(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035823
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】油性化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240307BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240307BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240307BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20240307BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240307BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20240307BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20240307BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240307BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/44
A61K8/37
A61K8/63
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q1/04
A61K8/34
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141147
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2022140302
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 春菜
(72)【発明者】
【氏名】森 洋輔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB312
4C083AB322
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC092
4C083AC112
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC852
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD432
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB60
4C083CC01
4C083CC11
4C083CC13
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、温感成分を含有しながらも、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性に優れ滑らかな伸び広がりを有する油性化粧料の開発を課題とする。
【解決手段】次の成分(A)~(D);
(A)抱水性エステル油剤
(B)デキストリン脂肪酸エステル
(C)温感成分
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル
を含有する油性化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)抱水性エステル油剤
(B)デキストリン脂肪酸エステル
(C)温感成分
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル
を含有する油性化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)温感成分が、バニリルブチルエーテル、サンショウエキス、トウガラシチンキ、及びショウキョウチンキよりなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の油性化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)抱水性エステル油剤が、N-アシルアミノ酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、アジピン酸エステル、及びステロール誘導体よりなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項4】
前記成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸が、炭素数8~22の直鎖または分岐脂肪酸である請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項5】
前記成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が2~10である請求項4に記載の油性化粧料。
【請求項6】
前記成分(B)デキストリン脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及びイソステアリン酸デキストリンよりなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項7】
前記成分(C)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(C)が、20~1000である請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【請求項8】
