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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035786
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/21 20190101AFI20240307BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240307BHJP
【FI】
G06F16/21
G06T19/00 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076604
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2022554250の分割
【原出願日】2022-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】316014722
【氏名又は名称】株式会社VRC
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 英弟
(72)【発明者】
【氏名】張 彦鵬
(72)【発明者】
【氏名】劉 雨佳
(72)【発明者】
【氏名】許 夢▲セン▼
(72)【発明者】
【氏名】井口 道久
【テーマコード(参考)】
5B050
5B175
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA08
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA09
5B050EA27
5B050FA05
5B050FA08
5B175CA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の仮想空間において情報を共有するための情報処理システムを提供する。
【解決手段】3Dデータシステムにおいて、サーバ10は、複数のユーザ及び複数の仮想空間の各々について、他の複数のサーバから当該仮想空間における当該ユーザの位置を示す仮想位置情報及び現実の時刻情報を含む行動履歴を取得する取得手段12と、ユーザの識別情報、仮想位置情報及び時刻情報をデータベースに記憶する記憶手段11と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ及び複数の仮想空間の各々について、当該仮想空間における当該ユーザの位置を示す仮想位置情報、及び現実の時刻情報を取得する取得手段と、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、及び前記時刻情報をデータベースに記憶する記憶手段とを有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間の情報を共有する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるメタバースと言われる仮想空間技術が知られている。例えば特許文献1は、いわゆるXR(eXtended Reality)技術を用いた仮想空間の画像をユーザに提供する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7097125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術において複数の仮想空間において情報を共有することができなかった。
【0005】
これに対し本発明は、複数の仮想空間において情報を共有する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、複数のユーザ及び複数の仮想空間の各々について、当該仮想空間における当該ユーザの位置を示す仮想位置情報、及び現実の時刻情報を取得する取得手段と、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、及び前記時刻情報をデータベースに記憶する記憶手段とを有する情報処理システムを提供する。
【0007】
前記取得手段が、前記仮想空間における前記ユーザの状態を示す状態情報を取得し、前記記憶手段が、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、前記時刻情報、及び前記状態情報をデータベースに記憶してもよい。
【0008】
前記取得手段が、前記仮想空間における前記ユーザの行動を示す行動情報を取得し、前記記憶手段が、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、前記時刻情報、及び前記行動情報をデータベースに記憶してもよい。
【0009】
前記行動情報が、前記仮想空間において定義された行動を示してもよい。
