(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035803
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124475
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0111579
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】朴 允娥
(72)【発明者】
【氏名】李 岡夏
(72)【発明者】
【氏名】崔 惠英
(72)【発明者】
【氏名】姜 同河
(72)【発明者】
【氏名】李 哲承
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG01
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】単位体積当たりの容量を確保し実装によるクラックを防止すること。
【解決手段】本発明は、誘電体層及びそれを挟んで配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1、第2面、第2方向に対向する第3、第4面、第3方向に対向する第5、第6面を有し、第3及び第4面の各々と第1、2、5、6面を連結する第1、第2コーナーを含む本体と、第3面上の第1下地電極層、第1コーナー上で第1下地電極層と連結される第1中間電極層、その上の第1導電性樹脂層、及びその上の第1めっき層を含む第1外部電極と、第4面に配置される第2下地電極層、第2コーナー上で第2下地電極層と連結される第2中間電極層、その上の第2導電性樹脂層、及びその上の第2めっき層を含む第2外部電極とを含み、第1コーナー上で第1中間電極層は第1めっき層と接し、第2コーナー上で第2中間電極層は第2めっき層と接する、積層型電子部品を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有し、
前記第3面と、前記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナー、及び前記第4面と、前記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーを含む本体と、
前記第3面に配置される第1下地電極層、前記第1コーナー上に配置され、前記第1下地電極層と連結される第1中間電極層、前記第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層、及び前記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含む第1外部電極と、
前記第4面に配置される第2下地電極層、前記第2コーナー上に配置され、前記第2下地電極層と連結される第2中間電極層、前記第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層、及び前記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含む第2外部電極と、を含み、
前記第1コーナー上で、前記第1中間電極層の少なくとも一部は前記第1めっき層と接し、前記第2コーナー上で、前記第2中間電極層の少なくとも一部は前記第2めっき層と接する、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1導電性樹脂層は、前記第1コーナー上に配置された第1開口部を含み、前記第1開口部を介して前記第1中間電極層と前記第1めっき層とが互いに接し、
前記第2導電性樹脂層は、前記第2コーナー上に配置された第2開口部を含み、前記第2開口部を介して前記第2中間電極層と前記第2めっき層とが互いに接する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1下地電極層は、前記第1中間電極層により覆われない領域を含み、
前記第2下地電極層は、前記第2中間電極層により覆われない領域を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1下地電極層の前記第1中間電極層により覆われない領域を介して前記第1下地電極層と前記第1導電性樹脂層とが接し、
前記第2下地電極層の前記第2中間電極層により覆われない領域を介して前記第2下地電極層と前記第2導電性樹脂層とが接する、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記本体は、前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含んで容量が形成される容量形成部、及び前記容量形成部の前記第1方向に向かい合う両面上に配置されるカバー部を含み、
前記第1中間電極層の一端部及び前記第2中間電極層の一端部のそれぞれは、前記容量形成部上に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1及び第2中間電極層のそれぞれはガラスを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1下地電極層の端部は前記第1コーナー上に配置され、前記第2下地電極層の端部は前記第2コーナー上に配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1及び第2下地電極層のそれぞれはガラスを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1及び第2下地電極層のそれぞれはNiめっき層である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1及び第2中間電極層の少なくとも一部は、前記第1面及び第2面上に延び、
前記第1及び第2導電性樹脂層の少なくとも一部は、前記第1面及び第2面上に延びる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第3面から、前記第1面または第2面に配置された第1中間電極層の端部までの第2方向の距離をL1、前記第3面から、前記第1面または第2面に配置された第1導電性の樹脂層の端部までの第2方向の距離をL2としたときに、L2/L1は2.5以上である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1コーナー上で測定した前記第1中間電極層の厚さをtcとしたときに、tcは2μm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記本体の第1方向の中央で測定した前記第1下地電極層の厚さをt1、前記本体の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した前記第1下地電極層及び第1中間電極層の厚さの和をt2としたときに、t2>t1である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1及び第2導電性樹脂層のそれぞれは導電性金属及び樹脂を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面及び第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有し、
