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特開2024-35820容器処理設備およびCIP処理を有するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035820
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】容器処理設備およびCIP処理を有するシステム
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/00 20060101AFI20240307BHJP
   B65B 55/02 20060101ALI20240307BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B67C3/00 A
B65B55/02 E
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140710
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】10 2022 122 298.5
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス シューマッハー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア ハックル
(72)【発明者】
【氏名】フランツ ブラウン
【テーマコード(参考)】
3E079
4C058
【Fターム(参考)】
3E079BB05
3E079FF03
3E079GG02
4C058AA25
4C058BB07
4C058DD03
4C058JJ06
4C058JJ29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容器を処理するための、殊に容器に充填物を充填するための設備のCIP処理、特に洗浄および/または滅菌を改善する。
【解決手段】容器を処理するための、殊に容器に充填物を充填するための少なくとも1つの設備(10)と、中央CIP設備(30)であって、設備(10)と流体接続し、かつCIP処理、殊に洗浄および/または滅菌のために設備(10)に中央CIP設備(30)の処理流体を供給するように設定される中央CIP設備と、CIPモジュール(20)であって、設備(10)と流体接続するか、または前記設備(10)の一部であり、かつCIP処理、殊に洗浄および/または滅菌のために設備(10)にCIPモジュール(20)の処理流体を供給するように設定される、CIPモジュールと、を有するシステム(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を処理するための、殊に容器に充填物を充填するための少なくとも1つの設備(10)と、
中央CIP設備(30)であって、前記設備(10)と流体接続し、かつCIP処理、殊に洗浄および/または滅菌のために前記設備(10)に前記中央CIP設備(30)の処理流体を供給するように設定される、中央CIP設備と、
CIPモジュール(20)であって、前記設備(10)と流体接続するか、または前記設備(10)の一部であり、かつCIP処理、殊に洗浄および/または滅菌のために前記設備(10)に前記CIPモジュール(20)の処理流体を供給するように設定される、CIPモジュールと、を有するシステム(1)。
【請求項2】
前記中央CIP設備(30)は、容器を処理するための複数の設備(10、10‘)にCIP処理、殊に洗浄および/または滅菌のために前記中央CIP設備(30)の処理流体を供給するように設定され、前記システム(1)は、殊に容器を処理するための、殊に容器に飲料を充填するための複数の設備(10、10‘)を含み、前記中央CIP設備(30)は、前記複数の設備(10、10‘)と流体接続することを特徴とする、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記CIPモジュール(20)は、前記中央CIP設備(30)よりコンパクトな構造であり、および/または前記中央CIP設備(30)よりも前記設備(10)の近くに配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記設備(10)は、1つまたは複数の処理ノズル(12)を有し、前記処理ノズルは、前記CIPモジュール(20)および/または前記中央CIP設備(30)と流体接続し、かつ前記CIPモジュール(20)の前記処理流体および/または前記中央CIP設備(30)の前記処理流体を外部処理のために、前記設備(10)の処理されるべき表面に付与するように設定されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記設備(10)がアイソレータ壁を含むアイソレータ(11)を有し、前記