(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035788
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】垂直型LEDダイのパッケージング方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240306BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/54
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082597
(22)【出願日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】111133016
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517370630
【氏名又は名称】晶呈科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 筱儒
(72)【発明者】
【氏名】劉 埃森
(72)【発明者】
【氏名】馮 祥▲アン▼
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA56
5F142AA86
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD44
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG26
5F142CG27
5F142CG32
5F142FA03
5F142FA14
5F142FA18
5F142FA30
5F142FA38
(57)【要約】
【課題】本発明の垂直型発光ダイオード(LED)ダイパッケージング方法を採用することにより、既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを効果的に代替し、ダイサイズ微細化のニーズを満たすと同時にLEDのパッケージング歩留まり率を向上させる。
【解決手段】
本発明の垂直型LEDダイパッケージング方法は、基板に複数のドリル孔を形成して第1金属材料を充填した後、第2金属材料を介して複数の垂直型LEDダイをこの基板上に固定設置する。これら複数の垂直型LEDダイを透明接着材料で被覆した後、レーザープロセスにより透明接着材料を溶融させて導電溝を形成し、導電液を各導電溝に充填するように塗布する。最後に、これら複数の垂直型LEDダイを絶縁材料で被覆することにより、これら複数の垂直型LEDダイのパッケージングを完了する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を提供するとともに、前記基板に複数のドリル孔を形成することと、
第1金属材料を前記複数のドリル孔に充填した後、前記複数のドリル孔の上表面に第2金属材料を塗布することと、
複数の垂直型発光ダイオード(LED)ダイを提供するとともに、前記第2金属材料を介して前記複数の垂直型LEDダイを前記基板上に固定設置することと、
前記複数の垂直型LEDダイを透明接着材料で被覆した後、レーザープロセスを実行し、前記レーザープロセスにより前記透明接着材料を溶融させて複数の導電溝を形成し、各前記導電溝を少なくとも1つの前記垂直型LEDダイに接続させることと、
導電液を各前記導電溝に充填するように塗布することと、
前記複数の垂直型LEDダイを絶縁材料で被覆することにより前記複数の垂直型LEDダイのパッケージングを完了することと、
を含む、垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項2】
前記垂直型LEDダイを提供する工程は、少なくとも1つのダミーダイを提供し、前記第2金属材料を介して前記少なくとも1つのダミーダイを前記基板上に固定設置することをさらに含む、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項3】
各前記導電溝は前記複数の前記垂直型LEDダイのうち1つと前記ダミーダイを接続する、請求項2に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項4】
前記第1金属材料は銅である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項5】
前記第1金属材料はスクリーン印刷プロセス又は電気めっきプロセスにより前記複数のドリル孔に充填され得る、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項6】
前記第2金属材料は錫である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項7】
