(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035809
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】相転移材料を用いたプリント回路基板アセンブリ埋め込み型熱管理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240307BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20240307BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H01L23/12 N
H01L23/14 M
H01L23/14 Z
H05K3/46 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023136142
(22)【出願日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】202211050242
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】18/049,565
(32)【優先日】2022-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】カーティケヤン パラマナンダム
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ ルイス レブロン
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA03
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA38
5E316CC32
5E316HH17
5E316JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】PCBを使用する製品に対する全体的なサイズ、重量及び部品数の影響を最小限に抑えながら、高い熱負荷の管理を可能にする電子アセンブリを提供する。
【解決手段】電子アセンブリは、複数の積重ね層を含むプリント回路基板(PCB)100を備え、積重ね層は、複数の導電層116と、導電層116間にそれぞれ介在する複数の誘電体層114と、少なくとも一対の誘電体層114間又は少なくとも一対の導電層116間に介在する1つ以上の相転移材料層112と、を含む。相転移中、1つ以上の相転移材料層112が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、PCB100の冷却を強化する。プリント回路基板100は、メタルコアプリント回路基板であってよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリであって、
複数の積重ね層を含むプリント回路基板を備え、前記積重ね層が、
複数の導電層と、
前記導電層間にそれぞれ介在する複数の誘電体層と、
少なくとも一対の前記誘電体層又は少なくとも一対の前記導電層の間に介在する1つ以上の相転移材料層と、を備え、
相転移中、前記1つ以上の相転移材料層が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、前記プリント回路基板の冷却を強化するように構成されている、電子アセンブリ。
【請求項2】
前記プリント回路基板が、メタルコアプリント回路基板を含む、請求項1に記載の電子アセンブリ。
【請求項3】
電子アセンブリであって、
複数の積重ね層を含むプリント回路基板であって、前記積重ね層が、
複数の導電層と、
前記導電層間に介在する複数の誘電体層と、
少なくとも一対の前記誘電体層又は少なくとも一対の前記導電層の間に介在する相転移材料層と、を備え、
少なくとも1つのキャビティが、前記導電層のうちの少なくとも1つ及び前記誘電体層のうちの少なくとも1つによって画定されて、それにより、前記相転移材料層の一部が前記少なくとも1つのキャビティ内に保持される、プリント回路基板と、
前記プリント回路基板に電気的に結合された少なくとも1つの電子デバイスであって、前記電子デバイスが、前記導電層のうちの少なくとも1つと接触し、前記少なくとも1つのキャビティ内の前記相転移材料層の前記一部とも接触する、少なくとも1つの電子デバイスと、を備え、
相転移中、前記相転移材料層が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、前記プリント回路基板の冷却を強化するように構成されている、電子アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年9月2日に出願された、米国特許仮出願第202211050242号に対する優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子アセンブリは、それらのアーキテクチャ又は電気トポロジの一部として高出力構成要素を組み込むことが増えてきている。したがって、熱性能が、全体的なシステム性能及び製品寿命に関して問題となる。熱流束及び動作環境に応じて、単純な熱管理システムからより複雑な熱管理システムが必要とされる場合がある。しかしながら、高度な熱管理技術(例えば、構成要素ヒートシンク、熱電冷却器、液体冷却など)の実装は、製品サイズ、重量、及びコストに悪影響を及ぼす可能性がある。加えて、実装される熱管理システムによっては、追加の故障箇所の導入により、製品の信頼性が懸念される場合がある。
【発明の概要】
【0003】