【0010】
前記取得手段が、前記現実における前記ユーザの位置を示す現実位置情報を取得し、前記記憶手段が、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、前記時刻情報、及び前記現実位置情報をデータベースに記憶してもよい。
【0011】
前記仮想空間が階層化されており、前記仮想位置情報が、前記仮想空間において当該ユーザがいた階層及び当該階層における位置を示してもよい。
【0012】
この情報処理システムは、前記データベースに記憶されている情報を用いて、第1ユーザと第2ユーザとの関係を推定する推定手段を有してもよい。
【0013】
本開示の別の一態様は、複数のユーザ及び複数の仮想空間の各々について、当該仮想空間における当該ユーザの位置を示す仮想位置情報、及び現実の時刻情報を取得するステップと、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、及び前記時刻情報をデータベースに記憶するステップとを有する情報処理方法を提供する。
【0014】
本開示のさらに別の一態様は、コンピュータに、複数のユーザ及び複数の仮想空間の各々について、当該仮想空間における当該ユーザの位置を示す仮想位置情報、及び現実の時刻情報を取得するステップと、前記ユーザの識別情報、前記仮想位置情報、及び前記時刻情報をデータベースに記憶するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の仮想空間において情報を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る3Dデータシステム1の概要を示す図。
図2】3Dデータシステム1の機能構成を例示する図。
図3】サーバ10のハードウェア構成を例示する図。
図4】サーバ20に記録される情報を例示する図。
図5】3Dデータシステム1の動作を示すシーケンスチャート。
図6】データベース111に記録されるデータを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.構成
図1は、一実施形態に係る3Dデータシステム1の概要を示す図である。3Dデータシステム1は、複数の仮想空間において情報を共有するためのシステムである。3Dデータシステム1は、サーバ10、サーバ20、サーバ30、及びユーザ端末40を有する。サーバ20及びサーバ30は、それぞれ異なる仮想空間を提供する。「仮想空間」という語は、いわゆるメタバースを含む。以下、サーバ20により提供される仮想空間を仮想空間VS[1]、サーバ30により提供される仮想空間をVS[2]という。仮想空間VS[1]と仮想空間VS[2]とを区別しないときは単に仮想空間VSという。サーバ20及びサーバ30は、それぞれ異なる事業者により管理及び運営されてもよい。
【0018】
サーバ10は、各仮想空間に対し3Dデータを提供する。ここでいう3Dデータは、各仮想空間のユーザである人間の3Dモデル(いわゆるアバター)を示すデータを含む。サーバ10は、複数のユーザの各々について、そのユーザの3Dデータを記録したデータベースを有する。サーバ10は、サーバ20又はサーバ30等、他の装置からの要求に応じて3Dデータを提供する。
【0019】
また、サーバ10は、各仮想空間におけるユーザの行動履歴を取得し、取得した情報を記録する。サーバ10は、記録した情報の一部又は全部、若しくは記録した情報の解析結果から得られる情報を、他の装置に提供する。
【0020】
ユーザ端末40は、ユーザUにより操作されるコンピュータ装置であり、3Dデータシステム1におけるクライアントである。ユーザは、ユーザ端末40から仮想空間VS[1]及び仮想空間VS[2]にログインすることができる。
【0021】
なお、3Dデータシステム1における仮想空間の数、及びユーザ端末40の数は図1の例に限定されない。3Dデータシステム1は、3つ以上の仮想空間において情報を共有するものであってもよい。また、複数のユーザ端末40が、3Dデータシステム1にアクセスしてもよい。
【0022】
図2は、3Dデータシステム1の機能構成を例示する図である。3Dデータシステム1は、記憶手段11、取得手段12、解析手段13、通信手段14、記憶手段41、通信手段42、及び制御手段43を有する。これらのうち、記憶手段11、取得手段12、解析手段13、及び通信手段14はサーバ10に、記憶手段41、通信手段42、及び制御手段43はユーザ端末40に、それぞれ実装される。
【0023】