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)が、20~1000である請求項1又は2に記載の油性化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油性化粧料に求められる主な効果は、例えば、口唇用化粧料である場合、唇に保湿感を与え、健康的な印象を与えるものや、膜厚な化粧膜により口元に立体感を付与し、美しく際立たせるもの等がある。また理想的な化粧膜を仕上げる上で唇に塗布する際の使用性も非常に重要な要素である。特に口唇は表面が柔らかく、化粧料を塗りにくい部位であることから、塗布時に滑らかに伸び広げやすいことが求められている。これらの品質に加え、近年、温感成分を添加することで、唇に適度なじんじんした心地の良い刺激を与えることができる口唇化粧料が非常に人気である。一方、これらの温感成分は水溶性成分であることが多いため油性化粧料に対して均一に混合することが難しく、そのため温感成分により化粧膜の均一性が損なわれる場合があった。そこで、温感成分を含有しながらも、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性に優れた滑らかな使用感を有する油性化粧料が求められていた。
【0003】
これまでに非揮発性炭化水素油および/または非揮発性エステル油と、非揮発性シリコーン油、温度感覚受容体チャネルを活性化するTRPチャネル活性化物質とを含むことで密着性がありながらもたつきがなく、塗布後に、例えばジンジンとした温感のような感覚刺激が得られる油中油型化粧料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、特定のα-オレフィンオリゴマー、及びポリ2-(1,3,3-トリメチル)ブチル-5,7,7-トリメチルオクタン酸ポリグリセリルから選択される1種又は2種と、デキストリン脂肪酸エステルを組み合わせ、塗布時のつき、伸び、艶、膜感、及び艶の持続性に優れ、べたつきのない良好な使用感を発揮し、しかも保存安定性が良好な油性化粧料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-195308号公報
【特許文献2】特開2003-160425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、塗布時の感覚刺激の強さ、塗布後の感覚刺激の強さ、塗布時のもたつき、感覚刺激の長持ち感に優れた化粧料の検討はされているが、温感成分を含有しながらも、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性に優れた滑らかな伸び広がりに優れる油性化粧料の開発は行われていない。そこで、温感成分と膜厚感に優れたデキストリン脂肪酸エステルを組み合わせる油性化粧料に着目した。しかしながら、温感成分とデキストリン脂肪酸エステルを組み合わせただけでは、膜厚感はあるものの、温感成分の分散性が悪く化粧膜が不均一となり、塗布時の使用性に関しても滑らかさに欠けるという課題がみられた。また保湿感に関しても満足いくものではなかった。
【0007】
すなわち本発明は、温感成分を含有しながらも、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性に優れ滑らかな伸び広がりを有する油性化粧料の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記実情に鑑み、本発明者らは、鋭意検討を行った。その結果、抱水性エステル油剤、デキストリン脂肪酸エステル、温感成分、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせることにより、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1]
次の成分(A)~(D);
(A)抱水性エステル油剤
(B)デキストリン脂肪酸エステル
(C)温感成分
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル
を含有する油性化粧料を提供するものである。
[2]
前記成分(C)温感成分が、バニリルブチルエーテル、サンショウエキス、トウガラシチンキ、及びショウキョウチンキよりなる群から選択される1種又は2種以上である[1]に記載の油性化粧料を提供するものである。
[3]
前記成分(A)抱水性エステル油剤が、N-アシルアミノ酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、アジピン酸エステル、及びステロール誘導体よりなる群から選択される1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載の油性化粧料を提供するものである。
[4]
前記成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸が、炭素数8~22の直鎖または分岐脂肪酸である[1]又は[2]に記載の油性化粧料を提供するものである。
[5]
前記成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が2~10である[4]に記載の油性化粧料を提供するものである。
[6]
前記成分(B)デキストリン脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及びイソステアリン酸デキストリンよりなる群から選択される1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載の油性化粧料を提供するものである。
[7]
前記成分(C)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(C)が、20~1000である[1]又は[2]に記載の油性化粧料を提供するものである。
[8]
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)が、20~1000である[1]又は[2]に記載の油性化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりに優れる油性化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の詳細について以下に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0012】
本発明における成分(A)抱水性エステル油剤は、以下の試験法による抱水力が100以上のものである。
【0013】
試験法:50℃に加熱した油剤10gを200mlビーカーに秤り取り、デスパーミキサーにて3000rpmで攪拌しながら50℃の水を徐々に添加し、水が排液しない最大限(質量g)を測定し、この数値を10で除し、100倍して抱水力とした。