前記第2金属材料はスクリーン印刷プロセス又はインクジェット印刷プロセスにより前記複数のドリル孔の上表面に塗布され得る、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項8】
前記複数の垂直型LEDダイは赤色、青色及び緑色から選ばれたLEDダイにより構成される集合体である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項9】
前記透明接着材料はネガ型UV接着材料である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項10】
前記レーザープロセスのレーザー照射時間は2秒から3秒の間であり、形成される前記複数の導電溝のうち1つの深さは7マイクロメートルから11マイクロメートルの間である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項11】
前記導電液の材質は銀ナノワイヤーである、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項12】
前記絶縁材料の材質はシリコン又はエポキシ樹脂である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項13】
前記基板の材質はガラス基板である、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項14】
前記複数のドリル孔のうち1つの孔径は少なくとも60マイクロメートルである、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【請求項15】
ブレードコート装置又はスピンコート装置を使用して前記導電液を各前記導電溝に充填するように塗布することができる、請求項1に記載の垂直型LEDダイのパッケージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)ダイのパッケージング方法に関し、特に、レーザープロセスにより導電溝を形成するとともに、銀ナノワイヤーを塗布することにより既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを代替する、垂直型LEDダイパッケージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、半導体技術により製造される光源であり、III-V族化合物の半導体により形成され、LEDの発光原理は半導体中の電子と正孔が結合して光子を発するものである。数千度の高温で動作する従来の電球とは異なり、蛍光灯のように高電圧の電子線励起を必要とすることはないが、LEDは一般的な電子素子と同様、電圧が2ボルト(V)から4Vあれば一般的な温度で正常な動作が可能であるため、従来の白熱電球と比べ、長寿命、省エネ、低故障率、光線の高い安定性、高発光効率及びあらゆる照明器具との互換性が高いといった利点を有する。このため、従来の光源よりも発光寿命が長く、現在の市場における主流商品となっている。
【0003】
一般的に、LEDのダイ構造は水平型(Horizontal)構造と垂直型(Vertical)構造の二種類に別けられ、全体的に見て、垂直型LEDは水平型LEDに比べ、輝度が高く、放熱が速く、光の減衰が小さく、安定性が高い等の利点を有し、構造、光電子パラメーター、熱特性、光の減衰及びコスト等の面でも、垂直型LEDの放熱効率は水平型LEDよりはるかに優れている。したがって、垂直型LEDの優れた放熱特性により、チップから発生した熱を直ちに放出させ、チップと蛍光体の性能を最低限まで低下させることで、LEDの輝度を高く、放熱を速く、光の減衰を小さく、色ズレを小さくし、その結果、より信頼できる安定性を提供することができる。
【0004】
近年、半導体技術の発展、進歩及び進化に伴い、既存のLEDダイの構造は微細化に向かっており、そのダイのサイズはますます小さくなってきていることが知られている。例えば、ダイのサイズが75マイクロメートル(μm)のLEDダイの場合、このダイの電極の大きさは15マイクロメートル(μm)しかない。また、近年、ほとんどのパッケージングメーカーは、LEDダイのサイズを微細化してパッケージングしており、このような小さなダイサイズでは、その後のはんだ付け工程の技術難度が上がり、LEDダイのパッケージング工程が難しくなるばかりか、パッケージング歩留まり率(yield)に悪影響を及ぼす。
【0005】
このような背景から、ダイサイズの微細化という前提の下、いかに既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを代替できるかという技術的なボトルネックは、いまだ打開されず、その解決が強く待望される既存の欠陥の一つとなっており、既存の外部ワイヤーボンディングプロセスの改善を継続することと、代替プロセスの考案は、既存の技術分野における一大課題となっている。以上のことから、この分野の専門家が、上述した従来技術の問題点を解決し、LEDダイのパッケージ歩留まり率を向上させるために、新規かつ革新的なプロセス方法を開発することを求めているのは明らかである。