前記第3面と、前記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナー、及び前記第4面と、前記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーを含む本体と、
前記第3面に配置される第1下地電極層、前記第1コーナー上に配置され、前記第1下地電極層と連結される第1中間電極層、前記第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層、及び前記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含む第1外部電極と、
前記第4面に配置される第2下地電極層、前記第2コーナー上に配置され、前記第2下地電極層と連結される第2中間電極層、前記第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層、及び前記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含む第2外部電極と、を含み、
前記第1下地電極層は、前記第1中間電極層により覆われない領域を含み、
前記第2下地電極層は、前記第2中間電極層により覆われない領域を含む、積層型電子部品。
【請求項16】
前記第1下地電極層の前記第1中間電極層により覆われない領域を介して前記第1下地電極層と前記第1導電性樹脂層とが接し、
前記第2下地電極層の前記第2中間電極層により覆われない領域を介して前記第2下地電極層と前記第2導電性樹脂層とが接する、請求項15に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記第1外部電極は、前記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含み、
前記第2外部電極は、前記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含む、請求項15に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求も増大している。
【0004】
従来は、積層セラミックキャパシターの外部電極を形成する時に、導電性金属が含まれた導電性ペーストに、本体の内部電極が露出した面をディッピング(dipping)する方法が主に用いられていた。しかし、ディッピング工法により形成された外部電極は、外部電極の厚さが均一ではなく、本体のコーナー部分には外部電極が過度に薄く形成されるのに対し、本体の中央部分には外部電極が過度に厚く形成されていた。そのため、積層セラミックキャパシターの単位体積当たりの容量を確保しにくいだけでなく、本体のコーナー部分を介してめっき液及び/または水分が本体の内側に浸透し、積層セラミックキャパシターの信頼性が減少するという問題があった。
【0005】
また、従来は、実装時における基板の歪みなどによるクラック(crack)を改善するために、焼成型電極層上に導電性樹脂層を形成していた。しかし、導電性樹脂層が過度に厚く形成される場合、積層セラミックキャパシターの単位体積当たりの容量を確保しにくく、焼成型電極層との界面に浮き上がりが発生し、耐湿信頼性が低下するという問題が発生する恐れがある。また、導電性樹脂層は抵抗が高いため、導電性樹脂層を含まない積層セラミックキャパシターと比べて等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が高いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の1つは、単位体積当たりの容量を確保しながらも、実装によるクラックを防止することにある。
【0008】
本発明の様々な目的の1つは、単位体積当たりの容量を確保しながらも、めっき液及び/または水分が本体の内側に浸透することを防止することにある。
【0009】
本発明の様々な目的の1つは、実装によるクラックを防止しながらも、ESRが増加することを防止することにある。
【0010】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有し、上記第3面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナー、及び上記第4面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーを含む本体と、上記第3面に配置される第1下地電極層、上記第1コーナー上に配置され、上記第1下地電極層と連結される第1中間電極層、上記第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含む第1外部電極と、上記第4面に配置される第2下地電極層、上記第2コーナー上に配置され、上記第2下地電極層と連結される第2中間電極層、上記第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含む第2外部電極と、を含み、上記第1コーナー上で、上記第1中間電極層の少なくとも一部は上記第1めっき層と接し、上記第2コーナー上で、上記第2中間電極層の少なくとも一部は上記第2めっき層と接する、積層型電子部品を提供する。
【0012】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面を有し、上記第3面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナー、及び上記第4面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーを含む本体と、上記第3面に配置される第1下地電極層、上記第1コーナー上に配置され、上記第1下地電極層と連結される第1中間電極層、上記第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含む第1外部電極と、上記第4面に配置される第2下地電極層、上記第2コーナー上に配置され、上記第2下地電極層と連結される第2中間電極層、上記第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含む第2外部電極と、を含み、上記第1下地電極層は、上記第1中間電極層により覆われない領域を含み、上記第2下地電極層は、上記第2中間電極層により覆われない領域を含む、積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の1つとして、単位体積当たりの容量を確保しながらも、実装によるクラックを防止することができる。
