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特開2024-35769情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035769
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/14 20120101AFI20240307BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240307BHJP
【FI】
G06Q20/14
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022197120
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2022139746の分割
【原出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】513040384
【氏名又は名称】株式会社マネーフォワード
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】山内 健太
(72)【発明者】
【氏名】小林 真央
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L055AA32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】債権の債務者に対して督促行為を実行する場合又は督促行為を実行しない場合に債務者によって債権への支払いが行われるか予測を行う情報処理システム、プログラム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】クライアント装置の制御部が、予測対象の債権についての対象債権データを取得し、対象債権データを学習モデルに入力することで、予測対象の債権の債務者に対して、督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に債務者によって予測対象の債権への支払いが行われるかに関する予測を行う情報処理システムであって、学習モデルは、複数の債権のそれぞれについての説明変数データと、複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いがされたか又は督促行為を実行しなかった結果として支払いがされたかの結果を示す支払い有無結果を表す目的変数データと、を学習することによって得られた学習モデルである。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって
学習モデルを用いて、債権の債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に前記債務者によって前記債権への支払いが行われるかに関する予測を行う制御部を有し、
前記学習モデルは、複数の債権のそれぞれについての説明変数データと、前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いがされたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いがされたかの結果を示す支払い有無結果を表す目的変数データと、を学習することによって得られた学習モデルであり、
前記制御部は、
予測対象の債権についての対象債権データを取得し、
前記対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記債権の債務者に対して、督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に前記債務者によって予測対象の前記債権への支払いが行われるかに関する予測を行う、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、
複数の予測対象の債権についてのデータである複数の対象債権データを取得し、
前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する電話督促支払データを含み、
前記制御部は、
前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合に前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われなかったかに関する電話督促未払データを含み、
前記制御部は、
前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われない確率をそれぞれ出力する、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行しなかった場合に前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する自然支払データを含み、
前記制御部は、
前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しなくても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記目的変数データは、
支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する電話督促支払データと、
支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われなかったかに関する電話督促未払データと、
支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行しなかった場合に前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する自然支払データと、を含み、
前記制御部は、
前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、
予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合に前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率と、
予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われない確率と、
予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しなくても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率と、をそれぞれ出力する、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明変数データは、債務者への請求書に関するデータであって、請求金額のデータと、取引の対象となる商品または役務の内容のデータと、支払い期限のデータとを含む、
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明変数データは、学習される前記複数の債権のそれぞれについての売手の属性のデータと、前記売手の債権がどのように支払われていたかに関する取引実績のデータとの少なくとも一方を含む、
情報処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明変数データは、前記債務者の属性のデータと、前記債務者の取引の実績に関するデータとの少なくとも一方を含む、
情報処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記制御部は、
一定の時間間隔で前記予測を行い、
前記予測が行われるタイミングにおける予測対象の前記債権は、支払いの期日が過ぎた債権である、
情報処理システム。
【請求項11】
情報処理システムであって、
制御部を有し、
前記制御部は、
複数の債権のそれぞれについての説明変数データと、前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いが行われたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いが行われたかの結果を示す目的変数データと、を学習することにより学習モデルを取得する、
情報処理システム。
【請求項12】
プログラムであって、
コンピュータを、請求項1~11の何れか1つに記載の情報処理システムの前記制御部として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
請求項1~11の何れか1つに記載の情報処理システムの前記制御部が実行する各処理を備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、約定期日、約束期日、支払日に基づき債務者特性要因要素を決定し、以前の債務者特性要因要素の集合である累計債務者特性要因要素に加算し、加算した累計債務者特性要因要素に基づき債務者の特性に最も合致した顧客タイプを選択し、優先順位をつけて督促電話業務を出力しているので、顧客タイプに合致して電話業務をオペレータが実施することができ、効率的な督促業務を実行することができる技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-094998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には機械学習を用いて督促を効率化することは開示されていない。
【0005】
