(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035825
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ヘルスケアデータ処理能力管理
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20240307BHJP
G06F 9/50 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G16H40/00
G06F9/50 120Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023141544
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】22382823.7
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル リラ ルエダ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヘルスケアデータ管理システム並びにその処理能力を管理するコンピュータ実装方法及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】ヘルスケアデータ管理システム100は、ヘルスケアデータを生成する医療装置(検査室機器110)と接続し、ヘルスケアデータを受信する処理パイプライン101a、101bを有する複数の直列に配置される処理段階102から形成され、受信したヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行する。各処理段階は、ステートレスアトミック処理ユニット103上に実装される処理パイプラインと各処理パイプラインに接続され、処理済みデータを受信し、ヘルスケア情報管理システム125に提供するヘルスケアミドルウェア115と、処理パイプラインの処理能力の性能を監視し、性能に基づいて、処理パイプライン内の処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を調整する性能管理ユニット120と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスケアデータ管理システム(100、400)における処理能力を管理するコンピュータ実装方法であって、前記ヘルスケアデータ管理システム(100、400)が、
ヘルスケアデータを生成する複数の医療装置と、
前記1つまたは複数の医療装置からヘルスケアデータを受信する1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)であって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)が複数の処理段階(102、402)から形成され、前記処理段階(102、402)が直列に配置され、受信した前記ヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行し、各処理段階(102、402)がステートレスアトミック処理ユニット(103、403)上に実装される、1つまたは複数の処理パイプラインと、
前記1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)から処理済みデータを受信し、前記処理済みデータをヘルスケア情報管理システム(125、425)に提供するヘルスケアミドルウェア(115、415)と、
前記処理パイプラインまたは各処理パイプライン(101、401)の前記処理能力を管理する性能管理ユニット(120、420)と
を含み、
前記コンピュータ実装方法が、
前記性能管理ユニット(120、420)によって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能を監視するステップと、
前記性能管理ユニット(120、420)によって、監視された前記性能に基づいて、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を調整するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
複数の処理パイプラインが存在し、前記複数の処理パイプラインのうちの所与の処理パイプライン(101、401)内の1つまたは複数の処理段階(102、402)が、前記複数の処理パイプラインのうちの別の処理パイプライン(101、401)と共有される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記性能管理ユニット(120、420)が、性能パラメータを性能閾値と比較することによって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の前記性能を監視する、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記性能管理ユニット(120、420)が、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能パラメータを監視し、前記性能パラメータが、所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用されるメモリの量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータが前記ヘルスケアミドルウェア(115、415)に到達するのにかかる時間、および所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用される処理能力の量のうちの1つまたは複数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の医療装置が、1つまたは複数の検査室機器(110、410)および/または1つまたは複数のポイントオブケア装置(412)である、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記性能管理ユニット(120、420)が、1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)の定義であって前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の1つまたは複数の処理段階(102、402)を指定する前記定義を受信し、前記監視された性能に基づいて追加の処理パイプライン(101、401)を作成する、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
所与の、またはそれぞれのアトミック処理ユニット(103、403)が、物理マシンまたは仮想マシンのいずれかとして提供される、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記性能管理ユニット(120、420)が、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が過剰に利用されていることを示す場合に、前記所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を増加させ、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が十分に利用されていないことを示す場合、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を減少させるか、または1つもしくは複数の処理パイプライン(101、401)を除去する、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
ヘルスケアデータ管理システム(100、400)であって、前記ヘルスケアデータ管理システム(100、400)が、
ヘルスケアデータを生成するように構成された複数の医療装置と、
前記医療装置のうちの1つまたは複数に接続され、そこから前記ヘルスケアデータを受信するように構成された1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)であって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)が、複数の処理段階(102、402)から形成され、前記処理段階(102、402)が直列に配置され、受信した前記ヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行するように構成され、各処理段階(102、402)が、ステートレスアトミック処理ユニット(103、403)上に実装される、1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)と、
前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)に接続され、そこから処理済みデータを受信し、前記処理済みデータをヘルスケア情報管理システム(125、425)に提供するように構成されたヘルスケアミドルウェア(115、415)と、
性能管理ユニット(120、420)であって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の処理能力を、
前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能を監視し、
監視された前記性能に基づいて、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を調整する
ことによって管理するように構成された性能管理ユニット(120、420)と
を含む、ヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項10】
複数の処理パイプラインが存在し、所与の処理パイプライン(101、401)内の前記1つまたは複数の処理段階(102、402)が、前記複数の処理パイプラインのうちの別の処理パイプライン(101、401)と共有される、請求項9に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項11】