処理ノズル(12)は、前記CIPモジュール(20)の前記処理流体および/または前記中央CIP設備(30)の前記処理流体を外部処理のために少なくとも部分的に前記アイソレータ壁に付与することを特徴とする、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記設備(10)は、前記容器に充填物を充填するように設定された充填器具(16)を含む、殊に回転充填機の形態の充填機(15)を有し、前記充填機(15)が、殊に缶に充填するように設定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記設備(10)が少なくとも1つの内部処理供給部(13)を有し、前記内部処理供給部は、前記CIPモジュール(20)および/または前記中央CIP設備(30)と流体接続し、かつ前記CIPモジュール(20)の前記処理流体および/または前記中央CIP設備(30)の前記処理流体を内部処理のために前記設備(10)の生産物案内もしくは媒体案内流路、殊に前記充填器具(16)に導入するように設定されることを特徴とする、請求項6に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記設備(10)が排水システム(14)を有し、前記排水システムは、前記CIPモジュール(20)および/または前記中央CIP設備(30)の前記処理流体を前記CIP処理の後に少なくとも部分的に前記CIPモジュール(20)および/または前記中央CIP設備(30)に戻すように設定されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記CIPモジュール(20)および前記中央CIP設備(30)は、1つまたは複数のCIP接続部(17、17a、17b)を介して前記設備(10)に結合されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記CIPモジュール(20)および前記中央CIP設備(30)は、少なくとも2つのCIP接続部(17a、17b)を介して前記設備(10)に結合され、殊に前記CIPモジュール(20)は、第1のCIP接続部(17a)を介して前記処理ノズル(12)に結合され、かつ前記内部処理のために処理回路から分離されている、または分離可能であることを特徴とする、請求項7および請求項9に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記CIP処理を制御するように設定されたCIP処理制御器(50)が設けられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記CIP処理制御器(50)は、前記設備(10)の通常運転中に殊に前記CIPモジュール(20)によって前記外部処理を実行するように設定されることを特徴とする、請求項4および請求項11に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を処理するための、殊に容器に充填物を充填するための設備と、設備をCIP処理するための、特に洗浄および/または滅菌するための中央CIP設備に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に充填物、例えば飲料を充填するための充填装置を洗浄および滅菌する様々な方法が知られている。例えば、充填物、あるいは中間製品および補助物質によって接触されるコンポーネントおよび面の分解を実質的に省略することができる、いわゆるCIP法(「クリーニング・イン・プレイス」)およびSIP法(「ステリライゼーション・イン・プレイス」)が確立されている。例えば、充填器具は、洗浄もしくは滅菌のために取り外される必要がなく、取り付けられた状態で、洗浄媒体または滅菌媒体が注がれ(durchspuelen)、当てられ(beaufschlagen)、および/または蒸気が当てられる(bedaempfen)。
【0003】
言葉上簡単にするために、本明細書ではSIP法はCIP法に包含されることとし、すなわちCIP法は洗浄および/または滅菌を含む。
【0004】
飲料充填設備のCIP洗浄を中央CIP設備によって行うことが知られている。洗浄媒体、例えば苛性ソーダ溶液(Natronlauge)、硝酸、または過酢酸を含む水が中央CIP設備で準備され、適切な濃度で混合され、場合によっては加熱され、次いで洗浄設備(単数または複数)へ送られる。それには媒体混合を可能な限り少なく抑えるため、往き、戻り、循環というステップが必要である。洗浄されるべき設備への洗浄媒体の準備、混合、保管、輸送、ならびに洗浄媒体の必要になるかもしれない返送は、中央CIP設備を構成する配管システム、タンク、熱交換器、および他の流体技術的装置によって行われる。
【0005】
特許文献1は、複数の設備または装置に供給するための中央CIP設備として機能できる、洗浄および/または殺菌流体を消費機器に供給するための装置を記載する。
