(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003581
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】乾燥容器及び電子機器
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240105BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240105BHJP
H05K 5/06 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
B01D53/26 210
H05K5/00
H05K5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102810
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 賢太郎
【テーマコード(参考)】
4D052
4E360
【Fターム(参考)】
4D052AA09
4D052CA04
4D052CA07
4D052HA05
4E360AB33
4E360AB59
4E360BA08
4E360BB04
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA21
4E360EA29
4E360EC05
4E360EC11
4E360ED03
4E360ED23
4E360GA29
4E360GA47
4E360GB01
4E360GC06
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】
乾燥剤の交換回数を減らす。
【解決手段】
乾燥容器は、第1の筐体を含む複数の筐体を有する。前記第1の筐体は、当該筐体と隣接し、かつ、乾燥剤を備える他の筐体と連結し、内部に第1の空間を形成し、前記第1の空間に位置する乾燥剤と、前記第1の筐体の外部から前記第1の空間へ空気を流入させる窓部と、前記第1の空間から前記他の筐体へ空気を流出させる流出部と、前記第1の空間に位置し、前記乾燥剤が所定以下の水分しか吸収していないとき、前記流出部を塞ぎ、所定以上の水分を吸収したとき、前記流出部を塞ぐ面積が小さくなるように移動する第1の容器と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体を含む複数の筐体を有し、
前記第1の筐体は、
乾燥剤を備える隣接する他の筐体と連結し、
内部に第1の空間を形成し、
前記第1の空間に位置する乾燥剤と、
前記第1の筐体の外部から前記第1の空間へ空気を流入させる窓部と、
前記第1の空間から前記他の筐体へ空気を流出させる流出部と、
前記第1の空間に位置し、前記乾燥剤が所定以下の水分しか吸収していないとき、前記流出部を塞ぎ、所定以上の水分を吸収したとき、前記流出部を塞ぐ面積が小さくなるように移動する第1の容器と、を備える
乾燥容器。
【請求項2】
前記第1の空間に第2の容器を含み、
前記第2の容器は、前記乾燥剤が水分を吸収したときに発生する水溶液を通過させる透過面を有し、
前記第1の容器は、前記乾燥剤と、前記透過面を内部に含むように前記第2の容器と嵌合する
請求項1に記載の乾燥容器。
【請求項3】
前記第1の空間に位置し、前記第1の容器を移動させる弾性体を備える
請求項1または2の何れか一項に記載の乾燥容器。
【請求項4】
前記複数の筐体は、第2の筐体をさらに含み、
前記第2の筐体は、前記第1の筐体の前記流出部から流出する空気を流入する流入部を備える
請求項1または2の何れか一項に記載の乾燥容器。
【請求項5】
前記流出部と前記流入部は網状で形成される、請求項1または2の何れか一項に記載される乾燥容器。
【請求項6】
第1の筐体を含む複数の筐体を有し
前記第1の筐体は、
第1の面を含む複数の面で囲むことによって内部に第1の空間を形成する筐体部と、
前記第1の面に位置し、前記第1の筐体内の空気が流出する流出部と、
前記第1の空間に位置し、前記筐体部のいずれかの面と接する弾性体と、
前記筐体部のいずれかの面に形成され、前記筐体部の外部から前記第1の空間に空気を流入させる窓部と、
前記第1の空間に位置する第1の容器と第2の容器と、を備え、
前記流出部は、前記第1の空間に流入した空気が、内部に他の乾燥剤を備える他の筐体の内部へ流出するように当該他の筐体と連結し、
前記第1の容器は、
前記弾性体と接し、
前記第2の容器の端部を覆うように接することで前記第1の容器と前記第2の容器で囲われた第2の空間を形成し、
前記第2の空間に乾燥剤を含み、
前記乾燥剤が充填されているとき、前記流出部と重なるよう接し、
前記弾性体と接する面において前記第2の空間から前記第1の空間へ空気を通す通気部を有し、