前記性能管理ユニット(120、420)が、性能パラメータを性能閾値と比較することによって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の前記性能を監視するように構成されている、請求項9または10に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項12】
前記性能管理ユニット(120、420)が、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能パラメータを監視するように構成され、前記性能パラメータが、所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用されるメモリの量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータが前記ヘルスケアミドルウェア(115、415)に到達するのにかかる時間、および所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用される処理能力の量のうちの1つまたは複数である、請求項9から11のいずれか一項に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項13】
前記性能管理ユニット(120、420)が、1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)の定義であって前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の1つまたは複数の処理段階(102、402)を指定する前記定義を受信し、前記監視された性能に基づいて追加の処理パイプライン(101、401)を作成するように構成されている、請求項9から12のいずれか一項に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項14】
前記性能管理ユニット(120、420)が、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が過剰に利用されていることを示す場合に、前記所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を増加させ、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が十分に利用されていないことを示す場合、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を減少させるか、または1つもしくは複数の処理パイプライン(101、401)を除去するように構成されている、請求項9から13のいずれか一項に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項15】
1つまたは複数のプロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法を実行させる機械実行可能命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケアデータ管理システムにおける処理能力を管理するコンピュータ実装方法、ヘルスケアデータ管理システム、および非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルスケアデータ管理システムでは、医療装置、例えばポイントオブケア医療装置または検査室機器から受信したヘルスケアデータは、通常、医療専門家などによる評価のためにヘルスケア情報管理システムに出力される前にさらなる処理を必要とする。例として、医療装置が試料に対してNMR分光法を実行する場合、医療装置は、出力データとしてスペクトルを提供し得る。そのスペクトルが医療専門家による評価のためにヘルスケア情報管理システムに提供されるのではなく、そのスペクトルが対応する分子構造を決定することが望ましい場合があり、分子構造は、基礎となるスペクトルの有無にかかわらずヘルスケア情報管理システムに出力される。したがって、ヘルスケア情報管理システムのユーザには、利用しやすい情報を提供される。
【0003】
そのような処理は、従来、一連の処理段階において行われている。NMRスペクトル分析の例を続けると、第1の段階は、ノイズを低減するためにスペクトルをフィルタリングすることであり得て、第2の段階は、スペクトル内のピークの同定であり得て、第3の段階は、同定されたピークと既知の物質との相関であり得る。
【0004】
この処理は、1つまたは複数のコンピュータ内の1つまたは複数の処理ユニットで実行され得る。ヘルスケアデータ管理システム内の処理能力に対する要求は、例えば、所与の時間に使用される医療装置の数または処理ユニットのメンテナンスによって変動し得る。しかしながら、従来のヘルスケアデータ管理システムでは、データ処理を実行するための処理ユニットの分配、割り当て、および/または数が固定されている。したがって、従来のヘルスケアデータ管理システムは、処理能力に対する需要のピークまたはトラフのいずれにも対応することができない。そのような非柔軟性は、特定の処理段階の利用可能な処理能力が必要以上に大きく、別の処理段階の利用可能な処理能力がその処理段階の要求を満たすには不十分である期間があるため、非効率的である。所与の処理段階の処理能力が不十分であると、その処理段階の処理能力が大きい場合よりも処理時間が長くなり、医療従事者などは、その検査の結果を得るために医療検査が行われた後、より長く待たなければならないことを意味する。さらに、十分に利用されていない処理能力は、エネルギーおよびコスト負担を表す。
【0005】
一般に、所与のデータ処理動作を構成する段階のうちの1つまたは複数は、データ処理動作の他の段階よりも完了までに実質的に長い時間を要する。先の例を続けると、NMRスペクトルのピークを同定することは、同定されたピークを化学構造と関連付けるステップよりも処理ユニットが迅速に行うことができるステップであり得る。
【0006】
本発明は、上記の考察に鑑みてなされたものである。
【発明の概要】
【0007】
したがって、第1の態様では、本発明の実施形態は、ヘルスケアデータ管理システムにおける処理能力を管理するコンピュータ実装方法であって、ヘルスケアデータ管理システムが、ヘルスケアデータを生成する複数の医療装置と、1つまたは複数の医療装置からヘルスケアデータを受信する1つまたは複数の処理パイプラインであって、処理パイプラインまたは各処理パイプラインが複数の処理段階から形成され、処理段階が直列に配置され、受信したヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行し、各処理段階がステートレスアトミック処理ユニット上で実装される、1つまたは複数の処理パイプラインと、1つまたは複数の処理パイプラインから処理済みデータを受信し、処理済みデータをヘルスケア情報管理システムに提供するヘルスケアミドルウェアと、または各処理パイプラインの処理能力を管理する性能管理ユニットと、を含む、コンピュータ実装方法を提供する。
【0008】
第1の態様のコンピュータ実装方法は、性能管理ユニットによって、処理パイプラインまたは各処理パイプラインの性能を監視するステップと、性能管理ユニットによって、監視された性能に基づいて所与の処理パイプライン内の所与の処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を調整するステップと、を含む。
【0009】
そのような処理能力を管理する方法は、ヘルスケアデータ管理システムの処理能力が、モジュール方式で展開され得るステートレスアトミック処理ユニットを使用することによって既存のプロセス需要に適合されるため、医療装置からのデータを処理するのにかかる時間を短縮する。これは、最終的には、検査が行われた後、より早く医療従事者などに医療検査結果を提供され得ることを意味する。さらに、そのような方法は、ヘルスケアデータ管理システム内のメモリ消費を低減し、ヘルスケアデータ管理システム内の十分に利用されていない処理能力を低減する。
【0010】
処理パイプラインによって、それはデータパイプラインを意味することができ、その双方は、直列に接続されたデータ処理要素(例えば、処理段階)のセットとして理解され得て、1つの要素の出力は次の要素の入力である。ステートレス処理ユニットによって、処理ユニットは、実行された過去の処理に対する知識または参照なしにインスタンス化され、ステートレス処理ユニットによって実行される各動作は、入力に付随する情報に対して完全に実行されることが理解され得る。アトミックステートレス処理ユニットによって、ステートレス処理ユニットはそれ以上分割できない、すなわち、それ以上概念的に分割できない動作を実行することが理解され得る。
【0011】
コンピュータ実装方法は、複数の処理パイプラインが存在し、複数の処理パイプラインのうちの所与の処理パイプライン内の1つまたは複数の処理段階が、複数の処理パイプラインのうちの別の処理パイプライン、または複数の処理パイプラインのサブセット(例えば、1よりも多い)と共有されるヘルスケアデータ管理システムに適用され得る。したがって、複数の処理パイプライン間で共有される処理段階がある場合、単一段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を増やすことによって複数のパイプラインの処理時間が短縮され得、処理能力の割り当てに関してヘルスケアデータ管理システム内でより大きな柔軟性が提供される。
【0012】
処理パイプラインまたは各処理パイプラインの性能を監視するステップは、性能管理ユニットが性能パラメータを性能閾値と比較することによって実行されてもよい。したがって、有利には、性能管理ユニットには、所与の処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数の調整に関して客観的な決定を行うことができるように、システムの性能を測定する定量的方法を提供される。
【0013】
性能管理ユニットによって監視される性能パラメータは、所与の処理パイプラインまたは処理段階によって使用されるメモリの量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータがヘルスケアミドルウェアに到達するのにかかる時間、および所与の処理パイプラインまたは処理段階によって使用される処理能力の量のうちの1つまたは複数を含み得る。これは、性能管理ユニットによって実行される監視が、重要であり、所与の処理段階、すなわち、関連する試験が行われた後に処理済みデータがヘルスケア情報管理システムに提供されるのにかかる時間を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数、ならびに使用中の処理能力およびメモリの量によって影響を受けるヘルスケアデータ管理システムの特性を反映することができるという点で有益である。