【0006】
中央CIP設備が洗浄されるべき設備から比較的離れたところに配置されることがある。それによって媒体混合が行われ得る配管システムが長くなり、それによって洗浄剤の消費量と洗浄時間が増加する。さらに、配管内の媒体が冷え、それによってCIP設備に比較的高い温度を設定しなければならず、これがまたエネルギー消費量の増加につながる。
【0007】
中央CIP設備の別の問題は、洗浄されるべき設備(単数または複数)の運転に合わせてCIP設備を利用可能にする必要があり、それによって所望の洗浄剤が適時に利用可能になるということである。例えば、洗浄液(Lauge)が適時に必要な濃度と温度で利用可能でなく、それによって洗浄を適時に開始できない場合には遅延が生じる可能性がある。
【0008】
したがって、中央CIP設備が複数の設備もしくは装置に供給する場合、複数のステーションを順次にしか洗浄できない。そのサイズと、中央CIP設備の計画された洗浄プロセスによる最大限の利用とにより、ある程度の準備運転時間(Vorlaufzeit)が必要とされるため、計画外の洗浄、例えば的確な中間洗浄は不可能であるか、または可能であったとしても非常に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2786811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、容器を処理するための、殊に容器に充填物を充填するための設備のCIP処理、特に洗浄および/または滅菌を改善する、特にCIP処理をより効率的に、よりフレキシブルに、および/または資源を無駄にせず実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、請求項1の特徴を有するシステムによって解決される。有利な発展形態は、従属請求項、本発明の以下の説明、および好ましい実施例の説明から読み取れる。
【0012】
本発明によるシステムは、本明細書で略して「設備」または「容器処理設備」とも呼ばれる、容器を処理するための、殊に容器に充填物を充填するための少なくとも1つの設備を有する。容器処理設備は、特に食品加工分野で使用され、容器処理設備は、殊に、例えば水(炭酸なし、炭酸入り)、ソフトドリンク、ジュース、ビール、混合飲料などを充填するための飲料充填設備である。容器処理設備は、特に好ましくは缶閉蓋装置を装備することもできる缶充填機である。
【0013】
システムは、容器処理設備と流体接続し、かつCIP処理のために容器処理設備に処理流体を供給するように設定された中央CIP設備を有する。CIP処理とは、第1に、例えば設備の表面の洗浄および/または殺菌および/または滅菌および/または洗い流しを含む保守または洗浄措置である。
【0014】
この目的で、中央CIP設備は、処理流体を、少なくとも部分的に、例えば苛性ソーダ溶液、硝酸、または過酢酸を混合することによって作製するように設定されてもよい。代替的または追加的に、中央CIP設備は、外部の装置から処理流体を受け取るように、および後から使用するために1つまたは複数の適切なタンクに貯蔵するように設定されてもよい。
【0015】
システムは、CIPモジュールをさらに有し、これは中央CIP設備とは異なっており、また同様に容器処理設備と流体接続しているか、またはそれどころか容器処理設備の一部であり、かつCIP処理、殊に洗浄および/または滅菌のために容器処理設備に処理流体を供給するように設定されている。CIPモジュールにより提供可能な処理流体は、中央CIP設備により提供可能な処理流体と同一であってもよいし、一部重なるか、または異なってもよい。
【0016】
CIPモジュールは、中央CIP設備のように、処理流体を、少なくとも部分的に、例えば苛性ソーダ溶液、硝酸、または過酢酸を混合することによって作製するように設定されてもよい。代替的または追加的に、CIPモジュールは、外部の装置、例えば中央CIP設備から処理流体を受け取るように、および後から使用するために1つまたは複数の適切なタンクに貯蔵するように設定されてもよい。
【0017】
言葉上簡単にするために、本明細書ではしばしば「処理流体」(単数形)という言葉が用いられる。しかし、中央CIP設備とCIPモジュールの両方を、例えば滅菌および後続の洗い流しプロセス(Spuelprozess)を実行するために、それぞれ複数の異なる処理流体を提供するように設定することもできる。
【0018】
中央CIP設備に加えて容器処理設備と組み合わせられるCIPモジュールを用いて、洗浄および/または殺菌および/または滅菌等々のCIP処理を中央CIP設備とは独立して実行することができる。CIPモジュールは、特に、生産物案内通路(produktfuehrende Wege)がずらされ(ausgeschoben)、予洗いされ(vorgeschpuelt)、または共に洗浄される必要なしに、容器処理設備の通常運転中に行うことができる、例えば中間洗浄および/または中間滅菌などの計画外の処理を可能にする。これに加えて、容器処理設備に割り当てられたCIPモジュールの使用は、他の容器処理設備との、場合によっては生じる交叉汚染を減じる。
