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特開2024-35796電気素子試験装置および電気素子の試験方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035796
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】電気素子試験装置および電気素子の試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240307BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113437
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2022139625
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】神澤 功治
(72)【発明者】
【氏名】梶西 孝博
(72)【発明者】
【氏名】北原 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】高原 博司
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AA02
2G003AH04
(57)【要約】
【課題】
トランジスタを試験するため、試験項目に対応させた配線の接続変更は長時間を必要とする。接続変更の作業スペースを必要とするため試験装置が大型になるという課題があった。
【解決手段】
トランジスタ117は端子基板502に配置され、トランジスタ117の素子端子226は押圧具501で圧接されて電気的に接続される。フォークコネクタ528、端子基板502、制御回路基板519はスライド板505に固定される。筐体の隔壁214aには、導体板204が取付けられている。スライド板505を隔壁214a側に移動することによりフォークコネクタ528と導体板204が接続される。導体板204とフォークプラグ205とは嵌合され電気的に接続され、フォークプラグ205を介して、電源装置132からの試験電流Idが供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気素子を搭載する第1の基板と、
前記電気素子の素子端子と前記第1の基板とを接続する押圧具と、
前記素子端子と電気的に接続された接続具と、
前記第1の基板を積載するスライド板と、
前記導体具に試験電流を印加する電源装置と、
筐体に取り付けられた導体具を具備することを特徴とする電気素子試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC、GaO、Ga、GaN、IGBT、MOS-FET、Gan-FET、バイポーラトランジスタ、サイリスタ、ダイオード、トライアック、ポジスタ、サーミスタ等の半導体素子、抵抗素子、コイル、水晶素子、コンデンサ等の電気素子のサイクル試験を行う半導体素子(電気素子)試験装置、パワーサイクル試験装置、半導体素(電気素子)子の試験方法、半導体素子(電気素子)の評価装置または評価方法、パワーサイクル試験方法等に関するものである。本発明は図62に図示するように、多種多様な電気素子に適用できる。
本発明は半導体素子等の試験時に半導体素子の端子等と電気接続を取る方法、取付け装置に関するものである。
【0002】
本発明は、半導体素子の実使用環境、実使用状態での故障モードに近いストレスを効率よく再現でき、高い精度でパワー半導体素子等の評価、試験を行うことができる半導体素子(電気素子)試験装置および半導体素子(電気素子)の試験・評価方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
パワー半導体素子の寿命には、パワー半導体素子自体の発熱に起因した熱疲労現象による寿命と、パワー半導体素子の外部環境の温度変化に起因した熱疲労現象による寿命とがある。また、パワー半導体素子のゲート絶縁膜への印加電圧による電圧疲労による寿命等がある。
【0004】
一般的に、パワー半導体素子の寿命試験は、パワー半導体素子に通電オンオフを繰り返すことが行われている。パワー半導体素子のエミッタ端子(ソース端子)、コレクタ端子(ドレイン端子)等に電圧を印加し、また、試験電流を流し、ゲート端子に周期的なオンオフ信号(動作/非動作信号)を印加することにより半導体素子の試験が実施される。
【0005】
試験時に半導体素子に印加する電流は数百アンペアと大きい。そのため、発熱、電圧降下をさけるため低抵抗の接続配線等を必要とする。また、試験も多くの種類があり、試験の種類に対応させて接続配線の接続を変更する必要がある。接続配線の変更等に長時間を必要としていた。
【0006】
半導体素子(電気素子)は使用環境(温度、湿度)に応じて試験を実施する必要がある。しかし、使用環境(温度、湿度)を短時間で発生することが容易でなく、また、使用環境(温度、湿度)に適切に半導体素子(電気素子)を配置することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-17822
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
トランジスタ等の半導体素子を試験するために印加する定電流は数百A以上の電流のため、接続配線は低抵抗の太い線材を使用する必要がある。
太い接続配線は硬く、柔軟性がない。試験項目に対応させる時の太い線材の接続配線の接続変更は、長時間を必要とする。
【0009】
したがって、トランジスタを試験するため、試験項目に対応させた配線の接続変更は長時間を必要とする。接続変更の作業スペースを必要とするため試験装置が大型になるという課題があった。
また、使用環境(温度、湿度)に適切に半導体素子(電気素子)を配置することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
フレーム枠は恒温槽523の槽内526に配置し、恒温槽内526内に固定される。スライド板505はフレーム枠に取り付けされる。スライド板はフレーム枠に挿入、引き出すことができる。スライド板の前面には、試験電流の供給コネクタが配置され、また、トランジスタ等のパワー素子の制御信号を印加する信号コネクタが配置されている。
【0011】
試験をする半導体素子はスライド板505を引き出した状態でスライド板の端子部に取り付けられる。半導体素子を取り付け後、スライド板をフレーム枠に押し込み、恒温槽の扉を占める。恒温槽内は所定温度に設定され、また、半導体素子は冷却または加温される。
【0012】
トランジスタ117は端子基板502に配置され、トランジスタ117の素子端子226は押圧具501で圧接されて電気的に接続される。フォークコネクタ528、端子基板502、制御回路基板519はスライド板505に固定される。筐体の隔壁214aには、導体板204が取付けられている。
【0013】
スライド板505を隔壁214a側に移動することによりフォークコネクタ528と導体板204が接続される。導体板204とフォークプラグ205とは嵌合され、電気的に接続され、フォークプラグ205を介して、電源装置132からの試験電流Idが供給される。
あるいは、試験をする半導体素子をスライド板505に配置し、恒温槽523の槽内526に配置する。電源装置132からの試験電流Idが供給される。
【発明の効果】
【0014】
半導体素子117は、スライド板505上に実装される。スライド板505の移動により、試験電流Idを供給する電源装置132と容易に電気的に接続することができる。
【0015】
また、試験と行う半導体素子117の選択はフォークプラグ205位置の変更で行うため、容易であり、接続変更のための作業スペースを必要としない。したがって、半導体素子(電気素子)試験装置を小型化することができる。
また、スライド板505を使用して、試験をする半導体素子(電気素子)117等を恒温槽523の槽内526に挿入、取出しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および半導体素子(電気素子)試験方法の説明図である。
図2】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および半導体素子(電気素子)試験方法の説明図である。
図3】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図4】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図5】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図6】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の半導体素子(電気素子)取付け部の構成図および説明図である。
図7】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の半導体素子(電気素子)取付け部の構成図および説明図である。
図8】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の半導体素子(電気素子)取付け部の構成図および説明図である。
図9】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図10】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図11】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図12】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図13】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図14】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図15】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図16】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図17】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図18】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図19】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図20】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図21】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図22】半導体素子(電気素子)の構成図および説明図である。
図23】半導体素子(電気素子)の構成図および等価回路図である
図24】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図25】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図26】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図27】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図28】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図29】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図30】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図31】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図32】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図33】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図34】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図35】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図36】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図37】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図38】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図39】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図40】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図41】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図42】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図43】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図44】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図45】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図46】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図47】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図48】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
図49】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明図である。
図50】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明図である。
図51】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図52】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図53】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図54】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図55】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図56】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図57】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図58】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図59】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図60】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図61】本発明の半導体素子(電気素子)試験方法の説明するタイミングチャート図である。
図62】半導体素子、電気素子または電子素子の説明図である。
図63】本発明の半導体素子(電気素子)試験装置の構成図および説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る電気素子の試験装置および試験方法を説明する。
【0018】
本発明は、電気素子の試験に関するものであり、特にSiC、GaO、Ga、GaN、IGBT、MOS-FET、Gan-FET、バイポーラトランジスタ、サイリスタ、ダオード等の半導体素子、コンデンサ、抵抗等の電気素子の試験装置、試験・評価・検査、法に関するものである。
明細書で記載する実施形態では、半導体素子(電気素子)のうち、主としてIGBTを例示して説明が、これに限定されるものではない。
【0019】
本発明はIGBTに限定されるものではなく、SiCトランジスタ、MOSFET、JFET、サイリスタ、ダイオード、サーミスタ、ポジスタ等の各種の半導体素子に適用することができる。
【0020】
本発明の実施例において、トランジスタをオンまたはオフする制御端子をゲート端子(G)として説明するが、ゲート端子(G)はベース端子(B)と読み替えても良いことは言うまでもない。ゲート端子(G)、ベース端子(B)はトランジスタ117をオンまたはオフさせる信号を印加する端子である。また、コレクタ端子(C)、エミッタ端子(E)は、ソース端子(S)、ドレイン端子(D)等と読み替えても良いことは言うまでもない。
【0021】
本実施例において、半導体素子(電気素子)117は、図23図62に図示するように単体の場合もあるが、図22(b)~図22(e)に図示するように複数の半導体素子(電気素子)を組み合わせた半導体素子(電気素子)モジュールの場合もある。半導体素子(電気素子)117は放熱板が取り付けられた構成、ヒートシンクが取り付けられた構成、ヒートパイプが取り付けられた構成等であっても、半導体素子(電気素子)117の概念に含まれる。
【0022】
なお、本発明の実施例において、ベース端子(B)もゲート端子(G)と記載して説明をする。トランジスタ等をオンオフ制御する端子をゲート端子として説明し、また、ゲート端子等に接続された回路をゲート駆動回路等と記載して説明をする。
【0023】
本発明では、半導体素子部品117としてNチャンネルのパワートランジスタを例示して説明するがこれに限定するものではない。パワートランジスタに限定されるものでなく、小信号用のトランジスタであっても良い。また、Nチェンネルのトランジスタに限定されるものではなく、Pチャンネルのトランジスタであっても、本発明が適用できることは言うまでもない。
【0024】
本発明の電気素子(半導体素子)試験装置および電気素子(半導体素子)の試験方法は、図62(a)~図62(i)に図示するように、トランジスタはMOS型、バイポーラ型等のいずれのトランジスタであっても良い。また、トランジスタはNチャンネルであっても、Pチャンネルであっても良い。また、ダイオード(図62(g))、サイリスタ(図62(h)))、トライアック(図62(i))等の半導体素子の他、抵抗(図62(i))、コンデンサ、コイル、リレー、水晶発振子(図62(k))など電気部品にも対応できることは言うまでもない。
【0025】
本発明は、半導体素子に限定されるものではなく、たとえば、抵抗素子、コンデンサ、コイル、水晶素子、サーミスタ、ポジスタ、ZNR等の半導体以外の電気素子にも本発明が適用できることは言うまでもない。
【0026】
本発明の電気素子(半導体素子)試験装置が試験を実施する対象は、半導体素子、電気素子等の単一の素子に限定されるものでない。たとえば、図22に図示するように、複数の素子がモジュールとして構成された半導体素子、電気素子を検査あるいは試験することができることは言うまでもない。
【0027】
図22(a1)(a2)は、ダイオードDiを内蔵するトランジスタである。図22(b1)(b2)は図22(a1)(a2)を直列に接続した半導体モジュールである。また、図22(c1)(c2)は、図22(a1)(a2)を外部の接続配線で電気的に接続したモジュールの構成図である。図22(d1)(d2)は温度測定用のダイオードD2の端子を有するモジュールの構成図である。図22(e1)(e2)は温度測定用のダイオードD2の端子を有するトランジスタを外部で接続してモジュール化した構成図である。本発明はこれらのいずれの半導体素子、電気素子に対応できる。
【0028】
図1において、試験を行うトランジスタ117は、主として図22(b1)(b2)に図示するダイオードDi(ダイオードDis、ダイオードDim)を有するものを例示して説明する。しかし、これに限定されるものではなく、図22(d)、図22(e)に図示するように温度用のダイオードの端子(as、ks、am、km)を別途保有するトランジスタ等であっても良い。
【0029】
図62(e)、図22(d)、図22(e)、図62に図示するように、ダイオードDsの端子が別途配置された半導体素子または半導体モジュール、電気素子、電気素子モジュールであっても良い。
【0030】
本発明の半導体素子(電気素子)試験装置および半導体素子(電気素子)の試験方法では、図22(b)、図22(d)ように、1パッケージに複数個のトランジスタを有する半導体素子117であっても、図22(c)、図22(e)のように、複数のトランジスタ素子を接続した半導体モジュール117であっても本実施例が適用できることは言うまでもない。
【0031】
発明を実施するための形態を説明するための各図面において、同一の機能あるいは類似性を有する要素は同一の符号を付する。説明に不要な事項は図面等で省略する。また、説明を容易にするため図面等を簡略化あるいは模式化する。また、説明に不要な事項、箇所は説明を省略することがある。また、他の実施例と類似あるいは同様の箇所等は説明を省略する場合がある。
【0032】
本明細書、図面において、説明に不要な箇所、部位、記述を省略し、また、図示を省略することがある。また、各実施例は全部あるいは一部を組み合わせることができる。また、本発明の実施例は、それぞれの実施例と組み合わせることができ、また、一部を変更して実施することができる。
【0033】
図1は本発明の電気素子(半導体素子)試験装置のブロック図および説明図である。図1において、2台の電源装置132(電源装置132a、電源装置13b2)を図示している。
【0034】
本発明の電気素子試験装置は、試験をするトランジスタ117等を配置する電気素子試験装置内の箇所(スペース)と、前記トランジスタ117等の試験電流の発生する電源装置132とを分離している。分離のための恒温槽(筐体)523に隔壁214aを設けている。
【0035】
なお、本明細書、本図面等において、接続部に用いるプラグ等の部材を接続プラグあるいはフォークプラグ205として説明をする。接続プラグあるいはフォークプラグ205に限定するものではなく、脱着可能で、先端部において、他の導電部材と嵌合等して電気的接続が実現できるものであれば、いずれの形態、構成あるいは構造の部材でも良い。たとえば、フォークコネクタ528が例示される。また、接続コネクタ、圧着コネクタ等であっても良い。
【0036】
フォークプラグ205等の接続部材は、すべての端子等に取り付けることに限定されない。たとえば、脱着を常時行う、あるいは頻度の高い対象箇所に形成または配置し、他の箇所はネジ留め、ボルト止め等で構成等しても良いことは言うまでもない。
【0037】
試験をするトランジスタと、スイッチ回路等を有する回路基板との接続は、隔壁214に設けた開口部216を介して、接続プラグ(フォークプラグ205)を挿入し、前記接続プラグ(フォークプラグ205)と前記回路基板に有する導体板204とを電気的に接触させることにより行う。
【0038】
導体板(銅バー)204は板状の形状に限定されない。たとえば、棒状であっても良い。また、円筒状、箔状であっても良い。本実施例では、導体板204として表現するが、導体板204は導体棒など他の形状、構成を含む概念である。導体板204は銅部材で形成あるいは構成し、その表面にニッケルめっきを施す。
【0039】
電源装置132は2台に限定されるものではない。たとえば、本発明の半導体素子(電気素子)試験装置において、3台以上の電源装置132を保有させてもよい。また、1台の電源装置132が2つの電圧または電流を出力できるように構成したものを用いても良い。電源装置132の台数が増加するほど、多種多様な試験電流Idの波形を発生させることができる。
本発明の実施例において、電源装置132として説明するが、電源装置132は所定電流Idあるいは定電流Idを出力するものに限定されるものではない。
【0040】
たとえば、電源装置132に最大(リミット)電圧あるいは最大電流を設定できるものを使用する。一定の条件で、設定された最大電圧において、所定の定電流を出力できるように機能させることが例示される。また、定電流を出力する場合に、出力端子電圧を所定の最大電圧を設定できる構成にされることが例示される。
【0041】
電源装置132には電源配線212が接続され、電源配線212には、スイッチ回路122が接続または配置される。スイッチ回路122はスイッチ回路基板201に実装または配置されている。スイッチ回路122をオン(クローズ)することにより、試験をする電気素子117に試験電流Idが供給される。スイッチ回路122をオフ(オープン)することにより、試験をする電気素子117への試験電流Idが停止される。
【0042】
スイッチ回路122あるいはスイッチ回路124は、プリント基板からなるスイッチ回路基板201に実装あるいは配置されている。導体板(銅バー)204は、プリント基板に実装あるいは配置されている。
【0043】
試験電流Idは、各電気的接続が取れているかどうかを確認して出力される。たとえば、フォークプラグ205と導体板204との電気的接続、フォークコネクタ528と導体板204との電気的接続、コネクタ202と半導体素子117の各端子との電気的接続等が例示される。また、接点スイッチ529の押圧状態によっても、電気的接続が取れているかどうかを確認できるように構成されている。
【0044】
フォープラグ205、フォークコネクタ528は、導体板204等の対象物に圧入、圧接、挿入、圧着、狭持、挟持、嵌合等により電気的に接続ができる構成、構造、形態、形式、方法のいずれのものであっても良い。
【0045】
導体板204、試験をする半導体素子(電気素子)117には温度センサ510が実装あるいは配置され、温度を監視する。温度が一定以上になった場合に、コントローラ回路111は、試験を停止する。あるいは半導体試験装置を停止させる。
【0046】
また、試験開始後、一定以上の温度に変化しない場合は、電気素子117の不良、電気素子117の破壊、電気的接続不良として、コントローラ回路111は、試験を停止する。また、警報を発する。
以上の事項は、本明細書、図面に記載する他の実施例にも適用されることはいうまでもない。また、他の実施例と組合せできることも言うまでもない。
【0047】
電源装置132は、トランジスタ117を試験するための大電流の定電流Id(または電圧Vd)を出力する。電源装置132は、コントロール回路(コントローラ)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給する。電源装置132は、出力する最大電圧値を設定することができる。
【0048】
電源装置132には、スイッチ回路122が接続されている。スイッチ回路122は電源装置132が出力する試験電流の供給をオン(供給、印加、クローズ)、オフ(遮断、オープン)させる機能を有する。
【0049】
導体板204等に取り付けられた温度センサ510の出力が所定温度以上になった場合、あるいは所定温度範囲以外の場合は、スイッチ回路122はオフ(遮断、オープン)に制御される。
【0050】