前記窓部より前記第1の空間に流入した空気が前記通気部を通り、前記第2の空間の前記乾燥剤が前記空気に含まれる水分を吸収し、当該乾燥剤の容積が小さくなったとき、前記弾性体によって、前記第2の容器が前記流出部との重なる面積が小さくなるように前記第1の容器側へ移動し、前記第1の空間に流入した空気が前記流出部を通り、前記他の筐体内部へ流入する
乾燥容器。
【請求項7】
請求項1に記載される乾燥容器を内部に備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乾燥容器及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、監視カメラなどの電子機器が屋外で広く利用されている。そのような電子機器を屋外で利用する際、周囲の温度環境によって電子機器内部において結露が発生しやすくなり、視認性の低下や電子機器の故障を引き起こすおそれがある。そこで、結露の対策として特許文献2に記載されるように、電子機器の筐体内に乾燥剤を入れ、結露を防止する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-186915号公報
【特許文献2】特開2015-148729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インフラ設備に利用される電子機器では、乾燥剤の交換を高頻度で行うことが難しい。そのため、乾燥剤の交換回数を減らすような設計が求められている。
【0005】
上述した従来の事情に鑑みてなされた本開示は、乾燥剤が長期間効果を維持するようにし、乾燥剤の交換回数を減らす乾燥容器及び電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る乾燥容器は、
第1の筐体を含む複数の筐体を有し、
前記第1の筐体は、
当該筐体と隣接し、かつ、乾燥剤を備える他の筐体と連結し、
内部に第1の空間を形成し、
前記第1の空間に位置する乾燥剤と、
前記第1の筐体の外部から前記第1の空間へ空気を流入させる窓部と、
前記第1の空間から前記他の筐体へ空気を流出させる流出部と、
前記第1の空間に位置し、前記乾燥剤が所定以下の水分しか吸収していないとき、前記流出部を塞ぎ、所定以上の水分を吸収したとき、前記流出部を塞ぐ面積が小さくなるように移動する第1の容器と、を備える
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、乾燥剤の交換回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の一実施形態に係る撮像装置の概略図である、
【
図1B】
図1Aの矢印A方向からみた一実施形態に係る撮像装置の断面図である。
【
図2】
図1Aの矢印A方向からみた一実施形態に係る乾燥容器と撮像装置の断面図である。
【
図3A】
図1Aの矢印A方向から見た第1の筐体の断面図である。
【
図3B】
図3Aの矢印B方向から見た第1の筐体の断面図である。
【
図3C】
図3Aの矢印C方向から見た第1の筐体の断面図である。
【
図4A】
図1Aの矢印A方向から見た第2の筐体の断面図である。
【
図4B】
図4Aの矢印B方向から見た第2の筐体の断面図である。
【
図4C】
図4Aの矢印C方向から見た第2の筐体の断面図である。
【
図5A】
図1Aの矢印A方向から見た第3の筐体の断面図である。
【
図5B】
図5Aの矢印B方向から見た第3の筐体の断面図である。
【
図5C】
図5Aの矢印C方向から見た第3の筐体の断面図である。
【
図6A】
図3Aの矢印B方向から見た、使用途中の第1の筐体の断面図である。
【
図6B】
図3Aの矢印C方向から見た、使用途中の第1の筐体の断面図である。
【
図6C】
図3Aの矢印B方向から見た、使い終わった第1の筐体の断面図である。
【
図6D】
図3Aの矢印C方向から見た、使い終わった第1の筐体の断面図である。
【
図8】
図1Aの矢印A方向からみた一実施形態に係る乾燥容器と撮像装置の変形例の断面図である。
【
図9A】
図1Aの矢印A方向から見た第1の筐体の変形例の断面図である。
【
図9B】
図9Aの矢印B方向から見た第1の筐体の変形例の断面図である。
【
図9C】
図9Aの矢印C方向から見た第1の筐体の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(電子機器1)
図1A、1Bを用いて電子機器1を説明する。
図1Aは、電子機器1の概略図である。
図1Bは、
図1AのA方向から見た電子機器1の断面図である。電子機器1は、外装筐体2と、光学系3と、乾燥容器4とを含んで構成される。電子機器1は、例えば、屋外に設置される監視カメラ、路側機といった撮像装置である。しかしながら、電子機器1は、これに限定されない。電子機器1は、例えば、無線通信を行うことが可能な基地局装置であってもよい。