【0019】
殊に、中央CIP設備は、容器を処理するための複数の設備に、CIP処理、特に洗浄および/または滅菌するために処理流体を供給するように設定されている。システムは、殊に容器を処理するための、特に容器に飲料を充填するための複数の設備を含み、中央CIP設備は複数の設備と流体接続している。この場合、中央CIP設備は、とりわけ複数の容器処理設備に対応する処理流体を供給するように設計されるのに対して、CIPモジュールは正確に1つの設備に割り当てられているという点でCIPモジュールとは異なる。CIPモジュールは、例えば、中央CIP設備が計画通りに他の設備の処理を行っているためにあいにく利用可能でない場合にも容器処理設備の処理を行うことができる。
【0020】
殊に、CIPモジュールは、中央CIP設備よりコンパクトな構造であり、および/または中央CIP設備よりも容器処理設備の近くに配置されている。CIPモジュールは、特に容器処理設備の一部であってもよい。CIPモジュールが近いか、もしくは直接結合されていることによって、処理媒体を必要な場合に迅速に呼び出すことができ、容器処理設備が即時に利用可能になり、直ちに利用することができる。このことは、生産中もしくは容器処理設備の通常運転中の中間処理を容易にする。CIPモジュールは、CIP処理時の時間節約を可能にする。
【0021】
容器処理設備に割り当てられる比較的小型のCIPモジュールを使用することによって、中央CIP設備を場合によっては小型化することができ、そのことが結果としてエネルギー節約と、CIP媒体消費量、水消費量等々、他の資源の節約と、製造および運転時のコスト節約につながる。
【0022】
殊に、設備は1つまたは複数の処理ノズルを有し、処理ノズルは、CIPモジュールおよび/または中央CIP設備と流体接続し、かつCIPモジュールおよび/または中央CIP設備の処理流体を外部処理のために、処理されるべき、特に洗浄および/または殺菌および/または滅菌されるべき設備の表面に付与するように設定されている。このような外部処理は、生産中でもCIPモジュールによって可能である。
【0023】
殊に、設備がアイソレータ壁を含むアイソレータを有し、処理ノズルは、CIPモジュールおよび/または中央CIP設備の処理流体を外部処理のために少なくとも部分的にアイソレータ壁に付与するように設定されている。「クリーンルーム」とも呼ばれるアイソレータは、周囲環境に対して実質的に閉鎖された空間を提供して衛生的で、滅菌された、および/または無菌の容器処理を、外部からの影響から保護して可能にする。CIPモジュールを用いて、中央CIP設備とは独立して、必要になるかもしれない内部洗浄および外部洗浄の両方を実行することができる。アイソレータ技術によって高い温度および濃度の使用が可能である。
【0024】
殊に、設備は、容器に充填物を充填するように設定された充填器具を含む、殊に回転充填機の形態の充填機を有する。充填機が、缶を充填するように設定されていることが特に好ましい。缶充填機は、押し込み充填および閉鎖によって製品損失が比較的大きく、それとともに缶とアイソレータ内の表面の汚染に関するリスクが高いため、中央CIP設備に加えて割り当てられたCIPモジュールの使用は缶充填機に特に適している。計画外の、迅速に実行可能な中間処理、特に外部洗浄は、設備の生産性を高める。
【0025】
殊に、設備は、少なくとも1つの内部処理供給部を有し、内部処理供給部は、CIPモジュールおよび/または中央CIP設備と流体接続し、かつCIPモジュールおよび/または中央CIP設備の処理流体を、内部処理のために設備の生産物案内もしくは媒体案内流路に、特に充填器具に導入するように設定されている。内部処理供給部によって、内部処理を場合によっては外部処理とは独立して実行でき、それにより設備の処理がより的確かつフレキシブルに実行可能である。
【0026】
殊に、設備が排水システムを有し、排水システムは、CIPモジュールおよび/または中央CIP設備の処理流体をCIP処理の後に少なくとも部分的にCIPモジュールおよび/または中央CIP設備に戻すように設定されている。このようにして、特にアイソレータが閉じているときに処理流体を除去し、CIP処理が行われた後に容器処理設備を迅速に再び運転状態にすることができる。CIPモジュールおよび/または中央CIP設備は、処理流体を完全に、または部分に再使用するように設定されてもよく、それによってCIP処理を特に資源を無駄にせず実行可能である。
【0027】
殊に、CIPモジュールおよび中央CIP設備は、1つまたは複数のCIP接続部を介して設備に結合され、CIPモジュールと中央CIP設備は、特に好ましくはそれぞれ1つのCIP接続部を介して設備に結合されている。このようにして、簡単な構造でCIPモジュールと中央CIP設備の分離と、ほとんど独立した運転が可能である。代替的または追加的に、バルブなどを有する相応の処理回路によって機能を実現することができる。