温度センサ510は半導体素子117あるいは半導体素子等からなるモジュール117等にも配置されている。半導体素子117等の温度を測定し、所定温度以上になった場合、あるいは所定温度範囲以外の場合にコントローラ回路111に信号を伝送する。コントローラ回路111は伝送された信号に基づいて、処理回路524、電源装置132を制御する。
【0051】
導体板204は、板状に限定されるものではなく、円柱状、棒状、コネクタ状等であっても良い。フォークプラグ205は、導体板204等の対象物に嵌合、圧入、圧接、挿入、圧着、狭持、挟持等により電気的に接続ができる構成、構造、形態、形式、方法のいずれのものであっても良い。
【0052】
導体板204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。導体板204の長さは、一例として、250mmである。図1図2はフォークプラグ205と導体板204の接続(接触)状態を示している。以下、説明を容易にするため導体板204と例示して説明をする。
【0053】
図1の本発明の実施例において、接続プラグとして、フォークプラグ205を例示して説明をする。フォークプラグ205cはトランジスタ117sのコレクタ端子と電気的に接続されている。フォークプラグ205bはトランジスタ117sのエミッタ端子と電気的に接続されている。フォークプラグ205aはトランジスタ117mのエミッタ端子と電気的に接続されている。
【0054】
なお、本発明の実施例において、導体板204にフォークプラグ205と接続することに限定されるものではない。導体板204と電源配線212とをネジ留め、あるいは圧着端子で接続しても良いことは言うまでもない。
【0055】
導体板204に温度センサ(温度測定回路)510が接触あるいは密着して配置または接続されている。温度センサ510は、フォークプラグ205と導体板204との電気的接続が不良の場合、接続部(接触部)で発生する発熱を検知し、異常温度であることを、コントローラ回路111に伝送する。温度センサ510のセンサ部として、熱電対、サーミスタ等が例示される。
【0056】
サブトランジスタ(上トランジスタ)117sとメイントランジスタ(下トランジスタ)117mは直列に接続されている。図1の実施例では、上トランジスタ117sのエミッタ端子(E)と下トランジスタ117mのコレクタ端子(C)が接続されている。サブトランジスタ(上トランジスタ)117sのゲート端子(gs)には処理回路524sのゲートドライバ回路113が接続され、メイントランジスタ(下トランジスタ)117mのゲート端子(gm)には処理回路524mのゲートドライバ回路113が接続されている。
【0057】
温度センサ510の制御回路、温度-電圧変換テーブルは、デバイス制御回路209に構成あるいは配置されている。上トランジスタ117sには処理回路524sが接続されている。下トランジスタ117mには処理回路524mが接続されている。
【0058】
処理回路524には、サンプル接続回路203、短絡回路137、アナログデジタル(AD)コンバータ回路127、デジタルアナログ(DA)コンバータ回路128、信号制御回路112、温度測定回路115が実装あるいは配置される。
デバイス制御回路209とサンプル接続回路203とは、コネクタ208の接続ピン206を介して電気的に接続される。
【0059】
Vdataはコントローラ回路111がDAコンバータ回路128に印加するデータである。VdataによりDAコンバータ回路128が出力する電圧が決定あるいは可変あるいは設定される(図52図53等に記載)。
DAコンバータ回路128が出力する電圧は、ゲート制御信号Vg(Vgs、Vgm)としてゲートドライバ回路113に印加される。
【0060】
導体板204には、フォークコネクタ528が電気的に接続されている。導体板204は、恒温槽(筐体)523の背面の隔壁214aに設けられた穴を貫通して配置されている。
【0061】
電源装置132の出力は、電源配線212が接続されている。電源配線212の一端にフォークプラグ205が接続され、フォークプラグ205と導体板204とが嵌合、接続等により電気的に接続されている。
【0062】
導体板204は、フォークプラグ205、フォークコネクタ528等の構造物と電気的に接続できるものであればいずれの形状等であってもよい。たとえば、ソケット、コネクタ等の構造物であってもよい。また、導体板204をフォークプラグ形状とし、フォークプラグ205とを接続してもよい。
本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、フォークプラグ205がなく、電源配線212を直接に導体板204と電気的に接続してもよい。
【0063】
フォークプラグ205は、隔壁214b等の空間を分離する構成物あるいは構造に、フォークプラグ205を挿入するとして説明する。しかし、これに限定するものではない。たとえば、フォークプラグ205を支持する円筒状物に、フォークプラグ205を挿入することにより導体板204等を電気的に接続するように構成しても良い。
【0064】
トランジスタ117に流す試験電流Idは電源装置132を動作させることにより供給する。電源装置132はコントロール回路(コントローラ)111からの信号により動作/非動作(オン/オフ)制御される。また、試験電流Id(Idm、Ids)の出力と非出力とが切り替えられる。処理回路524はコントロール回路(コントローラ)111によりタイミング制御される。
【0065】
図1において、試験を行うトランジスタ117は、図22(b)に図示するダイオードDi(ダイオードDis、ダイオードDim)を有するものを例示して説明する。当然ことながら、図22(d)、図22(e)に図示するように、別途、ダイオードDs、ダイオードDmの端子を有するトランジスタ117等であっても、本発明が適用できることは言うまでもない。ダイオードDs、ダイオードDmの端子に定電流Icを供給し、ダイオードDs、ダイオードDmの端子間電圧を測定して、Vi電圧をして温度情報Tjを取得する。
【0066】
本発明の電気素子試験装置および電気素子の試験方法では、図22(b)、図22(d)ように、1パッケージに複数個のトランジスタを有する半導体素子117であっても、図22(c)、図22(e)のように、複数のトランジスタ素子を接続した半導体モジュール117であっても本実施例が適用できることは言うまでもない。
【0067】
図22(a)の図示するように、単体のトランジスタ117から構成される半導体素子であっても、本実施例が適用できることは言うまでもない。また、トランジスタに限定されるものではなく、ダイオード、サイリスタ等の半導体素子でも良い。また、試験対象の電気素子は、ポジスタ、サーミスタ、コンデンサ、コイル、抵抗素子などの電気素子であっても良いことは言うまでもない。
【0068】
トランジスタ117mのエミッタ端子eは接地(グランド)あるいは所定の電位と接続されているとして説明をする。トランジスタ117(トランジスタ117s、トランジスタ117m)のゲート端子g(ゲート端子gs、ゲート端子gm)には、電気的接続のためのコネクタ202を介して、処理回路524が接続されている。
【0069】
処理回路524は制御回路基板519に配置される。処理回路524mは、トランジスタ117mに信号を印加し、トランジスタ117mを制御、処理する。処理回路524sは、トランジスタ117sに信号を印加し、トランジスタ117mを制御、処理する。
処理回路524は、主としてサンプル接続回路203、デバイス制御回路209から構成される。
【0070】
一例として、ゲートドライバ回路113が出力する電圧は、オン電圧V2、オン電圧V1、オフ電圧Voff(0V、V0電圧)である。ゲートドライバ回路113は3レベル以上の電圧を出力できる。なお、オフ電圧Voffは、0Vよりも電位が低い、Vn電圧(マイナス電圧)としても良い。
本発明の実施例では、ゲートドライバ回路113は、2種類の電位レベルのオン電圧を発生し、トランジスタ117のゲート端子gに印加する。
【0071】
一実施態様として、オン電圧V1をゲート端子に印加し、次にオン電圧V2を、ゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)に印加する。オン電圧V2の印加により、トランジスタ117は強オンとなる。したがって、トランジスタ117のチャンネル間の抵抗を小さくすることができる。
【0072】
なお、V2電圧は、V1電圧より高い電圧として説明するが、これに限定するものではない。V2電圧とはV1電圧以外の電位の電圧であり、定電流Icを流す時に、設定された所定値の電圧であれば良い。V2電圧がV1電圧より高い場合は、トランジスタ117のチャンネル端子間抵抗が小さくなり(V1電圧の印加時よりも抵抗値が低いオン状態となる)、定電流Icをチャンネル間に流した場合、測定される電圧Viが安定する。
【0073】
V1電圧はトランジスタ117をオンさせる電圧であり、トランジスタの品番、品種が異なる場合は変更あるいは調整して設定する。また、V0電圧はトランジスタ117をオフさせる電圧であり、トランジスタの品番、品種が異なる場合は変更あるいは調整して設定する。V2電圧は、定電流Icを印加し、チャンネル端子間電圧Viを測定する時の固定値電圧とする。
【0074】
ゲートドライバ回路113は4つ以上のレベルの電圧を出力することができる。また、時間とともに変化する三角波、サイン波等も出力することができる(図58(c)、図59(b)等)。
【0075】
ゲートドライバ回路113から出力されるVg信号電圧により、トランジスタ117は動作/非動作(オンオフ)動作する。トランジスタ117がオンしている期間に、トランジスタ117のチャンネル間に試験電流Id(Idm、Ids)が流れる。あるいは流すことができる。
【0076】
ゲートドライバ回路113は、可変抵抗回路125を有している。可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、0(Ω)から500(Ω)間で可変できる。また、ゲートドライバ回路113は一定電圧、あるいは時間的に変化する電圧に設定できるように構成されている。
なお、可変抵抗回路125は可変抵抗に限定されるものでななく、一定値の抵抗を示す固定抵抗回路等であっても良い。
ゲートドライバ回路113は、周期的に、時間的に変化する電圧に設定(出力)できるように構成されている。
【0077】
抵抗値Vrの両端の電圧を測定する電圧測定回路(図示せず)を有する。電圧測定回路により、トランジスタ117のゲート端子に流れるリーク電流等を測定することができる。
【0078】
トランジスタ117のゲート端子gとエミッタ端子eまたは、コレクタ端子c間に、抵抗R(図示せず)を配置してもよい。可変抵抗回路125の抵抗Rの値を調整することにより、ゲート信号の立ち上がり時、および立ち下がり時の電圧波形の傾斜角度を調整あるいは設定できる。
【0079】
ゲートドライバ回路113は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電圧Vgの立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。立ち上がり時間Trと立ち下がり時間Tdを別々に調整することによりトランジスタ117のオン時間、オン特性を所定値に制御する。
【0080】
以上のように、本発明の電気素子試験装置および試験方法は、トランジスタ117のゲート端子に接続された可変抵抗回路125の抵抗値、あるいはゲートドライバ回路113の立ち上がり時間/立ち下がり時間を制御、あるいは調整または設定することができる。
【0081】
図1等において、ゲートドライバ回路113の可変抵抗回路125の抵抗値Vrは可変できるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、可変抵抗回路125を外付け抵抗の固定抵抗素子とし、この抵抗をコネクタ(図示せず)等によりトランジスタ117のゲート端子gに接続してもよいことは言うまでもない。
【0082】
定電流回路118は、所定の定電流Icを流す。定電流IcはダイオードDi(Dim、Dis)あるいはダイオードDs・ダイオードDmに印加される。トランジスタ117の温度が変化するとダイオードDiの端子電圧が変化する。ダイオードDiの端子電圧Viをモニターすることにより、トランジスタ117の温度変化を測定あるいは観察することができる。温度、あるいは温度変化を温度情報Tjと呼ぶ。したがって温度情報Tjとは、端子間(トランジスタ117のコレクタ-エミッタ端子間、トランジスタ117のソース-ドレイン端子間)の電圧である。
たとえば、温度情報Tjは、図1等では、ダイオードDiのアノード-カソード端子間、またはトランジスタ117のコレクタ-エミッタ端子間の電圧である。
【0083】
ダイオードDiはトランジスタ117が形成された半導体チップに実装された別の半導体チップのダイオードであってもよい。ダイオードDiは、トランジスタ117の形成時に副次的に形成される寄生ダイオードを利用してもよい。
【0084】
サンプル接続回路203は、ゲートドライバ回路113、可変抵抗回路125、定電流回路118、オペアンプ(バッファ回路)116等が配置または形成されている。サンプル接続回路203は、制御回路(基板)519として構成しても良い。
【0085】
サンプル接続回路203は、試験を行うトランジスタ117に近い位置に配置できるように、デバイス制御回路209から分離され、コネクタ208の接続ピン206で電気的に接続されている。
【0086】
サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間の長さ(距離)は、100mm以下の短距離となるように配置されている。
【0087】
ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いとゲート端子gにノイズ等が重畳され、ノイズによりトランジスタ117が誤動作する場合がある。
【0088】
処理回路524は、制御回路基板519に形成または実装されている。半導体素子117は端子基板502に配置または実装されている。図5等に図示するように、端子基板502は、デバイス台503に取り付けられている。また、デバイス台503、制御回路基板519はスライド板505に取り付けられている。スライド板505は、図3図4等に図示するように、レールガイド507に沿って移動させ、恒温槽(筐体)523内に配置される。
スライド板505を槽内から引き出すことにより、試験対象の半導体素子の実装、取付け、取り外し、取り替えが容易になる。
【0089】
図1に示すように、ゲートドライバ回路113からトランジスタ117のゲート端子gにゲート信号Vgを印加する。ゲートドライバ回路113はオペアンプ回路(電圧バッファ回路)116を有している。
【0090】
図3図4等に図示するように、制御回路基板519は、本発明の電気素子試験装置の恒温槽(筐体)523内に配置される。必要に応じて、スライド板505は、フレームラック(図示せず)に取り付けられ、フレームラックが、恒温槽523の槽内526に配置される。スライド板505を前後に槽内526に挿入あるいは引き出すことにより、試験をする素子の取付け、取り外しを行う。
【0091】
恒温槽(筐体)523の上部には電源装置132、コントローラ回路111が組み込まれている。電源装置132等と槽内526とは隔壁214aで分離される。
【0092】
隔壁214にはノイズを吸収するシールド板、シールドフィルム等を形成または配置する。シールド板等により、電源装置、試験回路、試験半導体素子の誤動作を抑制できる。
【0093】
電源装置132、スイッチ回路基板201、トランジスタ117は動作/非動作を繰り返すことにより大きなノイズを発生する。ノイズにより、回路基板等が誤動作する。各室の隔壁を静電シールド、電磁シールドすることにより誤動作を防止できる。
本発明は、スイッチ回路124とスイッチ回路122とを同期を取って、動作させることにより、ノイズの発生を抑制し、試験装置の誤動作を防止する。
【0094】
静電シールド、電磁シールドは、導通を有する板、導電板(導体板)、導電フィルム、金属板、金属フィルム、金網を各室の周りあるいは隔壁214表面あるいは内部に取り付ける、あるいは形成ることにより実現する。
【0095】
サンプル接続回路203は、試験するトランジスタ117に近い位置に配置する。サンプル接続回路203にはコネクタ202bが配置されている。端子基板202にはコネクタ202aが配置されている。コネクタ202aとコネクタ202b間は同軸ケーブルあるいはシールドケーブルにより接続される。
【0096】
サンプル接続回路203は試験する各トランジスタ117に対応して個別に配置され、サンプル接続回路203はコネクタ202等により容易に取り外しが可能なように構成されている。
【0097】
定電流回路118はトランジスタ117のチャンネル間に配置または形成されたダイオードDiあるいはダイオードDs、ダイオードDmに定電流Icを供給する。あるいは、定電流回路118はトランジスタ117のチャンネル間に定電流Icを供給する。オペアンプ回路116はダイオードDiの端子電圧、あるいはトランジスタ117のチャンネル端子間の電圧をバッファリング(出力インピーダンスを低く)し、Vi電圧として出力する。
【0098】
Vi電圧は、温度測定回路115でアナログ-デジタル変換される。Vi電圧は、トランジスタ117の温度により変化する。したがって、Vi電圧を測定することより、トランジスタ117の温度を取得することができる。つまり、トランジスタ117の温度情報Tjを得ることができる。
【0099】
ダイオードあるいはトランジスタの端子電圧Viは温度測定回路115に印加される。温度測定回路115はダイオードの端子電圧Viからトランジスタ117の温度情報Tjを求め、あるいは温度を測定し、コントロール回路111に転送する。
ゲートドライバ回路113は、設定された周波数(オンオフ周期tcycle)、設定されたオン電圧をトランジスタ117のゲート端子gに印加する。
一実施態様として、図51(a)に図示するように、トランジスタ117のオンオフ周期は1tcycleであり、オン時間はtonである。
【0100】
本発明の実施例は、ゲートドライバ回路113が出力する電圧は、オン電圧V2、オン電圧V1、オフ電圧Voff(V0)である。ゲートドライバ回路113は3レベル以上の電圧を出力できる。たとえば、オン電圧V2、オン電圧V1、オフ電圧Voff1=0V、オフ電圧Voff1よりも低電圧のオフ電圧Voff2=-2Vが例示される。
【0101】
たとえば、図52の実施例では、ゲートドライバ回路113は、2種類の電位レベルのオン電圧(V1電圧、V2電圧)を発生し、トランジスタ117のゲート端子g(ゲート端子gm、ゲート端子gs)に印加する。
【0102】
オン電圧V1をゲート端子に印加し、次にオン電圧V2をゲート端子に印加する。オン電圧V2の印加により、トランジスタ117は強オン(トランジスタ117のチャンネル間抵抗がV1の場合よりも低下する)となる。あるいはトランジスタ117は所定の電圧によるオン状態となる。V1<V2の場合は、トランジスタ117のチャンネル間の抵抗は、V1の場合よりも小さくすることができる。V2電圧を印加時に定電流Icをトランジスタ117に供給し、トランジスタ117のチャンネル端子間の電圧Viを測定する。Vi電圧は、係数などを積算あるいは加算等の処理をされ、温度情報Tjとなる。
【0103】
ゲートドライバ回路113は4つ以上のレベルの電圧を出力することができる。また、時間とともに変化する三角波、サイン波等も出力することができる(図58(c)のt2~t3期間等)。また、ランダムに電圧Vgを変化させて、ゲート端子に印加することができる。
【0104】
ゲートドライバ回路113から出力されるゲート信号電圧Vgにより、トランジスタ117は動作/非動作(オンオフ)動作する。トランジスタ117がオンしている期間に、トランジスタ117のチャンネル間に試験電流Idが流す。
ゲートドライバ回路113は、可変抵抗回路125を有している。可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、0(Ω)から500(Ω)間で可変できる。
【0105】
図51図52図52の実施例のように、V2電圧の印加時と、V1電圧の印加時の値Vrを変化させるのは有効である。たとえば、一実施態様として、V1電圧印加時には抵抗Vrを300Ωに設定し、V2電圧印加時には抵抗Vrを20Ωに設定する。V2電圧印加時に、V1電圧印加時よりも低位抵抗の抵抗値をすることにより、トランジスタ117に流れる定電流Icでのチャンネル端子間電圧Viが安定する。抵抗Vrの抵抗値をゲート端子gに印加する電圧値(電圧V2、電圧V1等)に対応して設定する。
【0106】
トランジスタ117に試験電流Idを供給する時と、トランジスタ117に定電流Icを供給する時とで、ゲート端子gに接続する抵抗Vrの抵抗値を変化させる。あるいは抵抗Vrの抵抗値を異ならせる。あるいは変化させる。
【0107】
また、V1電圧からV2電圧に変化させる時、V1電圧印加時の抵抗VrとV2電圧印加時の抵抗Vrの変化タイミングとを同期して、抵抗値Vrを変化させる。抵抗値Vrを高く変化させると、突入電流、サージ電圧の発生を抑制できる。
【0108】
ゲート端子gに印加する電圧Vn、V0、V1、V2において、抵抗値Vrを変化させること、あるいは異ならせることにより、突入電流、サージ電圧の発生を抑制できる。また、抵抗値Vrを異ならせることにより、突入電流、サージ電圧を意図的に発生させることもできる。
【0109】
ゲートドライバ回路113は一定電圧、あるいは時間的に変化する電圧に設定できる。また、ゲートドライバ回路113は、周期的に、時間的に変化する電圧に設定(出力)できるように構成されている。
【0110】
また、ゲート端子gにV2電圧を印加している時の抵抗Vrの抵抗値とゲート端子gにV1電圧を印加している時の抵抗Vrの抵抗値を異なる値に設定することは有効である。抵抗値Vrの値により、トランジスタ117のチャンネル間の抵抗を設定でき、定電流Icを供給し、測定するチャンネル間電圧Viを安定化できる。
【0111】
トランジスタ117のゲート端子gとエミッタ端子e、またはコレクタ端子c間に抵抗R(図示せず)を配置してもよい。抵抗Rの値を調整することにより、ゲート信号の立ち上がり時、および立ち下がり時の電圧波形の傾斜角度を調整あるいは設定できる。また、突入電流、サージ電圧の発生を抑制できる。また、抵抗値を異ならせることにより、突入電流、サージ電圧を意図的に発生させることができる。
【0112】
ゲートドライバ回路113は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート信号電圧の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と、立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。立ち上がり時間Trと立ち下がり時間Tdを別々に調整することによりトランジスタ117のオン時間、オン特性を所定値に制御する。
【0113】
以上のように、本発明の電気素子(半導体素子)試験装置および試験方法は、トランジスタ117のゲート端子に接続された可変抵抗回路125の抵抗値Vr、あるいはゲートドライバ回路113の立ち上がり時間/立ち下がり時間を制御、あるいは調整または設定することができる。
【0114】
定電流回路118は、所定の定電流Icを流す。定電流IcはダイオードDiまたはトランジスタ117に印加される。トランジスタ117の温度が変化するとダイオードDiの端子電圧またはトランジスタのチャンネル端子間電圧が変化する。ダイオードDi等の端子電圧Viをモニターあるいは測定することにより、トランジスタ117の温度変化を測定あるいは観察することができる。
【0115】
トランジスタ117に試験電流Idを供給し、試験電流Idを供給した状態で、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vceを測定しても良い(図56等)。トランジスタ117のチャンネル間電圧Vceは、トランジスタ117の劣化あるいは発熱温度により電圧値が変化する。変化する電圧Viを測定し、温度係数K等を積算、加減算して温度情報Tjとする。
【0116】
ダイオードDiはトランジスタ117が形成された半導体チップに実装された別の半導体チップのダイオードDであってもよい。ダイオードDiは、トランジスタ117の形成時に副次的に形成される寄生ダイオードを利用してもよい。
【0117】
なお、温度情報Tjは、トランジスタ117等に配置あるいは実装されて温度測定回路115からの情報を使用しても良い。温度測定回路115は、熱電対、サーミスタ、ポジスタ等を温度センサ510として使用して構成されている。
【0118】
定電流Icでトランジスタ117が発熱することを防止するため、定電流Icはトランジスタ117のチャンネルに流す定電流Idよりも十分に小さい電流値にする。
【0119】
具体的には、定電流Icは試験時にトランジスタ117に流す電流Idの1/1000以下に設定する。好ましくは、トランジスタ117に流す電流Icは電流Idの1×10の1以上1×10の1以下にする。定電流Icは0.1mA以上100mA以下にする。
【0120】
チャンネル電流Idを変化させ、ダイオードDi等の電圧(トランジスタ117のコレクタ-エミッタ端子間電圧、ダイオードのカソード-アノード間電圧)を測定して、温度係数Kを求める。求められた温度係数Kは、温度測定回路115またはコントローラ回路111に記憶させる。
【0121】
図6図7に図示するように、半導体素子117下には、加熱冷却プレート134が配置されている。加熱冷却プレート134には循環水パイプ(図示せず)が組み込まれている。循環水パイプに流す冷媒(冷却水等)を循環させる。また、加熱冷却プレート134は、ペルチェ素子により冷却、加温できるように構成しても良い。
【0122】
加熱冷却プレート134はプレートに限定されるものではない。たとえば、中央部に半導体素子117を挿入できる形態あるいは構成であっても良い。加熱冷却プレート134は加熱または冷却のうち少なくとも一方の機能を有する温度調整器あるいは温度設定器の機能を有する物であれば、いずれの構成であっても良い。
【0123】
加熱冷却プレート134等で冷却すると、結露が発生する。したがって、試験をする半導体素子(電気素子)に、ドライエアを吹き付けてパワーサイクル試験等の試験を実施することが好ましい。
【0124】
加熱冷却プレート134はプレートに限定されない。たとえば、温度設定装置にトランジスタ117を挿入あるいは挟持させる構造あるいは装置であっても良い。加熱冷却プレート134には、冷却水等を循環させるパイプを配置しても良い。
【0125】
加熱冷却プレート134は、加熱させるためのオーブン、マントルヒーター、ホットプレート、電気炉、ヒータで構成しても良い。また、冷却させるために、ヒートポンプ、窒素冷却器で構成しても良い。
トランジスタ117等の試験サンプルは、加熱冷却プレートに挟持させてもよい。また、加熱冷却装置に試験サンプルを挿入して固定しても良い。
【0126】
加熱冷却プレート134は温度を一定に保つ、除湿するための機器も含まれる。たとえば、恒温水槽、循環式恒温水槽、インキュベーター、除湿装置が該当する。また、加湿するための機器も含まれる。
ヒートパイプ223と密着させて放熱を良好なものとするため、ヒートパイプ223と端子基板502間等に放熱グリス516を塗布することも有効である。
試験をする半導体素子117を配置する空間には、ドライエアを注入することが好ましい。または、試験をする素子にドライエアを吹き付ける。
【0127】
ヒータ加熱制御系は、一つの制御点に対して目標温度(SV)と測定温度(PV)が一致するようにPID制御演算を行い、ヒータ供給電力を制御する。
半導体素子の試験・評価をする場合には、ヒータと冷却機構を同時に制御する必要が生じる。本発明における加熱冷却制御は、1台の調節器で加熱出力と冷却出力の2系統の出力を操作し制御する。
【0128】