【0011】
図1Aにおいて、外装筐体2は、電子機器1の外装を構成する。本実施形態では、外装筐体2を構成する一の面に穴が開いており、その穴に光学系3が嵌っている。電子機器1は、外装筐体2に光学系3が嵌ることで、内部の気密性が確保されている。なお、電子機器1は、内部の機密性をより確保するため、外装筐体2に空いている穴の周縁部にパッキン(図示しない)を設けてもよい。また、電子機器1は、外装筐体2の穴に光学系3を嵌めず、外装筐体2の内部に光学系3を収納させる構成でもよい。この場合、外装筐体2の穴にカバーガラス(図示しない)を嵌めるとともに、外装筐体2の穴の周縁部にパッキン(図示しない)を設けることで、内部の機密性をより確保してもよい。
【0012】
光学系3は、外装筐体2の内部に配置される。光学系3は、単数又は複数のレンズと鏡筒を含むレンズユニット、撮像素子、撮像した画像を処理する画像処理回路、および、外部と通信を行うためのインターフェースを含む。なお、光学系3のレンズユニットの一部は、外装筐体2の外側に突出していてもよい。また、光学系3は、外装筐体2に収納されている場合は、外装筐体2のカバーガラスが嵌められた穴を介して、撮像を行う。
【0013】
乾燥容器4は、外装筐体2の内部に配置される。乾燥容器4は、光学系3を囲うように配置される。本実施形態では、乾燥容器4は、
図1Aの矢印A方向から見た断面が六角形の筒状であるが、これに限定されない。乾燥容器4は、
図1Aの矢印A方向から見た断面が、
図8に示す様な円や楕円、他の多角形であってもよい。また、乾燥容器4は、光学系3の周囲を一周するように囲っているが、これに限定されず、光学系3に必要な配線を通すための隙間を空けてもよい。
【0014】
図2は、
図1Aの矢印A方向からみた乾燥容器4の詳細を示す断面図である。乾燥容器4は、複数の筐体10、乾燥剤11を含んで構成される。乾燥剤11は、複数の筐体10の内部に位置する。本実施形態では、複数の筐体として6つの筐体を含む構成で説明するが、これに限定されず、2以上の筐体を含んでいればよい。
【0015】
複数の筐体10は、それぞれが連結し、乾燥容器4の外装を構成する。複数の筐体10は、第1の筐体10a、第2の筐体10b、第3の筐体10cを含む。第1の筐体10aは窓部135が設けられており、窓部135より空気を乾燥容器4内部へ侵入させる。第3の筐体10cは、第1の筐体10a、第2の筐体10b、他の第3の筐体10cのいずれか2つと連結している。本実施形態では、複数の筐体10それぞれは、
図1Aの矢印A方向から見た断面が台形であるが、これに限定されず、
図8に示す様なアーチ状などの円状のものや、他の多角形であってもよい。また、乾燥容器4の外装を、2つの筐体を連結した構成とする場合、第1の筐体10aと、第2の筐体10bとを連結させる構成にして
もよい。
【0016】
(第1の筐体10a)
図3A~
図3Cを用いて、第1の筐体10aを説明する。
図3Aは、
図1Aの矢印A方向からみた第1の筐体10aの断面図である。
図3Bは、
図3Aの矢印B方向から見た第1の筐体10aの断面図である。
図3Cは、
図3Aの矢印C方向から見た第1の筐体10aの断面図である。第1の筐体10aは、
図3Bに示す様に、乾燥剤111と、筐体部120と、第1の面121と、第2の面122と、蓋131と、第1の容器132と、第2の容器133と、弾性体134を含んで構成される。また、
図3Cに示す様に、第1の筐体10aは、第3の面123と、第1の空間130と、第2の空間140を含んで構成される。さらに、
図3Aに示す様に、第1の筐体10aは、窓部135を含んで構成される。なお、本実施形態では、第1の筐体10aは、第1の面121、第2の面122,第3の面123、および蓋131を含む6つの面により筐体部120を形成する。そして、第1の筐体10aは、その内部に、乾燥剤111、第1の空間130、第1の容器132、第2の容器133、弾性体134、第2の空間140を有する。
【0017】
図3Bに示す様に、乾燥剤111は、第1の空間130に位置し、筐体部120の内部に入った水分を吸収する。より具体的には、乾燥剤111は、第1の空間130に位置する第1の容器132内部に形成される第2の空間140に位置し、筐体部120の内部に入った水分を吸収する。本実施形態では、乾燥剤111は、塩化カルシウムであるが、これに限定されず、水分を吸収することで水に溶けるものであればよい。
【0018】
図3Bに示す様に、第1の面121は、筐体部120のうちの一面である。第1の面121は非透水性樹脂で形成される。第1の面121はその一部に流出部121aを有する。本実施形態では、第1の筐体10aの第1の面121は、後述する第3の筐体10cの第2の面322と連結し、
