(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035768
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】バルブおよびフィルタ容器
(51)【国際特許分類】
F16K 31/528 20060101AFI20240307BHJP
B01D 24/42 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F16K31/528
B01D29/42 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022195291
(22)【出願日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2022139810
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232885
【氏名又は名称】株式会社ロキテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】内田 哲也
【テーマコード(参考)】
3H063
4D116
【Fターム(参考)】
3H063AA04
3H063BB12
3H063BB32
3H063BB36
3H063DA01
3H063DB22
3H063DC04
4D116BB01
4D116QA04A
4D116QA04B
4D116QA04E
4D116QA04F
4D116QB38
4D116QB49
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な構造により、回転による流路を構成するチューブの捻れを防止した上で流路の開放と閉鎖との切り替えができるバルブを提供する。
【解決手段】第1管端部2aを有する円筒の外形を有する第1管2であって、前記円筒の軸の方向に延在する第1流路21を内部に有し、前記第1流路は前記第1管端部において開口2bを形成する第1管と、前記軸と同軸で延在し第2管端部3aを有し円筒の外形を有する第2管3であって、前記軸の方向に延在する第2流路32を内部に有し、前記第1管の前記開口から前記第1管の前記第1流路の内部に前記第2管端部の挿嵌部3cが挿入される第2管と、前記第1管と第2管との外周面の上に、前記軸のまわりに回転が可能に前記第1管と第2管とのそれぞれに保持される回転リング4と、を備えるバルブにより解決する。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管端部を有する円筒の外形を有する第1管であって、前記円筒の軸の方向に延在する第1流路を内部に有し、前記第1流路は前記第1管端部において開口を形成する第1管と、
前記軸と同軸で延在し第2管端部を有し円筒の外形を有する第2管であって、前記軸の方向に延在する第2流路を内部に有し、前記第1管の前記開口から前記第1管の前記第1流路の内部に前記第2管端部の挿嵌部が挿入される第2管と、
前記第1管と第2管との外周面の上に、前記軸のまわりに回転が可能に前記第1管と第2管とのそれぞれに保持される回転リングと、を備えるバルブであって、
前記第2流路は前記第2管端部に至らずに、前記第2流路の前記挿嵌部において前記第1流路の内壁に向かって延在して前記第2流路の前記挿嵌部において開口を形成し、
前記第1管の表面にはカムフォロワー突起を備え、
前記回転リングは、前記カムフォロワー突起を受容するガイドカム溝であって、前記ガイドカム溝は、前記回転リングの前記回転により、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が最も長くなる第1位置と、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が前記第1位置よりも短くなる第2位置と、の間で前記カムフォロワー突起を移動させて前記第1管と前記第2管とが相対的な移動を行うガイドカム溝を備え、
前記バルブは、前記第1位置で前記第1流路と前記第2流路とは流体的に連通しない閉鎖状態と、前記第2位置で前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通する開放状態と、を有するバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブであって、
前記ガイドカム溝は、前記軸の方向に前記第2管に近い前記第1位置を画定し前記軸に垂直な面上で前記軸の周りの方向に穿設される第1溝と、前記軸の方向に前記第1位置より前記第2管から離間した前記第2位置を画定し前記軸に垂直な面上で前記軸の周りの方向に穿設される第2溝と、前記第1溝と前記第2溝との間を連結する遷移溝と、からなるバルブ。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブであって、
前記第2管は、前記外周面の上に、保持突起または前記軸の周りの方向に穿設される保持窪みを備え、
前記回転リングは、前記保持窪みに係合する保持突起または前記保持突起に係合するように前記軸の周りの方向に穿設される保持窪みを備え、
前記保持突起と前記保持窪みとの係合により前記回転リングが前記第2管に対して前記回転を行うように保持されるバルブ。
【請求項4】
請求項1に記載のバルブであって、
前記第1流路は一端が前記開口を形成する第1流路拡大部と、前記第1流路拡大部よりも径が細く前記第1流路拡大部の他端に連通する第1流路本流部とを備え、
前記第2管は、外面が前記第1流路拡大部の内面と常に接触する第1シール部材と、前記バルブの前記閉鎖状態において外面が前記第1流路本流部の内面と接触し、前記バルブの開放状態において外面が前記第1流路本流部の内面と接触しない他の第2シール部材と、を備えるバルブ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のバルブであって、
前記バルブはフィルタ容器に取り付けられ、
前記第1管は前記第1流路が前記第1管端部と反対側において前記フィルタ容器の内部と連通し、
前記第1管の前記第1流路は上流であり前記第2管の前記第2流路は下流であって、
