(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035799
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】セラミックス装飾が象嵌された計時器又は宝飾品の要素を作る方法
(51)【国際特許分類】
G04B 37/22 20060101AFI20240307BHJP
G04B 45/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G04B37/22 J
G04B37/22 V
G04B45/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023121406
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】22193760.0
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ・ヴュイユ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ウヤン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い機械的強度、耐摩耗性、不変性、美的効果を兼ね備えるような、装飾が象嵌された計時器又は宝飾品の要素を提供する。
【解決手段】硬質材料によって作られた本体を備え、第2の材料によって作られた装飾が象嵌された、計時器又は宝飾品の外側部品の要素を製造する方法であって、この方法は、第1のステップ100において、硬質材料によって作られた本体を形成し、第1のステップ100の間又は第2のステップ200において、本体の面に空欠部を形成し、第3のステップ300において、空欠部の底部及び/又は壁部の表面状態を変えて、その接触面積を増大させ、第4のステップ400において、耐摩耗性のために選択された少なくとも1つの生物由来のチャージ済みポリマーを含む複合材料である第2の材料で空欠部を充填して、装飾を形成するインサートを構成し、第5のステップ500において、インサートの表面仕上げを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質材料によって作られ、前記硬質材料とは異なる第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾(5)が象嵌された、計時器又は宝飾品の要素(10)を製造する方法であって、
第1のステップ(100)において、前記硬質材料によって作られた本体(1)を形成し、
前記第1のステップ(100)の間又はその後の第2のステップ(200)において、硬質材料によって作られた前記本体(1)の面に、前記装飾(5)の像を形成するように構成している少なくとも1つの空欠部(9)を形成し、
第3のステップ(300)において、前記空欠部(9)の底部及び/又は壁部の表面状態を変えて、その底部及び/又は壁部の接触面積を増大させ、
第4のステップ(400)において、耐摩耗性のために選択された少なくとも1つの生物由来のチャージ済みポリマーを部分的に又は全体的に含む複合材料である前記第2の材料で少なくとも1つの前記空欠部(9)を充填して、前記装飾(5)を形成するインサート(2)を構成し、
第5のステップ(500)において、前記インサートの表面仕上げを行う
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2のステップ(200)及び/又は前記第3のステップ(300)の間に、前記壁に微小レリーフ(91)を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第5のステップ(500)の間に、前記インサート(2)は、自身が形成された前記空欠部(9)の体積までに自身の体積が抑えられるように前記本体(1)と面一にされて、前記第2の材料を前記空欠部(9)の空欠部分のみに留まらせる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記本体の前記硬質材料は、チタン、ジルコニウム、ケイ素、又はアルミニウムの酸化物、炭化物、又は窒化物から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記本体の前記硬質材料は、サーメット、サファイア又はスピネルから選択されるか、又はMgAlO4、Mn3O4、ZnFeO4、FeCrO4、LiMnO4、MgSe0.1-0.4Al0.9-0.6O4、及びYAGから選択される組成に従う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硬質材料として、チタン、ジルコニウム、ケイ素又はアルミニウムそれぞれの酸化物、炭化物又は窒化物を含むサーメットが選択される