【0014】
第1の態様の方法は、1つまたは複数の医療装置が1つまたは複数の検査室機器および/または1つまたは複数のポイントオブケア装置であるヘルスケアデータ管理システムに適用され得る。有利には、これは、適用され得る異なるヘルスケアデータ管理システムに関する方法の柔軟性を高めることができる。
【0015】
第1の態様の方法では、性能管理ユニットは、1つまたは複数の処理パイプラインの定義であって、各処理パイプラインの1つまたは複数の処理段階を指定する定義を受信し得て、監視された性能に基づいて追加の処理パイプラインを作成し得る。性能管理ユニットは、単一の追加の処理パイプラインを作成してもよく、または複数の追加の処理パイプラインを作成してもよい。同様に、性能管理ユニットは、監視された性能に基づいて1つまたは複数の処理パイプラインを除去し得る。これは、ヘルスケアデータ管理システムの処理能力がどのように管理されるかにおいてより大きな柔軟性を有する方法を提供するのに有利である。これは、所与の処理パイプライン内のいくつかの段階の需要がそれらの段階の処理能力を超える例によって示されており、パイプライン全体は、パイプラインのそれらの処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を増加させる代わりに、またはそれに加えて、複製され得る。同様に、性能管理ユニットが1つまたは複数の処理パイプラインを除去することができる場合、これは、監視された性能が、パイプラインが十分に利用されていないこと、および/または処理パイプラインが十分に利用されていないことを形成する複数の処理段階を示すときに、処理パイプライン全体を除去することを可能にすることができる。
【0016】
第1の態様の方法によってその数が調整されるヘルスケアデータ管理システム内の所与のまたは各アトミック処理ユニットは、物理マシンまたは仮想マシンのいずれかとして提供されてもよい。仮想マシンによって、それは仮想化オペレーティングシステムとともに仮想化ハードウェアスタック、またはコンテナランタイム(仮想化コンテナ内で実行される特定のアプリケーション/実行可能/ソフトウェアスイート)のいずれかを意味し得る。有利には、アトミック処理ユニットを仮想マシンとして提供することは、プロビジョニング時間および展開時間を短縮することができる。有利には、所与のまたは各アトミック処理ユニットを物理マシンとして提供することは、処理スループットを向上させ得る。
【0017】
本方法は、監視された性能が所与の処理パイプラインが過剰に利用されていることを示す場合に、所与の処理パイプライン内の所与の処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を増加させ、監視された性能が所与の処理パイプラインが十分に利用されていないことを示す場合、所与の処理パイプライン内の所与の処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を減少させ、または1つもしくは複数の処理パイプラインを除去する性能管理ユニットをさらに備え得る。したがって、第1の態様の方法は、ヘルスケアデータ管理システムにおける処理能力に対する需要の変化に適切に対応することができる。
【0018】
第2の態様では、本発明の実施形態は、ヘルスケアデータ管理システムであって、ヘルスケアデータ管理システムが、ヘルスケアデータを生成するように構成された複数の医療装置と、医療装置のうちの1つまたは複数に接続され、そこからヘルスケアデータを受信するように構成された1つまたは複数の処理パイプラインであって、処理パイプラインまたは各処理パイプラインが、複数の処理段階から形成され、処理段階が直列に配置され、受信したヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行するように構成され、各処理段階が、ステートレスアトミック処理ユニット上に実装される、1つまたは複数の処理パイプラインと、処理パイプラインまたは各処理パイプラインに接続され、そこから処理済みデータを受信し、処理済みデータをヘルスケア情報管理システムに提供するように構成されたヘルスケアミドルウェアと、性能管理ユニットであって、処理パイプラインまたは各処理パイプラインの処理能力を、処理パイプラインまたは各処理パイプラインの性能を監視し、監視された性能に基づいて、所与の処理パイプライン内の所与の処理段階を実装するステートレスアトミック処理ユニットの数を調整する、ことによって管理するように構成された性能管理ユニットと、を含む、ヘルスケアデータ管理システムを提供する。
【0019】
そのようなヘルスケアデータ管理システムは、ヘルスケアデータ管理システムの処理能力が、モジュール式に展開され得るステートレスアトミック処理ユニットを使用することによって既存のプロセス需要に適合されるため、医療装置からのデータを処理するための待ち時間を短縮することができる。これは、最終的には、検査が行われた後、より早く医療従事者などに医療検査結果を提供され得ることを意味する。さらに、そのようなヘルスケアデータ管理システムは、その動作に関連するメモリ消費を低減し、十分に利用されていない処理能力を低減する。
【0020】
第2の態様のヘルスケアデータ管理システムは、第1の態様を参照して記載されたオプション機能のうちの任意の1つ、または互換性がある限り任意の組み合わせを含み得る。
【0021】
第3の態様では、1つまたは複数のプロセッサ上で実行されると、プロセッサに第1の態様のコンピュータ実装方法を実行させる機械実行可能命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0022】
本発明は、そのような組み合わせが明らかに許容されないかまたは明示的に回避される場合を除き、記載された態様および好ましい特徴の組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
次に、本開示の実施形態を、添付の図面を参照して例として説明する。
【0024】
【
図1】ヘルスケアデータ管理システムを通じたデータの流れを示す図である。
【
図2】処理パイプラインを構成する個々の処理段階による情報の処理に関するデータの表である。
【
図3】処理パイプラインを構成する個々の処理段階による情報の処理に関するデータの表である。
【
図4】ヘルスケアデータ管理システムを通じたデータの流れを示す図である。
【
図5】ヘルスケアデータを処理するヘルスケアデータ管理システムのためのプロセスフロー図およびそのヘルスケアデータ管理システムの処理能力を管理する方法のためのプロセスフロー図を含む。
【
図6】ヘルスケアデータを処理するヘルスケアデータ管理システムのためのプロセスフロー図およびそのヘルスケアデータ管理システムの処理能力を管理する方法のためのプロセスフロー図を含む。
【
図7】処理パイプラインの性能を監視する性能管理ユニットのステップのプロセスフロー図である。
【
図8】性能管理ユニットによって行われるヘルスケアデータ管理システムの調整を決定するステップのプロセスフロー図である。
【
図9】ヘルスケアデータパケット内に含まれるメタデータの例である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本開示の態様および実施形態を、添付の図面を参照して説明する。さらなる態様および実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0026】
[
図1]
図1は、ヘルスケアデータ管理システム100を通じたデータの流れを示す図である。医療装置、
図1の場合、検査室機器110は、ヘルスケアデータ管理システム100の2つのデータ処理パイプライン101a、101bに接続されている。次いで、処理パイプライン101a、101bは、それ自体がヘルスケアミドルウェア(HCMW)115に接続され、ヘルスケアミドルウェアは、医療従事者などがHCMW 115によって出力されたデータにアクセスするために使用するために、ヘルスケアデータ管理システム100からヘルスケア情報管理システム125にデータを出力し、ヘルスケア情報管理システムは、検査室管理システム(LMS)、検査室情報システム(LIS)、または病院情報システム(HIS)であり得る。
図1の2つの処理パイプライン101a、101bは、ヘルスケアデータ管理システム100内の性能管理ユニット(PMU)120にも接続されている。
【0027】
検査室機器110は、ヘルスケアデータを生成する1つまたは複数の試験、例えば、試料中の血糖値の試験、試料中の分析物の存在、DNAまたはRNA配列の読み取り、質量分析試験、血液ガス分析などを実行するために使用され得る。1つまたは複数の試験を実行し、それによってヘルスケアデータを生成すると、ヘルスケアデータは、医療装置(すなわち、検査室機器110)からヘルスケアデータパケット内の処理パイプライン101に送信される。処理パイプライン101は、受信したヘルスケアデータを処理して、ヘルスケア情報管理システム125のエンドユーザによって利用され得る処理済みデータにする。一例では、医療装置は、NMRマシンであり得て、NMRマシンによって提供されるヘルスケアデータは、NMRスペクトルを含み得る。次いで、処理パイプライン101nは、医療装置から受信したNMRスペクトルを、NMR装置によって出力されたスペクトルに対応する分子構造に処理し得る。各処理パイプライン101nは、パイプライン101nを通過するデータに対してそれぞれ異なる動作を行う複数の処理段階102nから形成される。パイプライン101nの処理段階102nは、パイプライン101n内に直列に配置され、受信したヘルスケアデータ上でそのパイプライン101nによって実行される全体的なプロセスを定義する。
図1では、処理パイプライン101aは、処理段階102a、102bおよび102cを含み、処理パイプライン101bは、処理段階102d、102eおよび102fを含む。
図1の双方の処理パイプライン101a、101bは、同じ検査室機器110からデータを受信する。各処理パイプライン101によって受信したヘルスケアデータは、別の処理パイプライン101によって受信したヘルスケアデータと同じであってもよく、または所与の医療装置が、それが接続されている各処理パイプライン101に異なるヘルスケアデータを提供してもよい。いずれの場合も、