前記第2管は、前記第2流路の開口を有する前記第2管端部と反対側の端部である第2管終管部を備え、
前記バルブは、前記開放状態において、前記フィルタ容器の内部の流体を、前記第1流路と前記第2流路とを経由して、前記第2管終管部の前記開口から排出するバルブ。
【請求項6】
請求項1に記載のバルブであって、
前記ガイドカム溝は、前記ガイドカム溝を画定する溝縁から突出する保持爪を有するロック機構を備え、前記カムフォロワー突起は前記ロック機構により前記第1位置または前記第2位置に留め置かれるバルブ。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブであって、
前記ロック機構は前記カムフォロワー突起に配置され前記保持爪を受容する受容溝を備えるバルブ。
【請求項8】
バルブを有するフィルタ容器であって、
前記バルブは、
第1管端部を有する円筒の外形を有する第1管であって、前記円筒の軸の方向に延在する第1流路を内部に有し、前記第1流路は前記第1管端部において開口を形成し前記第1管端部と反対側が前記フィルタ容器の内部と連通する第1管と、
前記軸と同軸で延在し第2管端部を有し円筒の外形を有する第2管であって、前記軸の方向に延在する第2流路を内部に有し、前記第1管の前記開口から前記第1管の前記第1流路の内部に前記第2管端部の挿嵌部が挿入される第2管と、
前記第1管と第2管との外周面の上に、前記軸のまわりに回転が可能に前記第1管と第2管とのそれぞれに保持される回転リングと、を備え、
前記第2流路は前記第2管端部に至らずに、前記第2流路の前記挿嵌部において前記第1流路の内壁に向かって延在して前記第2流路の前記挿嵌部において開口を形成し、
前記第1管の表面にはカムフォロワー突起を備え、
前記回転リングは、前記カムフォロワー突起を受容するガイドカム溝であって、前記ガイドカム溝は、前記回転リングの前記回転により、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が最も長くなる第1位置と、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が前記第1位置よりも短くなる第2位置と、の間で前記カムフォロワー突起を移動させて前記第1管と前記第2管とが相対的な移動を行うガイドカム溝を備え、
前記バルブは、前記第1位置で前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通しない閉鎖状態と、前記第2位置で前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通する開放状態と、を有するフィルタ容器。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルタ容器であって、
前記ガイドカム溝は、前記軸の方向に前記第2管に近い前記第1位置を画定し前記軸に垂直な面上で前記軸の周りの方向に穿設される第1溝と、前記軸の方向に前記第1位置より前記第2管から離間した前記第2位置を画定し前記軸に垂直な面上で前記軸の周りの方向に穿設される第2溝と、前記第1溝と前記第2溝との間を連結する遷移溝と、からなるフィルタ容器。
【請求項10】
請求項8に記載のフィルタ容器であって、
前記第2管は、前記外周面の上に、保持突起または前記軸の周りの方向に穿設される保持窪みを備え、
前記回転リングは、前記保持窪みに係合する保持突起または前記保持突起に係合するように前記軸の周りの方向に穿設される保持窪みを備え、
前記保持突起と前記保持窪みとの係合により前記回転リングが前記第2管に対して前記回転を行うように保持されるフィルタ容器。
【請求項11】
請求項8に記載のフィルタ容器であって、
前記第1流路は一端が前記開口を形成する第1流路拡大部と、前記第1流路拡大部よりも径が細く前記第1流路拡大部の他端に連通する第1流路本流部とを備え、
前記第2管は、外面が前記第1流路拡大部の内面と常に接触する第1シール部材と、前記バルブの前記閉鎖状態において外面が前記第1流路本流部の内面と接触し、前記バルブの開放状態において外面が前記第1流路本流部の内面と接触しない他の第2シール部材と、を備えるフィルタ容器。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載のフィルタ容器であって、
前記バルブは、前記第1管の前記第1流路は上流であり前記第2管の前記第2流路は下流であって、
前記第2管は、前記第2流路の開口を有する前記第2管端部と反対側の端部である第2管終管部を備え、
前記開放状態において、前記フィルタ容器の内部の流体を、前記第1流路と前記第2流路とを経由して、前記第2管終管部の前記開口から排出するバルブであるフィルタ容器。
【請求項13】
請求項8に記載のフィルタ容器であって、
前記ガイドカム溝は、前記ガイドカム溝を画定する溝縁から突出する保持爪を有するロック機構を備え、前記カムフォロワー突起は前記ロック機構により前記第1位置または前記第2位置に留め置かれるフィルタ容器。
【請求項14】
請求項13に記載のフィルタ容器であって、
前記ロック機構は前記カムフォロワー突起に配置され前記保持爪を受容する受容溝を備えるフィルタ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブおよびフィルタ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