サーバ10において、取得手段12は、サーバ20及びサーバ30から、複数のユーザ及び複数の仮想空間の各々について、その仮想空間におけるそのユーザの行動履歴を取得する。行動履歴は、少なくとも、その仮想空間におけるそのユーザの位置を示す仮想位置情報、及び現実の時刻情報を含む。記憶手段11は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。この例において、記憶手段11は、データベース111及びデータベース112を記憶する。データベース111は、取得手段12が取得した、仮想空間におけるユーザの行動履歴を記録するためのデータベースである。データベース112は、複数のユーザの各々について、そのユーザの3Dデータが記録されたデータベースである。解析手段13は、データベース111に記録されているデータを解析する(又は処理する)。解析手段13が行う処理には、例えば、データベース111に記録されているデータから、ユーザ同士の親密度を推定する処理が含まれる(すなわち推定手段の一例)。通信手段14は、他の装置と通信する。この例において、通信手段14は、解析手段13が処理した結果を示す情報を、ユーザ端末40等の他の装置に送信する。
【0024】
ユーザ端末40において、記憶手段41は、各種のデータを記憶する。通信手段42は、サーバ10、サーバ20、及びサーバ30等の他の装置と通信する。制御手段43は、各種の制御を行う。
【0025】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムに従って各種の演算を行う演算装置である。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ103は、各種のデータ及びプログラムを記憶する不揮発性の補助記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)を含む。通信IFは、所定の通信規格(例えばイーサネット)に従って他の装置と通信する装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0026】
この例において、ストレージ103が記憶するプログラムには、コンピュータを3Dデータシステム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行することにより、コンピュータに図2の機能が実装される。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段11の一例であり、通信IF104が取得手段12及び通信手段14の一例であり、CPU101が解析手段13の一例である。
【0027】
図示は省略するが、ユーザ端末40は、CPU、メモリ、ストレージ、通信IF、入力装置(例えばタッチスクリーン又はキーボードなど)、及び出力装置(例えば液晶ディスプレイなど)を有するコンピュータ装置、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット端末である。この例においてストレージが記憶するプログラムには、コンピュータを3Dデータシステム1におけるクライアントとして機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という)が含まれる。CPUがクライアントプログラムを実行している状態において、メモリ及びストレージの少なくとも一方が記憶手段41の一例であり、通信IFが通信手段の一例であり、CPUが制御手段43の一例である。
【0028】
2.動作
続いて、3Dデータシステム1の動作を説明する。3Dデータシステム1の動作説明に先立ち、仮想空間VSについて説明する。仮想空間VSは、サーバ上に構築された仮想空間であり、3DCGにより形成される。3DCGにより形成されるとは、建築物(建物、道路、橋梁など)の3Dオブジェクトの組み合わせ及び位置が定義されることをいう。ユーザは、アバターと呼ばれる自信の分身でこの世界に参加することができる。ユーザは、アバターを介して、仮想空間内を移動したり、他のユーザと意思疎通したりすることができる。さらにユーザはアバターを介して、仮想空間内で買い物をしたり、オブジェクトを制作したり販売したりすることができる。
【0029】
図4は、サーバ20に記録される情報を例示する図である。サーバ20は、仮想空間VS[1]における各ユーザの行動履歴を記録する。行動履歴は、例えば、以下の情報(1)~(6)を含む。(1)仮想区間VS[1]におけるユーザの位置情報。(2)ユーザが(1)の位置にいたときの、仮想空間VS[1]における時刻情報。(3)ユーザが(1)の位置にいたときの、ユーザ状態情報。(4)ユーザが(1)の位置にいたときの、ユーザ行動情報。(5)ユーザが(1)の位置にいたときの、現実におけるユーザの位置情報。(6)ユーザが(5)の位置にいたときの、現実における時刻。
【0030】
ユーザの位置情報は、仮想空間VS[1]においてそのユーザのアバターが位置する座標を含む。仮想空間VS[1]においては座標が定義されている。この例において仮想空間VS[1]は階層化されている。例えば、第1階層は屋外であり、第2階層は建物内の共用部(例えば、ロビー又は廊下等)であり、第3階層は建物の部屋の内部である。この場合、位置情報は、階層の識別子及びその階層における座標を含む。