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複合材料である前記第2の材料として、複合セラミックスが選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複合セラミックスは、チタン、ジルコニウム、ケイ素又はアルミニウムそれぞれの酸化物、炭化物又は窒化物によって形成されるセラミックス粒子を含むように選択される
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の材料は、セラミックスを50~85重量%含むように選択される
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
複合材料である前記第2の材料は、硬質材料である第3の材料の粒子を含むように選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の材料は、金属を50~85重量%含むように選択される
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の材料は、合計100重量%のうち、
50~85重量%の生物由来材料、及び/又は金属性材料、及び/又はセラミックス材料によって作られたフィラーと、
15~50重量%の少なくとも1つのポリマーと、
0~10重量%のカップリング剤と、
0~10重量%の補強材と、
0~5重量%の顔料と、
0~5重量%の希釈剤及び/又は可塑剤とを含み、
前記ポリマーは、前記フィラーに結合しており、かつ/又は前記第2の材料が少なくとも1つのカップリング剤を含む場合、前記カップリング剤は、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される結合のうちの一又は複数によって、前記ポリマー及び前記フィラーにそれぞれ結合している
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマーは、水素結合ドナーを含み、
前記随意的なカップリング剤は、水素結合ドナーを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーは、ポリアミドであり、
前記随意的なカップリング剤は、ポリウレタンである
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマーは、ポリウレタンである
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーは、ポリエステルであり、
前記随意的なカップリング剤は、アミド基又はアミン基を含むヒドロキシシランである
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第4のステップ(400)は、少なくとも1つの前記空欠部(9)に前記第2の材料を注入することによって行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のステップ(100)及び/又は前記第4のステップ(400)は、三次元ファイルに基づく三次元印刷によって行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のステップ(100)、前記第2のステップ(200)及び前記第4のステップ(400)は、三次元ファイルに基づく単一の三次元印刷動作において組み合わされる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
硬質材料によって作られた本体(1)を備える計時器又は宝飾品の外側部品の要素(10)であって、
前記外側部品の要素(10)には、前記硬質材料とは異なる第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾(5)が象嵌されており、
少なくとも1つの前記装飾(5)の面は、耐摩耗性のために選択された生物由来のチャージ済みポリマーによって作られたインサート(2)の面からなる
ことを特徴とする外側部品の要素(10)。
【請求項21】
請求項20に記載の外側部品の要素(10)を少なくとも1つの備える
ことを特徴とする計時器又は宝飾品(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質材料によって作られ、第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾が象嵌された、計時器又は宝飾品の要素を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、硬質材料によって作られ、第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾が象嵌された、計時器又は宝飾品の外側部品の要素に関する。