上記事情を鑑み、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムは、情報処理システムであって学習モデルを用いて、債権の債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に債務者によって債権への支払いが行われるかに関する予測を行う制御部を有する。学習モデルは、複数の債権のそれぞれについての説明変数データと、複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いがされたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いがされたかの結果を示す支払い有無結果を表す目的変数データと、を学習することによって得られた学習モデルである。制御部は、予測対象の債権についての対象債権データを取得する。対象債権データを学習モデルに入力することで、予測対象の債権の債務者に対して、督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に債務者によって予測対象の債権への支払いが行われるかに関する予測を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示におけるビジネスモデルの一例を説明する図である。
図2】本開示における債権の種類の一例を示す図である。
図3】実施形態1に係る情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図4】実施形態1に係るサーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】実施形態1に係るクライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】実施形態1に係る情報処理システム1によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティの一例を示す図である。
図7】実施形態1に係る学習モデル5に機械学習させる処理の一例を示す図である。
図8】実施形態1に係る説明変数データ40の一例を示す図である。
図9】実施形態1に係る学習済みの学習モデル7に予測させる処理の一例を示す図である。
図10】実施形態1に係る電話督促支払データテーブルT1の一例を示す図である。
図11】実施形態2に係る電話督促未払データテーブルT2の一例を示す図である。
図12】実施形態3に係る自然支払データテーブルT3の一例を示す図である。
図13】実施形態4に係る債権予測データテーブルT4の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
本実施形態では、図1に示すビジネスモデルにて債権の回収を行う例について説明する。図1は、本開示におけるビジネスモデルの一例を説明する図である。図1において、売手Xは、商品Pの売手である。債務者Yは、商品Pの買手である。債務者Yは、商品Pの支払いに関する債権の債務者である。代理者Zは、売手Xから債権を買い取り、商品Pの支払いに関する債権の回収を売手Xの代わりに行う。代理者Zは、商品Pの支払いに関する債権の債権者である。
【0010】
図1に示すビジネスモデルでは、まず、売手Xは、債務者Yに商品Pを掛けで販売する。商品Pを掛けで販売した売手Xは、商品Pの債権の回収の依頼を通知手段Nにより代理者Zに連絡する。売手Xから通知手段Nにより連絡を受けた代理者Zは、貸し倒れ等のリスクを考慮して、債権の審査を行う。審査を通過した債権について、代理者Zは、売手Xに商品Pの代金M1を支払う。ここで代金M1は、商品Pの売上額から代理者Zの手数料を差し引かれることがある。また、代理者Zは、債務者Yに商品Pの債権に関する支払いを請求手段Iにより請求する。請求手段Iにより請求を受けた債務者Yは、代金M2を代理者Zに支払う。以上がこのビジネスモデルの一連の流れである。このビジネスモデルは、ファクタリングともいう。なお、商品Pの代わりに、役務に関する取引が行われる場合についても同様である。
【0011】
いくつかの債務者Yは、期限内に債権に関する支払いを行わずに、支払いを遅延させている。代理者Zは、そのような債権の債務者Yに対して、メール、電話、訪問等により支払い督促を行なっている。
【0012】
本実施形態では、債権は、図2に示す種類に分類される。図2は、本開示における債権の種類の一例を示す図である。すなわち、債権は、支払い期限内に代金の支払いが行われる債権と、支払い期限内に代金の支払いが行われない債権とに少なくとも分類される。また、期限内に代金の支払いが行われない債権は、期限は超えるが自然に支払われる債権(以下クラスA)と、督促したら支払われる債権(以下クラスB)と、督促しても支払われない債権(以下クラスC)とに分類される。なお、クラスCに分類されるにあたって、督促しても支払われなかったかの判断については、既に督促しており、かつ、一定の期間が経過した場合に、督促しても支払われなかったものと判断されてもよい。代理者Zは、コスト、時間、人的資源等の観点から、電話や訪問をできるだけせずに、効率的に支払いの督促を行いたい。例えば、クラスAに該当するような債権に対しては、督促行為を実施する必要は高くないと考えられる一方で、クラスBに該当するような債権に対しては、督促行為を実施する意義は高いと考えられるからである。
【0013】
本実施形態では、ファクタリングにあたり、期限内に代金の支払いが行われない債権が、期限は超えるが自然に支払われる債権であるか、督促したら支払われる債権であるか、または督促しても支払われない債権かを合理的に予測する方法について説明する。
【0014】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント装置でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0015】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これらの情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0016】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0017】
[実施形態1]
1.情報処理システム1のシステム構成
まず、図3を参照しながら実施形態1の情報処理システム1のシステム構成について説明する。
【0018】
図3は、実施形態1に係る情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。図3が示すように、情報処理システム1は、サーバ装置2、クライアント装置3と、ネットワークNWとを含む。サーバ装置2は、ネットワークNWを介して、クライアント装置3と通信可能に構成される。これにより、サーバ装置2及びクライアント装置3は、相互に様々な情報を送信または受信することができる。なお、サーバ装置2及びクライアント装置3は、情報処理装置の一例であり、本実施形態に限定されるものではない。クライアント装置3は、PC(Personal Computer)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の何れであってもよい。なお、サーバ装置2及びクライアント装置3は、複数あってもよい。
【0019】
2.ハードウェア構成
次に、図4を参照しながら実施形態1に係るサーバ装置2のハードウェア構成を、図5を参照しながら実施形態1に係るクライアント装置3のハードウェア構成をそれぞれ説明する。
【0020】
2.1.サーバ装置2のハードウェア構成
図4は、実施形態1に係るサーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。図4に示されるように、サーバ装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを備え、これらの構成要素がサーバ装置2の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。サーバ装置2は、実施形態に係る処理を実行する。
【0021】
制御部21は、サーバ装置2に関連する全体動作の処理及び制御を行う。制御部21は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部21が、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出し、プログラムに基づき処理を実行することによって、サーバ装置2に係る種々の機能、例えば、後述する図6図13に示される処理が実現される。例えば、制御部21は、学習モデルを用いて、債権の債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に債務者によって債権への支払いが行われるかに関する予測を行う。なお、制御部21は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部21を有するように実施してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0022】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部21によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、制御部21によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム、変数及び制御部21がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶している。記憶部22は、記憶媒体の一例である。
【0023】
通信部23は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、LTE/3G/4G/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置2は、通信部23を介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0024】