温度係数Kは、トランジスタ117を加熱冷却プレート134等で所定温度にし、ダイオードDiに定電流Icを流して、コレクタ端子とエミッタ端子電圧を測定する。前記所定温度を変化させ、かつ、ダイオードDiの端子電圧を測定することにより、トランジスタ117の温度に対するダイオードDiの端子電圧Viを取得できる。したがって、温度に対するダイオードDiの端子電圧Viからトランジスタ117の温度係数Kを求めることができる。
【0129】
定電流Icは、チャンネル電流Idが流れていない時にダイオードDiに流す。つまり、トランジスタ117がオンしていない時に、定電流Icを流してダイオードDiの端子間電圧Viを測定する。オペアンプ回路(バッファ回路)116は、ダイオードDiの端子電圧Vi(端子c-端子e)を出力する。
【0130】
なお、オペアンプ回路116は、オペアンプ素子から構成されるものに限定されない。入力インピーダンスよりも出力インピーダンスが低いものであればいずれのものでもよい。
【0131】
温度測定回路115は保持されている温度係数Kと電圧Viから、試験を実施しているトランジスタ117の温度または温度情報Tjを求める。あるいは温度測定回路115が出力する温度を温度情報Tjとする。
【0132】
求められた温度情報Tjはコントロール回路(コントローラ)111に送られる。コントロール回路(コントローラ)111は、温度または温度情報Tjが所定設定値以上になった場合、トランジスタ117が所定のストレス状態、あるいは劣化状態となったと判断し、試験の制御変更あるいは試験の停止等を行う。
【0133】
図2図22の実施例は、図1の実施例にスイッチ回路124を配置した構成である。図2の実施例において、スイッチ回路124d、スイッチ回路124b、スイッチ回路124cはスイッチ回路の記号を使用している。
【0134】
スイッチ回路122、スイッチ回路124はクローズ(オン)した時の抵抗(オン抵抗)が小さいものであれば、スイッチ回路として使用できる。たとえば、トランジスタ、メカニカルリレー、ホトトランジスタ、ホトダイオードスイッチ、ホトMOSリレー等が例示される。
スイッチ回路124は、パワーMOSFETを使用することが特に好ましい。MOSFETはチャンネル間の電圧(Vsd)が小さく好ましい。
【0135】
スイッチ回路124dがオン(クローズ)すると、電源配線212bと電源配線212c間が短絡し、短絡電流Imが流れる。スイッチ回路124dのオンにより、電源配線212bと電源配線212c間の電荷を放電させることができる。また、トランジスタ117mのエミッタ端子とコレクタ端子間を短絡し、チャージされた電荷を放電させることができる。
【0136】
スイッチ回路124cがオン(クローズ)すると、電源配線212bと電源配線212c間が短絡し、短絡電流Imが流れる。スイッチ回路124cのオンにより、電源配線212bと電源配線212c間の電荷を放電させることができる。また、トランジスタ117sのエミッタ端子とコレクタ端子間を短絡し、チャージされた電荷を放電させることができる。
【0137】
スイッチ回路124bがオン(クローズ)すると、電源配線212cと電源配線212a間が短絡し、短絡電流Imが流れる。スイッチ回路124bのオンにより、電源配線212cと電源配線212a間の電荷を放電させることができる。また、半導体モジュール117の端子間を短絡し、チャージされた電荷を放電させることができる。
【0138】
半導体モジュール117の試験を開始する際には、スイッチ回路124をオン(クローズ)させから、試験を開始する。また、半導体モジュール117の試験を終了する際も、スイッチ回路124をオン(クローズ)させる。半導体モジュール117の試験中は、スイッチ回路124をオフ(オープン)させる。
【0139】
スイッチ回路124のオン状態、オン状態は、接点スイッチ529と連動する。接点スイッチ529がオン状態でない場合は、スイッチ回路124はオン状態を維持し、試験をするトランジスタ117に試験電流Idは印加されない。また、電源装置132のオンオフ状態と連動する。
【0140】
電源装置132は、扉527の開閉状態と連動する。扉527がオープンの時は、スイッチ回路124はオン状態を維持し、試験をするトランジスタ117には電流は供給されない。連動は接点スイッチ529等により検出して実施する。
スイッチ回路124aがオフすることにより、電源装置132が出力する試験電流Idがトランジスタ117に供給される。
【0141】
スイッチ回路122、スイッチ回路124はスイッチ回路基板201に実装あるいは形成されている。図示していないが、スイッチ回路基板201には導体板204が取付けられている。スイッチ回路124の各端子は導体板204に接続されている。導体板(銅バー)204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。導体板204の長さは、一例として、250mmである。
【0142】
図11(a)に図示するように、フォークプラグ205と導体板204とは機械的(メカニカル)に嵌合させることにより電気的接続を実現する。フォークプラグ205のU字部は、導体板204に差し込まれる際、わずかにU字部が広がり、あるいは適正に接触し、良好にフォークプラグ205と導体板204が接合あるいは嵌合される。
【0143】
フォークプラグ205と導体板204との接続箇所、フォークコネクタ528と導体板204との接続箇所は、接触抵抗が発生する場合がある。接触抵抗があると接続部で発熱する。
【0144】
図12に図示するように、接触抵抗による発熱対策のため、導体板204には凹部が形成され、凹部にヒートパイプ223が配置あるいは設置されている。導体板204には凹部が形成され、ヒートパイプ223が配置あるいは設置されている。
【0145】
なお、図13に図示するように、導体板204内に、ヒートパイプ223を配置あるいは設置しても良い。ヒートパイプ223は導体板204と重ねて構成しても良い。
【0146】
図13に図示するように、フォークプラグ205には接続ボルト219が取り付けられている。接続ボルト219等に接続配線211が接続される。あるいは嵌合される。
【0147】
導体板204とフォークプラグ205とは、フォークプラグ205に形成された接触部220a、接触部220bで接触する。接触部220はリン青銅、ニッケル合金で構成され、ばね性を有している。接触部220の表面は金メッキあるいは銀メッキが施されている。メッキにより接続部220の電気的安定度が向上する。
【0148】
導体板204の表面の凹部(図示せず)には、ヒートパイプ223が密着されている。導体板204の表面と223に熱伝導性グリス、放熱用シリコーンオイルコンパウンドを塗付してもよい。
【0149】
凹部(図示せず)にはめ込むようにヒートパイプ223が配置されている。凹部にヒートパイプ223を配置することによりヒートパイプ223が損傷するリスクが低下する。
導体板204の線膨張率は、ヒートパイプ223パイプの線膨張率よりも小さい材料が採用されている。
【0150】
導体板204は、試験時に加熱される。ヒートパイプ223も加熱される。加熱により、ヒートパイプ223が膨張する。ヒートパイプ223材料が凹部内で膨張が大きくなりヒートパイプ223が凹部により強固にはめ込まれる。したがって、ヒートパイプ223がはずれることがない。
【0151】
導体板204の材料として、銅(線膨張率16.8)、黄銅(線膨張率19)、鉄(線膨張率12.1)、ステンレス(SUS304)(線膨張率17.3)が例示される。ヒートパイプ223の材料として導体板204より線膨張率が大きい材料、たとえば、アルミニウム(線膨張率23)、錫(線膨張率26.9)、鉛(線膨張率29.1)が例示される。
【0152】
中でも、導体板204の材料として、銅(線膨張率16.8)、ヒートパイプ223の材料として、アルミニウム(線膨張率23)を採用することが好ましい。導体板204材料として、金属以外のカーボンなどを採用することもできる。
ヒートパイプ223は、密閉容器内に少量の液体(作動液)を真空密封し、内壁に毛細管構造(ウイック)を備えたものである。
作動液として、純水の他、メタノール(メチルアルコール)、アセトン、ナトリウム、水銀、フロン系冷媒、アンモニアを使用してもよい。
ウイック材には、アルミニウム、銅、ステンレス、焼結合金、金網、発泡メタル、セラミック等が用いられる。
【0153】
図3図4は本発明の電気素子試験装置の構成図および説明図である。電気素子試験装置の恒温槽(筐体)523全体を模式的に図示している。図4において、恒温槽(筐体)523の扉は図示することを省略し、筐体の内部の構成あるいは配置状態を明示できるように図示している。
本発明の電気素子試験装置の筐体(恒温槽等)523の左右の側面部には、加熱冷却機器部522が配置されている。また、加湿、除湿機能を有する。
【0154】
加熱冷却機器部522は、加熱させるための恒温乾燥機・オーブン、マントルヒーター、ホットプレート、電気炉、ヒータを保有する。また、冷却させるための凍結乾燥機、冷却機器、冷蔵庫・冷凍庫を保有する。
【0155】
加熱冷却機器部522は、温度を一定に保つ、除湿するための機器も含まれる。たとえば、恒温水槽、循環式恒温水槽、インキュベーター、除湿装置が該当する。また、加湿あるいは除湿するための機器も含まれる。
【0156】
ヒータ加熱制御系は、一つの制御点に対して目標温度(SV)と測定温度(PV)が一致するようにPID制御演算を行い、ヒータ供給電力を制御する。
半導体素子の試験・評価をする場合には、ヒータと冷却機構を同時に制御する必要が生じる。本発明における加熱冷却制御は、1台の調節器で加熱出力と冷却出力の2系統の出力を操作し制御する。
【0157】
加熱冷却機器部522は、恒温槽(筐体)523の側面部の左右に配置されている。ファン(気体攪拌装置、気体撹拌機等)525を有し、槽内525に加熱された空気、あるいは冷却された空気を循環させる。また、槽内525に湿度を所定の湿度にするための加湿器、除湿器を有し、加湿あるいは除湿した空気を槽内525に循環させる。
【0158】
槽内525には、ファン227を有している。ファン227は、スライド板505の下部位置に配置され、スライド板505上に配置された半導体素子(電気素子)117を所定温度に維持あるいは所定温度に変更・設定する。恒温槽(筐体)523の背面の隔壁214aには、導体板204が取付けられている。あるいは穴に導体板204が挿入されている。
【0159】
導体板204は、フォークコネクタ528の位置に対応するように、配列されている。トランジスタ117が3端子の場合、図4図14の導体板204位置の点線で示すように、3つの導体板204を1組として導体板204が配置される。1組はトランジスタ117の数だけ配置される。
【0160】
図4では、スライド板505に4個のトランジスタ117が実装され、導光板204の組が4組配置され、3枚のスライド板505が配置された例を示している。
【0161】
導体板204位置を距離H(間隔H(図9等を参照))に配置することにより、フォークコネクタ528と導体板204の接続性が良好になる。また、背面に高密度に導体板204を配置できる。
【0162】
トランジスタ117の試験に流す試験電流は数十アンペア(A)と大きい。そのため、電源配線212、接続配線211は太い配線を使用する必要がある。太い配線は剛性があり、硬いため折り曲げが困難である。トランジスタ117の3つの端子に供給する3本の接続配線211は、抵抗値差がないようにトランジスタ117の端子とフォークコネクタ528とを電気的に接続する必要がある。そのため、接続配線211は最も短い長さ、かつ直線状に結線することが好ましい。
【0163】
図4図9のように、導体板204を距離Hの間隔で、図8のように接続配線211を配置、結線することにより、接続配線211を最も短い長さ、かつ直線状に結線できる。
図5図15に図示するように、スライド板505はレールガイド507沿って移動し、レールガイド507に固定できる。
【0164】
図15に図示にするように、スライド板505には、カムフォロア506が取り付けられている。スライド板505の先端部近傍に、カムフォロア506a1、カムフォロア506a2は位置がずれて配置されている。
【0165】
カムフォロア506a1とカムフォロア506a2との間にレールガイド507が挿入される。カムフォロア506b1とカムフォロア506b2との間にレールガイド507が挟み込まれる。
【0166】
以上のように、スライド板505の先端部から、スライド板505がレールガイド507に挿入される。次に、レールガイド507がカムフォロア506b1とカムフォロア506b2との間にレールガイド507が入り、スライド板505がレールガイド507に導入される。カムフォロア506c、カムフォロア506dはレールガイド507を下から支える。
スライド板505は、カムフォロア506a2、カムフォロア506b2、カムフォロア506c、カムフォロア506d上を移動する。
【0167】
スライド板505には、取手518が取り付けられている。取手518を持つことにより、スライド板505を恒温槽(筐体)523の手前から奥(隔壁214a)に移動させることができる。あるいは、取手518を持つことにより、スライド板505を恒温槽(筐体)523の奥(隔壁214a)から手前に移動させることができる。スライド板505を手前に移動することにより、トランジスタ117等の試験サンプルを取り外し、実装あるいは配置することが容易にできる。
【0168】
図5(a)に図示するように、扉527を開き、スライド板505をレールガイド507に挿入する。スライド板505をレールガイド507に沿って、隔壁214aに押し込む。
【0169】
スライド板505を押し込むことにより、フォークコネクタ528に導電板(導体板)204が差し込まれ、フォークコネクタ528と導電板(導体板)204とが嵌合等されて電気的に接続される。導電板(導体板)204は、銅、アルミニウム、鉄などの金属で構成することが好ましい。
スライド板505を押し込む際に、フォークコネクタ528等が、接点スイッチ529
【0170】
を押さえる。接点スイッチ529は押さえられることにより、フォークコネクタ528と導電板(導体板)とが電気的に接続されたことを検知し、確認ランプ530が点灯する(図5(b))。
確認ランプ530は、図3図4図42図45等に図示するように、恒温槽(筐体)523の外面、あるいは前面カバー753に取り付けられている。
【0171】
図5(b)に図示するように、フォークコネクタ528と導電板(導体板)204とが接続され際に、接点スイッチ529が押され、確認ランプ530が点灯する。フォークコネクタ528と導電板(導体板)204との接続が離れると、接点スイッチ529は開放され、確認ランプ530が消灯する。接点スイッチ529の状態に応じて、コントローラ回路111は、試験の制御を設定(開始、停止等)あるいは変更(試験の種類の変更等)する。
図6図8は、端子基板502、接続配線211、フォークコネクタ528等の配置状態、構成を示す説明図である。
【0172】
フォークコネクタ528は、接続ボルト219でコネクタ台504に取り付けられている。コネクタ台504は固定穴531で、スライド板505に固定されている。
【0173】
図8では、一例として端子基板502に4個の半導体素子117が配置されている。半導体素子117の素子端子226は、押圧具501で押圧され、素子接続部535と素子端子226とが圧接されて電気的に接続されている。
【0174】
押圧具501等は、図26図29等で説明する構成を使用できることは言うまでもない。あるいは置き換えできることは言うまでもない。また、押圧具501等は、図32図34図35の接続金具722等の構成、図34の接続金具ピン781の構成等を使用できること、あるいは置き換えできることは言うまでもない。また、図6図7図8等の構成に図25図40の構成を適時使用すること、また、組み合わせることができる。
【0175】
また、図1図18の構成に、図41図50の構成を適時使用すること、また、組み合わせることができる。また、図63の構成を本発明の実施例に適用できることは言うまでもない。
【0176】
また、図6図8の押圧具501は、図29図36の構成と置き換えできることは言うまでもない。あるいは組み合わせることができることは言うまでもない。また、図24図40で説明した事項ありは構成は、図6図16の実施例に適用できること、あるいは組み合わせることができることは言うまでもない。
以上のように、本明細書、本図面等で説明する実施例は、一部または全部を相互にあるいは組み合わせて実施例を構成できることは言うまでもない。
端子基板226はデバイス台503に積載され、端子基板226、デバイス台503は、固定穴532により、スライド板505に固定されている。
接続配線211は、直線状となるように、フォークコネクタ528とランド515とを電気的に接続する。
図8のように接続配線211を配置すること、また、結線することにより、接続配線211を最も短い長さ、かつ直線状に結線できる。
【0177】
フォークコネクタ528は、導体板204と電気的に接続される。電気的接続時に、導体板204による押圧が印加される。デバイス台503とコネクタ台504は、距離が離れている。また、同一のスライド板505に取り付けられている。デバイス台503とコネクタ台504とは緩衝性のあるように接続配線211で接続されている。
【0178】
そのため、フォークコネクタ528と導体板204との接続時に、フォークコネクタ528に圧力が印加されても、デバイス台503上に実装されているため、半導体素子117が位置ずれを起こすことがない。
【0179】
図4図17図18図46に図示するように、各スライド板505の下には、ファン227が配置され、制御回路基板519等を冷却あるいは加温する。あるいは、ファン227から、冷風、温風等を電気素子117に吹き付け、試験をする電気素子117を冷却あるいは加熱する。スライド板505には、開口部537を形成し、ファン227からの風をスライド板505の開口部537から電気素子(半導体素子)117に吹き付ける。
なお、ファン227は試験をする電気素子(半導体素子)117の側面から風を吹き付けても良い。また、半導体素子117の上面から風を吹き付けても良い。
【0180】
図18は、図10の構成のように、導体板204を縦長方向に配置した実施例の模式図、および説明図である。左端のレールガイド507にはスライド板505は配置されていない状態を図示している。
【0181】
図17は、図8の構成のように、導体板204を横長方向に配置した実施例の模式図、および説明図である。左端のレールガイド507にはスライド板505は配置されていない状態を図示している。
【0182】
本明細書、図面において導体板204として説明するが、板形状に限定されるものではなく、棒状のもの、円筒状のもの、銅箔状のものであってもよい。ソケット、コネクタ等の構造物であってもよい。また、導体板204をフォークプラグ形状として接続してもよい。また、円柱あるいはパイプ状に構成または形成しても良い。導体板204とフォークプラグ528等は先端部を嵌合、圧着、圧接、嵌合させて電気的に接続する。
【0183】
導体板204は恒温槽等の恒温槽(筐体)523の内部と恒温槽(筐体)523の外部とを電気的に接続し、導体板204を介して、電源装置132からの試験電流、試験電圧が供給される。あるいは、図63に図示するように、スイッチ回路基板201に導体板204が実装あるいは配置される。
【0184】
導体板204は、隔壁214aから取外しができるように構成または配置されている。隔壁214aに形成された穴の周囲にウレタン樹脂が形成または配置され、導体板204が隔壁214から絶縁されると共に、導体板204が圧入される。
図8図10に図示するように、導体板204は抜けないように、隔壁214aに設けられた凸部と接続ボルト219で固定されている。
【0185】
スライド板505には、カムフォロア506が取付けられている。スライド板505はレールガイド507に沿って、恒温槽の槽内525に挿入、恒温槽523の槽内525から取出しできるように構成されている。
【0186】
図1図5の構造あるいは構成を、本発明の図28図48の実施例に適用できることは言うまでもない。また、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
図9図10は、フォークコネクタ528等の位置等を説明する構成図および説明図である。
【0187】
試験と行う半導体モジュール117が、一例として図22(b)の場合、3端子を接続配線211で接続する必要がある。3本の接続配線211には、各フォークコネクタ528が接続される。図8に説明するように、接続配線211を短距離、かつ直線状に配置するため、3つのフォークコネクタ528(フォークコネクタ528a、フォークコネクタ528b、フォークコネクタ528c)は、距離Hの段差を持たせて配置あるいは設置する。また、導体板204(導体板204a、導体板204b、導体板204c)は、距離Hの段差を持たせて配置あるいは設置する。
【0188】
なお、図6図7の構造に、図23図24図25図26図27等の実施例を適用できることは言うまでもない。また、図6図7の構造に、図29図38実施例を適用できることは言うまでもない。
【0189】
接続配線211は図16に図示するように、フォークコネクタ528(フォークコネクタ528a、フォークコネクタ528b、フォークコネクタ528c)の位置(段差H)に適応して結線される。
【0190】
図15図16に図示するように、フォークコネクタ528(フォークコネクタ528a、フォークコネクタ528b、フォークコネクタ528c)は、保持具520に取り付けられ、また、保持具520に固定されている。
【0191】
保持具520は図15に図示するように、前後(前:+ 後:-)に移動調整できるように構成されている。保持具520を移動させることにより、図3図5で説明したように、スライド板505の移動により、適正に接点スイッチ529が押圧されるようにすることができる。
【0192】
フォークコネクタ528と導体板204との接続状態は、接点スイッチ529で検出し、また状態把握をする。接点スイッチ529が押圧されることにより、接点スイッチ529がオンし、確認ランプ530が点灯する。
【0193】
図9は、導体板204を横長方向に配置した実施例である。フォークコネクタ528はコネクタ台504に固定されている。フォークコネクタ528aはコネクタ台504aに固定され、フォークコネクタ528bはコネクタ台504bに固定され、フォークコネクタ528cはコネクタ台504cに固定される。
コネクタ台504a、コネクタ台504b、コネクタ台504bは、段差Hとなるようにスライド板505に取り付けられている。
【0194】
接続配線211aは、半導体モジュール117の素子端子226aと電気的に接続される。接続配線211bは、半導体モジュール117の素子端子226bと電気的に接続される。接続配線211cは、半導体モジュール117の素子端子226cと電気的に接続される。
【0195】
導体板204aには接続具536aが接続ボルト219で取り付けられている。導体板204bには接続具536bが接続ボルト219で取り付けられている。導体板204cには接続具536cが接続ボルト219で取り付けられている。各ボルト219には電源装置132からの試験電圧(試験電流)が供給される。なお、ボルトはネジである。
【0196】
導体板204は隔壁214aを貫通し、恒温槽(筐体)523の内部と外部とを結ぶ電路の役割も有する。導体板204の一方にフォークコネクタ528が接続され、他方に接続具536またはフォークプラグ205が接続される。接続具536またはフォークプラグ205には接続ボルト219が取付けられている。接続ボルト219は、電源配線212を接続する。
図9は導体板204を横長方向に配置した実施例である。図10は、導体板204を縦長方向に配置した実施例である。
【0197】
図11(a)に図示するように、3つの導体板204の組が配置される。3つの導体板204は距離Hで配置される。距離Hで配置し、段差を持たせることにより、導体板204の配置の配置を省スペース化することができる。
【0198】
試験をする電気素子117がスライド板505に配置され、スライド板505は取り外しができるため、電気素子117の接続、固定が容易である。また、電気素子117の接続状態の確認も容易である。
【0199】
電気素子117をスライド板505に固定し、スライド板505を槽内526のレールガイド507に沿って、はめ込むことにより、容易に導体板204と電気的接続を取ることができる。
【0200】
導体板204とフォークコネクタ528等との接続状態は接点スイッチ529のオンオフ状態、および接点スイッチ529の状態を表示する確認ランプ530の点灯状態で確認できる。
【0201】
導体板204にはフォークプラグ205が接続される。導体板204aにはフォークプラグ205aが接続される。導体板204bにはフォークプラグ205bが接続される。導体板204cにはフォークプラグ205cが接続される。
フォークプラグ205には、接続ボルト219で取り付けられている。各ボルト219には電源装置132からの試験電圧(試験電流Id)が供給される。
【0202】
導体板204は隔壁214aを貫通し、恒温槽(筐体)523の内部と外部とを結ぶ電路の役割も有する。導体板204の一方にフォークコネクタ528が接続あるいは嵌合され、他方にフォークプラグ205が接続あるいは嵌合される。
【0203】
図11(a)は、図10の構成において、恒温槽(筐体)523の背面側からの構成を図示した説明図である。導体板群517には、3つの導体板204が配置されている。導体板204は、半導体素子117等の3つの素子端子226にそれぞれが対応する。
【0204】
導体板204は縦長方向に配置されている。導体板204にはフォークプラグ205が差し込まれる。導体板204とフォークプラグ205が電気的に接続されることにより、電源装置132からの試験電流Id(試験電圧)が半導体素子117に印加できるようになる。
【0205】
図11(b)は恒温槽(筐体)523の背面部を上側から図示した説明図である。フォークプラグ205と導体板204との接続位置(選択する導体板204)は、図11(b)に図示するように、隔壁214bに形成あるいは配置された開口部216にフォークプラグ205を差し込むことにより実現する。たとえば、開口部216aにフォークプラグ205を差し込むことにより、導体板204aと接続あるいは嵌合できる。
【0206】
フォークプラグ205は、試験を実施する半導体素子117の位置に対応させて取り付ける。半導体素子117を試験する電流は大電流であり、大電流を流す接続配線211、電源配線212は太く、硬い。そのため、試験を実施する半導体素子117の位置に対応させて、接続配線211、電源配線212の結線を変更することは容易でない。
【0207】
本発明では、開口部216に挿入するフォークプラグ205を変更するだけで、試験をする半導体素子117との結線が容易に実施、あるいは変更することができる。
【0208】
試験するトランジスタ117に流す電流は数百アンペアと大きいため、使用する接続配線211の太さも太い。そのため、太い接続配線211、電源配線212は硬い。そのため、接続配線211、電源配線212は接続変更が容易でない。
【0209】
本発明の電気素子試験装置では、隔壁214bの任意の開口部216に、フォークプラグ205を挿入する。フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置を変更することにより、任意のトランジスタ117と接続できる。
【0210】
したがって、トランジスタ117の試験条件による接続変更は、接続配線211を結線変更する必要がなく、フォークプラグ205を挿入する開口部216の位置の変更だけでよい。
【0211】
フォークプラグ205と導体板204との接続箇所、接続具536と導体板204との接続箇所フォークコネクタ528と導体板204との接続箇所は、接触抵抗が発生する場合がある。接触抵抗があると接続部で発熱する。