図2に示す様に、連結部4aを形成する。また、本実施形態では、流出部121aは、網状で形成されているが、これに限定されず、1つの大きな空孔、や透水性樹脂で形成されてもよい。また、本実施形態では、第1の面121は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0019】
第2の面122は、筐体部120のうちの一面であり、第1の面121と対向するように位置する。第2の面122は、非透水性樹脂で形成されている。本実施形態では、第1の筐体10aの第2の面122は、後述する第2の筐体10bの第1の面221と接しているが、これに限定されず、第1の面221と接さなくてもよい。すなわち、第2の面122と第1の面221との間に隙間を設けてもよい。本実施形態では、第2の面122は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0020】
図3Cに示す様に、第3の面123は、筐体部120のうちの一面であり、第1の面121と第2の面122のそれぞれと隣接する構成となっている。第3の面123は、非透水性樹脂で形成される。第3の面123はその一部に、窓部135が形成されている。本実施形態では、第3の面123は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0021】
図3Aに示す様に、第1の空間130は、筐体部120の内部に位置する。より具体的には、第1の面121、第2の面122、第3の面123を少なくとも含む6つの面に囲まれて形成される。第1の空間130は、第1の容器132、第2の容器133、弾性体134を含む。
【0022】
図3Bに示す様に、蓋131は、筐体部120の一面として位置する。また、蓋131は、乾燥剤111、第1の容器132、第2の容器133などの第1の空間130に位置するものを出し入れするために開閉することが可能である。例えば、
図7に記載のように、蓋131は、矢印の方向にスライドされることによって第1の筐体10aの開閉が行われるが、蓋131を開閉する構造は、これに限定されない。
【0023】
図3A、
図3Bに示す様に、第1の容器132は、第1の空間130に位置する。第1の容器132の内壁は、少なくとも、第2の容器133における、蓋131に接する面、および後述する透過面133a以外の外壁と接している。また、第1の容器132は、第1の面121の流出部121aと重なるように第1の面121と接する。流出部121aと第2の容器133が重なるとき、窓部135より筐体部120に入った空気は流出部121aを通れない。また、第1の容器132は、透水性樹脂で形成される通気部132aを有する面を備える。通気部132aは、第1の容器132のうち、第2の容器133における後述する透過面133aと対向する面に形成される。
【0024】
図3A、
図3Bに示す様に、第2の容器133は、第1の空間130に位置する。第2の容器133は、第1の筐体10aと同じように、
図1の矢印A方向から見た断面が台形の筒状である。しかしながら、これに限定されず、第2の容器133は、第1の筐体10aと同じ断面の形状であればよい。すなわち、第1の筐体10aの
図1の矢印A方向から見た断面が三角形である場合、第2の容器133の断面も三角形であればよい。第2の容器133は、空気を通すことができる透過面133aを備える。透過面133aは、第1の容器133のうち、蓋131に接する面と反対側に位置する面に形成され、第1の容器132の内部に位置する。本実施形態では、透過面133aは、網状で形成されるが、これに限定されず、透水性樹脂で形成されてよい。
【0025】
図3Bに示す様に、弾性体134は、第1の空間130に位置する。弾性体134は、第1の容器132の通気部132aを有する面と、当該通気部132aを有する面と対向する、筐体部120の内壁となる面の両方に接する。本実施形態では、弾性体134は、バネであるが、これに限定されない。また、本実施形態では、弾性体134は、第1の空間に1つだけ配置されているが、これに限定されず、
図9Aから
図9Cに示す様に2つ以上配置されてもよい。
【0026】
図3Aに示す様に、窓部135は、筐体部120の第3の面123上に位置し、透水性樹脂で形成される。本実施形態では、窓部135は、筐体部120の第3の面123の一部に設けられているが、これに限定されない。
【0027】
図3Bに示す様に、第2の空間140は、第1の容器132と第2の容器133の透過面133aとの内壁に囲まれて形成される。第2の空間140は、内部に乾燥剤111を
含む。
【0028】
(第2の筐体10b)
図4A~
図4Cを用いて、第2の筐体10bを説明する。
図4Aは、
図1Aの矢印A方向からみた第2の筐体10bの断面図である。