【0014】
本発明における成分(A)抱水性エステル油剤は、通常化粧料に使用されるものであれば、特に限定されず、いずれのものも使用できるが、例えば、結晶構造を有することにより、抱水性エステル油剤が持つ特有の伸び広がりの重さが抑制され、さらに温感成分の分散性が向上し、化粧膜の均一性が向上するため、半固形状の抱水性エステル油剤が好ましい。ここで、半固形状の油剤とは、1気圧下において融点が30~70℃である油剤を意味する。
【0015】
本発明において融点の測定は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、資料を窒素雰囲気下-10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm)とする。
【0016】
本発明における成分(A)は、例えば、N-アシルアミノ酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、アジピン酸エステル、ステロール誘導体等が挙げられる。より詳細には、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)等のN-アシルアミノ酸エステル、ヒマシ油、シア脂、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセリル、(アジピン酸/2-エチルヘキサン酸/ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油等のグリセリン脂肪酸エステル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)等のダイマー酸エステル、(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリトール、(12-ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリトール、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2等、コレステロール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル等の脂肪酸コレステリルエステル、フィトステロール、オレイン酸フィトステリル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル等の脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール誘導体などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
これらの中でも、N-アシルアミノ酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、アジピン酸エステル、及びステロール誘導体よりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、化粧膜の均一性の観点から、N-アシルアミノ酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、及びアジピン酸エステルよりなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましく、さらに保湿感の観点から、N-アシルアミノ酸エステル、ダイマー酸エステル、及びジペンタエリトリット脂肪酸エステルよりなる群から選択される1種又は2種以上がさらにより好ましく、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルよりなる群から選択される1種又は2種以上が特に好ましい。また、化粧膜の均一性、保湿感、滑らかな伸び広がりの観点から、抱水力は160以上が好ましく、200以上がより好ましく、280以上がさらに好ましい。
【0018】
市販品としては、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)として、エルデュウPS-203(抱水力300、液状)(味の素株式会社製)、PLANDOOL-G(抱水力300、半固形状 融点40℃)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)として、PLANDOOL-DP(抱水力200、半固形状 融点40℃)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)として、PLANDOOL-LG3(抱水力290、半固形状 融点70℃)(日本精化株式会社製)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルとして、コスモール168ARV(抱水力228、半固形状 融点37℃)、(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセリルとして、サラコスHS(抱水力160、半固形状 融点52℃)(日清オイリオグループ株式会社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明において成分(A)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、滑らかな伸び広がりの観点から、5質量%(以下、「%」と略す)以上が好ましく、保湿感の観点から、10%以上がより好ましく、15%以上がさらにより好ましい。また、膜厚感、保湿感の観点から、45%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、滑らかな伸び広がりの観点から、30%以下がさらにより好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも5~45%が好ましく、10~40%がより好ましく、15~30%がさらにより好ましい。
【0020】