電子アセンブリは、複数の積重ね層を含むプリント回路基板を備え、積重ね層は、複数の導電層と、導電層間にそれぞれ介在する複数の誘電体層と、少なくとも一対の誘電体層間又は少なくとも一対の導電層間に介在する1つ以上の相転移材料層と、を含む。相転移中、1つ以上の相転移材料層が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、プリント回路基板の冷却を強化するように構成されている。いくつかの実施形態では、プリント回路基板は、メタルコアプリント回路基板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の特徴は、図面を参照する以下の説明から当業者には明らかとなるであろう。図面は典型的な実施形態のみを示し、したがって範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解した上で、本発明を添付の図面を使用して更なる具体性及び詳細と共に説明する。
【
図1】一実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するプリント回路基板(printed circuit board、PCB)の概略断面図である。
【
図2】別の実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するPCBを含む電子アセンブリの概略断面図である。
【
図3】代替実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するメタルコアPCB(MCPCB)の概略断面図である。
【
図4】別の代替実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するMCPCBを含む電子アセンブリの概略断面図である。
【
図5】更なる実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するPCBの断面概略図である。
【
図6】更なる代替実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するMCPCBを含む電子アセンブリの概略断面図である。
【
図7】別の代替実施形態による、埋め込まれた相転移材料層を有するPCBの概略断面図である。
【
図8】PCB又はMCPCB内で相転移材料を使用するときの、温度に対する蓄熱のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明において、実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分詳細に説明される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用し得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0006】
相転移材料を使用する埋め込み型熱管理システムを有するプリント回路基板アセンブリの様々な実施形態が、本明細書で説明される。
【0007】
本アプローチでは、1つ以上の相転移材料層が、プリント回路基板(PCB)又は回路カードの積層体内に埋め込まれる。これは、PCBを使用する製品に対する全体的なサイズ、重量、及び部品数の影響を最小限に抑えながら、高い熱負荷の管理を可能にする。本アプローチは、PCBが関与する任意の用途に使用することができる。
【0008】
相転移材料(phase change material、PCM)は、有用な冷却を提供するために相転移において十分なエネルギーを吸収する材料である。一般に、相転移は、材料の2つの状態(固体及び液体)の一方から他方へのものである。本アプローチでは、PCM層(複数可)は、潜熱によってPCBに結合された電子部品から熱を除去するのに役立つ。相転移中、PCM層は、その温度を上昇させることなく、より多くの熱を吸収する。このプロセスは、PCM層がその相を変える(例えば、固体から液体に変換される)まで継続する。より多くの熱が一定温度で送出されるため、本アプローチは、複雑な熱管理システムを回避しつつ、高出力構成要素の適切な熱管理を可能にする。
【0009】
PCM層(複数可)を有するPCBアセンブリは、可動部品を含まず、熱管理のための追加の電子回路又は構成要素を必要としない受動ヒートシンクを提供する。絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)など、動作中に過渡的であり、高い電力損失を有する電子構成要素の場合、本アプローチは、より大型のヒートシンクを回避するのに役立つ。
【0010】
様々な実施形態では、PCM層は、PCB積層の一対の誘電体層の間に配置されてもよく、又は、PCM層は、より良好な熱伝達を提供するために、PCB積層の一対の導電層の間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、プリント回路基板に電気的に結合された電子デバイスは、PCM層の一部と直接接触することができる。
【0011】
代替実施形態では、メタルコアPCB(metal core PCB、MCPCB)は、MCPCBの1つ以上の層を構成する相転移材料を使用して設計及び作製することができる。典型的には、メタルコアは、アルミニウム又は銅合金基材から作製することができる。MCPCBのメタルコアの目的は、熱を基板構成要素から離れるように向け直すことである。MCPCB中の卑金属は、典型的には、FR4又はCEM3基板の代替物として使用される。
【0012】
PCBは全ての電子アセンブリ上で使用されるため、電子部品からの熱流束の増加により、熱管理が常に懸念される。本アプローチは、複雑な熱管理技法を使用することなく、PCB又は回路カード上の熱負荷を効率的に管理するのに役立つ。他のより複雑な熱管理技術と比較して、PCBアセンブリのサイズ、重量、及びコストが低減される。更に、可動部品がないため、PCBアセンブリの信頼性が向上する。
【0013】