図4Bは、
図4Aの矢印B方向から見た第2の筐体10bの断面図である。
図4Cは、
図4Aの矢印C方向から見た第2の筐体10bの断面図である。第2の筐体10bは、
図4Bに示す様に、乾燥剤211と、筐体部220と、第1の面221と、第2の面222と、蓋231と、第1の容器232と、第2の容器233と、弾性体234を含んで構成される。また、
図4Cに示す様に、第2の筐体10bは、第3の面223と、第1の空間230と、第2の空間240を含んで構成される。なお、本実施形態では、第2の筐体10bは、第1の面221、第2の面222,第3の面223、および蓋231を含む6つの面により筐体部220を形成する。そして、第2の筐体10bは、その内部に、乾燥剤211、第1の空間230、第1の容器232、第2の容器233、弾性体234、第2の空間240を有する。
【0029】
図4Bに示す様に、乾燥剤211は、第1の空間230に位置し、筐体部220の内部に入った水分を吸収する。より具体的には、第1の空間230に位置する第1の容器232内部に形成される第2の空間240に位置し、筐体部220の内部に入った水分を吸収する。本実施形態では、乾燥剤211は、塩化カルシウムであるが、これに限定されず、水分を吸収することで水に溶けるものであればよい。
【0030】
図4Bに示す様に、第1の面221は、筐体部220のうちの一面である。第1の面221は非透水性樹脂で形成される。本実施形態では、第1の面221は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0031】
第2の面222は、筐体部220のうちの一面であり、第1の面221と対向するように位置する。第2の面222は、非透水性樹脂で形成されている。第2の面222はその一部に流入部222aを有する。本実施形態では、流入部222aは、網状で形成されるが、これに限定されず、透水性樹脂などで形成されてもよい。本実施形態では、第2の筐体10bの第2の面222は、後述する第3の筐体10cの第1の面321と連結し、連結部4bを形成する。しかし、これに限定されず、複数の筐体10が2つの筐体で構成されるとき、第2の筐体10bの第2の面222は、第1の筐体10aの第1の面121と連結する。本実施形態では、第2の面222は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0032】
図4Cに示す様に、第3の面223は、筐体部220のうちの一面であり、第1の面221と第2の面222のそれぞれと隣接する構成となっている。第3の面223は、非透水性樹脂で形成される。第3の面223は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0033】
図4Aに示す様に、第1の空間230は、筐体部220の内部に位置する。より具体的には、第1の面221、第2の面222、第3の面223を少なくとも含む6つの面に囲まれて形成される。第1の空間230は、第1の容器232、第2の容器233、弾性体234を含む。
【0034】
図4Bに示す様に、蓋231は、筐体部220の一面として位置する。また、蓋131は、乾燥剤211、第1の容器232、第2の容器233などの第1の空間230に位置するものを出し入れするために開閉することが可能である。例えば、
図7に記載のように、蓋231は、矢印の方向にスライドされることによって第2の筐体10bの開閉が行われるが、蓋231を開閉する構造は、これに限定されない。
【0035】
図4A、
図4Bに示す様に、第1の容器232は、第1の空間230に位置する。第1の容器232の内壁は、少なくとも、第2の容器233における、蓋231に接する面、および後述する透過面233a以外の外壁と接している。また、第1の容器232は、第2の面222の流入部222aと重なるように第1の面221と接する。また、第1の容器232は、透水性樹脂で形成される通気部232aを有する面と通気部232bを有する面を備える。通気部232aは、第1の容器232のうち、第2の容器233における後述する透過面233aと対向する面に形成される。通気部232bは、第2の面322と接する面に形成され、第2の面322の流入部322aと重なる。
【0036】
図4A、
図4Bに示す様に、第2の容器233は、第1の空間230に位置する。第2の容器233は、第2の筐体10bと同じように、
図1の矢印A方向から見た断面が台形の筒状である。しかしながら、これに限定されず、第2の容器233は、第2の筐体10bと同じ断面の形状であればよい。すなわち、第2の筐体10bの