【0031】
仮想空間VS[1]における時刻情報は、仮想空間VS[1]における時刻を含む。仮想空間においては、現実とは異なる時刻が定義されてもよい。例えば、仮想空間VS[1]において太陽の運動が定義され、この太陽の運動に伴う昼と夜の変化が定義されるところ、昼と夜との変化の周期が現実と異なっていてもよい。一例においては、昼と夜との変化の周期が現実よりも3倍速く、例えば8時間で1周期である。
【0032】
ユーザ状態情報は、仮想空間VS[1]におけるそのユーザ(又はアバター)のユーザ状態を示す。仮想空間VS[1]においては、ユーザ状態が定義される。ユーザ状態は仮想空間VS[1]におけるユーザの状態を示す。ユーザ状態は、例えば、アクティブ(又はオンライン)及び停止中(又はオフライン)を含む。あるいは、仮想空間VS[1]において複数の状態が定義され、ユーザ状態は、そのアバターがどの状態にあるかを示す。仮想空間において定義される状態は、例えば、現実と同じ物理法則に従う状態及び現実と一部異なる物理法則に従う状態(例えば、空を飛べる、壁を通り抜けられる、他のユーザから視認されない等)を含む。あるいは、仮想空間において定義される状態は、例えば、能力の一部が強化された状態(例えば、腕力、ジャンプ力、視力、又は聴力が通常の人間よりも強化された状態)、又はアバターの外観が変更された状態(例えば、肌の色又は紙の色が変更された状態、若しくは6頭身を3頭身にデフォルメするなどモデルの形状が変更された状態)を含んでもよい。ユーザ状態情報は、仮想空間VS[1]におけるユーザ状態に代えて、又は加えて、現実におけるユーザ状態を含んでもよい。現実におけるユーザ状態は、例えば、休暇中、会議中、移動中、及び食事中などを含む。
【0033】
ユーザ行動情報は、仮想空間VS[1]においてそのユーザが取った行動を示す。行動情報は、仮想空間VS[1]においてアバターが取った行動を示す。一例において、行動情報は、アバターの動きを示す。アバターの動きは、例えば、アバターが右手を上げた、アバターが走った、アバターがジャンプした、等である。行動情報は、アバターの動きの詳細、例えば、アバターが右手を上げる動作をしたときの、右手首の軌跡を示す。あるいは、行動情報は、あらかじめ決められた動きをアバターがしたかどうかを示す2値の情報であってもよい。
【0034】
ユーザの現実における位置情報は、アバターが仮想空間VS[1]において(1)の位置にいたときの、ユーザの現実における位置を示す。現実における位置は、仮想空間VS[1]にログインしているユーザ端末40の位置を示す。ユーザ端末40の位置は、例えばユーザ端末40が有する測位機能(例えばGPSを用いたもの)により計測される。
【0035】
現実における時刻情報は、ユーザが(5)の位置にいたときの現実の時刻を含む。現実における時刻は、ユーザ端末40の時刻を示す。ユーザ端末40の時刻は、例えばユーザ端末40が有する測時機能により得られる。
【0036】
行動履歴は、ユーザIDと対応付けられている。ユーザIDは、仮想空間VS[1]においてユーザを識別するための識別情報である。ユーザIDは、例えば、仮想空間VS[1]の管理者により付与される。
【0037】
サーバ20は、所定のイベントを契機としてこれらの情報を記録する。このイベントは、例えば、ユーザが仮想空間VS[1]にログインしたというイベント、ユーザが仮想空間VS[1]からログアウトしたというイベント、アバターが仮想空間VS[1]においてあらかじめ決められた行動を取ったというイベント、仮想空間VS[1]が所定の時刻になったというイベント、又は現実が所定の時刻になったというイベントである。
【0038】
同様にサーバ30は、仮想空間VS[2]における各ユーザの行動履歴を記録する。
【0039】
図5は、3Dデータシステム1の動作を示すシーケンスチャートである。ステップS1において、サーバ10は、サーバ20から仮想空間VS[1]におけるユーザAの行動履歴を取得する。このデータは、ユーザAの識別情報(ユーザID)及び行動履歴を含む。ステップS1の処理は、所定のイベントを契機として実行される。ステップS1の契機となるイベントは、例えば、行動履歴を前回取得してから所定の時間が経過したというイベント、現在時刻が所定の時刻になったというイベント、又はサーバ10にアクセスしているユーザから行動履歴取得の要求があったというイベントである。サーバ20は、サーバ10からの要求に応じて行動履歴を送信してもよいし、サーバ10から要求が無くても自発的に行動履歴を送信してもよい。
【0040】