2.2.クライアント装置3のハードウェア構成
図5は、実施形態1に係るクライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示されるように、クライアント装置3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35とを有し、これらの構成要素がクライアント装置3の内部において通信バスを介して電気的に接続されている。クライアント装置3は、実施形態に係る処理を実行する。クライアント装置3は、代理者Zに関連するユーザにより使用される。例えば、代理者Zが自然人である場合、クライアント装置3は、代理者Zにより使用される。また、代理者Zが法人である場合、クライアント装置3は、代理者Zの従業員、代理者Zの関連企業の従業員、代理者Zから業務委託を受けた者等により使用される。クライアント装置3の制御部31、記憶部32及び通信部33については、サーバ装置2の制御部21、記憶部22及び通信部23を参照されたい。
【0025】
入力部34は、クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部34は、出力部35と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することが可能である。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部34がユーザによってなされた操作に基づく入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バスを介して制御部31に転送され、制御部31が必要に応じて所定の制御または演算を実行しうる。
【0026】
出力部35は、クライアント装置3の表示部として機能することが可能である。出力部35は、例えば、クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。出力部35は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、クライアント装置3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0027】
3.情報処理システム1の情報処理
続いて、本実施形態の情報処理システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。
【0028】
なお、本明細書において、ネットワークNW、通信部23及び通信部33を介して送受信された種々のデータは、記憶部22及び記憶部32に記憶されるものとする。
【0029】
また、本明細書において、ネットワークNW、通信部23、通信部33及び入力部34に関連する情報処理を省略して記載することがある。例えば、制御部31がユーザによる入力部34への操作を介して所定の入力を受け付けることを、単に制御部31がユーザから所定の入力を受け付けると記載することがある。また、制御部21が通信部23とネットワークNWと通信部33とを介して、クライアント装置3との間で情報を送受信することを、単に制御部21がクライアント装置3に情報を送信する、または単に制御部21がクライアント装置3から情報を受信すると省略して記載することがある。制御部31が通信部33とネットワークNWと通信部23とを介して、サーバ装置2と情報を送受信する場合についても同様である。
【0030】
本明細書において、出力部35に情報を表示させる情報処理について、単に制御部31がある情報を出力部35に表示させるものとして、また、間接的には制御部21がある情報を出力部35に表示させるものとして省略して説明することがある。その場合例えば次に説明するような情報処理が実行されている。例えば、制御部31は、ユーザによる画面の状態を変化させる指示を受け付ける。制御部31は、その指示に基づいて表示情報を生成する。制御部31は、生成した表示情報に基づいて、出力部35への表示を制御する。また、他の例として、制御部31は、ユーザによる画面に情報を表示させるための指示をユーザから受け付ける。制御部31は、その指示をサーバ装置2に送信する。制御部21は、その指示をクライアント装置3から受信する。制御部21は、その指示に基づいて表示情報を生成する。制御部21は、生成した表示情報をクライアント装置3に送信する。制御部31は、生成した表示情報をサーバ装置2から受信する。制御部31は、生成した表示情報に基づいて、出力部35への表示を制御する。ここで表示情報とは、画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された情報そのものだけでなく、表示させるためのレンダリング情報を含む概念である。
【0031】
3.1 情報処理の概要
本節では、前述した情報処理システム1による、情報処理方法を説明する。図6は、実施形態1に係る情報処理システム1によって実行される情報処理の流れを示すアクティビティの一例を示す図である。図6では、A1~A6の処理が学習済みの学習モデル7の取得に関する処理であり、A7~A13の処理が学習済みの学習モデル7を使用した予測に関する処理である。
【0032】
まず、制御部31は、説明変数データ40と、目的変数データとを含む教師データ4a、4b、4cを取得する(A1)。例えば、制御部31は、図2に示す期限内に入金しない債務者の債権のデータを説明変数データ40として特定する。制御部31は、それぞれの説明変数データ40について、目的変数データの分類をユーザから受け付けることで、教師データ4a、4b、4cを取得する。
【0033】
続いて、制御部31は、ユーザから機械学習の開始の指示を受け付ける。ユーザから機械学習の開始の指示を受け付けた場合、制御部31は、教師データ4a、4b、4cと機械学習の指示とをサーバ装置2に送信する(A2)。
【0034】
続いて、制御部21は、教師データ4a、4b、4cと機械学習の指示とをクライアント装置3から受信する(A3)。
【0035】
続いて、制御部21は、教師データ4a、4b、4cを用いて、説明変数データ40を説明変数とし、目的変数データを目的変数として、学習モデル5に機械学習させる(A4)。その後、制御部21は、学習済みの学習モデル7を取得する。A4については、図7を用いて詳述する。
【0036】
続いて、制御部21は、学習済みの学習モデル7を取得した旨の通知をクライアント装置3に送信する(A5)。
【0037】
続いて、制御部31は、学習済みの学習モデル7を取得した旨の通知をサーバ装置2から受信する(A6)。その後、制御部31は、学習済みの学習モデル7を取得した旨の通知を出力部35に表示させる。例えば、制御部31は、「機械学習が完了し、学習モデルを取得しました」等の情報を出力部35に表示させる。
【0038】
以上A1~A6の処理が学習済みの学習モデル7の取得に関する処理である。なお、図6では、A1~A13の処理が一連の処理であるかのように説明しているが、情報処理システム1は、A1~A6の学習済みの学習モデル7の取得に関する処理と、A7~A13の学習済みの学習モデル7を使用した予測に関する処理とを、一連の処理ではないものとして異なるタイミングで実行してもよい。例えば、既に精度の高い学習済みのモデルを取得していた場合、学習させることで以前よりも精度の低い学習済みのモデルとなってしまう場合等に、情報処理システム1は、A1~A6の処理を省略して、A7~A13の処理のみを実行する。
【0039】
続いて、制御部31は、予測対象の債権についてのデータである対象債権データ6を取得する(A7)。制御部31は、学習済みの学習モデル7を用いた予測の指示をユーザから受け付ける。
【0040】
続いて、予測の指示をユーザから受け付けた場合、制御部31は、対象債権データ6と予測の指示とをサーバ装置2に送信する(A8)。
【0041】
続いて、制御部31は、対象債権データ6と予測の指示とクライアント装置3から受信する(A9)。
【0042】
続いて、制御部21は、対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力し、債務者に対する督促行為の有無によって、債権への支払いが行われるかに関する予測を行う(A10)。例えば、制御部21は、債務者に対する督促行為の有無によって、債権への支払いが行われるかの確率に関する予測を行う。その後、制御部21は、債務者に対する督促行為の有無によって、債権への支払いが行われるかに関する予測の結果に関する出力データ8を出力する。ある観点によると、制御部21は、予測対象の債権についての対象債権データ6を取得する。制御部21は、対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の債権の債務者に対して、督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に債務者によって予測対象の債権への支払いが行われるかに関する予測を行う。A10については、図8を用いて詳述する。なお、制御部21は、例えば月に1回などの一定の時間間隔で予測を実行してもよく、予測が行われるタイミングにおける予測対象の複数の債権は、全て支払いの期日が過ぎた債権であってもよい。
【0043】
続いて、制御部21は、予測の結果に関する出力データ8をクライアント装置3に送信する(A11)。
【0044】
続いて、制御部31は、予測の結果に関する出力データ8をサーバ装置2から受信する(A12)。
【0045】
最後に、制御部31は、予測の結果に関する出力データ8を出力部35に表示させる(A13)。出力データ8は、電話督促支払データテーブルT1を含んでもよい。A13については、図10を用いて詳述する。
【0046】
以上、本開示によれば、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することができる。また、特許文献1では、特許文献1の図8に示されるように、顧客が実際に期限内に支払ったか、顧客への督促として電話をかけた回数、などに基づいて、顧客の特性を決定及び分類している。従って、特許文献1では、新規の顧客は"まだわからない(初期段階)"という特性に分類されてしまう。