【0003】
本発明は、さらに、このような外側部品の要素を少なくとも1つ備える計時器及び宝飾品に関する。
【0004】
本発明は、高い機械的強度、耐摩耗性、不変性、そして特定の美的効果を兼ね備えている、計時器又は宝飾品の外側部品の製造の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
硬質材料、特に、セラミックス、をベースとし、この硬質材料の外観に対してコントラストがある装飾が施された外側部品コンポーネントを作ることは難しい。なぜなら、この装飾には、硬質基材と同様の機械的強度、耐摩耗性、及び不変性の品質がなければならないからである。また、硬質材料とそれに取り付けられた装飾の間の結合は、完全であって、かつ、美的に優れている(例、宝飾品のセッティングの場合)かユーザーが見えないものでなければならない。
【0006】
従来技術には、ゴムのオーバーモールド、ラッカーによる空洞の充填、Hyceram(登録商標)やLiquidmetal(登録商標)のような他の材料での充填、特に二成分射出成形によるもの、がある。
【0007】
材料の選択と手順を定めることに関する課題として、外側部品の要素の良好な機械的挙動、特に、硬質材料によって作られた本体における装飾の優れた結合、良好な耐傷性、及び良好な耐久性を確実にすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、最終的に、高い機械的強度、耐摩耗性、不変性、及び特定の美的効果を兼ね備えるような、硬質材料によって作られ、特に前記硬質材料とは異なる第2の材料によって作られた、少なくとも1つの装飾が象嵌された、計時器又は宝飾品の要素を作る方法を開発することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、請求項1に記載の、硬質材料によって作られ、この硬質材料とは異なる第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾が象嵌された、計時器又は宝飾品の要素を作る方法に関する。
【0010】
本発明は、さらに、硬質材料によって作られ、第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾が象嵌された、計時器又は宝飾品の外側部品の要素に関する。
【0011】
本発明は、さらに、このような外側部品の要素を少なくとも1つ備える計時器及び宝飾品に関する。
【0012】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴を一層明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る方法を実行する手順を示しているフローチャートである。
【
図2】この方法に従って作られた、装飾がある外側部品の要素を含む、計時器、特に携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、を概略的に示している。
【
図3】空洞が形成されている、硬質材料によって作られた外側部品の要素であって、第2の材料を受けて装飾を形成するように意図された空欠部があるもの、の概略部分断面図である。
【
図4】
図3と同様に、同じ要素を示しており、壁部にアンダーカット輪郭が形成されており、アンダーカット面を境界とする空洞が空欠部の底面に形成されており、一点鎖線は、空欠部のオリフィスを通り抜けるレーザービームの軌道を示しており、このレーザービームは、加工によってこれらのアンダーカット輪郭と結合面を形成することができる。
【
図5】
図4と同様に、同じ要素を示しており、少なくとも1つの生物由来のチャージ済みポリマーを部分的に又は全体的に含む複合材料である第2の材料が空欠部内に挿入されている。
【
図6】
図5と同様に、同じ要素を示しており、第2の材料の突出部が硬質材料によって作られた本体の上面と面一にされている。
【
図7】
図6と同様に、別の要素を示しており、薄い壁の両側に2つの空欠部が形成され、この壁と底部が
図4と同様に加工されており、これらの空欠部にも第2の材料が充填され、第2の材料の突出部は、第1の空欠部において、硬質材料によって作られた本体の上面と面一にされ、第2の空欠部において、この上面に対して空欠部の内側まで加工されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、硬質材料によって作られた本体に、特にこの硬質材料とは異なる、第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾5が象嵌された、要素10、特に計時器又は宝飾品の外側部品の要素、を製造する方法に関する。
【0015】
計時器や宝飾品の外側部品の製造にセラミックス材料が導入されて以来、これらのコンポーネントに数字、インデックス、目盛り、表示値のような装飾、又は美的装飾を組み込むことが試みられている。