【0006】
本願の出願人は、上述の問題点が改善できることを認識し、この分野に従事してきた長年の経験に基づいて、注意深く観察し、研究し、理論を用いて、上述の問題点を改善するのに有効な新しい設計の本発明を提案する。ここに開示されるのは、既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを効果的に代替できるだけでなく、LEDダイのパッケージング歩留まり率を向上できる垂直型LEDダイのパッケージング方法であり、その構造及び実施方法は以下に詳述する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した様々な問題点を解決するための本発明目的の一つは、革新的な垂直型LEDダイパッケージング方法を提供することである。
【0008】
ここで開示される本発明のプロセスステップは、垂直型LEDダイのパッケージングプロセスに適用することが可能である。 しかし、本発明の適用形態は、もちろんここに開示されるものに限定されない。本発明が提供するプロセスステップは、他の様々なダイのパッケージングプロセスに適用することも可能である。一旦本願の開示内容が知得されれば、その他の代替例も変更例も、当業者にとっては明らかなものとして、いずれも本発明の発明範囲に含まれる。本発明の技術案を用いることにより、既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを効果的に代替できると同時に、LEDダイのパッケージング歩留まり率を向上させることもできる。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを直接銀ナノワイヤーの導電溝に置き換えることにより、これまで用いられてきたワイヤーボンディングを省略できる、垂直型LEDダイのパッケージング方法を提供することである。このように、本発明は、LEDダイのワイヤーボンディングを用いたパッケージングに起因する不良率を低減できるだけでなく、LEDダイの信頼性(reliability)を向上させることもできる。また、既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを、ここに開示される本発明のパッケージング方法に置き換えることにより、パッケージング後のLEDダイのパッケージ全体の体積を減少させることができるので、そのサイズを微細化するという本発明の効果を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、本発明の垂直型LEDダイのパッケージング方法は次のステップを含む。まず、基板を提供するとともに、基板に複数のドリル孔を形成する。次に、第1金属材料を前記複数のドリル孔に充填した後、前記複数のドリル孔の上表面に第2金属材料を塗布する。次に、複数の垂直型LEDダイを提供するとともに、この第2金属材料を介して前記複数の垂直型LEDダイを前記基板上に固定設置する。そして、前記複数の垂直型LEDダイを透明接着材料で被覆した後、レーザープロセスを実行し、このレーザープロセスにより前記透明接着材料を溶融させて複数の導電溝を形成する。
【0011】
本発明の実施形態において、各導電溝は少なくとも1つの前記垂直型LEDダイに接続する。また、これらの垂直型LEDダイを提供するステップにおいて、本発明は少なくとも1つのダミーダイ(dummy die)を提供することをさらに含み、前記少なくとも1つのダミーダイは前記第2金属材料を介して基板上に固定設置されてもよく、これにより、形成された各導電溝は前記複数の垂直型LEDダイのうち1つと前記ダミーダイの間を接続することができる。
【0012】
その後、本発明は、導電液を塗布することができ、この導電液は各導電溝に充填される。最後に、前記複数の垂直型LEDダイを絶縁接着材料で被覆することにより、パッケージングを完了する。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記第1金属材料は、例えば銅であってよく、スクリーン印刷プロセス又は電気めっきプロセスにより前記ドリル孔に充填され得る。
【0014】
一方、前記第2金属材料は錫であってよく、スクリーン印刷プロセス又はインクジェット印刷プロセスにより前記ドリル孔の上表面に塗布され得る。
【0015】
本発明の実施形態によれば、使用される好ましい透明接着材料はネガ型UV接着材料である。本発明で前記ネガ型UV接着材料を溶融させるレーザープロセスのパラメーターは、レーザー照射時間が約2秒から3秒の間であり、レーザープロセスは瞬時に高温になるプロセスであり、これによりネガ型UV接着材料を溶融させて所望の導電溝を形成する。この実施形態において、形成される導電溝の深さは7マイクロメートルから11マイクロメートルの間である。