【0014】
本発明の様々な効果の1つとして、単位体積当たりの容量を確保しながらも、めっき液及び/または水分が本体の内側に浸透することを防止することができる。
【0015】
本発明の様々な効果の1つとして、実装によるクラックを防止しながらも、ESRが高くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体上に下地電極層及び中間電極層が配置された構造を概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体上に下地電極層、中間電極層、及び導電性樹脂層が配置された構造を概略的に示した斜視図である。
【
図4】
図1のI-I’に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
【
図5】
図1のII-II’に沿って切断した断面を概略的に示した断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体上に下地電極層及び中間電極層が配置された構造を概略的に示した斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体上に下地電極層、中間電極層、及び導電性樹脂層が配置された構造を概略的に示した斜視図であり、
図4は
図1のI-I’に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、
図5は
図1のII-II’に沿って切断した断面を概略的に示した断面図であり、
図6は本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図であり、
図7は
図4のK1領域の拡大図であり、
図8は
図4のK2領域の拡大図である。
【0021】
図面を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有し、上記第3面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナーC1、及び上記第4面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーC2を含む本体110と、上記第3面に配置される第1下地電極層131a、上記第1コーナー上に配置され、上記第1下地電極層と連結される第1中間電極層131b、上記第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層131c、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層131dを含む第1外部電極131と、上記第4面に配置される第2下地電極層132a、上記第2コーナー上に配置され、上記第2下地電極層と連結される第2中間電極層132b、上記第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層132c、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層132dを含む第2外部電極132と、を含み、上記第1コーナー上で、上記第1中間電極層の少なくとも一部が上記第1めっき層と接し、上記第2コーナー上で、上記第2中間電極層の少なくとも一部が上記第2めっき層と接することができる。
【0022】
上述のように、従来の外部電極は、本体の中央部分では外部電極が過度に厚く形成され、本体のコーナー部分では外部電極が過度に薄く形成されるため、単位体積当たりの容量が低下し、本体のコーナー部分を介してめっき液及び/または水分が本体の内側に浸透して、積層型電子部品の信頼性が減少するという問題があった。また、実装によるクラックを防止するために、焼成電極層上に導電性樹脂層を形成する場合、抵抗の高い導電性樹脂層によりESRが増加するという問題があった。
【0023】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、本体110のコーナーC1、C2上に配置された中間電極層131b、132b、及び上記中間電極層上に配置された導電性樹脂層131c、132cを含むことで、単位体積当たりの容量を確保しながらも、実装によるクラックを防止し、本体のコーナーを介しためっき液及び/または外部の水分の浸透を防止することができる。また、本体のコーナー上で、中間電極層131b、132bの少なくとも一部がめっき層131d、132dと接することで、導電性樹脂層131c、132cにより実装によるクラックを防止しながらも、ESRが増加することを防止することができる。
【0024】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれるそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0025】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0026】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2と、上記第1面及び第2面1、2と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4と、第1面~第4面1、2、3、4と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6と、を有することができる。また、本体110は、第3面と、第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナーC1を含むことができ、第4面と、第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーC2を含むことができる。
【0027】
第1コーナーC1は、第3面と第1面を連結する第1-1コーナーC1-1、及び上記第3面と第2面を連結する第1-2コーナーC1-2を含むことができ、第2コーナーC2は、上記第4面と第1面を連結する第2-1コーナーC2-1、及び上記第4面と第2面を連結する第2-2コーナーC2-2を含むことができる。また、第1コーナーC1は、第3面と第5面を連結する第1-5コーナー、第3面と第6面を連結する第1-6コーナーを含むことができ、第2コーナーC2は、第4面と第5面を連結する第2-5コーナー、第4面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。