【0047】
また、特許文献1では、同一顧客による支払い行為や督促行為の履歴がたまっていかないと、信頼性のある分類とはならないと考えられる。また、本実施形態が対象とするファクタリングにおいて、売手Xと債務者Yが存在する請求書に関する督促を対象としており、特許文献1とはビジネスモデル上の違いも存在する。
【0048】
本開示によれば、機械学習によって得られた学習モデルを利用することにより、新規の債権(新規の債務者Yの債権、もしくは、売手Xと債務者Yとの新規ペアの債権)に対しても、督促の要否に関する予測をすることができる。さらに、本開示によれば、機械学習によって得られた学習モデルによって、精度及び信頼性の高い方法で督促の要否を判断する技術を提供することができる。
【0049】
また、機械学習を用いる処理を行うにあたって、複雑な情報処理を必要としないため、サーバ装置2及びクライアント装置3のキャッシュメモリの使用も少なくすることができる。また、キャッシュメモリの使用を少なくすることができる結果として、大掛かりな装置またはコンピュータ等を必要としないため、安価に情報処理を実行することができる。
【0050】
3.2 情報処理の詳細
次に、図7図10を用いて、上記概説した情報処理の詳細部分を説明する。まず、図7を用いて、図6のアクティビティA4の学習モデル5に機械学習させる処理の詳細について説明する。図7は、実施形態1に係る学習モデル5に機械学習させる処理の一例を示す図である。
【0051】
図7には、複数の教師データ4a、4b、4cと、学習モデル5と、が含まれる。教師データ4a、4b、4cは、図2に示す期限内に入金しない債務者の債権のデータから選定されるデータである。複数の教師データ4a、4b、4cは、任意のタイミングで、任意の期間のデータを対象に集計されて、教師データとして使用されるデータである。任意のタイミングは、例えば、毎月1日、毎週月曜日、前回の集計から50日後等のタイミングである。任意の期間は、例えば、直近の集計から30日の期間、直近の集計から1年の期間等の期間である。
【0052】
教師データ4aは、説明変数データ40と、自然支払データ41とを含む。説明変数データ40については、図8を用いて詳述する。自然支払データ41は、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行しなかった場合に債務者によって債権が支払われたかに関するデータである。自然支払データ41は、目的変数データの一例である。なお、電話の他にメール及び訪問等の督促行為が行われてもよく、その場合は、自然支払データ41の代わりに、督促自然支払データが使用される。督促自然支払データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して督促行為を実行しなかった場合に債務者によって債権が支払われたかに関するデータである。督促自然支払データは、目的変数データの一例である。
【0053】
教師データ4bは、説明変数データ40と、電話督促支払データ42とを含む。電話督促支払データ42は、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、債務者によって債権への支払いが行われたかに関するデータである。電話督促支払データ42は、目的変数データの一例である。なお、電話の他にメール及び訪問等の督促行為が行われてもよく、その場合は、電話督促支払データ42の代わりに、督促支払データが使用される。督促支払データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して督促行為を実行した場合に、債務者によって債権への支払いが行われたかに関するデータである。督促支払データは、目的変数データの一例である。
【0054】
ある教師データ4cは、説明変数データ40と、電話督促未払データ43とを含む。電話督促未払データ43は、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、債務者によって債権への支払いが行われなかったかに関するデータである。電話督促未払データ43は、目的変数データの一例である。なお、電話の他にメール及び訪問等の督促行為が行われてもよく、その場合は、電話督促未払データ43の代わりに、督促未払データが使用される。督促未払データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して督促行為を実行した場合に、債務者によって債権への支払いが行われなかったかに関するデータである。督促未払データは、目的変数データの一例である。
【0055】
また、例えば、教師データ4a、4b、4cは、次のように作成される。制御部31は、請求書に関連するデータから説明変数データ40を取得する。制御部31は、ある説明変数データ40に対して自然支払データ41に分類することをユーザから受け付けることで、教師データ4aを取得する。制御部31は、ある説明変数データ40に対して電話督促支払データ42に分類することをユーザから受け付けることで、教師データ4bを取得する。制御部31は、ある説明変数データ40に対して電話督促未払データ43に分類することをユーザから受け付けることで、教師データ4cを取得する。制御部31は、上記した説明変数データ40への分類を複数の説明変数データ40に対して行なうことで、複数の教師データ4a、4b、4cを取得する。なお、説明変数データ40の分類は、サーバ装置2により行われてもよい。
【0056】
学習モデル5は、機械学習に利用される学習モデルである。学習モデル5は、任意の機械学習の手法により学習を行なうことによって生成/更新される。任意の機械学習の手法は、分類問題を解ければよく、例えば、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、勾配ブースティング決定木、ニューラルネットワーク等の手法である。
【0057】
実施形態1において、制御部21は、説明変数データ40を説明変数として、電話督促支払データ42を目的変数として、任意の機械学習の手法により学習モデル5に学習させる。学習が終了した場合、制御部21は、学習済みの学習モデル7を取得する。ある観点によると、制御部21は、複数の債権のそれぞれについての説明変数データ40と、複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いがされたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いがされたかの結果を示す目的変数データと、を学習することにより学習済みの学習モデル7を取得する。
【0058】
次に、図8を用いて、機械学習における説明変数である説明変数データ40について説明する。図8は、実施形態1に係る説明変数データ40の一例を示す図である。説明変数データ40に関連する各データは、クラスA、クラスB及びクラスCと相関のある説明変数として使用される。なお、以下では制御部21が説明変数データ40に関連する各データを取得するものとして説明するが、制御部21の代わりに制御部31が取得してもよい。
【0059】
説明変数データ40は、債務者への請求書に関するデータである。説明変数データ40は、請求書から取得できるデータを用いて、任意の手法を用いることで特定可能なデータを含む。任意の手法は、データベースを参照する手法、スクレイピングにより取得する手法、ユーザの入力により取得する手法等が挙げられる。説明変数データ40は、債務者データ400と、売手データ401と、請求金額データ402と、代理者データ403と、請求日データ404と、支払期限データ405と、取引対象データ406と、を含んでもよい。
【0060】
債務者データ400と、売手データ401とについては、後述する。請求金額データ402は、請求金額のデータであり、例えば、「39,500円」等のデータである。代理者データ403は、代理者Zを特定するデータであり、代理者Zの名称、住所等のデータが含まれる。請求日データ404は、請求日に関するデータであり、例えば、「2020年10月30日」等のデータである。支払期限データ405は、支払いの期限に関するデータであり、例えば、「2020年11月30日」等のデータである。取引対象データ406は、取引の対象となる商品または役務の内容のデータであり、「商品A」等のデータである。
【0061】
債務者データ400は、債務者Yに紐づくデータであり、債務者Yの属性のデータと、債務者Yの取引の実績に関するデータとの少なくとも1つを含む。ここで、債務者Yの取引の実績に関するデータは、債務者実績データと省略して称される。なお、債務者データ400に紐づいて取得可能なデータは、債務者データ400に含まれるものとする。
【0062】
債務者Yの属性のデータは、例えば、次の方法により取得される。制御部21は、債務者データ400から債務者Yの名称のデータと、債務者Yの住所のデータとを取得する。制御部21は、債務者Yの名称のデータと、債務者Yの住所のデータとに基づいて債務者Yを特定する。特定した債務者Yが法人である場合、制御部21は、上記した任意の手法により、その債務者Yの資本金、従業員数、業種、設立からの経過時間、上場の有無、法人番号の有無等に関するデータを、債務者Yの属性のデータとして取得する。例えば、予測対象の債権の債務者の属性として、債務者が上場企業である場合には、過去のデータに含まれる上場企業である他の債務者と同じような支払いをする可能性が高いと考えることができる。
【0063】