【0016】
さらに、本発明で塗布される導電液の材質は、例えば固形分含有率が0.3%から0.4%の銀ナノワイヤーであってよい。また、本発明の目的を遂行するため、接触式(例えばブレードコート装置)の塗布又は非接触式(例えばスピンコート装置)の塗布によりこの銀ナノワイヤーを塗布することができる。その結果、形成された銀ナノワイヤーの導電溝は既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを代替するのに有効であるため、外部ワイヤーボンディングを用いた従来のパッケージング方法は不要になる。
【0017】
また、ここに開示される本発明のパッケージング方法を垂直型LEDダイのパッケージング工程に適用した場合、前記垂直型LEDダイは、赤色、青色及び緑色から選ぶことができるLEDダイにより構成される集合体である。ただし、本発明はこの波長帯(赤色、青色、緑色)のLEDダイに限定されない。その他の実施形態では、これらの垂直型LEDダイは、設定された波長帯域の違いに応じてその他の色の光又は白色光(可視光)のLEDダイを製作することもでき、本発明の技術の幅広い応用が可能である。
【発明の効果】
【0018】
ここに開示される本発明の垂直型LEDダイのパッケージング方法を用いると、先行技術によるものと比較して、本発明により形成されるLEDダイパッケージの体積を明らかに減少させることができ、現在の産業の傾向における垂直型LEDダイのサイズの微細化がますます追求されるというパッケージのニーズを満たすだけでなく、そのパッケージング歩留まり率を向上させることもできることから、本発明が高い産業応用性と当該分野における競争力を有することは明らかである。
【0019】
一方、ここに開示される本発明の垂直型LEDダイのパッケージング方法は、先行技術のパッケージングプロセスに残る問題や欠点をうまく解消することができる。したがって、本発明は高い競争力を有するだけでなく、関連産業において効果的に幅広く利用できることは確かである
【0020】
以上のことから、本発明は、設計上、新規かつ高度な技術改良であることが検証された。この革新的な製造プロセスの技術は、LEDダイのパッケージ工程に適用できるだけでなく、その外部ワイヤーボンディングプロセスを代替することもできる。また、既存技術に比べて、LEDダイパッケージの体積を非常に効果的に超小型化することができる。
【0021】
本発明の構造的特徴及び達成される効果のさらなる理解と認識のため、添付の図面と合わせて好ましい実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態における垂直型LEDダイのパッケージング方法のステップを示すフロチャートである。
【
図2a】本発明の一実施形態において、基板に形成された複数のドリル孔の構造を示す図である。
【
図2b】本発明の一実施形態において、基板に形成された複数のドリル孔の構造を示す図である。
【
図3a】本発明の一実施形態において、前記複数のドリル孔に第1金属材料が充填された構造を示す図である。
【
図3b】本発明の一実施形態において、前記複数のドリル孔に第1金属材料が充填された構造を示す図である。
【
図4a】本発明の一実施形態において、前記第1金属材料が充填された前記複数のドリル孔の上表面に第2金属材料が塗布された構造を示す図である。
【
図4b】本発明の一実施形態において、前記第1金属材料が充填された前記複数のドリル孔の上表面に第2金属材料が塗布された構造を示す図である。
【
図5a】本発明の一実施形態において、垂直型LEDダイが前記基板上に固定設置された構造を示す図である。
【
図5b】本発明の一実施形態において、垂直型LEDダイが前記基板上に固定設置された構造を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態において、前記垂直型LEDダイを透明接着材料で被覆した構造を示す図である。
【
図7a】本発明の一実施形態において、レーザープロセスを実行し、レーザープロセスにより透明接着材料を溶融させて複数の導電溝が形成された構造を示す図である。
【
図7b】本発明の一実施形態において、レーザープロセスを実行し、レーザープロセスにより透明接着材料を溶融させて複数の導電溝が形成された構造を示す図である。
【
図8a】本発明の一実施形態において、導電液が塗布により各導電溝に充填され、複数の導電銀ナノワイヤーが形成された構造を示す図である。
【