図1の処理パイプライン101a、101bは、互いに異なる処理段階102を含むため、検査室機器110からこれらの処理パイプライン101の双方に供給されるヘルスケアデータが同じである場合であっても、ヘルスケアデータは、各処理パイプライン101において異なる処理を受けているため、それぞれによってHCWM115に出力される処理済みデータは異なる。NMRデータに関する先の例を続けるために、NMRスペクトルを受信し、対応する分子構造を出力するパイプライン101によって行われる全体的なプロセスは、(i)ノイズを低減するためにスペクトルをフィルタリングすること、(ii)スペクトル内のピークを同定すること、および(iii)同定されたピークを既知の物質と相関させることの処理段階102を含み得る。
【0028】
処理パイプライン101内の各処理段階102は、ステートレスアトミック処理(SAP)ユニット103上に実装される。処理ユニット103が「ステートレス」処理ユニットであることは、別のコンピュータもしくはプログラム、装置、または他の外部要素との所与の一連の相互作用における先行するイベントの記録がないことを意味する。各相互作用要求(すなわち、先行する処理段階102、またはヘルスケアデータ管理システム100内の他の場所からのデータの受信)は、その相互作用要求に付随する情報に完全に基づいて処理ユニット103によって処理されなければならない。処理ユニット103が「アトミック」処理ユニットであることは、その処理ユニット103によって実行される処理が、それらの全体で発生するか、または全く発生しない、分割不可能且つ低減不可能な一連の動作であることを意味する。
【0029】
処理段階102は、SAPユニット103上に実装されているため、ヘルスケアデータパケットは、医療装置によって行われた試験から取得された分析データとともに、所望の処理データがヘルスケアデータから取得されるように、正しい一連の処理段階102を有する正しい処理パイプライン101にヘルスケアデータパケットを提供することを可能にするメタデータも含む。ヘルスケアデータパケットメタデータは、
図9に関連してさらに説明される。処理段階が単一のSAPユニット上に実装される場合、SAPユニットおよび処理段階は、同じ識別子、例えば102dを介してシステムによって参照され得る。しかしながら、処理段階が複数のSAPユニット(例えば、102a)にわたって複製される場合、システムは、その処理段階を実装する所与のSAP、例えば102a
1および102a
2を参照する。処理段階がn個のSAPユニットにわたって複製される場合、これは、同じ処理段階を含むn個のパイプラインを提供することに相当することが理解され得る。
【0030】
処理パイプライン101を構成する特定の処理段階102は、その処理パイプライン101を構成する他の処理段階102よりも完了するのに実質的に長い時間を要することがあることが理解され得る。上述したNMRの例を再び参照すると、例えば、各段階に同じ処理能力が与えられる場合、NMRスペクトル内のピークを識別することは、識別されたピークを化学構造と関連付ける処理段階102よりも短い時間で実行することができる処理段階102であり得る。ヘルスケアデータの複数のパケットが所与の処理パイプライン101に送信されているシナリオを考慮すると、その処理パイプライン101を構成する処理段階102の中で最も遅い処理段階102が、ヘルスケアデータのパケットが処理パイプライン101を通過するのにかかる時間に関してその処理パイプライン101内でボトルネックになることができることは明らかである。
【0031】
このボトルネックの問題は、
図2の表のデータによって示されている。表は、処理パイプライン101を構成する3つの処理段階102を、各処理段階102の処理時間(SAPユニット103がヘルスケアデータのパケットに対して処理段階102を実行するのに必要な平均時間)および各処理段階102を実装するSAPユニット103の数とともに提供する。
【0032】
次に、以下の2つのシナリオについてデータが提示される:処理パイプラインが空である時間t=0msから開始して、新たなヘルスケアデータパケットが過去の200msの間2msごとにパイプラインに入った第1のシナリオ、および新たなヘルスケアデータパケットが、処理パイプラインが空である時間t=0msから開始して過去200msの間0.5msごとにパイプラインに入った第2のシナリオ。データパケットが、以前のデータパケットの処理に既に占有されている処理段階102に渡される場合、そのデータパケットは、処理段階102によって処理されるキューに参加する。上述した2つのシナリオのそれぞれについて、t=200msで処理パイプライン101に入るデータパケットがその処理段階に到達するときに各処理段階102でキューに入れられるデータパケットの数が、そのデータパケットが結果としてそのキューにおいて費やす時間とともに提供される。第1のシナリオでは、処理パイプライン101内に生じる唯一のキューは、処理段階102b用である。処理段階102aに到達する各データパケットは、(それは、処理パイプライン101の第1の段階であるため、処理段階102aの処理時間は1msであり、パケットは2msごとに処理段階102aに到達することから)次のデータパケットが到達する前に処理され、処理段階102bを出て処理段階102cに渡される各データパケットは、(これは、前の処理段階102cの処理時間であり、処理段階102bを実装する単一のSAPユニット103があるため、処理段階102cの処理時間は5msであり、パケットは10msごとに処理段階102cに到着することから)次のデータパケットが処理段階102cに到達する前に処理される。一方、データパケットは、2msごとに処理段階102aから処理段階102bに到達し、処理段階102bは、各データパケットを処理するのに10msを要し、これはキューが処理段階102bのために展開することを意味する。t=200msにおいて処理パイプライン101に入るデータパケットは、その後、処理段階102bのためのキューに1000msを費やす。
【0033】
各処理段階102の処理時間および各処理段階102を実行するSAPユニット103の数が同じである第2のシナリオでは、処理パイプライン101に入るヘルスケアデータパケットの頻度の増加は、処理段階102aの処理時間が処理段階102aに到達するヘルスケアデータパケット間の時間間隔よりも長いため、処理段階102bのためにさらに大きなキューを発生させるだけでなく、処理段階102aのためにキューを発生させることが分かる。処理段階102bが既にボトルネックとして作用しているため、段階102cの処理時間が処理パイプライン101aに入るヘルスケアデータパケット間の時間間隔よりも大きいにもかかわらず、処理段階102cのためにキューが展開されないことに留意されたい。
【0034】
本発明は、所与の処理パイプライン101内の所与の処理段階102を実装するSAPユニット103の数を調整することができることによって、処理パイプライン101において生じる可能性があるボトルネックの問題に対処する。所与の処理段階102を実装する複数のSAPユニットの概念は、2つのSAPユニット103を含むパイプライン101aの処理段階102aによって
図1に示されており、パイプライン101aの処理段階102bは、単一のSAPユニット103を含み、パイプライン101aの処理段階102cは、3つのSAPユニット103を含む。概して、所与の処理パイプライン101について、PMU120は、その処理パイプライン101の性能を監視し、続いてPMU120は、監視された性能に基づいて、そのパイプライン101内の所与の処理段階102を実装するSAPユニット103の数を調整することを決定することができる。PMU120によって実行される監視および調整ステップは、
図5~
図8に関連してさらに説明される。
【0035】
図3は、
図2を参照して上述したボトルネック問題に本発明がどのように対処することができるかを示すデータの表を提供する。
図3の表のデータは、処理パイプライン101の性能を監視したPMU120が、処理パイプライン101内の処理段階102bおよび102cを実装するSAPユニット103の数を調整したことを除いて、
図2の表と同じである。処理段階102bを実装するSAPユニット103の数は調整されており、これは、
図2の双方のシナリオ(2msごとに入力され、0.5msごとに入力されるヘルスケアデータパケット)の下では、処理段階102bが、処理段階102bのために展開されるキューに起因してパイプライン101に入力されるヘルスケアデータパケットの処理時間の増加の原因であったためである。処理段階102cを実装するSAPユニット103の数は調整されており、これは、双方のシナリオの下では、処理段階102bがパイプライン101に入るヘルスケアデータパケットの処理時間の増加の原因ではなく、現在3つのSAPユニット103が処理段階102cを実装しており、ヘルスケアデータ管理システム100内の処理能力が十分に利用されていないことを意味するためである。
【0036】
図3では、処理段階102bが実装されるSAPユニット103の数が1から5に増加している。所与の処理段階102の各SAPユニット103は、その処理段階102の他のSAPユニット103と並列であり、
図3の場合には、処理段階102bを最大5つの異なるデータパケットに対して同時に実行され得ることを意味する。処理段階102bを実装するSAPユニット103の数に対する調整の結果は、
図2の第1のシナリオの下での処理段階102bのためのキューが
図3において排除され、
図2の第2のシナリオの下での処理段階102bのためのキューが
図3において実質的に低減されることである。さらに、
図3では、処理段階102cが実装されるSAPユニット103の数は、3から1に減少している。この調整は、処理段階102cが一度に1つのデータパケットに対してのみ実行され得ることを意味するが、これは、処理段階102bから102cに送信されたデータパケットが処理段階102cに到達するとすぐに処理を開始することができる処理段階102cに十分な処理能力が依然としてあるため、処理パイプライン101を通るデータの通過を妨げない。
【0037】
したがって、本発明は、モジュール方式で展開され得るSAPユニット103を使用することによってヘルスケアデータ管理システム100の処理能力が既存のプロセス需要に適合されるため、医療装置からのデータを処理するための待ち時間を短縮することができることが分かる。これは、最終的には、検査が行われた後、より早く医療従事者などに医療検査結果を提供され得ることを意味する。さらに、ヘルスケアデータ管理システム100、400内の十分に利用されていない処理能力が低減され得、節約された処理能力がヘルスケアデータ管理システム100、400内の他の場所で利用され得る。
【0038】
図4は、ヘルスケアデータ管理システム400を通じたデータの流れを示す図である。