本発明における成分(B)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンの水酸基と脂肪酸がエステル化した糖脂肪酸エステルである。本発明における成分(B)デキストリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、特に限定されないが、炭素数8~22の脂肪酸が好ましく、炭素数8~18の脂肪酸がより好ましい。また、直鎖脂肪酸または分岐鎖脂肪酸、ならびに飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸等、特に限定されないが、飽和脂肪酸が好ましく、分岐鎖を持つ飽和脂肪酸がより好ましい。このような脂肪酸として具体的にはエチルヘキサン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸等を例示することができる。本発明の成分(B)に用いられる脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸が好ましい。このようなデキストリン脂肪酸エステルは、例えば、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
これらの中でも、化粧膜の均一性の観点から、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及びイソステアリン酸デキストリンよりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、さらに保湿感の観点から、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及びイソステアリン酸デキストリンよりなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましく、さらに保湿感の観点から、パルミチン酸デキストリン、及び/又はイソステアリン酸デキストリンがさらにより好ましく、イソステアリン酸デキストリンが特に好ましい。
【0022】
市販品としては、例えば、パルミチン酸デキストリンとして、レオパールKL2、レオパールTL2、ミリスチン酸デキストリンとして、レオパールMKL2、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリンとして、レオパールTT2、イソステアリン酸デキストリンとして、ユニフィルマHVY(以上、千葉製粉株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
さらに本発明において、膜厚感の観点から、成分(B)を2種以上併用することが好ましく、特に限定されないが、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリンとイソステアリン酸デキストリンから選ばれる1種以上とイソステアリン酸デキストリンを併用することが好ましい。また、成分(B)を2種以上併用する場合に、成分(B)全量に対するイソステアリン酸デキストリンの含有質量割合、[イソステアリン酸デキストリン]/(B)が、膜厚感、化粧膜の均一性の観点から、0.15以上が好ましく、さらに保湿感の観点から、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましい。また、保湿感、滑らかな伸び広がりの観点から、1以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、さらに膜厚感の観点から、0.7以下がより好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも0.15~1が好ましく、0.3~0.85がより好ましく、0.4~0.7がさらにより好ましい。
【0024】
本発明において成分(B)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりの観点から、5%以上が好ましく、さらに保湿感の観点から、10%以上がより好ましく、15%以上がさらにより好ましい。また、膜厚感、保湿感の観点から、36%以下が好ましく、さらに化粧膜の均一性の観点から、30%以下がより好ましく、25%以下がさらにより好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも5~36%が好ましく、10~30%がより好ましく、15~25%がさらにより好ましい。
【0025】
本発明における成分(C)温感成分は、成分(C)が経皮吸収されることで感覚神経が刺激され、エネルギー代謝が活発化し、発汗作用を奏するものである。例えば、TRPV1(TRANSIENT RECEPTOR POTENTIAL CATION CHANNEL SUBFAMILY V1)と呼ばれる温度受容体は、特定温度以上の熱刺激が与えられると活性化されることが知られている。また、本発明における成分(C)によりTRPV1が活性化することで、血行促進、薬効促進等の効果が期待できる。このような成分として、例えば、バニリルブチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルペンチルエーテル、カプサイシン、サンショウエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、黒コショウエキス等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
これらの中でも、保湿感の観点から、バニリルブチルエーテル、サンショウエキス、トウガラシチンキ、及びショウキョウチンキよりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、さらに滑らかな伸び広がりの観点から、バニリルブチルエーテル、トウガラシチンキ、及びショウキョウチンキよりなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましく、バニリルブチルエーテルがさらにより好ましい。
【0027】
本発明において成分(C)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、滑らかな伸び広がりの観点から、0.02%以上が好ましく、さらに化粧膜の均一性の観点から、0.08%以上がより好ましく、0.1%以上がさらにより好ましい。また、保湿感の観点から、1%以下が好ましく、滑らかな伸び広がりの観点から、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下がさらにより好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも0.02~1%が好ましく、0.08~0.7%がより好ましく、0.1~0.5%がさらにより好ましい。