【0028】
殊に、CIPモジュールは、第1のCIP接続部を介して処理ノズルに結合され、内部処理のために、例えば1つまたは複数のバルブによって処理回路から分離されるか、または分離可能であり、それによって簡単な構造で通常生産中にCIPモジュールによって外部処理が実現可能である。この場合、内部処理供給部は、殊に第2のCIP接続部を介して中央CIP設備および/またはCIPモジュールに結合されている。
【0029】
缶充填機は押し込み充填および閉鎖によって製品損失が比較的大きく、それとともに缶とアイソレータ内の表面の汚染に関するリスクが高いため、内部および外部処理のための処理回路の分離は、缶充填機の場合、特に有意義である。分離した処理回路と組み合わせたCIPモジュールは、表面、場合によっては缶または缶蓋の処理を迅速、かつ大きな製品損失なしに、実質的に通常生産中に可能にする。生産物通路がずらされ、洗い流され、または共に洗浄される必要がなく、このことは著しい時間の節約につながる。必要になるかもしれない処理流体の冷却も省略される。CIPモジュールに直接結合することによって、処理流体を即時に利用可能にすることができ、直接利用することができる。
【0030】
殊に、システムは、CIP処理を制御するように設定されたCIP処理制御器を含む。したがって、例えばCIPモジュールによる中間処理を含む処理プロセスは、この目的で適切な処理プログラムを実行し、かつ循環される処理流体の相応に指定された値、例えば温度、圧力等々を適切なセンサを用いて監視するCIP処理制御器によって制御される。処理プロセスは、プログラミング可能にCIP処理制御器によって実行することができる。
【0031】
CIP処理制御器と、CIPモジュール、中央CIP設備、場合によってはセンサ、アクチュエータ等々を含む対応するシステムのコンポーネントとの間の通信は、有線または無線で、デジタルまたはアナログで行うことができる。通信は、必ず双方向の情報交換を含まなければならないというわけではない。本明細書で、「通信」という概念には単一方向のデータフローおよび/または信号フローが含まれる。CIP処理制御器は、必ずしも中央計算装置または電子コントローラによって形成されなくてよく、分散および/または多段システム、制御回路網、クラウドシステムなどが含まれる。これに加えて、CIP処理制御器は、上位の設備制御器の一部であってもよいし、これと通信してもよい。
【0032】
殊に、CIP処理制御器は、外部処理を特にCIPモジュールによって実行するように設定され、設備の通常運転中に行われるか、または行うことができる。
【0033】
本発明の他の利点および特徴は、好ましい実施例の以下の記載から明らかである。そこに記載される特徴は、単独で、あるいは特徴が矛盾しない限りで、上記の特徴の1つまたは複数と組み合わせて実装することができる。その場合、好ましい実施例の以下の記載は、添付の図面を参照しながら行われる。
【0034】
本発明の好ましい他の実施形態を以下の図の説明により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】容器を処理するための設備、CIPモジュールおよび中央CIP設備を有するシステムの模式図である。
図2】別の実施例による容器を処理するための設備、CIPモジュールおよび中央CIP設備を有するシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、図をもとにして好ましい実施例について説明する。その際、異なる図における同じ、類似、または同じ機能の要素に同一の参照符号を付し、冗長を避けるため、これらの要素の説明の繰り返しを部分的に省略する。
【0037】
図1は、(図示されない)容器を処理するための設備10、CIPモジュール20、および中央CIP設備30を有するシステム1を模式的に示す。
【0038】
設備10は、特に食品加工において使用され、設備は、例えば水(炭酸なし、または炭酸入り)、ソフトドリンク、ジュース、ビール、混合飲料などを充填するための、殊に飲料充填設備である。しかし設備10を、例えば充填済み容器を閉鎖する、容器を製造する(延伸ブロー成形)、容器を洗浄するため等々、別の容器処理用に設計することもできる。設備10が缶充填機および缶閉鎖機を含むことが特に好ましい。
【0039】
設備10は、この実施例では、「クリーンルーム」とも呼ばれる、かつ周囲環境に対して実質的に閉鎖された空間を提供する模式的に示されたアイソレータ11を有する。アイソレータ11は、閉鎖空間を取り囲む、したがって形成する、ふつうはステンレス鋼からなるアイソレータ壁によって提供される。
【0040】
アイソレータ11は、例えば容器の滅菌処理を可能にするための、規定された、および細菌の少ない環境を提供する。これは、例えば腐りやすい食品、または長い貯蔵期間を達成すべき食品を充填する場合に重要である。