制御部21は、債務者データ400と、請求金額データ402と、代理者データ403と、請求日データ404と、支払期限データ405と、取引対象データ406とのうち少なくとも1つに基づいて特定した債務者Yについて、過去に処理された債務者Yに紐づく債権から、任意の債務者実績データを取得する。例えば、金額に関連する債務者実績データを取得する場合、制御部21は、債務者データ400と、請求金額データ402とに基づいて、金額に関連する債務者実績データを取得する。例えば、代理者Zに関連する債務者実績データを取得する場合、制御部21は、債務者データ400と、代理者データ403とに基づいて、代理者Zに関連する債務者実績データを取得する。例えば、期間に関連する債務者実績データを取得する場合、制御部21は、債務者データ400と、請求日データ404または支払期限データ405とに基づいて、期間に関連する債務者実績データを取得する。例えば、取引対象に関連する債務者実績データを取得する場合、制御部21は、債務者データ400と、取引対象データ406とに基づいて、取引対象に関連する債務者実績データを取得する。
【0064】
債務者実績データは、例えば、債務者Yに紐づく過去に処理された債権について、請求日の日付と支払い期限との間の日数に関するデータと、支払いの期日から支払われるまでにどのくらい遅延したのかに関するデータと、督促を行ってから支払われるまでにどのくらい遅延したのかに関するデータとを含んでもよい。
債務者実績データは、例えば、債務者Yに紐づく過去に処理された債権について、督促せずに支払われた債権の件数と、督促することで支払われた債権の件数と、督促したが支払われなかった債権の件数(未入金の件数)との少なくとも1つのデータを含んでもよい。例えば、通常は、期日内に支払った過去の実績が多い債務者は、今後も期日内に支払う可能性が高いと考えられる。また、過去の実績として、期日を過ぎるが督促をせずに支払った実績が多い債務者や、督促をした結果として支払実績が多い債務者は、今後も同じような支払いをする可能性が高いと考えられる。
債務者実績データは、例えば、債務者Yに紐づく過去に処理された債権について、取引の対象となった商品または役務の内容のデータを含んでもよい。
債務者実績データは、例えば、債務者Y自身に累計で何回の督促を行ったかのデータと、債務者Yに紐づく過去に処理された債権毎に累計で何回の督促を行ったかのデータを含んでもよい。
債務者実績データは、例えば、債務者Yに紐づく過去に処理された債権について、督促を行ったことで支払われたかのデータを含んでもよい。
債務者実績データは、例えば、債務者Yに紐づく過去に処理された債権について、請求書を、電子メールにより債務者Yに送信したか、または郵送により債務者Yに送信したかのデータを含んでもよい。例えば、請求書を郵送により送信した債務者Yは、請求書の現物があるため、請求書の存在を比較的認知しやすい状態である。それにもかかわらず、請求書を郵送により送信した債務者Yは、支払いを行っていないこととなるため、クラスCに分類される可能性が高くなることがある。
債務者実績データは、例えば、直近の一定期間内における、債務者Yに紐づく過去に処理された債権についてのデータを含んでもよい。直近の一定期間内は、対象債権の予測を行う時点から起算して1年以内、1ヶ月以内、1週間以内等であってもよい。
【0065】
売手データ401は、売手Xに紐づくデータであり、学習される前記複数の債権のそれぞれについての売手Xの属性のデータと、売手Xの債権がどのように支払われていたかに関する取引実績のデータとの少なくとも一方を含む。ここで売手Xの債権がどのように支払われていたかに関する取引実績のデータは、売手実績データと省略して称される。なお、売手データ401に紐づいて取得可能なデータは、売手データ401に含まれるものとする。
【0066】
学習される前記複数の債権のそれぞれについての売手Xの属性のデータは、例えば、次の方法により取得される。制御部21は、売手データ401から売手Xの名称のデータと、売手Xの住所のデータとを取得する。制御部21は、売手Xの名称のデータと、売手Xの住所のデータとに基づいて売手Xを特定する。特定した売手Xが法人である場合、制御部21は、上記した任意の手法により、その売手Xの資本金、従業員数、業種、設立からの経過時間、上場の有無、法人番号の有無等に関するデータを、債務者Yの属性のデータとして取得する。
【0067】
制御部21は、売手データ401と、請求金額データ402と、代理者データ403と、請求日データ404と、支払期限データ405と、取引対象データ406とのうち少なくとも1つに基づいて特定した売手Xについて、過去に処理された売手Xに紐づく債権から、任意の売手実績データを取得する。例えば、金額に関連する売手実績データを取得する場合、制御部21は、売手データ401と、請求金額データ402とに基づいて、金額に関連する売手実績データを取得する。例えば、代理者Zに関連する売手実績データを取得する場合、制御部21は、売手データ401と、代理者データ403とに基づいて、代理者Zに関連する売手実績データを取得する。例えば、期間に関連する売手実績データを取得する場合、制御部21は、売手データ401と、請求日データ404または支払期限データ405とに基づいて、期間に関連する売手実績データを取得する。例えば、取引対象に関連する売手実績データを取得する場合、制御部21は、売手データ401と、取引対象データ406とに基づいて、取引対象に関連する売手実績データを取得する。
【0068】
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、請求日の日付と支払い期限との間の日数に関するデータと、支払いの期日から支払われるまでにどのくらい遅延したのかに関するデータと、督促を行ってから支払われるまでにどのくらい遅延したのかに関するデータとを含んでもよい。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、督促せずに支払われた債権の件数と、督促することで支払われた債権の件数と、督促したが支払われなかった債権の件数(未入金の件数)との少なくとも1つのデータを含んでもよい。例えば、督促したが支払われなかった債権に紐づく債務者は、クラスCとの相関性が高くなる。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、取引の対象となった商品または役務の内容のデータを含んでもよい。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、売手Xに紐づく債務者Yに累計で何回の督促を行ったかのデータと、売手Xに紐づく過去に処理された債権毎に累計で何回の督促を行ったかのデータを含んでもよい。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、督促を行ったことで支払われたかのデータを含んでもよい。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、売手Xの売上の平均金額のデータを含んでもよい。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、売手Xに紐づく債務者の傾向のデータを含んでもよい。債務者の傾向のデータは、例えば、売手Xと取引のある債務者には、飲食業の債務者が多く含まれる等のデータである。
売手実績データは、例えば、売手Xに紐づく過去に処理された債権について、売手Xの代理者Zに対しての実績のデータを含んでもよい。売手Xの代理者Zに対しての実績のデータは、例えば、代理者Zが売手Xを代理することで、代理者Zにどれだけ売上が出ていたかに関するデータを含む。
売手実績データは、例えば、直近の一定期間内における、過去に処理された売手Xに紐づく債権についてのデータを含んでもよい。直近の一定期間内は、対象債権の予測を行う時点から起算して1年以内、1ヶ月以内、1週間以内等であってもよい。
【0069】
説明変数データ40は、ファクタリングにおける債権の審査の時点での、債務者Yの属性のデータと、債務者Yの取引の実績に関するデータと、学習される前記複数の債権のそれぞれについての売手Xの属性のデータと、売手Xの債権がどのように支払われていたかに関する取引実績のデータとを含んでもよい。また、ファクタリングにおける債権の審査では、債務者Yの属性のデータと、債務者Yの取引の実績に関するデータと、学習される前記複数の債権のそれぞれについての売手Xの属性のデータと、売手Xの債権がどのように支払われていたかに関する取引実績のデータとに基づいて、債権の審査が行われる。説明変数データ40は、この債権の審査の結果を含んでもよい。なお、ファクタリングにおける審査の時点のデータ以外の説明変数データ40については、学習の実行の時点を基準として取得可能なデータを基本的に用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0070】
次に、図9を用いて、図6のアクティビティA10の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力し、出力データ8を出力する処理の詳細について説明する。図9は、実施形態1に係る学習済みの学習モデル7に予測させる処理の一例を示す図である。
【0071】
図9には、対象債権データ6と、学習済みの学習モデル7と、出力データ8とが含まれる。対象債権データ6は、債権への支払いが行われるかの予測の対象となる債権に関するデータである。学習済みの学習モデル7は、複数の債権のそれぞれについての説明変数データ40と、複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いがされたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いがされたかの結果を示す目的変数データと、を学習することによって得られる学習モデルである。出力データ8は、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合にそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われる確率を示すデータである。出力データ8は、テーブル形式の電話督促支払データテーブルT1であってもよい。電話督促支払データテーブルT1については、図10を用いて詳述する。
【0072】