【0212】
図12に図示するように、接触抵抗による発熱対策のため、導体板204には凹部が形成され、凹部にヒートパイプ223が配置あるいは設置されている。導体板204には凹部が形成され、ヒートパイプ223が配置あるいは設置されている。
【0213】
なお、図13に図示するように、導体板204内に、ヒートパイプ223を配置あるいは設置しても良い。ヒートパイプ223は導体板204と重ねて構成しても良い。また、導体板204、フォークコネクタ528、フォークプラグ205を冷却するファン(図示せず)を配置または設けても良い。また、これらのいずれかに放熱フィンを配置または設けても良い。
【0214】
図12図13の実施例は、導体板204にヒートパイプ223を配置または構成するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、導体板204、接続具536にヒートパイプ223を形成または配置しても良いことは言うまでもない。
【0215】
図8では、一例として端子基板502に4個の半導体素子117が配置されている。半導体素子117の素子端子226は、押圧具501で押圧され、素子接続部535と素子端子226とが圧接されて電気的に接続されている。
端子基板226はデバイス台503に積載され、端子基板226、デバイス台503は、固定穴532により、スライド板505に固定されている。
接続配線211は、直線状となるように、フォークコネクタ528とランド515とを電気的に接続する。
図8のように接続配線211を配置、接続配線211と結線することにより、接続配線211を最も短い長さ、かつ直線状に電気的に接続することができる。
【0216】
1組のデバイス台503、コネクタ台504は、1つのスライド板505に取り付けられている。スライド板505ごとに、レールガイド507から抜き差しすることより、容易に恒温槽(筐体)523内に、試験をする半導体素子117を設置、実装、設定、また取り外しをすることができる。
【0217】
図14に図示するように、恒温槽(筐体)523の背面には、スライド板505に対応する導体板204からなる導体板群517が配置されている。スライド板505aには4つの半導体素子117が配置され、3つの導体板204が4組からなる導体板群517aが、スライド板505aに対応して配置または構成されている。
【0218】
スライド板505bには4つの半導体素子117が配置され、3つの導体板204が4組からなる導体板群517bが、スライド板505bに対応して配置または構成されている。
【0219】
スライド板505cには4つの半導体素子117が配置または積載され、3つの導体板204が4組からなる導体板群517cが、スライド板505cに対応して配置または構成されている。
【0220】
図14は、以上から構成される試験機部533が3段に構成、または配置された状態を模式的に図示している。一番下は試験機部533aであり、中段は試験機部533bであり、一番上が試験機部533cである。
【0221】
試験機部533は、それぞれスライド板505に積載された試験をする半導体素子117群を配置する単位である。したがって、図14の実施例では、スライド板505は3×3=9であり、最大同時に試験できる半導体素子117(電気素子117)は、3×3×4=36個となる。
【0222】
以上の実施例は、導体板204を使用する構成であった。本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図19に図示するように、ソケットコネクタを使用しても良い。図19は、図9図10の構成に対応した構成の説明図である。
【0223】
隔壁214aにソケットコネクタ(メス)509が取付けられている。接続配線211とソケットコネクタ(オフ)508は電気的に接続されている。接点スイッチ529等の説明に不要な箇所は省略している。
【0224】
本明細書、図面において、説明に不要な箇所、部位、記述を省略し、また、図示を省略することがある。また、各実施例は全部あるいは一部を組み合わせることができる。また、本発明の実施例は、それぞれの実施例と組み合わせることができ、また、一部を変更して実施することができる。
【0225】
スライド板505を恒温槽(筐体)523の背面に向かった押し込むことにより、ソケットコネクタ(メス)509とソケットコネクタ(オス)508とが電気的に接続される。
【0226】
以上の実施例では、導体板204が恒温槽(筐体)523の背面の隔壁214aを貫通、あるいは挿入した構成であった。本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図20に図示するように、導体板204が隔壁214aの内側までの構成であっても良い。
【0227】
恒温槽(筐体)523の内側にある隔壁214bの開口部216にフォークプラグ205が挿入されて、フォークプラグ205と導体板204とが電気的に接続される。
【0228】
図3に図示するように、恒温槽(筐体)523の上部には、電源装置132とコントローラ回路111が配置されている。電源装置132は、電気素子117に試験電流、試験電圧を供給する。図2の実施例では、スイッチ回路基板201が配置される。
コントローラ回路111は電源装置132の制御、電気素子117(半導体素子117、トランジスタ117)等を制御あるいは試験条件を設定する。
【0229】
コントローラ回路111は、電気素子117(トランジスタ117)の温度情報Tjが所定値となるように、電流Id、ゲート電圧Vg、コレクタ-エミッタ間電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、パワーサイクル試験等を実施する。
【0230】
図4において、2台の電源装置132a、電源装置132bを図示している。電源装置132は2台に限定されるものではない。本発明の電気素子試験装置において、1台以上の電源装置132を保有させる。また、電源装置132の台数が増加するほど、多種多様な試験電流Idを発生させることができる。
【0231】
本発明の実施例において、電源装置132は定電流Idを出力するものに限定されるものではない。たとえば、電源装置132に最大(リミット)電圧を設定できるものを使用する。一定の条件で、設定された最大電圧において、所定の定電流を出力できるように機能させることが例示される。
【0232】
試験電流Idの定電流を出力する場合に、出力端子電圧を所定の最大電圧を設定できる構成にされることが例示される。また、トランジスタ117の試験状態に連動して、出力電流、出力電圧を変化させることができる。
【0233】
試験をするトランジスタ117のゲートリーク電流、チャンネル間電圧Vce、チャンネル間抵抗等が、所定値の範囲以外あるいは所定値以上となった場合、スイッチ回路124をオンまたはオフさせること、電源装置132をオンまたはオフさせることを実施する。スイッチ回路124をオンすることにより、試験電流または試験電圧が供給され、スイッチ回路124をオンすることにより、試験電流または試験電圧の供給が停止される。
電源装置132は、トランジスタ117等の半導体素子(電気素子)117を試験するための大電流の試験電流Idを出力する。
【0234】
電源装置132は、コントロール回路(コントローラ)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給する。電源装置132は、出力する最大電圧値を設定することができる。
【0235】
トランジスタ117のゲート端子に印加するオン電圧とオフ電圧を周期的(1周期tcycle)にすることにより、トランジスタ117にパルス状の試験電流Idを印加することができる。
【0236】
図3は、本発明の恒温槽(筐体)523を側面方向から見た本発明の電気素子試験装置の構成図および説明図である。恒温槽(筐体)523の背面には導体板204が配置されている。スライド板505を扉527から背面側に押し付けることにより、フォークコネクタ528と導体板204とが嵌合され、電気的に接続される。
フォークコネクタ528と導体板204との嵌合状態あるいは接続状態は、接点スイッチ529で検出する。
【0237】
図5は、導体板204とフォークコネクタ528との接続方法を説明する説明図である。スライド板505には、制御回路基板519、端子基板502、コネクタ台504が取付けられている。
【0238】
フォークコネクタ528はコネクタ台504に取り付けられている。端子基板502はデバイス台503に取り付けられている。コネクタ台504と端子基板502間は、接続配線211で接続されている。
【0239】
フォークコネクタ528は導体板204と接続または脱着される。その際、押圧あるいは伸張圧がかかる。本発明はフォークコネクタ528が取付けられたコネクタ台504と、端子基板502が取付けられたデバイス台503が分離されて、スライド板505に取り付けられている。また、端子基板502とフォークコネクタ528間は接続配線211で結線されている。
【0240】
フォークコネクタ528は導体板204と接続または脱着される際の機械的圧力等は、端子基板502に影響することがなく、また、接続配線211で、機械的圧力等が吸収される。したがって、トランジスタ117の電気的な接続状態は良好に維持できる。
図3図5に図示するように、扉527を開閉することにより、スライド板505が槽内526に挿入/脱着あるいは配置/除去される。
【0241】
スライド板505はカムフォロア506とレールガイド507により、レールガイド507上を移動する。恒温槽(筐体)523の背面の隔壁214aには、導体板204が取付けられている。スライド板505上には、導体板204と電気的接続を取るフォークコネクタ528が配置されている。
【0242】
スライド板505には、取手518が配置されている。取手518により、スライド板505をレールガイド507に容易に挿入することができる。また、スライド板505を槽内526に挿入すること、槽内526から取り出すことが容易になる。
スライド板505を筐体の背面方向に押し込むことにより、フォークコネクタ528と導体板204とが嵌合し、電気的接続が取られる。
【0243】
隔壁214bには、フォークプラグ205を挿入する開口部216が形成されている。開口部216からフォークプラグ205を挿入することにより、フォークプラグ205と導体板204とが電気的に接続される。
【0244】
フォークコネクタ528と導体板204とが電気的に接続されると、確認ランプ530が点灯する。確認ランプ530の点灯は、コントローラ回路111により制御される。確認ランプ530が点灯する。
【0245】
図5(a)は、扉527が開いている状態である。図5(b)は、扉527が閉じている状態である。図5(a)のように扉527が開いている状態から、図5(b)の扉527を閉じている状態にする。扉527により、スライド板505が押されて、フォークコネクタ528が導体板204に押し付けられ、フォークコネクタ528と導体板204が電気的に接続される。
【0246】
図3図11に図示するように、恒温槽(筐体)523の背面から突き出た導体板204には、フォークプラグ205が接続される。フォークプラグ205は、隔壁214bの開口部216から差し込まれる。差し込まれたフォークプラグ205と、フォークプラグ205の位置に対応する導体板204が接続される。
【0247】
したがって、どの導体板204と電気的に接続を取るかは、フォークプラグ205を挿入する隔壁214bの開口部216を決めることにより容易に実施、変更することができる。
【0248】
図4において、加熱冷却機器部522は恒温槽(筐体)523の左右の側面部に配置される。加熱冷却機器部522は、筐体内の湿度を所定値にする機能を有する。
【0249】
加熱冷却機器部522は、加熱させるための恒温乾燥機・オーブン、マントルヒーター、ホットプレート、電気炉、ヒータ等を保有する。また、冷却させるための凍結乾燥機、冷却機器、冷蔵庫・冷凍庫を保有する。
【0250】
加熱冷却機器部522は、加温、冷却、加湿、除湿するための機器も保有する。たとえば、恒温水槽、循環式恒温水槽、インキュベーター、除湿装置が該当する。
【0251】
図6図7は、本発明の電気素子試験装置のデバイス取付け部の構造図および説明図である。図6(a)、図7(a)は、端子基板502部から見た平面図である。図6(b)、図7(b)は、図6(a)、図7(a)のAA’線での断面図である。
プリント基板である端子基板502には素子挿入部534が開口されている。素子挿入部534にトランジスタ117等の試験をする電気素子が挿入される。
【0252】
素子挿入部534に下には、加熱冷却プレート134が配置されている。加熱冷却プレート134により、試験をする電気素子117は加熱冷却プレート134に密着し、試験時に所定温度に維持される。
【0253】
トランジスタ117には、温度測定回路(温度測定器、温度取得部)の温度センサ510が取付けられている。温度センサにより、トランジスタ117の温度が測定され、試験時に温度管理される。
端子基板502は固定穴514により、デバイス台503にネジ等で固定される。デバイス台503はスライド板505にネジ、ボルト等により固定される。
【0254】
端子基板502には、ランド515と素子接続部535を接続する配線パターン511等が形成されている。また、端子基板502にコネクタ202aが実装されている。
図6に図示するように、トランジスタ117の素子端子226と素子接続部535は位置合わせされて固定される。
【0255】
位置合わせした部分には、絶縁材料からなる押圧具501が固定穴514aにネジ止めされて固定される。押圧具501の絶縁材料としてフェノール、ベークライト等が例示される。押圧具501により、素子端子226と素子接続部535とが電気的に接続される。
図7に図示するように、ランド515の中央部の固定穴512に固定ネジ221が取付けられ、接続配線211が電気的に接続される。
【0256】
図7は、図6の押圧具501の部分に、ヒートパイプ223が取り付けられている。ヒートパイプ223により、電気素子117の素子端子226部に発生した熱を伝熱あるいは放熱させることができる。ヒートパイプ223は、固定穴514で取付け、固定する。
【0257】
試験をするトランジスタ117の温度、または温度情報Tjが所定値となるように、コントローラ回路111は、試験電流Id、定電流Ic、ゲート電圧Vg、コレクタ端子-エミッタ端子電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、試験を実施する。
【0258】
温度情報Tjが変化あるいは所定値まで変化すると、トランジスタ117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、トランジスタ117の試験を停止、あるいは制御方法を変更する。
【0259】
たとえば、温度情報Tjの変化で、トランジスタ117の特性変化を判定あるいは判定する。また、電圧Vceが所定電圧になる時間、トランジスタ117の破壊までの時間等からトランジスタ117の特性変化、信頼性、寿命を評価する。
【0260】
本発明の半導体の試験方法において、トランジスタ117の劣化あるいは特性変化にあわせて外部条件を変える。たとえば、トランジスタ117が発熱した場合は加熱冷却プレート134の温度を下げる、あるいはトランジスタ117に流れる電流を少なくする。トランジスタ117の劣化、特性変化が進まず、結果、トランジスタ117の寿命が延びる。したがって、所定設定条件に対するトランジスタ117の寿命、信頼性特性を定量的に測定、判断することができる。
【0261】
加熱冷却プレート134の循環水を加温または冷却することにより、トランジスタ117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。試験条件に対応してトランジスタ等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、または加熱する。
【0262】
試験トランジスタの温度情報Tjを測定し、測定した温度情報Tjを一定値に維持するように、加熱冷却プレート134を制御する。加熱冷却プレート134の結露対策として、試験室あるいは槽内にドライエアを注入する。あるいは、サンプル(試験対象デバイス)117にドライエアを吹き付ける。
【0263】
加熱冷却プレート134は、水や熱媒体の液温度を管理しながら、熱媒体等を循環させることにより、機器等の温度を一定に保つ。加熱冷却プレート134は主に冷却に用いる場合が多いが、冷やすだけでなく加温することもできる。加熱冷却プレート134は、様々な温度の制御を実施できるように構成されている。
【0264】
図1図2に図示するように、隔壁214aには、導体板204を挿入する穴が形成されている。隔壁214bには、フォークプラグ205を挿入する穴が形成されている。
【0265】
図3図4に図示するように、恒温槽(筐体)523の上部には、半導体素子117に試験電流、試験電圧を供給する電源装置132と、半導体素子117等を制御あるいは試験条件を設定するコントローラ回路111を有している。
【0266】
半導体素子117の温度情報Tjが所定値となるように、コントローラ回路111は、電流Id、ゲート電圧Vg、電圧Vceを変化させて試験の条件を設定し、試験を実施する。
コントローラ回路111は、電源装置132を制御し、電源装置132は、試験をする半導体素子117に試験電圧または電流を供給する。
【0267】
温度情報Tjが所定比率の変化あるいは所定値まで変化すると、半導体素子117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、半導体モジュール117、半導体素子117の試験を停止、あるいは、試験方法、制御方法を変更する。
【0268】
加熱冷却プレート134の循環水を加温または冷却することにより、半導体素子117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。また試験条件に対応して半導体素子等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、また加熱する。また、半導体素子117の温度情報Tjを測定し、測定した温度情報Tjを一定値に維持するように、加熱冷却プレート134を制御する。
【0269】
本発明の電気素子試験装置および電気素子の試験方法は、一例として、図22に図示するような多種多様な半導体素子117、半導体モジュール117に対応できる。図22の半導体素子117は、大電流が印加あるいは出力される端子P電極端子、O電極端子、N電極端子を有する。
図22は半導体素子の概観図と等価回路図である。図22(a1)(a2)は、1つのトランジスタ117とダイオードDiを有する構成である。
【0270】
図22(b1)(b2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDim、ダイオードDis)を有する構成である。
【0271】
図22(c1)(c2)は、トランジスタ117(トランジスタ117mまたはトランジスタ117s)とダイオードDi(ダイオードDimまたはダイオードDis)を有する半導体素子の端子を接続することにより、複数のトランジスタを連結して試験を行う構成である。
【0272】
図22(d1)(d2)は、トランジスタ117(トランジスタ117m、トランジスタ117s)とトランジスタの端子と独立した端子を持つダイオードD(ダイオードDs、ダイオードDm)を有する構成である。
【0273】
図22(e1)(e2)は、トランジスタ117(トランジスタ117mまたはトランジスタ117s)とトランジスタの端子と独立した端子を持つダイオードD(ダイオードDmまたはダイオードDs)を有する半導体素子の端子を接続することにより、複数のトランジスタを連結して試験を実施する構成である。
【0274】
トランジスタ117に流す試験電流Idは電源装置132を動作させることにより供給する。電源装置132はコントロール回路(コントローラ)111からの信号により動作/非動作(オン/オフ)制御される。また、電流Idの出力と非出力とが切り替えられる。
【0275】
本発明の電気素子試験装置および電気素子の試験方法では、図22(b)、図22(d)ように、1パッケージに複数個のトランジスタを有する半導体素子117、図22(c)、図22(e)のように、複数のトランジスタ素子を接続した半導体モジュール117であっても本実施例が適用できることは言うまでもない。
【0276】
トランジスタ117のエミッタ端子eは接地(グランド)されているとして説明をする。トランジスタ117のゲート端子gには、ゲートドライバ回路113が接続されている。
【0277】
サンプル接続回路203は、コネクタ202の接続ピン206でトランジスタ117と接続されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間は、100mm以下の短距離となるように配置されている。ゲートドライバ回路113とトランジスタ117のゲート端子g間が長いと、ゲート端子gにノイズ等が重畳され、ノイズによりトランジスタ117が誤動作する。
【0278】
図21は、図1図2等の本発明の半導体試験装置のスイッチ回路124等の各要素部の接続状態を示すブロック図および説明図である。図21において、スイッチ回路124d、スイッチ回路124b、スイッチ回路124cはスイッチ回路の記号を使用している。
スイッチ回路124またはスイッチ回路122は、プリント基板等のスイッチ回路基板201に実装または配置されている。
【0279】
スイッチ回路122、スイッチ回路124は、クローズ(オン)した時の抵抗(オン抵抗)が小さいものであれば、スイッチ回路として使用できる。たとえば、トランジスタ、メカニカルリレー、ホトトランジスタ、ホトダイオードスイッチ、ホトMOSリレー等が例示される。
【0280】
スイッチ回路122、スイッチ回路124は、パワーMOSFETを使用することが特に好ましい。MOSFETはチャンネル間の電圧(Vsd)が小さく好ましい。
スイッチ回路122、スイッチ回路124には、放熱のため放熱板(図示せず)が取り付けられる。
【0281】
スイッチ回路124dがオン(クローズ)すると、電源配線212bと電源配線212c間が短絡し、短絡電流Im’が流れる。スイッチ回路124dをオンさせることにより、トランジスタ117mのチャンネル端子間の電荷を放電することができる。また、電源装置132bの出力端子間の電荷を放電させることができる。
【0282】
スイッチ回路124eは、電源装置132bを試験装置から切り離すスイッチ回路である。スイッチ回路124eをクローズすることにより、電源装置132bの出力電流Idをトランジスタ117mに供給できる。スイッチ回路124eをオフ(オープン)することにより、本発明の半導体試験装置から切り離すことができる。
【0283】
スイッチ回路124dのオンにより、電源配線212bと電源配線212c間の電荷を放電させることができる。また、トランジスタ117mのエミッタ端子とコレクタ端子間を短絡し、チャージされた電荷を放電させることができる。電荷の放電により電流Imが発生する。
【0284】
スイッチ回路124cがオン(クローズ)すると、電源配線212bと電源配線212c間が短絡する。スイッチ回路124cのオンにより、電源配線212bと電源配線212c間の電荷を放電させることができる。また、トランジスタ117sのエミッタ端子とコレクタ端子間を短絡し、チャージされた電荷を放電させることができる。電荷の放電により電流Imが発生する。
【0285】
スイッチ回路124bがオン(クローズ)すると、電源配線212cと電源配線212a間が短絡し、短絡電流Imが流れる。スイッチ回路124bのオンにより、電源配線212cと電源配線212a間の電荷を放電させることができる。また、半導体モジュール117の端子間(トランジスタ117sのコレクタ端子とトランジスタ117mのエミッタ端子間)を短絡し、チャージされた電荷を放電させることができる。
【0286】
半導体モジュール117の試験を開始する際には、スイッチ回路124をオン(クローズ)させから、試験を開始する。また、半導体モジュール117の試験を終了する際も、スイッチ回路124をオン(クローズ)させる。半導体モジュール117の試験中は、スイッチ回路124をオフ(オープン)させる。
【0287】
スイッチ回路124のオン状態、オフ状態は、接点スイッチ529と連動する。接点スイッチ529がオン状態でない場合は、スイッチ回路124はオン状態を維持し、試験をするトランジスタ117に試験電流Idは印加されない。また、電源装置132(電源装置132a、電源装置132b)のオンオフ状態と連動する。
【0288】
扉527の開閉状態と連動する。扉527がオープンの時は、スイッチ回路124b、スイッチ回路124dはオン状態を維持することにより、電源装置132の出力電圧(電流)は、試験をするトランジスタ117には電流は供給されない。連動は接点スイッチ529等により検出して実施する。または、スイッチ回路124e等の出力スイッチはオープン状態が維持される。
【0289】
スイッチ回路122bをオンすることにより、電源装置132aが出力する試験電流Idがトランジスタ117sに供給される。スイッチ回路122aをオンすることにより、電源装置132bが出力する試験電流Idがトランジスタ117mに供給される。あるいは、スイッチ回路124cおよびスイッチ回路122aがオン、することにより、電源装置132aが出力する試験電流Idがトランジスタ117mに供給される。
【0290】
スイッチ回路122、スイッチ回路124はスイッチ回路基板201に実装あるいは形成されている。スイッチ回路122(スイッチSWa)がオンすることにより、電源装置132の電源回路121が出力する定電流Idが試験回路に供給される。
【0291】
スイッチ回路124は、図63に図示するようにスイッチ回路基板201に形成されている。スイッチ回路124bはスイッチ回路基板201bに配置されている。スイッチ回路基板201bには、導体板204cおよび導体板204dが取り付けられている。フォークプラグ205eは隔壁214の開口部216から挿入されている。フォークプラグ205dは導体板204cと電気的に接続されている。フォークプラグ205dと導体板204dと電気的に接続されている。
【0292】
スイッチ回路124dはスイッチ回路基板201dに配置されている。スイッチ回路基板201dには、導体板204aおよび導体板204bが取り付けられている。フォークプラグ205bは導体板204bと電気的に接続されている。
【0293】
スイッチ回路124cはスイッチ回路基板201cに配置されている。スイッチ回路基板201cには、導体板204eおよび導体板204df取り付けられている。フォークプラグ205aは導体板204eと電気的に接続されている。
【0294】
スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132の出力が短絡され、電源装置132が出力する試験電流Idはグランドに流れる。スイッチ回路124aのオンにより試験する半導体素子部品117の端子間の電荷、電源装置132の電荷が放電される。サージ電圧、過渡電流等の発生が抑制される。
【0295】
スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132aの出力が短絡され、電源装置132aの電荷等が放電される。スイッチ回路124c、スイッチ回路124dが同時にオンすることによっても、電源装置132aの出力が短絡され、電源装置132aの電荷等が放電される。この構成あるいは方法の場合は、スイッチ回路124bは不要である。
【0296】