【0016】
The Swatch Group Research and Development Ltdによる欧州特許文献EP2855400には、少なくとも1つの複合セラミックス装飾が象嵌されたセラミックス要素が記載されている。この複合セラミックス装飾は、セラミックス要素の空欠部に挿入された後に、制御された雰囲気中で架橋され緻密化された、セラミックス粒子によってチャージ(充填)された有機マトリックスによって作られる。本明細書の教示は、例えば、多色装飾、Superluminova(登録商標)のようなリン光材料を含む装飾、リン光性アルミン酸ストロンチウムを含む装飾などを製造するための本発明の特定の変異形態にも適用可能である。
【0017】
ETA SA Manufacture Horlogere Suisseによる欧州特許文献EP4001356には、チャージ済みプラスチック材料によって作られた物品が記載されており、この材料は、金属性材料及び/又はセラミックス材料によって作られたフィラーと、少なくとも1つのポリマーとを含み、そして場合によって、カップリング剤、補強剤、顔料、希釈剤、及び/又は可塑剤を非常に具体的な範囲で含む。ここでも、本明細書の教示は、本発明の特定の変異形態、例えば、以下に開示している第2の材料の組成物、にも適用可能である。
【0018】
本発明によると、第1のステップ100において、このような硬質材料によって作られた本体1を形成する。
【0019】
この第1のステップ100の間に、又はこの第1のステップ100に続く第2のステップ200において、硬質材料によって作られた本体1の面に少なくとも1つの空欠部9が作られる。この少なくとも1つの空欠部9は、このような装飾の像を形成するように構成している。
【0020】
第3のステップ300において、この空欠部9の底部及び/又は壁部の表面状態を変えて、その接触面積を増加させる。
図4は、壁部にアンダーカット輪郭91が形成され、アンダーカット面を境界とする空洞92が空欠部9の底部にも形成されている実施例を示している。一点鎖線は、空欠部のオリフィス9を通り抜けるレーザービームの軌道を示しており、このレーザービームは、これらのアンダーカット輪郭及び結合面を加工することができる。
【0021】
第4のステップ400において、少なくとも1つの空欠部9が前記第2の材料によって充填され、この第2の材料は、耐摩耗性のために選択された少なくとも1つの生物由来のチャージ済みポリマーを部分的に又は全体的に含む複合材料であり、これによって、このような装飾5を形成するインサート2を構成する。
【0022】
特に、この生物由来のチャージ済みポリマーは、ひまし油から作られる生物由来の材料を含むセラミックスを含む、Swatch(登録商標)Bioceramic(登録商標)のようなバイオセラミックスである又はこのようなバイオセラミックスを含むことができる。
【0023】
第5のステップ500において、このインサート2の表面仕上げを行い、これは、その表面12を、特に、空欠部9のまわりの本体1の面11に対して凹んだり面一になったりするように、加工することによって行う。
【0024】
特に、第2のステップ200及び/又は第3のステップ300の間に、壁部及び/又は底部に、微小レリーフ91、92を形成する。
【0025】
特に、第2のステップ200及び/又は第3のステップ300の間に、壁部及び/又は底部にアンダーカットが施されたマイクロレリーフ91、92を形成する。特に、斜めからのレーザーショットによって、空欠部に小さな開口がある場合でも、壁部又は底部に前記のような空欠輪郭を形成することが可能になり、これによって、第1の材料に第2の材料を結合させることが促進される。
【0026】
特に、第2のステップ200及び/又は第3のステップ300の間に、空欠部の壁部及び/又は底部は、粗さが、7~13μm・Ra、より詳細には8~10μm・Ra、であるように作られる。
【0027】
特に、第5のステップ500の間に、インサート2は、本体1から面一にされるか、又は本体1に対して凹むように加工されて、インサート2の体積をインサート2を形成する空欠部9の体積までに制限し、これによって、この空欠部9の空欠部分にのみ第2の材料が存在するようにされる。したがって、第2の材料によって作られたインサート2は、空欠部が形成された本体の面から突出しない。
【0028】
特に、本体の前記硬質材料は、チタン、ジルコニウム、ケイ素又はアルミニウムそれぞれの酸化物、炭化物又は窒化物から選択される。
【0029】
特に、前記本体の前記硬質材料は、サーメット、サファイア又はスピネルから選択され、又はMgAlO4、Mn3O4、ZnFeO4、FeCrO4、LiMnO4、MgSe0.1-0.4Al0.9-0.6O4、YAG、又は貴石、半貴石、又は硬石、隕石、真珠母、化石などから選択される組成に従って選択される。
【0030】