【0041】
アイソレータ11には、容器を処理するための個々のコンポーネントが収容されている。アイソレータ11には、例えば容器を連続的に充填するための充填カルーセル、充填すべき、および充填済みの容器を搬送するための星形搬送装置、充填済みの容器をそれぞれ1つの容器蓋体で閉鎖するための閉蓋装置などが設けられている。
【0042】
容器処理の通常作業を開始する前に、アイソレータ11の内部空間を洗浄および/または滅菌するために、例えばフラッシング剤、滅菌エアおよび/または滅菌剤などの処理流体を導入するように設定された模式的に示される処理ノズル12がアイソレータ11に設置されている。処理ノズル12によって、アイソレータ11に収容された自由にアクセス可能な表面に、洗浄および/または滅菌を可能にするための処理流体を相応に当てることができる。図示される処理ノズル12は、アイソレータ11において自由にアクセス可能な表面に処理流体を当てる外部ノズルである。この場合、アイソレータ11に収容された容器処理のためのコンポーネントの自由にアクセス可能の表面だけでなく、アイソレータ壁の内表面にも処理流体が当てられる。アイソレータの内部の自由にアクセス可能な表面のCIP処理は、本明細書で「外部処理」とも呼ばれる。
【0043】
設備10による容器の処理(充填、閉鎖等々)を設備コンポーネントの処理(洗浄、滅菌等々)から言葉上区別するために、後者は本明細書でCIP処理とも呼ばれる。
【0044】
内表面、例えば生産物案内流路、媒体案内流路、充填バルブなどの表面のCIP処理、特に洗浄および/または滅菌は「内部処理」と呼ぶこととする。この目的で、内部処理供給部13が設けられ、これを介して生産物案内流路もしくは媒体案内流路に処理流体が導入される。
【0045】
本実施形態では、充填運転において充填物をそれぞれ充填されるべき容器に導入するために用いられる模式的に示される充填器具16を有する、例えば回転充填機の形態の充填機15が示される。少なくとも充填機15の充填器具16はアイソレータ11に収容されている。処理流体は、充填機15の充填物案内領域を流れて処理する、例えば洗浄および/または滅菌する、および/または洗い流すことができる。したがって、処理流体は、アイソレータ11内にある充填器具16の充填物案内領域にも流れる。このようにして、充填機15の内部処理が実行される。
【0046】
外部処理および内部処理は、同時に、または異なる時点に実行することができる。さらに、処理流体は、要求に応じて外部処理と内部処理とで同一であってもよいし、異なってもよい。
【0047】
処理ノズル12および/または内部処理供給部13は、対応する処理流体を所定の温度および濃度で、かつ場合によっては所定の圧力で提供するCIPモジュール20と流体接続している。「CIP」とは、「クリーニング・イン・プレイス」を表し、これはシステム1が、設備10を部分的または完全に分解することなしに、これを処理、特に洗浄および/または滅菌できるように設計されていることを意味する。
【0048】
CIPモジュール20は、それぞれの媒体がCIP処理後にCIPモジュール20に戻され、場合によっては浄化(aufgefrischt)または再生(erneuert)されることにより、処理流体を完全または部分的に再使用するように設定されていてもよい。
【0049】
CIPモジュール20は、処理流体を少なくとも部分的に、例えばアルカリ液または酸を混合することによって作製するように設定されていてもよい。代替的または追加的に、CIPモジュール20は、外部の装置、例えば以下に説明される中央CIP設備30から処理流体を受け取り、後から使用するために適切なタンクに貯蔵するように設定されていてもよい。
【0050】
アイソレータ11が閉じているときにCIP処理を実行する、およびそれぞれの媒体を再びアイソレータ11から除去できるようにするために、設備10は、アイソレータ11に導入された処理流体のための排水システム14を有する。内部処理のために別個の排水システムが設けられてもよいし、または排水システム14が内部処理の範囲内で処理流体を搬出するために協働するように(synergetisch)設定されていてもよい。
【0051】
処理ノズル12および/または内部処理供給部13はさらに、同様に対応する処理流体を所定の温度および濃度で、場合によっては所定の圧力で提供するように設定されている中央CIP設備30と流体接続している。中央CIP設備30は、殊に、容器を処理するための複数の設備10、10‘に1つまたは複数の処理流体を供給するように設定されている。
【0052】
CIPモジュール20は、設備10の一部であるか、または少なくとも中央CIP設備30よりも設備10の近くに配置されている。そのために、CIPモジュール20は、殊に中央CIP設備30よりコンパクトに形成されている。
【0053】