また、スイッチ回路124cとスイッチ回路124dがオンになるタイミングをずらすことも有効である。たとえば、スイッチ回路124cがスイッチ回路124dより先にオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。次に、スイッチ回路124dがオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。あるいは、スイッチ回路124dがスイッチ回路124cより先にオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間が短絡する。次に、スイッチ回路124cがオンすることによりトランジスタ117sのチャンネル間が短絡する。順次短絡することより、半導体素子部品117に発生するサージ電圧等の発生が、より抑制される。
スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132aが出力する電流Idが試験電流Idとして半導体モジュール117に供給できるようになる。
フォークプラグ205は、隔壁214の開口部216から挿入され、スイッチ回路基板201と電気的に接続される。
【0297】
図63に図示するように、スイッチ回路124はスイッチ回路基板201に実装されている。スイッチ回路124は導体板204(金属板、導電板)に接続されている。
【0298】
導体板204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。長さは、回路基板幅+フォークプラグ205を接続する幅を有している。なお、導体板204は板状に限定されるものではない。フォークプラグ205と導体板204が電気的に接続を取れるものであれば、いずれのものでもよい。たとえば、導体板204は棒状あるいは球状などであってもよい。
【0299】
スイッチ回路122、スイッチ回路124には2つの導体板204間に配置されている。導体板204はスイッチ回路基板201に実装あるいは配置されている。
【0300】
スイッチ回路124の各端子は導体板204に接続されている。導体板(銅バー)204は、一例として厚み5mm、幅50mmの銅からなる板である。導体板204の長さは、一例として、250mmである。
図23(a)は半導体素子のパッケージの外観図である。図23(b)は半導体素子の等価回路図である。
【0301】
図23(a)に図示するように、半導体素子(電気素子)117のパッケージには放熱板を取り付ける穴702が形成されている。半導体素子117は素子取付け台500に配置または取り付けられる。
【0302】
一例として図23では、端子226aはコレクタ(C)である。素子端子226bはエミッタ(E)である。端子226cはカソード(K)である。素子端子226gはゲート(G)である。
【0303】
図24に図示するように、複数の半導体素子(電気素子)117が素子取付け台500に配置される。半導体素子(電気素子)117と半導体素子(電気素子)117間にはシールド板705が配置される。また、コレクタ端子(C)226aとエミッタ端子(E)226b間にシールド板705が配置される。
【0304】
シールド板705は図25に図示するように、銅、鉄あるいはアルミニウムで構成された導体シート(あるいは導体箔、導体板、導電板)709の表面に絶縁シート(あるいは絶縁膜、絶縁板)708が配置または形成された構成である。導体シート709は、所定電位あるいはグランド電位と接続されて電位固定される。
【0305】
シールド板705は金属板(導体板)あるいは金属フィルム(導体シート)であっても良い。その場合は、シールド板705と押圧具501等の導電物と接触しないように、シールド板705と押圧具501間等に絶縁物あるいは絶縁シートは配置あるいは形成することが好ましい。
【0306】
本発明の半導体試験装置(パワーサイクル試験装置)は、試験対象物に高電流あるいは高電圧を供給して試験を実施する。高電流が流れると、あるいは高電圧が印加されるとノイズが発生し、試験状態が不安定になる。また、半導体試験装置(パワーサイクル試験装置)がノイズにより誤動作する。
【0307】
高電圧または高電流のノイズが発生し易い箇所は、コレクタ端子(C)とエミッタ端子(E)間である。コレクタ端子(C)、エミッタ端子(E)には高電流が流れる。
【0308】
隣接した配置された半導体素子間にも、ノイズの影響が大きい。図24のように、複数の半導体素子を並べて、試験を実施する場合、すべての半導体素子117が同時に同一の動作を行う場合は少ない。一例として複数の半導体素子117は、順次、試験電流Idが供給される。たとえば、試験電流Idは、半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117c、半導体素子117d、半導体素子117e、半導体素子117f、半導体素子117a・・・・・と流れる。
【0309】
図24に複数の半導体素子117が配置されて試験が実施される場合、半導体素子117cに試験電流が供給され、オンオフ制御されていると、隣接した半導体素子117d、半導体素子117bにノイズが印加され、隣接した半導体素子117d、半導体素子117bに誤動作が発生し易い。
【0310】
図24の実施例では、半導体素子117のコレクタ端子(C)とエミッタ端子(E)間にシールド板705aが配置している。隣接した半導体素子117間に、シールド板705bが配置している。
【0311】
本発明は、隣接した半導体素子117間にシールド板705を配置することにより、試験電流等を供給して試験を実施している半導体素子117に隣接した半導体素子117の誤動作を防止することができる。隣接したシールド板705は別電位と設置することにより、更に誤動作、ノイズから防止できる。
図27に図示するように、素子取付け台500に凹凸を形成し、凹部、凸部に半導体素子117を配置することも有効である。
【0312】
素子取付け台500は、板状の第を、凹部を切削加工することにより形成または構成する。図27の実施例では、凸部に半導体素子117a、半導体素子117cを配置し、凹部に半導体素子117bを配置する。
【0313】
半導体素子117を凸部、凹部に配置することにより、隣接した半導体素子117の距離を平面に配置した場合に比較して、距離を長くすることができる。距離が長くなると隣接して配置された半導体素子への輻射ノイズの影響が低減される。
【0314】
素子取付け台500の凹部に半導体素子117bを配置し、凸部に半導体素子117a、半導体素子117cを配置する。半導体素子117a、半導体素子117b、半導体素子117cを平面に配置する状態と比較して、半導体素子117aと半導体素子117b、半導体素子117bと半導体素子117cの距離を長くすることができる。
また、コレクタ端子(C)とエミッタ端子(E)間にシールド板705を配置することにより、各半導体素子117の誤動作は発生しない。
【0315】
半導体素子117のゲート端子(G)とカソード端子(K)間に絶縁板704cが配置されている。半導体素子117のカソード端子(K)とエミッタ端子(E)間に絶縁板704bが配置されている。
半導体素子117の端子226間は隙間が狭い。端子226間に絶縁板704を配置することにより、接触を防止できる。
【0316】
図25に図示するように、シールド板705cの導体シート709bは所定電位に固定されている。シールド板705aの導体シート709aは所定電位に固定されている。シールド板705bの導体シート709bは所定電位に固定されている。
【0317】
カソード端子(K)、ゲート端子(G)は、ピンコネクタ707が差し込まれ、図26に図示するように、接続配線211と素子端子226が接続される。図26において、ゲート端子(G)226dと接続配線211bが接続され、カソード端子(K)226cと接続配線211aが接続される。
【0318】
図28は本発明の半導体試験装置において、半導体素子117を実装する取付け部の説明図である。図28は、一例として、デバイス台503に試験をする6個の半導体素子117を配置し、デバイス台503等を装置のスライド板505と取り付けるローレット付きナット(ネジ)714を配置している。
【0319】
ローレット付きナット(ネジ)714bはデバイス台503をスライド板505に取り付ける。ローレット付きナット714aは端子基板502、デバイス台503をスライド板505に取り付ける。デバイス台503を用いず、スライド板505に直接に取り付けても良い。デバイス台503の裏面には、放熱フィン538が配置され、必要に応じて半導体素子117から発生する熱を放熱させる。
【0320】
半導体素子117のコレクタ端子226aとエミッタ端子226b間には、シールド板705aまたはシールド板705bが配置される。また、シールド板705間には押圧具支柱(押圧具固定支柱)が配置される。
【0321】
図29は、図28に押圧具501を配置した構成図である。押圧具501は、半導体素子(半導体モジュール)117の素子端子226と電気的に接続を取るために使用する。押圧具501は金属あるいは導電性材料で形成または構成される。
【0322】
一例として図1等に図示するように、試験をする半導体モジュール117は、上トランジスタ117sと下トランジスタ117mで構成される。上トランジスタ117sのエミッタ端子(E)と下トランジスタ117mのコレクタ端子(C)とが電気的に接続される。上トランジスタ117sのコレクタ端子(C)は電源装置132の電圧出力に接続され、下トランジスタ117mのエミッタ端子(E)はグランドあるいは電源装置132の接地端子と接続される。
【0323】
押圧具501は少なくとも素子端子226と接触する面は金属または導電材料で構成あるいは形成されている。押圧具501はケーブルコネクタ712が取付けられる。
【0324】
図26に図示するように、押圧具501bは、上トランジスタ117sのエミッタ端子(E)と下トランジスタ117mのコレクタ端子(C)を圧接して電気的に接続される。押圧具501aは、下トランジスタ117mのエミッタ端子(E)を圧接して電気的に接続される。押圧具501cは、上トランジスタ117sのコレクタ(C)を圧接して電気的に接続される。
以上の押圧具501に関する事項、構成は、図6図7図8等の実施例にも適用できることは言うまでもない。
【0325】
図26図30に図示するように、押圧具501cにはケーブルコネクタ712aと介して電源配線212が接続される。押圧具501bにはケーブルコネクタ712bと介して電源配線212が接続される。押圧具501aにはケーブルコネクタ712cと介して電源配線212が接続される。したがって、ケーブルコネクタと押圧具501aが接続され、押圧具501aと下トランジスタ117mのエミッタ端子(E)が電気的に接続される。
【0326】
また、ケーブルコネクタと押圧具501bが接続され、押圧具501bと上トランジスタ117sのエミッタ端子(E)と下トランジスタ117mのコレクタ端子(C)が電気的に接続される。また、ケーブルコネクタと押圧具501cが接続され、押圧具501cと上トランジスタ117cのコレク端子(C)が電気的に接続される。
【0327】
図26に図示するように、上トランジスタ117aのカソード端子(K)211a、ゲート端子(G)226dには、ピンコネクタ707aが接続されている。ピンコネクタ707aには、接続配線211a、接続配線211bが接続されている。接続配線211aは上トランジスタ117aのカソード端子(K)と電気的に接続され、接続配線211bは上トランジスタ117aのゲート端子(G)と電気的に接続される。
【0328】
下トランジスタ117bのカソード端子(K)211a、ゲート端子(G)226dには、ピンコネクタ707aが接続されている。ピンコネクタ707bには、接続配線211a、接続配線211bが接続されている。接続配線211aは下トランジスタ117bのカソード端子(K)と電気的に接続され、接続配線211bは下トランジスタ117bのゲート端子(G)と電気的に接続される。
【0329】
図29は、図28の説明図に対して、押圧具支柱(押圧具固定支柱)717に押圧具501を挿入し、留め具737で押圧具501を固定した状態の説明図である。押圧具501は、留め具737で締め付けられ、押圧具501が素子端子226に押し付けられる。押圧具501が素子端子226に押し付けられることにより、半導体素子117と電気的に接続される。
【0330】
図30図31は、押圧具501に電源配線212を取り付けた状態の説明図である。図31において、図31(a)は、半導体素子117の実装部を上側から見た状態での構成図である。図31(b)は、半導体素子117の実装部を正面側から見た状態での構成図である。図31(c)は、半導体素子117の実装部を側面側から見た状態での構成図である。押圧具501と電源配線212とは、ケーブルコネクタ712とネジ(図示せず)等で接続される。
【0331】
図39図40に図示するように、押圧具501(押圧具501a、押圧具501b、押圧具501c)の上面には、固定板802が配置される。固定板802は絶縁物で構成あるいは形成される。セラミック、ベークライト、エンジニアプラスチックが例示される。
【0332】
固定板802は、押圧具501群の両端に配置されたスペーサ台801(スペーサ台801a、スペーサ台801b)に固定ネジ759で取り付けられる。スペーサ台801(スペーサ台801a、スペーサ台801b)の高さは、押圧具501の高さと略一致する高さである。
【0333】
スペーサ台801(スペーサ台801a、スペーサ台801b)をスペーサあるいは支持柱として、固定板802が配置される。固定板には、ネジ穴(図示せず)が形成されている。ネジ穴には、圧力調整具757、圧力調整具758が取付けられている。
【0334】
圧力調整具757、圧力調整具758はボルト形状である。圧力調整具の頭部を右回転させることにより、先端部が下方向に移動し、圧力調整具758の先端部が押圧具501を押圧する。押圧により押圧具501が押され、押圧具501と素子端子226の密着性が高くなり、良好な電気的接続状態が維持される。また、圧力調整具758により、押圧具501位置を固定することができる。
【0335】
圧力調整具758の頭部を左回転させることにより、先端部が上方向に移動し、圧力調整具758の先端部が押圧具501から離れる。圧力調整具758の先端部が押圧具501から離れることにより、押圧具501を取り外しできる。
【0336】
図39において、引き出しピン760は素子端子226と接続されている。引き出しピン760aは素子端子226a(コレクタ(C)端子)と接続されている。引き出しピン760bは素子端子226b(エミッタ(E)端子)と接続されている。引き出しピン760cは素子端子226c(カソード(K)端子)と接続されている。引き出しピン760aは素子端子226a(ゲート(G)端子)と接続されている。
【0337】
引き出しピン760aで素子端子226a(コレクタ(C)端子)の信号波形を観察することができる。引き出しピン760bで素子端子226b(エミッタ(E)端子)の信号波形を観察することができる。引き出しピン760cで素子端子226c(カソード(K)端子)の信号波形を観察することができる。引き出しピン760aで素子端子226a(ゲート(G)端子)の信号波形を観察することができる。
【0338】
図30の実施例では、電源配線212をデバイス台503に対して垂直方向に引き出した実施例である。図39図40の実施例では、図示するように、電源配線212をデバイス台503に対して水平方向に引き出した実施例である。
【0339】
押圧具501a、押圧具501cにはネジ穴が形成されている。このネジ穴にケーブルコネクタ712を配置し、ネジでケーブルコネクタ712と押圧具501cとを接続して固定する。
【0340】
図29図30の実施例は、押圧具501で半導体素子117の素子端子226と圧接により接続を行う構成であった。図32は半導体素子117の素子端子226を接点金具721で電気的に接続する実施例の構成図である。
素子端子226と接続する接続部は、接点金具721、接続金具722、押圧ネジ728、接続ピン724等で構成される。
【0341】
接点金具721と接続金具722間に素子端子226aまたは素子端子226bが挿入される。押圧ネジ728を回すことにより、接点金具721は押し下げられ、接点金具721と接続金具722間に素子端子226が狭持(挟持)される。
【0342】
素子端子226と接触する接触面(接点金具721の接触面、接続金具722の接触面)には、突起がローレット加工により形成されている。それぞれ、突起は接触面の全面にわたり、複数の突起が形成されている。突起の数は、25~100〔個/cm〕であることが好ましく、50~75〔個/cm〕であることが更に好ましい。それぞれの複数の突起を介して接触することにより、電流が特定箇所に集中することなく分散して流れ、発熱が抑制される。
【0343】
接続金具722はネジ穴710が形成され、ケーブルコネクタ712と接続金具722とがネジ穴に差し込まれたネジ725で固定される。接続ピン724は接続金具722に差し込まれ、接続ピン724は留めネジ723で固定される。接続ピン724で、素子端子226に印加されている電圧をモニターできる。
【0344】
図33は、素子端子226との接続状態を説明する説明図である。接点金具721には金具軸711が形成され、金具軸711は接続金具722の軸穴713に挿入されている。接点金具721の位置は、押圧ネジ728の挿入量により調整される。押圧ネジ728を押し下げることにより接続金具722と接点金具721間が狭まり、押圧ネジ728を押し上げることにより、接続金具722と接点金具721間が広がる。金具軸711は軸穴713で位置が略固定される。
【0345】
図26は、カソード端子226cおよびゲート端子226dに直接にピンコネクタ707を挿入し、カソード端子226cと接続配線211aとを接続し、ゲート端子226dと接続配線211bとを接続した構成であった。
【0346】
図26に図示するように、ゲート端子226d、カソード端子226c、エミッタ端子226b間は、エミッタ端子226bとコレクタ端子226a間に比較して狭い。そのため、ゲート端子226d、カソード端子226c、エミッタ端子226bとの接続は、半導体素子117の位置ずれ等が発生すると、接触不良が発生し易い。
図34図35は、ゲート端子226d、カソード端子226c、エミッタ端子226bと接触を取るための接続金具ピン781部の構成図である。
【0347】
分離固定板782は、プラスチック等の樹脂材料、絶縁材料で形成あるいは構成されている。分離固定板782には、A部およびB部(A部の反対面)に、接続金具ピン781を挿入する部分が形成あるいは構成されている。
【0348】
分離固定板782のA部に接続金具ピン781aが挿入される。分離固定板782のB部に接続金具ピン781bが挿入される。接続金具ピン781aの下面と素子端子(カソード端子)226cが接触して電気的に接続される。接続金具ピン781bの下面と素子端子(ゲート端子)226dが接触して電気的に接続される。
【0349】
図34に図示するように、分離固定板782のA部に接続金具ピン781aが配置され、分離固定板782のB部に接続金具ピン781bが配置されて一体化される。分離固定板782のC部の下面に接続金具ピン781のD部が接触し、接続金具ピン781を素子端子226に押さえつけて、接触が取られる。
図26は、カソード端子226cおよびゲート端子226dに直接にピンコネクタ707を挿入し、素子端子226と接続配線211とを接続した構成である。
【0350】
図34の構成では、接続金具ピン781のピンが上側に配置されている。上向きに配置された接続金具ピン781aのピン部および接続金具ピン781bのピン部にピンコネクタ707を挿入し、接続金具ピン781aと接続配線211aとを接続し、接続金具ピン781bと接続配線211bとを接続する。
【0351】
図36は、分離固定板782のA部に接続金具ピン781aを配置し、分離固定板782のB部に接続金具ピン781bが配置して一体化し、素子端子226dおよび素子端子226cと接触させた状態を上側から図示した説明図である。
【0352】
図34の実施例では、接続金具ピン781aのピン部が上向きであるため、コネクタ707との脱着が容易である。接続金具ピン781で素子端子226に印加されている信号をモニターできる。
【0353】
図37図38は、端子基板502に図34図35で説明した分離固定板782を配置した構成図および説明図である。端子基板502は固定板ピン784で位置決めされる。端子基板502の半導体素子117の素子端子226が配置される。分離固定板782のネジ穴783に固定板支柱756が取付けられる。固定板ピン784には、スペーサ台801がはめ込まれる。
【0354】
接続金具ピン781bと素子端子226d(ゲート端子(G))とを電気的に接続することができる。接続金具ピン781aと素子端子226c(カソード端子(K))とを電気的に接続することができる。
【0355】
図26に図示して説明したように、下トランジスタ117mのエミッタ端子(E)は押圧具501aで接続される。押圧具501bで、下トランジスタ117mのコレクタ端子(C)と上トランジスタ117sのエミッタ端子(E)が接続される。上トランジスタ117sのコレクタ端子(C)は押圧具501cで接続される。
【0356】
図41は、デバイス台503をスライド板505に取り付け、デバイス台503に試験をする半導体素子(電気素子)117を配置(実装)した実施例および説明図である。
【0357】
図41の実施例は、図42に図示するように、スライド板505はフレーム枠751に2個取り付けられている。ただし、スライド板505は、図3図4に図示するように、3個以上を取付けできるように構成しても良い。また、図3図14に図示するように、多段の配置できるように構成しても良い。
【0358】
スライド板505には、取手518が取り付けられている。取手518を使用することにより、スライド板505をフレーム枠751の手前から奥(隔壁214a)に移動させることができる。また、取手518を使用することにより、スライド板505をフレーム枠751の奥(隔壁214a)から手前に移動させることができる。スライド板505を手前に移動することにより、トランジスタ117等の試験サンプルを取り外し、実装あるいは配置することが容易にできる。
なお、取手518は、スライド板505等を引き出せるように、あるいは挿入できるように構成されたものであればいずれの構成であっても良い。
扉527を開き、スライド板505をレールガイド507に挿入する。スライド板505をレールガイド507に沿って移動させる。
【0359】
スライド板505を押し込むことにより、接点スイッチ529と接続検出部738が接触あるいは接続される。接点スイッチ529は押さえられること等により、スライド板505がフレーム枠751に適切に挿入されたことを検出し、確認ランプ530が点灯する。
【0360】
確認ランプ530aは左側のスライド板505と連動し、確認ランプ530bは左側のスライド板505と連動する。また、スライド板505の位置、接点スイッチ529は、図45に図示するように、筐体本体の確認ランプ530cと連動する。
スライド板505、レールガイド507、カムフォロア506およびこれらを用いた構成、方式等は、図1図21等で説明しているので説明を省略する。
【0361】
電源装置132、スイッチ回路124、スイッチ回路122のオン状態、オフ状態は、接点スイッチ529と連動する。接点スイッチ529がオン状態でない場合は、スイッチ回路124はオン状態を維持し、試験をするトランジスタ117に試験電流Idは印加されない。また、電源装置132は試験電流(試験電圧)を出力しない。また、スイッチ回路122はオンされない。接点スイッチ529は電源装置132のオンオフ状態と連動する。
【0362】
接点スイッチ529は、扉527の開閉状態と連動する。扉527がオープンの時は、スイッチ回路124はオン状態を維持し、試験をするトランジスタ117には電流は供給されない。連動は接点スイッチ529等により検出して実施する。また、電源装置132は試験電流Idを出力しない。
【0363】
処理回路524は制御回路基板519に配置される。処理回路524mは、トランジスタ117mに信号を印加し、トランジスタ117mを制御、処理する。処理回路524sは、トランジスタ117sに信号を印加し、トランジスタ117sを制御、処理する。
処理回路524は、主としてサンプル接続回路203、デバイス制御回路209から構成される。
【0364】
一例として、ゲートドライバ回路113が出力する電圧は、オン電圧V2、オン電圧V1、オフ電圧Voff(0V)である。オフ電圧Voff(0V)は0V以下のマイナス電圧(Vn)にも設定できる。ゲートドライバ回路113は3レベル以上の電圧を出力できる。また、図54図59に図示するように1周期で変化させることができる。
【0365】
スライド板505の前面カバー753には、信号ケーブルコネクタ712が配置される。信号コネクタ712には、半導体素子117のゲート信号電圧Vg等が供給される。信号コネクタ712に供給された信号は、図46に図示するように、信号ケーブル732により制御回路部(基板)519に印加される。制御回路部(基板)519からの信号は、接続配線211により、半導体素子117に印加される。また、接続ピン724、引き出しピン760は接続配線211により制御回路部(基板)519と接続され、信号ケーブルコネクタ712を介して、装置外部の機器に出力される。
【0366】
押圧具501に接続された電源配線212は、図46に図示するように、ケーブルスペーサ台821で位置を保持し、あるいは電源配線212は位置決めし、スライド板505の裏面を通って、電源ケーブル取付け端子755と接続される。
【0367】
フレーム枠751は精密板金フレームで構成されている。枠になる部分とコの字部品の曲げ工程を経て、枠の1辺にスタッドボルトを付けて構成している。溶接ナットを付けたコの字部品を2点Tig溶接とする。一部角度が異なる台形となっているため、四隅の補強部品が少しずつ異なる形状をしている。補強部品の取り付けの間違いを防ぐため、治具を用いて枠を固定し、各部品はスポット溶接を行っている。
【0368】
フレーム枠751には、フレーム固定足752が取付けられている。フレーム固定足752により、恒温槽(恒温装置、恒温恒湿装置等)523の槽内526にフレーム枠751が位置決めされ、また、設置、固定される。恒温槽523の槽内526の温度、湿度等は、操作パネル762で設定、操作される。
【0369】
図43図44は、フレーム枠751の斜視図である。図43は斜め上方からフレーム枠751を見た斜視図であり、図44は、フレーム枠751を裏面側から見た斜視図である。
【0370】
本発明は、フレーム枠751のフレーム固定足752を調整することにより、恒温槽523の槽内526に位置決め、設置することができる。電源装置132からの電源配線212、接続配線211等は、恒温槽(筐体)523の外部接続穴791を介して接続される。
【0371】
図44図46に図示するように、スライド板505は、半導体素子117等が実装された部分に開口部537が形成されている。開口部537の位置する部分には、ファン227が配置あるいは設置される。ファン227が回転することにより、半導体素子117を冷却あるいは加温する。
【0372】
図47図48は本発明の信号制御、信号の接続状態を説明する説明図である。コントローラ回路111は処理回路524を制御する。処理回路524は図1図2図21で説明したように、ゲート信号電圧Vg、定電流Icを出力し、また、トランジスタ117のVi電圧を取得する。これらの信号は、信号ケーブルコネクタ754を介して行う。信号ケーブルコネクタ754と制御回路部(基板)519と信号ケーブル732で接続されている。
【0373】
信号ケーブルコネクタ754、デバイス台503、制御回路部(基板)519、接続配線211等に関する事項、あるいはこれらの接続に関しては、図1図10等の実施例においても説明しているので説明を省略する。