回転動作により流路の開閉がなされるバルブが存在する。たとえば、特許文献1には、回転により流路が開閉するプランジャが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、特許文献に開示されるプランジャでは、開閉のための回転により流路を構成するプランジャが捻れを生じる問題がある。特に、カム溝とカムフォロワーとを使用することによってプランジャが回転する構造では、必然的に流路捻れが生じる問題がある。特に、柔なチューブを連結させるバルブ構造では、流路を構成するチューブの捻れの頻度が高くなり、バルブを含めた構造の耐久性が低くなる問題がある。さらには、チューブの弾性により、チューブに捻れが生じることにより、チューブの捻れによる復元力で、バルブが誤動作を起こす問題もある。流路を構成するチューブの捻れを防止した上で、回転による流路の開放と閉鎖との切り替えが可能な簡易な構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1管端部を有する円筒の外形を有する第1管であって、前記円筒の軸の方向に延在する第1流路を内部に有し、前記第1流路は前記第1管端部において開口を形成する第1管と、前記軸と同軸で延在し第2管端部を有し円筒の外形を有する第2管であって、前記軸の方向に延在する第2流路を内部に有し、前記第1管の前記開口から前記第1管の前記第1流路の内部に前記第2管端部の挿嵌部が挿入される第2管と、前記第1管と第2管との外周面の上に、前記軸のまわりに回転が可能に前記第1管と第2管とのそれぞれに保持される回転リングと、を備えるバルブであって、前記第2流路は前記第2管端部に至らずに、前記第2流路の前記挿嵌部において前記第1流路の内壁に向かって延在して前記第2流路の前記挿嵌部において開口を形成し、前記第1管の表面にはカムフォロワー突起を備え、前記回転リングは、前記カムフォロワー突起を受容するガイドカム溝であって、前記ガイドカム溝は、前記回転リングの前記回転により、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が最も長くなる第1位置と、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が前記第1位置よりも短くなる第2位置と、の間で前記カムフォロワー突起を移動させて前記第1管と前記第2管とが相対的な移動を行うガイドカム溝を備え、前記第1位置では前記第2管の前記第2流路の前記開口は前記第1管の前記第1流路の内壁の閉鎖部により閉鎖されて前記第1流路と前記第2流路とは流体的に連通しない閉鎖状態と、前記第2位置では前記第2管の前記第2流路の前記開口は前記第1管の内壁と離間して開放されて前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通する開放状態と、を有するバルブ@第1管端部を有する円筒の外形を有する第1管であって、前記円筒の軸の方向に延在する第1流路を内部に有し、前記第1流路は前記第1管端部において開口を形成する第1管と、前記軸と同軸で延在し第2管端部を有し円筒の外形を有する第2管であって、前記軸の方向に延在する第2流路を内部に有し、前記第1管の前記開口から前記第1管の前記第1流路の内部に前記第2管端部の挿嵌部が挿入される第2管と、前記第1管と第2管との外周面の上に、前記軸のまわりに回転が可能に前記第1管と第2管とのそれぞれに保持される回転リングと、を備えるバルブであって、前記第2流路は前記第2管端部に至らずに、前記第2流路の前記挿嵌部において前記第1流路の内壁に向かって延在して前記第2流路の前記挿嵌部において開口を形成し、前記第1管の表面にはカムフォロワー突起を備え、前記回転リングは、前記カムフォロワー突起を受容するガイドカム溝であって、前記ガイドカム溝は、前記回転リングの前記回転により、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が最も長くなる第1位置と、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が前記第1位置よりも短くなる第2位置と、の間で前記カムフォロワー突起を移動させて前記第1管と前記第2管とが相対的な移動を行うガイドカム溝を備え、前記バルブは、前記第1位置で前記第1流路と前記第2流路とは流体的に連通しない閉鎖状態と、前記第2位置で前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通する開放状態と、を有するバルブにより解決する。
【0006】
バルブを有するフィルタ容器であって、前記バルブは、第1管端部を有する円筒の外形を有する第1管であって、前記円筒の軸の方向に延在する第1流路を内部に有し、前記第1流路は前記第1管端部において開口を形成し前記第1管端部と反対側が前記フィルタ容器の内部と連通する第1管と、前記軸と同軸で延在し第2管端部を有し円筒の外形を有する第2管であって、前記軸の方向に延在する第2流路を内部に有し、前記第1管の前記開口から前記第1管の前記第1流路の内部に前記第2管端部の挿嵌部が挿入される第2管と、前記第1管と第2管との外周面の上に、前記軸のまわりに回転が可能に前記第1管と第2管とのそれぞれに保持される回転リングと、を備え、前記第2流路は前記第2管端部に至らずに、前記第2流路の前記挿嵌部において前記第1流路の内壁に向かって延在して前記第2流路の前記挿嵌部において開口を形成し、前記第1管の表面にはカムフォロワー突起を備え、前記回転リングは、前記カムフォロワー突起を受容するガイドカム溝であって、前記ガイドカム溝は、前記回転リングの前記回転により、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が最も長くなる第1位置と、前記第2管の前記第2管端部の前記挿嵌部が前記第1位置よりも短くなる第2位置と、の間で前記カムフォロワー突起を移動させて前記第1管と前記第2管とが相対的な移動を行うガイドカム溝を備え、前記バルブは、前記第1位置で前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通しない閉鎖状態と、前記第2位置で前記第1流路と前記第2流路とが流体的に連通する開放状態と、を有するフィルタ容器により解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、簡易な構造により、回転による流路を構成するチューブの捻れを防止した上で流路の開放と閉鎖との切り替えができるバルブの実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願発明の第1の実施の形態であるバルブの斜視図である。
【
図2A】本願発明の第1の実施の形態の閉鎖状態のバルブの側面図である。
【
図2B】本願発明の第1の実施の形態の閉鎖状態のバルブの断面図である。
【
図3A】本願発明の第1の実施の形態の開放状態のバルブの側面図である。
【
図3B】本願発明の第1の実施の形態の開放状態のバルブの断面図である。
【