【0028】
上記コーナーは、本体110の各面を連結する角を別途の工程を行ってラウンド処理することにより、ラウンド状を有してもよい。本体110の第1面~第6面は略平坦な面であることができ、平坦ではない領域をコーナーといえる。
【0029】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0030】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアーフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを準備した後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成されることができる。セラミック粉末としては、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系(BaTiO3)粉末を含むことができる。
【0031】
誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はないが、例えば、10μm以下であることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdは、所望の特性や用途によって任意に設定することができる。例えば、高電圧電装用電子部品においては、誘電体層111の平均厚さtdは2.8μm未満であることができ、小型のIT用電子部品においては、小型化及び高容量化を達成するために、誘電体層111の平均厚さtdは0.4μm以下であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0032】
一般に、誘電体層111の厚さが薄くなるほど、電圧の印加時に発生する歪み応力により本体110にクラックが発生しやすく、これにより、積層型電子部品の信頼性が低下するという問題がある。これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、外部電極131、132が下地電極層131a、132a、中間電極層131b、132b、導電性樹脂層131c、132cを含むことで、誘電体層111の平均厚さtdが2.8μm未満または0.4μm以下である場合にも、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0033】
ここで、誘電体層111の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向のサイズを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に確張して行うと、誘電体層111の平均厚さをより一般化することができる。
【0034】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0035】
複数の第1内部電極121はそれぞれ、第4面4から離隔して第3面3と連結されるように配置されることができる。また、複数の第2内部電極122はそれぞれ、第3面3から離隔して第4面4と連結されるように配置されることができる。
【0036】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを所定の厚さで塗布し、焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0038】
内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はないが、例えば、3μm以下であることができる。また、内部電極121、122の平均厚さteは、所望の特性や用途によって任意に設定することができる。例えば、高電圧電装用電子部品においては、内部電極121、122の平均厚さteは1μm未満であることができ、小型のIT用電子部品においては、小型化及び高容量化を達成するために、内部電極121、122の平均厚さteは0.4μm以下であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0039】
一方、前述のように、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、外部電極131、132が下地電極層131a、132a、中間電極層131b、132b、導電性樹脂層131c、132cを含むことで、内部電極121、122の平均厚さteが1μm未満または0.4μm以下である場合にも、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0040】
内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味する。ここで、内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述の容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に確張して行うと、内部電極121、122の平均厚さをより一般化することができる。
【0041】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの第1方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113と、を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同様の構成を有することができる。
【0042】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両面上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味し得る。この時、マージン部114、115は、本体110の第5面5と連結される第1マージン部114と、本体110の第6面6と連結される第2マージン部115と、を含むことができる。
【0043】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0044】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上に、マージン部が形成されるべき箇所を除いて内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することにより形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑えるために、積層後に内部電極121、122が本体の第5面及び第6面5、6と連結されるように切断した後、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に向かい合う両面上に積層することでマージン部114、115が形成されてもよい。