図4のヘルスケアデータ管理システム400は、
図1のヘルスケアデータ管理システム100に対するいくつかの変更を含む。
【0039】
まず、
図1の単一の検査室機器110ではなく、
図4のヘルスケアデータ管理システム400は、異なるタイプの複数の医療装置を含む。具体的には、
図4のヘルスケアデータ管理システム400には、複数の検査室機器410a~410nおよび複数のポイントオブケア(POC)装置412a~412mが存在する。
【0040】
さらに、
図4では、3つの処理パイプライン401a、401b、401cがあり、これらの3つは、全てPMU420と通信している。処理パイプライン401aは、複数の検査室機器410からヘルスケアデータを受信し、処理パイプライン401bおよび401cは、双方とも、複数のPOC装置412からヘルスケアデータを受信する。処理パイプライン401aおよび401cは、4つの処理段階(パイプライン401aを処理するための402a~402d;パイプライン401cを処理するための402g、402h、402iおよび402d)から形成され、処理パイプライン401bは、3つの処理段階(401e、401f、401d)から形成される。
図1のように、各処理段階が実装されるSAPユニット403の数は、
図4の各処理段階402の間で異なる。処理パイプライン401bおよび401cは、POC装置412から互いに同じヘルスケアデータを受信し得て、またはPOC装置412は、異なるヘルスケアデータを各処理パイプライン401に提供し得る。いずれの場合も、処理パイプライン401bおよび401cは、互いに異なる処理段階402を含むため、POC装置412からそれらの双方に供給されるヘルスケアデータが同じである場合であっても、ヘルスケアデータは、各処理パイプライン401b、401cにおいて異なる処理を受けているため、2つの処理パイプライン401b、401cによってHCWM415に出力される処理済みデータは異なる。
【0041】
図4では、処理段階402dは、複数の処理パイプラインに共通であり(この場合、処理段階402dは、3つの処理パイプライン全てに共通である)、したがって、処理段階402dが実装されるSAPユニット403は、その処理段階402dが共通する処理パイプライン401にわたって共有される。複数の処理パイプラインに共通の処理段階402は、あるフォーマットで先行する処理段階から処理済みデータをエクスポートするなどのプロセスであってもよい。
図4では、処理段階402dが実装される5つのSAPユニット403があり、進行中のパイプライン401のいずれかを通過するデータパケットは、処理段階402dを実装するSAPユニット403のいずれかに渡され得る(すなわち、処理段階402dを実装する所与のSAPユニット403は、処理段階402c、402f、または402iのいずれかからデータパケットを受信することができる)。
図4の共通処理段階402dは、各処理パイプライン401の最終処理段階402であるが、処理パイプライン401内の共通処理段階402の位置は特に限定されない。共通処理段階402は、所与の処理パイプライン401内の第1の処理段階402、または所与の処理パイプライン401内の中間処理段階402とすることができる。したがって、複数の処理パイプライン401に共通の処理段階402がある場合、単一の処理段階402内のSAPユニット403の数を増やすことによって複数の処理パイプライン401の処理時間が短縮され得、ヘルスケアデータ管理システム400は、異なる処理パイプライン401によってヘルスケアデータパケットが受信される速度の変動を処理することに関してより柔軟にされ得る。
【0042】
図5は、ヘルスケアデータを処理するヘルスケアデータ管理システム100、400(ステップS100~S700)のためのプロセスフロー図(PFD)と、そのヘルスケアデータ管理システムの処理能力を管理するプロセス(ステップS10~S20)のためのPFDとを含む。まず、ヘルスケアデータを処理するヘルスケアデータ管理システム100、400のPFDについて説明する。
【0043】
ステップS100において、医療装置、例えば検査室機器110、410またはPOC装置412からヘルスケアデータパケットが受信される。次に、ステップS200において、ヘルスケアデータパケット内に含まれるメタデータに基づいて、ヘルスケアデータパケットがヘルスケアデータ管理システム100、400内の所与の処理パイプライン101、401に割り当てられる。次いで、ヘルスケアデータパケットは、割り当てられた処理パイプライン101、401に入り、
図1および
図4に関連して上述したように、その処理パイプライン内に含まれる様々な処理段階102、402を通過し(S300~S500)、各処理段階102、402は、1つまたは複数のSAPユニット103、403上に実装される。ヘルスケアデータパケットが処理パイプライン101、401によって処理済みデータに処理されると、ステップS600において、処理済みデータは、HCMW115、415に出力され、これは、ステップS700において、処理済みデータをHCIMS125、425に提供する。
【0044】
ヘルスケアデータ管理システム100、400がステップS100~S700にしたがってヘルスケアデータを処理している間、PMU120、420は、ヘルスケアデータ管理システム100、400の処理能力を管理するプロセスを実行している。ステップS10として、PMU120、420は、ヘルスケアデータ管理システム100、400内の処理パイプライン101、401の性能を監視する。次に、ステップS20において、PMUは、ステップS10における性能監視の結果に基づいて、監視された処理パイプラインの性能を調整するために、所与の処理パイプライン101、401内の所与の処理段階102、402を実装するSAPユニット103、403の数を調整することができる。ステップS20を実行した後、PMU120、420は、ヘルスケアデータ管理システム100、400が動作している間に、1つまたは複数の処理パイプライン101、401のさらなる性能監視のためにステップS10に戻り得る。
【0045】
ヘルスケアデータ管理システム100、400の処理能力を管理するこのプロセスは、
図2および
図3を参照することによって理解され得、
図2および
図3は、ステップS10~S20がそれぞれ実行される前および後のヘルスケアデータ管理システム100、400の状態を表すことができる。
図2では、1つのSAPユニット103、403のみが処理段階102bを実行しており、処理段階102bがその一部を形成するパイプライン101aの性能は不十分である(時間t=200msにおいて処理段階102bを受けるのを待つデータパケットの大きなキューがある)。しかしながら、
図3では、ステップS10およびS20は、PMU120、420によって実行されており、その結果、処理段階102bを実装するSAPユニット103、403の数は、5つのSAPユニット103、403に調整される。この調整の結果、処理段階102bがその一部を形成するパイプライン101の性能が改善された(時間t=200msにおいて処理段階102bを受けるのを待つデータパケットのキューがより小さい)。さらに、
図2では、3つのSAPユニット103が処理段階102cを実装しており、処理能力が十分に利用されていないことを意味する。
図3では、処理段階102cが実装されるSAPユニット103の数は、3から1に減少している。この調整は、処理段階102cが一度に1つのデータパケットに対してのみ実行され得ることを意味するが、これは、処理段階102bから102cに送信されたデータパケットが処理段階102cに到達するとすぐに処理され始めることができる段階102cに十分な処理能力が依然としてあるため、処理パイプライン101を通るデータの通過を妨げない。
【0046】
図6は、ヘルスケアデータを処理するヘルスケアデータ管理システム100、400のためのPFD(ステップS100~S700)と、そのヘルスケアデータ管理システム100、400の処理能力を管理するプロセスのためのPFD(ステップS10~S20)とを含む。
【0047】
ヘルスケアデータを処理するヘルスケアデータ管理システム100、400のPFDに関して、
図6のPFDは、
図6のPFDが第1の処理パイプライン101、401に対応するステップS300a~S600aおよび第2の処理パイプライン101、401に対応するステップS300b~S600bを含むことを除いて、
図5の同等のPFDと非常に類似している。ヘルスケアデータ管理システム100、400の処理能力を管理することに関して、第1の処理パイプライン101、401および第2の処理パイプライン101、401の双方が監視され、調整される。
【0048】
ヘルスケアデータ管理システム100、400の処理能力を管理するためのPFD(ステップS10~S20)を考慮すると、処理パイプライン101、401の性能を監視するPMU120、420のステップS10は、
図5と同じである。しかしながら、
図6において、ヘルスケアデータ管理システム100、400の処理能力を調整するステップS20は、所与の処理パイプライン内の所与の処理段階を実装するSAPユニット103、403の数を調整するオプション(すなわち、
図5に関連して説明したのと同じ調整である)と、監視された性能に基づいて処理パイプライン101、401の数を調整するオプションとを含む。
【0049】
処理パイプライン101、401の数を調整するPMU120、420は、PMU120、420がその性能を監視しているヘルスケアデータ管理システム100、400に既に存在する別の処理パイプライン101、401と同じ順序で配置された同じ処理段階102、402から形成される追加の処理パイプライン101、401を作成するPMUの形態をとり得る。追加の処理パイプライン101、401を作成するために、PMU120、140は、1つまたは複数の処理パイプライン101、401の定義を受信することができ、定義は、各処理パイプライン101、401の複数の処理段階102、402を指定する。これらの定義は、例えば、ヘルスケアデータ管理システムの管理者から受信されてもよく、または定義は、それが処理されることを期待するパイプラインを(内部的に)定義するデータパケットから導出されてもよい。したがって、ヘルスケアデータ管理システム100、400は、受信したヘルスケアデータに対して互いに同じ処理を実行することができる複数の処理パイプライン101、401を備え得る。したがって、追加の同等の処理パイプライン101、401に割り当てられていたヘルスケアデータパケットの少なくとも一部が、PMU120、420によって作成された追加の処理パイプライン101、401に割り当てられ得るため、作成された追加の同等の処理パイプライン101、401を有する処理パイプライン101、401の性能が向上され得る。