図4A】本願発明の他の実施の形態のバルブの回転リングの保持部を示した断面図である。
【
図4B】本願発明の他の実施の形態のバルブの回転リングの保持部を示した断面図である。
【
図4C】本願発明の他の実施の形態のバルブの回転リングの保持部を示した断面図である。
【
図5A】本願発明の実施の形態のガイドカム溝とフォロワー突起の他の実施の形態を示した図である。
【
図5B】本願発明の実施の形態のガイドカム溝とフォロワー突起の別の他の実施の形態を示した図である。
【
図5C】本願発明の実施の形態のガイドカム溝とフォロワー突起のさらに他の実施の形態を示した図である。
【
図5D】
図5Cのガイドカム溝とフォロワー突起について、フォロワー突起の軸方向から見た拡大図である。
【
図5E】本願発明の実施の形態のガイドカム溝とフォロワー突起のさらに別の他の実施の形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
図1から
図3Bを参照して、本発明の実施の形態としてのバルブ1について説明する。
図1は本願発明の第1の実施の形態であるバルブ1の斜視図である。
図2Aは本願発明の第1の実施の形態の閉鎖状態のバルブ1の側面図である。
図2Bは本願発明の第1の実施の形態の閉鎖状態のバルブ1の断面図である。
図3Aは本願発明の第1の実施の形態の開放状態のバルブ1の側面図である。
図3Bは本願発明の第1の実施の形態の閉鎖状態のバルブ1の断面図である。
【0010】
バルブ1は、第1管2と、第2管3と、回転リング4と、を備える。第1管2は、第1管端部2aを有し、円筒の外形を有する。第1管2は、外形たる円筒の軸の方向に延在するように第1流路21を内部に有する。第1流路21は第1管端部2aにおいて第1管端開口2bを形成する。第1流路21の径は、第1管端開口2bにおいて拡がる。すなわち、第1流路21は狭い径の第1流路本流部21aと、それより大きい径の第1流路拡大部21bとからなる。第1管端開口2bは第1流路拡大部21bの開口として形成される。第1管端部2aと反対側の端部(不図示)は流体源に接続されていて第1流路21が流体源に連通している。第1管端部2a側の第1流路21は代表的には円筒形である。
【0011】
第2管3は、第1管2の軸と同軸で延在する。第2管3は、一端に第2管端部3aを有し、第2管端部3aと反対側の他端に第2管終管部3bを有する。第2管3は軸方向に延在する第2流路32を内部に有する。
【0012】
バルブ1は、第1流路21と第2流路32との間の流体の流れを可能とするバルブであり、第1流路21と第2流路32とのいずれか一方を上流とし、その他方を下流とすることができる。この明細書では、以下、代表例として、第1流路21を上流とし、第2流路32を下流として説明する。
【0013】
第2管3は、第2管端部3aを含む側が第1管端部2a側の第1流路21の形状と相補的な形状を有する挿嵌部3cを備える。第1管端部2a側の第1流路21は代表的な円筒形の場合には、挿嵌部3cは円柱形状を有する。第2管3の挿嵌部3cは、第1管2の第1管端開口2bから第1管2の第1流路21の第1流路拡大部21bへと挿入される。第2管3の挿嵌部3cのうち、第2管端部3aの部分は第2管3の挿嵌部3cの円柱形状の半径よりも小さい半径を有している。
【0014】
第2管3の挿嵌部3cは、第1管2の第1流路21の内部へと挿入された状態において、第2管3の挿嵌部3cの外径は第1管2の第1流路21の第1流路拡大部21bの内径より僅かに小さく、第2管3の挿嵌部3cの外径は第1管2の第1流路21の内径との間に、流路隙間5が形成される。流路隙間5は、第1流路拡大部21bと第2管3の挿嵌部3cとの間に形成される隙間である。
【0015】
第2管3の挿嵌部3cの中心軸は、第1管2の第1流路21の中心軸と同軸であって、第2管3の挿嵌部3cは第1管2の第1流路21の中心軸に沿って移動可能である。その移動は移動量が第2管3の挿嵌部3cが第1管2の第1流路21内に挿入されている挿入長さが、D1と、D1よりも短いD2と、の間となるような移動である。バルブ1の閉鎖状態で第2管3の挿嵌部3cの挿入長さがD1となり、第2管3の挿嵌部3cが第1管2の第1流路21の中に最も深く挿入されている状態である。一方、バルブ1の開放状態で第2管3の挿嵌部3cの挿入長さがD2となり、第2管3の挿嵌部3cが第1管2の第1流路21の中に最も浅く挿入されている状態である。
【0016】
第2流路32は、第2管終管部3bにおいて開口を形成し、第2管終管部3bから第2管端部3aに向かって延在する。しかし、第2流路32は第2管端部3aまでには至らずに、第2流路32の挿嵌部3cにおいて第1流路21の内壁に向かって軸方向に延在して、第2流路32の挿嵌部3cの周面に開口33を形成する。第2流路32の挿嵌部3cの開口33は流路隙間5と流体的に連通する。
【0017】
第2管3の挿嵌部3cは、流路隙間5が第1管端部2aにおいて第1管端開口2bを介して第1管端開口2bの外と連通しないように、流路隙間5の第1管端開口2b側の第2管3の挿嵌部3cには、その全周に亘ってシール部材34a(第1シール部材)が配置される。シール部材34aは、第1流路21の第1流路拡大部21bの内面と密着し、第2管3が第1流路21内で摺動可能なように配置される。シール部材34aは、流路隙間5内の流体が第2流路32の挿嵌部3cの開口33へ流れ込むことを保証するシール部材である。バルブ1の開放状態および閉鎖状態との両方の状態において、流路隙間5は、シール部材34aにより、第1管2の第1流路21の中心軸方向に、シール部材34aの第1管端部2a側とは流体的に隔絶されて連通しない。
【0018】