図1の矢印A方向から見た断面が三角形である場合、第2の容器233の断面も三角形であればよい。第1の容器233は、空気を通すことができる透過面233aを備える。透過面233aは、第2の容器233のうち、蓋231に接する面と反対側に位置する面に形成され、第1の容器232の内部に位置する。本実施形態では、透過面233aは、網状で形成されるが、これに限定されず、透水性樹脂で形成されてよい。
【0037】
図4Bに示す様に、弾性体234は、第1の空間230に位置する。弾性体234は、第1の容器232の通気部232aを有する面と、当該通気部233aを有する面と対向する、筐体部220の内壁となる面の両方に接する。本実施形態では、弾性体134は、バネであるが、これに限定されない。
【0038】
図4Bに示す様に、第2の空間240は、第1の容器232の透過面232aと第2の容器233の内壁に囲まれて形成される。第2の空間240は、内部に乾燥剤211を含む。
【0039】
(第3の筐体10c)
図5A~
図5Cを用いて、第3の筐体10cを説明する。
図5Aは、
図1Aの矢印A方向からみた第3の筐体10cの断面図である。
図5Bは、
図5Aの矢印B方向から見た第3の筐体10cの断面図である。
図5Cは、
図5Aの矢印C方向から見た第3の筐体10cの断面図である。第3の筐体10cは、
図5Bに示す様に、乾燥剤311と、筐体部320と、第1の面321と、第2の面322と、蓋331と、第1の容器332と、第2の容器333と、弾性体334を含んで構成される。また、
図3Cに示す様に、第3の筐体10cは、第3の面323と、第1の空間330と、第2の空間340を含んで構成される。なお、本実施形態では、第3の筐体10cは、第1の面321、第2の面322,第3の面323、および蓋331を含む6つの面により筐体部320を形成する。そして、第3の筐体10cは、その内部に、乾燥剤311、第1の空間330、第1の容器332、第2の容器333、弾性体334、第2の空間340を有する。
【0040】
図5Bに示す様に、乾燥剤311は、第1の空間130に位置し、筐体部120の内部に入った水分を吸収する。より具体的には、第1の空間130に位置する第1の容器132内部に形成される第2の空間140に位置し、筐体部120の内部に入った水分を吸収する。本実施形態では、乾燥剤311は、塩化カルシウムであるが、これに限定されず、水分を吸収することで水に溶けるものであればよい。
【0041】
図5Bに示す様に、第1の面321は、筐体部320のうちの一面である。第1の面321は非透水性樹脂で形成される。第1の面321は、その一部に流出部321aを有す
る。本実施形態では、1つの第3の筐体10cの第1の面321は、第2の筐体10bの
第2の面222と連結し、
図2に示す様に、連結部4bを形成する。また、本実施形態では、流出部321aは、網状で形成されているが、これに限定されず、1つの大きな空孔や透水性樹脂で形成されてもよい。本実施形態では、第1の面321は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0042】
第2の面322は、筐体部320のうちの一面であり、第1の面321と対向するように位置する。第2の面322は、非透水性樹脂で形成されている。第2の面322は、その一部に流入部322aを有する。本実施形態では、第3の筐体10cの第2の面322は、第1の筐体の第1の面121と連結し、
図2に示す様に、連結部4aを形成する。本実施形態では、第2の面322は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0043】
図5Cに示す様に、第3の面323は、筐体部320のうちの一面であり、第1の面321と第2の面322のそれぞれと隣接する構成となっている。第3の面323は、非透水性樹脂で形成される。本実施形態では、第3の面323は、直線状に形成されているが、これに限定されず、
図8に示す様に曲線で形成されてもよい。
【0044】
図5Aに示す様に、第1の空間330は、筐体部320の内部に位置する。より具体的には、第1の面321、第2の面322、第3の面323を少なくとも含む6つの面に囲まれて形成される。第1の空間330は、第1の容器332、第2の容器333、弾性体334を含む。
【0045】
図5Bに示す様に、蓋331は、筐体部320の一面として位置する。また、蓋331は、乾燥剤311、第1の容器332、第2の容器333などの第1の空間330に位置するものを出し入れするために開閉することが可能である。例えば、
図7に記載のように、蓋331は、矢印の方向にスライドされることによって第3の筐体10cの開閉が行われるが、蓋331を開閉する構造は、これに限定されない。
【0046】
図5A、