【0050】
あるいは、処理パイプライン101、401の数を調整するPMU120、420は、ヘルスケアデータ管理システム100、400から1つまたは複数の処理パイプライン101、401を除去するPMU120、420の形態をとることもできる。互いに同じ順序で配置された同じ複数の処理段階102、402から形成された複数の処理パイプライン101、401がある場合、それらの処理パイプライン101、401のうちの1つが除去されても、その処理パイプライン101、401のヘルスケアデータ処理を実行するヘルスケアデータ管理システム100、400の能力は除去されないが(別の同等の処理パイプライン101、401がヘルスケアデータ管理システム100、400内に残っているため)、ヘルスケアデータ管理システム100、400内のメモリ消費を低減し、ヘルスケアデータ管理システム100、400内の十分に利用されていない処理能力を低減することができる。いくつかの例では、PMU120、420は、いずれも使用されていないと決定されたパイプラインの全てのインスタンスを除去し得る。PMUは、現在存在していない処理パイプラインを作成するために、すなわち医療装置からの要求に応答して、または医療装置からのデータの受信時に応答し得る。例えば、NMRマシンは、長期メンテナンスのためにオフラインにされてもよく、そのため、そのデータを利用するパイプラインは使用されなくてもよい。それに応答して、PMU120、420は、これらのパイプラインを取り外し、NMRマシンがオンラインに戻ってデータを生成していることを検出したときにのみそれらを元に戻し得る。
【0051】
PMU120、420による処理パイプライン101、401の数の調整は、PMU120、420によって利用されてもよく、処理パイプライン101、401の性能の監視は、過剰に利用されている(すなわち、最大能力付近または最大能力で動作する)か、もしくは十分に利用されていない(すなわち、最大能力未満で十分動作する)所与の処理パイプライン101、401内に複数の処理段階102、402があるか、または過剰に利用されているもしくは十分に利用されていない処理パイプライン101、401全体があることを示す。
【0052】
図7は、処理パイプライン101、401の性能を監視する
図5および
図6のステップS10がどのように実行され得るかの例についてより詳細に提供するPFDである。ステップS10は、PMU120、420によって実行される。ステップS11において、PMU120、140は、それが監視している処理パイプライン101、401についての1つまたは複数の性能パラメータの測定値を取得する。性能パラメータは、所与の処理パイプライン101、401または処理段階102、402によって使用されるメモリ量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータパケットがヘルスケアミドルウェア115、415に到達するのにかかる時間、および所与の処理パイプライン101、401または処理段階102、402によって使用される処理能力の量のうちの1つ(または複数)であり得る。ステップS12において、PMU120、140は、ステップS11において測定値が取得された性能パラメータの閾値を取得する。例えば、閾値は、以下を表し得る:所与の処理パイプライン101、401または処理段階102、402によって使用され得る最大メモリ量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータパケットがヘルスケアミドルウェア115、415に到達する最大許容時間、または所与の処理パイプライン101、401、または処理段階102、402によって使用され得る処理能力の最大量。ステップS13において、PMU120、140は、ステップS11において取得された1つまたは複数の性能パラメータの測定値を、ステップS12において取得された対応する閾値と比較する。ステップS14において、ステップS13の結果は、ヘルスケアデータ管理システム100、400内に記録される(例えば、キャッシュまたは長期短期メモリに記憶される)。
【0053】
図8は、監視された性能に基づいて、所与の処理パイプライン101、401内の所与の処理段階102、402を実装するSAPユニット103、403の数を調整する、および/または
図6のステップS20の場合、ヘルスケアデータ管理システム100、400内の処理パイプライン101、401の数を調整する、
図5および
図6のステップS20の方法の例についてより詳細に提供するPFDである。ステップS20は、PMU120、420によって実行される。ステップS21において、PMU120、140は、S14において記憶された1つまたは複数の性能パラメータ比較結果を取得する。続いて、ステップS22において、PMUは、性能パラメータ比較の結果が、それが関連する処理パイプライン101、401および/または処理段階102、402が過剰に利用されていることを示すかどうかを決定する。
【0054】
ステップS22の決定が肯定的である場合、PMU120、420は、ステップS23に進み、PMU120、140は、性能パラメータ比較結果が関連する所与の処理パイプライン101、401内の所与の処理段階102、402を実装するSAPユニット103、403の数を増加させる。代替的または追加的に、PMU120、140は、性能パラメータ比較結果が関連する処理パイプライン101、401と同じ順序で配置された同じ処理段階102、402から形成される1つまたは複数の追加の処理パイプライン101、401を作成する。これらの動作の一方または双方は、その処理段階102、402および/または処理パイプライン101、401の性能を改善するためにPMU120、420によって実行される。
【0055】
ステップS22における決定が否定的である場合、PMU120、420は、ステップS24に進み、PMU120、140は、性能パラメータ比較の結果が、それが関連する処理パイプライン101、401および/または処理段階102、402が十分に利用されていないことを示すか否かを決定する。
【0056】
ステップS24の決定が肯定的である場合、PMU120、420は、ステップS25に進み、PMU120、140は、性能パラメータ比較結果が関連する所与の処理パイプライン101、401内の所与の処理段階102、402を実装するSAPユニット103、403の数を減少させる。代替的または追加的に、性能パラメータ比較結果が関係する処理パイプライン101、401と同じ順序で配置された同じ処理段階102、402から形成された複数の処理パイプライン101、401がある場合、PMU120、420は、そのような処理パイプライン101、401のうちの1つまたは複数を除去することができる。ヘルスケアデータ管理システム100、400内のメモリ消費を低減し、ヘルスケアデータ管理システム100、400内に存在する十分に利用されていない処理能力を低減するために、これらの動作の一方または双方がPMU120、420によって実行される。
【0057】
ステップS23もしくはS25に続いて、またはステップS24における否定結果に続いて、PMU120、140は、ステップS26に進み、そこでPMU120、140は、ヘルスケアデータ管理システム100、400が動作している間に、1つまたは複数の処理パイプライン101、401のさらなる性能監視のためにステップS10に戻るように指示される。
【0058】
図9は、ヘルスケアデータパケットに含まれるメタデータの例である。
図9は、ヘルスケアデータパケットに含まれ得るメタデータ、すなわち、パケット内のデータを識別するために使用され得るパケットID;データパケットの発信元の医療装置を識別するのに使用され得る装置ID;パケット内のヘルスケアデータが経る必要がある処理段階102、104のシーケンスを指示する処理段階シーケンス;およびパケット内のヘルスケアデータについて指定された処理段階シーケンスに基づいてそれが通過するためのヘルスケアデータパケットに割り当てられた処理パイプライン101、401を示している。メタデータは、ヘルスケアデータから所望の処理済みデータを取得するために、正しい一連の処理段階102、402を有する正しい処理パイプライン101、401にヘルスケアデータパケットを提供することを可能にする情報を含む。所与の処理段階が複数のステートレスアトミック処理ユニット上で並列に実装されている場合、メタデータはまた、複数のステートレスアトミック処理ユニットのうちのどれにデータパケットが割り当てられているかを識別する情報を含む。例えば、
図9では、処理段階シーケンスは、以下のように定義される:01-22a-04-18c。これは、データパケットが処理段階01によって最初に処理されるべきであることを示す。次に、それは、処理段階22およびステートレスアトミック処理ユニットa(例えば、上述した102a
1)によって処理されるべきである。次に、それは、最終的にデータパケットを処理段階18およびステートレスアトミック処理ユニットc(例えば、
図1を参照すると102c
3)に提供する処理段階04によって処理されるべきである。
【0059】
メタデータは、プロセスの初期段階において性能管理ユニット120、420によって生成され、ヘルスケアデータ管理システム100、400によるその受信時にヘルスケアデータパケットに挿入されてもよい。そして、メタデータは、プロセスを介してヘルスケアデータパケットとともに移動する。あるいは、性能管理ユニット120、420は、医療装置と通信してもよく、メタデータをどのように生成するかについて医療装置に指示するか、またはヘルスケアデータパケット内にカプセル化するために医療装置にメタデータを提供してもよい。
【0060】
本明細書で使用される「検査室機器」という用語は、1つまたは複数の生物学的試料および/または1つまたは複数の試薬に対して1つまたは複数の処理ステップ/ワークフローステップを実行するように動作可能な任意の装置または装置構成要素を包含する。「機器」という用語は、分析前機器、分析後機器、および分析機器を含む。
【0061】