制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、出力データ8を出力する。ある観点によると、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合にそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する。なお、電話の他にメール及び訪問等の督促行為が行われる確率を出力する場合、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行する場合にそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する。
【0073】
また、制御部21は、所定のタイミングにおいて、出力データ8を出力してもよい。所定のタイミングは、毎日、月の初め、毎週月曜日等としてもよく、ユーザが任意に設定することができるタイミングである。ある観点によると、制御部21は、所定のタイミングにおいて、対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の債権の債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に債務者によって予測対象の債権が支払われるかに関する予測を行う。また、制御部21は、一定の時間間隔で予測を行う。このとき、予測が行われるタイミングにおける予測対象の債権は、支払いの期日が過ぎた債権である。
【0074】
次に、図10を用いて、図6のアクティビティA13の出力される電話督促支払データテーブルT1の詳細について説明する。図10は、実施形態1に係る電話督促支払データテーブルT1の一例を示す図である。
【0075】
電話督促支払データテーブルT1は、債権のデータと、その債権の債務者がクラスBに該当するかの確率とを示すテーブル形式のデータである。電話督促支払データテーブルT1は、代理者Zに関連するユーザにより参照される。クライアント装置3を使用するユーザは、電話督促支払データテーブルT1を参照した上で、督促の業務を行う。電話督促支払データテーブルT1は、債権IDデータT10と、売手データT11と、債務者データT12と、債務額データT13と、未払額データT14と、支払日データT15と、支払期限データT16と、クラスBの確率データT17とが含まれる。
【0076】
債権IDデータT10は、債権を特定するIDのデータであり、「100001」等のデータである。売手データT11は、売手Xの法人または自然人の名称のデータであり、「株式会社りんご販売」等のデータである。債務者データT12は、債務者Yの法人または自然人の名称のデータであり、「財閥株式会社」等のデータである。債務額データT13は、債権について支払う必要のある金額のデータであり、「264,000円」、「1,465,000円」等のデータである。
【0077】
未払額データT14は、債権について未払いの金額のデータであり、「264,000円」等のデータである。支払いが行われた債権に関する未払額データT14には、「0」が与えられる。支払いの一部が行われた債権に関する未払額データT14には、残りの未払いの金額が与えられてもよい。例えば、債権IDデータT10が「100003」の債権について、700,000円のみの支払いが行われたものとする。その場合の債務額データT13は、「1,465,000円」となり、未払額データT14は、「765,000円」となる。支払日データT15は、支払い日のデータであり、「2022/12/15」等のデータである。支払いが行われていない債権に関する支払日データT15には、「None」が与えられる。支払期限データT16は、支払いの期限のデータであり、「2022/11/30」等のデータである。クラスBの確率データT17は、債務者がクラスBである確率を示すデータである。
【0078】
以上によれば、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することができる。また、督促により支払いが行われる可能性が高い債権に対して、人的資源を効率的に分配することができる。
【0079】
続いて、実施形態2~4について、説明する。実施形態2~4では、様々な目的変数データを用いて、クラスA、クラスB、クラスCに関する予測を行う他の例について説明する。ある観点によると、制御部21は、複数の予測対象の債権についてのデータである複数の対象債権データ6を取得する。制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、図11図13に示すような、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合にそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する。
【0080】
[実施形態2]
実施形態2では、督促しても支払われない債権(クラスC)であるかを予測する場合について説明する。実施形態2のシステム構成は、実施形態1のシステム構成と同様である。実施形態2のサーバ装置及びクライアント装置のハードウェア構成は、実施形態1のサーバ装置2及びクライアント装置3のハードウェア構成と同様である。実施形態2の情報処理については、実施形態1と略同様であり、実施形態1と異なる点を以下で説明する。
【0081】
実施形態2において、制御部21は、説明変数データ40を説明変数として、電話督促未払データ43を目的変数として、任意の機械学習の手法により学習モデル5に学習させる。
【0082】
実施形態2の制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、図11に示す電話督促未払データテーブルT2を含む出力データ8を出力する。ある観点によると、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行してもそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われない確率をそれぞれ出力する。なお、電話の他にメール及び訪問等の督促行為が行われる確率を出力する場合、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行してもそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われない確率をそれぞれ出力する。
【0083】
図11は、実施形態2に係る電話督促未払データテーブルT2の一例を示す図である。電話督促未払データテーブルT2は、債権のデータと、その債権の債務者がクラスCに該当するかの確率とを示すテーブル形式のデータである。電話督促未払データテーブルT2は、電話督促支払データテーブルT1と比較して、クラスBの確率データT17を有さない代わりに、クラスCの確率データT20を有する。クラスCの確率データT20は、債務者がクラスCである確率を示すデータである。
【0084】
これにより、督促しても支払いが行われない可能性が高い債権に対して、特別な対応を早急に取る等のことが可能となり、債権への支払いの確率を高めることができる。
【0085】
[実施形態3]
実施形態3では、期限は超えるが自然に支払われる債権(クラスA)であるかを予測する場合について説明する。実施形態3のシステム構成は、実施形態1のシステム構成と同様である。実施形態3のサーバ装置及びクライアント装置のハードウェア構成は、実施形態1のサーバ装置2及びクライアント装置の3ハードウェア構成と同様である。実施形態3の情報処理については、実施形態1と略同様であり、実施形態1と異なる点を以下で説明する。
【0086】
実施形態3において、制御部21は、説明変数データ40を説明変数として、自然支払データ41を目的変数として、任意の機械学習の手法により学習モデル5に学習させる。
【0087】
実施形態3の制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、図12に示す自然支払データテーブルT3を含む出力データ8を出力する。ある観点によると、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しなくてもそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権が支払われる確率をそれぞれ出力する。なお、電話の他にメール及び訪問等の督促行為が行われる確率を出力する場合、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行しなくてもそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権が支払われる確率をそれぞれ出力する。
【0088】
図12は、実施形態3に係る自然支払データテーブルT3の一例を示す図である。自然支払データテーブルT3は、債権のデータと、その債権がクラスAに該当するかの確率とを示すテーブル形式のデータである。自然支払データテーブルT3は、電話督促支払データテーブルT1と比較して、クラスBの確率データT17を有さない代わりに、クラスAの確率データT30を有する。クラスAの確率データT30は、債権がクラスAであるかの確率を示すデータである。
【0089】
これにより、督促をしなくても支払いが行われる可能性が高い債権に対して、督促を行わないという選択肢をとり、人的資源を効率的に活用することができる。
【0090】
上記の実施形態1~3では、クラスA~Cのそれぞれの確率に基づいて、制御部21は、クラスA~Cであるかの判定の結果を出力してもよい。例えば、実施形態3において、制御部21は、クラスAの確率が50%以上の場合は、「クラスAと予測」等のデータを出力し、クラスAの確率が50%未満の場合は、「クラスAではないと予測」等のデータを出力してもよい。
【0091】
[実施形態4]