図5Bに示す様に、第1の容器332は、第1の空間330に位置する。第1の容器332の内壁は、少なくとも、第2の容器333における、蓋331に接する面、および後述する透過面333a以外の外壁と接している。また、第1の容器332は、第1の面321の流出部321aと重なるように第1の面321と接する。流出部321aと第1の容器332が重なるとき、流入部322aより筐体部120に入った空気は流出部321aを通れない。また、第1の容器332は、第2の面322と接する。また、第1の容器332は、透水性樹脂で形成される通気部332aを有する面と通気部332bを有する面を備える。通気部332aは、第1の容器332のうち、第2の容器333における透過面333aと対向する面に形成される。通気部332bは、第1の容器332のうち、第2の面322と接する面に形成され、第2の面322の流入部322aと重なる。
【0047】
図5A、
図5Bに示す様に、第2の容器333は、第1の空間330に位置する。第2の容器333は、第3の筐体10cと同じように、
図1の矢印A方向から見た断面が台形の筒状である。しかしながら、これに限定されず、第2の容器333は、第3の筐体10cと同じ断面の形状であればよい。すなわち、第3の筐体10cの
図1の矢印A方向から見た断面が三角形である場合、第2の容器333の断面も三角形であればよい。第2の容器333は、空気を通すことができる透過面333aを備える。透過面333aは、第2の容器333のうち、蓋331に接する面と反対側に位置する面に形成され第1の容器332の内部に位置する。本実施形態では、透過面333aは、網状で形成されるが、これに限定されず、透水性樹脂で形成されてよい。
【0048】
図5Bに示す様に、弾性体334は、第1の空間330に位置する。弾性体334は、第1の容器332の通気部332aを有する面と、当該通気部332aを有する面と対向する、筐体部320の内壁となる面の両方に接する。本実施形態では、弾性体334は、バネであるが、これに限定されない。
【0049】
図5Bに示す様に、第2の空間340は、第1の容器332と第2の容器333の透過面333aとの内壁に囲まれて形成される。第2の空間340は、内部に乾燥剤311を含む。
【0050】
(乾燥処理)
次に、乾燥処理について説明する。
図6A~6Dは、電子機器1内部を乾燥させているときの乾燥容器4における複数の筐体10のうち、第1の筐体10aの断面図である。
図6A、6Cは、上述した
図3Cと同様に、
図3Aの矢印C方向から見た第1の筐体10aの断面図である。
図6B、6Dは、上述した
図3Bと同様に、
図3Aの矢印B方向から見た第1の筐体10aの断面図である。なお、第2の筐体10b、及び、第3の筐体10cにおける乾燥処理時の動作は、第1の筐体10aにおける動作とほぼ同様であるため、図面の記載は省略する。
【0051】
図6A、6Bに示す様に、電子機器1内部の空気は、乾燥容器4の第1の筐体10aの窓部135より第1の筐体10a内部に流入する。
【0052】
第1の筐体10aの内部に流入した空気は、第1の容器132の透水性樹脂で形成される通気部132aから第2の空間140へ流入する。
【0053】
第2の空間140へ流入した空気中に含まれる水分は乾燥剤111に吸収される。
【0054】
本実施形態では、乾燥剤111は塩化カルシウムであるため、乾燥剤111は吸収した水分に溶け、水溶液が第2の空間140に発生する。
【0055】
発生した水溶液は、第2の容器133の透過面133aを通り抜けて第2の容器133内部へ侵入する。
【0056】
乾燥剤111は吸収した水分に溶けて水溶液となり、水溶液が第2の容器133内部へ侵入していくと、第2の空間140にある乾燥剤111の容積が減少する。
【0057】
第2の空間140にある乾燥剤111の容積が減少すると、弾性体134の応力によって第2の空間140が狭くなるように、第1の容器132は、第2の容器133側へ移動する。
【0058】
第1の容器132が第2の容器133側へ移動すると、
図6C、6Dに示す様に、第1の容器132と第1の面121の流出部121aとが接触する面積が徐々に小さくなっていく。そのようになると、窓部135から入ってきた空気は、第1の面121の流出部121aを介して、第1の筐体10aと連結する第3の筐体10cの第2の面322の流入
部322aを通過して第3の筐体10cへ移動する。なお、空気の移動先が、第2の筐体10bである場合は、上述した同様の動作が行われ、窓部135から入ってきた空気は、第1の面121の流出部121aを介して、第1の筐体10aと連結する第2の筐体10
bの第2の面222の流入部222aを通過して第2の筐体10bへ移動する。
【0059】
第3の筐体10cへ流入した空気は、第2の面322の流入部322aと接する第1の
容器332の通気部332bより第2の空間340に流入する。
【0060】
第2の空間340に流入した空気中に含まれる水分は乾燥剤311に吸収される。
【0061】
本実施形態では、乾燥剤311は塩化カルシウムであるため、乾燥剤311は吸収した水分に溶け、水溶液が第2の空間340に発生する。