図8b】本発明の一実施形態において、導電液が塗布により各導電溝に充填され、複数の導電銀ナノワイヤーが形成された構造を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態において、前記複数の垂直型LEDダイを絶縁材料で被覆することによりパッケージングが完了した垂直型LEDダイの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、関連する図を合わせて以下にさらなる説明を加える。図面及び明細書においては、可能な限り、同じ符号で同一又は同様の構成要素を示す。図面においては、簡潔性及び利便性のため、形状及び厚さが拡大表示されることがある。特に図中で表示されていない、或いは明細書に記載されていない構成要素は、当業者が知る形態であると解釈できる。当業者は本発明の内容に基づいて様々な変更や修正を行うことができる。
【0024】
特に説明がない限り、いくつかの条件句或いは語句、例えば「できる(can)」、「可能性がある(could)」、「かもしれない(might)」、或いは「してよい(may)」等は、通常は本発明の実施形態を表現するが、不要な可能性もある特徴、部材或いは工程と解釈してもよい。その他の実施形態において、これらの特徴、部材或いは工程は不要な場合もある。
【0025】
以下の文中における「一つの実施形態」又は「一実施形態」という記述は少なくとも1つの実施形態内において関連する特定の素子、構造又は特徴のことを指す。したがって、以下の文中において多くの箇所にある「実施形態」又は「一実施形態」といった複数の記述は同一実施形態に対するものではない。さらに、1つ又は複数の実施形態における特定の部材、構造及び特徴は適切な方式に基づいて組み合わせることができる。
【0026】
明細書および特許出願の範囲において、特定の用語が特定の構成要素を指すために使用されている。しかし、当該技術分野における通常の知識を有する者は、同じ構成要素が異なる名称で呼ばれる可能性があることを理解できるはずである。明細書や特許出願の範囲においては、名称の違いによって構成要素を区別するのではなく、構成要素の機能上の違いを区別の基準とする。明細書および特許出願の範囲における「含む」という用語は、オープンエンド形式であり、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである。また、ここにおける「結合」、「接続」という語句にはいかなる直接的および間接的な接続手段も含まれる。したがって、第1構成要素が第2構成要素に結合されるという記載がある場合、第1構成要素は、電気的接続又はワイヤレス伝送や光学的伝送などの信号的接続方式により第2構成要素に直接接続する、或いはその他の構成要素又は接続手段により電気的に又は信号を介して当該第2構成要素に接続することを意味する。
【0027】
以下に具体例を挙げて説明を加えるが、これらの例は説明のために用いられるに過ぎない。当業者であれば、本開示内容の精神と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や潤色を加えることができる。本開示内容の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。本明細書及び特許請求の範囲において、明確な指定がない限り、「1つ」及び「前記」という用語は、「1つまたは少なくとも1つ」の意味を含む。また、本開示にもあるように、特定の文脈から複数であることが明らかである以外に、単数表記は複数の意味も含む。さらに、本明細書及び特許請求の範囲における内容に明確な指定がない限り、「ここで」、「その中」という用語は、「その中」及び「その上」という意味を含むことがある。本明細書及び特許請求の範囲で使用される用語(terms)は、明確な説明がない限り、その用語が当該分野、本開示の内容及び特殊な内容において通常用いられるのと同じ意味を有する。本開示を説明するための用語については、以下の段落または明細書で別途説明し、当業者(practitioner)が本開示の説明をより明確に理解できるようにする。本明細書のいかなる部分の例示も、ここに述べる用語の例示の使用に含まれ、これらの例示は説明のために用いられるに過ぎず、本開示又は例示されるいかなる用語の範囲及び意味を限定するものではない。同様に、本開示は本明細書で提案される各種実施形態に限定されない。
【0028】
以下の段落において、本発明は、既存の垂直型LEDダイのパッケージング工程に用いられ、パッケージ体積の超小型化傾向に合うLEDダイのパッケージ構造及びそのパッケージング方法を提供する。さらに、以下に提供するLEDのパッケージ構造及びパッケージング方法は、他の関連する技術構造においても応用することができ、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
本発明の一実施形態における垂直型LEDダイのパッケージング方法のステップを示すフロチャートである
図1を参照されたい。本発明のパッケージング方法は次のステップを含む。
【0030】