特に、硬質材料として、チタン、ジルコニウム、ケイ素又はアルミニウムそれぞれの酸化物、炭化物、窒化物を含むサーメットが選択される。
【0031】
変異形態の1つにおいて、第2の複合材料として複合セラミックスが選択される。
【0032】
特に、この第2の複合材料は、セラミックス粒子を含むものを選択する。
【0033】
特に、第2の複合材料は、チタン、ジルコニウム、ケイ素又はアルミニウムそれぞれの酸化物、炭化物又は窒化物によって形成されるセラミックス粒子を含むように選択される。
【0034】
特に、前記第2の材料としては、50~85重量%のセラミックスを含むものを選択する。
【0035】
変異形態の1つにおいて、この第2の複合材料としては、硬質材料である第3の材料の粒子を含むものを選択する。
【0036】
特に、前記第2の材料は、50~85重量%の金属を含むものを選択する。
【0037】
特に、金属フィラーとしては、チタン、タングステン、白金、金、イリジウムを含むことができる。
【0038】
特に、第2の材料として、合計100重量%のうち、50~85重量%の生物由来材料及び/又は金属性材料及び/又はセラミックス材料によって作られたフィラーと、15~50重量%の少なくとも1つのポリマーと、0~10重量%のカップリング剤と、0~10重量%の補強材と、0~5重量%の顔料と、0~5重量%の希釈剤及び/又は可塑化剤とを含む材料を選択し、前記ポリマーは前記フィラーに結合しており、かつ/又は前記第2の材料が少なくとも1つのカップリング剤を含む場合、このカップリング剤は、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される結合の1つ又は複数によって前記フィラーにそれぞれ結合している。
【0039】
特に、このポリマーは、水素結合ドナーを含み、随意的なカップリング剤は、水素結合ドナーを含む。
【0040】
特に、このポリマーはポリアミドであり、随意的なカップリング剤はポリウレタンである。
【0041】
特に、このポリマーはポリウレタンである。
【0042】
特に、このポリマーはポリエステルであり、随意的なカップリング剤は、アミド基又はアミン基を含むヒドロキシシランである。
【0043】
特に、前記第2の材料は、ガラス繊維、及び/又はガラスビーズ、及び/又は炭素繊維、及び/又はアラミド繊維、及び/又は植物繊維及び/又は動物繊維によって形成される補強材を含む。
【0044】
特に、第4のステップ400の間に、有機粒子によって少なくとも部分的にチャージ済みの有機マトリックスで空欠部を充填する。
【0045】
特に、第4のステップ400と第5のステップ500の間に、前記有機マトリックスを、20~300℃の温度で、制御された雰囲気において、架橋し緻密化する中間ステップ450を行う。
【0046】
特に、この中間ステップ450は、300~650×105N/m2(300~650bar)、より詳細には400~600×105N/m2(400~600bar)、の圧力で行われる。
【0047】
特に、この有機マトリックスは、随意的に変性されるエポキシド、及び/又は随意的に変性されるアクリル、及び/又はポリウレタン、及び/又はシリコーンによって形成される。特に、この有機ポリマーマトリックスはセラミックスによってチャージされており、特に、セラミックスフィラーは、第2の材料の、55~65重量%、特に60重量%近く、より詳細には58~62重量%、含まれる。
【0048】
特に、第1のステップ100は焼結によって行われる。
【0049】
特に、第2のステップ200及び/又は第3のステップ300は、レーザー走査によって行われる。機械的エッチングによる実行も可能であるが、必要なダイヤモンド工具のコストが高い。
【0050】
特に、第2のステップ200の間に、硬質材料によって作られた本体の上面に対して80μm~500μmの深さを有する空欠部が作られる。
【0051】
特に、第2のステップ200及び/又は第3のステップ300の間に、空洞又は溝が空欠部の底部及び/又は壁部に形成され、その深さは前記空欠部の5分の1未満である。
【0052】
特に、第3のステップ300の少なくとも一部は、サンドブラストによって行われる。
【0053】
特に、第3のステップ300と第4のステップ400の間の別の中間ステップ350の間に、結合層が空欠部の底部及び/又は壁部に形成され、第2の材料のより良い結合が確保される。
【0054】
特に、この結合層には、ラッカー、又は少なくとも1つの金属及び/又は金属合金を含む層を選択する。
【0055】
特に、この結合層には、少なくとも金属窒化物、及び/又は金属炭化物、及び/又はシラン、及び/又はオルガノシロキサン、及び/又はアルカンチオール、及び/又はジスルフィドアルカン、及び/又はジルコン酸塩、及び/又はチタン酸塩、及び/又はアルミン酸塩を含む層を選択する。
【0056】
代替的実施形態の1つにおいて、第4のステップ400の少なくとも一部が、オーバーモールド又は射出によって行われる。