【0045】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面の一部上に延びることができる。また、外部電極131、132は、複数の第1内部電極121と連結される第1外部電極131と、複数の第2内部電極122と連結される第2外部電極132と、を含むことができる。
【0046】
また、第1外部電極131において、上記第3面上に配置される領域を第1接続部P1a、上記第1面及び第2面上に配置される領域を第1バンド部P1b、上記第1コーナーC1上に配置される第1接続部と第1バンド部との間の領域を第1コーナー部P1cと定義することができ、第2外部電極132において、上記第4面上に配置される領域を第2接続部P2a、上記第1面及び第2面上に配置される領域を第2バンド部P2b、上記第2コーナーC2上に配置される第2接続部と第2バンド部との間の領域を第2コーナー部P2cと定義することができる。
【0047】
第1外部電極131は、第3面に配置される第1下地電極層131aと、第1コーナーC1上に配置され、第1下地電極層と連結される第1中間電極層131bと、第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層131cと、第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層131dと、を含むことができ、第2外部電極132は、第4面に配置される第2下地電極層132aと、第2コーナーC2上に配置され、第2下地電極層と連結される第2中間電極層132bと、第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層132cと、第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層132dと、を含むことができる。
【0048】
第1下地電極層131aは、第1内部電極121と第1外部電極131を連結させる役割を果たすことができ、第2下地電極層132aは、第2内部電極122と第2外部電極132を連結させる役割を果たすことができる。
【0049】
第1及び第2下地電極層131a、132aに含まれる導電性金属は特に限定する必要はないが、例えば、第1及び第2下地電極層131a、132aは、Ni、Cu、Cr、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、より好ましくは、Niを含むことができる。内部電極121、122と下地電極層131a、132aがNiを含む場合、互いに異なる2種の金属の拡散速度の差に起因して放射クラックが発生することを抑えることができ、これにより、内部電極121、122と下地電極層131a、132aとの結合力を確保することができる。
【0050】
一実施形態において、第1下地電極層131aは、第1中間電極層131bにより覆われない領域を含み、第2下地電極層132aは、第2中間電極層132bにより覆われない領域を含むことができる。例えば、
図4に示されたように、第1下地電極層131aは、第1接続部P1aで第1中間電極層131bにより覆われない領域を含み、第2下地電極層132aは、第2接続部P2aで第2中間電極層132bにより覆われない領域を含むことができる。これにより、外部電極131、132の第1方向の中央領域の厚さを低減し、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0051】
この時、第1下地電極層131aの第1中間電極層131bにより覆われない領域を介して第1下地電極層131aと第1導電性樹脂層131cが接することができ、第2下地電極層132aの第2中間電極層132bにより覆われない領域を介して第2下地電極層132aと第2導電性樹脂層132cが接することができる。
【0052】
一実施形態において、第1下地電極層131aの端部は第1コーナーC1上に配置され、第2下地電極層132aの端部は第2コーナーC2上に配置されることができる。例えば、第1下地電極層131aの端部は第1コーナー部P1cに配置されることができ、第2下地電極層132aの端部は第2コーナー部P2cに配置されることができる。
【0053】
本体110の内部に浸透するめっき液及び/または外部の水分は、内部電極までの距離が短い本体110のコーナーC1、C2に浸透する傾向がある。この時、第1及び第2下地電極層131a、132aの端部が本体110のコーナーC1、C2上に配置されることで、めっき液及び/または外部の水分が本体110のコーナーC1、C2に浸透することを防止することができる。また、第1及び第2下地電極層131a、132aが上記第1面及び第2面上に延びない構造を有することで、積層型電子部品の第1方向のサイズを低減し、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を確保することができる。
【0054】
一実施形態において、下地電極層131a、132aは、本体110との結合力を確保するために、ガラスを含むことができる。この場合、下地電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むシートを上記第3面及び第4面上にそれぞれ転写してから焼成することで形成することができる。または、導電性金属及びガラスを含むシートに本体110を圧着することで上記シートを本体に付着させ、焼成することで形成してもよい。
【0055】
但し、本発明がこれに限定されるものではなく、下地電極層131a、132aはNiめっき層であることができる。この場合、下地電極層131a、132aは、ガラスを含まなくてもよい。下地電極層131a、132aがNiめっき層である場合、前述のように、放射クラックを防止し、内部電極同士の結合力を確保することができる。この場合、下地電極層131a、132aは、電解めっき法及び/または無電解めっき法を用いて形成されることができる。
【0056】
また、図面には示していないが、下地電極層131a、132aがNiめっき層である場合、下地電極層131a、132aは、容量形成部Acの第2方向に向かい合う両面上に配置されることができ、下地電極層131a、132aの端部は、カバー部112、113及び/またはマージン部114、115上に配置されてもよい。
【0057】