ステップS102:まず、基板を提供するとともに、前記基板に複数のドリル孔を形成する。
【0031】
ステップS104:次に、第1金属材料を前記複数のドリル孔に充填した後、前記複数のドリル孔の上表面に第2金属材料を塗布する。
【0032】
ステップS106:複数のLEDダイを提供するとともに、前記第2金属材料を介して前記複数の垂直型LEDダイを基板上に固定設置する。
【0033】
ステップS108:続いて、前記複数の垂直型LEDダイを透明接着材料で被覆した後、レーザープロセスを実行し、前記レーザープロセスにより前記透明接着材料を溶融させて複数の導電溝を形成し、各前記導電溝を少なくとも1つの前記垂直型LEDダイに接続させる。
【0034】
ステップS110:導電溝を形成した後、導電液を各前記導電溝に充填するように塗布する。
【0035】
ステップS112:最後に、前記複数の垂直型LEDダイを絶縁材料で被覆することにより前記複数の垂直型LEDダイのパッケージングを完了する。
【0036】
本発明の方法をより理解するために、本発明の
図2aから
図9の構造について以下に詳細に説明するので、これらの図を合わせて参照されたい。
【0037】
まず、
図2a及び
図2bで示すように、本発明は始めに基板20を提供するとともに、基板20に複数のドリル孔22を形成する。本発明の実施形態によれば、このドリル孔22は例えばレーザードリルによって形成することができる。本発明に用いる基板20の材質は、例えばガラス基板であってもよく、前記ドリル孔22の孔径は例えば少なくとも60マイクロメートルである(ステップS102)。
【0038】
次に、
図3a及び
図3bで示すように、第1金属材料32を前記複数のドリル孔22に充填した後、
図4a及び
図4bで示すように、ドリル孔22の上表面に第2金属材料42を塗布する(ステップS104)。本発明の実施形態によれば、前記第1金属材料32の材質は、例えば銅であってもよく、本発明は、スクリーン印刷プロセス又はインクジェット印刷プロセスにより前述の金属材料である銅をこれらのドリル孔22に充填してもよい。
【0039】
一方、前記第2金属材料42の材質は、例えば錫であってもよく、スクリーン印刷プロセス又はインクジェット印刷プロセスにより、銅が充填されたこれらのドリル孔22の上表面に前述の金属材料である錫を塗布することもできる。
【0040】
続いて、本発明の実施形態において行われるLEDダイの固定設置(ボンディング)を示す図である
図5a及び
図5bを参照されたい。
図1のステップS106に示すように、複数の垂直型LEDダイを提供するとともに、前記第2金属材料42を介して前記複数の垂直型LEDダイを基板20上に固定設置する。例えば、ここに開示された本発明の方法は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の個々のLEDダイにより構成されるモジュールに適用することができる。
図5aで示すように、これらの垂直型LEDダイは赤色LEDダイ52R、青色LEDダイ52B及び緑色LEDダイ52Gから選んで構成される集合体であってよい。これと同時に、少なくとも1つのダミーダイ50が提供され、このダミーダイ50も前記第2金属材料42を介して基板20上に固定設置されることに留意されたい。なお、本発明はダミーダイ50の外観、高さ又は形状により限定されない。一般的には、その後に行うダイパッケージ大量移載(mass transfer)のニーズに応じるために、このダミーダイ50と隣接する赤色LEDダイ52R、青色LEDダイ52B、緑色LEDダイ52Gの間の配列関係及びダイの外観は、ある程度の統一性(coherence)を有することが望ましいが、本発明はこのような条件に限定されない。また、本発明で例示した縦垂直型LEDダイは、赤色、青色又は緑色で構成されることに限定されず、他の実施形態では、純色以外の色のLEDダイを含むこともでき、赤色、青色、緑色のLEDダイの数やその配置形式(例えば、本実施形態ではL字状であるが、他の実施形態では直線状であってもよい)は、本発明に例示されたものに限定されない。
【0041】
次に、ステップS106に記載のダイボンディング工程を完了した後、続いてステップS108で示すように、これらの垂直型LEDダイを透明接着材料60で被覆する(
図6参照)。本発明の実施形態によれば、透明接着材料60に使用されるのは、例えばネガ型UV接着材料であってよく、このネガ型UV接着材料の特徴は無色透明であり、その目的は、後続の
図7aで実施されるレーザープロセスLSにおける切断と、所望の切断位置の識別を容易にすることである。このように、
図7aに示すレーザープロセスLSを行った後、このレーザープロセスLSにより前記透明接着材料60を溶融させることで、複数の導電溝72を形成し、各導電溝72は垂直型LEDダイ52R、52B、52Gとダミーダイ50の間を接続する(
図7b参照)。
図7bにおいて、前記ネガ型UV接着材料を溶融させて形成した「導電溝72」は破線で示される。