【0057】
第1の材料と第2の材料の選択に応じて、本方法に、焼結、硬化、又は特定の雰囲気中への通しを行う少なくとも1つのステップを組み込むことができる。
【0058】
特に、第1の材料及び/又は第2の材料は、金及び/又は白金を75重量%よりも多く含むものを選択する。このようにして、特定の質量分布条件下において、滴定可能な成分を得ることができる。
【0059】
代替的実施形態の1つにおいて、第1のステップ100及び/又は第4のステップ400は、三次元ファイルに基づいて三次元印刷によって行われる。
【0060】
このようにして、対象物、ここでは本体1及び/又はインサート2、を作るために、本方法の実行に必要な少なくとも1つの空欠部9及び少なくとも1つの吐出オリフィスがあるモデルを定める三次元データセットが事前に生成される。この三次元データセットは、各層が対象物の横断層を表す複数の層に変換され、前記対象物は、この対象物を一体的に製造するために、直接的金属レーザー焼結(DMLS:Direct Metal Laser Sintering)のような付加製造方法を用いて、粉末材料によって層ごとに形成される。束縛が緩くなった粉末は、対象物の空洞と外面の間に形成される少なくとも1つの粉末排出用オリフィスを介して、各空洞、特に各空欠部、から除去される。必要であれば、対象物を貫通するように形成される少なくとも1つの貫通オリフィスが、制御機構などを受けるように機械加工によって形成され、この貫通オリフィスは、随意的に、対象物の三次元的な構築の間に予め形成される。
【0061】
特に、第1のステップ100、第2のステップ200及び第3のステップ300は、三次元ファイルに基づく単一の三次元印刷動作で行われるように組み合わされて、これによって、第1の材料で本体1を作る。特に、第2の材料で三次元印刷を行う第4のステップ400の間に、本体1からなるベース上に少なくとも1つのインサート2が作られる。
【0062】
別の三次元印刷の代替的実施形態において、第1のステップ100、第2のステップ200及び第3のステップ300と、第4のステップ400は、組み合わさって、三次元ファイルに基づく単一の三次元印刷動作を行うようにされる。三次元的データセットは、第1の材料と第2の材料に対応する粉末の供給を定め、機械のプログラムは、関連する位置それぞれにおける第1の材料及び第2の材料それぞれのレーザー焼結の時間シーケンスを定める。
【0063】
本複合象嵌方法は、石油系ポリマーを用いることができ、この石油系ポリマーは、機械的性質が他のポリマーよりも優れているが、耐傷性に対しては限界に達している。チャージ済みプラスチックによって作られた第2の材料の機械的挙動は、60%のセラミックスフィラーを含む第2のエポキシ系材料よりも優れており、計時器の用途には好ましい。
【0064】
短く書くと、本発明のおかげで、生物由来マトリックスを含む組成である少なくとも1つの複合セラミックス装飾が象嵌された、硬質材料によって作られた要素を作ることが可能になる。
【0065】
このオーバーモールド象嵌法は、エポキシド、アクリル、ポリウレタン、シリコーンのような水素結合ドナーを含むベースを含むポリマーに一層適している。このような複合材料は、射出技術用に開発されたものであり、生産サイクルへの組み込みが容易である。
【0066】
生物由来のポリマーを選択することによって、この方法が、従来知られている方法よりも、経済的で環境に優しいものとなる。このプロセスは、従来のラッカーなどを用いるものとは異なり、自動化が可能であり、このことによって、再現性が非常に優れる。
【0067】
耐久性は良好であり、許容可能な硬度と良好な耐摩耗性を有するコンポーネントを作ることが可能となる。
【0068】
本発明は、さらに、特に前記方法によって作られた、硬質材料によって作られた本体1を備える計時器又は宝飾品の外側部品の要素10であって、前記硬質材料とは異なる第2の材料によって作られた少なくとも1つの装飾5が象嵌されたものに関する。特に、少なくとも1つのこのような装飾5の面は、耐摩耗性のために選択された生物由来のチャージ済みポリマーによって作られたインサート2の面からなる。
【0069】
本発明は、さらに、少なくとも1つのこのような外側部品の要素10を備える計時器又は宝飾品100に関する。
【0070】
本発明は、数字、インデックス、その他の記号のような複雑な装飾や非常に微細な装飾の実施形態、さらには薄い壁で仕切られた装飾の実施形態に適している。また、本方法によって、ベースの寸法に対して相当に大きい高さを有する三次元的な部品を作ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 本体
2 インサート
5 装飾
9 空欠部
10 計時器又は宝飾品の要素
11 本体の面
12 インサートの面
91 アンダーカット輪郭
92 空洞
100 計時器又は宝飾品
【外国語明細書】