本アプローチによりPCBを作製する際に、特定の用途のための熱管理の必要性が、分析又は他の方法によって識別され、相転移材料は、温度要件に基づいて選択される。PCB積層体は、相転移材料がPCBの1つ以上の層を構成するように設計される。相転移材料層の設計は、PCBの適切な電気的機能性及び熱的性能を可能にするような設計である。PCBはまた、相転移材料が相転移中にPCBから溢れたり出たりしないように、全ての側で封止されている。
【0014】
本実施形態に関する更なる詳細は、以下のように、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、一実施形態による、プリント回路基板(PCB)100の積層構成を示す。積層構成は、第1の誘電体層110と、第1の誘電体層110上の相転移材料層112と、相転移材料層112上の第2の誘電体層114と、を含む。更に、導電層116が第2の誘電体層114の上にあり、第3の誘電体層118が導電層116の上にある。
【0016】
例えば、導電層116は、誘電体層114及び誘電体層118を含む第1の対の誘電体層の間に介在させることができ、相転移材料層112は、誘電体層110及び誘電体層114を含む第2の対の誘電体層の間に介在させることができる。他の実施形態では、1つ以上の追加の誘電体層、導電層、又は相転移材料層をPCB積層に追加することができる。このような他の実施形態の例を以下に説明する。
【0017】
誘電体層110、114、118は、プリント回路基板の製造において一般的に使用される様々な誘電体材料から構成され得る。導電層116は、例えば銅などの金属から構成される。
【0018】
相転移材料層は、PCB100の冷却を強化するために、相転移温度で熱エネルギーを吸収するように構成されている。相転移材料層は、パラフィンワックス、テレフタル酸ジメチル、D-マンニトール、アジピン酸、チオシアン酸カリウム、ハイドロキノン、又はベンズアニリドなどの1つ以上の相転移材料組成物を含むことができる。追加の有用な相転移材料は、米国特許第11,049,794号に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
相転移材料層は、PCBの使用のための熱除去要件に応じて、様々な厚さで形成することができる。例えば、より多くの熱を除去する必要がある場合、より多くの(より厚い)相転移材料を使用することができる。更に、相転移材料を介して融点又は溶融温度範囲を設定することができるため、熱エネルギーは、特に用途に応じて効率的に吸収される。PCB上の電子部品の動作温度は、約75℃~約200℃の範囲であり得るため、相転移材料のタイプは、電子部品の動作温度、周囲温度、及び電力消費に基づいて選択することができる。
【0020】
相転移材料がPCB100から漏れるのを防止するために、相転移材料層112は、接着剤又はポリマーなどを用いて、その縁部の周りが液密に封止される。これにより、相転移材料の流出、特に揮発性成分のガス放出が防止されるため、熱容量が長期間にわたって維持される。あるいは、相転移材料が逃げるのを防止するために、相転移材料をマトリックス材料に埋め込むことができる。例えば、接着剤又はポリマー、特にエポキシ材料又はシリコーンをマトリックスとして使用することができる。
【0021】
PCB100の積層構成における様々な層は、電子ビーム又はイオンビーム堆積プロセス、物理又は化学気相堆積プロセス等の様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を用いて形成することができる。
【0022】
PCB100の使用中、相転移材料層112は、潜熱によりPCB100に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層112は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0023】
図2は、別の実施形態による、PCB202用の積層構成を含む電子アセンブリ200を示す。PCB202は、第1の誘電体層212の上の上部導電層210と、第2の誘電体層216の下の下部導電層214と、を含む。第1の相転移材料層218は第2の誘電体層216の上にあり、第3の誘電体層220は第1の相転移材料層218の上にある。加えて、第2の相転移材料層222が第3の誘電体層220の上にあり、第4の誘電体層224が第2の相転移材料層222の上にある。更に、中間導電層226が、第4の誘電体層224と第1の誘電体層212との間にある。
【0024】
センサ又は他の回路素子などの少なくとも1つの電子デバイス230は、電子デバイス230が上部導電層210と接触するように、標準的な接続技術を使用してPCB202に電気的に結合される。相転移材料層218、222は、電子デバイス230の動作中、PCB202の冷却を向上させるために、相転移温度で熱エネルギーを吸収するように構成される。
【0025】
相転移材料層218、222は、PCB100について上述した様々な相転移材料組成のいずれかを用いて形成することができる。相転移材料層218、222は、電子デバイス230の熱除去要件に応じて、様々な厚さで形成することができる。更に、融点又は溶融温度範囲は、電子デバイス230の動作中、熱エネルギーが効率的に吸収されるように、相転移材料によって設定することができる。
【0026】
相転移材料がPCB202から漏れるのを防止するために、相転移材料層218、222は、それらの縁部の周りを液密に封止されることができる。PCB202の積層構成における様々な層は、上述したような様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を用いて形成することができる。
【0027】
PCB202の使用中、相転移材料層218、222は、潜熱によりPCB202に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層218、222は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0028】