【0028】
本発明における前記成分(C)に対する前記(A)の含有質量割合(A)/(C)は、特に限定されないが、保湿感の観点から、20以上が好ましく、さらに滑らかな伸び広がりの観点から、30以上がより好ましく、50以上がさらに好ましい。また、滑らかな伸び広がりの観点から、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、さらに化粧膜の均一性の観点から、250以下がさらに好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも20~1000が好ましく、30~500がより好ましく、50~250がさらにより好ましい。
【0029】
本発明における前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)は、特に限定されないが、保湿感の観点から、20以上が好ましく、30以上がより好ましく、70以上がさらに好ましい。また、滑らかな伸び広がりの観点から、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、さらに化粧膜の均一性の観点から、250以下がさらに好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも20~1000が好ましく、30~500がより好ましく、70~250がさらにより好ましい。
【0030】
本発明における成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸と重合したグリセリンとのエステル化物である。本発明における成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルに用いられるグリセリンの重合度は、2以上であれば特に限定されないが、例えば、グリセリンの重合度は、2~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらにより好ましい。この範囲であれば、保湿感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりにより優れより好ましい。
【0031】
また、本発明における成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、特に限定されないが、炭素数8~22の直鎖または分岐脂肪酸が好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エイコセン酸、ベヘン酸等の直鎖脂肪酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキジン酸、イソベヘン酸等の分岐脂肪酸が挙げられ、これらは1種又は2種以上の混合脂肪酸を用いることができる。また、脂肪酸の結合数は、特に限定されないが、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらにより好ましい。この範囲であれば、保湿感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりにより優れより好ましい。脂肪酸の結合数が少なくなると、脂肪酸と結合しない水酸基が多くなり、成分(C)の分散性が向上することで、化粧膜の均一性により優れより好ましい。
【0032】
このようなポリグリセリン脂肪酸エステルとして、例えば、ラウリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-5、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカエチルヘキサン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカイソステリン酸ポリグリセリル-10等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
これらの中でも、滑らかな伸び広がりの観点から、デカエチルヘキサン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、及びデカイソステリン酸ポリグリセリル-10よりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、保湿感の観点から、デカエチルヘキサン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、及びデカイソステリン酸ポリグリセリル-10よりなる群から選択される1種又は2種以上がより好ましく、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、及びテトライソステアリン酸ポリグリセリル-2よりなる群から選択される1種又は2種以上がさらにより好ましい。
【0034】
本発明において成分(D)の含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対し、膜厚感、保湿感の観点から、5%以上が好ましく、さらに化粧膜の均一性の観点から、10%以上がより好ましく、15%以上がさらにより好ましい。また、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりの観点から、40%以下が好ましく、さらに保湿感の観点から、30%以下がより好ましく、25%以下がさらにより好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも5~40%が好ましく、10~30%がより好ましく、15~25%がさらにより好ましい。
【0035】
本発明の油性化粧料は、上記の成分(A)~(D)の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば、前記成分(A)、(D)以外の油性成分、粉体、界面活性剤、繊維、アルコール類(一価アルコール、多価アルコール等)、前記成分(B)以外のゲル化剤、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、酸化防止剤、消泡剤、前記成分(C)以外の美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0036】