一方、第1管2の第1流路21の中心軸方向に、第2流路32の挿嵌部3cの開口33に対して、シール部材34aの位置と反対側の第2管3の第2管端部3aの全周には、シール部材34b(第2シール部材)が配置される。シール部材34bの外径はシール部材34aの外径より細い。シール部材34aが第1流路21の第1流路拡大部21bの内面と密着して第2管3が第1流路21内で摺動可能なように配置されるのに対し、シール部材34bは、バルブ1の閉鎖状態、すなわち第2管3の挿嵌部3cの挿入長さがD1において、第1流路21の第1流路本流部21aの内面と密着して第2管3が第1流路21内で摺動可能なように配置される。一方、バルブ1の開放状態、すなわち第2管3の挿嵌部3cの挿入長さがD2のときは、シール部材34bは第1流路21の第1流路本流部21aから第1流路21の第1流路拡大部21b内に移動する。シール部材34bの外径は第1流路21の第1流路拡大部21bの内径より細いので、シール部材34bの外面と第1流路拡大部21bの内面との間に隙間ができる。これにより、バルブ1の閉鎖状態において、流路隙間5は、シール部材34bにより、第1管2の第1流路21の中心軸方向に、シール部材34bの第1管端部2aと反対側の第1流路本流部21aと流体的に隔絶されて連通しない。一方、バルブ1の開放状態において、シール部材34bがあっても、流路隙間5は、第1管2の第1流路21の中心軸方向に、第1流路本流部21aと流体的に連通する。
【0019】
これにより、バルブ1の開放状態において、第1管2の第1流路21の内部の流体は、第1流路本流部21aから流路隙間5を経由して、第2流路32の挿嵌部3cの周面に開口33から第2流路32に至り、第2管終管部3bの開口から外部へと排出されるような流れ回路を構成する。第1管2の第1流路21の内部の流体は、第1流路本流部21aから流路隙間5に流れ込みやすいように、第2管3の第2管端部3aには、流路を拡大するように、第1管2の第1流路21の中心軸と垂直な面の面積を減少させる溝3dを配置することができる。
【0020】
そして、この流れ回路において、バルブ1の閉鎖状態において、第1管2の第1流路21の内部の流体は、第2管3のシール部材34bと第1流路21の第1流路本流部21aの内面との接触により、第1流路本流部21aから流路隙間5に至ることができずバルブ1は閉鎖される。バルブ1の閉鎖状態においては、第2管3の第2管端部3aが第1流路21において、第1流路拡大部21bを超えて、第1流路本流部21aの中に到達している。
【0021】
回転リング4は、バルブ1の開放状態および閉鎖状態における第1管2と第2管3との位置関係を制御する部材である。回転リング4は、第1管2と第2管3との外周面の上に、第1管2と第2管3とのそれぞれに対して、第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持される。
【0022】
回転リング4は、内部が中空の円筒形であって、回転リング4の円筒形状の内周面に、内周面から回転リング4の円筒形状の中心に向かって突出する形状の保持突起42を有している。たとえば、第2管3は、第2管3の外周面の上に、軸の周りの方向に穿設される保持窪み31を有する。回転リング4の保持突起42が第2管3の外周面の上の保持窪み31と係合することで、回転リング4は第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持される。この状態で、第1管2は第1管端部2aを含む部分が回転リング4の中空部に挿入されている状態となる。
【0023】
第1管2の表面にはカムフォロワー突起22を備える。カムフォロワー突起22は、たとえば第1管2の周面から第1管2の中心軸と垂直方向に突出するように形成される突起である。代表的には、円柱形状である。
【0024】
回転リング4には、その周面にガイドカム溝41が穿設される。ガイドカム溝41はカムフォロワー突起22を受容する。回転リング4の保持突起42と第2管3の保持窪み31との係合およびガイドカム溝41とカムフォロワー突起22との係合により、第2管3はバルブ1において第1管2に対してプランジャとして機能する。
【0025】
ガイドカム溝41は、たとえば、第1溝41aと第2溝41bと遷移溝41cとから構成される。第1溝41aと第2溝41bと遷移溝41cとのいずれも、カムフォロワー突起22の幅とほぼ同じか、それより大きい幅の溝であって、カムフォロワー突起22は第1溝41aと第2溝41bと遷移溝41cのそれぞれの溝に沿っての移動が可能である。第1溝41aと第2溝41bと遷移溝41cは、カムフォロワー突起22がそれぞれの溝に沿っての移動が可能である限り、回転リング4の表裏を貫通する貫通溝孔である必要はなく、カムフォロワー突起22が配置される第1管2に対向する面側に穿設される窪みで形成される溝であってもよい。
【0026】
第1溝41aは、軸に垂直な面上で、軸の周りの方向に穿設されている溝である。第1溝41aは、第1管2の中心軸に沿った方向において、第1管2の第1管端部2aに近い側に穿設されて第1位置を画定する。第1溝41aは、第1管2の中心軸と垂直な方向に第1管2の中心軸周りに所定の角度で穿設され、第1溝41aにカムフォロワー突起22が位置する状態では、第1管2と第2管3とのそれぞれの中心軸方向の位置は変わらない。
【0027】
第2溝41bは、軸に垂直な面上で、前記軸の周りの方向に穿設されている溝である。第2溝41bは、第1管2の中心軸に沿った方向において、第1位置より第1管2の第1管端部2aから離間した側に穿設されて第2位置を画定する。第2溝41bも、第1管2の中心軸と垂直な方向に第1管2の中心軸周りに所定の角度で穿設される。第2溝41bにカムフォロワー突起22が位置する状態では、第1管2と第2管3とのそれぞれの中心軸方向の位置はかわらない。すなわち、第1位置を画定する第1溝41aは、第1管2の中心軸に沿った方向において、第2位置を画定する第2溝41bよりも第2管3に近い側に位置し、これにより第1溝41aは、第1管2の中心軸に沿った方向において、第2溝41bよりも第2管3に近い側に位置することになる。
【0028】
遷移溝41cは、第1溝41aと第2溝41bとの間を連結する溝である。遷移溝41cは、第1管2の中心軸と垂直な面に対して角度を持った方向に延在する溝である。
【0029】
第1位置では第2管3の第2管端部の3aの挿嵌部3cが最も長くなり、第2位置では第2管3の第2管端部3aの挿嵌部3cが第1位置よりも短く画定される。
【0030】
カムフォロワー突起22が第1溝41aにある第1位置では、バルブ1は閉鎖状態に対応する。すなわち、第1位置では、第2管3のシール部材34bが第1流路21の第1流路本流部21a内にあって、シール部材34bの外面と第1流路21の第1流路本流部21aの内面とが接触している状態であって、第1管2の第1流路21と流路隙間5とが流体的に遮断され(連通せず)、第1管2の第1流路21内の流体は第2管3の第2流路32には至らない。