図3は、代替実施形態による、メタルコアプリント回路基板(MCPCB)300の積層構成を示す。MCPCB300は、例えば、アルミニウム、銅、又はそれらの合金から形成され得るメタルコアベース304を含む。第1の誘電体層310はメタルコアベース304の上にあり、相転移材料層312は第1の誘電体層310の上にあり、第2の誘電体層314は相転移材料層312の上にある。更に、導電層316が第2の誘電体層314の上にあり、第3の誘電体層318が導電層316の上にある。
【0029】
例えば、導電層316は、誘電体層314及び誘電体層318を含む第1の対の誘電体層の間に介在させることができ、相転移材料層312は、誘電体層310及び誘電体層314を含む第2の対の誘電体層の間に介在させることができる。他の実施形態では、1つ以上の追加の誘電体層、導電層、又は相転移材料層をMCPCB積層に追加することができる。
【0030】
相転移材料層312は、PCB100について上述した様々な相転移材料組成物のいずれかを用いて形成することができる。相転移材料層312は、MCPCB300の使用のための熱除去要件に応じて、様々な厚さで形成することができる。更に、融点又は溶融温度範囲は、熱エネルギーが効率的に吸収されるように、相転移材料によって設定することができる。
【0031】
相転移材料がMCPCB300から漏出するのを防止するために、相転移材料層312は、その縁部の周りを液密に封止することができる。MCPCB300の積層構成における様々な層は、上述したような様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を用いて形成することができる。
【0032】
MCPCB300の使用中、相転移材料層312は、潜熱によりMCPCB300に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層312は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0033】
図4は、別の代替実施形態による、MCPCB402の積層構成を含む電子アセンブリ400を示す。MCPCB402は、例えば、アルミニウム若しくは銅材料、又はそれらの合金から形成することができるメタルコアベース404を含む。第1の誘電体層410はメタルコアベース404の上にあり、相転移材料層412は第1の誘電体層410の上にあり、第2の誘電体層414は相転移材料層412の上にある。更に、第2の相転移材料層416が第2の誘電体層414の上にあり、第3の誘電体層418が第2の相転移材料層416の上にある。更に、中間導電層420が第3の誘電体層418の上にあり、第4の誘電体層422が中間導電層420の上にあり、外側導電層424が第4の誘電体層422の上にある。
【0034】
センサ又は他の回路素子などの少なくとも1つの電子デバイス430は、電子デバイス430が外側導電層424と接触するように、標準的な接続技術を使用してMCPCB402に電気的に結合される。相転移材料層412、416は、電子デバイス430の動作中、MCPCB402の冷却を向上させるために、相転移温度で熱エネルギーを吸収するように構成される。
【0035】
相転移材料層412、416は、PCB100について上述した様々な相転移材料組成のいずれかを用いて形成することができる。相転移材料層412、416は、電子デバイス430の熱除去要件に応じて、様々な厚さで形成することができる。更に、融点又は溶融温度範囲は、電子デバイス430の動作中、熱エネルギーが効率的に吸収されるように、相転移材料によって設定することができる。
【0036】
相転移材料がMCPCB402から漏れるのを防止するために、相転移材料層412、416は、それらの縁部の周りを液密に封止されることができる。MCPCB402の積層構成における様々な層は、上述したような様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を用いて形成することができる。
【0037】
MCPCB402の使用中、相転移材料層412、416は、潜熱によりMCPCB402に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層412、416は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0038】
図5は、別の実施形態による、PCB500の積層構成を示す。PCB500は、第1の誘電体層510と、第1の誘電体層510上の第1の導電層512と、第1の導電層512上の相転移材料層514と、相転移材料層514上の第2の導電層516と、第2の導電層516上の第2の誘電体層518と、を含む。
【0039】
例えば、一対の導電層512及び516は、誘電体層510及び518の間に介在していてもよく、相転移材料層514は、一対の導電層512及び516の間に介在していてもよい。他の実施形態では、1つ以上の追加の誘電体層、導電層、又は相転移材料層をPCB積層に追加することができる。
【0040】
相転移材料層514は、PCB100について上述した様々な相転移材料組成物を含むことができる。相転移材料層514は、PCB500の使用のための熱除去要件に応じて、様々な厚さで形成することができる。更に、融点又は溶融温度範囲は、熱エネルギーが効率的に吸収されるように、相転移材料によって設定することができる。
【0041】
相転移材料がPCB500から漏れるのを防止するために、相転移材料層514は、その縁部の周りを液密に封止されることができる。PCB500の積層構成における様々な層は、上述したような様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を用いて形成することができる。
【0042】
PCB500の使用中、相転移材料層514は、潜熱によりPCB500に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層514は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0043】