本明細書で使用される「分析器」/「分析機器」という用語は、測定値を取得するように構成された任意の装置または装置構成要素を包含する。分析器は、様々な化学的、生物学的、物理的、光学的または他の技術的手順を介して、試料またはその成分のパラメータ値を決定するように動作可能である。分析器は、試料または少なくとも1つの分析物の前記パラメータを測定し、取得された測定値を返すように動作可能であり得る。分析器によって返される可能性のある分析結果のリストは、これらに限定されないが、試料中の分析物の濃度、試料中の分析物の存在(検出レベルを超える濃度に対応)、光学パラメータ、DNAまたはRNA配列、タンパク質または代謝産物の質量分析から取得されたデータ、および様々なタイプの物理的または化学的パラメータを示すデジタル(はいまたはいいえ)結果を含む。分析機器は、試料および/または試薬のピペット操作、投与、および混合をアシストするユニットを備えてもよい。分析器は、アッセイを実行するための試薬を保持するための試薬保持ユニットを備えてもよい。試薬は、例えば、貯蔵区画またはコンベヤ内の適切な容器または位置に配置された、個々の試薬または試薬のグループを含む容器またはカセットの形態で配置されてもよい。それは、消耗品供給ユニットを備えてもよい。分析器は、ワークフローが特定のタイプの分析用に最適化されたプロセスおよび検出システムを備えてもよい。そのような分析器の例は、化学的または生物学的反応の結果を検出し、あるいは化学的または生物学的反応の進行を監視するために使用される臨床化学分析器、凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器、核酸分析器である。
【0062】
本明細書で使用される「分析前機器」という用語は、遠心分離、再懸濁(例えば、混合またはボルテックスによる)、キャッピング、デキャッピング、再キャッピング、仕分け、チューブタイプの識別、試料品質の決定、および/または分注ステップを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の分析前のワークフローステップを実行するように構成された任意の装置または装置構成要素を包含する。前記ステップはまた、化学物質または緩衝液を試料に添加すること、試料を濃縮すること、試料を培養することなどを含み得る。
【0063】
本明細書で使用される「分析後機器」という用語は、試料の取り外し、輸送、再キャッピング、デキャッピング、一時的貯蔵/バッファリング、貯蔵(冷蔵または非冷凍)、取得および/または廃棄を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の分析後のワークフローステップを実行するように構成された任意の装置または装置構成要素を包含する。
【0064】
本明細書で使用される「ポイントオブケア装置」という用語は、(これらに限定されないが)血糖検査、凝固検査、血液ガスおよび電解質分析、尿検査、心臓マーカー分析、ヘモグロビン診断、感染症検査、コレステロールスクリーニングまたは核酸検査NATなど、ポイントオブケア環境において使用される任意の分析器を包含する。結果は、POC分析器/装置上で直接見ることができてもよく、またはヘルスケア情報管理システムに送信されて表示されてもよい。
【0065】
本明細書で使用される「ヘルスケアデータ」という用語は、1人または複数の患者に対するそのような装置の操作を通じて1つまたは複数の医療装置から取得された任意のデータ、またはそこから取得された1つまたは複数の試料を包含する。
【0066】
本明細書で使用される「接続された」という用語は、2つまたはそれ以上の要素間の直接的および間接的な通信経路の双方を包含する。通信経路は、有線接続などの物理エンティティを介して提供されてもよく、またはネットワークなどの非物理通信システムを介して提供されてもよい。
【0067】
本明細書で使用される「ステートレス」という用語は、別のコンピュータもしくはプログラム、装置、または他の外部要素との所与の一連の相互作用における先行するイベントの記録がないことを包含する。各相互作用要求は、その相互作用要求に付随する情報に完全に基づいて処理されなければならない。
【0068】
本明細書で使用される「アトミック処理ユニット」という用語は、それらの全体で発生するか、または全く発生しない、分割不可能且つ低減不可能な一連の動作である特定のプロセスを実行する処理ユニットを包含する。
【0069】
上記の実施形態のシステムおよび方法は、記載された構造的構成要素およびユーザ相互作用に加えて、コンピュータシステム(特にコンピュータハードウェアまたはコンピュータソフトウェア)に実装されてもよい。
【0070】
「コンピュータシステム」という用語は、システムを具現化するための、または上述した実施形態にかかる方法を実行するためのハードウェア、ソフトウェア、およびデータ記憶装置を含む。例えば、コンピュータシステムは、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ記憶装置を備え得る。コンピュータシステムは、視覚出力ディスプレイを提供するためのモニタを有し得る。データ記憶装置は、RAM、ディスクドライブ、または他のコンピュータ可読媒体を備え得る。コンピュータシステムは、ネットワークによって接続され、そのネットワークを介して互いに通信することができる複数のコンピューティング装置を含み得る。
【0071】
上述した実施形態の方法は、コンピュータプログラムとして提供されてよく、あるいはコンピュータ上で実行されたときに上述した方法を実行するように構成されたコンピュータプログラムを担持するコンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体として提供されてもよい。
【0072】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、限定されないが、コンピュータまたはコンピュータシステムによって直接読み取られてアクセスされ得る任意の非一時的媒体を含む。媒体は、これらに限定されないが、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、光ディスクまたはCD-ROMなどの光学記憶媒体、RAM、ROM、およびフラッシュメモリを含むメモリなどの電気的記憶媒体、ならびに磁気/光学記憶媒体などの上記のハイブリッドおよび組み合わせを含むことができる。
【0073】
本開示は上述した例示的な実施形態と併せて説明されてきたが、本開示が与えられると、多くの同等の変更および変形は当業者にとって明らかであろう。したがって、上述した本開示の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定的ではないと見なされる。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する様々な変形が行われ得る。
【0074】
特に、上記の実施形態の方法は、説明された実施形態のシステム上で実装されるものとして説明されてきたが、本開示の方法およびシステムは、互いに関連して実装される必要はなく、代替のシステム上で、または代替の方法をそれぞれ使用して実装され得る。
【0075】
以上の説明、または以下の特許請求の範囲、あるいは添付の図面に開示され、具体的な形態で表現されるか、または開示された機能を実行するための手段または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスに関して表現された特徴は、必要に応じて、個別に、またはそのような特徴の任意の組み合わせにおいて、本発明を多様な形態で実現するために利用され得る。
【0076】
本発明は上述した例示的な実施形態と併せて説明されてきたが、本開示が与えられると、多くの同等の変更および変形は当業者にとって明らかであろう。したがって、上述した本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定的ではないと見なされる。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する様々な変形が行われ得る。
【0077】
誤解を避けるために、本明細書に提供されるあらゆる理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供されている。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0078】
本明細書で使用されるいかなる項目の見出しも、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0079】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「備える(comprise)」および「含む(include)」、ならびに「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」および「含んでいる(including)」などの変形は、記載された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループの包含を意味するが、いかなる他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップのグループの排除を意味するものではないと理解される。
【0080】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈による別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表現されることがある。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用によって、値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関する「約」という用語は、任意であり、例えば+/-10%を意味する。
【符号の説明】
【0081】
100 ヘルスケアデータ管理システム
101a-b 処理パイプライン
102a-f 処理段階
103 ステートレスアトミック処理ユニット
110 検査室機器
115 ヘルスケアミドルウェア
120 性能管理ユニット
125 ヘルスケア情報管理システム
400 ヘルスケアデータ管理システム
400a-c 処理パイプライン
402a-I 処理パイプライン
403 ステートレスアトミック処理ユニット
410a-n 検査室機器
412a-m ポイントオブケア装置
415 ヘルスケアミドルウェア
420 性能管理ユニット
425 ヘルスケア情報管理システム
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスケアデータ管理システム(100、400)における処理能力を管理するコンピュータ実装方法であって、前記ヘルスケアデータ管理システム(100、400)が、
ヘルスケアデータを生成する複数の医療装置と、