実施形態4では、債権がクラスAとクラスBとクラスCとの何れであるかを予測する場合について説明する。実施形態4のシステム構成は、実施形態1のシステム構成と同様である。実施形態4のサーバ装置及びクライアント装置のハードウェア構成は、実施形態1のサーバ装置2及びクライアント装置3のハードウェア構成と同様である。実施形態4の情報処理については、実施形態1と略同様であり、実施形態1と異なる点を以下で説明する。
【0092】
実施形態3において、制御部21は、説明変数データ40を説明変数として、自然支払データ41、電話督促支払データ42及び電話督促未払データ43を目的変数として、任意の機械学習の手法により学習モデル5に学習させる。
【0093】
実施形態4の制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、図13に示す債権予測データテーブルT4を含む出力データ8を出力する。債権予測データテーブルT4は、債権のデータと、その債権がクラスA、クラスB及びクラスCの何れに該当するかの確率とを示すテーブル形式のデータである。ある観点によると、制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力する。制御部21は、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合にそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われる確率と、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行してもそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われない確率と、予測対象の複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しなくてもそれぞれの債務者によって予測対象の複数の債権への支払いが行われる確率と、をそれぞれ出力する。
【0094】
図13は、実施形態4に係る債権予測データテーブルT4の一例を示す図である。自然支払データテーブルT3は、電話督促支払データテーブルT1と比較して、クラスBの確率データT17を有さない代わりに、クラスAの相対確率データT40と、クラスBの相対確率データT41と、クラスCの相対確率データT42とを有する。
【0095】
クラスAの相対確率データT40は、債権が相対的にクラスAである確率を示すデータである。クラスBの相対確率データT41は、債権が相対的にクラスBである確率を示すデータである。クラスCの相対確率データT42は、債権が相対的にクラスCである確率を示すデータである。それぞれの相対確率データT40、T41、T42は、相対的であるため、ある債権について、クラスAとクラスBとクラスCとのそれぞれの確率を足し合わせると100%となる。例えば、債権IDが「100001」の債権について、クラスAの相対確率データT40の「0.30」と、クラスBの相対確率データT41の「0.50」と、クラスCの相対確率データT42の「0.20」とを足し合わせると「1」となる。
【0096】
これにより、督促をしなくても支払いが行われる可能性が高い債権に対して、督促を行わないという選択肢をとり、人的資源を効率的に活用することができる。また、督促により支払いが行われる可能性が高い債権に対して、人的資源を効率的に分配することができる。さらに、督促しても支払いが行われない可能性が高い債権に対して、特別な対応を早急に取る等のことが可能となり、債権への支払いの確率を高めることができる。
【0097】
図10図13に示されるようなリストは、支払期限である「2022/11/30」の後である「2022/12/1」に出力される。このようにすることで、既に支払い済みの請求書についてのデータがリストアップされることを防止することができる。すなわち、複数の予測対象の債権は、支払期日を過ぎたもののみであってもよい。また、図10図13に示されるようなリストは、確率の高い順や低い順に並べ替えることが可能である。図10図13に示されるようなリストは、例えば、電話による督促業務を行うオペレータが業務で用いる画面に表示され、オペレータはリストを見ながら、電話による督促業務の優先順位を検討することができる。
【0098】
なお、図10図13の確率は、例示的に入れている数値であって、本開示のモデルによって得られる実際の値ではない点に留意されたい。図10図13に示される確率以外のデータについても同じく例示的なデータである点に留意されたい。
【0099】
[実施形態5]
実施形態5では、全ての情報処理を1台のコンピュータで実行する場合について説明する。
【0100】
実施形態5の情報処理システムは、実施形態1と比較して、サーバ装置及びネットワークを有さず、クライアント装置のみで構成される。ある観点によると、情報処理システムに例示されるシステムとは、1つまたはそれ以上の装置または構成要素からなるものである。従って、サーバ装置単体またはクライアント装置は、単体であっても情報処理システムに例示されるシステムに含まれる。なお、実施形態5のクライアント装置の各ハードウェア構成については、実施形態1のクライアント装置3の構成と同様である。
【0101】
実施形態5では、実施形態1と比較して、サーバ装置とクライアント装置との間での情報の送受信が行われず、全ての処理がクライアント装置で行われる。例えば、実施形態5の情報処理システムは、図6のA2~A3、A5~A6、A8~A9、A11~A12における情報の送受信の処理を実行しない。実施形態5のクライアント装置は、図6の情報の送受信の処理以外の情報処理を実行する。
【0102】
これにより、ネットワークに接続しなくても、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することができる。
【0103】
[実施形態6]
実施形態6では、学習済みの学習モデル7の取得または学習済みの学習モデル7を使用した予測の何れかの情報処理をクライアント装置で実行する場合について説明する。実施形態6のシステム構成は、実施形態1のシステム構成と同様である。実施形態6のサーバ装置及びクライアント装置のハードウェア構成は、実施形態1のサーバ装置及びクライアント装置のハードウェア構成と同様である。
【0104】
実施形態6では、A1~A6の学習済みの学習モデル7の取得に関する処理をクライアント装置のみで実行してもよい。すなわち、実施形態6の情報処理システムは、図6のA2~A3、A5~A6における情報の送受信の処理を実行しない。実施形態6のクライアント装置は、図6のA1~A6における情報の送受信の処理以外の情報処理を実行する。この場合、制御部31は、学習済みの学習モデル7をサーバ装置2にアップロードする。
【0105】
また、実施形態6では、A7~A13の学習済みの学習モデル7を使用した予測に関する処理をクライアント装置のみで実行してもよい。すなわち、実施形態6の情報処理システムは、図6のA8~A9、A11~A12における情報の送受信の処理を実行しない。実施形態6のクライアント装置は、図6におけるA7~A13の情報の送受信の処理以外の情報処理を実行する。この場合、制御部31は、学習済みの学習モデル7をサーバ装置2からダウンロードする。
【0106】
これにより、様々な情報処理システムの形態にて、情報処理を実行することができる。
【0107】
[その他]
図2において、期限内に代金の支払いが行われない債権は、期限は超えるが自然に支払われる債権(クラスA)と、督促したら支払われる債権(クラスB)と、督促しても支払われない債権(クラスC)との何れかに分類されるものとして説明したが、さらにクラスA、クラスB及びクラスCの何れにも分類されないクラスDに分類されてもよい。また、クラスDに分類される場合、それを機械学習してもよい。なお、クラスDは、例えば、督促も入金もされてない債権である。
【0108】
目的変数データは、債権がクラスDに該当するかに関するデータを含む。制御部21は、複数の対象債権データ6を学習済みの学習モデル7に入力することで、予測対象の複数の債権のそれぞれの債権に対してクラスDに該当するかの確率をそれぞれ出力する。
【0109】
また、実施形態では、クラスA~Cの確率を出力するものとして説明したが、変形例では、予測される支払いの日を出力してもよい。その場合、制御部21は、支払い期限と、実際に支払いがされた日付と、の日数の間隔を目的変数として使用することにより、学習済みのモデルを取得する。その場合、制御部21は、実施形態1にて説明した説明変数の他に、クラスA~Cの何れに分類されたかのデータを説明変数として使用してもよい。
【0110】
また、実施形態では、債権は、請求書であるものとして説明したが、代金の支払いを求めるものであればよく、契約書、勘定書、インボイス、伝票等の形態であってもよい。
【0111】
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、コンピュータを、情報処理システム1の制御部31として機能させるプログラムであってもよい。また、情報処理システム1が実行する情報処理方法であってもよい。
【0112】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0113】
(1)情報処理システムであって学習モデルを用いて、債権の債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に前記債務者によって前記債権への支払いが行われるかに関する予測を行う制御部を有し、前記学習モデルは、複数の債権のそれぞれについての説明変数データと、前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いがされたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いがされたかの結果を示す支払い有無結果を表す目的変数データと、を学習することによって得られた学習モデルであり、前記制御部は、予測対象の債権についての対象債権データを取得し、前記対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記債権の債務者に対して、督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に前記債務者によって予測対象の前記債権への支払いが行われるかに関する予測を行う、情報処理システム。