図6は、別の代替実施形態による、MCPCB602の積層構成を含む電子アセンブリ600を示す。MCPCB602は、例えば、アルミニウム若しくは銅材料、又はそれらの合金から形成することができるメタルコアベース604を含む。第1の誘電体層610はメタルコアベース604の上にあり、第1の相転移材料層612は第1の誘電体層610の上にあり、第2の誘電体層614は第1の相転移材料層612の上にある。更に、第1の導電層616が第2の誘電体層614の上にあり、第3の誘電体層618が第1の導電層616の上にある。更に、第2の導電層620が第3の誘電体層618の上にあり、第2の相転移材料層622が第2の導電層620の上にあり、第3の導電層624が第2の相転移材料層622の上にある。
【0044】
センサ又は他の回路素子などの少なくとも1つの電子デバイス630は、電子デバイス630が第3の導電層624と接触するように、標準的な接続技術を使用してMCPCB602に電気的に結合される。相転移材料層612、622は、電子デバイス630の動作中、MCPCB602の冷却を向上させるために、相転移温度で熱エネルギーを吸収するように構成される。
【0045】
相転移材料層612、622は、PCB100について上述した様々な相転移材料組成物のいずれかから形成することができる。相転移材料層612、622は、電子デバイス630の熱除去要件に応じて、様々な厚さで形成することができる。更に、融点又は溶融温度範囲は、電子デバイス630の動作中、熱エネルギーが効率的に吸収されるように、相転移材料によって設定することができる。
【0046】
相転移材料がMCPCB602から漏れるのを防止するために、相転移材料層612、622は、それらの縁部の周りを液密に封止されることができる。MCPCB602の積層構成における様々な層は、前述したような様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を使用して形成することができる。
【0047】
MCPCB602の使用中、相転移材料層612、622は、潜熱によりMCPCB602に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層612、622は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0048】
図7は、更なる代替実施形態による、PCB702の積層構成を含む電子アセンブリ700を示す。PCB702は、第1の誘電体層712の上の上部導電層710と、第2の誘電体層716の下の下部導電層714とを含む。相転移材料層720は、第1の誘電体層712と第2の誘電体層716との間に介在する。相転移材料層720の一部分722がキャビティ718内に保持されるように、少なくとも1つのキャビティ718が導電層710及び誘電体層712内に形成される。
【0049】
更に、センサ又は他の回路素子などの少なくとも1つの電子デバイス730は、電子デバイス730が導電層710と接触し、相転移材料層720の部分722とも直接接触するように、PCB702に電気的に結合される。相転移材料層720は、電子デバイス730の動作中、PCB702の冷却を向上させるために、相転移温度で熱エネルギーを吸収するように構成される。他の実施形態では、複数の電子部品を、PCB702内の複数のキャビティを介して相転移材料層720に接続することができる。
【0050】
相転移材料層720は、PCB100について上述した様々な相転移材料組成物を含むことができる。相転移材料層720は、電子デバイス730の熱除去要件に応じて様々な厚さで形成することができる。更に、融点又は溶融温度範囲は、電子デバイス730の動作中、熱エネルギーが効率的に吸収されるように、相転移材料によって設定することができる。
【0051】
相転移材料がPCB702から漏れるのを防止するために、相転移材料層720は、その縁部の周りを液密に封止されることができる。PCB702の積層構成における様々な層は、上述したような様々な堆積プロセスを含む標準的な製造技術を用いて形成することができる。
【0052】
PCB702の使用中、相転移材料層720は、潜熱によりPCB702に追加の冷却を提供する。相転移中、相転移材料層720は、相転移時にエネルギーを吸収して、追加の冷却を提供する。
【0053】
他の代替実施形態では、1つ以上の追加の誘電体層、導電層、又は相転移材料層を電子アセンブリ700のPCB積層に追加することができる。例えば、相転移材料層720は、2つの導電層の間に介在させることができる。
【0054】
更なる代替実施形態では、電子アセンブリ700は、プリント回路基板がメタルコアプリント回路基板を含む積層構成を含むことができる。例えば、メタルコアベースを導電層714及び誘電体層716の下に形成して、MCPCBを形成することができる。
【0055】
図8は、PCB又はMCPCB内で相転移材料を使用するときの、温度に対する蓄熱のグラフである。
図8は、相転移温度において、相転移の間の温度制御範囲を提供する潜熱が生成されることを示す。
【0056】
例示的な実施形態
実施例1は、複数の積重ね層を含むプリント回路基板を備える電子アセンブリであって、積重ね層が、複数の導電層と、導電層の間にそれぞれ介在する複数の誘電体層と、少なくとも一対の誘電体層又は少なくとも一対の導電層の間に介在する1つ以上の相転移材料層と、を備え、相転移中、1つ以上の相転移材料層が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、プリント回路基板の冷却を強化するように構成されている、電子アセンブリを含む。
【0057】
実施例2は、プリント回路基板の積重ね層が、第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下の相転移材料層と、相転移材料層の下の第2の誘電体層と、を備える、実施例1の電子アセンブリを含む。