【0062】
発生した水溶液は、第2の容器333の透過面333aを通り抜けて第2の容器333内部へ侵入する。
【0063】
乾燥剤311は吸収した水分に溶けて水溶液となり、水溶液が第2の容器333内部へ侵入していくと、第1の容器332内部にある乾燥剤311の容積が減少する。
【0064】
第1の容器332内部にある乾燥剤311の容積が減少すると、弾性体334の応力によって第2の空間340が狭くなるように、第1の容器332は、第2の容器333側へ移動する。
【0065】
第1の容器332が第2の容器333側へ移動すると、第1の容器332と第2の面322の流出部322aとが接触する面積が徐々に小さくなっていく。また、第1の容器332が第2の容器333側へ移動すると、流出部321aと通気部332bとが接触する面積が徐々に小さくなる。一方で、弾性体334が位置する第3の筐体10c内の空間が徐々に拡がることによって、第1の筐体10aから流入する空気は、通気部332aを介して第1の容器332内に流入するようになる。そのようになると、空気は第1の面321の流出部321aを介して、第3の筐体10cと連結する第2の筐体10bの第2の面222の流入部222aを通過して第2の筐体10bへ移動する。なお、空気の移動先が、異なる第3の筐体10cである場合は、当該異なる第3の筐体10cにおいて、上述した同様の動作が行われる。
【0066】
第2の筐体10bへ流入した空気は、第2の面222の流入部222aと接する第1の容器232の通気部232bより第2の空間240に流入する。
【0067】
第2の空間240に流入した空気中に含まれる水分は乾燥剤211に吸収される。
【0068】
本実施形態では、乾燥剤211は塩化カルシウムであるため、乾燥剤211は吸収した水分に溶け、水溶液が第2の空間240に発生する。
【0069】
発生した水溶液は、第2の容器233の透過面233aを通り抜けて第1の容器233内部へ侵入する。
【0070】
乾燥剤211は吸収した水分に溶けて水溶液となり、水溶液が第2の容器233内部へ侵入していくと、第2の空間240にある乾燥剤211の容積及び水溶液の容積が減少する。
【0071】
第1の容器232内部にある乾燥剤211の容積が減少すると、弾性体234の応力によって第2の空間240が狭くなるように、第1の容器232は、第2の容器233側へ移動する。
【0072】
このように、乾燥容器4内部の湿気を吸収することで、複数の筐体10の内部にある乾燥剤11を同時に使用することなく、順番に使用できるため、乾燥剤11が長持ちする。そのため、乾燥剤11の交換の回数を減らすことができる。
【0073】
(乾燥剤補充方法)
次に、乾燥剤11の補充方法について説明する。
図7は、上述した
図3Cと同様に、
図3Aの矢印C方向から見た第1の筐体10aの断面図を示す。乾燥容器4における第1の筐体10aの中にある乾燥剤111は、電子機器1内部の湿気を吸うことで内容量(容積)が減少する。このとき、蓋131を開け、第1の容器132と第2の容器133を取り出し、第2の容器133内部の水を外に出し、第1の容器132内部に新たな乾燥剤111を入れ、再び第1の容器132と第2の容器133を第1の筐体10aに入れる。このようにすることで、乾燥容器4を電子機器1から取り出すことなく乾燥剤11を補充することができる。また、
図7においては、第1の筐体10aを用いて乾燥剤補充方法を説明したが、第2の筐体10b、第3の筐体10cついても同様の方法によって乾燥剤を補充することができる。
【0074】
(変形例1)
乾燥容器4を用いて電子機器1の内部の湿気を取り除く際、第2の筐体10b内部に湿気を含む空気が侵入したことを外部装置へ通知するようにしてもよい。より具体的には、第2の筐体10bの内部にセンサを設置し、第2の筐体10bの内部の湿度が上がったことを検知したり、乾燥剤211が溶け始めたことによる第2の容器232の移動を検知したことを外部装置へ通知する。このようにすることで、乾燥剤の交換タイミングを把握することができる。
【0075】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0076】
1 電子機器
2 外装筐体
3 光学系
4 乾燥容器
10 筐体
10a 第1の筐体
10b 第2の筐体
10c 第3の筐体
11、111、211、311 乾燥剤
120、220、320 筐体部
121、221、321 第1の面
122、222、322 第2の面
123、223、323 第3の面
130、230、330 第1の空間
131、231、331 蓋
132、232、332 第1の容器
133、233、333 第2の容器
134、234、334 弾性体
135 窓部
140、240、340 第2の空間