CIPモジュール20が設備10の一部であるか、または設備10のすぐ近くに配置されていることによって、設備10までの経路が短いことにより、処理流体を迅速に呼び出すことが可能であり、かつ所望の時点にいつでも要求することができる。このことは、例えば、生産中に設備10の中間処理、例えば中間洗浄が必要とされる場合に有利である。生産中に、例えば外部洗浄および/または滅菌が可能である。
【0054】
そのような中間処理は、以下のように行うことができる。先ず、CIPモジュール20によって提供され、例えば約80℃の温度の滅菌および温度調節された水の形態の温度調節流体が処理ノズル12を介してアイソレータ11内の自由にアクセス可能な表面に付与される。このステップによって表面が加熱される。殊に、ある程度の機械的洗浄作用も提供するために、温度調節された水が約3barの圧力で表面に付与される。温度調節流体は排水システム14を介して排出される。
【0055】
排水システム14と、水および相応に加熱された表面の高温とによって表面が迅速に乾燥する。表面が完全に乾燥してから洗浄ノズル12を介してアイソレータ11に気化した過酸化水素を導入することができ、それによって殺菌されるべき表面が滅菌される。表面が加熱されることによって、過酸化水素が表面に凝結し得ず、それによって表面の乾燥した状態が保たれる。例えば滅菌エアで洗い流すことによってアイソレータから滅菌剤を排出した後、完全に洗浄および滅菌し直して初期状態にすることなく通常運転を続行することができる。中間処理は、好ましくはCIPモジュール20の助けを借りて行われる。
【0056】
例えば上記の中間処理を含む処理プロセスは、適切な処理プログラムを実行し、循環する処理流体の相応に指定された値、例えば温度や圧力等々を適切なセンサ(図示せず)で監視するCIP処理制御器50によって制御される。処理プロセスは、プログラミング可能にCIP処理制御器50によって実行することができる。
【0057】
CIP処理制御器50と、CIPモジュール20、中央CIP設備30、場合によってはセンサ、アクチュエータ等々を含む対応するコンポーネントとの間の通信は、有線または無線で、デジタルまたはアナログで行うことができる。通信は、必ず双方向の情報交換を含まなければならないというわけではない。本明細書で、「通信」という概念には単一方向のデータフローおよび/または信号フローが含まれる。CIP処理制御器50は、必ずしも中央計算装置または電子コントローラによって形成されなくてよく、分散および/または多段システム、制御回路網、クラウドシステムなどが含まれる。これに加えて、CIP処理制御器50は、上位の設備制御器の一部であってもよいし、これと通信してもよい。
【0058】
図1の実施例では、処理ノズル12と内部処理供給部13は共通のCIP処理回路に統合され、それによりCIPモジュール20および/または中央CIP設備30からCIP接続部17、および場合によって切換弁(Uebergabeventil)(図示せず)を介して内部処理供給部13、したがって生産物案内配管にも処理流体が案内される場合にのみ外部処理を行うことができる。
【0059】
図2の実施例では、設備10は、内部処理と外部処理のための別々の処理回路を含む。この目的で、処理流体を供給するために2つのCIP接続部17a、17bによって別々の切換えポイントが実現される。CIPモジュール20が(第1の)CIP接続部17aを介して処理ノズル12に結合され、内部処理のために処理回路から分離されるか、または分離可能であることが特に好ましい。CIPモジュール20による外部処理は、この場合、通常生産中にも可能である。
【0060】
例えば図2の実施例に示される内部および外部処理のための処理回路の分離は、缶充填機は押し込み充填および閉鎖によって製品損失が比較的大きく、それとともに缶とアイソレータ11内の表面の汚染に関するリスクが高いため、缶充填機の場合に特に適している。分離した処理回路と組み合わせたCIPモジュール20は、表面の処理を迅速、かつ大きな製品損失なしに、実質的に通常生産中に可能にする。生産物通路がずらされ、洗い流され、または共に洗浄される必要がなく、このことは著しい時間の節約につながる。必要になるかもしれない処理流体の冷却も省略される。CIPモジュール20に直接結合することによって、処理流体を即時に利用可能にすることができ、直接利用することができる。
【0061】
適用できる限り、実施例に示されるすべての個々の特徴を本発明の範囲から逸脱することなく組み合わせる、および/または入れ替えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 システム
10 容器を処理するための設備
10‘ 容器を処理するための設備
11 アイソレータ
12 処理ノズル
13 内部処理供給部
14 排水システム
15 充填機
16 充填器具
17 CIP接続部
17a CIP接続部
17b CIP接続部
20 CIPモジュール
30 中央CIP設備
50 CIP処理制御器
図1
図2
【外国語明細書】