また、デバイス台503と半導体素子117の配置、接続、構成に関しては、図6図15等で説明した実施例が適用できることは言うまでもない。
【0374】
コントローラ回路111は電源装置132を制御する。また、スイッチ回路基板201を制御する。電源装置132、スイッチ回路基板201により、電源装置132が出力する試験電流Idが電源ケーブル取付け端子755に供給される。電源ケーブル取付け端子755と電気素子117とは、電源配線212で接続されている。処理回路524、電源装置132等に異常が発生すると、コントローラ回路111は、確認ランプ530を点灯させる。また、警報を発する。
【0375】
図41図42図45図46の実施例において、電源ケーブル取付け端子755を配置し、電源ケーブル取付け端子755と電源配線212を接続するとしたが、これに限定するものではない。たとえば、図3図2等に図示するように、フォークコネクタ528,ソケットコネクタ509、導体板204、導体板群517等の構成、接続、配置物等を用いて電源配線212と接続する構成、方法であっても良いことは言うまでもない。
【0376】
図48に図示するように、コントローラ回路111は制御インターフェース回路(制御I/F)763を介してファン制御部761を制御して、ファン227の停止、回転速度の強弱を操作、制御する。
【0377】
コントローラ回路111は素子端子226あるいはその近傍に取り付けた熱電対あるいは温度センサ510から、素子端子226の温度を測定あるいは取得し、所定以上の温度の場合、試験を中止あるいは中断もしくは警報を発するように制御する機能を有する。
【0378】
デバイス台503の周囲には漏水センサ(図示せず)が配置されている。デバイス台503に実装された半導体素子117に結露等が発生すると結露センサ(図示せず)が働き、半導体素子試験装置を停止または警報を発するように構成されている。
槽内526には、ドライエア(乾燥気体、露点温度が低い気体)が注入されるように構成されている。
【0379】
図49はファン727の制御方法に関する説明図である。コントローラ回路111は、ファン727の速度・停止を検出する。ファン727の回転速度の取得を行い、ファンの停止判定と風量変化の検知を実施する。
【0380】
ファン727のファン制御部761出力を制御インターフェース(I/F)763に接続し、ファン制御部761アプリでパルスのカウントとファン回転数の算出を行う。ファン制御部761はファン1回転につき2周期の矩形波を出力するため、ファン制御部761で単位時間(1秒)当たりのパルス数をカウントして回転数を求める。試験中にファンが停止した場合は試験中の場合は警報器764からアラームを発生させる。
【0381】
試験中の風量変化の検出については、ファン回転数の変化を使用する。図49に図示するように、予めファン制御部761またはアプリの設定画面で、試験開始時のファン回転数に対する上側と下側の変化率上限を登録する。試験開始時のファン1とファン2の回転数を基準値として、設定された上側と下側の変化率上限から、試験中のファン回転数の上下限値を決定する。決定した上下限値はファン制御部761画面のファン回転数上下限値の項目に表示する。
【0382】
試験中のファン回転数をファン制御部761が監視し、測定した回転数が上下限値を超えた場合に風量変化があったと判定し、警報器764からアラームを発生させる。制御ソフト(アプリ)はこのアラームを監視し、試験を停止する。試験開始時のファン回転数を測定し
基準値とする。
ファン回転数上限値 = 試験開始時のファン回転数 + (試験開始時のファン回転数 × ファン回転数変化率上限上側 / 100)
試験開始時のファン回転数を基準として、以下の式で試験中のファン回転数下限を求める。
ファン回転数下限値 = 試験開始時のファン回転数 - (試験開始時のファン回転数 × ファン回転数変化率上限下側 / 100)
測定したファン回転数の現在値が上下限値を超えた場合に、ファン制御部761はアラームを発生させる。
【0383】
PCアプリ(制御ソフトウエア)はこのアラームを監視し、試験を停止する。PCアプリ(制御ソフトウエア)はデバッグ情報として、試験中のファンの回転数をログファイルに記録する。
【0384】
試験装置の起動時には、試験をする半導体素子(電気素子)が装着されていること、半導体素子(電気素子)非装着時は、測定用端子が本体と短絡していないことを確認する。
恒温槽側のブレーカーがONになっていることを確認する。恒温槽523のブレーカーがONになっていない状態では装置本体が起動しない。
本発明の半導体素子試験装置は、図49に図示するように、以下の試験時間を設定する。
「測定ディレイ」:通電OFF(オフ)時から温度測定までの待ち時間(感温ダイオード測定以外)。
「通電ディレイ」:前のデバイスがパワーオフしてから次のデバイス(試験する半導体素子117等)がパワーオンするまでの遅延時間。
「通電ON時間」:パワーオン時間。
「通電OFF時間」:デバイスがパワーオフしてから、再度パワーオンするまでの時間。
アプリは、上記の時間から外れている場合、異常がある場合は、確認ランプ530を点灯させるとともに、警報器764から警報を発する。
本発明の試験装置は、装着した半導体素子(電気素子)が正しく接続されているかを確認するために、自動的に接続チェックを行う機能を有する。
【0385】
図51は、本発明の電気素子の試験方法の説明図、およびタイミングチャート図である。tn1期間、tn2期間は、トランジスタ117のゲート端子に接続された可変抵抗回路125の抵抗値Vrは、0(Ω)、あるいは最も低い抵抗値に設定する。定電流回路118からの定電流Icはトランジスタ117に流す。定電流Icはコレクタ端子cからエミッタ端子の方向に流れ、トランジスタ117のチャンネル間に電圧Vceが発生し、電圧Vceを測定しVi電圧とする。Vi電圧から、温度情報Tjを得る。
【0386】
本発明の半導体素子(電気素子)試験装置は、押圧具501、接続金具ピン781、接続金具722等の機構部材を有し、素子端子226と良好な電気的接続状態を実現できる。また、スイッチ回路122、スイッチ回路124のオンオフ制御を実施することにより、半導体素子117にV2電圧、V1電圧等を良好に印加することができ、突入電流、サージ電圧を抑制し、良好な評価、試験、検査を実現することができる。
【0387】
ゲートドライバ回路113は、所定電圧を発生し、トランジスタ117にゲート電圧Vgとして印加する。所定電圧は可変することができ、また、周期的に電圧を変化させることができる。
【0388】
所定のゲート電圧を印加し、トランジスタ117の温度に対するチャンネル間電圧Vceとの関係を測定しておけば、チャンネル間電圧Vce(あるいはダイオードDiの端子電圧)からトランジスタ117の温度(温度情報Tj)がわかる。
【0389】
図51(a)に図示するように、トランジスタ117のオンオフ周期はtcycleであり、オン時間はtonである。また、ゲートドライバ回路113が出力する電圧は、オン電圧V2、オン電圧V1、オフ電圧Voff(V0)である。ゲートドライバ回路113は3レベル以上の電圧を出力できる。V2 > V1 > Voff(V0) > Vnとしている。
図51の実施例では、ゲートドライバ回路113は、2種類の電位レベルのオン電圧(V2、V1)を発生し、トランジスタ117のゲート端子に印加する。
【0390】
オン電圧V2をtn2期間、ゲート端子に印加し、次にオン電圧V1を、ゲート端子にton期間等に印加する。次にtn1期間にオン電圧V2を印加する。オン電圧V2を印加している時は、オン電圧V1に比較してトランジスタ117は強オン(チャンネル間抵抗が小さくなる)となる。したがって、オン電圧の大きさを変化させることにより、トランジスタ117のチャンネル間の抵抗を変化させることができる。
【0391】
本発明のゲートドライバ回路113は4つ以上のレベルの電圧も出力することができる。また、時間とともに変化する三角波、サイン波等も出力することができる。
【0392】
ゲートドライバ回路113から出力されるVg信号電圧により、トランジスタ117は動作/非動作(オンオフ)動作する。トランジスタ117がオンしている期間に、電源装置132aから、試験電流Idを供給すれば、トランジスタ117のチャンネル間に試験電流Idが流れる。
【0393】
図1図2に図示するように、電源装置132bに接続されたスイッチ回路122aがオンすることにより、トランジスタ117sに試験電流Idが印加される。電源装置132aに接続されたスイッチ回路122bがオンすることにより、トランジスタ117mに試験電流Idが印加される。
【0394】
トランジスタ117のゲート端子とエミッタ端子間には短絡回路137が配置または接続されている。短絡回路137は、アナログスイッチが例示される。また、短絡ピン、短絡ソケットであっても良い。
【0395】
トランジスタ117sのゲート端子gとエミッタ端子e間に配置された短絡回路137sをオン(クローズ)させることにより、トランジスタ117がNチャンネルの場合は、トランジスタ117sはオフ状態となる。また、トランジスタ117sの端子間にダイオードDisが接続した状態となる。
【0396】
トランジスタ117mのゲート端子とエミッタ端子間に配置された短絡回路137mをオン(クローズ)させることにより、トランジスタ117がNチャンネルの場合は、トランジスタ117sはオフ状態となる。トランジスタ117mは、ダイオードDimが接続された接続となる。
【0397】
図1図2図21の実施例では、短絡回路137は、トランジスタ117のゲート(ベース)端子とエミッタ端子間に形成または配置した構成であった。本発明はこれに限定するものではない。短絡回路137は、トランジスタ117のゲート(ベース)端子とコレクタ端子間に形成または配置しても良い。トランジスタ117のゲート(ベース)端子とコレクタ端子間の短絡回路137をオンさせると、トランジスタ117がNチャンネルトランジスタの場合は、トランジスタ117はダイオード接続となる。
【0398】
トランジスタ117のゲート(ベース)端子とコレクタ端子間に形成または配置し、短絡回路137をオンさせることにより、トランジスタ117はダイオード接続とすることができる。
【0399】
短絡回路137は、トランジスタ117のゲート(ベース)端子とコレクタ端子間と、トランジスタ117のゲート(ベース)端子とエミッタ端子間に形成または配置の両方に配置しても良い。
【0400】
図51(b)の試験電流Idは、スイッチ回路122をオン(クローズ)させることにより実施する。スイッチ回路122bをオンさせることにより、トランジスタ117sに試験電流Idが供給される。図51(b)に図示するように、スイッチ回路122aをオンさせることにより、トランジスタ117mに試験電流Idが供給される。
トランジスタ117に試験電流が流れると、図51(c)に図示するように、トランジスタ117のチャンネル間電圧(Vce)が変化する。
【0401】
試験電流Idが流れるとトランジスタ117は発熱する。tn1期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧(Vce)を測定することにより、トランジスタ117の温度(温度情報Tj)を取得することができる。
【0402】
トランジスタ117に試験電流Idを供給した後、試験電流Idを供給していない期間tn1に定電流回路118から、定電流Icをトランジスタ117に供給する。試験電流Idを供給によりトランジスタ117は発熱する。発熱状態はトランジスタ117の特性変化あるいは劣化状態に相関する。
【0403】
トランジスタ117に定電流Icを流し、トランジスタ117の端子間電圧Viを測定することにより、トランジスタ117の温度(温度情報Tj)を取得できる。端子間電圧(Vce)Viはバッファアンプ(バッファ回路)116で取得する。
【0404】
温度情報Tjはトランジスタ117の温度に関する値であるから、図51(d)に図示するように、定電流Idが流れるとT1からT2に変化していく。定電流Idが停止するとT2から低下していく。
【0405】
したがって、正確な温度測定には、定電流Idが停止後、速やかにトランジスタ117の端子間電圧を測定することが好ましい。端子間電圧Viはバッファアンプ116で取得する。バッファアンプ116の出力電圧を測定する期間は定電流Idの停止後、1msec以内が好ましい。
【0406】
図51(f)に図示するように、定電流Icを流し、電圧Viを測定する期間は期間a、期間b、期間c、期間dが例示される。定電流Icを流している期間A内であるa期間で電圧Viを取得する。定電流Icを流している期間B内であるb期間で電圧Viを取得する。
定電流Icを流しているC期間内であるc期間で電圧Viを取得する。定電流Icを流しているD期間内であるd期間で電圧Viを取得する。
期間A、期間Dは、ゲート端子gに電圧V2が印加されている期間である。期間B、期間Cは、ゲート端子gに電圧V1が印加されている期間である。
【0407】
試験電流Idを印加後、ゲート端子gにV2電圧を印加した状態であるD期間で定電流Icをトランジスタ117に供給し、電圧Viを測定する。試験電流Idの印加前で、ゲート端子gにV2電圧を印加した状態であるA期間においても、定電流Icをトランジスタ117に供給し、電圧Viを測定することは有効である。試験電流Idの供給前と試験電流Idの供給後の電圧Viを比較すること、電圧Viの変化を測定・評価することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定することができる。
【0408】
試験電流Idを印加後、試験電流Idの停止直後であり、ゲート端子gにV1電圧を印加したC期間において、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定することも有効である。
【0409】
C期間は、ゲート端子gにV1電圧が印加され、定電流Icが供給された状態でトランジスタ117のチャンネル端子間電圧Viを取得する。D期間は、ゲート端子gにV2電圧が印加され、定電流Icが供給された状態でトランジスタ117のチャンネル端子間電圧Viを取得する。c期間で測定された電圧Viとd期間で測定された電圧Viを比較すること、電圧Viの変化を測定・評価することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定することができる。
【0410】
試験電流Idを印加前のゲート端子gにV2電圧を印加した期間Aにおいて、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定することも有効である。また、試験電流Idを印加前のゲート端子gにV1電圧を印加した期間Bにおいて、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定することも有効である
【0411】
a期間で測定された電圧Viとb期間で測定された電圧Viを比較すること、電圧Viの変化を測定・評価することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定することができる。
【0412】
試験電流Idを印加前のゲート端子gにV1電圧を印加した期間Bにおいて、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定し、試験電流Idを印加後のゲート端子gにV1電圧を印加した期間Cにおいて、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定することも有効である
【0413】
b期間で測定された電圧Viとc期間で測定された電圧Viを比較すること、電圧Viの変化を測定・評価することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定することができる。
【0414】
試験電流Idを印加前のゲート端子gにV2電圧を印加した期間Aにおいて、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定し、試験電流Idを印加後のゲート端子gにV2電圧を印加した期間Dにおいて、トランジスタ117に定電流Icを印加し、トランジスタ117の電圧Viを測定することも有効である
【0415】
a期間で測定された電圧Viとd期間で測定された電圧Viを比較すること、電圧Viの変化を測定・評価することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定することができる。
【0416】
図51の実施例では、トランジスタ117の温度(温度情報Tj)を得るタイミングは、試験電流Idがトランジスタ117に供給されておらず、トランジスタ117のゲート端子gにオン電圧(V2電圧またはV1電圧)が印加された期間である。定電流IcはA期間、B期間、C期間、D期間のいずれか1つの期間でトランジスタ117に印加し、トランジスタ117の端子間電圧を測定する。また、tn2期間、tn1期間で測定あるいは取得した温度情報と比較のため(あるいはベースラインとするため)、複数の期間で端子間電圧を測定することが好ましい。
電圧Viの測定は、毎周期(tcycle)に限定するものではなく、複数周期で電圧Viを測定しても良いことは言うまでもない。
【0417】
温度情報Tjはコントロール回路111(コントローラ回路111)に送られ、コントロール回路111(コントローラ回路111)は温度情報Tjにしたがって、トランジスタ117(半導体素子部品117)の試験を実施する。
【0418】
図51は、本発明の電気素子試験装置において、トランジスタ117等に印加する信号、あるいはトランジスタ117等の動作信号の説明図(タイミングチャート図)である。
【0419】
なお、図51図62の実施例において、説明を容易にするため、あるいは理解を容易にするため、図21に示す電源装置132bが存在しない、または、スイッチ回路124eが常時オフとして説明をする。
【0420】
また、スイッチ回路124cとスイッチ回路122aとは2個のスイッチ回路として図示しているが、これに限定されるものではない。スイッチ回路124cとスイッチ回路122aを1個のスイッチ回路(例えばスイッチ回路124x)として構成しても良い。スイッチ回路124xの一端子は、電源装置132aと接続され、スイッチ回路124xの他の端子は、トランジスタ117mのコレクタ端子を接続する。
【0421】
図51の実施例において、トランジスタ117sのゲート端子(ベース端子)のオフ電圧を印加して、トランジスタ117sをオフ状態に維持し、図51(a)に図示するように、トランジスタ117mのゲート端子(ベース端子)にオンまたはオフ電圧を印加して、トランジスタ117mをオンオフさせてトランジスタ117mの評価あるいは試験をするとして説明する。
【0422】
トランジスタ117mへの試験電流Idの供給は、スイッチ回路124cおよびスイッチ回路122aをオンさせることにより実施し、トランジスタ117mのチャンネル間の放電は、スイッチ回路124dまたはスイッチ回路124bで実施するとして説明をする。
【0423】
なお、トランジスタ117sを単独で評価あるいは試験をする場合は、トランジスタ117mのゲート端子にオフ電圧V0を印加する。トランジスタ117mは常時オフ状態に維持する。トランジスタ117sのゲート端子に、図51(a)のゲート信号電圧を印加する。トランジスタ117sへの試験電流Idの供給は、スイッチ回路122b、スイッチ回路122a、スイッチ回路124dをオンする。トランジスタ117sのチャンネル間の放電は、スイッチ回路124cまたはスイッチ回路124bをオンすることにより実施する。
【0424】
トランジスタ117のゲート端子(ベース端子)にV0電圧(Voff)が印加されている時は、トランジスタ117はオフ状態である。トランジスタ117のゲート端子(ベース端子)にV1電圧またはV2電圧が印加されるとトランジスタ117はオン状態となる。V0電圧が印加されている期間はtoffであり、オン電圧が印加されている期間は、tonである。1サイクル周期はtcycleである。
ゲート信号電圧Vgはトランジスタ117等のゲート端子g(上トランジスタVgs、下トランジスタVgm)に印加する信号波形である。
【0425】
Vdataはコントローラ回路111がDAコンバータ回路128に印加するデータである。VdataによりDAコンバータ回路128が出力する電圧が決定あるいは可変あるいは設定される。
【0426】
ゲート信号電圧Vgは、トランジスタ117をオフさせる電圧(Voff(V0)、Vn)、トランジスタ117をオンさせるV1、V2電圧からなる。V1電圧はトランジスタ117をオンさせる電圧Vonである。V2電圧は、トランジスタ117あるいはダイオードDiに定電流Icを供給または印加し、または、トランジスタ117のチャンネル間電圧Viを測定する際にトランジスタ117のゲート端子gに印加する電圧である。
【0427】
本発明の実施例においてV2>V1とするが、これに限定されるものではない。トランジスタの試験と実施する場合、同一品種では、V2電圧を共通(同一)にして試験を実施する。V2電圧を固定(一定値)電圧とすることにより、各トランジスタ117の定電流Icの印加時の端子電圧を測定時に測定状態を一致させることができ、トランジスタ117の個々のバラツキデータを取得あるいは評価できる。V1電圧、Voff電圧は、オフリーク電流等を勘案して個々のトランジスタで調整しても良い。
【0428】
図51の実施例では、V2電圧印加期間は、tn1とtn2の2つの期間としている。tn1期間、tn2期間等のA期間、D期間に定電流Icを印加し、トランジスタ117のチャンネル間(コレクタ-エミッタ間あるいはダイオードDiのカソード-アノード間)を測定する。また、図51(f)のB期間、C期間に定電流Icを供給し、電圧Viを測定して、温度情報Tjを得る。
【0429】
スイッチ回路基板201にスイッチ回路124またはスイッチ回路122が実装あるいは配置される。スイッチ回路124、スイッチ回路122をオンすることにより、スイッチ回路124、スイッチ回路124がクローズされる。スイッチ回路124、スイッチ回路122をオフすることにより、スイッチ回路124、スイッチ回路124がオープンにされる。
【0430】
図2図21にスイッチ回路122、スイッチ回路124の接続状態を図示している。スイッチ回路122bがオンすることにより、トランジスタ117sに試験電流Idが供給される。スイッチ回路124cおよびスイッチ回路122aがオンすることにより、トランジスタ117mに試験電流Idが供給される。
【0431】
上トランジスタ117sに試験電流Idを供給する場合は、スイッチ回路122b、スイッチ回路122a、スイッチ回路124dをオンさせる。下トランジスタ117mのゲート端子にはオフ電圧を印加する。
【0432】
下トランジスタ117mのみに試験電流Idを供給する場合は、スイッチ回路124c、スイッチ回路122aをオンさせる。上トランジスタ117sのゲート端子にはオフ電圧を印加する。
【0433】
上トランジスタ117sと下トランジスタ117mの両方に同時に試験電流Idを供給する場合は、スイッチ回路122bをオンさせる。上トランジスタ117sおよび下トランジスタ117mのゲート端子にはオフ電圧を印加する。
【0434】
スイッチ回路124bがオンすると、電源装置132aの端子間が短絡され、上トランジスタ117sのコレクタ端子と下トランジスタ117mのエミッタ端子間が短絡され電荷が放電される。スイッチ回路124bには、短絡電流Imが流れる。
【0435】
スイッチ回路124cがオンすると、上トランジスタ117sのコレクタ端子とエミッタ端子間が短絡され、上トランジスタ117sのチャンネル間の電荷が放電される。スイッチ回路124dがオンすると、上トランジスタ117mのコレクタ端子とエミッタ端子間が短絡され、上トランジスタ117mのチャンネル間の電荷が放電される。
【0436】
図51(e)ではスイッチ回路122またはスイッチ回路124の動作を図示している。下トランジスタ117mと上トランジスタ117sの両方に試験電流Idを供給する時はスイッチ回路122bをオンさせる。下トランジスタ117mに試験電流Idを供給する時はスイッチ回路124cとスイッチ回路122aオンさせる。
【0437】
本発明は、押圧具501等により、素子端子226との電気的接続が良好である。そのため、試験電流Id、定電流Icの印加あるいは供給時に素子端子部226に発熱等が発生せず、良好な試験を実施することができる。また、サージ電圧の発生、突入電流を抑制することができる。また、引き出しピン760、接続金具ピン781で印加信号等をモニターでき、また、ゲート信号電圧等を良好に印加できる。
【0438】
本発明の定電流Icは、図51(f)に図示するように、A、B、C、Dのうち、少なくとも1箇所以上でトランジスタ117等に供給し、トランジスタ117のチャンネル間等の電圧Viと測定する。
【0439】
A期間およびB期間は、サイクル期間(tcycle)において、トランジスタ117に試験電流Idの供給前(印加前)の期間である。C期間およびD期間は、サイクル期間(tcycle)において、トランジスタ117に試験電流Idの供給後(印加後)の期間である。
【0440】
図51(f)において、Aの期間は電圧Vgのtn2の期間であり、電圧V2が印加されている期間である。Bの期間は電圧Vgとして電圧V1が印加され、試験電流Idが供給されていない期間である。
【0441】
D期間はゲート信号電圧Vgのtn1の期間であり、電圧V2が印加されている期間である。Cの期間はゲート信号電圧Vgとして電圧V1が印加され、試験電流Idが供給される前の期間である。
【0442】
定電流Icは、図51(f)に図示するように、A、B、C、Dの期間のうち、少なくとも1箇所以上でトランジスタ117等に供給し、図51(g)に図示するように、a、b、c、dの期間のうち、少なくとも1箇所以上でトランジスタ117のチャンネル間等の電圧Viと測定あるいは取得する。
【0443】
図51(g)に図示するように、Aの期間で定電流Icを印加している期間内にトランジスタ117m(トランジスタ117s)のチャンネル間あるいはダイオードDiの端子間(ダイオードDiはトランジスタ117のチャンネルに接続されている)の電圧Viを測定あるいは取得する。図51(g)において、期間aは、図51(f)のA期間の範囲内の期間である。
【0444】
なお、A、B、C、Dの期間のうち、少なくとも1箇所以上で、図22(d)、図22(e)に図示するダイオードDs、ダイオードDmに定電流Icを供給(印加)し、ダイオードDs、ダイオードDmの端子間電圧Viを測定し、温度情報Tj
【0445】
同様に、Bの期間で定電流Icを印加している期間内にトランジスタ117のチャンネル間あるいはダイオードDiの端子間の電圧Viを測定あるいは取得する。図51(g)において、期間bは、図51(f)のB期間の範囲内の期間である。
【0446】
また、cの期間で定電流Icを印加している期間内にトランジスタ117のチャンネル間あるいはダイオードDiの端子間の電圧Viを測定あるいは取得する。図51(g)において、期間cは、図51(f)のC期間の範囲内の期間である。
【0447】
また、dの期間で定電流Icを印加している期間内にトランジスタ117のチャンネル間あるいはダイオードDiの端子間の電圧Viを測定あるいは取得する。図51(g)において、期間dは、図51(f)のD期間の範囲内の期間である。
【0448】
トランジスタ117のゲート端子gには、V1電圧またはV2電圧が印加されるとトランジスタ117がオン状態となる。本発明の図51の実施例においては、定電流Icはトランジスタ117のチャンネル間に順方向で供給するとして説明をする。MOSトランジスタの場合は、双方向で電流が流れる。
トランジスタ117に試験電流Idを供給するパワーサイクル試験では、試験電流Idの供給により、トランジスタ117が劣化する。
【0449】