あるいは、ステップS1のイベントは、サーバ20がサーバ10に対し3Dデータの提供を要求したことを契機として実行されてもよい。この例において、サーバ10は、複数のユーザの各々について、そのユーザの3Dデータが記録されたデータベースを有する。この3Dデータは、そのユーザの3Dモデルを表す。サーバ20は、仮想空間VS[1]にログインしてきたユーザの3Dデータを送信するよう、サーバ10に要求する。サーバ10は、要求されたユーザの3Dデータをサーバ20に提供する。サーバ20は、この3Dデータを用いて、仮想空間においてユーザのアバターを表示する。サーバ20は、3Dデータを受信したときに、そのユーザの直近の行動履歴をサーバ10に送信する。あるいは、サーバ20は、そのユーザが仮想空間VS[1]からログアウトしたときに、そのログイン期間中におけるそのユーザの行動履歴をサーバ10に送信する。
【0041】
サーバ20は、自身が記憶している行動履歴の一部又は全部をサーバ10に送信する。記憶している行動履歴のうちどの一部を選択してサーバ10に送信するかは、例えば、サーバ10からの要求に応じて決められる。例えば、サーバ10は、特定のユーザ(この例ではユーザA)の行動履歴を要求し、サーバ20は、要求されたユーザの行動履歴をサーバ10に送信する。あるいは、サーバ10は、特定の日時(この日時は、仮想空間VS[1]における時刻で示されてもよいし、現実における時刻で示されてもよい)の行動履歴を要求し、サーバ20は、要求された日時の(全ユーザの)行動履歴をサーバ10に送信する。なお、サーバ10に送信する行動履歴を選択する例はこれに限定されず、どのような条件で行動履歴が絞り込まれてもよい。
【0042】
ステップS2において、サーバ10は、サーバ20から取得した行動履歴をデータベース111に記録する。
【0043】
ステップS3において、サーバ10は、サーバ30から仮想空間VS[2]におけるユーザAの行動履歴を取得する。サーバ30から行動履歴を取得する具体的な手法は、サーバ20から仮想空間VS[1]における行動履歴を取得する例と同様である。ステップS4において、サーバ10は、サーバ30から取得した行動履歴をデータベース111に記録する。
【0044】
なおステップS1及びS2の処理と、ステップS3及びS4の処理とは、この順番で行われるものに限定されない。ステップS1の処理とステップS3の処理とは、それぞれ独立したイベントを契機として実行されてもよく、実行頻度に差があってもよい。
【0045】
図6は、データベース111に記録されるデータを例示する図である。データベース111は、複数のレコードを有する。各レコードは、仮想空間ID、ユーザID(仮想空間)、及び行動履歴を含む。仮想空間IDは、仮想空間を識別する識別情報である。仮想空間IDは、例えば、サーバ10の管理者により付与される。ユーザID(仮想空間)は、その仮想空間においてユーザを識別する識別情報である。ユーザID(仮想空間)は、図4のユーザIDと同一である。各レコードには、ユーザID(3Dモデル)が対応づけられる。ユーザID(3Dモデル)は、3Dデータの提供においてユーザを識別する識別情報である。ユーザID(3Dモデル)は、サーバ10の管理者により付与される。
【0046】
なおサーバ10は、ユーザID(仮想空間)とユーザID(3Dモデル)との対応関係が記録されたデータベース(図示略)を有する。サーバ10は、サーバ20又はサーバ30から行動履歴を受信すると、このデータベースを参照して対応するユーザID(3Dモデル)を特定し、特定したユーザID(3Dモデル)とともにデータベース111に記録する。
【0047】
再び図5を参照する。ステップS5において、サーバ10は、データベース111に記録されているデータを解析する。この解析は、例えば、ユーザ同士の関係を推定する処理を含む。ステップS5の処理は、例えば、ユーザ端末40からの要求を契機として開始される。
【0048】
ユーザ同士の関係を推定する処理は、例えば、指定されたユーザとの親密度が基準以上であるユーザを抽出する処理を含む。ユーザの親密度は、2人のユーザの親密さの程度を示すパラメータである。親密度は、例えば、2人の間で交わされた会話の頻度及び量、2人が仮想区間において所定の距離(例えば1m)内に接近した頻度、仮想空間において定義された密閉空間(例えば部屋)において2人だけで過ごした時間、仮想空間において一緒に行った行動の内容(例えば、2人で散歩をするよりも、2人でダンスをした方が親密度が高い)、及び接触が確認される仮想空間の数(単一の仮想空間のみで接触が確認される例よりも、複数の仮想空間に渡って接触が確認される方が親密度が高い)を総合的に考慮して計算される。サーバ10は、ユーザ端末40により指定されたユーザ(例えばユーザA)と他のユーザとの親密度を計算する。サーバ10は、計算された親密度が基準を上回っているユーザを抽出する。この基準は、3Dデータシステム1において定義されていてもよいし、ユーザ端末40により指定されてもよい。
【0049】
別の例において、ユーザ同士の関係を推定する処理は、指定された2人のユーザの親密度を計算する処理を含む。この2人のユーザは、例えばユーザ端末40により指定される。
【0050】