【0031】
一方、カムフォロワー突起22が第2溝41bにある第2位置では、バルブ1は開放状態に対応する。すなわち、第2位置では、第2管3のシール部材34bが第1流路21の第1流路本流部21aから離脱して第1流路拡大部21bの内部へと退避している状態であって、第1管2の第1流路21と流路隙間5とが流体的に連通し、第1管2の第1流路21の内部の流体は、第1流路本流部21aから流路隙間5を経由して、第2流路32の挿嵌部3cの周面に開口33から第2流路32に至り、第2管終管部3bの開口から外部へと排出される。
【0032】
カムフォロワー突起22は、ガイドカム溝41内で、回転リング4の軸方向まわりの回転により、第1位置と第2位置との間を移動可能である。カムフォロワー突起22のガイドカム溝41内での第1位置と第2位置との間の移動により、回転リング4が第1管2と第2管3との相対的な移動を可能とする。
【0033】
バルブ1は、たとえば第1管2をフィルタ容器(不図示)に取り付けて、第2管3を大気に開放して、第1管2の第1流路21を上流として第2管3の第2流路32を下流とするように取り付けることが可能である。このとき、バルブ1の開放状態における第1管2の第1流路21から第2管の第2流路32への流体的連通により、フィルタ容器内部の流体を第1流路21と第2流路32とを経由して、第2管終管部3bの開口から排出する。特には、フィルタ容器の内部に流体と空気とが存在する濾過前準備段階において、その内部の空気を排出する際に、フィルタ容器の内部の空気と、それに続くフィルタ容器内の濾過流体とを排出するためのいわゆるベントバルブやドレインバルブとして機能させることができる。
【0034】
これらの構成により、バルブ1を以下のように作動させて、バルブ1を以下の機能を発揮させることができる。カムフォロワー突起22が第1溝41a内、すなわち第1位置にある状態、すなわちバルブ1が閉鎖されている閉鎖状態で、第2管3のシール部材34bが第1流路21の第1流路本流部21aの内面と接触している状態である。この時、フィルタ容器の内部の流体は、第2管終管部3bの開口から排出されない。
【0035】
フィルタ容器の内部の流体を排出する際には、回転リング4を、第1管2または第2管3の中心軸周りに回転させて、カムフォロワー突起22を第1溝41aから遷移溝41cへと移動させる。カムフォロワー突起22が遷移溝41cを移動する状態では、第2管3の挿嵌部3cの第2管端部3aは第1管2の第1流路21の第1流路本流部21aから徐々に離れて第1流路拡大部21b内に移動を行う。これに伴って、第2管3のシール部材34bと第1流路21の第1流路本流部21aの内面との接触も徐々に解除されて、第1流路21の第1流路本流部21aと第2管3の第2管端部3aとの離間が始まる。
【0036】
さらに、回転リング4を第1管2または第2管3の中心軸周りに回転させて、カムフォロワー突起22を遷移溝41cから第2溝41bへと移動させる。カムフォロワー突起22が第2溝41b内、すなわち第2位置にある状態、すなわちバルブ1が開放されている開放状態となり、第2管3の挿嵌部3cの第2管端部3aは完全に第1流路拡大部21b内に移動し、これに伴って第2管3のシール部材34bと第1流路21の第1流路本流部21aと完全に離間する。第2管3のシール部材34bと第1流路21の第1流路本流部21aとの離間により、第1管2の第1流路21と流路隙間5との流体的な遮断が完全に解除されて、第1管2の第1流路21と流路隙間5とが流体的に連通する。第1管2の第1流路21の内部の流体は、第1流路本流部21aから流路隙間5を経由して、第2流路32の挿嵌部3cの周面に開口33から第2流路32に至り、第2管終管部3bの開口から外部へと排出される。
【0037】
第1溝41aと第2溝41bとにおいて、カムフォロワー突起22が容易に移動しないようなロック機構(不図示)を配置してもよい。ロック機構は、カムフォロワー突起22の回転リング4に対しての位置を固定するような機構である。たとえば、カムフォロワー突起22に爪状の部材(不図示)を配置して、それによりカムフォロワー突起22の回転リング4に対しての位置を固定することもできる。また、第1溝41aと第2溝41bとに、それぞれの溝が延在する方向と垂直な方向(第1管2の中心軸の沿った方向)に突出し、第1溝41aと第2溝41bとのそれぞれの幅を狭める突起でもよい。ロック機構は、カムフォロワー突起22の回転リング4に対しての位置を固定することができる限り、すべての態様を取ることができる。
【0038】
以上、回転リング4を第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持する方法として、回転リング4に保持突起42を配置し、第2管3の外周面の上に保持窪み31を配置する例で説明していた。しかし、回転リング4は、第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持される限り、他の様々な態様をとることができる。
【0039】
たとえば、上記の実施の形態とは逆に、たとえば、
図4Aに示すように、第2管3の外周面の上に保持突起35を、回転リング4の内周面に保持窪み43を配置してもよい。回転リング4の保持窪み43と第2管3の保持突起35との係合により、回転リング4は第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持させることが可能である。
【0040】
また、さらには、たとえば、
図4Bに示すように、第2管3に、回転リング4を外側から覆う鍔部3eを配置することができる。そして、第2管3の鍔部3eが回転リング4の外周面を覆う箇所の第2管3の鍔部3eの内周面の上に保持突起36を、回転リング4の外周面に保持窪み44を配置してもよい。この場合でも、回転リング4を、回転リング4の保持窪み44と第2管3の保持突起36との係合により、第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持させることが可能である。
【0041】
また、さらに、たとえば、
図4Bに示す例と同様に、第2管3に、回転リング4を外側から覆う鍔部3eを配置して、窪みと突起の関係を逆にすることもできる。すなわち、
