続され、当該ボンベ21の吐出口側にはレギュレータ22を設けて当該炭酸ガスボンベ21の開閉と噴出量の制御などを行っている。かかるレギュレータ22の下流側には三方弁23を設けており、その下流側に前記ガスオペレート弁13への分岐配管20aを設けている。かかる三方弁23を設ける事により、前記レギュレータ22を閉じた状態における炭酸ガス配管内の圧力を開放することができ、これによりガスオペレート弁13に作用している炭酸ガスの圧力も開放して、当該ガスオペレート弁13を迅速に閉じることができる。そして前記ガスオペレート弁13への分岐部の下流側には、炭酸ガス開閉弁24を設けて水配管10への炭酸ガスの供給を制御する炭酸ガス開閉弁24を設けている。即ち、当該炭酸ガス開閉弁24を開放することにより、炭酸ガスを水配管10を流れる水道水中に混入させることができ、一方で当該炭酸ガス開閉弁24を閉じることにより、炭酸ガスが混入していない水を前記次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39に送って、次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造することができる。
【0033】
前記炭酸ガス供給部29の下流側には、バッファータンク14を設けている。かかるバッファータンク14を設ける事により、水道水中に混入された炭酸ガスを均一に溶解させることができ、これにより供給された水道水よりもpHが下がった炭酸水を製造することができる。特に当該バッファータンク14を設ける事により、炭酸ガスの溶解を均一にして安定化させることができる。
【0034】
このバッファータンク14の下流側には、次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39を設けている。この次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39はエゼクターで構成しており、水配管10を流れる水道水(詳細には炭酸水)を駆動流体として、吸入流体である次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸引混合するように構成している。即ち、駆動流体によって形成された負圧により、次亜塩素酸ナトリウム溶液を収容する容器31から、次亜塩素酸ナトリウム溶液配管30を介して次亜塩素酸ナトリウム溶液を吸引し、これを炭酸ガスが溶解された炭酸水に混入・混合させる。これにより電力などを必要とせずに次亜塩素酸水を製造することができる。
【0035】
次亜塩素酸ナトリウム溶液配管30は、基端側を次亜塩素酸ナトリウム溶液の収容容器31に存在させると共に、その配管には次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33を設けている。当該次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33を開いておくことにより、水配管10を流れる駆動流体で形成された負圧により次亜塩素酸ナトリウム溶液が吸い上げられることから、常には当該次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33は開放してお行くことができる。一方で次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33を閉じた場合には、当該次亜塩素酸ナトリウム溶液の吸引・混合は成されない事から、水または炭酸水として排出することができる。
【0036】
よって本実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50によれば、前記炭酸ガス開閉弁24と次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33の両方を開くことにより、次亜塩素酸水を製造することができ、炭酸ガス開閉弁24だけを閉じた場合には、次亜塩素酸ナトリウム溶液を製造することができる。また次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33だけを閉じた場合には、炭酸水を製造することができる。そして炭酸ガス開閉弁24と次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33の両方を閉じた場合には、水道水を出力することができる。
【0037】
よって本実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50は、前記炭酸ガス開閉弁24が炭酸ガス供給部29を閉塞可能な供給制御弁として機能し、次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33が次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39を閉塞可能な供給制御弁として機能することから、次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウム溶液、炭酸水、および水を任意に選択して出力可能な水道水調整装置として利用する事もできる。
【0038】
なお本実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50では、前記炭酸ガス配管20と次亜塩素酸ナトリウム溶液配管30の夫々に、流量又は圧力を表示する表示部25,32を設けている。
【0039】
図2は上記第1の実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50を示す正面図である。この図に示す様に当該次亜塩素酸水製造装置50は筐体40を伴って形成されており、前記図1に示した各構成は当該筐体40内に収容されている。そして当該筐体40の下方には、水道に接続される水供給部41が設けられ、また当該次亜塩素酸水製造装置50によって製造された次亜塩素酸水を放出する放出部42が形成されている。当該筐体40には、前記炭酸ガス配管20に設けられた流量又は圧力の表示部25と、次亜塩素酸ナトリウム溶液配管30に設けられた流量又は圧力の表示部32とを設けている。また当該筐体40には、前記炭酸ガス配管20に設けたレギュレータ22の開閉を行うON/OFFスイッチ22aと、前記炭酸ガス配管20に設けた炭酸ガス開閉弁24の開閉および開度を調整する制御ダイヤル24aと、前記次亜塩素酸ナトリウム溶液配管30に設けた次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁33の開閉および開度を調整する制御ダイヤル33aとをそれぞれ設けている。
【0040】
かかる筐体40に収容して形成された次亜塩素酸水製造装置50は、電機などの外部動力を必要とせずに次亜塩素酸水を製造することができ、電源との接続が不要であることから、水道水を供給できる場所であればどこでも設置する事ができる。
【0041】
図3は第2の実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50を示すブロック図である。特にこの実施の形態にかかる次亜塩素酸水製造装置50では、次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部39をバッファータンク14の上流側に設けている。これにより、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、炭酸ガスが混入した水道水(炭酸水)に供給されることになるが、その後直ちにバッファータンク14に収容されてpHを5前後に調整することができる。よって、この場合であっても殺菌性などを高めた次亜塩素酸水を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の次亜塩素酸水製造装置は、食品加工分野等において食品などの洗浄・消毒用途で広く利用することができる。その他にも次亜塩素酸水または次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する分野において、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 水配管
11 定流量弁
12 逆止弁
13 ガスオペレート弁
14 バッファータンク
20 炭酸ガス配管
20a 分岐配管
21 炭酸ガスボンベ
22 レギュレータ
22a ON/OFFスイッチ
23 三方弁
24 炭酸ガス開閉弁
24a 制御ダイヤル
25 炭酸ガス供給量表示部
29 炭酸ガス供給部
30 次亜塩素酸ナトリウム溶液配管
31 収容容器
32 次亜塩素酸ナトリウム溶液供給量表示部
33 次亜塩素酸ナトリウム溶液開閉弁
33a 制御ダイヤル
39 次亜塩素酸ナトリウム溶液供給部
40 筐体
41 水供給部
42 放出部
50 次亜塩素酸水製造装置
図1
図2
図3