さらに別の例において、データベース111に記録されているデータの解析は、特定のユーザの仮想空間における行動予測を含む。行動予測は、例えば、指定されたユーザのアバターが、いつどの仮想空間の、どこに現れるかという予測を含む。予測の対象となるユーザは、例えばユーザ端末40により指定される。この予測は、例えば機械学習を用いて行われる。この場合、サーバ10は、学習済の機械学習モデルに、対象となるユーザ識別情報並びに行動を予測したい日時及びその属性情報を入力する。機械学習モデルは、指定されたユーザが指定された日時に、どの仮想空間のどこに現れるか、を示す情報を出力する。この機械学習モデルは、例えば、複数のユーザについて、ある期間までの行動履歴及びその期間の属性情報を入力とし、その後の期間の行動履歴及びその後の期間の属性情報を出力とするデータを教師データとして与えて機械学習をさせた機械学習モデルである。ここで、日時又は期間の属性情報とは、例えば、曜日又は平日・祝祭日の別をいう。
【0051】
ステップS6において、サーバ10は、解析結果をユーザ端末40に送信する。解析結果は、例えば、計算された親密度が基準を上回っているユーザの識別情報及びそのユーザの属性情報を含む。ユーザの属性情報は、例えば、そのユーザに関連するイベント、一例としてはそのユーザの誕生日を示す情報を含む。
【0052】
この例によれば、ユーザは、複数仮想空間におけるあるユーザの行動を横断的に記録したデータベースを解析した結果
【0053】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例において説明した事項の一部が、他の一部又は実施形態において説明した事項の一部と組み合わせて適用されてもよい。
【0054】
3-1.行動履歴の内容
仮想空間VSにおいて記録される行動履歴の具体的内容は実施形態において例示したものに限定されない。実施形態において例示した項目の一部が省略されてもよいし、実施形態において説明していない項目が追加されてもよい。
【0055】
行動履歴は、以下のいずれかの情報を含んでもよい。
(a)ユーザ間の情報。これは例えば、仮想空間において対象ユーザのアバターとの位置関係が所定の条件を満たした他のユーザの識別情報である。所定の条件とは、所定の距離内(例えば1m)にいる状態が所定の時間(例えば15分)継続した、という条件である。あるいは、この条件は、所定の距離内にいる状態の累積時間がしきい値を超えた、という条件である。ユーザ間の情報には、他のユーザと交わした会話の内容(音声データ又はテキストデータ)が含まれてもよい。
【0056】
(b)ユーザと空間との関係性の情報。これは、アバターに適用されるルールということもできる。これは例えば、仮想空間においてアバターに与えられる自由度を示す。仮想空間において、ユーザの行動には制限が与えられる場合がある。この制限は、例えば、道があるところしか移動できない、言葉を発することができない、服を脱ぐことができない等である。自由度は、これらの制限の適用の有無を示す。なおこれは、実施形態で説明した「ユーザ状態」と一部重複する場合がある。
【0057】
(c)ユーザと物との関係性の情報。これは例えば、仮想空間においてアバターが手に取った物、身に着けた物、食べた物、使った物を示す。
【0058】
(d)空間におけるユーザの知覚の情報。これは例えば、仮想空間においてアバターが見た物及び聞いた音を示す。アバターが見た物は、広告看板、テレビ番組、演劇、又はコンサートである。
【0059】
これらの情報を解析(又は分析)することにより、サーバ10は、ユーザの嗜好に関する情報を得ることができる。
【0060】
3-2.行動履歴の記録方法
実施形態においては、仮想空間VSにおいて所定のイベントが起こったことを契機として、そのイベントに関連するユーザの識別情報と対応付けて、そのユーザの行動履歴を、その仮想空間VSを提供するサーバが記録する例を説明した。しかし、行動履歴の記録方法は、実施形態において例示したものに限定されない。例えば、仮想空間VSにおいて、その仮想空間VSにログインしているユーザのアバターに対応する仮想カメラを設定する。仮想カメラは、そのアバターからの視野に相当する映像又はそのアバターを俯瞰する視野に相当する映像を撮影する。仮想空間VSを提供するサーバは、その仮想カメラで撮影した動画を、そのユーザの識別情報と対応付けて記録する。この場合、このサーバは、所定のイベント(例えばサーバ10から要求を受信したというイベント)を契機として、その動画データをサーバ10又は他のサーバに提供する。サーバ10又は他のサーバは、この動画データを解析して、この動画データからそのユーザの行動履歴を生成する。サーバ10又は他のサーバは、生成した行動履歴を記録する。
【0061】