試験でトランジスタが劣化する箇所はトランジスタ117内の接合部であることが多い。半導体そのものが劣化することは少なく、トランジスタ117の接合部(ボンディング、ダイボンドなど)が劣化し、接合部の抵抗値が高くなる。抵抗値が高くなることにより、チャンネル間電圧Vceが高くなり、発熱してトランジスタ117の温度が上昇する。
【0450】
半導体が劣化する場合は、トランジスタ117のゲート酸化膜(絶縁膜)の劣化である場合が多い。ゲート酸化膜の劣化が発生した場合は、酸化膜(絶縁膜)の短絡状態になり、電圧Vceは下がる。または、トランジスタ117がオフ状態となり、トランジスタ117には電流は流れず、電圧Vceは電源電圧の最大値まで上昇する。
【0451】
図51(b)に図示するように、トランジスタ117に試験電流Idを印加すると、トランジスタ117が発熱し、発熱に伴い、図51(d)に図示するように、チャンネル等の発熱にともなって温度情報Tjが変化する(Vi電圧が変化する)。また、試験電流Idを停止すると、放熱によりチャンネル等の温度が盛り、温度情報Tjが変化する。一例として温度情報Tjはチャンネル間電圧と等価である。
【0452】
トランジスタ117に試験電流Idと供給し、トランジスタの劣化が進行するにしたがって、発熱が大きくなる。発熱は温度情報Tjで示され、あるいは温度と相関する。温度情報Tjはトランジスタのチャンネル間電圧と相関する(電圧に依存する)。
【0453】
温度情報Tjは、試験開始時は、最低温度T1から最高温度T2の間を変化する。試験によりトランジスタ117にストレスがかかると、トランジスタ117のVce電圧が変化し、通常は温度情報Tjが高くなる方向に変化する。温度情報Tjとは、たとえば、トランジスタ117のチャンネル間電圧Viである。
【0454】
したがって、図51(d)に図示するように、最低温度は、温度T1より上昇し、最高温度は温度情報T2に近づく。トランジスタ117が劣化するにしたがって、温度は高くなり、上昇速度も速くなる。
本発明の半導体素子(電気素子)の試験方法では、試験の終了は下記のいずれかの条件で停止する。
・温度情報Tjが所定範囲内から外れた場合。
・チャンネル電圧Vceが所定の電圧範囲から外れた場合。
・熱抵抗が所定の範囲内から外れた場合。
【0455】
トランジスタ117の劣化は、トランジスタ117に試験電流Idを供給し、試験電流Idを停止した時刻の近傍で、定電流Icを供給して端子間電圧Viを測定することが好ましい。つまり、図51(f)のC期間またはD期間である。
【0456】
C期間は、試験電流Idの停止した直後であり、トランジスタ117の発熱した熱量が維持されているため、c期間でV1電圧を測定し、c期間でのVi電圧を経過観察あるいは評価することにより、良好なトランジスタ117の試験あるいは評価を実現できる。
【0457】
D期間は、試験電流Idの停止し、tn1期間のV2電圧を印加している期間である。トランジスタ117の発熱した熱量が維持され、V1電圧より高いV2電圧が印加され、トランジスタ117のチャンネル間抵抗が減少し、また、V2電圧は定常電圧として固定されている。したがって、d期間でV1電圧を測定し、d期間でのVi電圧を経過観察あるいは評価することにより、良好なトランジスタ117の試験あるいは評価を実現できる。
【0458】
図51において、tn1期間、tn2期間は、可変設定、調整することができる。また、V2電圧は、可変設定することができる。また、図51(e)において、スイッチ回路122、スイッチ回路124をオンオフ制御して、トランジスタ117m、トランジスタ117sを独立して試験あるいは評価することができる。
【0459】
また、C期間、D期間の両方において、定電流Icを印加し、トランジスタ117のチャンネル間電圧(Vce、Vi)を測定することは有効である。C期間では、トランジスタ117のゲート端子(ベース端子)にV1電圧が印加されている。D期間では、トランジスタ117のゲート端子(ベース端子)にV2電圧が印加されている。
【0460】
V1電圧が印加されている場合のトランジスタ117のチャンネル間電圧と、V2電圧が印加されている場合のトランジスタ117のチャンネル間電圧の両方を取得することにより、トランジスタ117の劣化状態、劣化変化速度あるいは動作状態を定量的に比較し、評価することができる。
【0461】
V1電圧が印加されている時に測定したトランジスタ117のチャンネル間電圧と、V2電圧が印加されている時に測定したトランジスタ117のチャンネル間電圧とは、周期(tcycle)毎、あるいは複数の周期(tcycle)毎に取得し、変化あるいは変化割合を測定、評価する。以上の事項は、本発明の他の実施例においても同様に適用することができる。
【0462】
Aの期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧を測定し、Dの期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧を測定することも有用である。A期間は、トランジスタ117に試験電流Idを印加前(供給前)であり、電圧V2が印加させている。トランジスタ117は放熱し、冷却されている。
【0463】
D期間は、トランジスタ117に試験電流Idを印加後であり、同一の電圧V2が印加されている。トランジスタ117は、ほとんど放熱していない。A期間とD期間でのチャンネル間電圧の両方を取得することにより、トランジスタ117の劣化状態あるいは動作状態を定量的に比較、評価することができる。
【0464】
Bの期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧を測定し、Cの期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧を測定することも有効である。B期間は、トランジスタ117に試験電流Idを印加前(供給前)であり、電圧V1が印加されている。
【0465】
C期間は、トランジスタ117に試験電流Idを印加後(供給後)であり、電圧V1が印加されている。B期間とC期間でのチャンネル間電圧Viの両方を取得することにより、トランジスタ117の劣化状態、変化比率、変化速度とあるいは動作状態を定量的に比較、評価することができる。
【0466】
Cの期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧を測定し、Dの期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧を測定することも有効である。C期間は、トランジスタ117に試験電流Idを印加して停止直後の状態であり、電圧V1が印加されている。
【0467】
D期間は、トランジスタ117に試験電流Idを印加後に停止した状態であり、電圧V2が印加されている。C期間とD期間でのチャンネル間電圧の両方を取得することにより、トランジスタ117の劣化状態あるいは動作状態を定量的に比較、評価することができる。
【0468】
以上のように、1周期(tcycle)あるいは複数の周期(tcycle)において、複数の箇所(期間)で定電流Icを印加し、トランジスタ117等のチャンネル間電圧あるいは変化割合を測定あるいは取得することにより、トランジスタ117等の半導体素子の良好な評価、定量的な評価、試験を実施することができる。
【0469】
また、各測定において、ゲート端子に印加する電圧を異ならせることにより、良好な結果を得ることができる。以上の事項は、本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。また、他の実施例と組み合わせることが組み合わせることができる。
図51の実施例では、周期(tcycle)において、2箇所のV2電圧を印加する期間(tn2期間、tn1期間)を設定した実施例であった。
なお、図51で説明した実施例は、図52等の他の実施例においても適用できる。
【0470】
図52は周期(tcycle)において、1箇所のV2電圧を印加する期間(tn1期間)を設定した実施例である。温度情報Tjは図52(d)に図示するようにD期間で実施する。また、必要に応じて、図51の実施例と同様に、C期間、D期間のうち、Vi電圧を測定し、温度情報Tjを得ても良い。
【0471】
図52(a)において、V0電圧が印加されている期間は、トランジスタ117がオフ状態である。V1電圧またはV2電圧が印加されている期間は、トランジスタ117はオン状態となる。
【0472】
図51(a)に図示するように、図51の実施例は2箇所にV2電圧を印加する期間がある実施例である。図52では、V2電圧の印加期間はtn1期間の1箇所である。
【0473】
なお、V1電圧からV2電圧の変化(t5)は、ステップ状に変化させる必要はなく、たとえば、t4からt6で電圧V1から電圧V2に滑らかに変化させても良い。
【0474】
トランジスタ117m(トランジスタ117s)への試験電流Idを供給はスイッチ回路124c、スイッチ回路122aをオンさせることにより実施する。トランジスタ117mのチャンネル間の電荷の放電は、スイッチ回路124aをオンさせること、あるいはスイッチ回路124bをオンさせることにより実施する。
【0475】
図21において、スイッチ回路124bをオンさせることにより、電源装置132aの両端子間(出力端子とグランド等端子間)を短絡できる。スイッチ回路124dをオンさせることにより、電源装置132bの両端子間(出力端子とグランド等端子間等)を短絡できる。
【0476】
図21において、スイッチ回路124bをオンさせることにより、トランジスタ117sとトランジスタ117mの端子間の電荷を放電できる。また、スイッチ回路124cをオンさせることにより、トランジスタ117sの両端子間を短絡し、電荷を放電できる。スイッチ回路124dをオンさせることにより、トランジスタ117mの両端子間を短絡し、電荷を放電できる。
【0477】
スイッチ回路124bはスイッチ回路122aがオンして、トランジスタ117mに試験電流が供給する前にオンする。スイッチ回路124dがオンすることによりトランジスタ117mのチャンネル間の電荷が放電される。また、スイッチ回路124bがオンすることにより、電源装置132aの両端子(出力端子と設定端子等)が短絡され、電源装置の両端子間の電荷が放電される。また、短絡電流Imが流れる。
【0478】
スイッチ回路124bがオンした後、tb2期間の経過後にスイッチ回路122a等がオンしてトランジスタ117mに試験電流Idが供給される。スイッチ回路122aがオンした後、tb1期間後にスイッチ回路124bがオフされる。
【0479】
スイッチ回路122aがオフからオンになる時刻t1は、スイッチ回路124bがオンしている期間(t0~t2)の範囲内である。t1は、tb1、tb2をコントローラ回路111により可変設定できる。あるいは調整することができる。
【0480】
トランジスタ117mのゲート端子にオン電圧(V1電圧、V2電圧)が印加されると、トランジスタ117mがオンする。トランジスタ117mがオンしても、スイッチ回路122aがオンし、スイッチ回路124bがオフでないと試験電流Idが流れない。したがって、スイッチ回路124bがt2でオフした後、試験電流Idが流れる。
【0481】
トランジスタ117mのゲート端子にオン電圧(V1電圧またはV2電圧)が印加され、トランジスタ117mがオンしても、スイッチ回路122aがオンしないと試験電流Idが流れない。したがって、ゲート信号電圧Vgはt0でV1電圧にする必要はない。te時間前にV1電圧に設定しても良い。つまり、ゲート信号電圧Vgは、スイッチ回路124bがオフする時刻t2前の時刻であれば、いずれに設定しても良い。
ゲート信号電圧VgがV0電圧からV1電圧に変化させる時刻(タイミング)は、コントローラ回路111により設定し、可変することができる。
【0482】
時間t0でVdataによりVg電圧がV1電圧に設定される。V1電圧はトランジスタ117m(トランジスタ117s)のゲート端子に印加され、tc期間後のt2で電流Idがトランジスタ117m(トランジスタ117s)に供給される。
次に、スイッチ回路124bがt4からt6の期間にオンし、トランジスタ117のチャンネル間を短絡して電荷を放電させる。
【0483】
t5ではVdataによりVsg電圧がV2電圧になり、V2電圧はトランジスタ117のゲート端子に印加されトランジスタ117を強オン(V2はV1よりも高い電圧の場合)させる。
【0484】
スイッチ回路122aがオフする前にスイッチ回路124bがオンする。スイッチ回路124bのオンにより電源装置132aの出力端子間が短絡し、短絡電流Imが流れ、また、トランジスタ117のチャンネル間の電荷が放電する。
【0485】
スイッチ回路124bはt4でオンし、t6でオフする。スイッチ回路122aは、t4からt6の間の期間にオン状態からオフ状態に制御される。試験電流Idは、スイッチ回路122aがオン状態で、かつ、スイッチ回路124bがオフの時にトランジスタ117に流れる。
【0486】
スイッチ回路122aがオンからオフになるta2前にスイッチ回路124bがオンする。スイッチ回路124aがオンからオフに成った後、t1a期間後に、スイッチ回路124bがオフする。
【0487】
t4~t6の期間にスイッチ回路122aはオフ状態となる。t4~t6の期間(D)内で、ゲート信号電圧は、V1電圧からV2電圧に変化する。V2電圧はtn1期間である。
【0488】
tn1期間内に、トランジスタ117に定電流Icが印加され、トランジスタ117のチャンネル間の電圧Viが測定あるいは取得される。一例としてt6~t7期間のtkの期間、定電流Icが印加(供給)される。定電流Icは定電流回路118から出力され、定電流Icの大きさはコントローラ回路111により設定、変更することができる。
【0489】
定電流Icが印加されている期間は、ゲート端子gにV2電圧が印加される。定電流Icを印加している期間に、トランジスタ117のチャンネル間電圧Viが測定される。Vi電圧は、バッファ回路116でバッファリングされ、コネクタ208を介してデバイス制御回路209に出力される。温度測定回路115はVi電圧を用いて温度情報Tjとしてコントローラ回路111にデータ転送する。コントローラ回路111はTjデータの変化率、変化に基づいて半導体試験装置の停止、継続、設定の変更等を行う。
【0490】
V2電圧等、トランジスタ117がオン状態となる電圧を印加した状態で、定電流Icを流す。定電流Icがチャンネル間に流れ、チャンネル間で電圧が発生する。チャンネル間で発生する電圧は、トランジスタの劣化状態に対応して変化する。
【0491】
トランジスタ117に温度情報Tjを得るための定電流Icをtk期間の間で印加する。定電流Icの印加期間中に得られた端子間電圧Viから、温度測定回路115は温度情報Tjを処理する。
【0492】
tf1期間は、2m秒以下の期間に設定する。また、好ましくは、tc期間、ta2期間、ta1期間は1m秒以下の期間である。試験電流Idを印加することによりトランジスタ117は発熱し温度上昇する。発熱による温度上昇は、トランジスタ117の特性変化状態に対応して生じる。したがって、トランジスタ117の温度を取得あるいは測定することによりトランジスタ117の劣化状態、特性変化を把握することができる。
【0493】
試験電流Idを停止するとトランジスタ117は冷却される(放熱される)。したがって、試験電流Idの停止後、ミリ秒レベルの短期間の間に定電流Icを印加してトランジスタ117の温度情報Tjを得る必要がある(トランジスタ117の端子間電圧を測定する必要がある)。
【0494】
本発明の半導体試験装置は、試験電流Idの停止後、2m秒以内の短時間後に、定電流Icを印加して端子間電圧Viを測定し、温度情報Tj、特性カーブ式を得ることができる。したがって、トランジスタ117の温度は維持されているため、トランジスタ117の特性変化等を精度よく、かつ的確に測定あるいは取得することができる。
【0495】
図52に図示するように、トランジスタ117に負荷電流Idを印加し、ta(ta1+ta2)期間後、温度情報を得るためにトランジスタ117に定電流Icを印加する。試験電流Idの停止後、V2電圧を印加するta2期間を設けゲート端子gにV2電圧を印加する。
【0496】
試験電流Idの停止後、2m秒以下の期間内で温度情報Tjを得るための定電流Icをtk期間(D期間)の間、印加する。定電流Icの供給により、図52(g)に図示するようにVi電圧が変化する。
【0497】
図52の実施例では、V1電圧を印加して試験電流Idを供給し、その後、V2電圧を印加している期間に定電流Icを供給し、端子間電圧Viを測定し、温度情報Tj、特性カーブ式を得る実施例であった。本発明はこれに限定するものではない。
【0498】
図53は、電流Idの印加前および電流Idの印加後に、温度情報Tjを得る実施例の説明図である。一例として、温度情報Tjは、トランジスタ117が電流Idを印加前の放熱された状態での温度情報Tjと電流Idを印加して温度上昇した状態での特性(カーブ)式、温度情報Tjを得る。
【0499】
放熱された状態での温度情報Tjと温度上昇した状態での温度情報Tjの2つの温度情報Tjを得ることによりトランジスタ117の特性変化、劣化状態をより精度よく得ることができる。
【0500】
図53は、トランジスタ117等に印加する信号のタイミングチャート図である。V2電圧は、試験電流Idを流す前と流した後のそれぞれに印加する。V2電圧を印加しているときに定電流Icをトランジスタ117に印加し、端子間電圧Viを測定し、温度情報Tjを取得あるいは測定する。
定電流Icを印加する前にスイッチ回路124bをオンさせ、トランジスタ117のチャンネル間(コレクタ端子-エミッタ端子間)の電荷を放電させる。
【0501】
V0電圧が印加されている期間は、トランジスタ117がオフである。また、図54(c)に図示するように、V0電圧よりも低い電圧Vn間でオフ電圧を調整し、設定する。
【0502】
t0よりも前の期間で、VdataによるV2電圧がトランジスタ117のゲート端子にVgとして印加される。V2電圧を印加している期間に、トランジスタ117に定電流Icがte2期間の間、印加され、図52(g)に図示するように、トランジスタのチャンネル間電圧Viが測定される。
【0503】
t0よりも前の期間には、試験電流Idはトランジスタ117には印加されていない。定電流Icの印加により、放熱された状態(t4で試験電流Idが停止され、次の周期まで放熱される)での端子間電圧Viを得ることができる。この端子間電圧Viもトランジスタ117の劣化状態、特性変化情報が含まれる。したがって、負荷サイクル試験での端子間電圧Viを比較、変化を把握することにより、有用な情報が得られる。
【0504】
時間t0で、VdataによりVg電圧がV1電圧に設定される。V1電圧はトランジスタ117のゲート端子gに印加され、tc(tb2+tb1)期間後のt2で電流Idがトランジスタ117に供給される。
次に、スイッチ回路124bがt4からt6の期間にオンし、トランジスタ117のチャンネル間を短絡して電荷を放電させる。
【0505】
t5にはVdataによりVsg電圧がV2電圧になり、V2電圧はトランジスタ117のゲート端子に印加されトランジスタ117を強オンさせる。t6ではトランジスタ117に温度情報を得るための定電流Icをtk期間の間で印加する。定電流Icの印加期間中に得られた端子間電圧Viから、温度測定回路115は温度情報Tjを取得し(図53(g))、処理する。この端子間電圧Viは、試験電流Idの通電直後のトランジスタ117の温度情報Tjとなる。
【0506】
図53(c)に図示するように、t2~t4期間に試験電流Idを印加することによりトランジスタ117は発熱し、温度上昇する。トランジスタ117の特性変化あるいは特性劣化状態により、トランジスタ117の温度上昇状態は変化する。発熱による温度上昇は、トランジスタ117の特性変化状態、特性状態に対応して生じる。
したがって、トランジスタ117の温度を取得あるいは測定することによりトランジスタ117の劣化状態、特性変化を把握することができる。
【0507】
試験電流Idを通電前のTj(端子間電圧Vi)と試験電流Idの通電後の温度情報Tj(端子間電圧Vi)から、トランジスタ117の試験電流Idの印加による変化状態を得ることができる。したがって、トランジスタ117の特性変化等を精度よく、かつ的確に測定あるいは取得することができる。
【0508】
図52図53のタイミングチャートは、トランジスタ117への試験電流Id、定電流Icの印加に関して図示したものである。負荷試験、アバランシェ試験は、数万サイクル以上、トランジスタ117をオンオフ動作させて実施する。
【0509】
図51図52の実施例において、トランジスタ117mに試験電流Idを供給する際は、スイッチ回路122aは、トランジスタ117mのチャンネル間を短絡するスイッチ回路124dまたはスイッチ回路124bがオンしている期間にオフからオン状態に制御される。
【0510】
トランジスタ117mに供給している試験電流Idを停止する際は、スイッチ回路122aは、トランジスタ117mのチャンネル間を短絡するスイッチ回路124dまたはスイッチ回路124bがオンしている期間にオンからオフ状態に制御される。
【0511】
トランジスタ117mのゲート端子(ベース端子)に印加されるゲート信号電圧Vgは、スイッチ回路122aがオンする以前にオン電圧となり、スイッチ回路124bまたはスイッチ回路124dがオフ後にオフ電圧(V0)が印加される。
【0512】
以上の事項は、トランジスタ117sの試験を実施する場合も同様である。トランジスタ117mとトランジスタ117sは交互に選択して、トランジスタ117mとトランジスタ117sを試験あるいは評価を実施する。トランジスタ117mとトランジスタ117sの選択は、スイッチ回路122、スイッチ回路124等を制御して実施する。スイッチ回路122、スイッチ回路124の制御に関しては図1図2図21等で説明している。
【0513】
図51図52の実施例において、トランジスタ117sに試験電流Idを供給する際は、スイッチ回路122bは、トランジスタ117sのチャンネル間を短絡するスイッチ回路124c、またはスイッチ回路124bがオンしている期間にオフからオン状態に制御される。
【0514】
トランジスタ117sに供給している試験電流Idを停止する際は、スイッチ回路122bは、トランジスタ117sのチャンネル間を短絡するスイッチ回路124cまたはスイッチ回路124bがオンしている期間にオンからオフ状態に制御される。
【0515】
トランジスタ117sのゲート端子(ベース端子)に印加されるゲート信号電圧Vgは、スイッチ回路122bがオンする以前にオン電圧となり、スイッチ回路124bまたはスイッチ回路124cがオフ後にオフ電圧(V0~Vn)が印加される。
図52図53の実施例は、V1電圧またはV2電圧を固定値とする実施例であった。本発明は、これに限定するものではない。
【0516】
図54に図示するように、定電流回路118か定電流Icとトランジスタ117に供給する期間(t1~t2、t6~t7)にゲート端子gにはV2電圧を印加し、トランジスタ117を強オンまたは、オン抵抗が小さい状態に設定する。あるいはV2電圧に設定することにより、定常的な電圧で測定できるように設定する。あるいはV2電圧を変更することにより、トランジスタ117のチャンネル間抵抗を変更、設定する。
【0517】
本発明の一実施態様として、V2>V1の関係とする。V2電圧は、固定値とし、トランジスタ117のゲート端子にV2を印加した状態で、定電流Icをトランジスタ117に印加し、トランジスタ117の端子間(コレクタ-エミッタ、ソース-ドレイン)電圧を測定する。なお、ダイオードDiまたはダイオードDs、ダイオードDmに定電流Icを供給し、ダイオードDi等のVi電圧を測定しても良い。
V1電圧は、図54(c)に図示するように、電圧を高くする方向(b方向)、電圧を低くする方向(a方向)に可変あるいは設定することができる。
【0518】
V1電圧を矢印b方向に変化させるとトランジスタ117のゲート端子gに高い電圧を印加することができる。V1電圧をV2電圧に近づけた場合の、端子間電圧Viを取得することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定あるいは評価できる。
【0519】
V1電圧を矢印a方向に変化させるとトランジスタ117のゲート端子gに低い電圧を印加することができる。V1電圧をV0電圧に近づけた場合の、端子間電圧Viを取得することにより、トランジスタ117の特性変化を定量的に測定あるいは評価できる。
【0520】
オフ電圧(V0)は、低くする方向(c)、高くする方向(d)に可変あるいは設定することができる。特に、トランジスタ117がSic(シリコンカーバイド)の場合、オフ電圧はV0電圧より低く設定(電圧Vn)することが好ましい。
【0521】
V0電圧を矢印c方向に変化させるとトランジスタ117のゲート端子gに低い電圧を印加することができる。V0電圧をVn電圧に近づけた場合のゲート端子の抵抗回路125の抵抗端子間の電圧を取得することにより、トランジスタ117のリーク電流、オフ特性変化を定量的に測定あるいは評価できる。
【0522】
可変抵抗回路125のVr抵抗の端子間電圧は、V2電圧、V1電圧での測定電圧、V2~V1に変化させた時のVr抵抗の端子間電圧を取得することにより、トランジスタ117の特性変化、特性劣化を定量化できる。
【0523】
V0電圧を矢印d方向に変化させるとトランジスタ117のゲート端子gにオフ電圧よりも高い電圧を印加することができる。V0電圧をV1電圧に近づけた場合の、Vr抵抗の端子間電圧を取得することにより、トランジスタ117のリーク電流、オフ特性変化を定量的に測定あるいは評価できる。リーク電流等は、Vr抵抗の端子間電圧を測定することにより得ることができる。
【0524】
本発明は、試験をするトランジスタ117等は個別にV1電圧、V0電圧を設定することができる。V2電圧を各トランジスタの共通の電圧とすることにより、温度情報Tjを比較し、評価することができる。
【0525】
以上のV1電圧、V0電圧、V2電圧を変化あるいは調整する実施例は、本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。また、V1電圧、V0電圧、V2電圧を変化あるいは設定した際の、ゲート端子gに接続されたVr抵抗の端子間電圧を測定し、また、1周期または複数周期で端子間電圧を測定することも本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。
【0526】
本発明の一態様として、図54図57に図示するa方向、b方向、c方向、d方向へのV1電圧またはV2電圧の変化あるいは設定は、温度センサ510の出力データあるいは温度センサ510の出力温度に基づいて行うことが好ましい。また、試験するトランジスタ117のVi電圧の変化あるいは変化速度に基づいて行うことが好ましい。
【0527】
V2、V1の電圧により、サージ電圧Vs、突入電流Isの発生状態が異なる。したがって、図52図53のt0、t1、t2およびt4、t5、t6の時刻、タイミングを設定、調整することが好ましい。また、温度情報Tj(端子間電圧Vi)の測定タイミングを設定、調整できることが好ましく、また、設定、調整できることに特徴がある。
【0528】
図54において、t1~t2、t6~t7がトランジスタ117のチャンネル間電圧(c端子-e端子間電圧)である端子間電圧Viを測定(取得)し、温度情報Tj(端子間電圧Vi)を得る期間である。
【0529】
端子間電圧Viを測定(取得)は、t1~t2、t6~t7の両方の期間で行う必要はなく、t6~t7期間だけであっても良い。その場合は、t1~t2期間は、V2電圧でなく、V1電圧をゲート端子gに印加しても良い。
以上のV1電圧、V0電圧あるいはV2電圧を変化あるいは調整する実施例は、本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。