本発明においては、さらに煙霧状シリカを含有すると、滑らかな伸び広がりにより優れるため、より好ましい。本発明における煙霧状シリカは、100nm以下の微細な非晶質のシリカである。このような煙霧状シリカは、例えば、四塩化ケイ素を水素と酸素炎中で加水分解して得られるものが挙げられ、通常化粧料に用いられるものであれば、いずれのものも使用することができる。さらに煙霧状シリカは疎水化処理して用いても良く、その疎水化処理の方法としては、特に限定はされないが、トリメチルシリルクロライドやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシロキシ処理、オクチルシラン化処理、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理、金属石鹸によるコーティング等が挙げられる。
【0037】
本発明における煙霧状シリカの市販品としては、AEROSIL 90、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 200F、AEROSIL 300、AEROSIL 380、AEROSIL R972、AEROSIL R974、AEROSIL R976S、AEROSIL RX200、AEROSIL R202、AEROSIL R805、AEROSIL R812、AEROSIL RA200H(いずれも日本アエロジル株式会社製)、タラノックス500(タルコ株式会社製)、キャボジルTS-530(キャボット社製)等が挙げられる。
【0038】
本発明における煙霧状シリカの含有量は、特に限定されないが、油性化粧料全量に対して、0.3%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、0.8%以上がさらにより好ましい。また、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらにより好ましい。また、前記の上限値及び下限値は、自由に組み合わせることができるが、その中でも0.3~5%が好ましく、0.5~3%がより好ましく、0.8~2%がさらにより好ましい。この範囲であれば、膜厚感、化粧膜の均一性により優れより好ましい。
【0039】
本発明の油性化粧料における油性とは、油を連続相とし、実質的に水を含有しないものである。ここで、実質的に含有しないとは、全く含有しないか、含有したとしても本発明に影響を与えない程度に微量であることを意味する。例えば、水の含有量としては、1%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下がさらにより好ましく、全く含有しないことが最も好ましい。
【0040】
本発明において、化粧膜の均一性の観点から、油性化粧料の自然由来指数が、80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上がさらにより好ましい。ここで、自然由来指数とは、ISO 16128に準拠して算出される値であり、本発明の油性化粧料に使用される原料において、自然由来の原料が含まれる割合から算出することができる。自然由来の原料の含有割合が高い、又は合成により得られる原料の含有割合が少ない場合に、自然由来指数が高い油性化粧料が得られる。合成により得られる原料として、例えば、シリコーン油、界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。
【0041】
本発明の油性化粧料は常法に従って製造することができる。例えば、成分(A)、(B)及び(D)を含む油性区分を前記成分(B)の融点以上の温度(例えば、100℃)で均一に混合し、成分(C)、及び必要に応じて任意成分を添加混合したものを容器に充填して得ることができるが、この製造方法に限定されるものではない。
【0042】
本発明の油性化粧料の性状は、特に限定されないが、液状、ペースト状、ゲル状、固形状等いずれの性状とすることもできるが、これらの中でも、膜厚感の観点から、液状、ペースト状、ゲル状が好ましい。
【0043】
本発明の油性化粧料は、特に限定されず、例えば、ファンデーション、下地、白粉、コンシーラー、アイシャドウ、頬紅、アイブロウ等のメイクアップ化粧料、口紅、リップクリーム、リップグロス等の口唇化粧料、化粧油等のスキンケア化粧料、整髪剤、毛髪着色料等の毛髪化粧料等が挙げられる。これらの中でも、膜厚感を付与する観点から、口唇化粧料が好ましい。
【0044】
なお、本発明は以下の構成をとることもできる。
[1]
次の成分(A)~(D);
(A)抱水性エステル油剤
(B)デキストリン脂肪酸エステル
(C)温感成分
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル
を含有する油性化粧料。
[2]
前記成分(C)温感成分が、バニリルブチルエーテル、サンショウエキス、トウガラシチンキ、及びショウキョウチンキよりなる群から選択される1種又は2種以上である[1]に記載の油性化粧料。
[3]
前記成分(A)抱水性エステル油剤が、N-アシルアミノ酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、アジピン酸エステル、及びステロール誘導体よりなる群から選択される1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載の油性化粧料。
[4]
前記成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸が、炭素数8~22の直鎖または分岐脂肪酸である[1]~[3]のいずれか1つに記載の油性化粧料。
[5]
前記成分(D)ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるグリセリンの重合度が2~10である[4]に記載の油性化粧料。
[6]
前記成分(B)デキストリン脂肪酸エステルが、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸・2-エチルヘキサン酸)デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、及びイソステアリン酸デキストリンよりなる群から選択される1種又は2種以上である[1]~[5]のいずれか1つに記載の油性化粧料。