【0058】
実施例3は、プリント回路基板の積重ね層が、第1の導電層と、第1導電層の下の相転移材料層と、相転移材料層の下の第2導電層と、を備える、実施例2の電子アセンブリを含む。
【0059】
実施例4は、1つ以上の相転移材料層が、パラフィンワックス、テレフタル酸ジメチル、D-マンニトール、アジピン酸、チオシアン酸カリウム、ハイドロキノン、又はベンズアニリドを含む、実施例1~3のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0060】
実施例5は、1つ以上の相転移材料層が、液密に封止された縁部を有する、実施例1~4のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0061】
実施例6は、プリント回路基板に電気的に結合された少なくとも1つの電子デバイスを更に備える、実施例1~5のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0062】
実施例7は、複数の積重ね層を含むメタルコアプリント回路基板を備える電子アセンブリであって、積重ね層が、メタルコアベース層と、メタルコアベース層の上の複数の誘電体層と、誘電体層の間にそれぞれ介在する複数の導電層と、少なくとも一対の誘電体層又は少なくとも一対の導電層の間に介在する1つ以上の相転移材料層と、を備え、相転移中、相転移材料層が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、メタルコアプリント回路基板の冷却を強化するように構成されている、電子アセンブリを含む。
【0063】
実施例8は、メタルコアプリント回路基板の積重ね層が、第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下の相転移材料層と、相転移材料層の下の第2の誘電体層と、を備える、実施例7の電子アセンブリを含む。
【0064】
実施例9は、メタルコアプリント回路基板の積重ね層が、第1の導電層と、第1導電層の下の相転移材料層と、相転移材料層の下の第2導電層と、を備える、実施例8の電子アセンブリを含む。
【0065】
実施例10は、メタルコアベースが、アルミニウム、銅、又はそれらの合金を含む、実施例7~9のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0066】
実施例11は、1つ以上の相転移材料層が、パラフィンワックス、テレフタル酸ジメチル、D-マンニトール、アジピン酸、チオシアン酸カリウム、ハイドロキノン、又はベンズアニリドを含む、実施例7~10のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0067】
実施例12は、1つ以上の相転移材料層が、液密に封止された縁部を有する、実施例7~11のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0068】
実施例13は、プリント回路基板に電気的に結合された少なくとも1つの電子デバイスを更に備える、実施例7~12のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0069】
実施例14は、電子アセンブリであって、複数の積重ね層を含むプリント回路基板であって、積重ね層が、複数の導電層と、導電層間に介在する複数の誘電体層と、少なくとも一対の誘電体層又は少なくとも一対の導電層間に介在する相転移材料層と、を備え、少なくとも1つのキャビティが、導電層のうちの少なくとも1つ及び誘電体層のうちの少なくとも1つによって画定されて、それにより、相転移材料層の一部が少なくとも1つのキャビティ内に保持される、プリント回路基板と、プリント回路基板に電気的に結合された少なくとも1つの電子デバイスであって、電子デバイスが、導電層のうちの少なくとも1つと接触し、少なくとも1つのキャビティ内の相転移材料層の一部とも接触する、少なくとも1つの電子デバイスと、を備え、相転移中、相転移材料層が、相転移温度で熱エネルギーを吸収して、プリント回路基板の冷却を強化するように構成されている、電子アセンブリを含む。
【0070】
実施例15は、プリント回路基板の積重ね層が、第1の誘電体層と、第1の誘電体層の下の相転移材料層と、相転移材料層の下の第2の誘電体層と、を備える、実施例14の電子アセンブリを含む。
【0071】
実施例16は、プリント回路基板の積重ね層が、第1の導電層と、第1導電層の下の相転移材料層と、相転移材料層の下の第2導電層と、を備える、実施例14の電子アセンブリを含む。
【0072】
実施例17は、相転移材料層が、パラフィンワックス、テレフタル酸ジメチル、D-マンニトール、アジピン酸、チオシアン酸カリウム、ハイドロキノン、又はベンズアニリドを含む、実施例14~16のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0073】
実施例18は、相転移材料層が、液密に封止された縁部を有する、実施例14~17のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0074】
実施例19は、プリント回路基板が、メタルコアプリント回路基板を含む、実施例14~18のいずれかの電子アセンブリを含む。
【0075】
以上から、例解目的のために具体的な実施形態が記載されてきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。したがって、記載された実施形態は、全ての点において、例解的であるに過ぎず、限定的ではないと見なされるべきである。更に、特許請求の範囲の意味及び等価範囲内にある全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものとする。
【外国語明細書】