中間電極層131b、132bは、基本的に、本体110のコーナーC1、C2上に配置されることで、外部電極131、132の第1方向の中央領域の厚さが過度に増加しないようにすることができる。これにより、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を確保しながらも、めっき液及び/または外部の水分が本体110のコーナーC1、C2に浸透することを防止することができる。
【0058】
中間電極層131b、132bを形成する方法は特に限定する必要はない。例えば、中間電極層131b、132bは、本体110のコーナーC1、C2上に、導電性金属及びガラスを含む導電性ペーストを塗布して焼成することで形成することができる。
【0059】
また、
図4に示されたように、第1コーナーC1上で、第1中間電極層131bの少なくとも一部は第1めっき層131dと接し、第2コーナーC2上で、第2中間電極層132bの少なくとも一部は第2めっき層132dと接することができる。例えば、第1コーナー部P1cで、第1中間電極層131bの少なくとも一部が第1めっき層131dと接することができ、第2コーナー部P2cで、第2中間電極層132bの少なくとも一部が第2めっき層132dと接することができる。
【0060】
前述のように、実装によるクラックを防止するために外部電極131、132が導電性樹脂層131c、132cを含む場合、抵抗の高い導電性樹脂層131c、132cにより、積層型電子部品のESRが増加するという問題があった。
【0061】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、本体110のコーナーC1、C2上で、中間電極層131b、132bの少なくとも一部がめっき層131d、132dと接することで、導電性樹脂層131c、132cにより実装によるクラックを防止しながらも、ESRが増加することを防止することができる。
【0062】
特に、中間電極層131b、132bの少なくとも一部は、内部電極121、122から離隔した本体110のコーナーC1、C2上でめっき層131d、132dと接することで、積層型電子部品の信頼性に影響を与えることなく、且つESRを効果的に減少させることができる。
【0063】
一方、中間電極層131b、132bとめっき層131d、132dが接する地点は、本体110のコーナーC1、C2上であればよく、特に限定する必要はない。例えば、積層型電子部品の第3方向の1/4地点、2/4地点、3/4地点を第1及び第2方向に切断したそれぞれの断面のうち少なくとも一つの断面で、中間電極層131b、132bの少なくとも一部が、本体110のコーナーC1、C2上でめっき層131d、132dと接することができる。
【0064】
中間電極層131b、132bをめっき層131d、132dと接するようにする方法は特に限定する必要はない。例えば、第1導電性樹脂層131cは、第1コーナーC1上に配置された第1開口部Hを含むことができ、上記第1開口部を介して第1中間電極層131bと第1めっき層131dが互いに接し、第2導電性樹脂層132cは、第2コーナーC2上に配置された第2開口部を含むことができ、上記第2開口部を介して第2中間電極層132bと第2めっき層132dが互いに接することができる。すなわち、導電性樹脂層131c、132cは、コーナー部P1c、P2cに配置された開口部を含むことができ、上記開口部を介して中間電極層131b、132bとめっき層131d、132dが接することができる。
【0065】
導電性樹脂層131c、132cは、本体110のコーナーC1、C2上に配置された少なくとも一つ以上の開口部を含むことができ、上記開口部は、中間電極層131b、132bとめっき層131d、132dが互いに接するようにすることができれば、如何なる形態であってもよい。
【0066】
上記導電性樹脂層131c、132cの開口部を形成する方法は特に限定する必要はないが、例えば、導電性樹脂層131c、132cを形成する導電性樹脂組成物を中間電極層131b、132b上に塗布した後、上記導電性樹脂組成物を硬化する前に、本体110のコーナーC1、C2上に塗布された導電性樹脂組成物の少なくとも一部を除去することで、上記開口部を形成することができる。
【0067】
第1及び第2中間電極層131b、132bの少なくとも一部は、第1面及び第2面上に延びることができる。また、第1及び第2中間電極層131b、132bの少なくとも一部は、第5面及び第6面上に延びることができる。特に、
図4及び
図7に示されたように、第1及び第2中間電極層131b、132bの少なくとも一部は、第1面及び第2面と直接的に接触することができる。そのため、本体110との結合力を確保するために、第1及び第2中間電極層131b、132bのそれぞれはガラスを含むことができる。
【0068】
第1及び第2中間電極層131b、132bに含まれる導電性金属は特に限定する必要はないが、例えば、第1及び第2中間電極層131b、132bは、Cu、Ni、Cr、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0069】
一実施形態において、第1中間電極層131bの一端部及び第2中間電極層132bの一端部のそれぞれは、容量形成部Ac上に配置されることができる。すなわち、中間電極層131b、132bは、第1方向を基準として最外側に配置された内部電極を覆うように配置されることができる。これにより、めっき液及び/または外部の水分が、上記最外側に配置された内部電極を介して本体の内部に浸透することを抑えることができる。
【0070】
導電性樹脂層131c、132cは中間電極層131b、132b上に配置され、第1及び第2導電性樹脂層131c、132cの少なくとも一部は第1面及び第2面上に延びることができる。また、第1及び第2導電性樹脂層131c、132cの少なくとも一部は、第5面及び第6面上に延びることができる。
【0071】
導電性樹脂層131c、132cは、導電性金属及び樹脂を含むことができる。導電性樹脂層131c、132cに含まれる導電性金属は、下地電極層131a、132a及び中間電極層131b、132bと電気的に連結されるようにする役割を果たすことができる。導電性樹脂層131c、132cに含まれる導電性金属は特に限定する必要はないが、例えば、Cu、Ni、Ag、Sn、Cr、及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0072】
導電性樹脂層131c、132cに含まれる導電性金属の形態は特に限定する必要はないが、例えば、球状粒子及びフレーク(flake)状粒子のうち一つ以上を含むことができる。
【0073】
ここで、球状粒子は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さの割合(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。フレーク状粒子は、平らで且つ長い形態を有する粒子を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さの割合(長軸/短軸)が1.95以上であることができる。