実施形態において、サーバ10が行動履歴を3Dデータとは別のデータベース(データベース112)に記録する例を説明した。しかし、サーバ10は、3Dデータと同じデータベース(データベース111)に行動履歴を記録してもよい。この場合において、サーバ10は、あるユーザの行動履歴を、そのユーザの3Dデータに書き込んでもよい。すなわちこの場合、あるユーザの3Dデータは、そのユーザの3Dモデルに加え、そのユーザの行動履歴を含む。サーバ10があるユーザの3Dデータをユーザ端末40に送信するとき、その3Dデータにはそのユーザの行動履歴が含まれる。ユーザ端末40は、3Dデータから行動履歴を抽出し、解析をすることができる。
【0062】
3-3.行動履歴の解析
データベース111に記録されているデータの解析の具体例は、実施形態において例示したものに限定されない。行動履歴の解析は、ユーザの嗜好の解析、例えば、どのような衣服が好きか、どのような音楽が好きか、どのような食べ物が好きか、どのような場所が好きか、どのようなアクティビティが好きか、どのような性格かといった情報の解析を含む。こうした情報は、例えば、以下の用途に用いられる。
【0063】
(a)飲食店への友人の招待例えば、あるユーザのアバターが仮想空間VS[1]において飲食店にいるとき、サーバ20は、そのユーザと一緒に食事をするためその飲食店に招待するユーザの抽出をサーバ10に要求する。この要求は、識別情報及びその飲食店の属性情報を含む。この要求を受けると、サーバ10は、そのユーザの友人のうちその飲食店の属性情報が嗜好にマッチするユーザを抽出する。属性情報が嗜好にマッチするユーザとは、例えば、その飲食店で提供される飲食物を好むユーザである。サーバ10は、抽出したユーザの属性情報をサーバ20に送信する。サーバ20は、抽出されたユーザが仮想空間にログインしていれば、そのユーザをその飲食店に招待する。サーバ20は、招待するユーザ及び招待されるユーザの少なくとも一方の許可を得てから、他のユーザをその飲食店に招待してもよい。
【0064】
(b)広告の提供3Dデータシステム1は、行動履歴の解析結果から、あるユーザの嗜好に関する情報を得ることができる。3Dデータシステム1は、こうして得られた情報を、仮想空間又は現実の広告提供者に提供することができる。仮想空間又は現実の広告提供者は、ユーザの嗜好に応じた広告を提供することができる。
【0065】
(c)教育3Dデータシステム1は、行動履歴の解析結果から、あるユーザの性格に関する情報を得ることができる。3Dデータシステム1は、こうして得られた情報を、仮想空間又は現実における教育サービス提供者に提供することができる。仮想空間又は現実における教育サービス提供者は、ユーザの性格に応じた教育サービスを提供することができる。例えば、あるテーマの学習をするのに、科目A及び科目Bのうちどちらを先に学習させた方がよいのか、サービス提供者は、ユーザの性格に応じて決めることができる。
【0066】
(d)アクティビティの提案3Dデータシステム1は、行動履歴の解析結果から、あるユーザの嗜好に関する情報を得ることができる。3Dデータシステム1は、こうして得られた情報を、仮想空間又は現実のアクティビティ提供者に提供することができる。仮想空間又は現実のアクティビティ提供者は、ユーザの嗜好に応じたアクティビティを提供することができる。例えば、アクティビティ提供者は、野球が好きなユーザに対して、野球に関するイベントへの参加を提案することができる。
【0067】
3-4.他の変形例
3Dデータシステム1における機能とハードウェアとの関係は、実施形態において例示したものに限定されない。例えば、物理的に複数の装置が協働して、サーバ10としての機能を有してもよい。特に、各種のデータベースは、サーバ10とは別の装置に記憶されてもよい。この場合、サーバ10は、このデータベースにアクセスする手段を有していればよい。また、サーバ10は、物理サーバであってもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。また、実施形態においてサーバ10が有するものとして説明した機能の一部を、サーバ20、サーバ30、又は他のサーバが有してもよい。すなわち、サーバ10の機能は一部が省略されてもよい。特に、サーバ10は、解析手段13を有さなくてもよい。この場合、サーバ10は、他の装置からの要求に応じて、データベース111又はデータベース112に記録されているデータを出力する。
【0068】
CPU101等により実行されるプログラムは、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよいし、インターネット等のコンピュータネットワークを介してダウンロード可能な状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…3Dデータシステム、10…サーバ、11…記憶手段、12…取得手段、13…解析手段、14…通信手段、20…サーバ、30…サーバ、40…ユーザ端末、41…記憶手段、42…通信手段、43…制御手段、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF
図1
図2
図3
図4
図5
図6