【0530】
図54は、トランジスタ117のチャンネル間に定電流Icを印加し、トランジスタ117の温度情報Tj(端子間電圧Vi)、あるいは温度変化に基づく、特性式を得る方法であった。
【0531】
図55はトランジスタ117に内蔵された(トランジスタ117とダイオードが同一のプロセスで形成された)ダイオードDi、あるいは近傍に位置するダイオードDi、もしくはトランジスタ117の寄生ダイオードDi、ダイオードDs、ダイオードDmに定電流Icを供給あるいは印加してトランジスタ117、ダイオードDの端子間電圧Vi、温度情報Tjを得る実施例の説明図である。
【0532】
ダイオードD(Di、Ds、Dm)に定電流Icを印加するためには、トランジスタ117にゲート端子gのオフ電圧(V0、Vn)を印加する。トランジスタ117をオフ状態とすることにより、定電流IcはダイオードDi等に流れる。なお、主としてダイオードDiを例示して説明をする。
図55において、図54と同様に、V1電圧はa方向またはb方向に可変あるいは設定することができる。
【0533】
トランジスタに印加するオフ電圧は、トランジスタ117がSiC(シリコンカーバイド)トランジスタの場合はオフ電圧をVn電圧(V0よりも低い電圧)とし、IGBTの場合は、オフ電圧を0Vとする。オフ電圧は、図55に図示するように、c方向、d方向に可変、設定をすることができる。
【0534】
本発明の半導体試験装置または半導体素子の試験方法は、試験するトランジスタ117の種類に応じて、トランジスタ117に供給するオフ電圧を変更できるように構成している。
【0535】
オフ電圧(V1~V0~Vn)が印加されている時に、定電流Icを印加してトランジスタ117の温度を測定する(端子間電圧Viを測定する)。オフ電圧を印加している期間にダイオードDiに定電流Icを流す。
【0536】
SiCトランジスタ117の場合は、ゲート端子gにV0電圧よりも低い電圧が印加されることにより、トランジスタ117のオフ状態が安定し、温度情報Tjの測定を安定して実施することができる。また、温度情報Tjの測定時にノイズが乗りにくく、温度情報Tj(端子電圧Vi)の測定精度が向上する。
【0537】
ダイオードDiに定電流Icを流すときには、スイッチ回路122b、スイッチ回路122aをオフして、電源装置132からの電流がトランジスタ117に印加されないように制御、設定する。
【0538】
ダイオードDiに定電流Icを流すことにより、ダイオードDi等の端子間電圧Viを取得し、オペアンプ回路116は端子間電圧に対応する端子間電圧Viを出力する。端子間電圧Viは温度測定回路115に入力され、温度測定回路115はトランジスタ117の温度に対応する温度情報Tjを求める。
【0539】
温度情報Tjはコントローラ回路111に転送され、コントローラ回路111は温度情報Tjに基づいてトランジスタ117の試験の継続、停止、条件変更など、半導体試験装置のトランジスタ117の試験を制御する。
【0540】
以上の事項、内容は、ゲート端子に印加する電圧VgのV1電圧をb方向、c方向に変化させること、V0電圧をc方向、d方向に変化させることは本発明の他の実施例においても適用できることは言うまでもない。
【0541】
図56は、定電流Icを使用せず、トランジスタ117に試験電流Idを供給した状態で、トランジスタ117のチャンネル間電圧を測定する方法の説明図である。試験電流Idによるトランジスタ117の端子間電圧をVi電圧とし、温度情報Tjを得る。
【0542】
評価あるいは試験対象がトランジスタ117mの場合は、スイッチ回路124c、スイッチ回路124dをオンさせて、試験電流Idをトランジスタ117mに供給し、チェンネル間電圧Viを取得する。評価あるいは試験対象がトランジスタ117sの場合は、スイッチ回路122bをオンさせて、試験電流Idをトランジスタ117sに供給し、チャンネル間電圧Viを取得する。
【0543】
パワーサイクル試験において、試験電流Idを供給して試験を実施すると、トランジスタ117の劣化、経時変化、特性により、チャンネル間電圧Viに変化が発生する。Viの測定等は、定電流Icを印加する実施例と同様に、1周期毎または複数周期毎に実施する。
【0544】
トランジスタ117が劣化あるいは変化している場合、トランジスタ117に試験電流Idを供給した状態で、トランジスタ117のチャンネル間電圧Viの変化を測定あるいは評価することにより、経時変化を取得することができる。
【0545】
図56(d)は、試験電流Idをトランジスタ117に供給し、ゲート端子gにV2電圧を印加している時にトランジスタ117のチャンネル間電圧Viを測定する。電圧測定Viは、t1~t2の期間とt5~t6の期間のうち、少なくとも一方で実施する。
【0546】
図56(e)は、試験電流Idをトランジスタ117に供給し、ゲート端子gにV1電圧を印加している時にトランジスタ117のチャンネル間電圧Viを測定する。電圧測定Viは、t3~t4の期間で実施する。
また、ゲート端子電圧Vgとして、V2電圧を印加しているt1~t2、t5~t6期間にトランジスタ117のチャンネル間電圧Vi(Vce)を測定する。
【0547】
図56の実施例は、t1~t2期間、t3~t4期間、t5~t6期間のいずれか1箇所以上でVi電圧を測定する実施例である。測定あるいは取得されたVi電圧を1周期ごと、あるいは複数周期ごとに取得し、Vi電圧の変化により、トランジスタ117の特性、特性変化を評価、試験をする。
【0548】
図57に図示するように、t6~t7期間に定電流Icを供給し、また、t5~t6期間にゲート端子(ベース端子)gの印加電圧をV2電圧としても良い。オフ電圧はV0電圧、またはV0~Vn電圧に設定する。
【0549】
t4~t5期間は、トランジスタ117のg端子にV1電圧を印加し、トランジスタ117に試験電流Idを供給する。試験電流Idの供給は、所定の周期で実施する。なお、V1電圧は、1周期ごと、あるいは複数周期ごとに変化あるいは変更しても良い(矢印a、矢印b)。t4~t5期間のV1電圧を変化あるいは設定することにより、トランジスタ117の発熱量が変化し、また、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vec(Vi)が変化する。変化に伴って、t5~t6期間に供給する定電流IcによるTj(Vi)が変化する。変化割合、変化量を定量化することにより、トランジスタ117の劣化状態を定量的に把握することができる。
【0550】
図58は本発明の他の実施例における半導体素子試験方法の説明図である。図58(c)に図示するように、t2~t5の期間は、g端子の電圧は任意に変化させることができる。または、変化させる実施例である。t2~t5期間に印加する電圧は、ゲートドライバ回路113の出力に基づいて、トランジスタ117のゲート端子gへの電圧が変化させる。
【0551】
図58(c)に示す実施例では、t2の時、V1a電圧であり、t5の時V1b電圧となるようにトランジスタ117のゲート信号電圧Vgを変化させている。トランジスタ117のゲート端子gに印加する電圧により、トランジスタ117のチャンネル間抵抗が変化するから、トランジスタ117の発熱状態も変化する。発熱状態の変化により、多様な試験を実施あるいは実現できる。また、トランジスタ117のチャンネル間電圧Vce(Vi)が変化させることができるため、多様な試験条件を設定できる。
【0552】
トランジスタ117が劣化あるいは変化している場合、トランジスタ117に試験電流Idを供給した状態で、トランジスタ117のチャンネル間電圧Viの変化を測定あるいは評価することにより、経時変化を取得することができる。
【0553】
図58(d)は、試験電流Idをトランジスタ117に供給し、ゲート端子gにV2電圧を印加している時にトランジスタ117のチャンネル間電圧Viを測定する。電圧Viの測定は、t1~t2の期間とt5~t6の期間のうち、少なくとも一方で実施する。
【0554】
図58(e)は、試験電流Idをトランジスタ117に供給し、ゲート端子gにV1電圧~V2電圧に変化させている時にトランジスタ117のチャンネル間電圧Viを測定する。電圧測定Viは、t2~t5の期間で実施し、Viの測定はt2~t5の範囲で行う。
【0555】
図59(a)に図示するように、試験電流Idをトランジスタ117に供給あるいは印加する時のゲート端子gに印加するゲート電圧Vgを周期的に変化させても良い。図59(a)では、A期間、C期間では、V1a電圧を印加し、B期間では、V1b電圧を印加している。A期間(C期間)とB期間は、交互に繰り返される。
【0556】
以上のように、本発明は試験電流Idを印加する期間において、本発明はトランジスタ117のゲート端子電圧を複数の電圧に可変、あるいは電圧を連続的に変化させることができる。
【0557】
図59(b)に図示するように、図58に示す電圧の変化を実施しても良い。A期間、C期間では、V1a電圧からV1b電圧に変化し、B期間では、V1b電圧からV1a電圧に変化させている。A期間(C期間)とB期間は、交互に繰り返される。
図59(c)に図示するように、t1~t2期間、t6~t7期間のゲート端子gへの端子電圧を変化させることもできる。
【0558】
図59(c)では、A期間(C期間)において、t1~t2期間は、V1b電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。t6~t7間は、V2電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。B期間において、t1~t2期間は、V1b電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。また、t2~t6期間もV1b電圧を維持する。t6~t7間は、V2電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。
【0559】
図59(d)では、A期間、B期間、C期間において、t1~t2期間は、Vn電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。t6~t7間は、V2電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。A期間(C期間)において、t2~t6期間は、V1a電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。B期間において、t2~t6期間は、V1b電圧をトランジスタ117のg端子に印加する。
【0560】
図59において、端子間電圧Viを測定する期間、特性カーブ(特性式)の温度情報Tjを求める期間は、t6~t7期間である。好ましくは、t1~t2期間にも測定する。t1~t2期間の端子電圧Viとt6~t7期間の端子間電圧Viとを比較することにより、より多様な試験を実施することができ、また、試験をするトランジスタ117の評価状況を詳細に把握することができる。
図60は、トランジスタ117mとトランジスタ117とを交互に試験を実施する実施例の説明図である。
【0561】
以下、説明および理解を容易にするため、トランジスタ117mはスイッチ回路122aをオンすることにより、試験電流Idがトランジスタ117mに供給され、スイッチ回路124dがオンすることにより、トランジスタ117mのチャンネル間の電荷が放電されるとして説明する。また、トランジスタ117mのゲート端子はVgmとし、トランジスタ117mに供給される試験電流はIdmとする。
【0562】
トランジスタ117sはスイッチ回路122bをオンすることにより、試験電流Idがトランジスタ117sに供給され、スイッチ回路124cがオンすることにより、トランジスタ117sのチャンネル間の電荷が放電されるとして説明する。また、トランジスタ117sのゲート端子はVgsとし、トランジスタ117sに供給される試験電流はIdsとする。
【0563】
図60は試験電流Idと定電流Icを1サイクルtsで実施する際のタイミングチャート図である。V1電圧をtoa期間印加し、V2電圧をtob期間印加する。トランジスタ117の通電期間後、V0電圧を印加してトランジスタ117をオフさせる。V1電圧、V2電圧、V0電圧を1サイクルtsとしてパワーサイクル試験(負荷試験)、アバランシェ試験等を実施する。
【0564】
トランジスタ117mとトランジスタ117sは交互にオンされる。したがって、トランジスタ117mとトランジスタ117sは交互に試験電流Id(IdmまたはIds)が印加される。Idは電源装置132aから供給される。
【0565】
図52で説明したように、スイッチ回路122aがオンする前のtb2から、スイッチ回路122aオンした後のtb1の期間、スイッチ回路124dがオンし、トランジスタ117mのチャンネル端子間の電荷が放電される。
【0566】
また、スイッチ回路122aがオフする前のta2から、スイッチ回路122aがオフした後のta1の期間、スイッチ回路124dがオンし、トランジスタ117mのチャンネル端子間の電荷が放電される。他の期間のスイッチ回路124dはオフ状態に維持される(図60(d1)、図60(e1))。
【0567】
トランジスタ117mのゲート端子gmには、図60(a1)に図示するように、toa期間にV1電圧が印加され、tob期間にV2電圧が印加される。トランジスタ117mにオン電圧が印加される周期はtsである。
【0568】
トランジスタ117mがV0電圧からV1電圧に変化させる時刻は、スイッチ回路124dがオフ(OFF)からオン(ON)に変化する前であっても良い。好ましくは、スイッチ回路124dがオフ(OFF)からオン(ON)に変化した後、かつスイッチ回路124dがオン状態の期間にV0電圧からV1電圧に変化させることが好ましい。
トランジスタ117mに試験電流Idmが流れる期間は、スイッチ回路122aがオン状態で、スイッチ回路124dがオフの期間となる。
【0569】
トランジスタ117mのゲート端子gmに印加する電圧がV1電圧からV2電圧に変化させる時刻は、特に制約はないが、少なくとも定電流Icmをトランジスタ117m等に供給する前のタイミングで変化させる。V2電圧が印加されている期間に、定電流Icmを供給し、トランジスタ117mの端子間電圧Viを測定する。
【0570】
トランジスタ117mのゲート端子gmに印加する電圧がV2電圧からV1電圧に変化させる時刻は、スイッチ回路124dがオンからオフに変化した後、好ましくは、トランジスタ117mに供給する定電流Icmを停止後に実施することが好ましい。
【0571】
図52で説明したように、スイッチ回路122aがオフする前のta2から、スイッチ回路122aがオフした後のta1の期間、スイッチ回路124dがオンし、トランジスタ117mのチャンネル端子間の電荷が放電される(図60(d1)、図60(e1))。
トランジスタ117sもトランジスタ117mと同様に試験電流Idsが供給されてパワーサイクル試験等が実施される。
【0572】
トランジスタ117mとトランジスタ117sは交互にオンされる。したがって、トランジスタ117mとトランジスタ117sは交互に試験電流Id(IdmまたはIds)が印加される。Idは電源装置132aから供給される。トランジスタ117mとトランジスタ117sは同時に試験電流Id(Idm、Ids)が供給されることがないため、低容量の電源装置132を採用できる。
【0573】
図52で説明したように、スイッチ回路122bがオンする前のtb2から、スイッチ回路122bオンした後のtb1の期間、スイッチ回路124cがオンし、トランジスタ117sのチャンネル端子間の電荷が放電される。
【0574】
また、スイッチ回路122bがオフする前のta2から、スイッチ回路122bがオフした後のta1の期間、スイッチ回路124cがオンし、トランジスタ117sのチャンネル端子間の電荷が放電される。他の期間のスイッチ回路124cはオフ状態に維持される(図60(d1)、図60(e1))。
【0575】
トランジスタ117sのゲート端子gsには、図60(a1)に図示するように、toa期間にV1電圧が印加され、tob期間にV2電圧が印加される。トランジスタ117sにオン電圧が印加される周期はtsである。
【0576】
トランジスタ117sがV0電圧からV1電圧に変化させる時刻は、スイッチ回路124cがオフ(OFF)からオン(ON)に変化する前であっても良い。好ましくは、スイッチ回路124cがオフ(OFF)からオン(ON)に変化した後、かつスイッチ回路124cがオン状態の期間にV0電圧からV1電圧に変化させることが好ましい。
トランジスタ117sに試験電流Idsが流れる期間は、スイッチ回路122bがオン状態で、スイッチ回路124cがオフの期間となる。
【0577】
トランジスタ117sのゲート端子gsに印加する電圧がV1電圧からV2電圧に変化させる時刻は、特に制約はないが、少なくとも定電流Icsをトランジスタ117s等に供給する前のタイミングで変化させる。V2電圧が印加されている期間に、定電流Icsを供給し、トランジスタ117sの端子間電圧Viを測定する。
【0578】
トランジスタ117sのゲート端子gsに印加する電圧がV2電圧からV1電圧に変化させる時刻は、スイッチ回路124dがオンからオフに変化した後、好ましくは、トランジスタ117sに供給する定電流Icsを停止後に実施することが好ましい。
【0579】
図52で説明したように、スイッチ回路122bがオフする前のta2から、スイッチ回路122aがオフした後のta1の期間、スイッチ回路124cがオンし、トランジスタ117sのチャンネル端子間の電荷が放電される(図60(d1)、図60(e1))。
なお、図60は、図52の試験方法をtsサイクルで実施した実施例であるが、図53でも同様に適用できることは言うまでもない。
【0580】
図52等において、V0電圧をオフ電圧としたが、V0電圧は1レベルの電位に限定するものではない。例えばV0a電圧とV0b電圧等と複数にし、複数のオフ電圧を使用しても良い。例えば、V1電圧に変化させる前のオフ電圧を10m秒以下の期間、V0a電圧とし、他のオフ電圧の印加期間はV0b電圧として良い。V0aとV0b電圧の電位レベルは、V0a<V0bとすることが好ましい。V0a電圧を低くすることにより、V0a電圧からV1電圧の変化速度が大きくなり、オンオフ動作の中間状態が短くなる。
【0581】
図61は本発明の他の実施例における半導体試験装置の動作を説明するタイミングチャート図である。図60との差異は、図61(e3)、図61(e2)である。
【0582】
図60の実施例では、トランジスタ117mのVgm信号に対応して図60(e1)に図示するようにスイッチ回路124dをオンさせて、トランジスタ117mのチャンネル間電圧または電源装置132の端子間の電荷を放電していた。また、トランジスタ117sのVgs信号に対応して図60(e2)に図示するようにスイッチ回路124cをオンさせて、トランジスタ117sのチャンネル間電圧または電源装置132の端子間の電荷を放電していた。
【0583】
図61の実施例では、トランジスタ117mのVgm信号およびトランジスタ117sのVgs信号に共通に、図61(e3)に図示するように、スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dをオンオフ制御する。スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dのオンにより、トランジスタ117s、トランジスタ117mのチャンネル間電圧、または電源装置132の端子間の電荷を放電することができる。
【0584】
また、図61(e4)に図示するように、トランジスタ117mのVgm信号およびトランジスタ117sのVgs信号に共通に、スイッチ回路124bをオンオフ制御する。スイッチ回路124bのオンにより、トランジスタ117s、トランジスタ117mのチャンネル間電圧、または電源装置132の端子間の電荷を放電することができる。
【0585】
図62は、トランジスタ117mとトランジスタ117sを同時にオンさせてパワーサイクル試験(負荷試験)等を実施する実施例のタイミングチャート図である。トランジスタ117sとトランジスタ117mは直列に接続されている。トランジスタ117mのゲート端子gmとトランジスタ117sのゲート端子gsには、共通のゲート電圧を印加する(図62(a3))。
【0586】
試験電流Idは、スイッチ回路122bをオンさせることにより供給する(図62(d2))。スイッチ回路122aは常時オフ状態に制御する。トランジスタ117sおよびトランジスタ117mのチャンネル間の電荷の放電は、スイッチ回路124bをオンさせる(図62(e4))か、スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dを同時にオン状態にすることにより実施する。
試験電流Id(試験電流Idm、試験電流Ids)は、toa期間にトランジスタ117mおよびトランジスタ117sに供給される(図62(b3))。
定電流Ic(定電流Icm、定電流Ics)は、tob期間に、トランジスタ117mとトランジスタ117sに独立して供給される(図62(c3))。
【0587】
図62(e4)に図示するように、トランジスタ117mおよびトランジスタ117sのチャンネル間の電荷の放電は、スイッチ回路124bをオンさせる。または、スイッチ回路124cおよびスイッチ回路124dを同時にオン状態にすることにより実施する。
【0588】
図1図2図8図21図26図30図40等の実施例において、上トランジスタ117s、下トランジスタ117mの2つのトランジスタを有する半導体モジュール117のように図示し、説明したが本発明はこれに限定するものではない。たとえば、上トランジスタ117sまたは下トランジスタ117mの一方のみの構成であっても本発明の実施例は適用できることは言うまでもない。また、半導体モジュール117において3つ以上のトランジスタで構成される場合においても本発明の実施例が適用できることは言うまでもない。
【0589】
図26等において上トランジスタ117sを配置あるいは実装していな構成の場合は、上トランジスタ117sのコレクタ(C)端子が接続される電源配線212と下トランジスタ117mのコレクタ(C)端子を接続する押圧具501を使用し、電源配線212と下トランジスタ117mのコレクタ(C)端子を電気的に接続すれば良い。
【0590】
図26等において下トランジスタ117sを配置あるいは実装していな構成の場合は、上トランジスタ117sのエミッタ(E)端子と下トランジスタ117mのエミッタ(E)端子に接続された電源配線212とを接続する押圧具501を使用し、上トランジスタ117sのエミッタ(E)端子と源配線212を電気的に接続すれば良い。
【0591】
以上のように、下トランジスタ117mあるいは上トランジスタ118sのいずれかが配置あるいは実装されていない場合は、該当トランジスタ117の端子間を短絡する押圧具510を使用すること、あるいは配線で接続することにより、一方のトランジスタで試験あるいは評価ができるようにすれば良い。たとえば、図30において、トランジスタ117a、トランジスタ117c、トランジスタ117eが実装されていない構成、図30において、トランジスタ117b、トランジスタ117d、トランジスタ117fが実装されていない構成が例示される。以上の事項は、半導体モジュール117を構成するトランジスタ数が3個以上の場合でも同様である。
以上の事項は、図51図61の半導体素子(電気素子)の検査あるいは試験方法においても同様に適用できることは言うまでもない。
【0592】
以上、図51図61で説明した半導体素子(電気素子)試験方法は、本発明の実施例で説明した本発明の半導体素子(電気素子)試験装置に適用できる。また全部または一部を組み合わせることができることは言うまでもない。
【0593】
本発明の実施例において、試験を行うトランジスタ117は、IGBTを例示して説明したが、これに限定するものではない。たとえば、図62に図示しているように、ダイオード等の2端子素子であってもよい。また、半導体素子に限定されるものではなく、コンデンサ、抵抗等の電気素子であればいずれのものでも適用できる。
本明細書および図面に記載した事項あるいは内容は、一部または全部を相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【0594】
以上、本明細書において、実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0595】
本発明は、トランジスタ等の半導体素子をスライド板505に積載して、試験装置の槽内に固定できる。また、電気素子の試験内容、電気素子の試験数に対応して、容易に接続変更できる。
【符号の説明】
【0596】
111 コントロール回路(コントローラ)
112 ゲート信号制御回路
113 ゲートドライバ回路
115 温度測定回路
116 オペアンプ(バッファアンプ)
117 電気素子(トランジスタ)
118 定電流回路
122 スイッチ回路
124 スイッチ回路
125 可変抵抗回路
127 アナログデジタル(AD)コンバータ回路
128 デジタルアナログ(DA)コンバータ回路
132 電源装置
134 加熱冷却プレート
137 短絡回路
201 スイッチ回路基板
202 コネクタ
203 サンプル接続回路
204 導体板
205 フォークプラグ
206 接続ピン
208 コネクタ
209 デバイス制御回路
211 接続配線
212 電源配線
214 隔壁
216 開口部
219 接続ボルト
220 接触部
221 固定ネジ
223 ヒートパイプ
226 素子端子
227 (冷却)(加熱)冷却ファン
500 素子取付け台
501 押圧具
502 端子基板
503 デバイス台
504 コネクタ台
505 スライド板
506 カムフォロア
507 レールガイド
508 ソケットコネクタ(オス)
509 ソケットコネクタ(メス)
510 温度センサ
511 配線パターン
512 固定穴
514 固定穴
515 ランド
516 放熱グリス
517 導体板群
518 取手
519 制御回路部(基板)
520 保持具
522 加熱冷却機器部
523 筐体(恒温槽装置)
524 処理回路
525 ファン
526 槽内
527 扉
528 フォークコネクタ(接続部材)
529 接点スイッチ(検出スイッチ)
530 確認ランプ(確認表示灯)
531 固定穴
532 固定穴
533 試験機部
534 素子挿入部
535 素子接続部
536 接続具
537 開口部
538 放熱フィン
702 IC留め穴
704 絶縁板
705 シールド板
707 (ピン)コネクタ
708 絶縁シート(絶縁膜)
709 導体板
710 ネジ穴
711 金具軸
712 ケーブルコネクタ
713 軸穴
714 ローレット付きナット
717 押圧具支柱(押圧具固定支柱)
721 接点金具
722 接続金具
723 留めネジ
724 接続ピン
725 ケーブル取付けネジ
726 ピンソケット
727 信号配線
728 押圧ネジ
732 信号ケーブル
737 留め具
738 接続検出部
751 フレーム枠
752 フレーム固定足
753 前面カバー
754 信号ケーブルコネクタ
755 電源ケーブル取付け端子
756 固定板支柱
757 圧力調整具
758 圧力調整具
759 固定ネジ
760 引き出しピン
761 ファン制御部
762 操作パネル
763 制御I/F
764 警報器
781 接続金具ピン
782 分離固定板
783 固定穴
784 固定板ピン
791 外部接続穴
801 スペーサ台
802 固定板
821 ケーブルスペーサ台
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図50
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図60
図61
図62
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