[7]
前記成分(C)に対する前記成分(A)の含有質量割合(A)/(C)が、20~1000である[1]~[6]のいずれか1つに記載の油性化粧料。
[8]
前記成分(C)に対する前記成分(B)の含有質量割合(B)/(C)が、20~1000である[1]~[7]のいずれか1つに記載の油性化粧料。
【実施例0045】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0046】
実施例1~36及び比較例1~3:油性液状口紅
下記表1~4に示す処方の口紅を下記に示す製造方法で調製し、(イ)膜厚感、(ロ)保湿感、(ハ)化粧膜の均一性、(ニ)滑らかな伸び広がりについて下記評価方法により評価した。その結果も併せて表1~4に示す。
【0047】
(評価方法)
下記(イ)~(ニ)の項目について、各試料について化粧品評価専門パネル12名による使用テストを行った。パネル各人が実施例及び比較例の油性液状口紅を使用し、下記絶対評価基準にて5段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し下記判定基準により判定した。(イ)膜厚感に関しては、各試料を口唇に塗布した際に膜厚感を感じたかどうか、(ロ)保湿感に関しては、各試料を口唇に塗布し、8時間後に保湿感を感じたかどうか、(ハ)化粧膜の均一性に関しては、各試料を口唇に塗布した際に、塗布後の化粧膜として均一性を感じたどうか、(ニ)滑らかな伸び広がりに関しては、各試料を口唇に塗布した際に滑らかに伸び広がったかどうかを評価した。
【0048】
<評価項目>
(イ)膜厚感
(ロ)保湿感
(ハ)化粧膜の均一性
(ニ)滑らかな伸び広がり
【0049】
<絶対評価基準>
(評点) :(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
<4段階判定基準>
(判定) :(評価)
◎ :4.0より高い
○ :3.0点より高く4.0点以下
△ :2.0点より高く3.0点以下
× :2.0点以下
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
※1:PLANDOOL-S(日本精化株式会社製)
※2:サラコスHS(日清オイリオグループ株式会社製)
※3:PLANDOOL-DP(日本精化株式会社製)
※4:PLANDOOL-LG3(日本精化株式会社製)
※5:コスモール168ARV(日清オイリオグループ株式会社製)
※6:PLANDOOL-G(日本精化株式会社製)
※7:SNOW WHITE SPECIAL(Sonneborn製)
※8:ユニフィルマHVY(千葉製粉株式会社製)
※9:レオパールMKL2(千葉製粉株式会社製)
※10:レオパールKL2(千葉製粉株式会社製)
※11:AEROSIL 380S(日本アエロジル株式会社製)
【0055】
(製造方法)
A:成分(1)~(19)を100℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分(20)~(26)を均一に混合する。
C:AにBを添加して均一に混合する。
D:Cを容器に80℃で充填し、室温に冷却して油性液状口紅を得た。
【0056】
表1~4の結果から明らかなように、本発明の実施例は、温感に優れながらも、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりにも優れたものであった。一方、成分(A)の代わりにワセリンを含有した比較例1は、化粧膜の均一性及び滑らかな伸び広がりに満足する品質を得られず、成分(B)を含有しない比較例2は、膜厚感、保湿感、化粧膜の均一性に満足のいく品質が得られず、成分(D)の代わりにトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルを含有した比較例3は保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりに満足のいく品質が得られなかった。
【0057】
実施例37:油性液状リップグロス
成分 (%)
(1)パルミチン酸デキストリン*10 10
(2)イソステアリン酸デキストリン*8 8
(3)(エチレン/プロピレン)コポリマー 1
(4)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 18
(5)ジフェニルジメチコン 4
(6)リンゴ酸ジイソステアリル 4
(7)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/
セチル/ステアリル/ベヘニル)(抱水力294) ※1 20
(8)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1
(9)水添ポリイソブテン 1
(10)トリメチルシロキシケイ酸 7
(11)イソドデカン 残量
(12)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 6
(13)バニリルブチルエーテル 0.1
(14)カプサイシン 0.1
(15)赤色202号 1
(16)黄色4号 1
(17)赤色218号 0.1
(18)トリイソスアリン酸ポリグリセリル-2(2%表面処理)
二酸化チタン(平均粒子径 1μm) 2
(19)トコフェロール 0.1
(20)l-メントール 0.5
(21)酸化チタン被覆ガラス末
(干渉光:赤色、平均粒子径 80μm) 1
(22)マイカ(平均粒子径 20μm) 0.2
(23)球状セルロース末 0.2
(24)オリーブ果実油 0.1
(25)ホホバ種子油 0.1
(26)ゴマ種子油 0.1
(27)トコフェロール 0.1
(28)カプリリルグリコール 0.05
【0058】
(製造方法)
A:成分(1)~(7)を100℃に加熱し、均一溶解する。
B:Aに成分(8)~(28)を加え、均一に分散する。
C:Bをジャー容器に60℃で流し込み、室温に冷却して油性液状リップグロスを得た。
【0059】
実施例37の油性液状リップグロスは、(A)/(C)が100であり、(B)/(C)が90であり、[イソステアリン酸デキストリン]/(B)が0.44であり、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりの全てに優れたものだった。