【0114】
このような構成によれば、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することができる。
【0115】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記制御部は、複数の予測対象の債権についてのデータである複数の対象債権データを取得し、前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行する場合または督促行為を実行しない場合に前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する、情報処理システム。
【0116】
このような構成によれば、複数の債権に対して、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することができる。
【0117】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する電話督促支払データを含み、前記制御部は、前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合に前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する、情報処理システム。
【0118】
このような構成によれば、督促により支払いが行われる可能性が高い債権に対して、人的資源を効率的に分配することができる。
【0119】
(4)上記(2)~(3)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われなかったかに関する電話督促未払データを含み、前記制御部は、前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われない確率をそれぞれ出力する、情報処理システム。
【0120】
このような構成によれば、督促しても支払いが行われない可能性が高い債権に対して、特別な対応を早急に取る等のことが可能となり、債権への支払いの確率を高めることができる。
【0121】
(5)上記(2)~(4)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行しなかった場合に前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する自然支払データを含み、前記制御部は、前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しなくても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率をそれぞれ出力する、情報処理システム。
【0122】
このような構成によれば、督促をしなくても支払いが行われる可能性が高い債権に対して、督促を行わないという選択肢をとり、人的資源を効率的に活用することができる。
【0123】
(6)上記(2)~(5)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記目的変数データは、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する電話督促支払データと、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行した場合に、前記債務者によって前記債権への支払いが行われなかったかに関する電話督促未払データと、支払いの期限を過ぎた後に債務者に対して電話による督促行為を実行しなかった場合に前記債務者によって前記債権への支払いが行われたかに関する自然支払データと、を含み、前記制御部は、前記複数の対象債権データを前記学習モデルに入力することで、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行する場合に前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率と、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われない確率と、予測対象の前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して電話による督促行為を実行しなくても前記それぞれの債務者によって予測対象の前記複数の債権への支払いが行われる確率と、をそれぞれ出力する、情報処理システム。
【0124】
このような構成によれば、督促をしなくても支払いが行われる可能性が高い債権に対して、督促を行わないという選択肢をとり、人的資源を効率的に活用することができる。また、督促により支払いが行われる可能性が高い債権に対して、人的資源を効率的に分配することができる。さらに、督促しても支払いが行われない可能性が高い債権に対して、特別な対応を早急に取る等のことが可能となり、債権への支払いの確率を高めることができる。
【0125】
(7)上記(1)~(6)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記説明変数データは、債務者への請求書に関するデータであって、請求金額のデータと、取引の対象となる商品または役務の内容のデータと、支払い期限のデータとを含む、情報処理システム。
【0126】
このような構成によれば、請求書に関するデータを用いるため、どのような債務者であるかを高い精度で予測することができる。
【0127】
(8)上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記説明変数データは、学習される前記複数の債権のそれぞれについての売手の属性のデータと、前記売手の債権がどのように支払われていたかに関する取引実績のデータとの少なくとも一方を含む、情報処理システム。
【0128】
このような構成によれば、未入金件数に関するデータを用いるため、どのような債務者であるかを高い精度で予測することができる。
【0129】
(9)上記(1)~(8)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記説明変数データは、前記債務者の属性のデータと、前記債務者の取引の実績に関するデータとの少なくとも一方を含む、情報処理システム。
【0130】
このような構成によれば、審査に関するデータを用いるため、どのような債務者であるかを高い精度で予測することができる。
【0131】
(10)上記(1)~(9)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記制御部は、一定の時間間隔で前記予測を行い、前記予測が行われるタイミングにおける予測対象の前記債権は、支払いの期日が過ぎた債権である、情報処理システム。
【0132】
このような構成によれば、ユーザは所定のタイミングにおいて、予測の結果を利用することができる。
【0133】
(11)情報処理システムであって、制御部を有し、前記制御部は、複数の債権のそれぞれについての説明変数データと、前記複数の債権のそれぞれの債務者に対して督促行為を実行した結果として支払いが行われたかまたは督促行為を実行しなかった結果として支払いが行われたかの結果を示す目的変数データと、を学習することにより学習モデルを取得する、情報処理システム。
【0134】
このような構成によれば、機械学習を用いて督促を効率化する技術を提供することができる。
【0135】
(12)プログラムであって、コンピュータを、上記(1)~(11)の何れか1つに記載の情報処理システムの前記制御部として機能させるためのプログラム。
【0136】
(13)情報処理システムが実行する情報処理方法であって、上記(1)~(11)の何れか1つに記載の情報処理システムの前記制御部が実行する各処理を備える、情報処理方法。
もちろん、この限りではない。
【0137】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
1 :情報処理システム
2 :サーバ装置
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
3 :クライアント装置
31 :制御部
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
4a :教師データ
4b :教師データ
4c :教師データ
40 :説明変数データ
41 :自然支払データ
42 :電話督促支払データ
43 :電話督促未払データ
400 :債務者データ
401 :売手データ
402 :請求金額データ
403 :代理者データ
404 :請求日データ
405 :支払期限データ
406 :取引対象データ
5 :学習モデル
6 :対象債権データ
7 :学習モデル
8 :出力データ
I :請求手段
M1 :代金
M2 :代金
N :通知手段
NW :ネットワーク
P :商品
T1 :電話督促支払データテーブル
T10 :取引IDデータ
T11 :売手データ
T12 :債務者データ
T13 :債務額データ
T14 :未払額データ
T15 :支払日データ
T16 :支払期限データ
T17 :確率データ
T2 :電話督促未払データテーブル
T20 :確率データ
T3 :自然支払データテーブル
T30 :確率データ
T4 :債務者予測データテーブル
T40 :相対確率データ
T41 :相対確率データ
T42 :相対確率データ
X :売手
Y :債務者
Z :代理者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13