図4Cに示すように、第2管3の鍔部3eが回転リング4の外周面を覆う箇所の第2管3の鍔部3eの内周面の上に保持窪み37を、回転リング4の外周面に保持突起45を配置してもよい。この場合でも、回転リング4を、回転リング4の保持窪み44と第2管3の保持突起36との係合により、第1管2と第2管3との中心軸まわりの回転が可能に、第1管2と第2管3とのそれぞれに保持させることが可能である。
【0042】
(ガイドカム溝とカムフォロワー突起の実施の形態)
本発明の実施の形態としてのガイドカム溝41とカムフォロワー突起22の基本的な構成は前記のとおりであるが、基本的な構成に加えて、カムフォロワー突起22がガイドカム溝41の第1溝41aまたは第2溝41bに位置する時に、カムフォロワー突起22が遷移溝41cに移動することを防ぐロック機構を持たせることができる。ロック機構を有する実施の形態について、
図5Aから
図5Eを参照して、ロック機構を有するガイドカム溝141とカムフォロワー突起122として説明する。ガイドカム溝141とカムフォロワー突起122とは、ロック機構以外は前記のガイドカム溝41とカムフォロワー突起22と同じである。
【0043】
ガイドカム溝141は、第1溝141aと第2溝141bと遷移溝141cとから構成される。第1溝141aと第2溝141bと遷移溝141cとは、それぞれの溝において、対向して位置する溝縁により間に画定される長孔または窪みである。遷移溝141cは第1溝141aと第2溝141bとの間を連結する溝である。第1溝141aと第2溝141bと遷移溝141cとのいずれも、カムフォロワー突起122の幅とほぼ同じか、それよりも大きい幅の溝であって、カムフォロワー突起122は、第1溝141aと第2溝141bと遷移溝141cとに沿っての往復移動が可能である。第1溝141aと第2溝141bと遷移溝141cは、カムフォロワー突起122がそれぞれの溝に沿っての移動が可能である限り、回転リング4の表裏を貫通する貫通溝孔である必要はなく、カムフォロワー突起122が配置される第1管2に対向する面側に穿設される窪みで形成される溝であってもよい。
【0044】
図5Aから
図5Eは、それぞれロック機構を有するガイドカム溝141とカムフォロワー突起122の実施の形態を示している。
図5Dは
図5Cのガイドカム溝141についてカムフォロワー突起122の軸方向から見た拡大図である。
【0045】
第1溝141aおよび第2溝141bは、
図5Aから
図5Eに示すように、中心軸に垂直な面上で、第1管2の中心軸周りに所定の角度で穿設されている溝である。第1溝141aおよび第2溝141bは、第1管2の中心軸に沿って異なる位置に平行で穿設されている。第1溝141aは、カムフォロワー突起122が第1溝141aの位置にあるときに第1位置を画定する溝である。第1溝141aは、カムフォロワー突起122が第2溝141bの位置にあるときに、第2位置を画定する溝である。第1溝141aは、第1管2の中心軸に沿った方向において、第2位置を画定する第2溝141bよりも第2管3に近い側に位置する。遷移溝141cは前記のとおり、第1溝141aと第2溝141bとの間を連結する溝であって、そのため第1管2の中心軸に対して角度をもった面上、すなわち第1管2の中心軸に対して斜めに、第1溝141aと第2溝141bとのそれぞれの端部を連結するように第1管2の中心軸周りに所定の角度で穿設されている溝である。
【0046】
まず、
図5Aおよび
図5Bに示す実施の形態について説明する。
図5Aおよび
図5Bは、この実施の形態のガイドカム溝141とカムフォロワー突起122とを示した図であって、第1溝141aにカムフォロワー突起122が位置している状態を示している。この実施の形態では、第1溝141aと遷移溝141cとの間および第2溝141bと遷移溝141cとの間にロック機構としての保持爪146が配置される。保持爪146は、ガイドカム溝141の溝を形成する溝縁から溝の中心に向かって突出する凸形状の突起である。溝縁から溝の中心に向かっての突起たる保持爪146の突出長さは、第1溝141aと第2溝141bと遷移溝141cとのうち、カムフォロワー突起122が現在位置する溝内の位置から自然には移動することが叶わず、回転リング4の第1管2に対しての使用に適する合理的な力での相対的な移動によって、カムフォロワー突起122が現在位置する溝内から隣接する溝への移動が喚起されるように設定することができる。保持爪146は、第1溝141aが延在する方向と遷移溝141cが延在する方向とが変化するガイドカム溝141の曲がり部分に配置する。すなわち、ガイドカム溝141は、ロック機構によりカムフォロワー突起122が保持爪146により第1位置または第2位置に留め置かれることとなる。
【0047】
たとえば、特には、
図5Aに示すように、ガイドカム溝141の曲がり部分の内側となる2箇所、すなわち第1溝141aと遷移溝141cとの境界の位置に保持爪146aを、第2溝141bと遷移溝141cとの境界の位置に保持爪146bを配置する。さらには、
図5Bに示すように、ガイドカム溝141の2箇所の曲がり部分の内側と外側の両方に保持爪146a,146b,146c,146dを配置することもできる。すなわち、第1溝141aと遷移溝141cとの境界近傍において、ガイドカム溝141の曲がり部分の内側の縁に保持爪146aを、ガイドカム溝141の曲がり部分の外側の縁に保持爪146cを配置する。また、第2溝141bと遷移溝141cとの境界の近傍において、ガイドカム溝141の曲がり部分の内側の縁に保持爪146bを、ガイドカム溝141の曲がり部分の外側の縁に保持爪146dを配置する。さらに、図には示していないが、
図5Aとは逆に、ガイドカム溝141の曲がり部分の外側の2箇所の溝縁に保持爪146を配置してもよい。この場合は、
図5Bの例において、保持爪146cおよび保持爪146dのみを配置する形になる。保持爪146は、いずれもガイドカム溝の縁からガイドカム溝141の中心に向かって突出するように形成される。また、ここでは保持爪146はガイドカム溝141の曲がり部分に配置する例として説明したが、ガイドカム溝141の曲がり部分ではなく、第1溝141aおよび第2溝141bの中の溝縁に配置してもよい。
【0048】
さらに、
図5Cおよび