【0060】
実施例38:油性ペースト状口紅
成分 (%)
(1)キャンデリラワックス 2
(2)カルナバワックス 1
(3)ミツロウ 4
(4)ライスワックス 0.5
(5)シア脂 0.5
(6)アルガニアスピノサ核油 1
(7)イソステアリン酸デキストリン*8 10
(8)(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン*12 8
(9)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/
オクチルドデシル)(抱水力300)*13 25
(10)バラ果実油 1
(11)ジステアラルジモニウムヘクトライト 1
(12)ジメチルシリル化シリカ *14 1
(13)チャ花エキス 1
(14)オリーブスクワラン 20
(15)カニナバラ果実油 5
(16)マカデミアナッツ油 残量
(17)カプサイシン 0.2
(18)コーン油 4
(19)ホホバ種子油 5
(20)テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2 20
(21)無水ケイ酸(球状、平均粒子径 10μm) 1
(22)ラウロイルグルタミン酸Na(2%表面処理)ベンガラ 1
(23)テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2
(2%表面処理)黄色酸化鉄 1
(24)ラウロイルリジン(2%表面処理)黒色酸化鉄 0.1
※12:レオパールTT2(千葉製粉株式会社製)
※13:エルデュウPS-203(味の素株式会社製)
※14:AEROSIL R-976S(日本アエロジル株式会社)
【0061】
(製造方法)
A:成分(1)~(9)を100℃に加熱し、均一に混合溶解する。
B:Aに成分(10)~(24)を加え、均一に分散する。
C:Bを金皿容器に85℃で充填し、室温に冷却して油性ペースト口紅を得た。
【0062】
実施例38の油性ペースト状口紅は、(A)/(C)が125であり、(B)/(C)が90であり、[イソステアリン酸デキストリン]/(B)が0.56であり、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりの全てに優れたものだった。
【0063】
実施例39:油性チーク
成分 (%)
(1)イソステアリン酸デキストリン*8 8
(2)パルミチン酸デキストリン*10 8
(3)エチルセルロース 0.5
(4)ジメチコン(25℃動粘度 1000CS) 10
(5)エチルヘキサン酸セチル 残量
(6)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 20
(7)ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル
/フィトステリル)(抱水力250 融点40℃)*6 17
(8)合成金雲母(平均粒子径10μm) 7
(9)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 6
(10)バニリルブチルエーテル 0.2
(11)サンショウエキス 0.05
(12)レシチン 0.5
(13)ジメチルシリル化シリカ *14 1
(14)マイカ(板状、平均粒子径 15μm) 10
(15)タルク(不定形、平均粒子径 5μm) 5
(16)青色1号 0.05
(17)赤色202号 0.5
(18)赤色226号 0.5
(19)雲母チタン(干渉色:青色、平均粒子径 100μm) 5
(20)ポリ乳酸(球状、平均粒子径 15μm) 5
(21)精製水 0.01
(22)ヒアルロン酸Na 0.1
【0064】
(製造方法)
A:成分(1)~(7)を100℃に加熱し、均一溶解する。
B:Aに成分(8)~(22)を加え、均一に分散する。
C:Bを塗布体付き容器に70℃充填し、室温に冷却して油性チークを得た。
【0065】
実施例39の油性チークは、(A)/(C)が68であり、(B)/(C)が64であり、[イソステアリン酸デキストリン]/(B)が0.5であり、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりの全てに優れたものだった。
【0066】
実施例40:練り香水
成分 (%)
(1)リンゴ酸ジイソステアリル 14
(2)イソステアリン酸デキストリン 16
(3)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/
セチル/ステアリル/ベヘニル)(抱水力294) *1 23
(4)マイクロクリスタリンワックス 3
(5)キャンデリラロウ 2
(6)トリメリト酸トリトリデシル 残量
(7)バニリルブチルエーテル 0.2
(8)トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 18
(9)球状シリカ 3
(10)ポリシリコーン-15 0.3
(11)油溶性ローズマリーエキス 0.1
(12)酢酸トコフェロール 0.02
(13)ヒアルロン酸 0.01
(14)コラーゲン 0.01
(15)香料 10
(16)カカオ脂 0.2
(17)ジパルミチン酸アスコルビル 0.05
(18)(アクリル酸/アクリル酸アルキル
(C10-30))コポリマー 0.1
(19)ミネラルオイル 0.3
(20)麻セルロース 0.2
(21)オキシ塩化ビスマス 0.2
(22)ラベンダー油 0.2
(23)デシルテトラデカノール 3
(24)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 4
(25)ポリメタクリル酸メチル(球状、平均粒子径 5μm) 2
(26)水添ポリイソブテン 5
(27)(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 4
【0067】
(製造方法)
A:成分(1)~(5)を加熱し、均一溶解する。
B:Aに成分(6)~(27)を加え、ロールミルにて冷却しながら均一に混合分散する。
C:Bを室温でチューブ容器に流し込み、練り香水を得た。
【0068】
実施例40の練り香水は、(A)/(C)が115であり、(B)/(C)が80であり、保湿感、膜厚感、化粧膜の均一性、滑らかな伸び広がりの全てに優れたものだった。