前記1つまたは複数の医療装置からヘルスケアデータを受信する1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)であって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)が複数の処理段階(102、402)から形成され、前記処理段階(102、402)が直列に配置され、受信した前記ヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行し、各処理段階(102、402)がステートレスアトミック処理ユニット(103、403)上に実装される、1つまたは複数の処理パイプラインと、
前記1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)から処理済みデータを受信し、前記処理済みデータをヘルスケア情報管理システム(125、425)に提供するヘルスケアミドルウェア(115、415)と、
前記処理パイプラインまたは各処理パイプライン(101、401)の前記処理能力を管理する性能管理ユニット(120、420)と
を含み、
前記コンピュータ実装方法が、
前記性能管理ユニット(120、420)によって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能を監視するステップと、
前記性能管理ユニット(120、420)によって、監視された前記性能に基づいて、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を調整するステップと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
複数の処理パイプラインが存在し、前記複数の処理パイプラインのうちの所与の処理パイプライン(101、401)内の1つまたは複数の処理段階(102、402)が、前記複数の処理パイプラインのうちの別の処理パイプライン(101、401)と共有される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記性能管理ユニット(120、420)が、性能パラメータを性能閾値と比較することによって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の前記性能を監視する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記性能管理ユニット(120、420)が、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能パラメータを監視し、前記性能パラメータが、所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用されるメモリの量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータが前記ヘルスケアミドルウェア(115、415)に到達するのにかかる時間、および所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用される処理能力の量のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の医療装置が、1つまたは複数の検査室機器(110、410)および/または1つまたは複数のポイントオブケア装置(412)である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記性能管理ユニット(120、420)が、1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)の定義であって前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の1つまたは複数の処理段階(102、402)を指定する前記定義を受信し、前記監視された性能に基づいて追加の処理パイプライン(101、401)を作成する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
所与の、またはそれぞれのアトミック処理ユニット(103、403)が、物理マシンまたは仮想マシンのいずれかとして提供される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記性能管理ユニット(120、420)が、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が過剰に利用されていることを示す場合に、前記所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を増加させ、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が十分に利用されていないことを示す場合、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を減少させるか、または1つもしくは複数の処理パイプライン(101、401)を除去する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
ヘルスケアデータ管理システム(100、400)であって、前記ヘルスケアデータ管理システム(100、400)が、
ヘルスケアデータを生成するように構成された複数の医療装置と、
前記医療装置のうちの1つまたは複数に接続され、そこから前記ヘルスケアデータを受信するように構成された1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)であって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)が、複数の処理段階(102、402)から形成され、前記処理段階(102、402)が直列に配置され、受信した前記ヘルスケアデータに対してそれぞれの動作を実行するように構成され、各処理段階(102、402)が、ステートレスアトミック処理ユニット(103、403)上に実装される、1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)と、
前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)に接続され、そこから処理済みデータを受信し、前記処理済みデータをヘルスケア情報管理システム(125、425)に提供するように構成されたヘルスケアミドルウェア(115、415)と、
性能管理ユニット(120、420)であって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の処理能力を、
前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能を監視し、
監視された前記性能に基づいて、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を調整する
ことによって管理するように構成された性能管理ユニット(120、420)と
を含む、ヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項10】
複数の処理パイプラインが存在し、所与の処理パイプライン(101、401)内の前記1つまたは複数の処理段階(102、402)が、前記複数の処理パイプラインのうちの別の処理パイプライン(101、401)と共有される、請求項9に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項11】
前記性能管理ユニット(120、420)が、性能パラメータを性能閾値と比較することによって、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の前記性能を監視するように構成されている、請求項9または10に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項12】
前記性能管理ユニット(120、420)が、前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の性能パラメータを監視するように構成され、前記性能パラメータが、所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用されるメモリの量、所与の医療装置から受信したヘルスケアデータが前記ヘルスケアミドルウェア(115、415)に到達するのにかかる時間、および所与の処理パイプライン(101、401)または処理段階(102、402)によって使用される処理能力の量のうちの1つまたは複数である、請求項9または10に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項13】
前記性能管理ユニット(120、420)が、1つまたは複数の処理パイプライン(101、401)の定義であって前記処理パイプライン(101、401)または各処理パイプライン(101、401)の1つまたは複数の処理段階(102、402)を指定する前記定義を受信し、前記監視された性能に基づいて追加の処理パイプライン(101、401)を作成するように構成されている、請求項9または10に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項14】
前記性能管理ユニット(120、420)が、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が過剰に利用されていることを示す場合に、前記所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を増加させ、
前記監視された性能が所与の処理パイプライン(101、401)が十分に利用されていないことを示す場合、所与の処理パイプライン(101、401)内の所与の処理段階(102、402)を実装するステートレスアトミック処理ユニット(103、403)の数を減少させるか、または1つもしくは複数の処理パイプライン(101、401)を除去するように構成されている、請求項9または10に記載のヘルスケアデータ管理システム(100、400)。
【請求項15】
1つまたは複数のプロセッサ上で実行されると、前記プロセッサに請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法を実行させる機械実行可能命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【外国語明細書】