【0074】
上記球状粒子及びフレーク状粒子の長軸及び短軸の長さは、積層型電子部品の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得た画像から測定することができる。
【0075】
導電性樹脂層131c、132cに含まれる樹脂は、接合性確保及び衝撃吸収の役割を果たすことができる。そのため、導電性樹脂層131c、132cは、相対的に高い柔軟性を有することができる。これにより、外部の物理的衝撃や歪み衝撃から積層型電子部品を保護することができ、基板への実装時に加えられる応力や引張ストレスを吸収し、積層型電子部品にクラックが発生することを防止することができる。
【0076】
導電性樹脂層131c、132cに含まれる樹脂は特に限定する必要はないが、絶縁性樹脂を用いることができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エチルセルロースのうち一つ以上を含むことができる。
【0077】
めっき層131d、132dは、実装特性を向上させることができる。めっき層131d、132dの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd、及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されてもよい。
【0078】
めっき層131d、132dは、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、めっき層131d、132dは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0079】
以下では、第1下地電極層131a、第1中間電極層131b、第1導電性樹脂層131cを基準として説明するが、第2外部電極132は第1外部電極131と第2方向に対称関係にあるため、第1下地電極層131a、第1中間電極層131b、及び第1導電性樹脂層131cについての説明は、第2下地電極層132a、第2中間電極層132b、及び第2導電性樹脂層132cにも同様に適用することができる。
【0080】
図7を参照すると、一実施形態において、第3面から、第1面または第2面に配置された第1中間電極層131bの端部までの第2方向の距離をL1、第3面から、第1面または第2面に配置された第1導電性樹脂層131cの端部までの第2方向の距離をL2としたときに、L2/L1は2.5以上であることができる。L2/L1が2.5以上を満たす場合、めっき液及び/または外部の水分の浸透防止及びESRの低減効果がより顕著になることができる。
【0081】
上記L1/L2を制御する方法は特に限定する必要はない。例えば、第1中間電極層131bを形成するための導電性ペーストを第1下地電極層131a上に塗布する量を調節するか、第1導電性樹脂層131cを形成するための導電性樹脂組成物を第1中間電極層131b上に塗布する量を調節することで、L1/L2を制御することができる。
【0082】
L1/L2は、積層型電子部品の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で2000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0083】
図7を参照すると、一実施形態において、第1コーナーC1上で測定した第1中間電極層の厚さをtcとしたときに、tcは2μm以上であることができる。上記tcが2μm以上である場合、めっき液及び/または外部の水分が本体110の第1コーナーC1を介して浸透することをさらに効果的に防止することができる。また、上記tcが2μm以上である場合、第1中間電極層131bと第1めっき層131dがより容易に接するようにすることができ、これにより、ESRを効果的に低減させることができる。
【0084】
上記tcは、第1-1コーナーC1-1上で測定した第1中間電極層131bの厚さ、または第1-2コーナーC1-2上で測定した第1中間電極層131bの厚さであることができる。
【0085】
上記tcは、第1-1コーナーC1-1または第1-2コーナーC1-2の表面に直交する方向に測定した第1中間電極層の最小厚さを意味し得る。また、上記tcは、積層型電子部品の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で3000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0086】
図7及び
図8を参照すると、一実施形態において、本体110の第1方向の中央で測定した第1下地電極層131aの厚さをt1、本体110の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した第1下地電極層131aの厚さをt1’としたときに、t1’/t1は0.8以上1.0以下であることができる。すなわち、第1下地電極層131aは均一な厚さを有することで、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させることができ、本体110の第1コーナーC1上に外部電極が過度に薄く形成されることを防止し、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0087】
また、
図7及び
図8を参照すると、一実施形態において、上記本体の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した第1下地電極層131a及び第1中間電極層131bの厚さの和をt2としたときに、t2>t1であることができる。t2>t1を満たす場合、第1中間電極層131b上に第1導電性樹脂層131cを形成しても、外部電極131、132が全体的に均一な厚さを有することができ、これにより、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させ、且つ第1コーナーC1上に外部電極が過度に薄く形成されることを防止し、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0088】
この時、t1及びt1’は、第1下地電極層131aの第2方向のサイズを意味し、t2は、第1下地電極層131a及び第1中間電極層131bの第2方向のサイズの和を意味する。
【0089】
一方、t2がt1より大きいように制御する方法と、t1/t1’を0.8以上1.0以下に制御する方法は特に限定する必要はない。例えば、第1下地電極層131aをシートを用いて形成するか、めっき法を用いて形成することで、t2がt1より大きいように制御することができ、t1/t1’を0.8以上1.0以下に制御することができる。