図5Dを参照して、更なる実施の形態について説明する。
図5Cはこの実施の形態のガイドカム溝141とカムフォロワー突起122とを示した図であって、第1溝141aにカムフォロワー突起122が位置している状態を示している。
図5Dは
図5Cのカムフォロワー突起122の状態をカムフォロワー突起に正対する方向から見た図である。
図5Aおよび
図5Bで説明した実施の形態では、保持爪146のみからなるロック機構として説明した。ここでは、保持爪146と、カムフォロワー突起122に配置される受容溝122aと、からなる。ガイドカム溝141と保持爪146は、前記のとおりである。受容溝122aは、カムフォロワー突起122のうち、ガイドカム溝141の溝縁に対向する部位に配置される溝であって、保持爪146を受容して保持爪146と係合することで、カムフォロワー突起122を所定の箇所に留め置くことができる溝である。保持爪146は第1溝141aと第2溝141bとの溝縁から溝の内部へと突出する突起形状であって、受容溝122aは第1溝141aと第2溝141bとの溝縁に対向する側のカムフォロワー突起122の周部に配置され、溝縁から離れる方向に溝深さを有する形状のカムフォロワー突起122が係合可能な窪み形状の溝である。
【0049】
すなわち、
図5Aおよび
図5Bを参照して説明をした実施の形態では、ロック機構はカムフォロワー突起122を保持爪146で隔絶される第1溝141aおよび第2溝141bの所定の区画の中に留め置くだけでなく、さらに、保持爪146が配置される箇所にカムフォロワー突起122を留め置くことが可能となる。そのため、この実施の形態では、保持爪146はガイドカム溝141の曲がり部分ではなく、第1溝141aおよび第2溝141bの内部に、保持爪146がカムフォロワー突起122の受容溝122aに受容された状態でも、カムフォロワー突起122が第1溝141aおよび第2溝141bの内部に確実に存在するような位置に、保持爪146とカムフォロワー突起122の受容溝122aとを配置する。
図5Cおよび
図5Dに示した例では、第1溝141aを画定する両側の溝縁と第2溝141bを画定する両側の溝縁とにそれぞれ保持爪146a,146cおよび保持爪146b,146dを配置する例を示しているが、保持爪146は第1溝141aと第2溝141bとを画定するそれぞれの両側の溝縁に配置する必要はなく、第1溝141aを画定する溝縁のいずれか一方および第2溝141bを画定する溝縁のいずれか一方に1個ずつ保持爪146を配置してもよい。
【0050】
続いて、
図5Aから
図5Dに示した実施の形態より、さらに強固に、カムフォロワー突起122を第1溝141aおよび第2溝141b内に留め置く実施の形態について、
図5Eを参照して説明する。
図5Eに示すガイド溝141の構成は
図5Aから
図5Dの実施の形態と同様であって、
図5Eもカムフォロワー122が第1溝141aの内部に位置している状態を示している。この実施の形態では、ガイドカム溝141は、遷移溝141cの方向から第1溝141aに向かって延在する保持爪146eと、遷移溝141cの方向から第2溝141bに向かって延在する保持爪146fとを備える。保持爪146eは弾力性を有して第1溝141aの溝縁に向かって屈曲可能であって、保持爪146eが屈曲した際には保持爪146eの先端側が第1溝141aの溝縁に配置される退避溝147a内に収納可能である。同様に、保持爪146fも弾力性を有して第2溝141bの溝縁に向かって屈曲可能であって、保持爪146fが屈曲した際には保持爪146fの先端側が第2溝141bの溝縁に配置される退避溝147b内に収納可能である。
【0051】
通常状態において、保持爪146eは、第1溝141aと遷移溝141cとの間に溝の幅を制限するように延在して第1溝141aと遷移溝141cとの間でカムフォロワー突起122の移動の障害となり、同様に、保持爪146fは、第2溝141bと遷移溝141cとの間に溝の幅を制限するように延在して第2溝141bと遷移溝141cとの間でカムフォロワー突起122の移動の障害となる。
【0052】
一方で、保持爪146eの先端側が退避溝147a内に、保持爪146fの先端側が退避溝147b内に収納された際には、第1溝141aと遷移溝141cとの間および第2溝141bと遷移溝141cとの間には保持爪146eと保持爪146fとはカムフォロワー突起122の移動の障害にはならず、カムフォロワー突起122は、第1溝141aと遷移溝141cとの間および第2溝141bと遷移溝141cとの間で移動可能である。
【0053】
したがって、カムフォロワー突起122は遷移溝141cから第1溝141a内には大きな負荷なく容易に収容され、カムフォロワー突起122が一旦第1溝141a内に収容されると第1溝141aから遷移溝141cへは自然に戻ることができない。
図5Eはこの状態を示している。同様に、カムフォロワー突起122も遷移溝141cから第2溝141b内には大きな負荷なく容易に収容され、カムフォロワー突起122が一旦第2溝141b内に収容されると第2溝141bから遷移溝141cへは自然に戻ることができない。
【0054】
カムフォロワー突起122が第1溝141a内または第2溝141bに収容された後は、保持爪146eを退避溝147aに、または保持爪146fを退避溝147bに、それぞれ屈曲させて、第1溝141aと遷移溝141cとの間または第2溝141bと遷移溝141cとの間の溝幅を確保するように連通させて、カムフォロワー突起122の移動を喚起する。この実施の形態のロック機構では、カムフォロワー突起122を第1溝141aおよび第2溝141b内に積極的に強固に留め置くことが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 バルブ
2 第1管
2a 第1管端部
2b 第1管端開口
21 第1流路
22,122 カムフォロワー突起
3 第2管
3a 第2管端部
3b 第2管終管部
3c 挿嵌部
3d 溝
3e 鍔部
31 保持窪み
32 第2流路
33 第2流路出口
34a,34b シール部材
35,36 保持突起
4 回転リング
41,141 ガイドカム溝
42,45 保持突起
43,44 保持窪み
122a 受容溝
146 保持爪
147 退避溝
5 流路隙間
D1 挿入長さ(閉鎖時)
D2 挿入長さ(開放時)