【0042】
本発明の実施形態によれば、実行されるレーザープロセスLSは、瞬間的に高温まで加熱する工程であり、大まかに言えば、そのレーザー照射時間は例えば2秒から3秒の間、形成される導電溝72の深さは7マイクロメートルから11マイクロメートルの間で実施できる。
【0043】
詳しくは、本発明の一実施形態では、前記ネガ型UV接着材料からレーザープロセスLSによって導電溝72を切り出す。この時、導電溝72底部領域のネガ型UV接着材料は柔らかい状態の可能性がある。実際には、当業者は、この領域の反応が完全に終わっていない接着材料に溶剤を用いて10分から15分ほど溶融させ、その後イオン水を用いて洗浄すれば前記導電溝72を形成することができる。
【0044】
その後、
図1のステップS110で示すように、導電溝72を形成した後、導電液を塗布して、前記導電液を各導電溝72に充填するように塗布する。本発明の実施形態によれば、前記導電液は、例えば固形分含有率が0.3%から0.4%の銀ナノワイヤーであってよい。さらに、前記導電液は接触式(例えばブレードコート装置を使用する)塗布又は非接触式(例えばスピンコート装置を使用する)塗布により導電溝72に充填し、これにより
図8a及び
図8bで示す導電銀ナノワイヤー82を形成することができる。
図8bにおいて、導電液を塗布して形成された「導電銀ナノワイヤー82」は破線で示される。このように、本発明は主に、前記導電液(銀ナノワイヤー)を塗布することにより、前記導電銀ナノワイヤー82を形成し、これらの導電銀ナノワイヤー82を利用することで外部ワイヤーボンディングプロセスを代替することができる。この方法は、ダイサイズが絶えず微細化される流れの中で適用するのに有効であると同時に、微細化されたダイのパッケージングニーズを満たすことができる。
【0045】
最後に、
図1のステップS112を説明する。
図9で示すように、前記複数の垂直型LEDダイを絶縁材料90で被覆する。絶縁材料90を使用することによりこれらの垂直型LEDダイのパッケージングが完了する。本発明の一実施形態によれば、使用される絶縁材料90は、例えばシリコン又はエポキシ樹脂であってよい。さらに、コントラストを高めるために、前記絶縁材料90には、好ましくは、黒色のシリコン又はエポキシ樹脂を使用することもできる。
【0046】
以上のことから、ここに開示される本発明の方法は主に、前記レーザープロセスにより導電溝を形成した後、導電液(銀ナノワイヤー)を塗布することにより導電銀ナノワイヤーを形成し、これらの導電銀ナノワイヤーを利用することで既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを代替することができる。この場合、本発明は既存の外部ワイヤーボンディングプロセスを代替するのに有効なだけではなく、微細化されたダイサイズのパッケージングニーズにも対応できると同時に、垂直型LEDダイパッケージング歩留まり率を向上させることもできる。また、本発明は、パッケージングされた後の垂直型LEDダイのパッケージ全体の体積を減少させて、パッケージサイズの超小型化を実現できるという効果も有する。
【0047】
このような観点から、ここに開示する本発明の垂直型LEDのパッケージング方法は、既存のパッケージングプロセスを向上するのに有用である。既存技術と比較して、本発明の実施形態およびそのプロセスステップは、既存技術に残る欠点の多くを効果的に解決し、より優れたプロセスパフォーマンスを提供できることは明らかである。さらに、ここに開示される本発明の技術案は、一般的なLEDダイに適用できるだけでなく、関連する半導体産業、集積回路産業又はパワーエレクトロニクスにおける広範な電子回路部品に応用することができる。このように、本願の出願人が特許請求する技術案は、確かに産業上の利用性及び競争力に優れていることが分かる。また、本発明の技術的特徴、方法手段及びその達成される効果は、既存の技術案とは著しく異なり、当該技術に精通した者が容易に完成できるものではないため、特許要件を満たすと考えられる。
【0048】
上述の実施形態は本発明の技術的思想及び特徴の説明に過ぎず、その目的は、この技術分野を熟知する者が本発明の内容を理解して実施できるようにすることであり、本発明の特許範囲を限定するものではない。したがって、本発明の精神に基づいて加えた均等な変更や修飾は全て、本発明の特許保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
20 基板
22 ドリル孔
32 第1金属材料
42 第2金属材料
50 ダミーダイ
52R 赤色発光ダイオード(LED)ダイ
52B 青色LEDダイ
52G 緑色LEDダイ
60 透明接着材料
72 導電溝
82 導電銀ワイヤー
90 絶縁材料
LS レーザープロセス
S102、S104、S106、S108、S110、S112 ステップ