【0090】
また、t1、t1’、及びt2は、積層型電子部品の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で3000倍以上の倍率で観察して測定したものであることができる。
【0091】
以下、本発明の他の実施形態による積層型電子部品について説明する。但し、本発明の一実施形態による積層型電子部品は、上述の本発明の一実施形態による積層型電子部品と同様の構成を有することができる。よって、上述の本発明の一実施形態と重複される説明は省略する。
【0092】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結されて第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有し、上記第3面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第1コーナーC1、及び上記第4面と、上記第1面、第2面、第5面、及び第6面のそれぞれとを連結する第2コーナーC2を含む本体110と、上記第3面に配置される第1下地電極層131a、上記第1コーナー上に配置され、上記第1下地電極層と連結される第1中間電極層131b、上記第1中間電極層上に配置される第1導電性樹脂層131c、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層131dを含む第1外部電極131と、上記第4面に配置される第2下地電極層132a、上記第2コーナー上に配置され、上記第2下地電極層と連結される第2中間電極層132b、上記第2中間電極層上に配置される第2導電性樹脂層132c、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層132dを含む第2外部電極132と、を含み、上記第1下地電極層131aは、上記第1中間電極層131bにより覆われない領域を含み、上記第2下地電極層132aは、上記第2中間電極層132bにより覆われない領域を含むことができる。
【0093】
前述のように、下地電極層131a、132aが中間電極層131b、132bにより覆われない領域を含むことで、外部電極131、132の第1方向の中央領域の厚さを低減し、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を確保し、且つ本体110のコーナーC1、C2上に配置される中間電極層131b、132bによりめっき液及び/または外部の水分の浸透を防止し、積層型電子部品の信頼性を向上させることができ、導電性樹脂層131c、132cを含むことで、実装によるクラックを防止することができる。
【0094】
(実験例)
<L2/L1による耐湿信頼性及びESRの評価>
先ず、誘電体層及び内部電極を含む本体を用意した後、上記本体に、導電性金属及びガラスを含むシートを転写してから焼成して下地電極層を形成し、下地電極層が形成された本体のコーナー上に、導電性金属及びガラスを含む導電性ペーストを塗布してから焼成することで、中間電極層を形成した。その後、中間電極層が形成された本体に導電性樹脂組成物を塗布した後、本体のコーナーのうち、第3方向の中央領域に塗布された導電性樹脂組成物を一部除去することで、中間電極層が露出するようにした。その後、硬化熱処理を進行して導電性樹脂層を形成し、上記導電性樹脂層上にめっき層を形成してサンプルチップを用意した。
【0095】
その後、サンプルチップの第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得た画像から、L1及びL2を測定した。
【0096】
下記表1は、L2/L1による耐湿信頼性不良の個数及びESRを測定して記載したものである。
【0097】
耐湿信頼性の評価は、各試験番号当たり400個のサンプルを準備して基板に実装した後、温度85℃、相対湿度85%で1Vrの電圧を12時間印加した後、絶縁抵抗が初期数値より103Ω以上下がった場合に不良と判断し、不良であるサンプルの個数を表1に記載した。
【0098】
ESRは、計測器を用いて1Mhzで測定し、各試験番号当たり400個のサンプルから測定されたESR値のうち最大値を下記表1に記載した。
【0099】
【0100】
表1を参照すると、試験番号1及び2は、L2/L1が2.5未満であって、耐湿信頼性不良が発生しており、ESRも試験番号3~5と比べて高いことが確認できる。
【0101】
これに対し、試験番号3~5は、L2/L1が2.5以上であって、耐湿信頼性不良が発生していないことが確認でき、ESRが試験番号1及び2と比べて低いことが確認できる。
【0102】
<tcによる耐湿信頼性及びESRの評価>
前述のように、サンプルチップの第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得た画像から、tcを測定した。
【0103】
tcは、上記SEM画像で、本体のコーナーの表面に垂直な方向に測定した最小厚さと定義し、tcは、第1-1コーナーまたは第1-2コーナー上で測定した。
【0104】
下記表2は、tcによる耐湿信頼性不良の個数及びESRを測定して記載したものである。耐湿信頼性評価及びESRは、前述のように、各試験番号当たり400個のサンプルを準備した後、前述の条件と同一の条件で測定した。
【0105】
【0106】
表2を参照すると、試験番号1及び2は、tcが2.0μm未満であって、耐湿信頼性不良が発生しており、ESRも試験番号3~5と比べて高いことが確認できる。
【0107】
これに対し、試験番号3~5は、tcが2.0μm以上であって、耐湿信頼性不良が発生していないことが確認でき、ESRが試験番号1及び2と比べて低いことが確認できる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0109】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0110】
また、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分させるために用いられ、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から外れることなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して、第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0111】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 下地電極層
131b、132b 中間電極層
131c、132c 導電性樹脂層
131d、132d めっき層